特許第6009803号(P6009803)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6009803
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】防水機器に用いられる蓋装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/08 20060101AFI20161006BHJP
   G03B 17/02 20060101ALI20161006BHJP
   G03B 17/56 20060101ALI20161006BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   G03B17/08
   G03B17/02
   G03B17/56 Z
   H04N5/225 E
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-105315(P2012-105315)
(22)【出願日】2012年5月2日
(65)【公開番号】特開2013-235031(P2013-235031A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2015年4月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(72)【発明者】
【氏名】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 直樹
【審査官】 越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−190932(JP,A)
【文献】 特開平04−254321(JP,A)
【文献】 特開昭57−195967(JP,A)
【文献】 実開平07−025364(JP,U)
【文献】 特開平09−269069(JP,A)
【文献】 特開昭62−148255(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3006017(JP,U)
【文献】 特開平05−306778(JP,A)
【文献】 特開2000−055206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/08
G03B 17/02
G03B 17/56
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水機器に用いられる蓋装置において、
上記防水機器の外観の一部に設けられ外部に対する防水性を必要とし外部からアクセサリが挿入される挿入口を有する凹部であって、上記挿入口に挿入される上記アクセサリの挿入方向に対して交差する面と平行に上記挿入口の口元全周に亘って設けられたリング状の第1の面と、挿入口に挿入されるアクセサリの挿入方向に対して平行に挿入口の口元全周に亘って設けられた第2の面とを有する凹部と、凹部を覆い防水するゴム材からなる蓋状部材であり略平板に形成された平板部と、上記蓋状部材が上記凹部を覆ったとき、上記平板部の一方の面上の縁部全周に亘ってリング状に形成された突起状の形を有し上記突起の頂点部分が上記第1の面と当接する環状の第1のシール部分と、上記平板部の外周端面全周に亘ってリング状に形成された突起状の形を有し上記突起の頂点部分が上記第2の面と当接するリング状の第2のシール部分とを有する蓋手段と、
上記蓋手段の中にインサートされて配置された板状の剛性部材であって、上記第1のシール部分の突起底辺全域を支える第1の剛性部分と、
上記蓋手段の中にインサートされて配置された矩形板状の剛性部材であって、上記第1の剛性部分の平面における外形寸法より小さく上記第1の剛性部分と平行に配置され、上記板状剛性部材の端面の全周が上記第2のシール部分の突起底辺全域と上記ゴム部材を介して対向するように上記第2のシール部分の突起底辺部分を支える第2の剛性部分と、
を具備することを特徴とする防水機器に用いられる蓋装置。
【請求項2】
上記2つの剛性部分は金属から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の防水機器に用いられる蓋装置。
【請求項3】
上記第1の剛性部分と上記第2の剛性部分とが一体に形成された剛性部材が上記蓋手段の中にインサートされていることを特徴とした請求項1又は請求項2に記載の防水機器に用いられる蓋装置。
【請求項4】
上記第1のシール部分と上記第2のシール部分とを連結するゴム部分は上記第1のシール部分と上記第2のシール部分のそれぞれが、上記開口を覆ったときに相対的に変位可能になるように薄膜状に構成されていることを特徴とする上記請求項1乃至3記載の防水機器に用いられる蓋装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、防水機器に用いられる蓋装置において、防水性能の向上と安定化に寄与する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラ等の電子機器においては、機器の外面を覆う箱形状の外装部材と、この外装部材の内部に設けられる各種の構成部材等によって形成されているのが普通である。そして、外装部材内部に配設されている構成部材に対して外部からのアクセスを許容するために、外装部材の一部を開閉可能に構成した蓋装置を備えて構成されるものがある。このような蓋装置は、例えば上記外装部材内部に形成される電池室や記録媒体収納室等の開口部若しくは外部機器接続用コネクタ等の配設部等を開閉するために用いられる。
【0003】
一方、上述のような蓋装置を備えた電子機器においては、近年、生活防水を備えたものや、水中環境下等でも使用し得るような防水機能を具備するものが一般に普及している。この種の防水機能を備えた防水機器に用いられる蓋装置としては、例えば特開2011−190932号公報等に開示されている電子機器のように、蓋装置を構成する蓋部材に防水ゴムを備え、蓋部材を閉位置に配置した時に防水ゴムが圧縮変形することによって、外装部材の開口部等から内部への水等の浸入を抑えるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−190932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特開2011−190932号公報等によって開示されている手段では、蓋部材を閉位置に配置した時に防水ゴムの縦方向(スラスト方向)と横方向(ラジアル方向)のそれぞれに芯材(204f)による圧縮力が伝わらず防水ゴムの圧縮状態が安定しない。これによって、当該手段では、所定の防水性能を安定して保持することができないという問題点がある。
【0006】
特に水中環境下等で使用する防水機器においては、水深によって機器にかかる水圧が上昇することから、さらに高い防水性能を要求される場合には、上記公報等に開示されている従来の手段では対応できないという問題点がある。
【0007】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、防水機器に用いられる蓋装置において、防水性能の向上と安定化に寄与し得る構造を具備する蓋装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様の防水機器に用いられる蓋装置は、上記防水機器の外観の一部に設けられ外部に対する防水性を必要とし外部からアクセサリが挿入される挿入口を有する凹部であって、上記挿入口に挿入される上記アクセサリの挿入方向に対して交差する面と平行に上記挿入口の口元全周に亘って設けられたリング状の第1の面と、上記挿入口に挿入される上記アクセサリの挿入方向に対して平行に上記挿入口の口元全周に亘って設けられた第2の面とを有する凹部と、上記凹部を覆い防水するためのゴム材からなる蓋状部材であり略平板に形成された平板部と上記蓋状部材が上記凹部を覆ったとき上記平板部の一方の面上の縁部全周に亘ってリング状に形成された突起状の形を有し上記突起の頂点部分が上記第1の面と当接する環状の第1のシール部分と上記平板部の外周端面全周に亘ってリング状に形成された突起状の形を有し上記突起の頂点部分が上記第2の面と当接するリング状の第2のシール部分とを有する蓋手段と、上記蓋手段の中にインサートされて配置された板状の剛性部材であって上記第1のシール部分の突起底辺全域を支える第1の剛性部分と、上記蓋手段の中にインサートされて配置された矩形板状の剛性部材であって上記第1の剛性部分の平面における外形寸法より小さく上記第1の剛性部分と平行に配置され上記板状剛性部材の端面の全周が上記第2のシール部分の突起底辺全域と上記ゴム部材を介して対向するように上記第2のシール部分の突起底辺部分を支える第2の剛性部分とを具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、防水機器に用いられる蓋装置において防水性能の向上と安定化に寄与し得る構造を具備する蓋装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態の蓋装置を用いた防水機器の正面図
図2図1の防水機器において蓋装置を開位置に配置した状態の正面図
図3図2の矢印[3]方向から見た開口部の要部拡大図
図4図1の[4]−[4]線に沿う要部拡大断面図
図5図4の符号[8]で示す部位の要部拡大断面図
図6】本発明の一実施形態の蓋装置のみを取り出して拡大して示す分解斜視図
図7図6の蓋装置の内側面の拡大正面図
図8図7の[8]−[8]線に沿う断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。本発明の一実施形態は、本発明をの蓋装置を適用する防水機器として、例えば光学レンズにより形成される光学像を固体撮像素子を用いて光電変換し、これによって得られる画像信号を静止画像や動画像を表わすデジタルデータとして記録媒体に記録し、また記録媒体に記録済みのデジタル画像データに基いて静止画像や動画像を表示装置を用いて再生表示し得るように構成され、防水機能付きカメラを例示するものである。
【0012】
また、本実施形態においては、カメラの使用時に被写体に対向する面をカメラの前面というものとする(図1の符号FRで示す)。カメラの使用時に使用者が対向する面をカメラの背面というものとする。また、操作部材のうちシャッターレリーズボタンが配設されている面を上面というものとする。そして、カメラの上面に対向する面を底面というものとする(図1の符号BTで示す)。さらに、カメラの通常の使用状態で両側に配置される面を左側面及び右側面というものとする。この場合における左右の判別は、被写体側からカメラの前面に向かって見たときの左側又は右側をそれぞれ左又は右として区別する。
【0013】
なお、以下の説明に用いる各図面においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各構成要素毎に縮尺を異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、これらの図面に記載された構成要素の数量,構成要素の形状,構成要素の大きさの比率及び各構成要素の相対的な位置関係は、図示の形態のみに限定されるものではない。
【0014】
まず、本発明の一実施形態の蓋装置を用いた防水機器(カメラ)の概略構成を図1図5を用いて以下に説明する。図1図2は、本発明の一実施形態の蓋装置を用いた防水機器(カメラ)を示す外観正面である。このうち、図1は蓋装置を閉位置に配置した状態を示している。また、図2は蓋装置にを開位置に配置した状態を示している。図3は、図2の状態の防水機器(カメラ)の底面の開口部を図2の矢印[3]方向から見た際の要部拡大図である。図4は、図1の[4]−[4]線に沿う要部拡大断面図である。つまり、図1の防水機器(カメラ)の開口部周辺の断面を右側方から見た際の図である。図5は、図4の符号[8]で示す部位の要部拡大断面図である。つまり、本実施形態の蓋装置の防水ゴムと防水機器本体(筐体)との接触部位の断面をさらに拡大して示す図である。
【0015】
本実施形態の蓋装置が適用されるカメラ1は、防水機能を有して構成される防水機器である。カメラ1は、図1図2に示すように、全体が箱形状に形成され、機器の主要本体部(機器本体)を構成する外装筐体10と、この外装筐体10に形成される凹部からなるアクセサリ開口部10e(図3参照)を開閉する蓋装置21と、上記外装筐体10の内部に収納配置される各種の構成部材等によって構成される。
【0016】
外装筐体10は、カメラ1の外殻を形成する部材であり、その内部に各種の構成ユニットを収納配置している。外装筐体10の、外表面上には、内部構成ユニットの一部を露呈させるための開口部(10a,10b,10e等)が形成され、また、各種の操作を行なうための複数の操作部材(12,13等)が各々所定の部位に配設されている。
【0017】
具体的には、例えば外装筐体10の前面側FRには、略中央部に撮影光学系20を露呈させる撮影用開口10aが形成されている。また、外装筐体10の前面側FRにおいて、向かって右側の上縁寄りの部位には閃光発光装置の照明部を露呈させる照明光出射用開口10bが形成されている。なお、撮影用開口10a,照明光出射用開口10bの前面には透明部材が水密的に固定配置されている。したがって、当該開口(10a,10b)から内部への水等の侵入は防止されている。また、外装筐体10の上面には、複数の操作部材のうちシャッターリリースボタン12や電源ボタン13等が配設されている。
【0018】
一方、カメラ1の底面側BTには、図3図4に示すように、電池14を収納する電池室と、記録媒体15を収納する記録媒体収納室とを兼ねる開口であって、電池14,記録媒体15等のアクセサリ開口部10eが形成されている。
【0019】
なお、ここで、電池14,記録媒体15等は、防水機器1の内部に収納されることで当該防水機器1の一構成部材となる。このように、カメラ1に対して着脱自在に設けられる構成部材は、一般にアクセサリと呼ばれている。したがって、本実施形態のカメラ1において、アクセサリ開口部10eは、外部からアクセサリを挿入するアクセサリ挿入口となっている。アクセサリ開口部10eは、アクセサリの着脱を実現するために蓋装置21によって開閉自在となっている。ここで、蓋装置21が閉位置に配置された状態(図1の状態)において、蓋装置21の外表面と外装筐体10(の底面側BT)の外表面とが略面一となるように、蓋装置21及び外装筐体10は構成されている。
【0020】
また、図4に示すように、カメラ1の内部において、記録媒体15の近傍には、メイン基板16や、この基板16上に実装される実装部品16a、固定フレーム部材17、液晶表示パネル18等の内部構成部材が配置される。
【0021】
カメラ1の背面側は、外装筐体10の一部を構成する背面カバー10dによって覆われており、背面カバー10dに穿設された開口部(不図示)より液晶表示パネル18の表示面が外部に露呈するように構成されている。なお、図4において、液晶表示パネル18の周縁部と背面カバー10dとの間には防水性を備えた緩衝材18aが配置されている。
【0022】
カメラ1の前面側は、外装筐体10の一部を構成する前面カバー10cによって覆われている。図4に示すように、上記凹部11は、前面カバー10cの底面側の一部に形成されている。そして、前面カバー10cと背面カバー10dの接続部位には、防水ゴム19が挟持されてカメラ内部の防水性が保持されている。
【0023】
なお、本実施形態のカメラ1においては、前面カバー10cの外面側の外装板として前側メタルカバー10f,10gが配設されている。これらの前側メタルカバー10f,10gも、外装筐体10の一部を構成する部材としている。したがって、図4においては、前側メタルカバー10f,10gを明示しているが、図1図2においては、外面に露呈する部分全体を外装筐体であるものとし、それに対し、代表符号10を附して図示を簡略化している。
【0024】
また、アクセサリ挿入口であるアクセサリ開口部10eは、カメラ1を防水機器として成立させるために、外部に対して防水性を必要とする部位である。したがって、アクセサリ開口部10eにおける防水機能を実現するために、外装筐体10のアクセサリ開口部10eには、リング状に形成される第1の面であるスラスト方向防水面10sと、第2の面であるラジアル方向防水面10rとによって形成される凹部11(図3図5参照)が設けられている。この凹部11に対して蓋装置21の一部が嵌合配置される。これによって、蓋装置21の外表面と外装筐体10(の底面側BT)の外表面とが略面一となる。
【0025】
凹部11は、本実施形態の防水機器であるカメラ1の外観の一部(底面側BTの所定の部位)に設けられている。凹部11は、アクセサリ開口部10e(挿入口)に挿入されるアクセサリ(電池14,記録媒体15等)の挿入方向に対して交差する面(即ちアクセサリ開口部10eの開口面)と平行にアクセサリ開口部10e(挿入口)の口元全周に亘って設けられたリング状の第1の面であるスラスト方向防水面10sと、アクセサリ開口部10e(挿入口)に挿入されるアクセサリ(電池14,記録媒体15等)の挿入方向に対して平行に挿入口の口元全周に亘って設けられた第2の面であるラジアル方向防水面10rとを有する。
【0026】
上述の如く、上記カメラ1は、底面側BTの所定の部位であって、外装筐体10の一部であるアクセサリ開口部10eを開閉する構成ユニットである蓋装置21を有している。この蓋装置21は、外装筐体10の凹部11のアクセサリ開口部10eを外部に対して露呈する開位置(図2参照)と、凹部11に嵌合配置されてアクセサリ開口部10eを外部に対して水密的に遮蔽する閉位置(図1参照)との間で変位し得るように構成されている。具体的には、蓋装置21は、外装筐体10の固定部に対して軸部材21dd(図2参照)を回動中心として図2の矢印R方向に回動自在に軸支されている。
【0027】
次に、上記カメラ1における蓋装置21の詳細構成を以下に説明する。なお、図6は、本発明の一実施形態の蓋装置のみを取り出して拡大して示す分解斜視図である。図7は、図6の蓋装置の内側面を拡大して示す正面図である。図8は、図7の[8]−[8]線に沿う断面図である。
【0028】
上記カメラ1における蓋装置21は、上述したように、一端が外装筐体10の固定部に対して軸部材21dd(図2参照)を回動中心として図2に示す矢印R方向に沿って回動自在となるように軸支されている。蓋装置21は、図1の閉位置に配置したときにはアクセサリ開口部10eを遮蔽し、図2の開位置に配置したときにはアクセサリ開口部10eを露呈させるように作用する。
【0029】
アクセサリ開口部10eは、上述したように、外装筐体10の内部に形成される電池室及び記録媒体収納室の開口であり電池14,記録媒体15の挿入口である。電池室及び記録媒体収納室には、例えば着脱式の充電式バッテリー(電池14)や着脱式のメモリカード(記録媒体15)等が配設される。そして、蓋装置21を図2の開位置に配置したとき、これらの電池14,記録媒体15等を外装筐体10の内部の電池室及び記録媒体収納室に対して着脱することができるように構成されている。
【0030】
図6図8に示すように、蓋装置21は、蓋部材22と、蓋ロック機構を構成する複数部材(23,24等)と、平板部材25と、シール部材26と、軸部材21dd(不図示;図2参照)と、複数(本実施形態では二本)のビス27a,27b等によって主に構成されている。
【0031】
蓋部材22は、蓋装置21を外装筐体10に対して閉位置に配置したとき外装筐体10の底面側BTの一部を構成する。蓋部材22は、一面が開口した略箱型状に形成される。蓋部材の一端部には、軸部材21ddが貫通配置される貫通穴22dを有しヒンジ部を形成する二本の腕部22cが形成されている。この二本の腕部22cの間に外装筐体10の固定部(不図示)が配置される。この状態において、上記固定部には、上記二本の腕部22cの貫通孔22dに連通する貫通孔が形成されている。したがって、二本の腕部22cの間に外装筐体10の固定部(不図示)を配置した状態で、貫通孔22dに対して固定部の貫通孔を介して上記軸部材21ddが挿通配置される。これの構成により、蓋部材22は、軸部材22dを回動中心として外装筐体10に対して回動自在に軸支される。
【0032】
シール部材26は、蓋装置21を閉位置に配置したときに、上記凹部11に嵌合してアクセサリ開口部10eを覆い、上記蓋部材22と上記アクセサリ開口部10eの凹部11との間の水密的な遮蔽状態を保持し防水するために設けられる蓋状部材であり蓋手段である。シール部材26は、例えば弾性を有するゴム状部材(シリコーン樹脂等)等によって形成される。上記蓋装置21においては、シール部材26が上記凹部11の二つの面(第1の面であるスラスト方向防水面10s及び第2の面であるラジアル方向防水面10r)のそれぞれに押圧されることによって防水機能が実現されるように構成されている。
【0033】
そのために、シール部材26は、平板部26aと、第1のシール部分26sと、第2のシール部分26rとが一体に形成されてなる。
平板部26aは、略平板に形成され蓋部材22のアクセサリ開口部10eの開口面積と略同等の面積を有し、蓋装置21を閉位置に配置したとき上記アクセサリ開口部10eを覆い得るような形状に形成される。平板部26aは、主にゴム部材によって形成される部分である。
【0034】
第1のシール部分26sは、平板部26aの一方の面上において周縁部近傍の全周に亘ってリング状に形成され、かつアクセサリ開口部10e(挿入口)に挿入されるアクセサリ(電池14,記録媒体15等)の挿入方向に対して平行な方向に突設される突起形状を有し、蓋装置21を閉位置に配置したとき、上記突起の頂点部分が上記第1の面であるスラスト方向防水面10sに圧接される部分である。
【0035】
第2のシール部分26rは、平板部26aの外周端面全周に亘ってリング状に形成され、かつアクセサリ開口部10e(挿入口)に挿入されるアクセサリ(電池14,記録媒体15等)の挿入方向に対して交差する面(即ちアクセサリ開口部10eの開口面)と平行な方向に突設される突起形状を有し、蓋装置21を閉位置に配置して上記第1のシール部分26sが上記スラスト方向防水面10sに圧接した状態となったとき、上記突起の頂点部分が上記第2の面であるラジアル方向防水面10rに圧接される部位である。なお、図面には、第1,第2のシール部分26s,26rが非圧縮の状態で示されているが、これは説明のために、そのように図示しているものである。実際には、第1,第2のシール部分26s,26rは、スラスト方向防水面10s,ラジアル方向防水面10rに圧接して圧縮状態となる。
【0036】
シール部材26の内部には、2つの板状の剛性部材(26b,26c)がインサートされて配設されている。つまり、2つの板状の剛性部材(26b,26c)の外面はシール部材26によって被覆されており、これによりシール部材26のゴム材部分と2つの剛性部材との両者は一体成型部品として構成されている。
【0037】
上記2つの板状の剛性部材(26b,26c)は、それぞれが剛性を有する略矩形状の板部材からなり、蓋装置21自体の機械的強度を補強する補強部材として機能すると同時に、上記第1のシール部分26sと第2のシール部分26rとを支えることにより、安定した防水機能を確保するために配設されている。
【0038】
上記2つの板状剛性部材(26b,26c)のうち、第1の剛性部材26bは、第1のシール部分26sの突起底辺全域を支える第1の剛性部分を有している。したがって、第1の剛性部材26bが第1のシール部分26sを支えることによってスラスト方向の安定した圧縮力が確保される。
【0039】
また、上記2つの板状剛性部材(26b,26c)のうち、第2の剛性部材26cは、矩形板状の剛性部材からなり、第2のシール部分26rの突起底辺部分を支える第2の剛性部分を有している。したがって、第2の剛性部材26cが第2のシール部分26rを支えることによってラジアル方向の安定した圧縮力が確保される。そのために、第2の剛性部材26cは、第1の剛性部材26bの平面における外形寸法よりも、図5の符号Bで示す寸法分だけ小さい。つまり、アクセサリ開口部10eにおいて防水機能を実現するためのラジアル方向の圧縮力を確保するためには、第2の剛性部材26cの端面と第2のシール部分26rの先端との寸法は、図5の符号Aで示す寸法だけ必要となる、これにより、第2の剛性部材26cは、第1の剛性部材26bよりおも外形寸法が符号Bで示す寸法だけ小さくなるように設定される。
【0040】
また、第2の剛性部材26cは、図5に示すように、第1の剛性部材26bとはアクセサリ挿入方向に平行に所定の間隔を置いて配置されている。なお、本実施形態においては、蓋装置21の閉状態において、第1の剛性部材26bが内側に、第2の剛性部材26cが外側に、それぞれ配置されるように構成している。そして、第2の剛性部材26cは、端面の全周が第2のシール部分26rの突起底辺全域に対してシール部材26のゴム部を介して対向するように配置されている。
【0041】
さらにまた、第1のシール部分26sと第2のシール部分26rとを連結するシール部材26のゴム部分は、第1のシール部分26sと第2のシール部分26rとのそれぞれが凹部11に嵌合し、アクセサリ開口部10eを覆ったときに相対的に変位可能になるように、かつそれぞれの圧縮変形が互いに他方の突起へと影響を及ぼさないように、図5に示す連結部分26tが薄膜状に形成されている。
【0042】
なお、本実施形態の蓋装置21におけるシール部材26にインサートされる部材26b,26cとしては、ステンレス(SUS)等の金属部品は勿論のこと、それ以外の素材、例えばセラミック等によってもよい。さらに、金属板状部材としてアルミ板でもよく合成樹脂等によってもよい。合成樹脂等としても、比較的に強度の高いフェノール樹脂等を用いてもよい。また、その他の素材、例えばガラス繊維入りの熱可塑性の合成樹脂等を採用することも考えられる。
【0043】
また、本実施形態の蓋装置21におけるシール部材26においては、そのインサートされる部材を、上記第1の剛性部分と上記第2の剛性部分とをそれぞれ別に有する別体の薄板部材を有して形成した構成例を示している。しかし、このような形態に限られることはなく、例えばシール部材26(蓋手段)の内部にインサートされた一部材が、上記各剛性部分を有して形成するようにしてもよい。つまり、例えば、部材26bと部材26cとを一体として形成するようにしてもよい。
【0044】
このように構成されたシール部材26は、平板部材25の一面に載置した状態で、該平板部材25と共に、蓋部材22に対して27a,27bによってビス止め固定されている。即ち、シール部材26と蓋部材22との間には、両者に挟まれるようにして、例えば金属等の素材によって形成される平板部材25等が配設される。
【0045】
さらに、蓋部材22内に形成される凹状隔壁内の所定の位置には、本蓋装置21を閉位置に配置した時に、その閉状態を維持するための蓋ロック機構を構成する構成部材(23,24等;後述)が設けられている。
【0046】
蓋ロック機構は、二つの操作部材(第一操作部材23,第二操作部材24)を有して構成される。このうちの第一操作部材23は、蓋部材22に対して図6に示す矢印X方向(カメラ1の左右方向)にスライド移動可能に配設されている。そのために、第一操作部材23には外装筐体10の外部に露呈する第一操作ツマミ(不図示)が形成されている。この第一操作ツマミは蓋部材22に穿設された孔部22fから外部に露呈している。
【0047】
また、第一操作部材23の一端には係止爪部23aが形成されている。この係止爪部23aは、蓋部材22の他端に形成された切欠部22eに対応する部位に配置される。また、第一操作部材23は、不図示の付勢部材によって蓋部材22に対して図6に示す矢印X方向のうち係止爪部23aを切欠部22eから外部に向けて突出させる方向に付勢されている。
【0048】
さらに、第一操作部材23にはクリック凸部23bが形成されている。このクリック凸部23bは、平板部材25の第一クリックばね部25eと連繋して、第一操作部材23がスライド移動する際に所定の移動位置でクリック感を持たせるようにしている。
【0049】
したがって、通常状態において、係止爪部23aの先端部は、蓋部材22の切欠部22eから外部に突出した状態(図2参照)となっている。そして、蓋装置21が閉位置に配置される時には、係止爪部23aが外装筐体10のアクセサリ開口部10e近傍の壁面に当接した状態で押圧されると、係止爪部23aは付勢部材の付勢力に抗して蓋部材22の内部に一旦引き込まれ、次いで、同壁面に形成される凹状の被係止部(不図示)に係合する。これによって、蓋装置21は閉位置で係止されるように構成されている。
【0050】
一方、第二操作部材24は、蓋部材22に対して図6に示す矢印Y方向(カメラ1の前後方向)にスライド移動可能に配設されている。そのために、第二操作部材24には外装筐体10の外部に露呈する第二操作ツマミ24aが形成されている。この第二操作ツマミ24aは蓋部材22に穿設された孔部22gから外部に露呈している。
【0051】
また、第二操作部材24には係止部24cが形成されている。この係止部24cは、第一操作部材23に形成された被係止部23cに対応する部位に配置される。したがって、第二操作部材24が所定の位置にスライド移動された時、係止部24cが第一操作部材23の被係止部23cを係止することによって、第一操作部材23のスライド移動を阻止する役目をしている。したがって、第二操作部材24のスライド操作を行うことによって、第一操作部材23のスライド移動を係止若しくは解除することができるようになっている。
【0052】
なお、第二操作部材24にもクリック凸部24bが形成されている。このクリック凸部24bは、平板部材25の第二クリックばね部25dと連繋して、第二操作部材24がスライド移動する際に所定の移動位置でクリック感を持たせるようにしている。
【0053】
ビス27a,27bは、シール部材26を、平板部材25,蓋ロック機構を介在させた状態で、蓋部材22に対してネジ止め固定するための締結部材である。そのために、蓋部材22には、ビス27a,27bのそれぞれに対応させて、ビス孔22a,22bを有するボス部が形成されている。ここで、ビス27aは、シール部材26の孔26d,平板部材25の孔25aを挿通して蓋部材22のビス孔22aに螺合する。ビス27bは、シール部材26の孔26e,平板部材25の孔25b,第一操作部材23の孔23dを挿通して蓋部材22のビス孔22bに螺合する。この場合において、第一操作部材23の孔23dは、第一操作部材23のX方向へのスライド移動を許容するための形状、例えば同方向に長軸を有する長孔形状等となるように形成されている。
【0054】
なお、図示を省略しているが、蓋装置21が外装筐体10に取り付けられた状態では、蓋装置21は、常に開位置となるように、例えばコイルバネ等の付勢部材によって開方向へ付勢されている。
【0055】
このように構成された本実施形態の蓋装置21の作用を、以下に簡単に説明する。
まず、蓋装置21がカメラ1の外装筐体10に対して開位置にある状態(図2に示す状態)において、矢印R方向に蓋装置21を閉位置へ向けて回動させる。蓋装置21は、軸部材21ddを回動中心として回動し、やがて、蓋装置21はアクセサリ開口部10eを覆う位置へと変位する。さらに、蓋装置21の同方向への回動を続けると、蓋装置21のシール部材26がアクセサリ開口部10eに嵌合する。このときは、まず第2のシール部分26rの突起先端がラジアル方向防水面10rに沿ってラジアル方向の圧縮力を受けながら挿入方向に移動する。やがて、第1のシール部分26sの突起先端がスラスト方向防水面10sに当接し圧縮される。このとき、第1のシール部分26sの突起先端は蓋装置21の外周側に向けて圧接変形される。そのために、凹部11には、第1のシール部分26sの圧縮変形による逃げ部が設けられているので、第1のシール部分26sの突起先端に無理な過負荷が加わることなく、安定した形状に圧縮変形する。これにより、安定した圧縮力が得られる。
【0056】
そして、蓋装置21が所定の閉位置に配置されると、蓋ロック機構を操作して蓋装置21が不用意に開位置へと移動してしまわないようにロックがかけられる。
【0057】
蓋装置21を閉位置から開位置へと移動させる際には、上記蓋ロック機構を操作して蓋装置21のロック状態を解除する。すると、蓋装置21は、図2の矢印R方向に沿って開位置へと向けて回動し得る状態になる。蓋装置21を開位置へ配置させる際には、まず、第2のシール部分26rの突起先端がラジアル方向防水面10rに沿ってラジアル方向の圧縮力を受けながら挿入方向とは反対方向に移動する。同時に、第1のシール部分26sの突起先端がスラスト方向防水面10sから離間して元の形状に復帰する。
【0058】
以上説明したように上記一実施形態によれば、外装筐体10のアクセサリ開口部10eを有する凹部11に対し、蓋装置21を嵌合させてアクセサリ開口部10eを覆った状態としたとき、アクセサリ開口部10eのスラスト方向防水面10sに対して蓋装置21のシール部材26の第1のシール部分26sを圧接させ、アクセサリ開口部10eのラジアル方向防水面10rに対して蓋装置21のシール部材26の第2のシール部分26rを圧接させることで、アクセサリ開口部10eの防水を実現している。この場合において、蓋装置21のシール部材26は、ゴム部材に2つの剛性部材(26b,26c)をインサート成型して一体に形成している。そして、第2の剛性部材26cは、第1の剛性部材26bの平面における外形寸法よりも、図5の符号Bで示す寸法分だけ小さく、かつ第1の剛性部材26bとはアクセサリ挿入方向に平行に所定の間隔を置いて配置している。
【0059】
このような構成により、本実施形態の蓋装置21によれば、シール部材26における第1のシール部分26s,第2のシール部分26rを、アクセサリ開口部10eのスラスト方向防水面10s,ラジアル方向防水面10rに対し、より安定した圧縮力で圧接させることができる。したがって、カメラ1の防水性能の向上を図ることができると共に、防水機能の安定化に寄与することができる。
なお、本実施形態においては、蓋装置21が配置される凹部11(アクセサリ開口部10e)として、電池14,記録媒体15の挿入口を例示しているが、この例に限られることはない。これ以外の例としては、例えば、外部機器接続用コネクタ等が配設される凹部を覆う蓋装置に対して全く同様に適用することができ、本実施形態のカメラ1においても、図面上に明示していないが、同様の構成からなるコネクタ用蓋装置がカメラ1の右側面に配設されている。
【0060】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施し得ることが可能であることは勿論である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、デジタルカメラ等の撮影用機器に限られることはなく、防水機能を備えた他の形態の電子機器、例えば携帯電話,録音機器,電子手帳,パーソナルコンピュータ,ゲーム機器,テレビ,時計,GPS(Global Positioning System)を利用したナビゲーション機器等、各種の防水機能を備えた各種の電子機器に対して広く適用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1……カメラ,
10……外装筐体,10a……撮影用開口,10b……照明光出射用開口,10c……前面カバー,10d……背面カバー,10e……アクセサリ開口部,10f,10g……前側メタルカバー,
10r……ラジアル方向防水面,10s……スラスト方向防水面,
11……凹部,20……撮影光学系,
21……蓋装置,21dd……軸部材,22……蓋部材,22a,22b……ビス孔,23……第一操作部材,24……第二操作部材,25……平板部材,
26……シール部材,26a……平板部,26b……第1の剛性部材,26c……第2の剛性部材,26r……第2のシール部分,26s……第1のシール部分,26t……連結部分,
27a,27b……ビス
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