(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1防振手段よりもばね下質量側において前記左右一対の第1支持ブラケットの双方に接続して内側のタイヤ同士の間に位置し、前記走行用モータを支持する第2支持ブラケットを備えることを特徴とする請求項1に記載の転圧ローラ。
第2防振手段を介して車体に取り付けられて内側のタイヤ同士の間に位置し、前記走行用モータを支持する第2支持ブラケットを備えることを特徴とする請求項1に記載の転圧ローラ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の技術は、4つのタイヤの内で外側のタイヤとこれに隣接する内側のタイヤとの間にタイヤ支持部材を左右一対として配置し、この一対のタイヤ支持部材間に起振装置を掛け渡した構造である。しかしながら、この構造では、内側中央の2つのタイヤには振動が効率良く伝達されるが、外側の2つのタイヤには振動が伝わりにくい。そのため、4つのタイヤの振動にばらつきが生じやすいという問題がある。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するために創作されたものであり、サイドオーバーハングを無しにできるか或いは小さくすることができ、また、各タイヤに均一な振動を加えることができる転圧ローラを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、前輪または後輪が、車幅方向に同軸に並設された4つのタイヤから構成される転圧ローラにおいて、
左右一対の振動用モータと、前記各振動用モータにより振動を発生する
左右一対の起振装置と、外側のタイヤとこれに隣接する内側のタイヤとを同期して走行駆動しつつ、前記起振装置の振動を前記外側のタイヤと前記内側のタイヤに伝達する左右一対の走行駆動軸と、前記各走行駆動軸をそれぞれ駆動する左右一対の走行用モータと、第1防振手段を介して車体に取り付けられて前記外側のタイヤと前記内側のタイヤとの間に位置し、軸受を介して前記走行駆動軸を支持する左右一対の第1支持ブラケットと、を備え、前記
左右一対の起振装置は、その振動源が前記
左右一対の走行駆動軸の内部に
それぞれ配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、次のような効果を奏する。
・振動源がそれぞれ、右側2つのタイヤを駆動する走行駆動軸の内部と、左側2つのタイヤを駆動する走行駆動軸の内部とに配置されることとなるので、右側2つのタイヤ間において振動のばらつきが低減され、左側2つのタイヤ間においても振動のばらつきが低減される。したがって、4つのタイヤ全てに効率良く振動を伝達することができる。
・右側2つのタイヤと左側2つのタイヤとを互いに差動回転駆動させることができる。
【0009】
また、本発明は、前記第1防振手段よりもばね下質量側において前記左右一対の第1支持ブラケットの双方に接続して内側のタイヤ同士の間に位置し、前記走行用モータを支持する第2支持ブラケットを備えることを特徴とする。
【0010】
この第2支持ブラケットは、第1防振手段よりもばね下質量側で第1支持ブラケットに接続する構成であることから、走行用モータにばね上荷重を加えることなく、走行用モータの駆動回転反力を受け止める機能を担う。
本発明によれば、次のような効果を奏する。
・内側のタイヤ同士の間に第2支持ブラケットを備えることで、サイドオーバーハングを無しにできるか或いは小さくできる。
・第2支持ブラケットは、左右一対の第1支持ブラケットの双方に接続する構成であることから、次のような効果を奏する。もし仮に第1支持ブラケットを挟んで位置する2つのタイヤの質量バランスがとれており、振動源による振動が実質的に2つのタイヤの中央位置に加わっているならば、起振装置の振動が両タイヤに伝達されると両タイヤは略同じ動きで正常に振動することとなる。しかしながら実際は、第1支持ブラケットを挟んで位置する2つのタイヤ間には、走行駆動軸、起振装置、走行用モータ、振動用モータ等のレイアウト構造の設計上、車幅方向に質量バランスの違いが生じてしまうことがある。この場合、起振装置の振動が両タイヤに伝達されると、2つのタイヤが互いに車体前後方向の水平軸回りの異常な揺動を伴って振動する。この問題に対し、第2支持ブラケットを左右一対の第1支持ブラケットの双方に接続させることで、前記した車体前後方向の水平軸回りのタイヤの異常な揺動を伴う振動を確実に抑制することとした。
【0011】
また、本発明は、第2防振手段を介して車体に取り付けられて内側のタイヤ同士の間に位置し、前記走行用モータを支持する第2支持ブラケットを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、次のような効果を奏する。
・内側のタイヤ同士の間に第2支持ブラケットを備えることで、サイドオーバーハングを無しにできるか或いは小さくできる。
・第2防振手段を介して車体に取り付けた第2支持ブラケットによる簡単な構造により、走行用モータの駆動回転反力を受け止め、前記車体前後方向の水平軸回りのタイヤの異常な揺動を伴う振動を抑制できる。
【0013】
また、本発明は、車体に取り付けられ、前記外側のタイヤよりも車幅方向外側に位置する第3支持ブラケットを備え、前記振動用モータは前記第3支持ブラケットに支持されていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、振動用モータの駆動回転反力を受ける第3支持ブラケットの若干の出っ張りによるサイドオーバーハングは伴うが、走行用モータとして特殊な構造の高価な中空構造のモータを使用せずに済むため、経済的な転圧ローラとなる。
【0015】
また、本発明は、前記振動用モータは前記第2支持ブラケットに支持され、前記走行用モータは貫通孔を有した中空構造のモータからなり、前記貫通孔を介して前記振動用モータと前記振動源とが軸部材により連結されていることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、走行用モータとして中空構造のモータを使用することで、サイドオーバーハングを無しにすることができる。
【0017】
また、本発明は、前輪または後輪が、車幅方向に同軸に並設された4つのタイヤから構成される転圧ローラにおいて、振動用モータにより振動を発生する起振装置と、外側のタイヤとこれに隣接する内側のタイヤとを同期して走行駆動しつつ、前記起振装置の振動を前記外側のタイヤと前記内側のタイヤに伝達する左右一対の走行駆動軸と、前記各走行駆動軸をそれぞれ駆動する左右一対の走行用モータと、第1防振手段を介して車体に取り付けられて前記外側のタイヤと前記内側のタイヤとの間に位置し、軸受を介して前記走行駆動軸を支持する左右一対の第1支持ブラケットと、前記第1防振手段よりもばね下質量側において前記左右一対の第1支持ブラケットの双方に接続して内側のタイヤ同士の間に位置し、前記走行用モータを支持する第2支持ブラケットと、を備え、前記起振装置は、その起振機ケースがタイヤの上方において前記一対の第1支持ブラケット間に掛け渡されるように取り付けられ、前記第2支持ブラケットが前記起振機ケースに取り付けられていることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、次のような効果を奏する。
・外側のタイヤよりも外方に振動用モータの支持ブラケットを配置する必要がないので、サイドオーバーハングを無しにすることができる。
・第2支持ブラケットが、起振機ケースを介して、第1防振手段よりもばね下質量側において左右一対の第1支持ブラケットの双方に接続することとなるので、右側2つのタイヤ間における質量バランスの違いや、偏心錘位置の設計誤差、製造誤差等により、右側2つのタイヤが互いに車体前後方向の水平軸回りの異常な揺動を伴って振動することを確実に抑制できる。左側2つのタイヤについても同様である。
・右側2つのタイヤと左側2つのタイヤとを互いに差動回転駆動させることができる。
・走行用モータとして特殊な構造の高価な中空構造のモータを使用せずに済み、また、起振装置および振動用モータが1つで済む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、サイドオーバーハングを無しにできるか或いは小さくすることができ、また、被転圧面に対するタイヤの振動締固め機能の低下を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を振動タイヤローラに適用した形態について説明する。
図1において、振動タイヤローラRは、後方寄りに運転席(図示せず)が配置された車体1を備え、前輪および後輪としてそれぞれ車幅方向に同軸に並設された複数(本実施形態では前輪3本、後輪4本)のタイヤTを備えている。前輪および後輪の各タイヤTは車幅方向に等間隔、又はそれに近い状態で配されている。以下では、4本のタイヤTを有する後輪側に適用した
5つの実施形態について説明するが、前輪が4本のタイヤを有している場合には前輪側にも本発明は適用可能である。なお、4本のタイヤTには、一方の外側のタイヤから順にT1,T2,T3,T4の符号を付す。
【0022】
「第1実施形態」
図2を参照して第1実施形態を説明する。振動タイヤローラRは、振動用モータ2により振動を発生する起振装置3と、外側のタイヤT1,T4とこれに隣接する内側のタイヤT2(T1に隣接するタイヤ),T3(T4に隣接するタイヤ)とを同期して走行駆動しつつ、起振装置3の振動を外側のタイヤT1,T4と内側のタイヤT2,T3に伝達する左右一対の走行駆動軸4,4と、各走行駆動軸4をそれぞれ駆動する左右一対の走行用モータ5,5と、第1防振手段(以降、単に防振手段という)6を介して車体1に取り付けられて外側のタイヤT1,T4と内側のタイヤT2,T3との間に位置し、軸受7を介して走行駆動軸4を支持する左右一対の第1支持ブラケット8,8と、防振手段6よりもばね下質量側において左右一対の第1支持ブラケット8,8の双方に接続して内側のタイヤT2,T3同士の間に位置し、走行用モータ5を支持する第2支持ブラケット9とを備えて構成されている。本実施形態は第2支持ブラケット9が左右一対として設けられている。この場合、本発明の「防振手段6よりもばね下質量側において左右一対の第1支持ブラケット8,8の双方に接続して内側のタイヤT2,T3同士の間に位置し、走行用モータ5を支持する第2支持ブラケット9」とは、左右の第2支持ブラケット9のいずれもが、「防振手段6よりもばね下質量側において左右一対の第1支持ブラケット8,8の双方に接続する」という要件を備えていることを意味する。
タイヤT1およびタイヤT2周りの構造とタイヤT3およびタイヤT4周りの構造とは左右対称であり、以下ではタイヤT1およびタイヤT2周りの構造について詳細に説明する。
なお、「ばね上質量」とは、防振手段6よりも車体1側の振動タイヤローラRの質量を意味し、「ばね下質量」とは、防振手段6よりもタイヤT側の振動タイヤローラRの質量を意味している。
【0023】
車体1には、鉛直板状のブラケット10がタイヤT1とタイヤT2との間に位置して車両前後方向に沿うように垂下固定されている。ブラケット10は、
図3に示すように横長矩形状を呈しており、その下辺部中央は後述する軸受ホルダ12と干渉しないように円弧凹状に形成されている。ブラケット10のタイヤT2に対向する板面側には、防振手段6を構成する複数(図面では5個)の防振ゴム11が取り付けられている。5個の防振ゴム11は横長矩形状のブラケット10の板面に対して概ねその四隅および中央に配されている。第1支持ブラケット8はこの複数の防振ゴム11を介してブラケット10に取り付けられる。防振ゴム11は略円柱形状を呈しており、ボルトによりブラケット10および第1支持ブラケット8に取り付けられる。第1支持ブラケット8は、車両前後方向に沿う鉛直板状の部材であって、
図3に示すように、その上部はブラケット10と略同じ大きさの横長矩形状を呈していて、防振ゴム11を挟んで、側面視してブラケット10とほぼ重なるように対向配置されている。第1支持ブラケット8の下部は略半円形状を呈しており、その略半円形状部の中心には
図2に示すように軸受ホルダ12を通すための貫通孔8Aが形成されている。
【0024】
軸受ホルダ12は、タイヤ軸と同軸状に配され、両端が開口形成された円筒部12Aと、円筒部12Aの外周に一体に突設されたフランジ部12Bと、円筒部12Aの両開口部にボルト13により取り付けられ、走行駆動軸4を通すための貫通孔が形成された蓋部12C,12Cとを備えて構成されている。軸受ホルダ12は、円筒部12Aが第1支持ブラケット8の貫通孔8A内を通った姿勢で、フランジ部12Bにてボルト14およびナット15により第1支持ブラケット8に締結固定される。円筒部12Aの内周面には一対の軸受7,7の各外輪が内嵌される。
【0025】
起振装置3は、起振機ケース16と、起振機ケース16の内部に配置される振動源17とを備えて構成されている。本実施形態は、起振機ケース16が走行駆動軸4を構成する形態、つまり振動源17が走行駆動軸4の内部に配置された形態である。起振機ケース16はタイヤ軸と同軸状に配され、両端が開口形成された円筒形状の部材であり、軸受7,7の各内輪に内嵌されることで、軸受7を介し第1支持ブラケット8に回転自在に支持される。起振機ケース16の両端の開口部の内でタイヤT1寄りの開口部には径内方向に向けてフランジ部16Aが溶接等により取り付けられていると共に、タイヤT2寄りの開口部には径外方向および径内方向に向けてフランジ部16Bが溶接等により取り付けられている。
【0026】
タイヤT1のディスクホイールDW1は、そのタイヤ幅中心よりもタイヤT2寄りに位置し、タイヤT2のディスクホイールDW2は、そのタイヤ幅中心よりもタイヤT1寄りに位置している。起振機ケース16は、フランジ部16Aにおいては、ディスクホイールDW1のディスク部にボルト18により締結固定されたハブ19に、ボルト20により締結固定され、フランジ部16Bにおいては、ディスクホイールDW2のディスク部にボルト21により締結固定される。これにより、タイヤT1とタイヤT2とは起振機ケース16を介して一体に同期回転する。
【0027】
振動源17は、起振軸22と偏心錘23とを備えて構成される。起振軸22はタイヤ軸と同軸に配され、一端がテーパーローラベアリング24を介してハブ19に支承され、他端寄りがテーパーローラベアリング25を介してフランジ部16Bに支承されている。起振軸22は振動用モータ2の双方向の回転により、仮に一方向の回転方向を正転とすると、正転または逆転するように構成されている。ハブ19には、起振軸22の一端およびテーパーローラベアリング24を覆うためのエンドカバー26がボルト27により取り付けられる。起振軸22の他端側は後記するように振動用モータ2に接続されている。
【0028】
偏心錘23は、例えば可変振幅可能な偏心錘である。起振軸22は正逆回転が可能であり、この起振軸22に一対の固定偏心錘23Aが固設されるとともに、この一対の固定偏心錘23A間において可動偏心錘23Bが起振軸22に対して回転可能に軸装される。固定偏心錘23A,23A間には可動偏心錘23Bに当接して可動偏心錘23Bの回転を規制するストッパ23Cが固設されている。起振軸22が正方向に回転するとストッパ23Cが可動偏心錘23Bの一方の端部側を押圧しながら回転し、この状態では固定偏心錘23Aと可動偏心錘23Bの偏位の方向が一致して振動力が合成されるように作用するので大きな振動力となる。また偏心モーメントも大きくなるので高い振幅の振動となる。起振軸22が逆方向に回転するとストッパ23Cが可動偏心錘23Bの他方の端部側を押圧しながら回転し、この状態では固定偏心錘23Aと可動偏心錘23Bの偏位の方向が逆となり、振動力が互いに打ち消されるように作用するので小さな振動力となり、低い振幅の振動となる
【0029】
第1支持ブラケット8のタイヤT2に対向する板面側の上部には水平状の支持板28が突設されている。この支持板28には、タイヤT2の上方において車幅方向に水平状に延設される連結板(連結部)29の外端がボルト30により締結固定される。連結板29には第2支持ブラケット9が取り付けられる。つまり、本実施形態においては、右側の第2支持ブラケット9は、連結板29を介して、防振手段6よりもばね下質量側において左右一対の第1支持ブラケット8,8の双方に接続することとなる。同様に、左側の第2支持ブラケット9も、連結板29を介して、防振手段6よりもばね下質量側において左右一対の第1支持ブラケット8,8の双方に接続することとなる。第2支持ブラケット9は、連結板29の下面にボルト31により締結固定される水平板状の固定部9Aと、固定部9Aに垂下固定されてタイヤT2,T3間に位置し、車両前後方向に沿う鉛直で縦長矩形状(
図4参照)の基板部9Bと、基板部9BのタイヤT2に対向する板面側にスペーサ部9Dを介して取り付けられてタイヤT2の内部空間に位置し、車両前後方向に沿う鉛直板状のモータ取付部9Cとを備えて構成されている。
【0030】
モータ取付部9Cには走行用モータ5および振動用モータ2が取り付けられる。走行用モータ5および振動用モータ2はたとえば油圧モータからなる。走行用モータ5は、貫通孔32を有した中空の構造からなるモータである。走行用モータ5は、その貫通孔32がタイヤ軸と同軸となるようにタイヤT2の内部空間に配置されて、その固定部5Aがモータ取付部9Cの一面側にあてがわれて、ボルト33により締結固定される。そして、出力部のフランジ部34がボルト35によりディスクホイールDW2を通して起振機ケース16のフランジ部16Bに締結固定される。
【0031】
一方、振動用モータ2は、モータ取付部9Cの他面側にあてがわれて、ボルト36により締結固定される。第2支持ブラケット9の基板部9Bには振動用モータ2を通すための貫通孔9Eが形成されている。また、第2支持ブラケット9のモータ取付部9Cには振動用モータ2の出力軸を通すための貫通孔9Fが形成されている。起振軸22の他端は、走行用モータ5の貫通孔32内に挿通させたスプラインスリーブ37を介して、振動用モータ2の出力軸に一体回転可能となるように連結されている。
【0032】
タイヤT1およびタイヤT2周りの構造は以上の通りであり、前記したようにタイヤT3およびタイヤT4周りの構造はこれと左右対称に配されている。そして、タイヤT1,T2間に配される第1支持ブラケット8と、タイヤT3,T4間に配される第1支持ブラケット8とが、防振手段6,6よりもばね下質量側において連結板29(連結部)を介して互いに接続されるとともに、各第2支持ブラケット9が連結板29に取り付けられている。これにより、左右の第1支持ブラケット8および左右の第2支持ブラケット9の全てが防振手段6,6よりもばね下質量側において一体に接続されることとなる。
【0033】
タイヤT1,T2側とタイヤT3,T4側とを互いに独立に回転可能とする、つまり差動回転駆動させるための走行用モータ5に関する概略油圧回路を
図14に示す。後輪側における左右一対の走行用モータ5および前輪側における左右一対の走行用モータ5は、車体に搭載されたエンジンEに連結された油圧ポンプPに対して並列に接続されている。油圧ポンプPは閉回路における圧油の流れ方向を切り換える機能を有したポンプからなり、圧油の流れをU1方向或いはU2方向に切り換えることで各走行用モータ5の回転方向を変えて振動タイヤローラRを前進或いは後進させる。
【0034】
油圧ポンプPの一方のポートPaに接続する流路111には、分岐部112を介して後輪のタイヤT1,T2側を駆動する走行用モータ
5のポートP1と、後輪のタイヤT3,T4側を駆動する走行用モータ
5のポートP3と、さらに分岐部113を介して前輪の右側のタイヤTを駆動する走行用モータ5のポートP5および前輪の左側のタイヤTを駆動する走行用モータ5のポートP7と、が接続している。油圧ポンプPの他方のポートPbに接続する流路114には、分岐部115を介して後輪のタイヤT1,T2側を駆動する走行用モータ
5のポートP2と、後輪のタイヤT3,T4側を駆動する走行用モータ
5のポートP4と、さらに分岐部116を介して前輪の右側のタイヤTを駆動する走行用モータ5のポートP6および前輪の左側のタイヤTを駆動する走行用モータ5のポートP8と、が接続している。なお、前輪の中央のタイヤTに関して
図14では従動輪としているが、前輪の右側或いは左側のどちらかのタイヤTと同期回転するように連結してもよいし、別途の走行用モータ5により駆動するようにしてもよい。
【0035】
以上のように、後輪側における左右一対の走行用モータ5および前輪側における左右一対の走行用モータ5が油圧ポンプPに対して並列に接続されているので、たとえば振動タイヤローラRの操舵に伴って後輪のタイヤT1,T2側とT3,T4側との間で、
または、前輪の左右のタイヤT間で回転差が生じても、その回転差に見合った圧油量が各走行用モータ5に供給され、各タイヤTが差動して回転する。
【0036】
「作用」
左右の走行用モータ5,5が駆動すると、出力部のフランジ部34とボルト35によって連結した起振機ケース16(走行駆動軸4)が、軸受7を介して第1支持ブラケット8に支承されつつ回転する。これにより、一方の起振機ケース16を介してタイヤT1とタイヤT2とが一体に走行回転するとともに、他方の起振機ケース16を介してタイヤT3とタイヤT4とが一体に走行回転する。第1支持ブラケット8は、ばね上質量側からの荷重をタイヤ側に伝達する機能を担う。
【0037】
また、左右の振動用モータ2が駆動すると、軸部材37を介して起振軸22が正方向または逆方向に回転し、偏心錘23の偏心作用により起振軸22に振動が発生する。その振動力はテーパーローラベアリング24,25,起振機ケース16を通してタイヤT1〜T4に伝達される。これにより、防振手段6よりもばね下質量側においてタイヤT1〜T4が振動する。
【0038】
ここでタイヤT1,T2の走行駆動軸4はタイヤT1,T2間に位置する第1支持ブラケット8に支持され、タイヤT3,T4の走行駆動軸4はタイヤT3,T4間に位置する第1支持ブラケット8に支持されているものの、それぞれの走行用モータ5(および本実施形態では振動用モータ2も)はタイヤT2,T3間に位置する第2支持ブラケット9に支持されている。第2支持ブラケット9には、走行用モータ5にばね上質量側の荷重は加わらず、走行用モータ5の駆動回転反力を受ける機能を担う。この構造では、例えば、仮に右側の第2支持ブラケット9が右側の1つの第1支持ブラケット8のみに接続していた場合には、走行用モータ5が略片持ち状に支持されることとなるので、タイヤT1側とタイヤT2側の質量バランスの違いや、偏心錘位置の設計誤差、製造誤差等により、起振装置3の振動がタイヤT1,T2に伝達されると、タイヤT1,T2が互いに車体前後方向の水平軸回りの異常な揺動を伴って振動しやすい。タイヤT3,T4についても同様である。
【0039】
この問題に対して本実施形態では、右側の第2支持ブラケット9は、連結板29を介して、防振手段6よりもばね下質量側において左右一対の第1支持ブラケット8,8の双方に接続している。同様に、左側の第2支持ブラケット9も、連結板29を介して、防振手段6よりもばね下質量側において左右一対の第1支持ブラケット8,8の双方に接続している。これにより、各走行用モータ5を支持する第2支持ブラケット9が、第1支持ブラケット8の実質的な剛性を高め、前記異常な揺動を伴う振動を抑制することができる。
【0040】
また、起振装置3の振動源17を走行駆動軸4の内部に配置することで、2つのタイヤT1,T2からなるタイヤアッシィに近い位置より振動を加えて、両タイヤに効率良く振動を伝達できる。2つのタイヤT3,T4からなるタイヤアッシィに対しても同様に効率良く振動を伝達できる。
また、右側2つのタイヤT1,T2と左側2つのタイヤT3,T4とを互いに差動回転駆動させることができる。
【0041】
さらに、振動用モータ2を第2支持ブラケット9に支持させ、走行用モータ5を貫通孔32を有した中空構造のモータとし、貫通孔32を介して振動用モータ2と振動源17とを軸部材37により連結する構造とすれば、特許文献2のように外側のタイヤよりも外方に振動用モータの支持ブラケットを配置する必要がない。したがって、サイドオーバーハングが無くなり、外側のタイヤT1,T4を構造物の際ぎりぎりまで寄せて転圧することができる。
また、縁石とか壁の際の転圧を行う際には、路面の隅々まで転圧できるように、運転者は、その際ぎりぎりをねらって作業を行いがちであり、場合によってはタイヤ側面を壁等に押し付けながらその作業を行うため、最外側のタイヤ側面が傷みやすく、タイヤの交換頻度が多い。本実施形態の場合、その最外側のタイヤの取付けおよび取外しを妨げるサイドプレートや駆動モータ類等がなく、メンテナンス性に優れる。
【0042】
「第2実施形態」
図5〜
図7を参照して第2実施形態を説明する。
図5はタイヤ周りの平面図、
図6、
図7はそれぞれ
図5におけるC−C断面図、D−D断面図である。第1実施形態では連結板29をタイヤTの上方に配したのに対し、第2実施形態では連結板29をタイヤTの前方および後方に配している。その他の構成要素の配置については第1実施形態と同じであり、同一の要素については同一の符号を付してその説明は省略する。
【0043】
第1支持ブラケット8は車両前後方向に沿う鉛直板状で、その前後端がタイヤTよりも前後に位置する横長矩形状の部材である。第1支持ブラケット8は、その四隅に配された4つの防振ゴム11を介してブラケット10に取り付けられている。第1支持ブラケット8の車幅方向内側板面の前後端には支持板41が溶接等により取り付けられている。左右の第1支持ブラケット8は、タイヤT2,T3の前方において左右の支持板41に掛け渡した連結板(連結部)29により接続されるとともに、タイヤT2,T3の後方においても左右の支持板41に掛け渡した連結板(連結部)29により接続される。連結板29は板面が鉛直に配されて車幅方向に延びる部材である。連結板29はボルト42により支持板41に締結固定される。第1支持ブラケット8は、ばね上質量側からの荷重をタイヤ側に伝達する機能を担う。
【0044】
一対の第2支持ブラケット9は、タイヤT2,T3間において、前後の連結板29にわたって掛け渡される。第2支持ブラケット9の前後端には支持板43が形成されており、この支持板43が連結板29にボルト44により締結固定される。これにより、右側の第2支持ブラケット9は、前後の連結板29を介して、防振手段6よりもばね下質量側において左右一対の第1支持ブラケット8,8の双方に接続することとなる。同様に、左側の第2支持ブラケット9も、前後の連結板29を介して、防振手段6よりもばね下質量側において左右一対の第1支持ブラケット8,8の双方に接続することとなる。第2支持ブラケット9には、走行用モータ5にばね上質量側の荷重は加わらず、走行用モータ5の駆動回転反力を受ける機能を担う。
【0045】
この第2実施形態によっても、右側の第2支持ブラケット9が、連結板29を介して、防振手段6よりもばね下質量側において左右一対の第1支持ブラケット8,8の双方に接続しているので、タイヤT1側とタイヤT2側の質量バランスの違いや、偏心錘位置の設計誤差、製造誤差等により、起振装置3の振動がタイヤT1,T2に伝達されたときに、タイヤT1,T2が互いに車体前後方向の水平軸回りの異常な揺動を伴って振動することを抑制できる。同様に、左側の第2支持ブラケット9が、連結板29を介して、防振手段6よりもばね下質量側において左右一対の第1支持ブラケット8,8の双方に接続しているので、タイヤT3側とタイヤT4側の質量バランスの違いや、偏心錘位置の設計誤差、製造誤差等により、起振装置3の振動がタイヤT3,T4に伝達されたときに、タイヤT3,T4が互いに車体前後方向の水平軸回りの異常な揺動を伴って振動することを抑制できる。
この第2実施形態では、第2支持ブラケット9はその前後端が前後の連結板29に接続され連結板29の板幅により、第1実施形態に比して前記車体前後方向の水平軸回りに関するタイヤアッシィ全体を支える第1支持ブラケット8の実質的な剛性が一層高まり、前記異常な揺動を伴う振動を効果的に抑制できる。
【0046】
また、第1実施形態と同様、起振装置3の振動源17を走行駆動軸4の内部に配置することで、2つのタイヤT1,T2からなるタイヤアッシィに近い位置より振動を加えて、両タイヤに効率良く振動を伝達できる。2つのタイヤT3,T4からなるタイヤアッシィに対しても同様に効率良く振動を伝達できる。
【0047】
さらに、第1実施形態と同様、振動用モータ2を第2支持ブラケット9に支持させ、走行用モータ5を貫通孔32を有した中空構造のモータとし、貫通孔32を介して振動用モータ2と振動源17とを軸部材37により連結する構造とすることで、特許文献2のように外側のタイヤよりも外方に振動用モータの支持ブラケットを配置する必要がない。したがって、サイドオーバーハングが無くなり、外側のタイヤT1,T4を構造物の際ぎりぎりまで寄せて転圧することができる。
また、第1実施形態と同様、タイヤ側面を壁等に押し付けながら転圧作業をする結果、最外側のタイヤ側面が傷んでタイヤの交換頻度が多い場合でも、最外側のタイヤの取付けおよび取外しを妨げるサイドプレートや駆動モータ類等がないため、メンテナンス性に優れる。
【0048】
「第3実施形態」
図8〜
図10を参照して第3実施形態を説明する。
図8はタイヤ周りの後面図、
図9、
図10はそれぞれ
図8におけるE−E断面図、F矢視図である。第1実施形態および第2実施形態では、起振装置3の振動源17が走行駆動軸4の内部に配置されていたのに対し、第3実施形態では、起振装置3は、その起振機ケース16がタイヤTの上方において一対の第1支持ブラケット8間に掛け渡されるように取り付けられている。この起振機ケース16は、第2支持ブラケット9を、防振手段6よりもばね下質量側において左右一対の第1支持ブラケット8,8の双方に接続させる連結部としての機能も担っている。なお、第1、第2実施形態と同一の要素については同一の符号を付す。
【0049】
車体1には、鉛直板状のブラケット10がタイヤT1とタイヤT2との間に位置して車両前後方向に沿うように垂下固定されている。ブラケット10のタイヤT2に対向する板面側には、防振手段6を構成する複数(図面では5個)の防振ゴム11を介して第1支持ブラケット8が取り付けられている。第1支持ブラケット8は、車両前後方向に沿う鉛直板状の部材であって、その下部は
図9に示すように略半円形状を呈しており、その略半円形状部の中心には
図8に示すように軸受ホルダ12を通すための貫通孔8Aが形成されている。
【0050】
軸受ホルダ12の構成は第1および第2実施形態のものと同じであり、円筒部12Aが第1支持ブラケット8の貫通孔8A内を通った姿勢で、フランジ部12Bにてボルト14およびナット15により第1支持ブラケット8に締結固定される。円筒部12Aの内周面には一対の軸受7,7の各外輪が内嵌される。走行駆動軸4は両端が開口形成された円筒形状の部材であり、軸受7,7の各内輪に内嵌されることで、軸受7,7を介し第1支持ブラケット8に回転自在に支持される。走行駆動軸4の両端の開口部の内でタイヤT1寄りの開口部にはフランジ部16Aが溶接等により取り付けられ、タイヤT2寄りの開口部にはフランジ部16Bが溶接等により取り付けられている。走行駆動軸4は、フランジ部16Aにおいては、ディスクホイールDW1のディスク部にボルト18により締結固定されたハブ19に、ボルト20により締結固定され、フランジ部16Bにおいては、ディスクホイールDW2のディスク部にボルト21により締結固定される。これにより、タイヤT1とタイヤT2とは走行駆動軸4を介して一体に同期回転する。
【0051】
起振装置3の起振機ケース16は、両端に軸受ホルダ51が取り付けられた円筒形状の部材であって、タイヤT2,T3の上方において左右の第1支持ブラケット8間に掛け渡される。起振機ケース16と干渉しないように車体1の一部は切り欠かれている。起振機ケース16の内部には、各軸受ホルダ51に内嵌したテーパーローラベアリング52により起振軸22が支承されている。起振軸22の一端は、一方の第1支持ブラケット8にボルト53により締結固定した振動用モータ2の出力軸と一体回転可能に連結されている。起振軸22には第1および第2実施形態と同様の偏心錘23が取り付けられている。
【0052】
起振機ケース16の車幅方向中央下部には
図10にも示すように矩形状の支持板54が水平状に固設され、この支持板54に第2支持ブラケット9が取り付けられている。第2支持ブラケット9は、支持板54の下面にボルト55により締結固定される水平板状の固定部9Aと、固定部9Aに垂下固定されてタイヤT2,T3間に位置し、車両前後方向に沿う鉛直で縦長矩形状の基板部9Bと、基板部9Bの両方の板面にスペーサ部9D,9Dを介して取り付けられてタイヤT2の内部空間に位置し、車両前後方向に沿う鉛直板状のモータ取付部9C,9Cとを備えて構成されている。第1および第2実施形態では第2支持ブラケット9が一対設けられていたが、この第3実施形態では第2支持ブラケット9は1つだけ設けられている。他の実施形態においても、寸法配置的に問題がなければ、第2支持ブラケット9は1つに共通化しても構わない。
【0053】
各モータ取付部9Cには走行用モータ5が取り付けられる。走行用モータ5は中空構造ではない一般的なものであり、固定部5Aがボルト56によりモータ取付部9Cに締結固定され、出力部5Bがボルト21によりディスクホイールDW2,DW3の各ディスク部に締結固定される。
【0054】
「作用」
左右の走行用モータ5,5が駆動して出力部5Bが回転すると、一方の走行駆動軸4を介してタイヤT1とタイヤT2とが一体に走行回転するとともに、他方の走行駆動軸4を介してタイヤT3とタイヤT4とが一体に走行回転する。第1支持ブラケット8は、ばね上質量側からの荷重をタイヤ側に伝達する機能を担う。第2支持ブラケット9には、走行用モータ5にばね上質量側の荷重は加わらず、走行用モータ5の駆動回転反力を受ける機能を担う。
【0055】
また、振動用モータ2が駆動すると、起振軸22が、仮に一方向の回転を正転とすると、正転または逆転し、偏心錘23の偏心作用により起振軸22に振動が発生する。その振動力はベアリング52,軸受ホルダ51,第1支持ブラケット8,走行駆動軸4を通してタイヤT1〜T4に伝達される。これにより、防振手段6よりもばね下質量側においてタイヤT1〜T4が振動する。
【0056】
この第3実施形態によっても、第2支持ブラケット9が、起振機ケース16を介して、防振手段6よりもばね下質量側において左右一対の第1支持ブラケット8,8の双方に接続することとなるので、タイヤT1側とタイヤT2側の質量バランスの違いや、偏心錘位置の設計誤差、製造誤差等により、起振装置3の振動がタイヤT1,T2に伝達されたときに、タイヤT1,T2が互いに車体前後方向の水平軸回りの異常な揺動を伴って振動することを抑制できる。タイヤT3,T4についても同様である。
【0057】
また、第1および第2実施形態では起振装置3および振動用モータ2を左右一対に設ける構成であるのに対し、本実施形態では起振装置3および振動用モータ2を1つとしてタイヤTの上方に設ける構造とした。これにより、第1および第2実施形態のように、走行用モータ5として、起振装置3と振動用モータ2とを接続するために高価な中空モータを使用しなくて済む。また、起振装置3および振動用モータ2が1つで済む。
【0058】
さらに、特許文献2のように外側のタイヤよりも外方に振動用モータの支持ブラケットを配置する必要がないので、サイドオーバーハングが無くなり、外側のタイヤT1,T4を構造物の際ぎりぎりまで寄せて転圧することができる。
また、第1実施形態と同様、タイヤ側面を壁等に押し付けながら転圧作業をする結果、最外側のタイヤ側面が傷んでタイヤの交換頻度が多い場合でも、最外側のタイヤの取付けおよび取外しを妨げるサイドプレートや駆動モータ類等がないため、メンテナンス性に優れる。
【0059】
「第4実施形態」
図11〜
図13を参照して第4実施形態を説明する。
図11はタイヤ周りの平面図、
図12、
図13はそれぞれ
図11におけるG矢視図、H−H断面図である。本実施形態は、車体1に取り付けられ、外側のタイヤT1,T4よりも車幅方向外側に位置する第3支持ブラケット61を備え、振動用モータ2が第3支持ブラケット61に支持されていることを主な特徴とする。なお、第1〜第3実施形態と同一の要素については同一の符号を付し、重複する一部の構造についてはその説明を省略する。
【0060】
第1支持ブラケット8、第2支持ブラケット9および連結板29の構成は第2実施形態と略同じである。すなわち、第1支持ブラケット8は車両前後方向に沿う鉛直板状で、その前後端がタイヤTよりも前後に位置する横長矩形状の部材である。第1支持ブラケット8は、その四隅に配された4つの防振ゴム11を介してブラケット10に取り付けられている。第1支持ブラケット8の車幅方向内側板面の前後端には支持板41が溶接等により取り付けられている。左右の第1支持ブラケット8は、タイヤT2,T3の前方において左右の支持板41に掛け渡した連結板(連結部)29により接続されるとともに、タイヤT2,T3の後方においても左右の支持板41に掛け渡した連結板(連結部)29により接続される。そして、一対の第2支持ブラケット9が、タイヤT2,T3間において、前後の連結板29にわたって掛け渡される。これにより、右側の第2支持ブラケット9は、前後の連結板29を介して、防振手段6よりもばね下質量側において左右一対の第1支持ブラケット8,8の双方に接続することとなる。同様に、左側の第2支持ブラケット9も、前後の連結板29を介して、防振手段6よりもばね下質量側において左右一対の第1支持ブラケット8,8の双方に接続することとなる。
【0061】
各第2支持ブラケット9のモータ取付部9Cには走行用モータ5が取り付けられる。走行用モータ5は中空構造ではない一般的なものであり、固定部5Aがボルト56によりモータ取付部9Cに締結固定され、出力部5Bがボルト35によりディスクホイールDW2,DW3の各ディスク部に締結固定される。
【0062】
タイヤT1,T4のディスクホイールDW1,DW4の各ディスク部に取り付けられているハブ19の胴部の外周には軸受62を介して軸受ケース63が取り付けられている。ハブ19はボルト20により起振機ケース16のフランジ部16Aに締結固定されている。振動用モータ2は、タイヤT1,T4の内部に配置されており、取付座64を介して軸受ケース63に取り付けられている。振動用モータ2の出力軸はカップリング65を介して起振軸22に接続している。
【0063】
軸受ケース63の外周上部にはフランジ板66(
図13)が固設されている。第3支持ブラケット61は、タイヤT1,T4の外方において図示しない車体1の側面から板面を車両前後方向に沿わせて垂下し、下端がタイヤT1,T4内に突出するように水平状に延設された第1板部61Aと、第1板部61Aの下部に車幅方向に沿って形成される補強用の第2板部61B,61Bと、タイヤT1,T4内において車両前後方向に沿って形成される第3板部61Cとを備えて構成される。第1板部61Aと第3板部61Cとは一体に成形されている。そして、第3板部61Cと前記軸受ケース63のフランジ板66とが防振ゴム67(
図13)を介して接続されている。つまり、振動用モータ2は、軸受ケース63および防振ゴム67を介して第3支持ブラケット61に支持されることとなる。防振ゴム67は、起振軸22で発生した振動が第3支持ブラケット61に伝播しないように、ラバー材質により分離する機能を担う。
【0064】
「作用」
左右の走行用モータ5,5が駆動して出力部5Bが回転すると、一方の走行駆動軸4である起振機ケース16を介してタイヤT1とタイヤT2とが一体に走行回転するとともに、他方の走行駆動軸4である起振機ケース16を介してタイヤT3とタイヤT4とが一体に走行回転する。第1支持ブラケット8は、ばね上質量側からの荷重をタイヤ側に伝達する機能を担う。第2支持ブラケット9には、走行用モータ5にばね上質量側の荷重は加わらず、走行用モータ5の駆動回転反力を受ける機能を担う。
【0065】
また、振動用モータ2が駆動すると、起振軸22が、仮に一方向の回転を正転とすると、正転または逆転し、偏心錘23の偏心作用により起振軸22に振動が発生し、タイヤT1〜T4に伝達される。これにより、防振手段6よりもばね下質量側においてタイヤT1〜T4が振動する。
【0066】
この第4実施形態によっても、右側の第2支持ブラケット9が、連結板29を介して、防振手段6よりもばね下質量側において左右一対の第1支持ブラケット8,8の双方に接続しているので、タイヤT1側とタイヤT2側の質量バランスの違いや、偏心錘位置の設計誤差、製造誤差等により、起振装置3の振動がタイヤT1,T2に伝達されたときに、タイヤT1,T2が互いに車体前後方向の水平軸回りの異常な揺動を伴って振動することを抑制できる。同様に、左側の第2支持ブラケット9が、連結板29を介して、防振手段6よりもばね下質量側において左右一対の第1支持ブラケット8,8の双方に接続しているので、タイヤT3側とタイヤT4側の質量バランスの違いや、偏心錘位置の設計誤差、製造誤差等により、起振装置3の振動がタイヤT3,T4に伝達されたときに、タイヤT3,T4が互いに車体前後方向の水平軸回りの異常な揺動を伴って振動することを抑制できる。
この第4実施形態では、第2支持ブラケット9はその前後端が前後の連結板29に接続され連結板29の板幅により、第1実施形態に比して前記車体前後方向の水平軸回りに関するタイヤアッシィ全体を支える第1支持ブラケット8の実質的な剛性が一層高まり、前記異常な揺動を効果的に抑制できる。
【0067】
また、第3支持ブラケット61は、主に振動用モータ2の本体ボディを回らないように固定する部材であるので、ばね上質量側の荷重を受ける第1支持ブラケット8と比較すると、薄い部材でかまわない。したがって、タイヤTの外側面からの突出寸法であるサイドオーバーハングSOH(
図13)を最小限に抑えることが可能である。また、タイヤTの外側面の位置における第3支持ブラケット61の高さ寸法であるカーブクリアランスCC(
図13)もタイヤ中心よりも上方に位置することも可能となる。これにより、外側のタイヤT1,T4を構造物の際に極力ぎりぎりまで寄せて転圧することができる。
【0068】
以上、本発明の好適な実施形態を説明した。本発明は、前輪、後輪が全てタイヤからなる振動タイヤローラ以外にも、前輪、後輪のどちらか一方がタイヤで他方が鉄輪からなるコンバインド型の転圧ローラ等にも適用可能である。
また、走行駆動軸4と第1支持ブラケット8との間に介設される軸受7としては、例えば旋回ベアリングを用いることもできる。
【0069】
また、第1,第2,第4実施形態においては、左右の第1支持ブラケット8に掛け渡した連結板29を介して、第3実施形態においては、左右の第1支持ブラケット8に掛け渡した起振機ケース16を介して、第2支持ブラケット9を、防振手段6よりもばね下質量側において左右一対の第1支持ブラケット8,8の双方に接続させる構造としたが、本発明はこの構造に限定されない。例えば、右側の第2支持ブラケット9を右側の第1支持ブラケット8のみに取り付けるとともに、左側の第2支持ブラケット9を左側の第1支持ブラケット8のみに取り付けたうえで、右側の第2支持ブラケット9と左側の第2支持ブラケット9とを直接に連結板で連結する構造にしてもよい。つまり、右側の第2支持ブラケット9は、右側の第1支持ブラケットに接続するとともに、連結板および左側の第2支持ブラケット9を介して左側の第1支持ブラケットにも接続することとなる。同様に、左側の第2支持ブラケット9は、左側の第1支持ブラケットに接続するとともに、連結板および右側の第2支持ブラケット9を介して右側の第1支持ブラケットにも接続することとなる。この構造によっても、第1支持ブラケット8を挟む2つのタイヤTが互いに車体前後方向の水平軸回りの異常な揺動を伴って振動することを抑制できる。
また、第1,第2,第4実施形態においては、第2支持ブラケット9を左右一対として設けているが、寸法配置的に問題がなければ、第3実施形態のように第2支持ブラケット9を1つに共通化しても構わない。
【0070】
「第5実施形態」
図15を参照して第5実施形態を説明する。第1〜第4実施形態においてはいずれも、第2支持ブラケット9が、第1防振手段6よりもばね下質量側において左右一対の第1支持ブラケット8の双方に接続して内側のタイヤT2,T3同士の間に位置する構造であるのに対し、第5実施形態においては、第2支持ブラケット9が、第1防振手段6とは別の部材である第2防振手段71を介して車体1に取り付けられて内側のタイヤT2,T3同士の間に位置する構造である。第2支持ブラケット9の取付構造以外については、第1実施形態および第2実施形態と同じであるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0071】
タイヤT2,T3の各上方において、車体1には、鉛直板状のブラケット72が車両前後方向に沿うように垂下固定されている。なお、各ブラケット72は、タイヤT2,T3と干渉しないように、例えばその下辺中央が切り欠き形成されている。各ブラケット72には、第2防振手段71を構成する複数の防振ゴム11が取り付けられている。第2防振手段71を構成する防振ゴム11は、第1防振手段
6を構成する防振ゴム11と同じものを使用できる。左右一対の第2支持ブラケット9は、第2防振手段71の防振ゴム11を介して、それぞれブラケット72に取り付けられている。なお、左右一対の第2支持ブラケット9は、図示しない連結部材により互いに連結された構造としてもよい。
【0072】
この第5実施形態によれば、第2防振手段71を介して車体1に取り付けた第2支持ブラケット9によって、走行用モータ5の駆動回転反力を簡単な構造で受け止め、前記車体前後方向の水平軸回りのタイヤの異常な揺動を伴う振動を抑制できる。
【0073】
また、第1、第2、第4実施形態と同様に、起振装置3の振動源17を走行駆動軸4の内部に配置したことで、2つのタイヤT1,T2からなるタイヤアッシィに近い位置より振動を加えて、両タイヤに効率良く振動を伝達できる。2つのタイヤT3,T4からなるタイヤアッシィに対しても同様に効率良く振動を伝達できる。
【0074】
さらに、第1、第2実施形態と同様に、振動用モータ2を第2支持ブラケット9に支持させ、走行用モータ5を貫通孔32を有した中空構造のモータとし、貫通孔32を介して振動用モータ2と振動源17とを軸部材37により連結する構造としたことで、特許文献2のように外側のタイヤよりも外方に振動用モータの支持ブラケットを配置する必要がない。したがって、サイドオーバーハングが無くなり、外側のタイヤT1,T4を構造物の際ぎりぎりまで寄せて転圧することができる。