特許第6009341号(P6009341)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6009341
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/08 20060101AFI20161006BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20161006BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20161006BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20161006BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20161006BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20161006BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20161006BHJP
   H01L 21/76 20060101ALI20161006BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   H01L27/08 331G
   H01L27/04 A
   H01L27/08 102A
   H01L29/78 301D
   H01L29/78 301W
   H01L21/76 M
   H01L29/06 301F
   H01L29/06 301G
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-272859(P2012-272859)
(22)【出願日】2012年12月13日
(65)【公開番号】特開2014-120535(P2014-120535A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年8月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】嘉屋 旨哲
(72)【発明者】
【氏名】中原 寧
【審査官】 小堺 行彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−110691(JP,A)
【文献】 特開2011−040773(JP,A)
【文献】 特開2005−209983(JP,A)
【文献】 特開2005−251903(JP,A)
【文献】 特開2010−147181(JP,A)
【文献】 特開平09−283716(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/08
H01L 21/336
H01L 21/76
H01L 21/822
H01L 21/8234
H01L 27/04
H01L 27/088
H01L 29/06
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に形成され、電源電位が第1電圧である第1回路と、
前記基板に形成され、平面視で一部を除いて前記第1回路を囲んでいる分離領域と、
前記基板に形成され、平面視で前記分離領域の外側に位置し、電源電位が前記第1電圧よりも低い第2電圧である第2回路と、
前記基板に形成され、前記第1回路の周囲のうち前記分離領域が設けられていない部分に位置し、前記第2回路を前記第1回路に接続する接続用トランジスタと、
を備え、
前記分離領域は、
素子分離膜と、
平面視で前記素子分離膜と重なっており、前記第1回路を囲んでおり、かつ前記接続用トランジスタ上にも位置しているフィールドプレート電極と、
を備え、
前記接続用トランジスタのソース及びドレインは、平面視で、前記フィールドプレート電極を介して互いに対向しており、
前記フィールドプレート電極は、前記接続用トランジスタ上に位置する部分を含む第1部分と、それ以外の第2部分とに分断されている半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1回路が形成されている領域の平面形状は矩形であり、
前記接続用トランジスタは、前記領域の一辺に跨って配置されており、
前記第1部分と第2部分の境界は、平面視で前記フィールドプレート電極のうち前記一辺に直交した部分に設けられている半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記第1部分と第2部分の境界は、平面視で前記分離領域と前記接続用トランジスタの間に位置している半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記素子分離膜上に形成された層間絶縁膜を備え、
前記フィールドプレート電極は、
前記素子分離膜上に形成された第1フィールドプレート電極と、
前記層間絶縁膜上に形成された第2フィールドプレート電極と、
を備え、
前記第1フィールドプレート電極及び前記第2フィールドプレート電極は、いずれも前記第1回路を囲んでおり、かつ平面視で少なくとも一部が互いに重なっていない半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、例えば互いに電源電圧が異なる2つの回路を有する半導体装置に適用可能な技術である。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の一つに、電力制御素子の制御信号を生成する制御回路を集積したものがある。このような半導体装置において、電力制御素子の電源電圧は、制御回路の電源電圧よりも高い。このため、電力制御用素子に制御信号を入力するために、制御回路と電力制御素子の間に、第2の制御回路を設けることがある。この第2の制御回路の電源電圧は、一般的に電力制御素子の電源電圧と同じかそれよりも低く、制御回路の電源電圧よりも高い。このため、制御回路の電源電圧とは別に第2の制御回路の電源電圧を生成する必要がある。そして制御回路と第2の制御回路の間は、接続用の素子を介して接続される。
【0003】
このような半導体装置としては、例えば特許文献1,2に記載の半導体装置がある。例えば特許文献1の半導体装置は、制御回路と第2の制御回路とを高耐圧のトランジスタで接続することが記載されている。また特許文献2には、第2の制御回路の周囲を分離領域で囲み、さらにその分離領域の全周を用いて、制御回路と第2の制御回路とを接続するトランジスタを形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−5823号公報
【特許文献2】特開2010−147181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、互いに電源電位に異なる回路間で制御信号を伝達するために、分離領域の一部にのみ、電源電位が異なる2つの回路を接続するトランジスタを設けることを検討した。この場合、フィールドプレート電極のうち平面視でトランジスタと重なる部分が寄生MOSトランジスタのゲートとして機能してしまうことを見出した。この場合、トランジスタのリーク電流が増えてしまう。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態によれば、半導体装置は第1回路、分離領域、第2回路、及び接続用トランジスタを備えている。第1回路の電源電圧は第1電圧であり、第2回路の電源電圧は第1電圧よりも低い第2電圧である。分離領域は、平面視で一部を除いて第1回路を囲んでいる。接続用トランジスタは、第1回路の周囲のうち分離領域が設けられていない部分に位置し、第2回路を第1回路に接続している。分離領域は、素子分離膜と、フィールドプレート電極を有している。フィールドプレート電極は、平面視で素子分離膜と重なっており、第1回路を囲んでおり、かつ接続用トランジスタ上にも位置している。接続用トランジスタのソース及びドレインは、平面視で、フィールドプレート電極を介して互いに対向している。そしてフィールドプレート電極は、接続用トランジスタ上に位置する部分を含む第1部分と、それ以外の第2部分とに分断されている。
【発明の効果】
【0007】
前記一実施の形態によれば、互いに電源電位が異なる第1回路と第2回路とを接続するトランジスタにおいて、リーク電流を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
図2図1に示した半導体装置における信号線の接続関係を示す図である。
図3図1のA−A´断面図である。
図4図1のB−B´断面を示す図である。
図5図1のC−C´断面を示す図である。
図6】接続用トランジスタ内のエピタキシャル層と分離領域内のエピタキシャル層の電位差と、これら2つのエピタキシャル層間を流れる電流量との関係を電気測定した結果を示す図である。
図7】第2の実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
図8図7のC−C´断面を示す図である。
図9】接続用トランジスタ内のエピタキシャル層と分離領域内のエピタキシャル層の電位差と、これら2つのエピタキシャル層間を流れる電流量との関係を電気測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る半導体装置SDの構成を示す平面図である。半導体装置SDは、第1回路HVR、第2回路LVR、分離領域VIU、及び接続用トランジスタLSTを備えている。これらはいずれも同一の基板SUB(本図では省略)に形成されている。第1回路HVRは、電源電位が第1電圧である。分離領域VIUは、平面視で一部を除いて第1回路HVRを囲んでいる。第2回路LVRは、電源電位が第1電圧よりも低い第2電圧であり、平面視で分離領域VIUの外側に位置している。第1回路HVRと第2回路LVRは電源電位が異なっているため、第1回路HVRと第2回路LVRとを電気的に分離する必要がある。本実施形態では、第1回路HVRと第2回路LVRは、分離領域VIUによって電気的に分離される。
【0011】
接続用トランジスタLSTは、第2回路LVRを第1回路HVRに接続している。すなわち接続用トランジスタLSTは、第1回路HVRと第2回路LVRの電源電位の差を吸収する素子である。接続用トランジスタLSTは、第1回路HVRのうち分離領域VIUが設けられていない領域に位置している。
【0012】
半導体装置SDは、外部に接続された電力制御用の素子、例えばプレーナ型の高耐圧MOSトランジスタ、縦型のMOSトランジスタ、バイポーラトランジスタ、又はIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を第1回路HVRから出力される信号によって制御することができる。またこの電力制御用の素子は、例えばモータに電力を供給する。
【0013】
第2回路LVRは、上記した電力制御用の素子を制御するための制御信号を生成している。この制御信号は、接続用トランジスタLST及び第1回路HVRを介して、電力制御用の素子に入力される。
【0014】
分離領域VIUは、素子分離膜EI及びフィールドプレート電極FPEを有している。フィールドプレート電極FPEは、平面視で素子分離膜EIと重なっており、第1回路HVRを囲んでいる。また、フィールドプレート電極FPEの電位はフローティングである。フィールドプレート電極FPEの一部は、接続用トランジスタLST上にも位置している。そして接続用トランジスタLSTのソース(後述する高濃度N型領域SOU)及びドレイン(後述する高濃度N型領域DRN)は、平面視でフィールドプレート電極FPEを介して互いに対向している。そして、フィールドプレート電極FPEは、接続用トランジスタLST上に位置する部分を含む第1部分ARE1と、それ以外の第2部分ARE2とに分断されている。以下、詳細に説明する。
【0015】
本実施形態において、第1回路HVRが形成されている領域の平面形状は略矩形である。接続用トランジスタLSTは、この矩形の一辺(例えば長辺)に跨って配置されている。そしてフィールドプレート電極FPEの第1部分ARE1と第2部分ARE2の境界は、平面視でフィールドプレート電極FPEと直交する接続用トランジスタLSTの一辺に沿った部分に設けられている。
【0016】
また、フィールドプレート電極FPEは、詳細を後述するように、素子分離膜EI上に形成された第1フィールドプレート電極FPE1と、層間絶縁膜INSL上に形成された第2フィールドプレート電極FPE2とを有している。そして、第1フィールドプレート電極FPE1及び第2フィールドプレート電極FPE2は、いずれも第1回路HVRを多重に取り囲んでいる。
【0017】
図2は、図1に示した半導体装置SDにおける信号線の接続関係を示す図である。接続用トランジスタLSTのゲートは、第2回路LVRに接続している。また、接続用トランジスタLSTのソースは接地されており、ドレインは第1回路HVRに接続されている。さらに、接続用トランジスタLSTのドレインは、第2回路LVRの電源配線に接続している。第2回路LVRの電源配線と接続用トランジスタLSTのドレインの間には、抵抗RES及びツェナーダイオードZDが並列に接続されている。この回路は、接続用トランジスタLSTをON/OFFさせることによって、接続用トランジスタLSTのドレイン電圧に、第1回路HVR内の電源電圧に相当する大きさVccを有する振幅を生じさせる。例えば、第2回路LVRと第1回路HVRの間の電位差が800Vで第1回路HVRの電源電圧が30Vのときに、第2回路LVRから接続用トランジスタLSTをON/OFFさせる信号を入力することで、接続用トランジスタLSTのドレイン電圧は830V-800Vの間で上下する。これにより、第2回路LVRの信号を第1回路HVRに伝達が可能となる。
【0018】
図3は、図1のA−A´断面図である。本実施形態において、半導体装置SDは、p型の基板SUBを用いて形成されている。基板SUB上にはn型エピタキシャル層EPが形成されており、エピタキシャル層EP上には層間絶縁膜INSL及び配線層が形成されている。この配線層には、ドレイン配線INC1、ソース配線INC2、ゲート配線INC3、グランド配線INC4、及び第2フィールドプレート電極FPE2が設けられている。
【0019】
エピタキシャル層EPはn型のエピタキシャル層であり、一部が低濃度N型領域LNIRとなっている。そしてエピタキシャル層EPのうち低濃度N型領域LNIRとなる領域は、分離用P型領域PIR1によって囲まれている。分離用P型領域PIR1は、上面がエピタキシャル層EPの表面に達しており、また下面が基板SUBに達している。そして分離用P型領域PIR1の表面の一部には、高濃度P型領域HPIR1が形成されている。高濃度P型領域HPIR1は、コンタクトを介してグランド配線INC4に接続している。
【0020】
また、分離用P型領域PIR1のうち第1回路HVRに面する部分の下部は、埋込N層VNIRによって挟まれている。埋込N層VNIRは、低濃度N型領域LNIRよりも不純物濃度が濃い領域であり、厚さ方向で見た場合に基板SUBの表層からエピタキシャル層EPの下部に渡って形成されている。
【0021】
またエピタキシャル層EPには、接続用トランジスタLSTの一部として、高濃度N型領域DRN、P型領域PIR2、高濃度N型領域SOU、及び高濃度P型領域HPIR1が形成されている。高濃度N型領域DRNは低濃度N型領域LNIRの表層の一部に形成されており、接続用トランジスタLSTのドレインとして機能する。高濃度N型領域SOUはP型領域PIR2の表層の一部に形成されており、接続用トランジスタLSTのソースとして機能する。P型領域PIR2の表層のうち高濃度N型領域SOUと高濃度N型領域DRNの間に位置する領域は、接続用トランジスタLSTのチャネル領域となる。
【0022】
そしてこのチャネル領域の上には、接続用トランジスタLSTのゲート絶縁膜GINS及びゲート電極GE1が形成されている。詳細には、高濃度N型領域DRNとP型領域PIR2の間には、素子分離膜EIが形成されている。そしてゲート絶縁膜GINSは、低濃度N型領域LNIRのうちP型領域PIR2と素子分離膜EIの間の領域と上記したチャネル領域の上部に形成されている。また、ゲート絶縁膜GINSとこの素子分離膜EIのうちP型領域PIR2側の端部は、ゲート電極GE1によって覆われている。
【0023】
また、素子分離膜EIのうち高濃度N型領域DRN側の端部は、電極GE2によって覆われている。電極GE2は、ゲート電極GE1と同一の材料で形成されている。なお、電極GE2は、一部が低濃度N型領域LNIR上に食み出しているが、この食み出している部分の下には、ゲート絶縁膜GINSと同様の絶縁膜が形成されている。
【0024】
また、P型領域PIR2の表層の一部には、高濃度P型領域HPIR2が形成されている。高濃度P型領域HPIR2及び高濃度N型領域SOUは、コンタクトを介してソース配線INC2に接続している。またゲート電極GE1はコンタクトを介してゲート配線INC3に接続しており、高濃度N型領域DRN及び電極GE2は、コンタクトを介してドレイン配線INC1に接続している。
【0025】
そして、高濃度N型領域DRNとP型領域PIR2の間の素子分離膜EI上には、第1フィールドプレート電極FPE1が形成されている。また、層間絶縁膜INSL上のうちこの素子分離膜EI上に位置する部分の上には、第2フィールドプレート電極FPE2が形成されている。なお、第2フィールドプレート電極FPE2は、ゲート配線INC3とドレイン配線INC1の間に配置されている。
【0026】
平面視において、第1フィールドプレート電極FPE1及び第2フィールドプレート電極FPE2は、いずれも、複数、互いに離間して配置されている。ただし平面視において、第1フィールドプレート電極FPE1は第2フィールドプレート電極FPE2の隙間を埋めるように配置されており、第2フィールドプレート電極FPE2は第1フィールドプレート電極FPE1の隙間を埋めるように配置されている。そして第1フィールドプレート電極FPE1及び第2フィールドプレート電極FPE2は、平面視で互いに重なり合っている。このため、平面視では、第1フィールドプレート電極FPE1と第2フィールドプレート電極FPE2の間に隙間はない。このようにすると、フィールドプレート電極FPEによる分離領域VIU両端の電位差の緩衝効果が大きくなる。
【0027】
図4は、図1のB−B´断面を示す図である。分離領域VIUには素子分離膜EIが形成されている。そしてこの素子分離膜EIと平面視で重なるように、第1フィールドプレート電極FPE1及び第2フィールドプレート電極FPE2が形成されている。分離領域VIUに位置する第1フィールドプレート電極FPE1及び第2フィールドプレート電極FPE2は、いずれも、第1フィールドプレート電極FPE1及び第2フィールドプレート電極FPE2のうち接続用トランジスタLSTと重なっている部分と同様の構成を有している。
【0028】
なお、分離領域VIUに位置する第1フィールドプレート電極FPE1及び第2フィールドプレート電極FPE2は、いずれも第1フィールドプレート電極FPE1及び第2フィールドプレート電極FPE2のうち接続用トランジスタLSTと重なっている部分よりも、数が2本多くても良い。この場合、分離領域VIUは、幅方向で見た場合、接続用トランジスタLSTのゲート電極GE1及び電極GE2に対応する部分のそれぞれに、追加の第1フィールドプレート電極FPE1を有している。また分離領域VIUは、幅方向で見た場合に、接続用トランジスタLSTのドレイン配線INC1及びゲート配線INC3に対応する部分のそれぞれに、追加した第2フィールドプレート電極FPE2を有している。
【0029】
図5は、図1のC−C´断面を示す図である。本実施形態において、フィールドプレート電極FPEの第1部分ARE1と第2部分ARE2の境界は、分離用P型領域PIR1の上に位置している。第2部分ARE2の端部は、分離用P型領域PIR1上に位置していても良いが、分離用P型領域PIR1を超えて接続用トランジスタLSTと重ならないのが好ましい。
【0030】
次に、本実施形態の製造方法について説明する。まず、基板SUBにn型の不純物を選択的に注入するとともに、p型の不純物を選択的に注入する。これにより、埋込N層VNIR、及び分離用P型領域PIR1の下部が形成される。なお、埋込N層VNIRは、これより後に行われる熱処理工程(例えば不純物の活性化処理)により、エピタキシャル層EPの下層にも拡散する。
【0031】
ついで、基板SUB上にエピタキシャル層EPを形成する。ついで、エピタキシャル層EPにp型の不純物を選択的に注入する。これにより、分離用P型領域PIR1の上側及びP型領域PIR2が形成される。
【0032】
ついで、エピタキシャル層EPに素子分離膜EI及びゲート絶縁膜GINSを形成する。ついで、素子分離膜EI上及びゲート絶縁膜GINS上に導電膜(例えばポリシリコン膜)を形成し、この導電膜を選択的に除去する。これにより、ゲート電極GE1、電極GE2、及び第1フィールドプレート電極FPE1が形成される。
【0033】
ついで、エピタキシャル層EPにp型の不純物を選択的に注入すると共に、n型の不純物を選択的に注入する。これにより、高濃度P型領域HPIR1、高濃度P型領域HPIR2、高濃度N型領域SOU、及び高濃度N型領域DRNが形成される。
【0034】
ついで、エピタキシャル層EP上及び素子分離膜EI上に、層間絶縁膜INSLを形成する。次いで、層間絶縁膜INSLにコンタクトを埋め込むとともに、層間絶縁膜INSL上に、ドレイン配線INC1、ソース配線INC2、ゲート配線INC3、グランド配線INC4、及び第2フィールドプレート電極FPE2を形成する。これらは、例えばAlにより形成されるが、他の導電材料により形成されてもよい。
【0035】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。本実施形態によれば、第1回路HVRは分離領域VIUによって囲まれている。そして分離領域VIUは、フィールドプレート電極FPEを有している。このため、第1回路HVRの電源電位が高くても、第1回路HVRと第2回路LVRを電気的に分離することができる。
【0036】
また、フィールドプレート電極FPEは、接続用トランジスタLST上に位置する部分を含む第1部分ARE1と、それ以外の第2部分ARE2とに分断されている。フィールドプレート電極FPEの電位は、フローティング電極なのでフィールドプレート直下のエピタキシャル層EPの電位との容量結合によって決まる。そのため、接続用トランジスタLSTが動作し、LSTのドレイン電圧が第1回路HVRの電源電圧Vcc分低下したとき、接続用トランジスタLSTのエピタキシャル層LNIRと分離領域VIUのエピタキシャル層EPとの間の電位差はVcc相当生じている。しかし、フィールドプレート電極FPEは、接続用トランジスタLST上に位置する部分を含む第1部分ARE1と、それ以外の第2部分ARE2とに分断されているため、フィールドプレート電極FPEの第1部分ARE1の電位が上がることを抑制できる。これにより、フィールドプレート電極FPEの第1部分ARE1をゲート電極とする寄生MOSトランジスタが動作することを抑制できる。
【0037】
この効果は、第1部分ARE1のうち接続用トランジスタLSTから食み出している部分が小さくなるほど大きくなる。このため、本実施形態のように、第1部分ARE1と第2部分ARE2の境界を、第1回路HVRのうち接続用トランジスタLSTが設けられた一辺に沿った部分に設けると、上記した効果が大きくなる。また、第1部分ARE1と第2部分ARE2の境界を、接続用トランジスタLSTと分離領域VIUの境界上に位置させると、さらに効果が大きくなる。
【0038】
図6は、接続用トランジスタLST内のエピタキシャル層EP(低濃度N型領域LNIR)と分離領域VIU内のエピタキシャル層EPの電位差と、これら2つのエピタキシャル層EP間を流れる電流量(すなわちリーク電流量)との関係を実際のデバイスで電気測定した結果を示している。比較例として、第1部分ARE1と第2部分ARE2を分断しない半導体装置を用いた。なお、この半導体装置は、分離用P型領域PIR1の幅を5μmとして、第1フィールドプレート電極FPE1における第1部分ARE1と第2部分ARE2の間隔を10μmとして、第2フィールドプレート電極FPE2における第1部分ARE1と第2部分ARE2の間隔を2μmとした。この図から、本実施形態に示した構造にすることで、リーク電流量が大幅に少なくなることが示された。
【0039】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態に係る半導体装置SDの構成を示す平面図である。図8は、図7のC−C´断面を示す図である。本実施形態に係る半導体装置SDは、フィールドプレート電極FPEの第1部分ARE1と第2部分ARE2の境界が分離領域VIU上に位置している点を除いて、第1の実施形態に係る半導体装置SDと同様の構成である。具体的には、第1部分ARE1の端部は分離用P型領域PIR1上を覆っていることが望ましく、分離用領域VIU上はあまり覆っていないことが望ましい。
【0040】
図9は、本実施形態における、接続用トランジスタLST内のエピタキシャル層EP(低濃度N型領域LNIR)と分離領域VIU内のエピタキシャル層EPの電位差と、これら2つのエピタキシャル層EP間を流れる電流量(すなわちリーク電流量)との関係を示している。比較例として、第1部分ARE1と第2部分ARE2を分断しない半導体装置を用いた。電気測定の条件は、図6と同様である。この図から、本実施形態に示した構造によっても、リーク電流量が大幅に少なくなることが分かる。
【0041】
なお、上記した各実施形態では、基板SUBとしてp型の半導体基板を用いたが、基板SUBはn型の半導体基板であっても良い。この場合、上記した各領域の導電型は全て逆になる。
【0042】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0043】
ARE1 第1部分
ARE2 第2部分
DRN 高濃度N型領域
EI 素子分離膜
EP n型エピタキシャル層
EP エピタキシャル層
FPE フィールドプレート電極
FPE1 第1フィールドプレート電極
FPE2 第2フィールドプレート電極
GE1 ゲート電極
GE2 電極
GINS ゲート絶縁膜
HPIR1 高濃度P型領域
HPIR2 高濃度P型領域
HVR 第1回路
INC1 ドレイン配線
INC2 ソース配線
INC3 ゲート配線
INC4 グランド配線
INSL 層間絶縁膜
LNIR 低濃度N型領域
LST 接続用トランジスタ
LVR 第2回路
PIR1 分離用P型領域
PIR2 P型領域
RES 抵抗
SD 半導体装置
SOU 高濃度N型領域
SUB 基板
VIU 分離領域
VNIR 埋込N層
ZD ツェナーダイオード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9