(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0011】
(水晶デバイス)
本実施形態における水晶デバイスは、
図1〜
図3に示されているように、パッケージ110と、パッケージ110の基板110aに接合された水晶素子120とを含んでいる。パッケージ110は、基板110aの上面と枠体110bの内側面によって囲まれた凹部空間K1が形成されている。
【0012】
基板110aは、矩形状であり、上面で実装された水晶素子120を支持するための支持部材として機能するものである。基板110aは、基板110aの上面に、水晶素子120を接合するための電極パッド111が設けられている。また、基板110aの下面の四隅には、外部接続用電極端子Gが設けられている。
【0013】
基板110aは、例えばアルミナセラミックス又はガラス−セラミックス等のセラミック材料である絶縁層からなる。基板110aは、絶縁層を1層用いたものであっても、絶縁層を複数層積層したものであってもよい。基板110aの表面及び内部には、上面に設けられた電極パッド111と下面の外部接続用電極端子Gとを電気的に接続するための配線パターン及びビア導体が設けられている。
【0014】
枠部110bは、例えば、シールリングを用いている。この場合、枠部110bは、42アロイやコバール等の金属から成り、中心が打ち抜かれた枠状になっている。また、枠部110bは、基板110aの一方の主面の外周を囲繞するように設けられた封止用導体膜113の主面にロウ付けなどにより接合される。
【0015】
封止用導体膜113は、蓋体130と封止部材131を介して接合する際に、封止部材131の濡れ性をよくする役割を果たしている。また、封止用導体膜113は、基板110aの内部に形成されたビア導体(図示せず)及び配線パターン(図示せず)により少なくとも1つの外部接続用電極端子Gに接続されている。少なくとも1つの外部接続用電極端子Gは、外部の実装基板上のグランドと接続されている実装パッドと接続されることにより、グランド端子の役割を果たす。そのため、封止用導体膜113に接合される枠部110bがグランドに接続されることとなり、枠部110bと接合される蓋部材130による凹部空間K1内のシールド性が向上する。封止用導体膜113は、例えばタングステン又はモリブデン等から成る導体パターンの表面にニッケルメッキ及び金メッキを順次、枠部110bの上面を環状に囲む形態で施すことによって、例えば10〜25μmの厚みに形成されている。
【0016】
図1及び
図2、さらに
図3に示すように、凹部空間K1内で露出した基板110aの一方の主面には、基板110aの短辺に沿って、一対の電極パッド111が設けられている。各電極パッド111上には、基板110aの短辺方向に沿って延びる細長状の第一支持部112a及び第二支持部112bが設けられ、第一支持部112a及び第二支持部112bは、電極パッド111から基板110aの長辺側にはみ出るように形成される。第一支持部112a及び第二支持部112bは、基板110aの短辺に沿った同一直線状に設けられている。第一支持部112aは、一対の電極パッド111の一方の上から第二支持部112bが位置する方向と反対の方向に延びて、基板110aの一方の主面にはみ出して形成されている。第二支持部112bは、一対の電極パッド111の他方の上から第一支持部が位置する方向と反対の方向に延びて、基板110aの一方の主面にはみ出して形成される。つまり、第一支持部112a及び第二支持部112bは、それぞれ電極パッド111と基板110aの一方の主面とに跨がるように設けられ、その一端は電極パッド111上に位置し、その他端は電極パッド111から外側の基板110aの長辺側にはみ出した基板110aの一方の主面上に位置する。
【0017】
さらに
図4に示されるように、一対の電極パッド111上に水晶素子120の短辺側端部が固着された状態において、第一支持部112a及び第二支持部112bは、その他端が、平面視して水晶素子120の長辺側端部よりも外側にはみ出して位置する長さに形成される。これにより、電極パッド111上に水晶素子120を搭載する工程において、水晶素子120の搭載位置が基板110aの短辺方向にずれた場合でも、第一支持部112a及び第二支持部112bが電極パッド111より外側の基板110aの長辺側にはみ出るほどの長さを有することで、
図5に示されるように、水晶素子120の長辺側端部が第一支持部112a及び第二支持部112bに当接して支持され、水晶素子120の短辺の上下方向の傾きが抑制され、水晶素子120の長辺側端部が基板110aや蓋部材130に接触するのを防ぐことができる。
【0018】
ここでパッケージ110を平面視したときの一辺の寸法が、1.0〜2.5mmである場合を例にして、電極パッド111、第一支持部112a及び第二支持部112bの大きさを説明する。基板110aの一辺と平行となる電極パッド111の辺の長さは、0.25〜0.40mmとなる。また、基板110aの一辺と交わる辺と平行となる電極パッド111の辺の長さは、0.25〜0.40mmとなる。電極パッド111の上下方向の厚みの長さは、10〜50μmとなる。基板110aの一辺と平行となる第一支持部112a及び第二支持部112bの辺の長さは、0.30〜0.45mmとなる。また、基板110aの一辺と交わる辺と平行となる第一支持部112a及び第二支持部112bの辺の長さは、50〜100μmとなる。第一支持部112a及び第二支持部112bの上下方向の厚みの長さは、7〜25μmとなる。また、第一支持部112aと第二支持部112bとの上下方向の厚みの差は、0〜5μmである。このようにすることによって、水晶素子120の短辺が上下に傾いて搭載されてしまうことをさらに抑制することができる。
【0019】
ここで、パッケージ110の作製方法について説明する。基板110aがアルミナセラミックスから成る場合、まず所定のセラミック材料粉末に適当な有機溶剤等を添加・混合して得た複数のセラミックグリーンシートを準備する。また、セラミックグリーンシートの表面或いはセラミックグリーンシートに打ち抜き等を施して予め穿設しておいた貫通孔内に、従来周知のスクリーン印刷等によって所定の導体ペーストを塗布する。さらに、これらのグリーンシートを積層してプレス成形したものを、高温で焼成する。最後に、導体パターンの所定部位、具体的には、一対の電極パッド111又は外部接続用電極端子Gとなる部位にニッケルメッキ又は金メッキ等を施すことにより作製される。また、導体ペーストは、例えばタングステン、モリブデン、銅、銀又は銀パラジウム等の金属粉末の焼結体等から構成されている。
【0020】
なお、パッケージ110は、平板でも良い。つまり、枠部110bを除く基板110aで構成しても良い。
【0021】
水晶素子120は、
図2及び
図3(a)に示されているように、導電性接着剤140を介して電極パッド111上に接合されている。水晶素子120は、安定した機械振動と圧電効果により、電子装置等の基準信号を発振する役割を果たしている。
【0022】
水晶素子120は、
図2(a)に示されているように、水晶素板121の上面及び下面のそれぞれに励振用電極122、接続用電極123及び引き出し電極124を被着させた構造を有している。励振用電極122は、水晶素板121の上面及び下面のそれぞれに金属を所定のパターンで被着・形成したものである。引き出し電極124は、励振用電極122から水晶素板121の短辺に向かって延出されている。接続用電極123は、引き出し電極124と接続されており、水晶素板121の長辺又は短辺に沿った形状で設けられている。
【0023】
本実施形態においては、電極パッド111と接続されている水晶素子120の一端を基板110aの上面と接続した固定端とし、他端を基板110aの上面と間を空けた自由端とした片保持構造にて水晶素子120が基板110a上に固定されている。
【0024】
水晶素子120の接続用電極123の一方は、第一支持部112aと接触し、水晶素子120の接続用電極123の他方は、第二支持部112bと接触している。このように水晶素子120の接続用電極123を第一支持部112a及び第二支持部112bに接触させることにより、水晶素子120が傾くことを低減することできるため、水晶素子120の先端部及び励振用電極122が基板110aに接触することを低減することができる。
【0025】
水晶素板121の固定端側の外周縁は、平面視して、基板110aの一辺と平行であり、第一支持部112a及び第二支持部112bよりも基板110aの外周縁に近付くように設けられている。このようにすることにより、水晶素子120の実装位置を視覚的によりわかりやすくすることができるので、水晶デバイスの生産性を向上させることが可能となる。また、このようにすることによって、パッケージ110の枠部110bと、水晶素子120の外周縁とが接触することを低減することができ、水晶素子120の欠けを防ぐことが可能となる。
【0026】
ここで、水晶素子120の動作について説明する。水晶素子120は、外部からの交番電圧が接続用電極123から引き出し電極124及び励振用電極122を介して水晶素板121に印加されると、水晶素板121が所定の振動モード及び周波数で励振を起こすようになっている。
【0027】
ここで、水晶素子120の作製方法について説明する。まず、水晶素子120は、人工水晶体から所定のカットアングルで切断し、水晶素板121の外周の厚みを薄くし、水晶素板121の外周部と比べて水晶素板121の中央部が厚くなるように設けるベベル加工を行う。そして、水晶素子120は、水晶素板121の両主面にフォトリソグラフィー技術、蒸着技術又はスパッタリング技術によって、金属膜を被着させることにより、励振用電極122、接続用電極123及び引き出し電極124を形成することにより作製される。
【0028】
水晶素子120の基板110aへの接合方法について説明する。まず、導電性接着剤140は、例えばディスペンサによって、第一支持部112a及び第二支持部112bから電極パッド111上に拡がるようにして塗布される。水晶素子120は、導電性接着剤140上に搬送される。さらに、水晶素子120は、水晶素板121の固定端側の外周縁が、平面視して、基板110aの一辺と平行であり、第一支持部112a及び第二支持部112bよりも基板110aの外周縁に近付くようにして導電性接着剤140上に載置される。そして導電性接着剤140は、加熱硬化させることによって、硬化収縮される。水晶素子120は、導電性接着剤140が硬化収縮する際に、水晶素子120の固定端側が下方向に引っ張られ、第一支持部112a及び第二支持部112bを支点とした梃子の原理が働くことになり、水晶素子120の先端部が浮くようにして、一対の電極パッド111に接合される。
【0029】
蓋部材130は、例えば、鉄、ニッケル又はコバルトの少なくともいずれかを含む合金からなる。このような蓋部材130は、真空状態にある凹部空間K1又は窒素ガスなどが充填された凹部空間K1を気密的に封止するためのものである。具体的には、蓋部材130は、所定雰囲気で、パッケージ110の枠部110b上に載置され、枠部110bの表面の金属と蓋部材130の金属の一部とが溶接されるように所定電流を印加してシーム溶接を行うことにより、枠部110bに接合される。なお、蓋部材130の一方の主面に、凹部を形成したものを用いても良い。
【0030】
導電性接着剤140は、シリコーン樹脂等のバインダーの中に導電フィラーとして導電性粉末が含有されているものであり、導電性粉末としては、アルミニウム、モリブデン、タングステン、白金、パラジウム、銀、チタン、ニッケル又はニッケル鉄のうちのいずれか、或いはこれらの組み合わせを含むものが用いられている。また、バインダーとしては、例えばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂又はビスマレイミド樹脂が用いられる。
【0031】
(水晶素子搭載装置)
水晶素子搭載装置は、
図6に示すように、塗布ノズル231を有する塗布手段230と、吸着ノズル241を有する吸着手段240と、電極パッド111に設けられた第一支持部112a及び第二支持部112bを認識するためのカメラ等を有する認識手段250と、認識手段250から得た画像データによって、第一支持部112a及び第二支持部112bの位置ずれ幅を求め、この位置ずれに対して導電性接着剤DSの塗布位置を補正するために塗布手段230を制御する制御手段270と、を備えている。
【0032】
塗布手段230は、
図6に示すように、第1のガイドレールR1に備えられている。塗布手段230は、塗布ノズル231(
図6参照)と、塗布ノズル配置部232と、可動部233とで構成されている。また、可動部233は、X方向可動部233aと、Y方向可動部233bと、Z方向可動部233cとで構成されている。可動部233を構成するX方向可動部233aと、Y方向可動部233bと、Z方向可動部233cとは、例えば、モータを備えて構成されている。
【0033】
図6に示すように、塗布ノズル231は、塗布ノズル配置部232の先端部に配置されている。また、塗布ノズル231は、X方向可動部233aと、Y方向可動部233bと、Z方向可動部233cとによって、X方向、Y方向、Z方向に動作することができるようになっている。
【0034】
これら塗布手段230は、Z方向に往復して移動可能であり、パッケージ110の電極パッド111に導電性接着剤DSを塗布するときにZ方向に移動する。また、塗布手段230は、隣に配置されているパッケージ110の電極パッド111に導電性接着剤DSを塗布するときにX方向に移動する。
【0035】
吸着手段240は、第1のガイドレールR1に備えられている。吸着手段240は、吸着ノズル241と、吸着ノズル配置部242と、可動部233とで構成されている。
【0036】
図6に示すように、吸着ノズル241は、吸着ノズル配置部242の先端部に配置されている。また、吸着ノズル241は、X方向可動部233aと、Y方向可動部233bと、Z方向可動部233cとによって、X方向、Y方向、Z方向に動作することができるようになっている。
【0037】
また、吸着手段240は、水晶素子配列治具XJに配列されている水晶素子120を吸着し、パッケージ配列治具TJに配列されているパッケージ110の凹部空間K1内に設けられた電極パッド111に搭載するための吸着ノズル241を有する。
【0038】
吸着ノズル241は、吸着手段240のノズル配置部242に並列に配置されている。また、吸着ノズル241は、真空ポンプ(図示せず)と連結しており、真空ポンプ(図示せず)が動作することで、吸着ノズル241に設けられている吸着孔(図示せず)から空気が吸い込まれる。よって、水晶素子配列治具XJに配列されている水晶素子120は、吸着ノズル241に吸着される。
【0039】
これら吸着手段240は、Z方向に往復して移動可能であり、水晶素子配列治具XJから水晶素子120を吸着するとき、及びパッケージ110に搭載するときにZ方向に移動する。また、パッケージ110に移動するとき、及び新たに水晶素子120を吸着するときにX方向に移動する。
【0040】
吸着ノズル241は、水晶素子配列治具XJに配列されている水晶素子120と向かい合うようにして、吸着ノズル配置部242の先端部に配置されている。また、吸着ノズル241は、X方向可動部233aと、Y方向可動部233bと、Z方向可動部233cと、回動部(図示せず)とによって、X方向、Y方向、Z方向、θ方向に動作することができるようになっている。
【0041】
認識手段250は、例えばカメラによって構成され、
図6に示すように、第1のガイドレールR1に備えられている。認識手段250は、パッケージ配列治具TJに配列されているパッケージ110の凹部空間K1側から撮影できるように設けられている。
【0042】
認識手段250は、
図6に示すように、パッケージ110の電極パッド111に設けられている第一支持部112a及び第二支持部112bの状態(特に、第一支持部112a及び第二支持部112bのはみ出し部分の長さd3(
図10参照)の状態)を示す画像データを撮影する役割を果たす。また、認識手段250は、画像データを撮影後、吸着手段240と衝突しないように移動することができる。認識手段250によって撮影された画像データは、記憶手段260に記憶される。
【0043】
記憶部260は、認識手段250のカメラ251から得たパッケージ110の電極パッド111に設けられている第一支持部112a及び第二支持部112bの位置を示す画像データを記憶する役割を果たす。
【0044】
また、台座280の上面には、第2のガイドレールR2が設けられており、支柱PLを介して第1のガイドレールR1が備えられている。台座280は、水晶素子配列治具XJ、パッケージ配列治具TJ及び第2のガイドレールR2を支持する役割を果たす。
【0045】
また、水晶素子配列治具XJは、励振用電極122が形成されている水晶素子120を整列させるための治具である。また、パッケージ配列治具TJは、パッケージ110を整列させるための治具である。
【0046】
このようにすることで、吸着手段240は、水晶素子配列治具XJにX方向に整列された複数の水晶素子120を2つ同時に吸着し、パッケージ110の凹部空間K1に設けられた電極パッド111に搭載する。この電極パッド111には、導電性接着剤DSが付着されている。したがって、吸着手段240は、電極パッド111上の導電性接着剤DSに水晶素子120を載せることになる。これにより、パッケージ110に水晶素子120を搭載することができる。
【0047】
また、制御手段270は、コンピュータにより構成されており、塗布手段230と、吸着手段240と、認識手段250と、記憶部260に接続されている。制御手段270は、水晶素子搭載装置全体の制御を行うものである。つまり、制御手段270は、認識手段250から得た画像データによって、第一支持部112a及び第二支持部112bのはみ出し部分の長辺方向の長さd3の数値データを求め、数値データを基にして、吸着手段240の吸着ノズル241の位置を補正するように制御する役割を果たす。
【0048】
次に本発明の実施形態に係る水晶デバイスの製造方法について
図7〜
図10を用いて説明する。
【0049】
(第一支持部及び第二支持部位置認識工程)
図7(a)に示すように、第一支持部及び第二支持部位置認識工程は、パッケージ110の一方の主面に設けられている2個一対の電極パッド111から枠部110b側の外側にはみ出てパッケージ110の一方の主面上にまで延びて形成されている第一支持部112a及び第二支持部112bの位置を水晶素子搭載装置の認識手段250により認識する工程である。
【0050】
水晶素子搭載装置の認識手段250によって、パッケージ配列治具TJに配列されているパッケージ110の凹部空間K1側から撮影することで、パッケージ110の電極パッド111と、電極パッド111から基板部110aの長辺側にはみ出て形成されている第一支持部112a及び第二支持部112bの位置を撮影する。
【0051】
第一支持部112a及び第二支持部112bは、電極パッド111の中心より水晶素子120の自由端側に、パッケージ110の基板部110aの短辺方向に平行になるように設けられている。また、第一支持部112a及び第二支持部112bは、電極パッド111と同様に、タングステン(W)等に金(Au)メッキ等を施すことにより設けられている。
【0052】
図10に示す第一支持部112a及び第二支持部112bの厚み方向の長さ(高さ)は、例えば5〜30μmであり、長辺方向の長さd2は、例えば300〜400μmであり、第一支持部112a及び第二支持部112bの短辺方向の長さd1は、例えば80〜120μmである。また、
図10に示すパッケージ110の主面に設けられているはみ出し部分の第一支持部112a及び第二支持部112bの長辺方向の長さd3は、例えば80〜150μmである。
【0053】
電極パッド111から外側の基板部110aの長辺側にはみ出して形成される第一支持部112a及び第二支持部112bは、水晶素子搭載装置の認識手段250によって撮影すると、パッケージ110と第一支持部112a及び第二支持部112bとは、同一の素材により設けられておらず、互いの色が異なるため、第一支持部112a及び第二支持部112bの位置を判別することができる。このように撮影することで、画像より、第一支持部112a及び第二支持部112bの中心線Xとパッケージ110の枠部110bの内周側縁部との間隔d4を測定する。
【0054】
また、
図10に示す第一支持部112a及び第二支持部112bの中心線Xとパッケージ110の枠部110bの内周側縁部との間隔d4は、例えば300〜400μmとなっている。
【0055】
(導電性接着剤塗布工程)
図7(b)に示すように、導電性接着剤塗布工程は、認識した第一支持部112a及び第二支持部112bに基づいて第一支持部112a及び第二支持部112bから一定の間隔を設けて導電性接着剤DSを塗布する工程である。
導電性接着剤DSは、塗布ノズル231で電極パッド111の主面に塗布される。塗布ノズル231は、圧力をかけることによって導電性接着剤DSを噴出させ、導電性接着剤DSを塗布することができる。この際、
図9及び
図10に示すように、導電性接着剤DSは、電極パッド111上に、第一支持部112a及び第二支持部112bの電極パッド111の中心に向いた側面の一部にかかるように塗布されている。
【0056】
また、
図9及び
図10に示すように、導電性接着剤DSは、水晶素子120を搭載したときに第一支持部112a及び第二支持部112bの上面の幅方向の半分まで形成されている。つまり、導電性接着剤DSは、水晶素子120を搭載したときに、第一支持部112a及び第二支持部112bを2等分する2等分線Xよりも、パッケージ110の中心側を越えないように形成されている。導電性接着剤DSの塗布径は、例えば、250〜350μmとなっている。
【0057】
(水晶素子搭載工程)
図7(c)に示すように、水晶素子搭載工程は、導電性接着剤DSによって、パッケージ110に水晶素子120を搭載する工程である。
【0058】
パッケージ110の凹部空間K1内の基板部110aには2個一対の電極パッド111が設けられており、電極パッド111上に導電性接着剤DSを塗布し、この電極パッド111に塗布された導電性接着剤DSに水晶素子120の表面に形成した励振用電極122から延出した引き出し電極124を付着させて水晶素子120を搭載する。水晶素子120は、導電性接着剤DSを介して第一支持部112a及び第二支持部112bの上に載置される形態となり、少なくとも第一支持部112a及び第二支持部112bの高さ分の間隔が、基板部110aと水晶素子120との間に形成される。
【0059】
水晶素子120の搭載後、電極パッド111に搭載された水晶素子120を認識手段250で撮影することで、水晶素子120の平面内において、電極パッド111に対して傾いて搭載されているかの確認を行うことができる。すなわち、撮影した画像データから、水晶素子120と、水晶素子120の長辺側端部から外側にはみ出している両側の第一支持部112a及び第二支持部112bの位置を認識し、水晶素子120両側の第一支持部112a及び第二支持部112bの他端の互いに対応する座標位置同士を結ぶ直線(例えば、
図4に示すY−Y線)を設定し、その直線に対する水晶素子120の短辺の傾き(角度)を求める。そして、角度がゼロ(すなわち平行)又は設定された許容角度以内であれば、水晶素子120は正しく搭載されたと確認することができる。許容角度を超えている場合は、水晶素子120が正しく搭載されていないと判断される。
【0060】
(水晶素子固着工程)
図8(a)に示すように、水晶素子固着工程は、導電性接着剤DSを加熱硬化させ、電極パッド111と水晶素子120とを導通固着する水晶素子固着工程である。硬化炉(図示せず)にパッケージ110を収容し、約250℃まで昇温することで、導電性接着剤DSを加熱硬化させる。
【0061】
(蓋部材接合工程)
図8(b)に示すように、蓋部材接合工程は、水晶素子120を気密封止するようにパッケージ110に蓋部材130を接合する工程である。蓋部材130は、例えば、Fe−Ni合金(42アロイ)やFe−Ni−Co合金(コバール)が用いられ、水晶素子120を窒素ガス雰囲気中や真空雰囲気中などで気密封止する際に用いられる。
【0062】
具体的には、蓋部材130は、窒素ガス雰囲気中や真空雰囲気中で、パッケージ110の枠部110b上に載置され、枠部110bの表面の金属と蓋部材130の金属の一部とが溶接されるように、シーム溶接機(図示せず)のローラ電極(図示せず)を蓋部材130に接触させ、ローラ電極に電源を供給しながら、蓋部材130の外側縁部に沿って動かすことで、枠部110bに接合される。
【0063】
本発明の水晶デバイスは、第一支持部112a及び第二支持部112bが、電極パッド111から基板部110aの長辺側にはみ出るように形成され、一対の電極パッド111上に水晶素子120の短辺側端部が固着された状態において、第一支持部112a及び第二支持部112bは、その他端が、平面視して水晶素子120の長辺側端部よりも外側にはみ出して位置する長さに形成される。これにより、電極パッド111上に水晶素子120を搭載する工程において、水晶素子120の搭載位置がずれて搭載角度が傾いた場合でも、第一支持部112a及び第二支持部112bが電極パッド111より基板部110aの長辺側にはみ出ていることで、水晶素子120の長辺側端部が第一支持部112a及び第二支持部112bに当接して支持され、水晶素子120の短辺の傾きが抑制され、水晶素子の長辺側端部が基板や蓋部材に接触するのを防ぐことができる。よって、水晶素子の発振周波数の変動が防止され、生産性を向上させることができる。
【0064】
また、電極パッド111とパッケージ110の一方の主面とに跨るように設けられている第一支持部112a及び第二支持部112bを水晶素子搭載装置200の認識手段250によって撮影すると、パッケージ110と第一支持部112a及び第二支持部112bとは、同一の素材により設けられておらず色が異なるため、第一支持部112a及び第二支持部112bの位置を判別することができる。認識手段250により、第一支持部112a及び第二支持部112bの位置を判別することができるので、第一支持部112a及び第二支持部112bが位置ずれを起こした場合、導電性接着剤DSを第一支持部112a及び第二支持部112bから一定に間隔を設けるようにして塗布することになり、その状態で水晶素子120を搭載し、固着すると、水晶素子120の先端部123が蓋部材130に接触しない。よって、水晶デバイス100の発振周波数が変動してしまうことを低減することができるので生産性を向上させることができる。
【0065】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
【0066】
本発明の水晶デバイスは、水晶振動子で説明していたが、水晶発振器でも構わない。水晶発振器は、パッケージと、水晶素子と、蓋部材と、集積回路素子とで主に構成されている。この水晶発振器は、パッケージの一方の主面に形成されている第1の凹部空間内に、水晶素子が搭載され、パッケージの他方の主面に形成される第2の凹部空間内に集積回路素子が搭載された構造となっている。また、第1の凹部空間は、蓋部材により接合することで気密封止されている。