(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
パケット通信装置(30)と有線でパケットのデータを授受し、該パケットのデータに対して有線通信方式における処理を含むプロトコル処理及び移動体通信の基地局と同様の無線通信方式における複数の種類のプロトコル処理を行う複数のレイヤ処理部(2、3、4、5、6)を有し、移動体通信端末(40)と通信する通信装置における障害を監視する通信障害監視装置であって、
各前記レイヤ処理部から、いずれかのレイヤ処理部間でのパケットのデータの伝達を制御するフロー制御情報、及び、各前記レイヤ処理部がプロトコル処理する量又はプロトコル処理可能な量を示すデータ量を、時間経過に応じて取得する情報取得部(11)と、
各前記レイヤ処理部から取得された前記フロー制御情報及び前記データ量の時間経過に対する変化を対比可能に表示部に表示させる表示制御部(13)と、
を備えたことを特徴とする通信障害監視装置。
パケット通信装置(30)と有線でパケットのデータを授受し、該パケットのデータに対して有線通信方式における処理を含むプロトコル処理及び移動体通信の基地局と同様の無線通信方式における複数の種類のプロトコル処理を行う複数のレイヤ処理部(2、3、4、5、6)を有し、移動体通信端末(40)と通信する通信装置における障害を監視する通信障害監視方法であって、
各前記レイヤ処理部から、いずれかのレイヤ処理部間でのパケットのデータの伝達を制御するフロー制御情報、及び、各前記レイヤ処理部がプロトコル処理する量又はプロトコル処理可能な量を示すデータ量を、時間経過に応じて取得する情報取得段階と、
各前記レイヤ処理部から取得された前記フロー制御情報及び前記データ量の時間経過に対する変化を対比可能に表示部に表示させる表示制御段階と、
を備えたことを特徴とする通信障害監視方法。
パケット通信装置(30)と有線でパケットのデータを授受し、該パケットのデータに対して有線通信方式における処理を含むプロトコル処理及び移動体通信の基地局と同様の無線通信方式における複数の種類のプロトコル処理を行う複数のレイヤ処理部(2、3、4、5、6)を有し、移動体通信端末(40)と通信する通信システムであって、
各前記レイヤ処理部から、いずれかのレイヤ処理部間でのパケットのデータの伝達を制御するフロー制御情報、及び、各前記レイヤ処理部がプロトコル処理する量又はプロトコル処理可能な量を示すデータ量を、時間経過に応じて取得する情報取得部(11)と、
各前記レイヤ処理部から取得された前記フロー制御情報及び前記データ量の時間経過に対する変化を対比可能に表示部に表示させる表示制御部(13)と、
を備えたことを特徴とする通信システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した従来技術においては、プロトコルスタックの各レイヤ間でやり取りされるレイヤ間の情報が取得され、プロトコルスタックのレイヤ間の情報に基づいて単位時間当たりのデータ送信におけるスループットをレイヤ間毎に算出している。なお、ここでいうスループットとは、移動体通信端末にデータを送信して、その移動体通信端末から受信確認(ACK(Acknowledge)パケット)があったデータの各レイヤ間での単位時間当たりのデータ量である。
【0006】
上記した従来技術では、移動体通信端末との通信は変復調部(物理レイヤ)を介した無線通信方式で行われており、その無線通信方式におけるデータの処理におけるスループットが算出されており、有線通信方式と無線通信方式とを含む通信ルートにおける各レイヤ処理における障害を監視するものではない。また、上記した従来技術は、例えば、データ送信におけるスループットが減少した場合にどのレイヤにおけるどの処理が原因で減少したのかまではわからない。
【0007】
無線通信方式が例えばLTEである場合、パケットで有線通信方式の有線通信装置と、LTEシステム(無線通信方式における処理機能)と、無線通信方式の移動体通信端末との間のスループットは、有線通信装置とLTEシステムの間のデータ処理状態(処理能力を含む。)、及びLTEシステム内のレイヤ処理をする各部のデータ処理状態(処理能力を含む。)の影響を受ける。例えば、複数のレイヤ処理がシーケンシャルに行われる場合、その中の一つのレイヤ処理をするのに必要なバッファの容量が不足している場合(つまり処理能力が、受けた通信量(スループット)に追いつかない場合)、他のレイヤ処理の能力が十分であっても通信障害が起こりうる。上記した従来技術の構成では、このような通信障害が起きた場所を特定することができず、通信障害の原因を特定するのは困難である。
【0008】
本発明の目的は、有線通信装置と無線の移動体通信端末との間でのデータについて複数のプロトコル処理をする過程での各処理状態を示す定量的情報の時間経過に応じた変化を比較可能に表示することで、障害の原因をサーチすることを支援する障害監視技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、この請求項1に記載の発明は、パケット通信装置(30)と有線でパケットのデータを授受し、該パケットのデータに対して有線通信方式における処理を含むプロトコル処理及び移動体通信の基地局と同様の無線通信方式における複数の種類のプロトコル処理を行う複数のレイヤ処理部(2、3、4、5、6)を有し、移動体通信端末(40)と通信する通信装置における障害を監視する通信障害監視装置であって、各前記レイヤ処理部から、いずれかのレイヤ処理部間でのパケットのデータの伝達を制御するフロー制御情報、及び、各前記レイヤ処理部がプロトコル処理する量又はプロトコル処理可能な量を示すデータ量を、時間経過に応じて取得する情報取得部(11)と、各前記レイヤ処理部から取得された前記フロー制御情報及び前記データ量の時間経過に対する変化を対比可能に表示部に表示させる表示制御部(13)とを備えたことを特徴とする通信障害監視装置である。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の通信障害監視装置であって、有線通信方式におけるプロトコル処理を行うレイヤ処理部は、前記有線通信方式と前記無線通信方式との接続を整合させる処理を行うゲートウェイ(2)であって、前記情報取得部(11)は、該ゲートウェイから、前記有線通信方式によるパケットのデータの伝達を制御するフロー制御情報、並びに、前記データ量として、該ゲートウェイの通信量、該ゲートウェイが隣の無線通信方式におけるレイヤ処理部へ該レイヤ処理部に確認なしに送れるデータの量、及び該ゲートウェイが有するバッファ量を取得することを特徴とする通信障害監視装置である。
また、請求項3に記載の発明は、パケット通信装置(30)と有線でパケットのデータを授受し、該パケットのデータに対して有線通信方式における処理を含むプロトコル処理及び移動体通信の基地局と同様の無線通信方式における複数の種類のプロトコル処理を行う複数のレイヤ処理部(2、3、4、5、6)を有し、移動体通信端末(40)と通信する通信装置における障害を監視する通信障害監視方法であって、各前記レイヤ処理部から、いずれかのレイヤ処理部間でのパケットのデータの伝達を制御するフロー制御情報、及び、各前記レイヤ処理部がプロトコル処理する量又はプロトコル処理可能な量を示すデータ量を、時間経過に応じて取得する情報取得段階と、各前記レイヤ処理部から取得された前記フロー制御情報及び前記データ量の時間経過に対する変化を対比可能に表示部に表示させる表示制御段階とを備えたことを特徴とする通信障害監視方法である。
また、請求項4に記載の発明は、パケット通信装置(30)と有線でパケットのデータを授受し、該パケットのデータに対して有線通信方式における処理を含むプロトコル処理及び移動体通信の基地局と同様の無線通信方式における複数の種類のプロトコル処理を行う複数のレイヤ処理部(2、3、4、5、6)を有し、移動体通信端末(40)と通信する通信システムであって、各前記レイヤ処理部から、いずれかのレイヤ処理部間でのパケットのデータの伝達を制御するフロー制御情報、及び、各前記レイヤ処理部がプロトコル処理する量又はプロトコル処理可能な量を示すデータ量を、時間経過に応じて取得する情報取得部(11)と、各前記レイヤ処理部から取得された前記フロー制御情報及び前記データ量の時間経過に対する変化を対比可能に表示部に表示させる表示制御部(13)とを備えたことを特徴とする通信システムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る通信障害監視装置は、有線通信方式のパケット通信装置と無線通信方式の移動体通信端末との間でプロトコル処理をする各レイヤ処理部から、レイヤ処理部間でのフロー制御情報、及び、各レイヤ処理部がプロトコル処理状態を示す、或いは処理能力を示すデータ量を、時間経過に応じて取得して、各レイヤ処理部間で対比可能に表示する構成であるので、通信障害の原因がいつ、どこにあって、何が原因しているのかをサーチしやすい。例えば、あるレイヤ処理部間でパケットのデータの伝達を否定するフロー制御があったとき、そのときの他のレイヤ処理部における通信量や処理能力としてのバッファ量の変化と対比することで、通信障害の原因が突き止めやすくなる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について
図1を参照しながら説明する。
図1に示す通信試験システムは、基地局模擬装置でもある試験装置20と通信障害監視装置10とで構成された、有線で所定の通信方式のパケット通信装置でもある有線通信端末30と試験対象である無線通信方式の移動体通信端末40との間にあって通信しながら試験する。ここでは、例として、有線通信方式は、プロトコルとしてTCP/IP(Transmission Control Protocol;TCP/Internet Protocol;IP)を用いたEthernet(登録商標)であり、有線通信端末30(以下、PC30と言うことがある。)はコンピュータであり、無線通信方式はLTE通信システムである。なお、有線通信端末30は請求項1のパケット通信装置に対応するものである。また、
図1においては、無線通信方式における各プロトコル処理を行う各レイヤは、LTE通信システムにおけるレイヤ処理を記載している。
【0013】
試験装置20は、制御部1が、予め記憶しているシナリオに基づいて、模擬の基地局としてPC30と移動体通信端末40との間でパケット通信を行わせることで、移動体通信端末の動作状態を試験する。
図1は、その動作状態を試験するときの、通信過程で生じる通信障害を監視するための機能構成を示す図である。試験装置20は、図示していないが、変復調等の物理処理を行うPHY(Physical layer)6を介してRF帯の測定や復調したベースバンド帯での解析・測定等が可能である。また、試験装置20は、図示していないが、通信時における動作状態を調査するために、通信時におけるログ情報の取得することもできる。
【0014】
制御部1は、予め記憶しているシナリオに基づいて、PC30と移動体通信端末40との間における各レイヤにおけるプロトコル処理を行う通信レイヤ処理部21に対して、予め記憶しているシナリオに基づいたプロトコル処理を実行させる。また、制御部1は、タイマーで生成した時刻情報(タイムスタンプ)を通信レイヤ処理部21へ送る。
【0015】
通信レイヤ処理部21は、例えば、PC30からパケットデータ(以下、「データ」と呼ぶ。)を受けて各種プロトコル処理をして移動体通信端末40へ送り、データを受けた移動体通信端末40の応答を受けて各種プロトコル処理をして、PC30へ返す。通信はPC30と移動体通信端末40の間で往復するが、上りと下りとでは、処理が同じなので、以下の説明は、PC30から移動体通信端末40への通信(下り)について説明する。また、以下の説明で上位、下位とはデータの流れる元となる側(PC30側)を上位、流れる方向側(移動体通信端末40側)を下位として説明する。
【0016】
通信レイヤ処理部21は、プロトコル処理を行うレイヤ処理部として、ゲートウェイ2、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)3、RLC(Radio Link Control)4、MAC(Medium Access Control)5及びPHY6のレイヤ(階層)の処理部を有する。各レイヤ処理部は、所定のデータ量(通信量)のデータを一時的にメモリ(バッファ)に蓄えつつ、自己の機能に係るプロトコルの処理を実行する。そのため、各レイヤ処理部には、時間経過に応じてその動作状態、或いは処理可能な能力を検知する管理部を有する。この管理部は、検知した情報(例えば、検知したバッファ量)を上位のレイヤ処理部の管理部へ通知する。管理部を含む各レイヤ処理部は、ソフトウェアおよびそれを実行するコンピュータおよびメモリ等で構成される。
【0017】
また、レイヤ処理部の中には、プロトコル処理中に使用可能なバッファ容量の増加・減少に伴ってデータ量を調整するために、データの流れ(フロー)を調整するフロー制御機能(例えば、データの流れを停止する機能)を有するものがある。
【0018】
例えば、フロー制御は、例えば、下位のレイヤ処理部からの通知により、下位レイヤ処理部におけるバッファ量が適切な量を確保できていないために一旦、送信(或いは受信)するデータ量(パケット数)を減らしたり(或いは送信、受信を停止して調整)、バッファ量を確保できるようになった時に送信(受信)するデータの量を増やしたり(或いは送信、受信の開始)する制御のことをいう。
【0019】
[ゲートウェイ2]
ゲートウェイ(GW)2は、Ethernet(イーサネット)側とLTE通信システム側との間の異なるプロトコル同士の相互接続(コネクションの確立)を行うレイヤ処理部であり、双方の整合を図り通信を確立する機能を有する。また、ゲートウェイ2は、上記したフロー制御機能(TCPフロー制御機能(Ethernetフロー制御機能))を有する。
【0020】
さらに、ゲートウェイ2の管理部は、スループット算出機能と、フロー制御有無検出機能、TCP受信バッファ量測定機能、TCPウインドウサイズ測定機能を有している。なお、さらにTCP再送数測定機能を有していてもよい。
スループット算出機能は、ゲートウェイ2にて扱う移動体通信端末40側への単位時間当たりの通信量を算出する。
【0021】
フロー制御有無検出機能は、ゲートウェイ2におけるフロー制御の有無を検出する機能である。そして、フロー制御は、例えば、フロー制御が働いていない場合は“0(ローレベル信号)”を出力し、例えば送信・受信を停止させているようなフロー制御が働いている場合には“1(ハイレベル信号)”を出力するように制御している。
TCPバッファ量測定機能は、ゲートウェイ2自身が使えるバッファ量を検知して、TCPバッファ量として出力する機能である。
【0022】
TCPウインドウサイズ測定機能は、送り先(この場合、データを送る移動体通信端末側の次段のレイヤ処理部以降の各部)の確認応答を待たずに送ることのできるデータ量をウインドウサイズとして検出する。ウインドウサイズは、そのサイズまでのデータ量を送ったとしてもオーバーフローしない範囲を示すもので、処理の能力の大きさに関係するが、処理速度に比例するものではない。なお、TCPウインドウサイズとTCPバッファサイズは相関関係にあるので、実質的に同じ傾向を示す。TCP再送数測定機能は、ゲートウェイ2で発生している再送パケットの数(再送回数)を測定する。
【0023】
次に、ゲートウェイ2以外の各LTEプロトコル群を構成するPDCP3、RLC4、MAC5及びPHY6の各レイヤ処理部について説明する。これらの各レイヤ処理部は、制御部1からの指示により、上位レイヤから下位レイヤまでのプロトコル群が互いに連携動作して移動体通信端末40との間の通信手順を定義し、通信を行う。
【0024】
PDCP3は、IPパケットヘッダの圧縮・解凍・暗号化を行う機能を有している。そして自己認識用のヘッダをIPパケットに付けて移動体通信端末側に送り、そのレスポンスとして、ACKパケットが返ってこなかった場合にデータ(パケット)を再送する機能も有している。
また、PDCP3の管理部は、フロー制御有無検出機能とバッファ量測定機能とを有している。フロー制御有無検出機能は、PDCP3がPDCP3より上位に対するフロー制御の有無を検出する。バッファ量測定機能はPDCP3で扱えるバッファ量を測定する。
【0025】
RLC4は、データを無線で送るのに適した長さのパケットに分割したり、くっつけたりして適切なサイズにする機能、データの再送制御、データの誤り検出、データの重複検出、パケットの順序整列を行う機能を有している。
ここで、RLC4における管理部は、PDCP3と同様のフロー制御有無検出機能とバッファ量測定機能の他に、RLC再送数測定機能を有している。RLC再送数測定機能は、RLC4で発生している再送パケットの数(再送回数)を測定する。ここで、RLC4で発生している再送パケットとは、RLC4と移動体通信端末40との間で消失したパケットをRLC4のバッファから再送されるパケットを言う。
【0026】
MAC5は、無線資源を効率よく使うための制御を行うとともに、RLC4、PDCP3の上位層とPHY6の下位層間におけるデータ変換を実施している。すなわち、MAC5は、無線リソース割当て、物理チャネルとトランスポートチャネル間のマッピング等を行う機能を有している。
ここで、MAC5における管理部は、RLC4と同様に、MAC5で発生している再送信号の数を測定するMAC再送数測定機能を有する。
【0027】
PHY6は、移動体通信端末40との間で送受信されるデータを、無線区間を通過できるように変調、さらには復調する機能を有する。すなわち、PHY6は、MAC5からのスケジューリング指示により、最適な変調・復調方式や符号化・復号方式、アンテナ多重処理を行う機能を有している。
【0028】
情報収集部12は、ゲートウェイ2の管理部から出力された通信量(スループット情報)、フロー制御の有無情報、バッファ量、及びTCPウインドウサイズを取得する。また、PDCP3の管理部から出力される、フロー制御の有無情報及びバッファ量情報を取得する。また、RLC4の管理部から出力されるフロー制御の有無情報、バッファ量情、及びパケット再送数を取得する。さらに、MAC5の管理部から出力されるパケット再送数を取得する。なお、ゲートウェイ2の管理部からTCP再送数を取得するようにしてもよい。
【0029】
情報収集部12は、情報取得部11で、各レイヤ処理部から取得された各情報を受け、データの流れる順(データがプロトコル処理される順)に、かつ情報の種類毎に、情報に付加されたタイムスタンプに基づいて時系列に並べて記憶する。
【0030】
表示制御部13は、情報収集部12に記憶されている各情報の時間経過に応じた変化を、相互に対比可能に表示部14に表示させる。例えば、PC30から移動体通信端末40にデータが伝送(送信)される場合においては、取得されたデータに付されたタイムスタンプに基づいて時系列に並べると、ゲートウェイ2からの情報、PDCP3からの情報、RLC4からの情報、MAC5からの情報の順で、かつ各情報の種類ごとに時間経過に対する情報の変化を波形表示する。
【0031】
表示例を
図2に示す。表示画面の縦軸方向の上から順には、ゲートウェイ2から取得された、通信量(スループット情報)に基づいて生成されたEthernet帯域(通信速度)(
図2の(a)参照)、フロー制御の有無情報(ハイレベル又はローレベルで
図2の(b)に表示)、TCPウインドウ(Window)サイズ(
図2の(c)参照)、TCPバッファ量(
図2の(d)参照)の各変化を横軸を時間経過とする座標上に表示する。
また、その下に、ゲートウェイ2の場合と同様に、上から順にPDCP3から取得された、フロー制御の有無情報(
図2の(e)参照)が横軸を時間軸とする座標に表示される。
また、その下に、RLC4から取得される、フロー制御の有無情報(
図2の(f)参照)、バッファ量(
図2のグラフ(g)参照)、パケット再送数(
図2の(h)参照)の順に各変化が横軸を時間軸とする座標に表示される。
さらに、その下にMAC5から取得された、パケット再送数が表示される(
図2の(i)参照)。なお、さらにゲートウェイ2から取得されたTCP再送数を表示するようにしてもよい。
【0032】
例えば
図2の表示例からすると、最初に「フロー停止」の障害アラームを出したのは
図2の(e)からPDCP3である。次に、僅かに時間遅れて、ゲートウェイ2が
図2の(b)のように「フロー停止」の障害アラームを立てている。一方、
図2の(a)から、障害アラームが発生した時期には、帯域(処理速度)が落ちていることがわかる。ここで、PDCP3でフロー制御が発生した時に下位レイヤのRLCバッファ量は正常である。さらに、RLCフロー制御は発生していない。以上より、PDCP3のフロー制御に何らかの問題があることが推測できる。
【0033】
上記のような表示を参照することによって、レイヤ処理順に、時間経過に応じて、各情報を対比観察できるので、レイヤ処理部間における通信障害の原因が見つけやすくなる。
【0034】
図2のような表示から、次のイ)、ロ)に記載するような事項を確認することによって、通信障害の原因調査を支援できる。
イ)PC30と移動体通信端末40との間の内、有線通信(TCP/IP)に問題が発生したか否かの確認については、以下の事項を表示部14の表示画面を参照して判断することにより行うことができる。
(1)ゲートウェイ2におけるEthernetのフロー制御は適切に働いているか?
(2)TCPレイヤ(ゲートウェイ2)のウインドウサイズは適切か?
(3)TCPレイヤ(ゲートウェイ2)のバッファ量が適切か?
(4)移動体通信端末40からのレスポンス応答(
図2に不図示)は迅速か?
例えば、レスポンスが遅いほどウインドウサイズを減少させてしまう。
【0035】
ロ)通信レイヤ処理部21内の各レイヤ処理に問題が発生したか否かの確認については、以下の事項を、表示部14の表示画面を参照して判断することで行うことができる。
(1)ゲートウェイ2がPC30に対して適切なフロー制御要求を発信しているか?
(2)PDCP3からゲートウェイ2へのフロー制御が適切に働いているか?
(3)RLC4からPDCP3へのフロー制御が適切に働いているか?
(4)RLC4におけるバッファ量が適切か?
(5)RLC4で発生している再送数は適切か?
(6)MAC5で発生している再送数は適切か?
【0036】
以上説明したように、各レイヤ処理部間の処理内容が対比可能に表示されるので、通信障害の原因の時期、場所、原因についての調査がしやすくなる。
【解決手段】通信障害監視装置は、パケット通信装置と移動体通信との間の有線と無線に係る複数の種類のプロトコル処理を行う各レイヤ処理部から処理状況又は処理能力を示す情報を時間経過とともに取得し、各情報の時間経過に対する変化を、対比可能に表示することを特徴とする。