特許第6009705号(P6009705)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6009705
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】放射線照射アイソセンタ分析器具
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
   A61N5/10 M
【請求項の数】22
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-13897(P2016-13897)
(22)【出願日】2016年1月28日
【審査請求日】2016年1月28日
(31)【優先権主張番号】14/740,774
(32)【優先日】2015年6月16日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516028989
【氏名又は名称】ラジオロジカル イメージング テクノロジー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル リット
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ クレメンツ
(72)【発明者】
【氏名】ライアン ヤング
【審査官】 毛利 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−046422(JP,A)
【文献】 特開2004−294507(JP,A)
【文献】 特開2015−084939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサとメモリとを含むコンピュータを備えるシステムであって、該メモリは、該コンピュータが、
1組の第1の画像を受信することであって、該第1の画像のそれぞれは、放射線のビームによる画像取込デバイスの複数回の被曝のうちの1つの間に取り込まれ、各第1の画像は、該放射線のビームが該画像取込デバイスの撮像表面に達する領域を表す放射線場を含み、放射線照射システムの複数の構成要素のそれぞれは、該複数回の被曝のそれぞれの間、3次元座標系に対してそれぞれ規定の方向付けで存在し、該第1の画像のそれぞれは、Winston−Lutz画像である、ことと、
該第1の画像のそれぞれから各ビーム画像を再構成することであって、該再構成することは、各第1の画像に対して、
(i)該第1の画像に対する投影マトリクスを決定することと、
(ii)該第1の画像によって定義される参照平面に対する所定の角度と該第1の画像に示される放射線場の中心とに基づいて、放射線のビームの中心線を特定することと、
(iii)該投影マトリクスに従って、該放射線のビームの該特定された中心線を所定の平面に投影することと
によって行われ、それにより、各再構成されたビーム画像は、線を含み、該線は、該所定の平面上にあり、かつ、放射線のビームの中心線を表す、ことと、
放射線のビームの中心線を表す該線の全てを含む第2の画像を複数の該再構成されたビーム画像から生成することであって、該第2の画像は、合成スターショット画像である、ことと
を行うようにプログラムされるように該プロセッサによって実行可能な命令を格納する、システム。
【請求項2】
前記コンピュータは、前記第1の画像のそれぞれが作られる座標系における平面に対する1組の角度を、前記複数の構成要素のうちの少なくとも1つについて受信するようにさらにプログラムされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コンピュータは、前記1組の角度における前記少なくとも1つの構成要素の各角度において放射線のビームを前記放射線照射システムに照射させ、それによって、前記画像取込デバイス各被曝をもたらすようにさらにプログラムされている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の構成要素は、放射線照射デバイスガントリ、コリメータ、マルチリーフコリメータおよび患者カウチのうちの2つ以上を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数回の被曝のそれぞれは、前記複数の構成要素のうちのたった1つが連続する回転角度を通じて移動させられときになされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記コンピュータは、前記第2の画像上の機械的アイソセンタを特定することと、該第2の画像上の放射線アイソセンタを特定することとのうちの少なくとも1つを行うようにさらにプログラムされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記コンピュータは、前記放射線アイソセンタからの前記ビームの距離を特定するようにさらにプログラムされている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記コンピュータは、前記第2の画像上の機械的アイソセンタと該第2の画像上の放射線アイソセンタとの間の距離を決定するようにさらにプログラムされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の画像のそれぞれは、前記放射線照射システムの機械的アイソセンタを表すテスト対象物の表示をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
ガントリと、
該ガントリに固定されている放射線照射機構と、
該ガントリに固定されており、かつ該放射線照射機構から放射線のビームを受け取るように方向付けられている画像取込デバイスと、
患者カウチと、
該患者カウチに固定されているWinston−Lutzテスト装置であって、該Winston−Lutzテスト装置は、該放射線照射システムの機械的アイソセンタを表すテスト対象物を含み、該テスト対象物は、該放射線照射機構と該画像取込デバイスとの間に位置づけられている、Winston−Lutzテスト装置と、
プロセッサとメモリとを含むコンピュータであって、該メモリは、該コンピュータが、
1組の第1の画像を受信することであって、該第1の画像のそれぞれは、放射線のビームによる該Winston−Lutzテスト装置および該画像取込デバイスの複数回の被曝のうちの1つの間に取り込まれ、各第1の画像は、該放射線のビームが該画像取込デバイスの撮像表面に達する領域を表す放射線場を含み、該ガントリ、患者カウチおよび放射線照射機構のそれぞれは、該複数回の被曝のそれぞれの間、3次元座標系に対してそれぞれ規定の方向付けで存在し、該第1の画像のそれぞれは、Winston−Lutz画像である、ことと、
該第1の画像のそれぞれから各ビーム画像を再構成することであって、該再構成することは、各第1の画像に対して、
(i)該第1の画像に対する投影マトリクスを決定することと、
(ii)該第1の画像によって定義される参照平面に対する所定の角度と該第1の画像に示される放射線場の中心とに基づいて、放射線のビームの中心線を特定することと、
(iii)該投影マトリクスに従って、該放射線のビームの該特定された中心線を所定の平面に投影することと
によって行われ、それにより、各再構成されたビーム画像は、線を含み、該線は、該所定の平面上にあり、かつ、放射線のビームの中心線を表す、ことと、
放射線のビームの中心線を表す該線の全てを含む第2の画像を複数の該再構成されたビーム画像から生成することであって、該第2の画像は、合成スターショット画像である、ことと
を行うようにプログラムされるように該プロセッサによって実行可能な命令を格納する、コンピュータと
を備える、放射線照射システム。
【請求項11】
前記コンピュータは、前記第2の画像上の放射線アイソセンタを特定するようにさらにプログラムされている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記コンピュータは、前記放射線アイソセンタからの前記ビームの距離を特定するようにさらにプログラムされている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記コンピュータは、前記第2の画像上の機械的アイソセンタと該第2の画像上の放射線アイソセンタとの間の距離を決定するようにさらにプログラムされている、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
1組の第1の画像を受信することであって、該第1の画像のそれぞれは、放射線のビームによる画像取込デバイスの複数回の被曝のうちの1つの間に取り込まれ、各第1の画像は、該放射線のビームが該画像取込デバイスの撮像表面に達する領域を表す放射線場を含み、放射線照射システムの複数の構成要素のそれぞれは、該複数回の被曝のそれぞれの間、3次元座標系に対してそれぞれ規定の方向付けで存在し、該第1の画像のそれぞれは、Winston−Lutz画像である、ことと、
該第1の画像のそれぞれから各ビーム画像を再構成することであって、該再構成することは、各第1の画像に対して、
(i)該第1の画像に対する投影マトリクスを決定することと、
(ii)該第1の画像によって定義される参照平面に対する所定の角度と該第1の画像に示される放射線場の中心とに基づいて、放射線のビームの中心線を特定することと、
(iii)該投影マトリクスに従って、該放射線のビームの該特定された中心線を所定の平面に投影することと
によって行われ、それにより、各再構成されたビーム画像は、線を含み、該線は、該所定の平面上にあり、かつ、放射線のビームの中心線を表す、ことと、
放射線のビームの中心線を表す該線の全てを含む第2の画像を複数の該再構成されたビーム画像から生成することであって、該第2の画像は、合成スターショット画像である、ことと
を含む、方法。
【請求項15】
前記第1の画像のそれぞれが作られる座標系における平面に対する1組の角度を、前記複数の構成要素のうちの少なくとも1つについて受信することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記1組の角度における前記少なくとも1つの構成要素の各角度において放射線のビームを前記放射線照射システムに照射させ、それによって、前記画像取込デバイス各被曝をもたらすことをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の構成要素は、放射線照射デバイスガントリ、コリメータ、マルチリーフコリメータおよび患者カウチのうちの2つ以上を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記複数回の被曝のそれぞれは、前記複数の構成要素のうちのたった1つが連続する回転角度を通じて移動させられときになされる、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の画像上の機械的アイソセンタおよび放射線アイソセンタのうちの少なくとも1つを特定することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記放射線アイソセンタからの前記ビームの距離を特定することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の画像上の機械的アイソセンタと該第2の画像上の放射線アイソセンタとの間の距離を決定することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の画像のそれぞれは、前記放射線照射システムの機械的アイソセンタを表すテスト対象物の表示をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(背景)
放射線療法システムにおいて、「スターショット」(「スポークショット」とも呼ばれる)が、品質保証のために使用されている。そのような画像は、その画像が、概してスター模様またはスポーク模様を形成する放射線ビームの画像を特徴とするので、そのように名づけられる。スターショットは、典型的には、(ガントリスターショットについては)放射線ビームに平行に、または(カウチ、一次コリメータまたはMLCスターショットについては)ビームに垂直に設置されるフィルム上で取得される。スターショットは、放射線照射システムの構成要素(例えば、放射線デバイス(例えば、線形加速器、コバルト60ユニット、放射線療法シミュレータなど)に関連するガントリ、カウチ、一次コリメータおよびMLC(マルチリーフコリメータ))についての放射線アイソセンタ位置(すなわち、放射線の中心)を決定するために使用され得る。したがって、スターショットの目的は、放射線照射システムの要素(ガントリ、カウチ、一次コリメータおよびMLC)の回転の中心が、通常の回転動作中、特定の仕様の範囲内にあることを確実にし、それにより、放射線のビームが、異なる角度から照射されるときに、その意図される対象に当たることを確実にすることである。
【0002】
所望の精密さを取得することは、特に、数トンの重さがある線形加速器ガントリの場合に、非常に挑戦的であり、その場合における、標準の線形加速器ガントリの典型的な要件は、ビームが、直径2ミリメートル(mm)、および定位治療を行うことが可能である線形加速器については1mm未満の円内で交差しなければならないことである。困難さを悪化させるのは、許容誤差の範囲内である放射線ビーム交差円の大きさに加えて、ビーム交差中心の位置が、放射線照射システムの全ての機械的動作(ガントリ、カウチ、一次コリメータおよび/またはMLCコリメータの回転の動作を含む)に関して、そのシステムの機械的アイソセンタから1mm以内であることも要件であることである。
【0003】
放射線アイソセンタを決定するスターショットを取得するための現在のシステムは、典型的には、フィルムの使用に依存し、フィルムは、使用するのが困難であり、高価であり、ますます取得するのが困難である。さらに、スターショットを取得するための現在のシステムは、機械的アイソセンタが手動で分類されない限り、システムの機械的アイソセンタに関連する情報を提供せず、これは、役に立たず、エラーを起こしやすい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
プロセッサとメモリとを含むコンピュータを備えるシステムであって、該メモリは、該コンピュータが、
1組の第1の画像を受信することであって、該第1の画像のそれぞれは、放射線のビームによる画像取込デバイスの各被曝を含み、放射線照射システムの複数の構成要素のそれぞれは、該被曝のそれぞれの間、3次元座標系に対してそれぞれ規定の方向付けで存在する、ことと、
各第1の画像上に示されている放射線ビームの中心を通してかつ該第1の画像に対して所定の角度で直線を描くことによって該被曝のそれぞれから各ビーム画像を再構成することと、
第2の画像上で該再構成されたビーム画像を組み合わせることと
を行うようにプログラムされるように該プロセッサによって実行可能な命令を格納する、システム。
(項目2)
前記コンピュータは、前記第1の画像のそれぞれが作られる座標系における平面に対する1組の角度を、前記構成要素のうちの少なくとも1つについて受信するようにさらにプログラムされている、上記項目に記載のシステム。
(項目3)
前記コンピュータは、前記1組の角度における前記少なくとも1つの構成要素の各角度において放射線のビームを前記放射線照射システムに照射させ、それによって、前記画像取込デバイスの前記各被曝を生成するようにさらにプログラムされている、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目4)
前記複数の構成要素は、放射線照射デバイスガントリ、コリメータ、マルチリーフコリメータおよび患者カウチのうちの2つ以上を含む、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目5)
前記被曝のそれぞれは、連続する回転角度を通して、前記構成要素のうちのたった1つを移動させることによってなされる、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目6)
前記コンピュータは、前記第2の画像上の機械的アイソセンタを特定することと、該第2の画像上の放射線アイソセンタを特定することとのうちの少なくとも1つを行うようにさらにプログラムされている、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目7)
前記コンピュータは、前記放射線アイソセンタからの前記ビームの距離を特定するようにさらにプログラムされている、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目8)
前記コンピュータは、前記第2の画像上の機械的アイソセンタと該第2の画像上の放射線アイソセンタとの間の距離を決定するようにさらにプログラムされている、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目9)
前記第1の画像のそれぞれは、前記放射線照射システムの機械的アイソセンタを表すテスト対象物の表示をさらに含む、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目10)
ガントリと、
該ガントリに固定されている放射線照射機構と、
該ガントリに固定されており、かつ該放射線照射機構から放射線のビームを受け取るように方向付けられている画像取込デバイスと、
患者カウチと、
該患者カウチに固定されているWinston−Lutzテスト装置であって、該Winston−Lutzテスト装置は、該放射線照射システムの機械的アイソセンタを表すテスト対象物を含み、該テスト対象物は、該放射線照射機構と該ガントリとの間に位置づけられている、Winston−Lutzテスト装置と、
プロセッサとメモリとを含むコンピュータであって、該メモリは、該コンピュータが、
1組の第1の画像を受信することであって、該第1の画像のそれぞれは、放射線のビームによる該Winston−Lutzテスト装置および該画像取込デバイスの各被曝を含み、該ガントリ、患者カウチおよび放射線照射機構のそれぞれは、該被曝のそれぞれの間、3次元座標系に対してそれぞれ規定の方向付けで存在する、ことと、
各第1の画像上に示されている放射線ビームの中心を通してかつ該第1の画像に対して所定の角度で直線を描くことによって該被曝のそれぞれから各ビーム画像を再構成することと、
第2の画像上で該再構成されたビーム画像を組み合わせることと
を行うようにプログラムされるように該プロセッサによって実行可能な命令を格納する、コンピュータと
を備える、放射線照射システム。
(項目11)
前記コンピュータは、前記第2の画像上の放射線アイソセンタを特定するようにさらにプログラムされている、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目12)
前記コンピュータは、前記放射線アイソセンタからの前記ビームの距離を特定するようにさらにプログラムされている、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目13)
前記コンピュータは、前記第2の画像上の機械的アイソセンタと該第2の画像上の放射線アイソセンタとの間の距離を決定するようにさらにプログラムされている、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目14)
1組の第1の画像を受信することであって、該第1の画像のそれぞれは、放射線のビームによる画像取込デバイスの各被曝を含み、放射線照射システムの複数の構成要素のそれぞれは、該被曝のそれぞれの間、3次元座標系に対してそれぞれ規定の方向付けで存在する、ことと、
各第1の画像上に示されている放射線ビームの中心を通してかつ該第1の画像に対して所定の角度で直線を描くことによって該被曝のそれぞれから各ビーム画像を再構成することと、
第2の画像上で該再構成されたビーム画像を組み合わせることと
を含む、方法。
(項目15)
前記第1の画像のそれぞれが作られる座標系における平面に対する1組の角度を、前記構成要素のうちの少なくとも1つについて受信することをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目16)
前記1組の角度における前記少なくとも1つの構成要素の各角度において放射線のビームを前記放射線照射システムに照射させ、それによって、前記画像取込デバイスの前記各被曝を生成することをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目17)
前記複数の構成要素は、放射線照射デバイスガントリ、コリメータ、マルチリーフコリメータおよび患者カウチのうちの2つ以上を含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目18)
前記被曝のそれぞれは、連続する回転角度を通して、前記構成要素のうちのたった1つを移動させることによってなされる、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目19)
前記第2の画像上の機械的アイソセンタおよび放射線アイソセンタのうちの少なくとも1つを特定することをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目20)
前記放射線アイソセンタからの前記ビームの距離を特定することをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目21)
前記第2の画像上の機械的アイソセンタと該第2の画像上の放射線アイソセンタとの間の距離を決定することをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目22)
前記第1の画像のそれぞれは、前記放射線照射システムの機械的アイソセンタを表すテスト対象物の表示をさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0005】
(摘要)
第1の組の画像における各画像は、放射線のビームによる画像取込デバイスの各被曝を含み、放射線照射システムの複数の構成要素のそれぞれは、各被曝中、3次元座標系に対してそれぞれ規定の方向付けで存在する。各ビーム画像は、各第1の画像上に示されている放射線ビームの中心を通してかつ第1の画像に対して所定の角度で直線を描くことによって被曝のそれぞれから再構成される。再構成されたビーム画像は、第2の画像上で組み合わせられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、例示の放射線照射システムのブロックダイヤグラムである。
図2A図2Aは、図1の例示の放射線照射システムの特定の要素の斜視図であり、選択された座標系の鉛直軸に対して0度に方向付けされたガントリ要素と、水平軸に対して0度に方向付けされたカウチ要素とを含む。
図2B図2Bは、図1の例示の放射線照射システムの別の斜視図であり、選択された座標系の鉛直軸に対して0度に方向付けされたガントリ要素と、水平軸に対して40度に方向付けされたカウチ要素とを含む。
図2C図2Cは、図1の例示の放射線照射システムの別の斜視図であり、選択された座標系の鉛直軸に対して0度に方向付けされたガントリ要素と、水平軸に対して320度に方向付けされたカウチ要素とを含む。
図2D図2Dは、図1の例示の放射線照射システムの別の斜視図であり、選択された座標系の鉛直軸に対して90度に方向付けされたガントリ要素と、水平軸に対して0度に方向付けされたカウチ要素とを含む。
図2E図2Eは、図1の例示の放射線照射システムの別の斜視図であり、選択された座標系の鉛直軸に対して180度に方向付けされたガントリ要素と、水平軸に対して0度に方向付けされたカウチ要素とを含む。
図2F図2Fは、図1の例示の放射線照射システムの別の斜視図であり、選択された座標系の鉛直軸に対して270度に方向付けされたガントリ要素と、水平軸に対して0度に方向付けされたカウチ要素とを含む。
図3A図3Aおよび図3Bは、Winston−Lutzテストからの例示画像を示している。
図3B図3Aおよび図3Bは、Winston−Lutzテストからの例示画像を示している。
図4A図4A図4Bおよび図4Cは、例示の合成スターショット分析画像を示している。
図4B図4A図4Bおよび図4Cは、例示の合成スターショット分析画像を示している。
図4C図4A図4Bおよび図4Cは、例示の合成スターショット分析画像を示している。
図5図5は、合成スターショットを生成するための例示プロセスを示している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(説明)
(序論)
図1および図2A図2Fに示されているように、放射線照射システム100は、許容誤差を決定するようにプログラムされたテストコンピュータ105を含み、放射線デバイス110は、その許容誤差を伴って、システム100の放射線アイソセンタと機械的アイソセンタとの両方に対して放射線を照射することが可能である。機械的アイソセンタは、理想的な状況下で、ガントリ125、コリメータ130および患者カウチ120の回転軸(すなわち、図2A図2Fに示されているX軸、Y軸およびZ軸)が交差する点として定義され得る。放射線アイソセンタは、理想的な状況下で、放射線ビーム111がガントリ125、コリメータ130および/または患者カウチ120の全ての回転において交差する空間内の点として定義され得る。放射線デバイス110による正確な治療のために、機械的アイソセンタおよび放射線アイソセンタに関して、実際の逸脱を最小化すること、すなわち、可能な最低許容誤差に従うが、確実に閾値許容誤差を下回ることが望ましい。本システム100は、本明細書に開示されているような合成スターショットを生成することを提供し、それにより、機械的アイソセンタ、放射線アイソセンタ、それらからの逸脱、および放射線デバイス110がそれらの容認可能な許容誤差の範囲内でビーム111を照射しているかどうかを評価するための大いに改善された機構を提供する。
【0008】
例えば、コンピュータ105は、デジタル画像(本明細書において、合成スターショットと呼ばれる)を生成し得、デジタル画像は、放射線デバイス110が、放射線アイソセンタと機械的アイソセンタとの両方の容認可能な許容誤差の範囲内で放射線を照射することが可能であるかどうかを決定するために使用されることが可能である。コンピュータ105は、放射線ビーム111をWinston−Lutzテスト装置112の方へ向けることによって、デジタル画像を生成するためのデータを取得する。Winston−Lutzテスト装置112は、公知である。さらに、公知であるように、電子的ポータル撮像装置(EPID)115が、1組のWinston−Lutzテスト画像(例えば、図3Aおよび図3Bを参照のこと)を生成するために使用され得る。
【0009】
しかしながら、Winston−Lutz画像は、せいぜい、ガントリ、カウチ、放射線照射機構(例えば、コリメータ)などのうちの1つ以上のものの規定の回転角度における、テストボール114画像305の中心とビーム111画像310の中心との間の水平変位および鉛直変位(図3A図3B参照のこと)を決定するために使用されることが可能である。したがって、Winston−Lutz画像300は、不都合にも、ビーム111放射線中心311の相互からの逸脱についての情報を欠いているが、ガントリ、カウチ、放射線照射機構(例えば、コリメータ)などのうちの1つ以上のものの回転の様々な角度における機械的アイソセンサおよび放射線アイソセンタに関連するデータを提供する。従って、コンピュータ105は、システム100構成要素(例えば、患者カウチ(またはベッド)120、ガントリ125および/またはコリメータ130)の回転の様々な角度における放射線アイソセンタとビーム111の放射線アイソセンタからの逸脱とを示す合成スターショットを生成するために、Winston−Lutzテストからのデータを使用するように好都合にさらにプログラムされ得る。例えば、Winston−Lutzテストにおいて、円410(図4A図4Bおよび図4C参照のこと)の決定(円410の半径の距離を含む)を可能にする合成スターショットが生成され得、円410は、各ビーム111の少なくとも1点と、すなわち、ガントリ125、カウチ120、コリメータ130などの各角度においてまたはそれらの角度の組み合わせにおいて交差するかまたはそれらを含む最小円である。そのような円410の半径は、ビーム111中心の放射線アイソセンタからの距離についての容認可能な許容誤差と比較され得、それにより、ビーム111が容認可能な許容誤差の範囲内に入っているかどうかを決定する。
【0010】
さらに、従来のWinston−Lutzテストは、ガントリ125および患者カウチ120の回転のみを含む。さらに従来のWinston−Lutzテストは、カウチ120、ガントリ125、コリメータ130および/またはマルチリーフコリメータのうちの3つ以上のものの回転角度の同時変化をテストすることを可能にしない。本明細書に開示されているシステム100は、カウチ120、ガントリ125、コリメータ130および/またはマルチリーフコリメータのうちの3つ以上のものの回転角度のそのような同時変化に基づいて、好都合に、Winston−Lutz画像300(図3Aおよび図3B参照のこと)を生成することが可能である。すなわち、例えば、1組のWinston−Lutz画像を生成するために、ガントリ125を除く全ての要素を無回転で保持し、ガントリ125を回転する代わりに、今や、テストを実施することが可能であり、そのテストにおいて、ガントリ125も、1つ以上の他の要素(例えば、カウチ120およびコリメータ130)さえも、1つ以上の異なる被曝の間で回転し、従来のWinston−Lutz画像(例えば、テストされていたシステム100の構成要素(例えば、カウチ120、ガントリ125、コリメータ130など)ごとの1つの合成スターショット400)に加えて複数の合成スターショット400(図4A図4Bおよび図4C参照のこと)が、1つ以上の異なる被曝から生成されることが可能である。従って、システム100のテストは、別々のテスト(ガントリ125スターショット、一次コリメータ130スターショット、MLCスターショット、カウチ120スターショット、および従来のWinston−Lutzテスト)を5回まで以前は要求し得、各テストは、4〜8回の被曝を必要とするが、システム100は、合計6回ほどの少ない被曝を伴う1回のテストを要求する。
【0011】
さらに、本システム100の利点は、合成スターショット400が、180度離間している回転角度におけるビーム111被曝間を区別する能力を提供することである。従来のスターショットは、同一のピースのフィルムが両被曝に対して使用されるので、この区別をつけることが不可能であり、ビーム111画像は、重なり合いかつ/または区別不可能である傾向がある。しかしながら、180度離間している(例えばガントリ125の)回転角度で生成されるビーム111ごとのデジタルビーム中心画像405(図4A図4Bおよび図4C参照のこと)を再構成することは、EPID115の個々の被曝と、被曝ごとのビーム中心画像405の個々の再構成とに依存する。したがって、別個のビーム中心画像405は、180度離間しているビームについてでさえ、本明細書に開示されているように、合成スターショット上に表され得る。
【0012】
(システムの要素)
コンピュータ105は、放射線デバイス110内に含まれ、かつ/または放射線デバイス110に通信可能に結合されるコンピューティングデバイスである。さらに、本開示におけるコンピュータ105は、本明細書に開示されているように、実際に、本明細書においてコンピュータ105(例えば、放射線デバイス110の(公知であるような)コントローラである第1のコンピュータ、およびテストデータを受信することならびに合成スターショット400を生成することなどをする第2のコンピュータ)に帰される動作を行う複数のコンピューティングデバイスを表し得る。従って、コントローラ105は、プロセッサおよびメモリを含み、メモリは、例えば本明細書に記載されている動作を行うために、プロセッサによって実行可能な命令を格納する。コントローラ105は、EPID115に達する放射線ビーム111によって生成された画像データなどを受信するために、EPID115にさらに通信可能に結合される。本明細書に「通信可能に結合される」として記載されているデバイスは、任意の適した公知の機構(例えば、ローカルエリアネットワーク、ケーブル、ワイヤレス通信など)を介して相互に通信しているものと理解されるべきである。
【0013】
放射線デバイス110は、線形加速器、コバルト60ユニット、放射線療法シミュレータなどであり得、例えば、デバイス110は、概して、放射線を患者に照射するための公知の機構である。したがって、デバイス110は、典型的には、ガントリ125を含む。ガントリ125は、2つの回転軸を有し得、例えば、ガントリ125は、水平回転および鉛直回転が可能であり得る。したがって、図2A図2Fに示されている例示的な3次元座標系に従って、ガントリ125は、X軸に沿った回転(鉛直回転)軸を有し、そこでは、本開示の目的のために、ガントリがZ軸に対して0度回転させられるとき、ガントリは、0度鉛直回転で存在すると言われる。上述されておりかつ公知であるように、放射線デバイス110は、放射線ビーム111を提供する。
【0014】
上述もされているように、システム100は、従来のWinston−Lutz装置112をさらに含む。装置112は、従来の態様で患者カウチ120の端部に備え付けられ得る。さらに、公知であるように、Winston−Lutz装置112は、概して、ボール114などのテスト対象物を含む。Winston−Lutzテストからの画像300(図3Aおよび図3B参照のこと)は、テストボール114画像305と、放射線ビーム111を表す放射線コーン画像310との両方を示している。テストボール114の中心は、システム100の機械的アイソセンタを表し得るので、画像305の画像中心306と画像の位置と310の画像中心311の位置との差は、システム100の放射線アイソセンタと機械的アイソセンタとの間の差を表す。しかしながら、上述されているように、Winston−Lutzテストは、せいぜい、ガントリ125および/またはカウチ120のうちの1つ以上のものの規定の回転角度における、テストボール114画像305の中心とビーム111画像310の中心との間の水平変位および鉛直変位を提供する(図3A図3B参照のこと)。
【0015】
EPID115は、例えば放射線ビーム111を受け取ることと放射線ビーム111の画像を提供することとで知られている電子的ポータル撮像デバイスである。図2A図2Fに示されているように、ビーム111は、概して、所定の角度(本明細書において図示の簡単さのために、使用するのに概して最も簡単な角度である直角が参照される)でEPID115に達する。すなわち、ガントリ125が、本明細書に記載されているように回転するとき、ガントリ116の基部部分から延在する定置プラットフォーム116上に含まれるEPIDは、ガントリ125と共に回転する。したがって、ビーム111は、ガントリ125の任意の回転角度において、一貫した所定の角度(例えば、直角)で、EPID115に達する。EPID115は、放射線デバイス110のテストにおいて様々な画像(例えば、Winston−Lutzテストからの画像300)を生成するために使用され得る。EPID115は、本明細書に開示されているステップを成し遂げるためにシステム100において使用されることが可能である画像取込デバイスの例として本明細書に記載されており、限定的なものではない。他の画像取込デバイス(例えば、2次元平坦パネル検出器アレイ、および/または放射線デバイス110の外部にある他のデバイス(例えば、2Dダイオードアレイおよび3Dダイオードアレイ、ビデオ取込デバイス、撮像リン光性スクリーンまたは撮像リン光性プレート、コンピュータ放射線写真撮影(CR)プレート、デジタル放射線写真撮影(DR)プレート、小イオンチャンバーアレイなど))が使用されることが可能である。
【0016】
患者カウチ120は、放射線療法における使用のための従来の患者カウチまたはベッドである。システム100のコンテクストにおいて、患者カウチ120は、概して、1つの水平回転軸を有し、この軸は、本開示の目的のために、図面に示されているZ軸であり、カウチ120は、カウチ120の中心を通る長手方向軸CがX軸と配列されるかまたはX軸に実質的に平行に配列されるとき、0度で存在すると言われる。代替的にまたは加えて、カウチ120は、鉛直回転軸(X軸および/またはY軸)を有し得る。
【0017】
コリメータ130は、一般的に公知である。システム100において、コリメータ130は、鉛直軸(例えば、図面に示されているZ軸)の周りを回転し得る。さらに、図面は、一次コリメータ130のみを示しているが、放射線照射デバイス110は、マルチリーフコリメータ(MLC)も含むことも可能であり、それがふさわしい場合がある。本明細書に記載されているように一次コリメータ130を回転させることに対する分析を行うことの代替としてまたはそれに加えて、同様の分析がMLCに対して行われ得ることが理解されるべきである。
【0018】
図2A図2Fは、様々な回転角度におけるガントリ125およびカウチ120を有するシステム100を示している。例えば、図2A図2Cに最も良く見られるように、カウチ120は、Z軸の周りを回転し、その結果、XYZ座標系において、EPID115の表面によって定義される平面がXY平面(すなわち、水平平面)に対して一定の角度を維持するが、カウチ120は、X軸から測定される場合、XZ平面に対して様々な角度を通して回転する。さらに例えば、図2D図2Fに最も良く見られるように、ガントリ125は、X軸の周りを回転し、その結果、XYZ座標系において、EPID115の表面によって定義される平面がZY平面に対して一定の角度を維持するが、ガントリ125は、Z軸から測定される場合、XZ平面に対して様々な角度を通して回転する。
【0019】
様々な回転角度でWinston−Lutz装置112およびEPID115の方へビーム111を向けることによって取り込まれた画像データは、図3Aおよび図3Bに示されているようなWinston−Lutz画像を取得するためにコンピュータ105によって使用され得る。次いで、Winston−Lutz画像は、図4A図4Bおよび図4Cに示されているような合成スターショット400を生成するために使用され得、スターショット画像を生成するためのプロセスは、図5に対して後述される。具体的には、図4Aは、ガントリ125の回転によって生成されたスターショット画像400を示している。図4Bは、カウチ120の回転によって生成されたスターショット画像400を示している。
【0020】
(合成スターショット)
スターショット画像400は、ガントリ125、カウチ120などの様々な角度におけるビーム中心を表している複数のビーム中心画像405を含む(すなわち、理解されるように、ビーム111は、概して、幅を有するが、スターショット400は、ビーム111中心の位置の再構成時に描かれる線を用いてビーム111を表す)。例えば、図4Aにおいて、スターショット400は、ガントリ125の様々な回転角度を表しているビーム中心画像405を含み、カウチ120およびコリメータ130を含む他の要素は、0度回転または0度移動で保持されている。図4Bにおいて、スターショット400は、カウチ120の様々な回転角度を表しているビーム中心画像405を含み、ガントリ125およびコリメータ130を含む他の要素は、0度回転または0度移動で保持されている。図4Cにおいて、スターショット400は、コリメータ130の様々な回転角度を表しているビーム中心画像405を含み、ガントリ125およびカウチ120を含む他の要素は、0度回転または0度移動で保持されている。
【0021】
図示および記載の簡単さのために、本例示画像400は、ガントリ125、カウチ120およびコリメータ130(ならびにMLCなどのその他の要素)のうちの1つのみを移動させるWinston−Lutzテストに基づいているが、本開示は、必ずしもそのような例に限定されず、複数の異なる構成要素(例えば、カウチ120およびガントリ125)の回転角度が各回転軸に対して0より大きいシナリオを含むことが可能であることに留意されたい。例えば、図4Aおよび図4Cにおいて、ドロップダウンメニューボックス450が見られることが可能である。ガントリ125についての合成スターショット400を表している図4Aのドロップダウンメニュー450は、「コリメータ」について0の値を示しているが、コリメータ130について他の回転角度(例えば、90度、180度、270度など)を含むことが可能である。同様に、コリメータ130についての合成スターショット400を表している図4Cのドロップダウンメニュー450は、「ガントリ」について0の値を示しているが、ガントリ125について他の回転角度(例えば、90度、180度、270度など)を含むことが可能である。
【0022】
本記載の例示的な実装において、カウチ120に対して、他の構成要素の角度を選択する必要がないので、図4B上には、同様のドロップダウンメニュー450は存在しない。典型的には、カウチ120は、ガントリ125およびコリメータ130から完全に独立して回転する。それゆえ、ガントリ125およびコリメータ130の回転は、カウチ120の回転の正確さに影響を及ぼさない。しかしながら、ガントリ125およびコリメータ130は、(図2A図2Fに見られることが可能であるように)物理的に接続されており、したがって、様々なガントリ125回転におけるコリメータ130の回転の正確さを決定することは有益であり、様々なコリメータ130回転におけるガントリ125の回転の正確さを決定することも有益である。様々なガントリ125回転またはコリメータ130回転におけるカウチ120の回転の正確さをテストすることは、典型的には、有益でも物理的な意味をなすわけでもない。なぜなら、その効果は、全ての回転において同じであり、どちらか一方を回転させることは、なされた測定値に不確実性を付加するのに単に役立つだけだからである。
【0023】
それゆえ、カウチ120スターショット400と一緒にガントリ125またはコリメータ130の角度を規定する必要はなく、従って、0のガントリ125角度が、カウチ120についての合成スターショット400を生成するために、現在推奨されている。しかしながら、一般的な事として、カウチ120についての合成スターショット400スクリーンが「コリメータ」ドロップダウンメニューを示すことが可能である。本例示的実装について、ちょうど説明されているように、コリメータ130の角度が、カウチ120に対する逸脱を指し示す結果に影響を与えると推定される。言い換えると、コリメータ130を回転させるとき、ガントリ125位置が、コリメータ130リーフに対する重力の効果に関係する可能性がある(例えば、90度回転および270度回転において、リーフは、重力に最も逆らわなければならない)ので、本例示的実装は、ガントリ125の角度を考慮する。
【0024】
図4A図4Bおよび図4Cに戻ると、ビーム中心画像405は、放射線アイソセンタを表す中心415を有する円410を構成するために使用されることが可能である。例えば、円410は、ビーム画像405のそれぞれのうちの少なくとも1点と交差しかつ/またはそれを含めて描かれることが可能である最小円に従って定義されることが可能である。さらに、機械的アイソセンタ画像420も提供され得、上述されているように、機械的アイソセンタは、座標軸の交差点にある。従って、スターショット400は、エラーを起こしやすい手動のステップ(例えば、(ビーム中心画像405によって表されている)ビーム111の放射線アイソセンタからの逸脱を示すことに加えて、1枚のフィルム上に穴をあけること、機械的アイソセンタと放射線アイソセンタとの距離を得ること)がない限り以前は不可能であったが、好都合に、1つの画像上に見え得る。したがって、上述されているように、ビーム中心画像405は、ビーム111が全て放射線アイソセンタの容認可能な許容誤差(すなわち、距離)の範囲内にあるかどうかを決定するために使用され得る。さらに、円410および他のしるし(例えば、機械的アイソセンタおよび/または放射線アイソセンタならびに/あるいはそれらの間の距離に関連するしるし)は、厳密に言えば、ビーム111画像405がスターショットを作り上げるので、厳密に言えば、スターショットの一部ではなく、他のアイテムが、スターショット400の分析の一部として付加されることが理解されるべきである。しかしながら、便宜上、合成スターショット400は、円410、中心415、中心420などを含むとも理解され得る。
【0025】
(プロセスの流れ)
図5は、合成スターショット400を生成するための例示的なプロセス500を示している。プロセス500は、ブロック505において始まり、そこでは、コンピュータ105が、ガントリ125、カウチ120およびコリメータ130のうちの1つ以上についての1組の回転角度を規定する入力を受信する。上述されているように、典型的には、システム100のたった1つの構成要素が画像400を生成するために回転させられるが、必ずしもそうではない。
【0026】
次に、ブロック510において、(例えば、ガントリ125、コリメータ130および/またはカウチ120を概して含む)放射線照射デバイス110が、例えば図3Aおよび図3Bに見られるように、Winston−Lutz画像300を取得するために、Winston−Lutzテストについて公知の態様で制御かつ使用される。
【0027】
次に、ブロック515において、Winston−Lutz画像300のそれぞれにおける放射線場が特定される。概して、公知であるように、Winston−Lutz画像300における放射線場は、放射線を示す画像(例えば、ビーム111画像310)の領域を用いて特定される。公知であるように、放射線場(例えば、画像310)は、円形、略正方形または長方形などであり得る。いずれにせよ、そのような放射線場は、上述されているように、概して、「コーン」と呼ばれる場合がある。
【0028】
次に、ブロック520において、各Winston−Lutz画像300における関心の領域が、Winston−Lutz画像300のそれぞれにおいて特定されるコーンまたは放射線場に従って特定される。すなわち、画像300は、実質的にコーンまたはビーム111画像310のみを含めるように切り取られ得、これは、概して、ボール114画像105を含む。
【0029】
次に、ブロック525において、放射線場およびボール中心(例えば、ボール114画像305の中心306、およびビーム111画像310の中心311)が、Winston−Lutz画像300ごとに特定される。
【0030】
次に、ブロック530において、機械的アイソセンタ307、およびビーム中心311が、各々、ブロック510において取得されたWinston−Lutz画像300ごとに定義される。上述されているように、Winston−Lutz画像300は、不都合にも、ビーム111放射線中心311の相互からの逸脱についての情報を欠いているが、機械的アイソセンタおよび放射線アイソセンタに関連するデータを提供する。
【0031】
次に、ブロック535において、ブロック510において取得されたWinston−Lutz画像300ごとに、3次元(3−D)投影マトリクスが決定され得る。すなわち、XYZ座標系が決定され得、そこでは、水平軸が、2次元画像300によって定義される平面上に存在し、鉛直軸が、水平平面または画像300平面に垂直に延在する。各画像300によって定義される平面は、「参照平面」と呼ばれ得る。参照平面は、ビーム中心画像311が作られたときに、画像300ごとに、ガントリ125、コリメータ130および/またはカウチ120などの回転角度に従って定義される。
【0032】
次に、ブロック540において、3−D投影マトリクス、すなわち、3次元ベース座標系が、ユーザ座標系に変換される。ブロック540は、オプションであるが、理解されるように、異なる放射線照射デバイス110は、放射線を照射するために、異なる座標系を規定し得る。従って、ブロック540は、テストを実施した放射線照射デバイス110によって使用される座標系における結果を提供することを可能にする変換を行う。そのような変換は、一般に公知の態様でなされ得る。1つの例において、符号が反転される(例えば、X軸から40度の仕様が−40度となるなど)必要があり得るか、あるいは角度の仕様または距離に対してなされる他の調整がなされる必要があり得る。
【0033】
次に、ブロック545において、ブロック510において取得されたWinston−Lutz画像300ごとに、コントローラ105が、画像300が作られたときのEPID115の表面によって定義される平面に垂直な(すなわち、Winston−Lutz画像に垂直な)直線を特定し、その直線は、画像300についてのビーム中心311を通して描かれる。(上述されているように、放射線ビーム111は、Winston−Lutzボール114を含む水平平面に垂直以外の角度で提供されることが可能であり、その場合、このブロック545において、垂直以外の角度における直線が特定され得る。)再構成されることが可能である合成スターショット400の3つの例は、以下を含む:
1) ガントリ125スターショット400は、図2A図2Fに示されているようなYZ平面において、ビーム111投影像(例えば、ビーム中心画像405)を使用することが可能であり、それらの図において、Yは、ガントリ125に対して水平成分であり、Zは、ガントリ125に対して鉛直成分である。1つの非限定的な実装において、スターショット400は、EPID115の被曝のためだけにそのようなビーム111画像405を再構成し、そこでは、カウチ120およびコリメータ130の角度は、上述されているように、0である(すなわち、カウチ120およびコリメータ130は、回転させられなかった)。しかしながら、上述されているように、カウチ120およびコリメータ130が回転させられなかった例が考えられる。
【0034】
2) カウチスターショット400は、XY平面において、ビーム111投影像(例えば、ビーム中心画像405)を使用することが可能であり、そこでは、Yは、カウチ120に対して水平成分であり、Xは、カウチ120に対して鉛直成分である。カウチ120スターショット400の再構成(すなわち、生成)中に、角度を規定するための記号が、上述されているブロック510における投影値(すなわち、スターショット400におけるビーム中心画像405の各プロット)ごとに反転され得ることに留意されたい。この理由は、デフォルト設定により、Winston−Lutzテストが、典型的には、機械的アイソセンタ420から放射線アイソセンタ415を引く計算をすることによって、機械的アイソセンタ420および放射線アイソセンタ415の変位を測定するからである。しかしながら、カウチ120スターショットについて、関心の計算は、放射線アイソセンタ415から機械的アイソセンタ420を引くものである。1つの非限定的な実装において、スターショット400は、EPID115の被曝のためだけにそのようなビーム111画像405を再構成し、そこでは、ガントリ125およびコリメータ130の角度は、上述されているように、0である(すなわち、ガントリ125およびコリメータ130は、回転させられなかった)。しかしながら、上述されているように、カウチ120およびコリメータ130が回転させられなかった例が考えられる。
【0035】
3) コリメータ130スターショット400は、XY平面において、ビーム111(例えば、ビーム中心画像405)投影像を使用することが可能であり、そこでは、Yは、コリメータ130に対して水平成分であり、Xは、コリメータ130に対して鉛直成分である。1つの非限定的な実装において、スターショット400は、EPID115の被曝のためだけにそのようなビーム111画像405を再構成し、そこでは、ガントリ125およびカウチ120の角度は、上述されているように、0である(すなわち、ガントリ125およびカウチ120は、回転させられなかった)。しかしながら、上述されているように、カウチ120およびガントリ125が回転させられなかった例が考えられる。
【0036】
次に、ブロック550において、コントローラ105は、合成スターショット400を分析する。例えば、放射線アイソセンタからの逸脱の決定は、複数の方法で(例えば、ビーム中心線405のそれぞれの上の少なくとも1点を通りかつ/または囲む、可能な限り小さい円410などによって)表され得る。他のデータ(例えば、(エラーを起こしやすい手動配置によってのみスターショット上に以前は位置づけ可能な)機械的アイソセンタ420、機械的アイソセンタ420と放射線アイソセンタ415との間の距離など)が指し示され得る。放射線アイソセンタからの逸脱を決定することの他の例は、他の公知技術の中で、ANSI N449.1において定義されているような円の縁交差と、最も遠いビーム交差距離と、ユーザが定義した中心までの最大垂直距離と、機械的アイソセンタからビーム交差点の重心までの距離とを決定することであるが、これに限定されない。
【0037】
ブロック550の後、プロセス500は、終了する。
【0038】
本明細書において議論されているようなコンピューティングデバイスは、概して、それぞれ、1つ以上のコンピューティングデバイス(例えば、上で特定されるコンピューティングデバイス)によって実行可能な命令、および、上述されているプロセスのブロックまたはステップを成し遂げるための命令を含む。コンピュータ実行可能命令は、様々なプログラミング言語および/または技術(Java(登録商標)、C、C++、Visual Basic、Java(登録商標) Script、Perl、HTMLなどを含む(単独またはそれらの組み合わせ)が、これらに限定されない)を使用して作り上げられるコンピュータプログラムからコンパイルまたは解釈される。概して、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)は、例えばメモリ、コンピュータ読み取り可能な媒体などから、命令を受信し、それらの命令を実行し、それによって、1つ以上のプロセス(本明細書に記載されているプロセスのうちの1つ以上を含む)を行う。そのような命令および他のデータは、様々なコンピュータ読み取り可能な媒体を使用して格納および伝送され得る。コンピューティングデバイス内のファイルは、概して、コンピュータ読み取り可能な媒体(例えば、記憶媒体、ランダムアクセスメモリなど)上に格納されたデータの収集物である。
【0039】
コンピュータ読み取り可能媒体は、データ(例えば、命令)を提供することに関与する任意の媒体を含み、このデータは、コンピュータによって読み取られ得る。そのような媒体は、多くの形態(不揮発性媒体、揮発性媒体などを含むが、これらに限定されない)をとり得る。不揮発性媒体は、例えば、光ディスクまたは磁気ディスクおよび他の永続メモリを含む。揮発性媒体は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)を含み、ダイナミックランダムアクセスメモリは、典型的には、メインメモリを構成する。コンピュータ読み取り可能媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の磁気媒体、CD−ROM、DVD、他の光媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有する他の物理的な媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH−EEPROM、他のメモリチップまたはカートリッジ、あるいはコンピュータが読み取り可能である他の媒体を含む。
【0040】
本明細書に記載されている媒体、プロセス、システム、方法などに関して、そのようなプロセスなどのステップが、特定の順序づけられた配列に従って発生するように記載されたが、そのようなプロセスは、本明細書に記載されている順序以外の順序で行われる記載されたステップとともに実施されることが可能であることが理解されるべきである。特定のステップが同時に行われることが可能であること、他のステップが付加されることが可能であること、または本明細書に記載されている特定のステップが省略されることが可能であることがさらに理解されるべきである。言い換えれば、本明細書におけるシステムおよび/またはプロセスの記載は、特定の実施形態を示す目的のために提供され、決して、開示された主題を限定すると解釈されるべきではない。
【0041】
従って、上の記載が、例証を意図するものであって、限定を意図するものではないことを理解されたい。上の記載を読むと、提供された例以外の多くの実施形態および用途が当業者に明らかである。本発明の範囲は、上の記載を参照せずに決定されるべきであるが、代わりに、本明細書に添付されかつ/または本願に基づいた非仮特許出願に含められた特許請求の範囲を、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲と一緒に、参照して決定されるべきである。本明細書に記載されている当該技術分野において今後発展が起こることと、開示されたシステムおよび方法がそのような今後の実施形態に組み込まれることとが予期および意図される。要するに、開示された主題は、改変および変形することが可能であることが理解されるべきである。
【要約】      (修正有)
【課題】放射線療法システムにおける合成スターショットを提供する。
【解決手段】第1の組の画像における各画像は、放射線のビームによる画像取込デバイスの各被曝を含み、放射線照射システム100の複数の構成要素のそれぞれは、各被曝中、3次元座標系に対してそれぞれ規定の方向付けで存在する。各ビーム画像は、各第1の画像上に示されている放射線ビーム111の中心を通してかつ第1の画像に対して所定の角度で直線を描くことによって被曝のそれぞれから再構成される。再構成されたビーム画像は、第2の画像上で組み合わせられる。
【選択図】図2A
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5