(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)について説明する。また、この実施の形態により、この発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。さらにまた、図面は、模式的なものであり、各部材の厚みと幅との関係、各部材の比率等は、現実と異なることに留意する必要がある。また、図面の相互間においても、互いの寸法や比率が異なる部分が含まれている。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかるレンズ装置が撮像装置に装着されたカメラシステムの外観を前面側から見た斜視図である。
図2は、本発明の実施の形態1にかかるレンズ装置が撮像装置に装着されたカメラシステムの側面図である。
図3は、本発明の実施の形態1にかかるレンズ装置が撮像装置に装着されたカメラシステムの背面図である。
図4は、
図1のA−A線断面図である。なお、
図1〜
図4において、撮像装置の固有の座標系として、撮像装置の幅方向をX軸、撮像装置の厚み方向をY軸、撮像装置の鉛直方向をZ軸とする。さらに、
図1〜
図4において、被写体側を前方側とし、撮影者(背面)側を後
方側として説明する。
【0015】
図1〜
図4に示すカメラシステム1は、被写体を撮像し、この被写体の画像データを生成する撮像装置100と、撮像装置100に着脱自在に装着されるアダプタ装置200と、アダプタ装置200を介して撮像装置100に着脱自在に装着されるレンズ装置300と、を備える。アダプタ装置200は、アダプタ装置200の後方側に設けられた後方側レンズマウントリング201を、撮像装置100の前方側に設けられたマウントリング101に結合することにより、撮像装置100に装着される。レンズ装置300は、レンズ装置300の後方側に設けられた突起部301を、アダプタ装置200の前方側に設けられた溝部202に嵌合することにより、アダプタ装置200に装着される。これにより、撮像装置100、アダプタ装置200およびレンズ装置300は、一体的に接続される。なお、上述したマウントリングは、たとえばバヨネットタイプであればよい。
【0016】
まず、撮像装置100の構成について説明する。撮像装置100は、略直方体の箱型形状をなす筐体110と、筐体110内に収容され、撮像装置100の各種を制御するカメラ制御基板120と、被写体を撮像するための折り曲げ光学系を有するレンズ鏡筒ユニット130と、を備える。
【0017】
筐体110は、前面、両側面、上面および底面を覆うように形成された前面カバー部材111と、背面側を覆うように形成された後面カバー部材112と、を有する。筐体110は、前面カバー部材111と後面カバー部材112とが互いに対向した状態で結合されることにより、内部に空間を有する略直方体の箱型形状に形成される。
【0018】
前面カバー部材111には、筐体110内に内蔵されるレンズ鏡筒ユニット130に対して被写体光束を入射させるための撮影用窓部材111aと、ストロボ発光装置(図示せず)による光を出射させる発光用窓部111bとが設けられている。また、前面カバー部材111の上面には、撮像装置100の電源をオン状態またはオフ状態に切り替える電源スイッチ111cと、撮像装置100に撮影動作を指示するレリーズスイッチ111dとが設けられている。
【0019】
後面カバー部材112には、撮影モードや操作メニュー等を設定する操作スイッチ部112aと、撮像装置100のズーム倍率を変更するズームスイッチ部112bと、液晶または有機EL(Electro Luminescence)からなる表示パネルによって構成され、画像データに対応する画像を表示する表示部112cと、外力によって表示部112cに生じる衝撃を防止する表示用窓部112dとが設けられている。
【0020】
カメラ制御基板120は、プリント基板を用いて構成される。カメラ制御基板120は、撮像装置100を構成する各部に対応する指示やデータの転送等を行って撮像装置100の動作を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)、ストロボ装置を制御するストロボ発光制御部、画像データに対して画像処理を行う画像処理部(画像処理エンジン)、メモリーカード等の記録媒体に画像データを書き込む記録制御部および手ブレ検出センサ等がプリント基板上に実装される。
【0021】
レンズ鏡筒ユニット130は、所定の視野領域から光を集光し、集光した光を受光して光電変換を行うことにより画像データを生成する。ここで、レンズ鏡筒ユニット130の構造について説明する。
図5は、レンズ鏡筒ユニット130の前面側から見た正面図である。
図6は、
図5のB−B線断面図である。なお、
図6においては、左側が前面側であり、右側が後方側である。
【0022】
図5および
図6に示すように、レンズ鏡筒ユニット130は、所定の視野領域から光を集光する光学系131と、光学系131が集光した光を受光して光電変換を行うことによって画像データを生成する撮像ユニット132と、光学系131および撮像ユニット132を収容するレンズ枠133と、外力によるレンズ枠133に加わる衝撃を緩和するダンパーユニット134と、を備える。
【0023】
光学系131は、前面カバー部材111に設けられた撮影用窓部材111aから入射する被写体光束を光学素子131aによってX軸方向に略直角に折り曲げるとともに、レンズ鏡筒ユニット130の底面に受光面が配置された撮像ユニット132に被写体像を結像する折り曲げ光学系(屈曲光学系)として構成される。なお、本実施の形態1では、光学素子131aとして直角プリズムを例に説明するが、たとえば可変ミラーやレンズ等により構成されてもよい。また、以下の説明において、レンズ装置300および撮影用窓部材111aを透過してレンズ鏡筒ユニット130に入射する被写体光束を第1の光軸L1と
し、第1の光軸L1が光学素子131aによって折り曲げられた光束を第2の光軸L2とする。
【0024】
光学系131の詳細な構成について説明する。光学系131は、被写体光束が入射する入射側から結像側に向けて、光学素子131a(反射部材)を有する負屈折力の第1レンズ群G1と、第2の光軸L2上に配置される正屈折力の第2レンズ群G2と、第2の光軸L2上に配置される負屈折力の第3レンズ群G3と、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間に配置され、撮像ユニット132の状態を露光状態または遮光状態に設定するシャッタ131bと、第2の光軸L2上に配置される正屈折力の第4レンズ群G4と、を有する。
【0025】
第1レンズ群G1は、両凹負レンズr11と、光学素子131aと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズr12とを用いて構成される。第1レンズ群G1は、第1の光軸L1および第2の光軸L2に沿って物体側から、両凹負レンズr11、光学素子131aおよび正メニスカスレンズr12の順に配置される。第2レンズ群G2は、両凸レンズr21と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズr22と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズの接合レンズr23と、両凸正レンズr24とを用いて構成される。第2レンズ群G2は、第2の光軸L2に沿って物体側から、両凸レンズr21、正メニスカス
レンズr22、接合レンズr23および両凸正レンズr24の順に配置される。第3レンズ群G3は、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズr31を用いて構成される。第4レンズ群G4は、両凸正レンズr41を用いて構成される。
【0026】
撮像ユニット132は、レンズ鏡筒ユニット130の下部であって、光学系131の下方に配置される。撮像ユニット132は、光学系131が集光した光を受光して光電変換することによって画像データを生成する撮像素子132aと、撮像素子132aを保持する撮像素子枠132bと、撮像素子132aの前面に設けられた光学ローパスフィルタ132cと、撮像素子132aが実装されるフレキシブルプリント基板132dと、を有する。撮像素子132aは、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を用いて構成される。撮像素子枠132bは、図示しない駆動装置によって光軸L2に直交するXY平面上を二次元的に変位することで手ブレ補正ユニットとして機能する。
【0027】
レンズ枠133は、第1レンズ群G1を保持する第1固定枠133aと、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、シャッタ131bおよび第4レンズ群G4を保持する第2固定枠133bと、を有する。第1固定枠133aは、複数のねじ部材によって第2固定枠133bに固定される。
【0028】
第2固定枠133bは、第2レンズ群G2を保持する第2枠133cと、第3レンズ群G3を保持する第3枠133dと、第4レンズ群G4を保持する第4枠133eと、を有する。第2枠133c、第3枠133dおよび第4枠133eは、第2の光軸L2に沿って進退可能にレンズ枠133内において保持されている。第2枠133c、第3枠133dおよび第4枠133eは、ステッピングモータ等の駆動機構(図示せず)によって第2の光軸L2方向に移動する。撮像装置100は、合焦動作時に第4枠133eを介して第4レンズ群G4を第2の光軸L2上に沿って進退移動させることにより、被写体に焦点が
あった画像を撮影することができる。また、撮像装置100は、ズーム動作時に駆動機構(図示せず)を駆動し、第2枠133cの第2レンズ群G2および第3枠133dの第3レンズ群G3を第2の光軸L2上に沿って進退移動させることによって、広角端から望遠端への光学ズームの倍率を変更する。
【0029】
図1〜
図4に戻り、アダプタ装置200について説明する。アダプタ装置200は、円環状をなし、後方側レンズマウントリング201と、溝部202と、を備える。溝部202の内面の一部には、ネジ切りが施されている。これにより、アダプタ装置200は、後述するレンズ装置300を着脱自在に装着することができる。
【0030】
つぎに、レンズ装置300について説明する。
図7は、レンズ装置300の断面図である。なお、
図7において、左側を前方側とし、右側を後方側として説明する。
【0031】
図7に示すレンズ装置300は、複数のレンズの光軸を一致させて内部に並べて収容して固定するための構造が設けられたレンズ枠310と、第1レンズ320と、第2レンズ330と、第3レンズ340と、第1押さえ環350と、第2押さえ環360と、第1Oリング370と、第2Oリング380と、を有する。
【0032】
レンズ枠310は、例えば、アルミニウムの熱伝導率137W/(m・k)の金属や熱伝導の高い球状黒鉛が、カーボン繊維が含有された合成樹脂(例えば、ポリフェニレンサルファイト(PPS)樹脂2W/(m・k))以上等によって構成される。
前方側から後方側に向けて径が小さくなる略円錐台(テーパ状)をなし、内部に略円錐台をなす空間が形成されている。具体的には、レンズ枠310は、円環状をなす基端部310aと、後方側から前方側に向けて径が外周側に広がるように、内周側に凸に湾曲した傾斜面が形成されたテーパ部310bと、円環状をなす先端部310cと、を有する。レンズ枠310は、基端部310a、テーパ部310bおよび先端部310cが連続的に連なるように一体的に形成される。レンズ枠310は、レンズ枠310の体積と表面積との比が所定の条件を満たすよう形成される。具体的には、レンズ枠310は、レンズ枠310の外面の表面積をレンズ枠310の体積で除算した値が4以上を満たすように形成される。
【0033】
また、レンズ枠310の内面には、第1レンズ320を固定する第1固定部311と、第2レンズ330を固定する第2固定部312と、第3レンズ340を固定する第3固定部313と、第1Oリング370を固定する第4固定部314と、第1押さえ環350を固定する第5固定部315と、第2Oリング380を固定する第6固定部316と、第2押さえ環360を固定する第7固定部317とが設けられている。第1固定部311〜第7固定部317それぞれの径は、第1レンズ320、第2レンズ330、第3レンズ340、第1押さえ環350、第2押さえ環360、第1Oリング370および第2Oリング380の外径に対応して形成される。たとえば、第1固定部311は、内面の直径が第1レンズ320の外径と略一致するように形成され、断面が略C字状をなす。また、第2固定部312には、第1レンズ320と第2レンズ330との間に形成される第1空間K1と第2レンズ330と第3レンズ340との間に形成される第2空間K2を連結する連結孔318が複数設けられている。
【0034】
また、レンズ枠310におけるテーパ部310bの外面には、R加工が施された滑らかに湾曲する傾斜面319と、アダプタ装置200の溝部202に嵌合する突起部301とが設けられている。突起部301の外面には、ネジ切りが施されている。
【0035】
第1レンズ320は、例えば、ガラスの熱伝導率0.85W/(m・k)等を用いて構成する。第1レンズ320は、レンズ枠310から露出する面が平面をなし、他方の面が凹面をなす負レンズを用いて構成される。第1レンズ320は、第1固定部311の固定面311aで支持されて固定される。また、第1レンズ320には、円環状をなし、第1Oリング370を保持する溝部320aが形成されている。
【0036】
第2レンズ330は、例えば、ガラスの熱伝導率0.90W/(m・k)等を用いて構成する。第2レンズ330は、一方の面が平面をなし、他方の面が凹面をなす負レンズを用いて構成される。第2レンズ330は、第2固定部312の固定面312aで支持されて固定される。
【0037】
第3レンズ340は、例えば、ガラスの熱伝導率1.02W/(m・k)等を用いて構成する。第3レンズ340は、レンズ枠310から露出する面が平面をなし、他方の面が凸面をなす正レンズを用いて構成される。第3レンズ340は、第3固定部313の固定面313aで支持されて固定される。また、第3レンズ340には、円環状をなし、第2Oリング370を保持する溝部340aが形成されている。
【0038】
第1の押さえ環350は、例えば、アルミニウムの熱伝導率137W/(m・k)の金属や熱伝導の高い球状黒鉛、またはカーボン繊維が含有された合成樹脂(例えば、ポリフェニレンサルファイト(PPS)樹脂2W/(m・k))以上)等で構成され、円環状をなす。第1押さえ環350は、内面から中心に向けて突起した突起部350aを有する。第1押さえ環350は、第1レンズ320とレンズ枠310との間に介在し、第1レンズ320をレンズ枠310の後方側(他端方向)に押圧してレンズ枠310に対して固定する。具体的には、第1押さえ環350は、突起部350aが第1レンズ320をレンズ枠310の後方側に押圧してレンズ枠310に対して固定する。なお、本実施の形1では、第1押さえ環350が第1固定部材として機能する。
【0039】
第2の押さえ環360は、アルミニウムの熱伝導率137W/(m・k)の金属や熱伝導の高い球状黒鉛、またはカーボン繊維が含有された合成樹脂(例えば、ポリフェニレンサルファイト(PPS)樹脂2W/(m・k))以上)等で構成され、円環状をなす。第2押さえ環360は、一方の面から円環状に形成された突起部360aを有する。第2押さえ環360は、第3レンズ340とレンズ枠310との間に介在し、第3レンズ340をレンズ枠310の前方側(一端方向)に押圧してレンズ枠310に対して固定する。具体的には、第2押さえ環360は、突起部360aが第3レンズ340レンズ枠310の前方側に押圧してレンズ枠310に対して固定する。なお、本実施の形態1では、第2押さえ環360が第2固定部材として機能する。
【0040】
封止部材である第1のOリング370は、熱伝導の高いエチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)等の熱伝導率0.36W/(m・k)の樹脂を用いて構成する。円環状をなす。第1Oリング370は、第1レンズ320とレンズ枠310との間に設けられ、第1レンズ320とレンズ枠310との隙間を充填する。なお、本実施の形態1では、第1Oリング370が第1充填部材として機能する。
【0041】
封止部材である第2のOリング380は、熱伝導の高いエチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)等の熱伝導率0.36W/(m・k)を用いて構成され、円環状をなす。第2Oリング380は、第3レンズ340とレンズ枠310との間に介在し、
第3レンズ340とレンズ枠310との隙間を充填する。なお、本実施の形態1では、第2Oリング380が第2充填部材として機能する。
【0042】
このように構成されたレンズ装置300は、まず、第2レンズ330をレンズ枠310の第2固定部312に接着剤で固定した後、第1レンズ320をレンズ枠310の第1固定部311に接着剤で固定する。続いて、第1Oリング370を第4固定部314および溝部320aに挿入した後に接着剤で固定する。その後、第1押さえ環350を第5固定部315に固定しつつ、突起部350aで第1レンズ320の前方側を押さえつけた状態でレンズ枠310にネジ(図示せず)等で固定する。
【0043】
続いて、第3レンズ340を後方側からレンズ枠310に挿入し、第3固定部313に接着剤で固定する。その後、第2Oリング380をレンズ枠310に挿入し、第6固定部316および溝部340aに挿入した後に接着剤で固定する。続いて、第2押さえ環360を第7固定部317に固定しつつ、突起部360aで第3レンズ340の後方側を押さえつけた状態でレンズ枠310にネジ(図示せず)等で固定する。これにより、レンズ枠310の内部は、水密になり、外部から水等が浸入することを防止することができる。さらに、第1レンズ320および第3レンズ340は、レンズ枠310から露出する面が平面で形成されているので、外力による傷等が生じることを防止することができる。さらにまた、レンズ装置300は、ワイドコンバータとして機能する。
【0044】
以上説明した本発明の実施の形態1のレンズ装置300は、レンズ枠310が被写体側から順に第1レンズ320、第2レンズ330および第3レンズ340をそれぞれ収容した際に、第1空間K1と第2空間K2とを連結する連結孔318を有し、レンズ枠310の外面の表面積をレンズ枠310の体積で除算した値が4以上で形成されるので、使用環境の温度に関わらず、第1レンズ320に結露が生じることを防止することができる。
【0045】
(実施の形態2)
つぎに、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態2にかかるレンズ装置は、上述した実施の形態とレンズ枠の形状のみ異なる。このため、以下においては、本実施の形態2にかかるレンズ装置の構成のみ説明する。なお、上述した実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付して説明する。
【0046】
図8は、本実施の形態2にかかるレンズ装置の断面図である。なお、
図8においては、左側を前方側とし、右側を後方側として説明する。
【0047】
図8に示すレンズ装置400は、複数のレンズの光軸を一致させて内部に並べて収容して固定するための構造が設けられたレンズ枠410と、第1レンズ320と、第2レンズ330と、第3レンズ340と、第1押さえ環350と、第2押さえ環360と、第1Oリング370と、第2Oリング380と、を有する。
【0048】
レンズ枠410は、前方側から後方側に向けて径が小さくなる略円錐台をなし、内部に略円錐台をなす空間が形成されている。具体的には、レンズ枠410は、円環状をなす基端部410aと、後方側から前方側に向けて径が外周側に広がるように、内周側に凸に湾曲した傾斜面が形成されたテーパ部410bと、円環状をなす先端部410cと、を有する。レンズ枠410は、基端部410a、テーパ部410bおよび先端部410cが連続的に連なるように一体的に形成される。レンズ枠410は、ステンレスおよび樹脂または複合材料、たとえばABS樹脂等によって形成される。レンズ枠410は、レンズ枠41
0の体積と表面積との比が所定の条件を満たすよう形成される。具体的には、レンズ枠410は、レンズ枠410の外面の表面積をレンズ枠410の体積で除算した値が4以上を満たすように形成される。
【0049】
また、レンズ枠410の内面には、第1レンズ320を固定する第1固定部411と、第2レンズ330を固定する第2固定部412と、第3レンズ340を固定する第3固定部413と、第1Oリング370を固定する第4固定部414と、第1押さえ環350を固定する第5固定部415と、第2Oリング380を固定する第6固定部416と、第2押さえ環360を固定する第7固定部417とが設けられている。第1固定部411〜第7固定部417それぞれの径は、第1レンズ320、第2レンズ330、第3レンズ340、第1押さえ環350、第2押さえ環360、第1Oリング370および第2Oリング380の外径に対応して形成される。また、第2固定部412には、第1空間K1と第2空間K2とを連結する連結孔418が複数設けられている。
【0050】
また、レンズ枠410の外面には、滑らかな角度で湾曲した傾斜面419と、アダプタ装置200の溝部202に嵌合する突起部401とが設けられている。突起部401の外面には、ネジ切りが施されている。テーパ部410bの傾斜面419を含むレンズ枠410の外面全体には、凹凸が施されている。これにより、レンズ枠410は、体積に比して表面積が大きくなり、熱伝導率が優れる。
【0051】
以上説明した本発明の実施の形態2では、レンズ枠410が被写体側から順に第1レンズ320、第2レンズ330および第3レンズ340をそれぞれ収容した際に、第1空間K1と第2空間K2とを連結する連結孔418を有し、レンズ枠410の外面の表面積をレンズ枠410の体積で除算した値が4以上で形成されるので、使用環境の温度に関わらず、第1レンズ320に結露が生じることを防止することができる。
【0052】
(実施の形態2の変形例1)
本発明の実施の形態2では、レンズ枠410の外面全体に凹凸が施されていたが、レンズ枠410の一部のみに凹凸を施してもよい。
図9は、本実施の形態2の変形例1にかかるレンズ装置の断面図である。
図9に示すレンズ装置420は、レンズ枠421を有する。レンズ枠421は、前方側から後方側に向けて径が小さくなる略円錐台をなし、内部に略円錐台をなす空間が形成されている。具体的には、レンズ枠421は、円環状をなす基端部421aと、後方側から前方側に向けて径が外周側に広がるように、内周側に凸に傾斜した傾斜面が形成されたテーパ部421bと、円環状をなす先端部421cと、を有する。レンズ枠421は、基端部421a、テーパ部421bおよび先端部421cが連続的に連なるように一体的に形成される。また、テーパ部421bの外面の一部に凹凸が施されている。具体的には、テーパ部421bの外面に施される凹凸は、第2レンズ330と第3レンズ340との間の外面に施される。これにより、レンズ枠421は、体積に比して表面積が大きくなり、熱伝導率が優れる。
【0053】
(実施の形態2の変形例2)
図10は、本実施の形態2の変形例2にかかるレンズ装置の断面図である。
図10に示すレンズ装置430は、レンズ枠431を有する。レンズ枠431は、前方側から後方側に向けて径が小さくなる略円錐台をなし、内部に略円錐台をなす空間が形成されている。
具体的には、レンズ枠431は、円環状をなす基端部431aと、後方側から前方側に向けて径が外周側に広がるように、内周側に凸に湾曲した傾斜面が形成されたテーパ部431bと、円環状をなす先端部431cと、を有する。レンズ枠431は、基端部431a、テーパ部431bおよび先端部431cが連続的に連なるように一体的に形成される。
また、テーパ部431bの外面に凹凸が施されている。これにより、レンズ枠431は、体積に比して表面積が大きくなり、熱伝導率が優れる。
【0054】
(実施の形態3)
つぎに、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態3にかかるレンズ装置は、上述した実施の形態とレンズ枠の形状のみ異なる。このため、以下においては、本実施の形態3にかかるレンズ装置の構成のみ説明する。なお、上述した実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付して説明する。
【0055】
図11は、本実施の形態3にかかるレンズ装置の断面図である。なお、
図11において、左側を前方側とし、右側を後方側として説明する。
【0056】
図11に示すレンズ装置500は、複数のレンズの光軸を一致させて内部に並べて収容して固定するための構造が設けられたレンズ枠510と、第1レンズ320と、第2レンズ330と、第3レンズ340と、第1押さえ環350と、第2押さえ環360と、第1Oリング370と、第2Oリング380と、を有する。
【0057】
レンズ枠510は、前方側から後方側に向けて径が小さくなる略円錐台をなし、内部に略円錐台をなす空間が形成されている。具体的には、レンズ枠510は、円環状をなす基端部510aと、後方側から前方側に向けて径が外周側に広がるように、内周側に凸に湾曲した傾斜面が形成されたテーパ部510bと、円環状をなす先端部510cと、を有する。レンズ枠510は、基端部510a、テーパ部510bおよび先端部510cが連続的に連なるように一体的に形成される。レンズ枠510は、ステンレスおよび樹脂または複合材料、たとえばABS樹脂等によって形成される。レンズ枠510は、レンズ枠51
0の体積と表面積との比が所定の条件を満たすよう形成される。具体的には、レンズ枠510は、レンズ枠510の外面の表面積をレンズ枠510の体積で除算した値が4以上を満たすように形成される。
【0058】
また、レンズ枠510の内面には、第1レンズ320を固定する第1固定部511と、第2レンズ330を固定する第2固定部512と、第3レンズ340を固定する第3固定部513と、第1Oリング370を固定する第4固定部514と、第1押さえ環350を固定する第5固定部515と、第2Oリング380を固定する第6固定部516と、第2押さえ環360を固定する第7固定部517とが設けられている。第1固定部511〜第7固定部517それぞれの径は、第1レンズ320、第2レンズ330、第3レンズ340、第1押さえ環350、第2押さえ環360、第1Oリング370および第2Oリング380の外径に対応して形成される。また、第2固定部512には、第1空間K1と第2空間K2とを連結する連結孔518が複数設けられている。
【0059】
また、レンズ枠510の外面には、滑らかな角度で傾斜した傾斜面519と、アダプタ装置200の溝部202に嵌合する突起部501とが設けられている。突起部501の外面には、ネジ切りが施されている。また、テーパ部510bの傾斜面519は、他の側面に比して薄く形成されている。これにより、レンズ枠510は、体積に比して表面積が大きくなる。
【0060】
以上説明した本発明の実施の形態3では、レンズ枠510が被写体側から順に第1レンズ320、第2レンズ330および第3レンズ340をそれぞれ収容した際に、第1空間K1と第2空間K2とを連結する連結孔518を有し、レンズ枠510の外面の表面積をレンズ枠510の体積で除算した値が4以上で形成され、テーパ部510bの傾斜面519が他の側面に比して薄く形成されているので、使用環境の温度に関わらず、第1レンズ320に結露が生じることを確実に防止することができる。
【0061】
(実施の形態4)
つぎに、本発明の実施の形態4について説明する。本実施の形態4にかかるレンズ装置は、上述した実施の形態とレンズ枠の形状のみ異なる。このため、以下においては、本実施の形態4にかかるレンズ装置の構成のみ説明する。なお、上述した実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付して説明する。
【0062】
図12は、本実施の形態4にかかるレンズ装置の断面図である。なお、
図12においては、左側を前方側として、右側を後方側として説明する。
【0063】
図12に示すレンズ装置600は、複数のレンズの光軸を一致させて内部に並べて収容して固定するための構造が設けられたレンズ枠610と、第1レンズ320と、第2レンズ330と、第3レンズ340と、第1押さえ環350と、第2押さえ環360と、第1Oリング370と、第2Oリング380と、を有する。
【0064】
レンズ枠610は、前方側から後方側に向けて径が小さくなる略円錐台をなし、内部に略円錐台をなす空間が形成されている。具体的には、レンズ枠610は、円環状をなす基端部610aと、後方側から前方側に向けて径が外周側に広がるように、内周側に凸に湾曲した傾斜面が形成されたテーパ部610bと、円環状をなす先端部610cと、を有する。レンズ枠610は、基端部610a、テーパ部610bおよび先端部610cが連続的に連なるように一体的に形成される。レンズ枠610は、ステンレスおよび樹脂または複合材料、たとえばABS樹脂等によって形成される。レンズ枠610は、レンズ枠61
0の体積と表面積との比が所定の条件を満たすよう形成される。具体的には、レンズ枠610は、レンズ枠610の外面の表面積をレンズ枠610の体積で除算した値が4以上を満たすように形成される。
【0065】
また、レンズ枠610の内面には、第1レンズ320を固定する第1固定部611と、第2レンズ330を固定する第2固定部612と、第3レンズ340を固定する第3固定部613と、第1Oリング370を固定する第4固定部614と、第1押さえ環350を固定する第5固定部615と、第2Oリング380を固定する第6固定部616と、第2押さえ環360を固定する第7固定部617とが設けられている。第1固定部611〜第7固定部617それぞれの径は、第1レンズ320、第1レンズ320、第2レンズ330、第3レンズ340、第1押さえ環350、第2押さえ環360、第1Oリング370および第2Oリング380の外径に対応して形成される。また、第2固定部612には、第1空間K1と第2空間K2とを連結する連結孔618が複数設けられている。
【0066】
また、レンズ枠610の外面には、滑らかな角度で内に湾曲した傾斜面619と、アダプタ装置200の溝部202に嵌合する突起部601とが設けられている。突起部601の外面には、ネジ切りが施されている。また、レンズ枠610の傾斜面619は、他の側面に比して薄く形成されている。さらに、テーパ部610bの傾斜面619を含むレンズ枠610の外面には、凹凸が施されている。これにより、レンズ枠610は、体積に比して表面積が大きくなる。
【0067】
以上説明した本発明の実施の形態4では、レンズ枠610が第1空間K1と第2空間K2とを連結する連結孔618を有し、レンズ枠610の外面の表面積をレンズ枠610の体積で除算した値が4以上で形成され、傾斜面619が他の側面に比して薄く形成されて凹凸が施されているので、使用環境の温度に関わらず、第1レンズ320に結露が生じることを確実に防止することができる。
【実施例】
【0068】
以下、本発明の実施例として、上述した各実施の形態に対応するシミュレーション結果を説明する。
図13は、本発明の実施例および比較例におけるレンズ枠のパラメータの値を示す図である。
図14は、本発明の各実施例および各比較例の温度の解析結果を示す図である。
図14において、横軸は、レンズ枠の外面の表面積をそのレンズ枠の体積で除算した値を示す一方、縦軸は、レンズ装置を40℃にした後で−10℃の環境に移動し、移動後に420秒経過した時のレンズ枠と第1レンズ320との温度差(以下、単に温度差という)を示す。以下、
図13および
図14を参照して、本発明の実施例1〜6および比
較例1〜2を説明する。
【0069】
(実施例1)
本発明の実施例1について説明する。本実施例1では、上述した実施の形態1のレンズ装置300の形状において、テーパ部310bの最小厚みを2.21mm、レンズ枠310の外面の表面積を62.0cm
2、レンズ枠310の体積を15.0cm
3、および第1レンズ320の中心部の厚み1を1.8mmとした。レンズ枠310の外面の表面積をレンズ枠310の体積で除算した値は4.13である。以上の条件のもとでシミュレーションを行った結果、温度差が0.9℃となり、第1レンズ320に結露が発生しなかった。
図14において、本実施例1の結果は点P1で表される。
【0070】
(実施例2)
つぎに、本発明の実施例2について説明する。本実施例2は、上述した実施の形態2のレンズ装置400の形状において、テーパ部410bの最小厚みを2.5mm(凹凸の厚みを1mm)、レンズ枠410の外面の表面積を307cm
2、レンズ枠410の体積を16.9cm
3、および第1レンズ320の中心部の厚み1を1.8mmとした。レンズ枠410の外面の表面積をレンズ枠410の体積で除算した値を18.17である。以上の条件のもとでシミュレーションを行った結果、温度差が−8.8℃となり、第1レンズ320に結露が発生しなかった。
図14において、本実施例2の結果は点P5で表される
。
【0071】
(実施例3)
つぎに、本発明の実施例3について説明する。本実施例3は、上述した実施の形態2の変形例1のレンズ装置420の形状において、テーパ部421bの最小厚みを2.5mm(凹凸の厚みを1mm)、レンズ枠421の外面の表面積を145cm
2、レンズ枠421の体積を16.9cm
3、および第1レンズ320の中心部の厚み1を1.8mmとした。レンズ枠421の外面の表面積をレンズ枠421の体積で除算した値を8.58である。以上の条件のもとでシミュレーションを行った結果、温度差が−3.8℃になり、第1レンズ320に結露が発生しなかった。
図14において、本実施例3の結果は点P3で表される。
【0072】
(実施例4)
つぎに、本発明の実施例4について説明する。本実施例4は、上述した実施の形態2の変形例2のレンズ装置430の形状において、テーパ部431bの最小厚みを2.5mm(凹凸の厚みを1mm)、レンズ枠431の外面の表面積を199cm
2、レンズ枠431の体積を16.9cm
3、および第1レンズ320の中心部の厚み1を1.8mmとした。レンズ枠431の外面の表面積をレンズ枠431の体積で除算した値を 11.78である。以上の条件のもとでシミュレーションを行った結果、温度差が−6.1℃になり、第1レンズ320に結露が発生しなかった。
図14において、本実施例4の結果は点P4で表される。
【0073】
(実施例5)
つぎに、本発明の実施例5について説明する。本実施例5は、上述した実施の形態3のレンズ装置500の形状において、テーパ部510bの最小厚みを0.47、レンズ枠510の外面の表面積を56.9cm
2、レンズ枠510の体積を8.53cm
3、および第1レンズ320の中心部の厚み1を1.8mmとした。レンズ枠510の外面の表面積をレンズ枠510の体積で除算した値を6.67である。以上の条件のもとでシミュレーションを行った結果、温度差が−0.2℃になり、第1レンズ320に結露が発生しなかった。
図14において、本実施例5の結果は点P2で表される。
【0074】
(実施例6)
つぎに、本発明の実施例6について説明する。本実施例6は、上述した実施の形態4のレンズ装置600の形状において、テーパ部610bの最小厚みを1.5(凹凸の厚みを1mm)、レンズ枠610の外面の表面積を286cm
2、レンズ枠610の体積を10.8cm
3、および第1レンズ320の中心部の厚み1を1.8mmとした。レンズ枠610の外面の表面積をレンズ枠610の体積で除算した値を26.48である。以上の条件のもとでシミュレーションを行った結果、温度差が−9.6℃になり、第1レンズ320に結露が発生しなかった。
図14において、本実施例6の結果は点P6で表される。
【0075】
(比較例1)
つぎに、本発明の比較例1について説明する。
図15は、本発明の比較例1にかかるレンズ装置の断面図である。なお、以下においては、上述した実施の形態1と異なる部分のみ説明する。また、上述した実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付して説明する
。
【0076】
図15に示すレンズ装置700は、上述した実施の形態1のレンズ装置300に比して傾斜面701が厚く形成されている。具体的には、傾斜面701は、R加工をしていない状態であり、直線をなす。
【0077】
このように構成された比較例1のレンズ装置700の形状において、テーパ部710bの最小厚みを2.54mm、レンズ枠710の外面の表面積を61.8cm
2、レンズ枠710の体積を17.1cm
3、および第1レンズ320の中心部の厚み1を1.8mmとした。レンズ枠710の外面の表面積をレンズ枠710の体積で除算した値を3.61である。以上の条件のもとでシミュレーションを行った結果、温度差が1.3℃になり、第1レンズ320に結露が発生した。
図14においては、本比較例1の結果は点R1で表われる。
【0078】
(比較例2)
つぎに、本発明の比較例2について説明する。
図16は、本発明の比較例2にかかるレンズ装置の断面図である。なお、以下においては、上述した実施の形態2〜4と異なる部分のみ説明する。また、上述した実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付して説明
する。
【0079】
図16に示すレンズ装置800は、レンズ枠810のテーパ部810bの傾斜面819が実施例2のレンズ装置400のレンズ枠410のテーパ部410bの傾斜面419に比して肉厚に形成されている。さらに、レンズ装置800のレンズ枠810の外面には、凹凸が施されていない。
【0080】
このように構成された比較例2のレンズ装置800の形状において、テーパ部810bの最小厚みを2mm、レンズ枠810の外面の表面積を64.8cm
2、レンズ枠810の体積を16.9cm
3、および第1レンズ320の中心部の厚み1を1.8mmとした。レンズ枠810の外面の表面積をレンズ枠810の体積で除算した値を3.83である。以上の条件のもとでシミュレーションを行った結果、温度差が2℃になり、第1レンズ320に結露が発生した。
図14において、本比較例2の結果は点R2で表われる。
【0081】
以上説明した実施例1〜6、比較例1〜2により、レンズ枠の外面の表面積をそのレンズ枠の体積で除算した値が4以上であり、かつレンズ装置を40℃にした後で−10℃の環境に移動し、移動後に420秒経過した時のレンズ枠と第1レンズ320との温度差が1℃より小さければ第1レンズ320に結露が発生しないことが明らかになった。