(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6009211
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】キーボード装置
(51)【国際特許分類】
H01H 13/14 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
H01H13/14 A
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-101878(P2012-101878)
(22)【出願日】2012年4月26日
(65)【公開番号】特開2013-229262(P2013-229262A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2015年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】西野 武志
【審査官】
出野 智之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−054594(JP,A)
【文献】
特開2000−260254(JP,A)
【文献】
特開平09−190735(JP,A)
【文献】
国際公開第2004/114343(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キートップと、
前記キートップと連結されたリンク部材と、
前記キートップの下に位置し、前記リンク部材を支持し、穴が設けられたサポートパネルと、を具備し、
前記キートップは、前記キートップの前記サポートパネルと対向する面から突出し前記リンク部材と連結された連結部を含み、
前記穴は前記リンク部材の一部を収納し、
前記キートップが押下された場合、前記穴は前記連結部を収納することを特徴とするキーボード装置。
【請求項2】
前記リンク部材は、前記サポートパネル側の先端部を含む第1領域、および前記第1領域から前記キートップに向けて延びる第2領域を含み、
前記キートップが押下されていない場合、前記穴は前記第1領域を収納し、
前記キートップが押下された場合、前記穴は前記第1領域及び前記第2領域を収納することを特徴とする請求項1記載のキーボード装置。
【請求項3】
前記第1領域の厚さは前記第2領域の厚さと同じであることを特徴とする請求項2記載のキーボード装置。
【請求項4】
前記リンク部材の前記穴に収納される一部は、前記サポートパネルの前記キートップと対向する面とは反対側の面から突出しないことを特徴とする請求項1から3いずれか一項記載のキーボード装置。
【請求項5】
前記連結部は、前記サポートパネルの前記キートップと対向する面とは反対側の面から突出しないことを特徴とする請求項1記載のキーボード装置。
【請求項6】
前記リンク部材の一部が収納される穴と、前記連結部が収納される穴とは分離されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載のキーボード装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキーボード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キーボード装置は、パーソナルコンピュータなどの電子機器の入力装置として広く利用されている。例えば特許文献1にはシート上に、歯車機構を有する一対の部材を設けた技術が記載されている。特許文献2にはX字状に交差した部材の回動によりキートップの昇降を行う技術が記載されている。近年、例えばノート型パーソナルコンピュータ(ノートパソコン)などのように、持ち運び可能な電子機器が普及している。持ち運びに便利なように、電子機器には軽量化、及び小型化が要求されている。これに伴い、キーボード装置に薄型化が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−173389号公報
【特許文献1】特開2001−155580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キーボード装置の部品を薄くすることにより、キーボード装置全体の薄型化を図ることがある。しかしこの場合、キーボード装置の動作が損なわれる恐れがある。本発明は、上記課題に鑑み、薄型化と良好な動作との両立が可能なキーボード装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、キートップと、前記キートップと連結されたリンク部材と、前記キートップの下に位置し、
前記リンク部材を支持し、穴が設けられたサポートパネルと、を具備
し、前記キートップは、前記キートップの前記サポートパネルと対向する面から突出し前記リンク部材と連結された連結部を含み、前記穴は前記リンク部材の一部を収納し、前記キートップが押下された場合、前記穴は前記連結部を収納するキーボード装置である。
【0009】
上記構成において、前記リンク部材は、
前記サポートパネル側の先端部を含む第1領域、および前記第1領域から前記キートップに向けて延びる第2領域を含み、
前記キートップが押下されていない場合、前記穴は前記第1領域を収納し、前記キートップが押下された場合、
前記穴は前記第1領域及び前記第2領域を収納する構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記第1領域の厚さは前記第2領域の厚さと同じである構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記リンク部材の前記第1の穴に収納される一部は、前記サポートパネルの前記キートップと対向する面とは反対側の面から突出しない構成とすることができる。
【0013】
上記構成において、前記連結部は、前記サポートパネルの前記キートップと対向する面とは反対側の面から突出しない構成とすることができる。
また上記構成において、前記リンク部材の一部が収納される穴と、前記連結部が収納される穴とは分離されている構成とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、薄型化と良好な動作との両立が可能なキーボード装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1(a)は比較例に係るキーボード装置を例示する分解者静である。
図1(b)は非押下時におけるキーボード装置を例示する断面図である。
【
図2】
図2は実施例1に係るキーボード装置を例示する分解斜視図である。
【
図3】
図3(a)は非押下時におけるキーボード装置を例示する断面図である。
図3(b)は
図3(a)の矢印Aから見た斜視図である。
図3(c)は
図3(b)の矢印Bから見た裏面図である。
【
図4】
図4(a)は押下時におけるキーボード装置を例示する断面図である。
図4(b)は
図4(a)の矢印Aから見た斜視図である。
図4(c)は
図4(b)の矢印Bから見た裏面図である。
【
図5】
図5は実施例2に係るキーボード装置を例示する分解斜視図である。
【
図6】
図6(a)は非押下時におけるキーボード装置を例示する断面図である。
図6(b)は
図6(a)の矢印Aから見た斜視図である。
図6(c)は
図6(b)の矢印Bから見た裏面図である。
【
図7】
図7(a)は押下時におけるキーボード装置を例示する断面図である。
図7(b)は
図7(a)の矢印Aから見た斜視図である。
図7(c)は
図7(b)の矢印Bから見た裏面図である。
【
図8】
図8はハウジングの形状を変更した例を示す裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず比較例について説明する。
図1(a)は比較例に係るキーボード装置100Rを例示する分解斜視図である。
図1(b)は非押下時におけるキーボード装置100Rを例示する断面図である。なお
図1(b)において、フック10aの一部を透視し、突起12cを図示している。
【0017】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、キーボード装置は、キートップ10、2つのギアリンク12a及び12b(リンク部材)、ハウジング14、メンブレンスイッチ20及びサポートパネル22を含む。メンブレンスイッチ20は、メンブレン16と、メンブレン16上に設けられた作動部材18とを含む。
【0018】
サポートパネル22はキートップ10の下に配置され、メンブレンスイッチ20はキートップ10とサポートパネル22との間に配置される。サポートパネル22の上面はキートップ10と対向する。サポートパネル22には4つの穴22aが設けられている。メンブレン16に設けられた穴16aから、サポートパネル22の上面及び穴22aが露出する。
【0019】
図1(b)に示すように、ギアリンク12a及び12bのサポートパネル22側の先端部12dは、穴16aから露出するサポートパネル22の上面に接触する。ハウジング14は先端部12dの上に配置され、ハウジング14の土台部分14aが穴22aに収納される。ギアリンク12a及び12bの突起12eは、ハウジング14のアーチ部14bの下に配置され、ハウジング14とサポートパネル22とに挟まれる。これにより、ギアリンク12a及び12bはサポートパネル22に固定される。
【0020】
ギアリンク12aの一方(
図1(a)中の奥側)の先端部12dには第1歯12gが設けられ、他方(手前側)の先端部12dには第2歯12hが設けられている。ギアリンク12bには第1歯12g及び第2歯12hが設けられている。ギアリンク12aの第1歯12gとギアリンク12bの第2歯12hとが噛み合い、ギアリンク12aの第2歯12hとギアリンク12bの第1歯12gとが噛み合う。このように、一対のギアリンク12a及び12bは先端部12dにおいて連結されており、連動して動くことができる。
【0021】
アーム部12fは先端部12dからキートップ10に向けて伸びている。キートップ10の下面からはフック10aが突出している。先端部12dとは反対側(キートップ10側)の先端部には突起12cが設けられている。突起12cがフック10aに係合することにより、キートップ10とギアリンク12a、キートップ10とギアリンク12bとはそれぞれ連結される。フック10aのキートップ10の外側に向いた面は開放されている。キートップ10からサポートパネル22までの間において、ギアリンク12aの長さとギアリンク12bの長さとは例えば等しい。
【0022】
図1(b)に示すように、キートップ10が押下されていないとき(非押下時)において、2つのギアリンク12a及び12bはV字状に組みつけられ、キートップ10を支持する。例えばユーザの指などでキートップ10が押下されると(押下時)、キートップ10の下面が作動部材18を押し下げる。これによりメンブレンスイッチ20が操作される。指をキートップ10から離すと、作動部材18の上方向の弾性力によりキートップ10は上に押し上げられる。
図1(b)中に矢印で示すように、キートップ10の押下に伴い、ギアリンク12a及び12bのキートップ10側の領域は左右方向にスライドする。またアーム部12fは下方向に倒れる。このように、ギアリンク12a及び12bは、キートップ10を水平に保ちながら、キートップ10を上下方向に案内する。
【0023】
キーボード装置100Rの厚さは、例えばキートップ10の厚さT1、ストロークL1、距離L2、及びサポートパネル22の厚さT2の合計となる。ストロークL1とは、キートップ10の押し下げられる距離である。距離L2は、サポートパネル22の上面から先端部12dの上面までの距離である。キーボード装置100の動作を良好とするために、ストロークL1はある程度の大きさを維持することが求められる。例えばギアリンク12a及び12bの厚さT3を小さくすることで、先端部12dは薄くなる。これにより距離L2を小さくすることができる。しかし、ギアリンク12a及び12bが薄すぎると、第1歯12g及び第2歯12hの厚さを確保することが難しくなる。この結果、第1歯12g及び第2歯12hを形成することが困難となる。またギアリンク12a及び12bの剛性が低下する。従って、キートップ10を支持し、かつ連動して動作するというギアリンク12a及び12bの機能が損なわれる。このため、キーボード装置100Rの動作が円滑に行われない。
【実施例1】
【0024】
実施例1は先端部12dをサポートパネル22の穴22bに収納する例である。
図2は実施例1に係るキーボード装置100を例示する分解斜視図である。
図3(a)は非押下時におけるキーボード装置100を例示する断面図である。
図3(b)は
図3(a)の矢印Aから見た斜視図である。
図3(c)は
図3(b)の矢印Bから見た裏面図である。
図4(a)は押下時におけるキーボード装置100を例示する断面図である。
図4(b)は
図4(a)の矢印Aから見た斜視図である。
図4(c)は
図4(b)の矢印Bから見た裏面図である。
図3(c)においてギアリンク12a及び12b、土台部分14aに格子斜線を付した。
図4(c)においては上記の箇所に加え、フック10aにも格子斜線を付した。比較例と同じ構成については説明を省略する。
【0025】
図2(a)から
図4(c)に示すように、サポートパネル22には、4つの穴22a、2つの穴22b(第1の穴)、及び4つの穴22c(第2の穴)が設けられている。メンブレン16の穴16aから、穴22a、22b及び22cが露出する。ギアリンク12a及び12b(リンク部材)それぞれの先端部12d(第1領域)は、穴22bのそれぞれに収納されている。
【0026】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、押下時には、先端部12dが穴22bに収納されたまま、アーム部12f(第2領域)は下方向に動き、例えばサポートパネル22の上面に接触する。
図4(c)に示すように、フック10a(連結部)は穴22bに収納される。
【0027】
実施例1によれば、先端部12dが穴22bに収納されるため、サポートパネル22の厚さT2の分だけ、距離L2が小さくなる。この結果、キーボード装置100の薄型化が可能となる。またストロークL1を小さくしなくてよいためキーボード装置100の動作は妨げられない。つまり、薄型化と良好な動作の両立が可能である。
【0028】
図3(a)に示すように、先端部12dの厚さT4はアーム部12fの厚さT5より大きい。従って、先端部12dに第1歯12g及び第2歯12hを形成することができる。またギアリンク12a及び12bの剛性を高く保つことができる。ギアリンク12a及び12bはキートップ10を支持し、かつ連動して動作することができる。このため、キーボード装置100の動作が良好となる。
【0029】
フック10a又は先端部12dがサポートパネル22の裏面(キートップ10と対向する面とは反対側の面)から突出する場合、サポートパネル22の下に配置される筐体(不図示)に突出するフック10a又は先端部12dが接触する。これにより、ギアリンク12a及び12bの可動域が小さくなる。つまりストロークL1が短くなり、キーボード装置100の動作が妨げられる。従って、先端部12d及びフック10aはサポートパネル22の裏面から突出しないことが好ましい。これにより、ストロークL1の短縮が抑制される。例えば、押下時において先端部12dの最下点及びフック10aの下面が、サポートパネル22の裏面と同じ高さに位置すればよい。これにより、薄型化とストロークL1の確保が可能である。
【実施例2】
【0030】
実施例2はアーム部12fを穴22bに収納する例である。
図5は実施例2に係るキーボード装置200を例示する分解斜視図である。
図6(a)は非押下時におけるキーボード装置200を例示する断面図である。
図6(b)は
図6(a)の矢印Aから見た斜視図である。
図6(c)は
図6(b)の矢印Bから見た裏面図である。
図7(a)は押下時におけるキーボード装置200を例示する断面図である。
図7(b)は
図7(a)の矢印Aから見た斜視図である。
図7(c)は
図7(b)の矢印Bから見た裏面図である。
【0031】
ギアリンク12a及び12b、並びにサポートパネル22を除いて、キーボード装置200はキーボード装置100と同じ構成である。
図6(a)に示すように、アーム部12fの厚さT5は先端部12dの厚さT4と同じである。従ってギアリンク12a及び12bの剛性はより高くなり、キーボード装置200の動作が良好になる。実施例2における穴22bは、実施例1における穴22bより大きく、例えば穴22cと一体になっている。
図7(a)から
図7(c)に示すように、穴22bが先端部12d及びアーム部12fを収納することが可能であるため、キーボード装置200の薄型化が可能である。押下時に、先端部12d、アーム部12f及びフック10aの下面がサポートパネル22の裏面と同じ高さに位置することが好ましい。
【0032】
図8はハウジング14の形状を変更した例を示す裏面図である。
図8に示すようにハウジング14の土台部分14aは、例えばサポートパネル22の裏面から突出するピン状でもよい。
【0033】
実施例1及び2においても、比較例と同様にギアリンク12a及び12bのそれぞれ第1歯12g及び第2歯12hの両方を有するとしてもよい。
図3(a)に示したように、ギアリンク12a及び12bは、サポートパネル22側からキートップ10側に向けてギアリンク間の距離が大きくなるようなV字状に設けられるとした。ただし構成は変更可能である。例えばキートップ10側からサポートパネル22側に向けてギアリンク間の距離が大きくなるような逆V字状に設けられてもよい。またキートップ10の上下動に応じて、先端部12dが穴22b内において左右方向にスライドするとしてもよい。先端部12dが穴22bに収納されるとしたが構成はこれに限定されない。ギアリンク12a及び12bの一部が穴22bに収納され、キーボード装置を薄型化できればよい。ギアリンク12a及び12b以外に、例えばパンタグラフ形状のリンク部材を用いてもよい。
【0034】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0035】
10 キートップ
10a フック
12a、12b ギアリンク
12c、12e 突起
12d 先端部
12f アーム部
12g 第1歯
12h 第2歯
14 ハウジング
16 メンブレン
18 作動部材
20 メンブレンスイッチ
22 サポートパネル
22a、22b、22c 穴
100、200 キーボード装置