(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6008935
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】折り畳み式乳母車
(51)【国際特許分類】
B62B 7/08 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
B62B7/08
【請求項の数】27
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-501701(P2014-501701)
(86)(22)【出願日】2011年12月20日
(65)【公表番号】特表2014-509578(P2014-509578A)
(43)【公表日】2014年4月21日
(86)【国際出願番号】GB2011052535
(87)【国際公開番号】WO2012131285
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2014年12月17日
(31)【優先権主張番号】1105412.9
(32)【優先日】2011年3月31日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513246182
【氏名又は名称】ステップ・アヘッド・コーポレイション・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】STEP AHEAD CORPORATION LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミツマン,リチャード
【審査官】
畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/052257(WO,A1)
【文献】
実開昭49−073939(JP,U)
【文献】
実開昭56−116268(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳み式乳母車であって、車輪が取付けられたシャーシと、互いに枢結された第1および第2の部分を備えるシートハンガーと、前記シャーシに対して固定され、前記シートハンガーの両側でシャーシからある角度をなして車輪から離れて上向きに延びる一対の離間した平行な管状体部と、第1のハンドル部とを備え、前記第1のハンドル部は、各々の前記管状体部に受けられ、前記第1のハンドル部が管状体部の上端から乳母車を押す人の方に主に延びる延長位置と、前記第1のハンドル部が前記管状体部の各々の上端および下端から延びるように前記第1のハンドル部を各々の前記管状体部に通した第2の収容位置との間を摺動可能であり、前記シートハンガーの第1の部分は、第1の回動点で前記第1のハンドル部に枢着され、第2の部分は、第2の回動点で管状体部に枢結され、前記第1および第2の回動点は、前記第1のハンドル部をそれらの延長位置からそれらの収容位置に滑り込ませた時に前記シートハンガーの前記第1および第2の部分が実質的に互いに対して折り重ねられるように互いの方に直線的に移動することを特徴とする、折り畳み式乳母車。
【請求項2】
前記第1のハンドル部がそれらの収容位置にある時に、前記第1および第2の部分は一対の離間した平行な前記管状体部の間に実質的に位置する、請求項1に記載の折り畳み式乳母車。
【請求項3】
前記シートハンガーは、前記第1の部分の下端を前記第2の部分の後端に回動式に連結する連結部材を備える、請求項1または2に記載の折り畳み式乳母車。
【請求項4】
前記連結部材は、前記第1の部分の下端および前記第2の部分の後端をそれぞれ受けて回動式に装着するために、離間した平行な台座を備える、請求項3に記載の折り畳み式乳母車。
【請求項5】
前記第1および第2の部分は、各々、剛性のU字形フレーム部材を備え、前記連結部材は、各々の前記U字形フレーム部材のベース部の間に延びており、離間した平行な関係でそれらの前記ベース部によって前記U字形フレーム部材を連結する、請求項4に記載の折り畳み式乳母車。
【請求項6】
第1のU字形フレーム部材は、第1の軸を中心として回転するように前記連結部材に連結され、第2のU字形フレーム部材は、前記第1の軸と平行でありかつ前記第1の軸から離間した第2の軸を中心として回転するように前記連結部材に連結される、請求項5に記載の折り畳み式乳母車。
【請求項7】
前記第1の部分の前記U字形フレーム部材のそれぞれの端部は、第1の共通軸を中心として回転するようにそれぞれの前記第1のハンドル部に取付けられる、請求項6に記載の折り畳み式乳母車。
【請求項8】
前記第2の部分によって形成される前記U字形フレーム部材のそれぞれの端部は、第2の共通軸を中心として回転するようにそれぞれの離間した管状体部に取付けられる、請求項7に記載の折り畳み式乳母車。
【請求項9】
前記第1の軸、前記第2の軸ならびに前記第1および第2の共通軸は全て、互いに平行である、請求項7または8に記載の折り畳み式乳母車。
【請求項10】
座席および背もたれをもたらすように前記U字形フレーム部材に取付可能な可撓性座席材料を備え、前記可撓性座席材料は、前記第1のハンドル部をそれらの収容位置に滑り込ませた時に前記U字形フレーム部材によって畳み込まれる、請求項5から9のいずれかに記載の折り畳み式乳母車。
【請求項11】
前記管状体部および前記第1のハンドル部は、前記第1のハンドル部がそれらの第2の収容位置にある時に前記第1のハンドル部が実質的に同一の長さだけ各々の前記管状体部の上端および下端から突き出るように構成される、請求項1から10のいずれかに記載の折り畳み式乳母車。
【請求項12】
前記管状体部および前記第1のハンドル部は、前記第1のハンドル部をそれらのそれぞれの前記管状体部の各々を通してそれらの収容位置に滑り込ませた時に、前記第1のハンドル部が前記管状体部のそれぞれの下端から突き出た状態で前記乳母車が前記車輪上に支持される直立位置に前記乳母車を傾けることができるように構成される、請求項1から11のいずれかに記載の折り畳み式乳母車。
【請求項13】
前記第1のハンドル部がそれらの延長位置にある時、前記第1のハンドル部の各々の下端は、それらの対応する前記管状体部内に受けられる、請求項12に記載の折り畳み式乳母車。
【請求項14】
前記第1のハンドル部がそれらの延長位置にある時、前記第1のハンドル部の各々の下端は、前記管状体部の各々の下端から突き出る、請求項12に記載の折り畳み式乳母車。
【請求項15】
前記第1のハンドル部を延ばした時に前記第1のハンドル部がそれらのそれぞれの前記管状体部から引き抜かれることを防ぐために、前記第1のハンドル部の下端の各々に端部キャップが取付けられる、請求項13または14に記載の折り畳み式乳母車。
【請求項16】
前記端部キャップは、前記第1のハンドル部がそれらの収容位置にある時に前記乳母車を直立位置に支持するために脚部を備える、請求項15に記載の折り畳み式乳母車。
【請求項17】
前記管状体部内で前記第1のハンドル部をそれらの延長位置および収容位置にロックするためにロッキング機構を備える、請求項1から16のいずれかに記載の折り畳み式乳母車。
【請求項18】
前記第1のハンドル部は、それらの延長位置からそれらの収容位置にともに摺動するように互いに取付けられるか、または一体的に形成される、請求項1から17のいずれかに記載の折り畳み式乳母車。
【請求項19】
第2のハンドル部を備え、前記第2のハンドル部は、前記第2のハンドル部が前記第1のハンドル部のそれぞれの端部から前記乳母車を押す人の方に上向きに延びる第1の位置と、前記第2のハンドル部がそれぞれの前記第1のハンドル部内に受けられる格納位置との間を摺動可能である、請求項1から18のいずれかに記載の折り畳み式乳母車。
【請求項20】
前記第1のハンドル部は、各々、それぞれの前記管状体部に受けられる管状部材を備え、前記第2のハンドル部はU字形フレーム部材を備え、当該U字形フレーム部材は、前記管状部材の各々の上端から延びてそれらを接続し、前記第2のハンドル部が前記管状部材内に格納された時に、前記第2のハンドル部に対するさらなる下向きの力がそれらのそれぞれの前記管状体部を介して両方の前記管状部材を同時に押して、前記第1のハンドル部を両方ともそれらの延長位置からそれらの格納位置の方に移動させる、請求項19に記載の折り畳み式乳母車。
【請求項21】
前記車輪は、前記管状体部の各々の下端に隣接して前記シャーシに取付けられた一次車輪を備える、請求項1から20のいずれかに記載の折り畳み式乳母車。
【請求項22】
前記一次車輪の後ろに位置し、前記乳母車を折り畳んだ時に前記一次車輪同士の間に収容可能な一対の二次車輪を備える、請求項21に記載の折り畳み式乳母車。
【請求項23】
前記シャーシから延びる一対の平行なアームを備え、前記二次車輪が前記アームの各々に接続される、請求項22に記載の折り畳み式乳母車。
【請求項24】
前記アームの各々は、前記シャーシに回動式に装着され、2つの部分を備え、前記2つの部分は、前記二次車輪を前記一次車輪同士の間のそれらの収容位置に移動させた時に前記各アームが前記シャーシに対して回動して2つの部分が互いに対して回動するように、互いに枢結される、請求項23に記載の折り畳み式乳母車。
【請求項25】
前記二次車輪の各々と前記管状体部の上端との間に延びる支柱を備える、請求項24に記載の折り畳み式乳母車。
【請求項26】
前記支柱は、前記二次車輪を前記一次車輪同士の間のそれらの収容位置に移動させた時に前記支柱が前記管状体部に対して回動するように前記管状体部に枢着される、請求項25に記載の折り畳み式乳母車。
【請求項27】
前記管状体部への前記支柱の枢着は、前記二次車輪を前記一次車輪同士の間のそれらの収容位置に受けた時に前記アームを受けるための空間を前記管状体部と前記支柱との間にもたらすように、前記二次車輪の方向に前記管状体部から離間している、請求項26に記載の折り畳み式乳母車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
本発明は、別名ベビーバギーまたはベビーカーとして知られている乳幼児向けの折り畳み式乳母車に関し、より特定的には、未使用時の収納または運搬を目的として容易に折り畳むことができる乳母車に関する。理想的には、本発明は、極めてコンパクトであり、かつ、飛行機の機内持ち込み手荷物として許容可能なサイズに折り畳むことができる乳母車に関する。
【背景技術】
【0002】
折り畳み式乳母車は周知である。一般に、これらの乳母車は、座席が取付けられたいくつかの管状のフレーム部材を有している。フレーム部材を支持して畳み込みプロセスを制御するために、筋かいがフレーム部材同士の間に延びており、フレーム部材に枢着されている。多くの場合、部材または筋かいは互いに枢結されており、そのため、フレーム部材および筋かいが互いの上にまたは互いに対して折り重なった状態で乳母車が概してはさみのような態様で畳まれ、その結果、乳母車は未使用時の収納に適したよりコンパクトな構成をとる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
公知の乳母車の問題点は、乳母車が一般に複雑な構造を有し、折り畳んだり開いて使用可能な状態にしたりするのが困難であることである。特に、乳母車を畳むことができるようにする機構をもたらす回動軸および筋かいの配置が複雑であり、乳母車の製造を困難かつ高価なものにしている。また、畳み込み機構は、畳み込み手順中に指が管状部材の間または筋かいの間にはさまって怪我につながる機会が多い。
【0004】
一般に、従来の乳母車は、折り畳んだ時にも依然として比較的大きいため、家または車のトランクで相当なスペースを占めることになる。また、従来の乳母車は、機内持ち込み手荷物サイズの規定を満たさないので、別途飛行機に積み込まなければならない。
【0005】
乳母車の中には比較的小さなサイズに折り畳むことができるものもあるが、多くの場合フレームを折り畳む前に座席を取外して座席を別途畳むまたは収納する必要がある。代替的に、フレームを折り畳む前に独立して座席を畳み込まなければならない。
【0006】
したがって、本発明は、上記の不利な点のうちのいくつかまたは全てを克服または実質的に低減し、折り畳んだり直立させたりすることが非常に容易な、改良された折り畳み式乳母車を提供しようとするものである。
【0007】
折り畳み式乳母車は、WO2010/052257から公知である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、折り畳み式乳母車であって、車輪が取付けられたシャーシと、シートハンガーと、シャーシに対して固定され、上記シートハンガーの両側でシャーシからある角度をなして車輪から離れて上向きに延びる一対の離間した平行な管状体部と、第1のハンドル部とを備え、当該第1のハンドル部は、各々の管状体部に受けられ、第1のハンドル部が管状体部の上端から乳母車を押す人の方に主に延びる延長位置と、第1のハンドル部が管状体部の各々の上端および下端から延びるように第1のハンドル部を各々の管状体部に通した第2の収容位置との間を摺動可能であり、当該シートハンガーは、第1のハンドル部をそれらの延長位置からそれらの収容位置に滑り込ませた時にシートハンガーが畳まれるように上記第1のハンドル部に枢着される、折り畳み式乳母車が提供される。
【0009】
好ましい実施例においては、当該シートハンガーは、離間した平行な管状体部にも取付けられる。
【0010】
当該シートハンガーは好ましくは第1および第2の部分を備え、当該第1の部分の上端は上記第1のハンドル部に枢着され、当該第2の部分の前端は上記離間した管状体部に枢着され、上記第1の部分の下端および上記第2の部分の後端は互いに枢着されて、第1のハンドル部をそれらの収容位置に滑り込ませた時に、当該第1の部分の上端が当該第2の部分の前端の方に直線的に移動する一方、上記第1の部分の下端および当該第2の部分の後端が互いに対して回動して、シートハンガーが畳まれる。有利に、第1のハンドル部がそれらの収容位置にある時に、当該第1および第2の部分は一対の離間した平行な管状体部の間に実質的に位置していてもよい。
【0011】
好ましい実施例においては、当該シートハンガーは、上記第1の部分の下端を上記第2の部分の後端に回動式に連結する連結部材を備える。
【0012】
当該連結部材は、第1の部分の下端および第2の部分の後端をそれぞれ受けて回動式に装着するために、離間した平行な台座を備えていてもよい。
【0013】
好ましい実施例においては、当該第1および第2の部分は、各々、剛性のU字形フレーム部材を備え、当該連結部材は、各々のU字形フレーム部材のベース部の間に延びており、離間した平行な関係でそれらのベース部によって上記U字形フレーム部材を連結する。
【0014】
好ましくは、第1のU字形フレーム部材は、第1の軸を中心として回転するように連結部材に連結され、第2のU字形フレーム部材は、当該第1の軸と平行でありかつ当該第1の軸から離間した第2の軸を中心として回転するように連結部材に連結される。
【0015】
一実施例においては、第1の部分のU字形フレーム部材のそれぞれの端部は、第1の共通軸を中心として回転するようにそれぞれの第1のハンドル部に取付けられる。さらに、第2の部分によって形成されるU字形フレーム部材のそれぞれの端部は、第2の共通軸を中心として回転するようにそれぞれの離間した管状体部に取付けられてもよい。
【0016】
好ましくは、当該第1の軸、当該第2の軸ならびに当該第1および第2の共通軸は全て、互いに平行である。
【0017】
好ましい実施例においては、座席および背もたれをもたらすようにU字形フレーム部材に可撓性座席材料が取付可能であり、当該可撓性座席材料は、第1のハンドル部をそれらの収容位置に滑り込ませた時にU字形フレーム部材によって畳み込まれる。
【0018】
好ましい実施例においては、当該管状体部および当該第1のハンドル部は、第1のハンドル部がその第2の収容位置にある時に第1のハンドル部が実質的に同一の長さだけ各々の管状体部の上端および下端から突き出るように構成される。
【0019】
当該管状体部および当該第1のハンドル部は、第1のハンドル部をその管状体部の各々を通してその収容位置に滑り込ませた時に、第1のハンドル部が管状体部の下端から突き出た状態で乳母車が上記車輪上に支持される直立位置に乳母車を移動させることができるように構成されてもよい。
【0020】
一実施例においては、第1のハンドル部がその延長位置にある時、第1のハンドル部の下端は、それらの対応する管状体部内に受けられる。
【0021】
代替的な実施例においては、第1のハンドル部がその延長位置にある時、第1のハンドル部の下端は、管状体部の各々の下端から突き出ていてもよい。好ましくは、第1のハンドル部は、ごくわずかな長さだけ、管状体部の下端から突き出る。
【0022】
好ましい実施例においては、第1のハンドル部を延ばした時に第1のハンドル部が管状体部から引き抜かれることを防ぐために、第1のハンドル部の下端にキャップまたは当接部材が取付けられる。
【0023】
好ましくは、当該端部キャップは、第1のハンドル部がその収容位置にある時に乳母車を直立位置に支持するために脚部を備える。
【0024】
好ましい実施例においては、当該乳母車は、管状体部内で第1のハンドル部をその延長位置および収容位置にロックするためにロッキング機構を備える。
【0025】
好ましくは、当該乳母車は第2のハンドル部を備え、当該第2のハンドル部は、第2のハンドル部が第1のハンドル部の端部から乳母車を押す人の方に上向きに延びる第1の位置と、第2のハンドル部が第1のハンドル部内に受けられる格納位置との間を摺動可能である。
【0026】
一実施例においては、当該第1のハンドル部は、各々の管状体部に受けられる別々の管状部材を備えることができ、第2のハンドル部はU字形フレーム部材を備え、当該U字形フレーム部材は、別々の管状部材の各々の上端から延びてそれらを接続し、第2のハンドル部が別々の管状部材内に格納された時に、第2のハンドル部に対するさらなる下向きの力がそれらのそれぞれの管状体部を介して両方の別々の管状部材を同時に押して、第1のハンドル部をその延長位置からその格納位置の方に移動させる。
【0027】
好ましくは、当該車輪は、管状体部の各々の下端に隣接してシャーシに取付けられた一次車輪を備える。有利に、当該乳母車は、一次車輪の後ろに位置し、乳母車を折り畳んだ時に一次車輪同士の間に収容可能な一対の二次車輪も備える。
【0028】
好ましい実施例においては、一対の平行なアームがシャーシから延びており、二次車輪が上記アームの各々に接続される。上記アームの各々は、シャーシに回動式に装着されてもよく、2つの部分を備えていてもよく、当該2つの部分は、二次車輪を一次車輪同士の間のそれらの収容位置に移動させた時に各アームがシャーシに対して回動して2つの部分が互いに対して回動するように、互いに枢結される。
【0029】
好ましい実施例においては、支柱が二次車輪の各々と管状体部の上端との間に延びている。理想的には、当該支柱は、二次車輪を一次車輪同士の間のそれらの収容位置に移動させた時に支柱が管状体部に対して回動するように管状体部に枢着される。
【0030】
好ましくは、管状体部への支柱の枢着は、二次車輪を一次車輪同士の間のそれらの収容位置に受けた時にアームを受けるための空間を管状体部と支柱との間にもたらすように、二次車輪の方向に管状体部から離間している。
【0031】
シャーシは、鉱物が充填されたポリプロピレンなどの任意の好適な硬質プラスチック材料から成形されてもよい。
【0032】
好ましくは、二次車輪は、解放可能なラッチ機構によってシャーシ内のそれらの収納位置に保持される。好ましくは、二次車輪をシャーシに接続する手段は、二次車輪をシャーシ内のそれらの収容位置に保持する解放可能なラッチ機構が解放された時に、重力の作用により上記車輪がシャーシから自動的に展開するように動作する。
【0033】
ここで、添付の図面を参照して、単なる一例として本発明の実施例について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の実施例に係る直立した構成の乳母車の概略斜視図である。
【
図3】畳み込んだ折り畳んだ位置における
図1および
図2の乳母車を示す概略斜視図である。
【
図5】シートハンガーをより詳細に示す直立した乳母車の正面斜視図である。
【
図6】
図5の折り畳んだ乳母車の正面斜視図である。
【
図7A】直立状態に始まり折り畳み状態に終わる
図5および
図6の乳母車の一連の側面図のうちの1つである。
【
図7B】直立状態に始まり折り畳み状態に終わる
図5および
図6の乳母車の一連の側面図のうちの1つである。
【
図7C】直立状態に始まり折り畳み状態に終わる
図5および
図6の乳母車の一連の側面図のうちの1つである。
【
図7D】直立状態に始まり折り畳み状態に終わる
図5および
図6の乳母車の一連の側面図のうちの1つである。
【
図7E】直立状態に始まり折り畳み状態に終わる
図5および
図6の乳母車の一連の側面図のうちの1つである。
【
図7F】直立状態に始まり折り畳み状態に終わる
図5および
図6の乳母車の一連の側面図のうちの1つである。
【
図7G】直立状態に始まり折り畳み状態に終わる
図5および
図6の乳母車の一連の側面図のうちの1つである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図面を参照して、折り畳み式乳母車1が
図1〜
図4に示され、当該折り畳み式乳母車1は、対向する側部3,4と、上記側部3と4との間に延びる一体型のフットレスト5とを有する、ひとつなぎに成形された硬質プラスチックシャーシ2を備える。管状体部6,7は、シャーシ2の各側部3,4からある角度をなして上向きに延びている。回動支持体10,11によって、前部または一次車輪8,9がシャーシ2の各側部3,4に取付けられている。
【0036】
管状体部6,7の各々は、それらの上端12が両方とも開いている。各々の管状体部6,7の下端13は、各側部3,4のシャーシ2の概して管状であってかつ類似の大きさの部分に接続され、その部分の下端14も開いており、そのため、各々の管状体部6,7は、それが取付けられているそのそれぞれのシャーシ側部3,4とともに、全体に延びる長手方向通路を有する。
【0037】
別々の細長い管状部材16,17を備える第1のハンドル部15の下端は、管状体部6,7の各々に摺動可能に受けられる。
図1および
図2では、第1のハンドル部15は、第1のハンドル部15の細長い管状部材16,17の各々がそれらの対応する管状体部6,7の上端12から主にまたは全体的に延びるその第1の位置または延長位置にあるように示されている。この位置では、管状部材16,17の各々の下端は、シャーシ2の管状部内に受けられ、管状体部6,7から引き抜かれることが防止される。一実施例においては、各管状部材16,17の下端に迫持台またはキャップ18(
図3および
図4参照)が設けられており、当該迫持台またはキャップ18は、第1のハンドル部15がその延長位置にある時にシャーシ2と接触または係合して、管状部材16,17が管状体部6,7から引き抜かれて乳母車1と分離することを防ぐ。これは、キャップ18の直径がシャーシ側部3,4のアパーチャの直径よりも大きいためである。代替的に、キャップ18の直径は、管状体部6,7のアパーチャの直径よりも大きいが、シャーシ側部3,4のアパーチャの直径未満であり、そのため、第1のハンドル部15を十分に延ばした時に、端部キャップ18はシャーシ側部3,4内に受けられるか、またはシャーシ側部3,4によって部分的もしくは全体的に囲まれる。
【0038】
第2のハンドル部19が管状部材16,17の各々の上端から延びている。第2のハンドル部は、それぞれの管状部材16,17内に摺動可能にまたは伸縮式に受けられる2つの細長い部材20,21を備える。第2のハンドル部19は、細長い部材20,21の各々が横材22によって接続されるようにU字形であり、当該横材22は、ユーザが乳母車をつかんだり、押したり、引いたりすることができるように乳母車のハンドルも形成する。
【0039】
延長位置では、
図1および
図2に示されるように、ロッキング機構23が、第2のハンドル部19を延長位置における第1のハンドル部15にロックする。このロッキング機構23は、任意の好都合な形態をとってもよいが、例えば第1のハンドル部15の管状部材16,17の各々における対応するアパーチャに係合し、乳母車1を折り畳むことができるようにユーザによって容易に解放可能なばね付きピンを第2のハンドル部19の細長い部材20,21の各々に備えることも可能である。第1のハンドル部15がその延長位置にある時に、類似のロッキング機構(図示せず)が第1のハンドル部15をシャーシ2に接続してもよい。
【0040】
図4および
図5を参照して、乳母車1を折り畳むと、第1のハンドル部15の一部または少なくともより大きな部分が管状体部6,7の各々の下端およびシャーシ2から延びるように、第1のハンドル部15の管状部材16,17がそれらのそれぞれの管状体部6,7を摺動することが分かる。好ましい実施例においては、
図4から最も明らかに分かるように、各管状部材16,17が、実質的に同一の長さだけ、各々の管状体部6,7の上端12および下端13からそれぞれ延びるように、第1のハンドル部15が管状体部6,7を摺動する。
【0041】
また、第1のハンドル部15の下端または第1のハンドル部15の下端の端部キャップもしくは迫持台18が車輪8,9の前の地面と接触して脚部の役割を果たすように、ここでは乳母車1全体を回転させるかまたはその車輪8,9を支えとして前方に傾けることができることも
図4から理解される。この位置では、管状体部6,7および第1のハンドル部15は実質的に直立または垂直である。この位置では、乳母車1は自発的に自立することになる。
【0042】
図3および
図4に示されるように、乳母車1を折り畳むと、第2のハンドル部19は第1のハンドル部15に摺り込み、第1のハンドル部15内に収容され、それによって乳母車1ができるだけコンパクトになるようにする。この位置では、第2のハンドル部19の横材22は上向きに突き出たままにされて、乳母車を完全に折り畳んだ時に乳母車に運搬用ハンドルをもたらす。
図3および
図4に示されるように、第1および第2のハンドル部15,19をそれらの収容位置に保持するために好適なロッキング手段(図示せず)も設けられている。
【0043】
ハンドル15,19を形成する乳母車1のいかなる部分の畳み込みまたは回動もないことが理解される。それどころか、第1および第2のハンドル部15,19がそれらの直立位置と折り畳み位置との間を移動する時に、第1および第2のハンドル部15,19のみが、互いに対しておよび第1および第2のハンドル部15,19が装着されたシャーシ2に対して、摺動する。
【0044】
乳母車1は、一対の二次または後部車輪25,26も含み、当該車輪25,26は、車軸27を中心に回転可能であり、シャーシ2の各側部3,4の回動ピン30によって前輪8,9の後ろでシャーシ2に蝶番式に取付けられたアーム28,29の端部に各々装着される。各アーム28,29は2つの部分28a,28b;29a,29bを備え、当該2つの部分28a,28b;29a,29bは回動軸31において互いに蝶番式に取付けられており、そのため、
図4に示されるように、各アーム28,29の2つの部分28a,28b;29a,29bが互いの方に折り重なって収容位置において管状体部6,7に実質的に平行に延びた状態で乳母車1を折り畳んだ時に、後輪25,26とともに後部車軸27を前輪8,9の方に押すことができる。後輪25,26が前輪8と9との間の空間に位置するように、後輪25,26の各々の間の距離は前輪8,9の各々の間の距離未満である。
【0045】
後輪25,26が装着された車軸27から乳母車1の各々の側の管状体部6,7の上端13まで支柱または脚部32が延びている。支柱32は、管状体部6,7の上端から延びる第1の部分32aと、後輪25,26を前輪8と9との間のそれらの収容位置の方に移動させた時に第2の部分32bが第1の部分32aを中心として回動するように第1の部分32aの自由端に枢結された第2の部分32bとを有する。アーム28,29は、乳母車1の各々の側の管状体部6,7と支柱32との間に形成された空間に受けられる。二次車輪25,26をそれらの延長位置および収容位置の各々にロックするためにロッキング機構(図示せず)が設けられる。
【0046】
図1〜
図4では、座席ベース34および背もたれ35から形成されるシートハンガー33は、単に一般的な形態で示されている。ここで、
図5〜
図7Gを参照して、シートハンガー33についてより詳細に説明する。
【0047】
図5は、直立状態の本発明に係る乳母車の斜視図である。
図5から、シートハンガー33が第1の部分34と第2の部分35とを有し、第1および第2の部分34,35の各々が実質的にU字形の剛性フレームによって形成されていることが分かる。
【0048】
第1の部分34は上端36を有し、当該上端36の各々は、クランプ部材37によって第1のハンドル部15のそれぞれの細長い管状部材16,17に回動式に装着されている。それによって、
図5に示されるように、第1の部分34は軸A‐Aを中心として第1のハンドル部15に対して回転可能である。
【0049】
第2の部分35は前端38を有し、当該前端38の各々は、
図5に示されるように、軸B‐Bを中心として第2の部分35を回転させるように支持具39によってそれぞれの管状体部6,7に回動式に装着されている。
【0050】
第1の部分34の下端40および第2の部分35の後端41は、連結部材42によって互いに回動式に連結されている。連結部材42は、第1の部分34の下端40を受けるための第1の台座43と、第2の部分35の後端41を受けるための第2の台座44とを備える。下端40はその台座43内で軸C‐Cを中心として回転可能であり、後端41はその台座44内で軸D‐Dを中心として回転可能である。第1および第2の台座44,45は、平行であるが、第1および第2の部分が互いに対しておよび連結部材42に対して自由に回転可能であるように短い距離だけ互いに離間している。
【0051】
軸A‐A,B‐B,C‐CおよびD‐Dは全て、互いに平行である。図面には図示されていないが、乳幼児が座ることができる快適な座席を提供するために、可撓性材料の座席および背もたれをシートハンガー33上に広げてシートハンガー33に取付けてもよい。
【0052】
ここで、
図7A〜
図7Gを参照して、乳母車の折り畳みについてより詳細に説明する。
最初に、ユーザは第2のハンドル部19を解放し、それを矢印A(
図7B参照)の方向に第1のハンドル部15に滑り込ませる。第2のハンドル部19を第1のハンドル部15に完全に滑り込ませると、同一方向への第2のハンドル部19に対する継続的な力により、前述のように第1のハンドル部15が管状体部6,7を摺動する。
図7Cに示されるように、第1のハンドル部15の動きにより、クランプ部材37が支持具39の方に直線的に摺動する。同時に、シートハンガーの第1の部分34の上端36が軸A‐Aを中心として第1のハンドル部15に対して回動し、第1の部分34の下端が軸C‐Cを中心として連結部材42に対して回動し、第2の部分35の後端41が軸D‐Dを中心として連結部材42に対して回動し、第2の部分35の前端38が軸B‐Bを中心として支持具39の周りを管状部材6,7に対して回動する。
【0053】
図7Dおよび
図7Eに示されるように、シートハンガー33の第1および第2の部分34,35は、
図7Eに示されるように、完全に折り畳んだ時に、実質的に互いに対して折り重なり、管状体部6と7との間に収容される。
【0054】
図7Fおよび
図7Gに示され、
図1〜
図4に関連して前述したように、一旦ハンドル15,19が完全に収容されると、後輪25は前輪8と9との間に畳み込むことができる。
【0055】
乳母車を開くためには逆のことが行われる。シートハンガー33が開いて、第1のハンドル部15を摺動させて管状部材6,7から出すことにより座席が形成されることが理解される。
【0056】
本発明の乳母車は、コンパクトであり、直立させたり折り畳んだりするのが容易である。特に、シートハンガー33は、乳母車を折り畳むことおよび直立させることに応答してそれぞれ折り畳まれたり直立したりするように構成され、そのため、座席を畳むおよび/または取外すためにさらなるステップは不要である。
【0057】
上記の実施例は単に一例として挙げられており、添付の特許請求の範囲内の他の変形例も本発明の一部であると考えられることが理解される。