(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内で適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
【0013】
本実施形態のワックスマスターバッチは、樹脂と、ワックスと、ジエステル化合物とを含有する。樹脂と、ワックスと、ジエステル化合物とについて、以下に説明する。
【0014】
(樹脂)
本実施形態のワックスマスターバッチは、樹脂を必須成分として含有する。樹脂は、例えば、熱可塑性樹脂(スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、又はスチレン−ブタジエン樹脂)である。樹脂は、低温定着性を向上させるために、ポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0015】
ポリエステル樹脂は、2価又は3価以上のアルコール成分と、2価又は3価以上のカルボン酸成分とを縮重合や共縮重合することで得られる。
【0016】
2価又は3価以上のアルコール成分としては、例えば、ジオール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリテトラメチレングリコール);ビスフェノール類(ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、及びポリオキシプロピレン化ビスフェノールA);3価以上のアルコール類(ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン)が挙げられる。
【0017】
2価又は3価以上のカルボン酸成分としては、例えば、2価カルボン酸(マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、又はアルキル(若しくはアルケニル)コハク酸(例えば、n−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、又はイソドデセニルコハク酸))、3価以上のカルボン酸(1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸)が挙げられる。これらのカルボン酸成分は、エステル形成性誘導体(例えば、酸ハライド、酸無水物、又は低級アルキルエステル)として用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数1から6のアルキル基を意味する。
【0018】
上記の樹脂のうち、スチレンアクリル樹脂は、スチレン単量体とアクリル単量体との共重合体である。スチレン単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、又はp−エチルスチレンが挙げられる。
【0019】
アクリル単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸アルキルエステル((メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)メタアクリル酸メチル、(メタ)メタアクリル酸エチル、(メタ)メタアクリル酸n−ブチル、及び(メタ)メタアクリル酸iso−ブチル);(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル((メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、又は(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシプロピル)が挙げられる。
【0020】
樹脂がポリエステル樹脂である場合、ポリエステル樹脂の数平均分子量Mnは、トナー粒子(ワックスマスターバッチ)の強度及び定着性の向上のために、1200以上2000以下が好ましい。ポリエステル樹脂の分子量分布(数平均分子量Mnと質量平均分子量Mwとの比の値(質量平均分子量Mw/数平均分子量Mn))は、上記と同様の理由から、9以上20以下が好ましい。
【0021】
樹脂がスチレンアクリル樹脂である場合、スチレンアクリル樹脂の数平均分子量Mnは、トナー粒子(ワックスマスターバッチ)の強度及び定着性の向上のために、2000以上3000以下が好ましい。スチレンアクリル樹脂の分子量分布(質量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、上記と同様の理由から、10以上20以下が好ましい。なお、樹脂の数平均分子量Mnと質量平均分子量Mwは、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定できる。
【0022】
樹脂のガラス転移点Tgは、低温定着性を向上させ、トナー粒子同士の凝集を抑制するために、30℃以上55℃以下がより好ましく、30℃以上50℃以下がさらに好ましい。樹脂のガラス転移点Tgは、樹脂の比熱の変化点から求めることができる。より具体的には、測定装置として示差走査熱量計(例えば、セイコーインスツル社製「DSC−6200」)を用い、樹脂の吸熱曲線を測定することでガラス転移点Tgを求めることができる。詳細には、測定試料10mgをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを使用し、測定温度範囲25℃以上200℃以下かつ昇温速度10℃/分の条件で樹脂の吸熱曲線を得、この吸熱曲線に基づいて樹脂のガラス転移点Tgを求める方法が挙げられる。
【0023】
樹脂の軟化点Tmは100℃以下が好ましく、95℃以下がより好ましい。軟化点Tmが100℃以下であることで、高速定着時においても十分な低温定着性を達成できる。樹脂の軟化点Tmを調整するには、例えば、異なる軟化点Tmを有する複数の樹脂を組み合わせればよい。
【0024】
樹脂の軟化点Tmの測定には、高架式フローテスター(例えば、島津製作所社製「CFT−500D」)を用いることができる。具体的には、測定試料を高架式フローテスターにセットし、所定の条件(ダイス細孔経1mm、プランジャー荷重20kg/cm
2、昇温速度6℃/分)で、1cm
3の試料を溶融流出させてS字カーブ(つまり、温度(℃)/ストローク(mm)に関するS字カーブ)を得、このS字カーブから樹脂の軟化点Tmを読み取る。
【0025】
図1を参照して、樹脂の軟化点Tmの読み取り方を説明する。
図1において、ストロークの最大値をS1とし、S1の温度より低温側のベースラインのストローク値をS2とする。S字カーブ中のストロークの値が、(S1+S2)/2となる温度を測定試料(樹脂)の軟化点Tmとする。
【0026】
本実施形態のワックスマスターバッチにおける樹脂の含有量は、50質量%以上であることが好ましい。樹脂の含有量が50質量%以上であると、ワックスマスターバッチをトナー粒子に含有させた際に、トナー粒子中にワックスが均一に分散するため、得られるトナーは耐オフセット性と耐久性とに優れるものとなる。
【0027】
(ワックス)
本実施形態のワックスマスターバッチは、ワックスを必須成分として含有する。ワックスは、本実施形態のワックスマスターバッチをトナー粒子に含有させた場合に、離型剤として作用する。ワックスとしては、離型性に優れるものであれば、特に限定されない。ワックスは、例えば、脂肪族炭化水素系ワックス(低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックス)、脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物(酸化ポリエチレンワックス、及び酸化ポリエチレンワックスのブロック共重合体)、植物系ワックス(キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックス)、動物系ワックス(みつろう、ラノリン、又は鯨ろう)、鉱物系ワックス(オゾケライト、セレシン、又はベトロラクタム)、脂肪酸エステルを主成分とするワックス類(モンタン酸エステルワックス又はカスターワックス)、脂肪酸エステルを一部若しくは全部を脱酸化したワックス(脱酸カルナバワックス)、高級アルコール類(ステアリルアルコール又はベヘニルアルコール)、又はこれらの各種変性ワックスである。
【0028】
本実施形態のワックスマスターバッチにおけるワックスの含有量は、25質量%以下であることが好ましく、10質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。ワックスの含有量が10質量%以上であると、本実施形態のワックスマスターバッチをトナー粒子に含有させた場合に、耐オフセット性と耐久性とに優れる。一方、ワックスの含有量が25質量%以下であると、得られるトナーは定着性に優れる。
【0029】
(ジエステル化合物)
本実施形態のワックスマスターバッチは、ジエステル化合物を必須成分として含有する。ジエステル化合物を含有することにより、ワックスマスターバッチに含有される樹脂の粘度を低下させ、ワックスマスターバッチをトナー粒子に含有させた場合にワックスの分散性を向上させることができる。その結果、本実施形態のワックスマスターバッチを含有するトナー粒子を含むトナーは、耐オフセット性と耐久性とに優れる。ジエステル化合物は、ジカルボン酸成分とアルコール成分とからなる化合物であるか、カルボン酸成分とジアルコール成分とからなる化合物である。
【0030】
カルボン酸成分としては、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、又はべへン酸が挙げられる。ジアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール、又はペンタンジオールが挙げられる。ジカルボン酸成分としては、例えば、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、フタル酸、イソフタル酸、又はテレフタル酸が挙げられる。アルコール成分としては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、又はステアリルアルコールが挙げられる。
【0031】
ジエステル化合物の融点は、例えば、65℃以上76℃以下である。ジエステル化合物の融点は、示差走査熱量計(DSC)を用い、ワックスマスターバッチに含まれる樹脂のガラス転移点Tgと同様の方法で測定することができる。
【0032】
本実施形態のワックスマスターバッチにおけるジエステル化合物の含有量は、1質量%以上25質量%以下が好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましい。ジエステル化合物の含有量が1質量%以上である場合は、ワックスマスターバッチをトナー粒子に含有させた場合に、ワックスをトナー粒子中に均一に分散することができ、得られるトナーは耐オフセット性と耐久性とに優れる。一方、ジエステル化合物の含有量が25質量%以下である場合は、負帯電性を有するジエステル化合物を用いたとしても、正帯電性のトナーを得る場合に、このトナーの帯電性阻害を抑制できる。
【0033】
次いで、本実施形態のトナーについて、以下に説明する。
本実施形態のトナーは、上記のワックスマスターバッチと結着樹脂とを含有する複数のトナー粒子を含む。トナー粒子は、必要に応じ、着色剤、帯電制御剤、磁性粉、又は外添剤を含有してもよい。
【0034】
(結着樹脂)
トナー粒子は、結着樹脂を必須成分として含有する。結着樹脂の具体例としては、上記の樹脂の具体例として説明したものが挙げられる。結着樹脂としては、トナー粒子中の着色剤の分散性、トナー粒子の帯電性及びトナー粒子の記録媒体に対する定着性を向上させるために、スチレンアクリル樹脂又はポリエステル樹脂が好ましい。
【0035】
ポリエステル樹脂としては、上記の樹脂の具体例において説明されたものが挙げられる。
【0036】
スチレンアクリル樹脂としては、上記の樹脂の具体例において説明されたものが挙げられる。
【0037】
(着色剤)
着色剤としては、公知の顔料又は染料が挙げられる。黒色着色剤としては、カーボンブラックが挙げられる。また、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、又はシアン着色剤のような着色剤を用いて黒色に調色された着色剤も、黒色着色剤として利用できる。トナーがカラートナーである場合、トナー粒子に含有される着色剤としては、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、又はシアン着色剤等が挙げられる。
【0038】
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、又はアリルアミド化合物等が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、194)、ネフトールイエローS、ハンザイエローG、又はC.I.バットイエローが挙げられる。
【0039】
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、又はペリレン化合物等が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、又は254)が挙げられる。
【0040】
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物、銅フタロシアニン誘導体、アントラキノン化合物、又は塩基染料レーキ化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、又は66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、又はC.I.アシッドブルーが挙げられる。
【0041】
トナー粒子中の着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して1質量部以上10質量部以下が好ましく、3質量部以上7質量部以下がより好ましい。
【0042】
本実施形態のトナーに含まれるトナー粒子は上記の本実施形態のワックスマスターバッチを含有する。そのため、ワックスマスターバッチ中のワックスを含有することとなる。トナー粒子中のワックスの含有量は、結着樹脂100質量部に対して1質量部以上10質量部以下が好ましい。ワックスの含有量が1質量部以上である場合は、画像形成中のオフセット及び像スミアリングの発生を良好に抑制できる。一方、ワックスの含有量が10質量部以下である場合は、製造されたトナーを一旦保存する際に、トナー粒子同士が融着することがない。
【0043】
トナー粒子は、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤を含有することにより、帯電レベル及び帯電立ち上がり特性を向上させ、耐久性及び安定性に優れたトナーを得ることができる。帯電立ち上がり特性とは、所定の帯電レベルにトナーを短時間で帯電可能か否かの指標である。トナーを正帯電させて現像を行う場合、正帯電性帯電制御剤が使用され、トナーを負帯電させて現像を行う場合、負帯電性帯電制御剤が使用される。
【0044】
正帯電性帯電制御剤としては、例えば、アジン化合物(ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1,2,3-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,3,5-トリアジン、1,2,4-オキサジアジン、1,3,4-オキサジアジン、1,2,6-オキサジアジン、1,3,4-チアジアジン、1,3,5-チアジアジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、1,2,4,6-オキサトリアジン、1,3,4,5-オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、又はキノキサリン)、アジン化合物からなる直接染料(アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリーンBH/C、アジンディープブラックEW、又はアジンディーブラック3RL)、ニグロシン化合物(ニグロシン、ニグロシン塩、又はニグロシン誘導体)、ニグロシン化合物からなる酸性染料(ニグロシンBK、ニグロシンNB、又はニグロシンZ)、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩類、アルコキシル化アミン、アルキルアミド、又は4級アンモニウム塩(ベンジルメチルヘキシルデシルアンモニウム又はデシルトリメチルアンモニウムクロライド)等が挙げられる。また、4級アンモニウム塩、カルボン酸塩あるいはカルボキシル基を官能基として有する樹脂又はオリゴマー等も使用することができる。これらを1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0045】
負帯電性帯電制御剤としては、有機金属錯体、及びキレート化合物が挙げられる。有機金属錯体、及びキレート化合物としては、アルミニウムアセチルアセトナートや鉄(II)アセチルアセトナートのようなアセチルアセトン金属錯体、及び、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸クロムのようなサリチル酸系金属錯体又はサリチル酸系金属塩が好ましく、サリチル酸系金属錯体又はサリチル酸系金属塩がより好ましい。これらを1種単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0046】
正帯電性又は負帯電性の帯電制御剤のトナー粒子中での含有量は、トナーの全量を100質量部とした場合、0.5質量部以上10質量部以下が好ましく、1.0質量部以上5.0質量部以下がより好ましい。
【0047】
トナー粒子は、必要に応じて磁性粉を含有してもよい。トナー粒子が磁性粉を含有する場合、トナー粒子は磁性1成分現像剤として使用される。好適な磁性粉の例としては、鉄(例えば、フェライト又はマグネタイト)、強磁性金属(例えば、コバルト又はニッケル等)、鉄及び/又は強磁性金属を含む合金、鉄及び/又は強磁性金属を含む化合物、熱処理のような強磁性化処理が施された強磁性合金、又は二酸化クロムが挙げられる。
【0048】
磁性粉の粒径は、0.1μm以上1.0μm以下が好ましい。磁性粉の粒径が0.1μm以上1.0μm以下である場合は、トナー粒子中に磁性粉を均一に分散させやすい。
【0049】
磁性粉の含有量は、本実施形態のトナーを1成分現像剤として使用する場合、トナーの全量100質量部に対して35質量部以上60質量部以下が好ましく、40質量部以上60質量部以下がより好ましい。
【0050】
本実施形態のトナーに含まれるトナー粒子は、トナーコアとシェル層とを含有する、いわゆるコア−シェル構造を有するものであってもよい。トナーコアは上記のトナー粒子であり、シェル層は上記のトナー粒子を被覆するカプセル層である。
【0051】
シェル層は、例えば、熱硬化性樹脂を含有する樹脂から形成される。熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、スルホアミド樹脂、尿素樹脂、グリオキザール樹脂、アニリン樹脂、又はポリイミド樹脂が挙げられる。
【0052】
また、トナー粒子の表面は、外添剤により外添処理されてもよい。外添処理を行うには、例えば、外添剤がトナー粒子中に完全に埋没しないように外添条件を調整し、混合機(例えば、ヘンシェルミキサー又はナウターミキサー)を用いて外添処理を行えばよい。
【0053】
外添剤としては、シリカ又は金属酸化物(例えば、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウム)の粒子が挙げられる。外添剤の粒径は、流動性及び取扱性の向上のために、0.01μm以上1.0μm以下が好ましい。
【0054】
外添剤により処理される以前のトナー粒子を「トナー母粒子」と記載する場合がある。外添剤の使用量は、流動性及び取扱性の向上のために、トナー母粒子100質量部に対して1質量部以上10質量部以下が好ましく、2質量部以上5質量部以下がより好ましい。
【0055】
本実施形態のトナーは、フェライト又はマグネタイトのような磁性粉を含有する、いわゆる1成分現像剤として用いられてもよい。または、所望のキャリアと混合されて、いわゆる2成分現像剤として用いられてもよい。
【0056】
キャリアは磁性キャリアが好ましい。具体的には、キャリア芯材が樹脂で被覆されたものが挙げられる。キャリア芯材としては、例えば、鉄、酸化処理鉄、還元鉄、マグネタイト、銅、ケイ素鋼、フェライト、ニッケル、若しくはコバルトのような粒子、又はこれらの材料とマンガン、亜鉛、又はアルミニウムのような金属との合金の粒子;鉄−ニッケル合金、又は鉄−コバルト合金のような粒子;酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、又はニオブ酸リチウムのようなセラミックスの粒子;リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、又はロッシェル塩のような高誘電率物質の粒子が挙げられる。さらにキャリア芯材として、樹脂中に上記磁性粒子を分散させた樹脂キャリアが用いられてもよい。
【0057】
キャリア芯材を被覆する樹脂の例としては、(メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体、オレフィン系重合体(ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、又はポリプロピレン)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート樹脂、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、又はポリフッ化ビニリデン)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、又はアミノ樹脂が挙げられる。
【0058】
キャリア芯材を被覆する樹脂の割合は、キャリア芯材100質量部に対して1質量部以上5質量部以下であることが好ましい。
【0059】
キャリアの粒径は、20μm以上120μm以下が好ましく、25μm以上80μm以下がより好ましい。
【0060】
本実施形態のトナーを2成分現像剤として用いる場合、トナーの使用量は、2成分現像剤全量に対して5質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上12質量%以下が好ましい。
【0061】
(トナーの製造方法)
本実施形態のトナーの製造方法は、樹脂と、ワックスと、ジエステル化合物とを含むワックスマスターバッチを調製するワックスマスターバッチ調製工程と、上記ワックスマスターバッチと、結着樹脂とを含有する複数のトナー粒子を調製するトナー粒子調製工程とを包含する。
【0062】
ワックスマスターバッチ調製工程を実行するには、樹脂と、ワックスと、ジエステル化合物とを、例えば、溶融混練した後に冷却して固化し、次いで粉砕して、ワックスマスターバッチを調製すればよい。溶融混練は、各種溶融混練機(例えば、単軸押出混練機、2軸押出混練機、ロールミル、又はオープンロール型混練機)を用いて行う。
【0063】
トナー粒子調製工程を実行するには、結着樹脂と、ワックスマスターバッチ調製工程で得られたワックスマスターバッチと、必要に応じてその他の成分(例えば、着色剤、帯電制御剤、又は磁性粉)とが、良好に分散するように、例えば、混練粉砕法又は重合法を採用してトナー粒子を調製すればよい。
【0064】
混練粉砕法は、以下のようにして行われる。まず、結着樹脂と、ワックスマスターバッチと、必要に応じてその他の成分とを混合し混合物を得る。そして、得られた混合物を溶融混練し、得られた溶融混練物を公知の手法で粉砕して粉砕物を得る。得られた粉砕物を公知の手法で分級し、所望の粒径を有する複数のトナー粒子を得る。
【0065】
重合法としては、例えば、溶融混練法と同様にして得られた溶融混練物を、例えばディスク又は多流体ノズルを用いて空気中に霧化しトナーを得る方法; 懸濁重合法を用いて直接トナーを生成する方法;単量体は可溶であるが得られる重合体が不溶であるような水系有機溶剤を用い、トナーを直接生成する分散重合法;水溶性極性重合開始剤の存在下で直接重合しトナーを生成する、いわゆるソープフリー重合法のような乳化重合法;一次極性乳化重合粒子を調製した後、反対電荷を有する極性粒子を加え会合させるヘテロ凝集法が挙げられる。
【0066】
トナー粒子が、コア−シェル構造を有するものである場合は、トナー粒子調製工程を実行した後に、トナー粒子の表面を被覆するように、シェル層を形成する工程(シェル層形成工程)を実行してもよい。シェル層形成工程は、例えば、熱硬化性樹脂のポリマー又はプレポリマーを含有するシェル層形成用液を調製するシェル層形成用液調製工程と、トナー粒子の表面にシェル層形成用液を供給する供給工程と、熱硬化性樹脂のポリマー又はプレポリマーを樹脂化する樹脂化工程とを包含する。
【0067】
シェル層形成用液調製工程においては、熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーと、任意の溶剤とを混合して混合物を得ればよい。撹拌混合に際し、pHを4程度に調整することが好ましい。
【0068】
上記の熱硬化性樹脂のモノマーは適宜に選択される。また、上記の熱硬化性樹脂のプレポリマーは、熱硬化性樹脂のモノマーの重合度をある程度まで上げたポリマーの前段階の状態のものであり、初期重合体又は初期縮合体とも称される。
【0069】
シェル層形成用液には、溶剤に対する熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーの分散性を向上させるために、公知の分散剤が含有されていてもよい。なお、トナー粒子に残留する分散剤は、トナーを製造した後に洗浄処理のような処理を実行することにより除去できる。
【0070】
供給工程においては、シェル層形成用液を複数のトナー粒子を含むトナーに供給する。供給工程を実行する方法としては、例えば、トナー粒子の表面にシェル層成形用液を噴霧する方法、又はシェル層形成用液中にトナー粒子を浸漬する方法が挙げられる。供給工程において、シェル層形成用液は、任意の溶剤にて希釈されていてもよい。
【0071】
供給工程を経た後、樹脂化工程においては、シェル層形成用液に含有される熱硬化性樹脂のモノマー又はプレポリマーを、任意の重合又は縮合により樹脂化し熱硬化性樹脂とする。これにより、トナー粒子の表面にシェル層が形成される。なお、樹脂化には、重合度が十分に高い完全な樹脂化のみならず重合度が中程度の部分的な樹脂化も含まれる。
【0072】
樹脂化工程の反応温度(樹脂化温度)は、40℃以上90℃以下の範囲に維持されることが好ましい。反応温度を40℃以上とすることで、シェル層の硬度を十分に高くできる。一方、反応温度を90℃以下に維持することで、シェル層の硬度が過度に高くなることを抑制でき、定着時の加熱及び加圧によりシェル層を容易に破壊できる。
【0073】
樹脂化工程を経た後のトナーは、必要に応じて、洗浄工程、乾燥工程、及び外添工程から選択される1以上の工程を経てもよい。
【0074】
洗浄工程では、形成工程を実行することによって得られたトナーを、例えば、水で洗浄する。
【0075】
乾燥工程においては、例えば、乾燥機(スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥機、又は減圧乾燥機)で、洗浄後のトナーを乾燥する。乾燥中のトナー粒子同士の凝集を抑制しやすいため、スプレードライヤーを用いることが好ましい。スプレードライヤーを用いる場合は、例えば、乾燥とともに外添剤(例えば、シリカ微粒子)が分散された分散液を噴霧できるため、後述の外添工程を同時に行うことができる。
【0076】
外添工程においては、トナー粒子の表面に外添剤を付着させる。外添剤を付着させる好適な方法としては、外添剤がトナー粒子の表面に完全に埋没しないように外添条件を調整して、混合機(例えば、ヘンシェルミキサー又はナウターミキサー)を用いて、トナーと外添剤とを混合する方法が挙げられる。
【実施例】
【0077】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例により限定されない。
【0078】
<ジエステル化合物の調製>
ジエステル化合物A
温度計、窒素導入管、攪拌機及び冷却管を取り付けた4つロフラスコに、ジカルボン酸成分としてのアジピン酸700g(4.79モル)と、アルコール成分としてのミリスチルアルコール300g(1.40モル)とを投入した。これを、反応水を留去しつつ、窒素気流下かつ200℃で、10時間常圧で反応させた。その後、得られた反応物に対してろ過を行い、ジエステル化合物A(融点:73℃)を得た。
【0079】
ジエステル化合物B
ジカルボン酸成分としてのアジピン酸に代えてピメリン酸760g(4.74モル)を使用した以外は、ジエステル化合物Aの製造と同様の操作を行って、ジエステル化合物B(融点:76℃)を得た。
【0080】
ジエステル化合物C
カルボン酸成分としてパルミチン酸1000g(3.90モル)を使用し、ジアルコール成分としてプロパンジオール100g(1.31モル)を使用した以外は、ジエステル化合物Aの製造と同様の操作を行って、ジエステル化合物C(融点:70℃)を得た。
【0081】
(ワックスマスターバッチの調製)
ワックスマスターバッチA
ポリエステル樹脂(花王株式会社製「CBC500」)、カルナバワックス(加藤洋行社製「特性カルナバ1号」)及びジエステル化合物Aを、表1に示した組成となるようにヘンシェルミキサー(日本コークス株式会社製「FM−20B」)に投入し、2400r/分にて180秒間混合した。その後、二軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて、材料供給速度5kg/hr、軸回転数150rpm、及びシリンダ温度100℃の条件にて溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却して延伸した後、フェザーミル(ホソカワミクロン株式会社製)で2mm以下の粒径に粉砕し、ワックスマスターバッチAを得た。
【0082】
ワックスマスターバッチB
カルナバワックス(加藤洋行株式会社製「特性カルナバ1号」)をフィッシャートロプシュワックス(加藤洋行株式会社製「パラフリントC105」)に変更した以外は、ワックスマスターバッチAの製造と同様の操作を行って、ワックスマスターバッチBを得た。
【0083】
ワックスマスターバッチC
カルナバワックス(加藤洋行株式会社製「特性カルナバ1号」)をエステルワックス(中京油脂株式会社製「MPWAX N−252」)に変更した以外は、ワックスマスターバッチAの製造と同様の操作を行って、ワックスマスターバッチCを得た。
【0084】
ワックスマスターバッチD
各材料の組成を表1に示す組成に変更した以外は、ワックスマスターバッチAの製造と同様の操作を行って、ワックスマスターバッチDを得た。
【0085】
ワックスマスターバッチE
ジエステル化合物Aをジエステル化合物Bに変更した以外は、ワックスマスターバッチAの製造と同様の操作を行って、ワックスマスターバッチEを得た。
【0086】
ワックスマスターバッチF
ジエステル化合物Aをジエステル化合物Cに変更した以外は、ワックスマスターバッチAの製造と同様の操作を行って、ワックスマスターバッチFを得た。
【0087】
ワックスマスターバッチG〜J
組成を表1に示す組成に変更した以外は、ワックスマスターバッチAの製造と同様の操作を行って、ワックスマスターバッチG〜Jを得た。
【0088】
ワックスマスターバッチK
ジエステル化合物Aを含有させずに、表1に示す割合でポリエステル樹脂とカルナバワックスとを用いた以外はワックスマスターバッチAと同様の操作を行って、ワックスマスターバッチKを得た。
【0089】
ワックスマスターバッチL
ジエステル化合物Aを含有させずに、表1に示す割合でポリエステル樹脂とフィッシャートロプシュワックスとを用いた以外はワックスマスターバッチBと同様の操作を行って、ワックスマスターバッチLを得た。
【0090】
ワックスマスターバッチM
ジエステル化合物Aを含有させずに、表1に示す割合でポリエステル樹脂とエステルワックスとを用いた以外はワックスマスターバッチCと同様の操作を行って、ワックスマスターバッチMを得た。
【0091】
ワックスマスターバッチN
組成を表1に示す組成に変更した以外は、ワックスマスターバッチAの製造と同様の操作を行って、ワックスマスターバッチNを得ようとした。しかし、ポリエステル樹脂の含有量が少なかったため、透過電子顕微鏡(日立ハイテク社製「HF−3300」)を用いて確認したところ、得られたワックスマスターバッチにおいてはワックスが均一に分散されなかった。ワックスマスターバッチNは、後述のトナーの製造には用いなかった。
【0092】
【表1】
【0093】
なお、表1及び後述の表2中、「CBC500」は花王株式会社のポリエステル樹脂を示す。「カルナバ」は、カルナバワックス(加藤洋行株式会社製「特性カルナバ1号」)を示す。「フィッシャートロプシュ」はフィッシャートロプシュワックス(加藤洋行株式会社製「パラフリントC105」)を示す。「エステル」はエステルワックス(中京油脂株式会社製「MPWAX N−252」)を示す。「−」は含有しなかったことを示す。
【0094】
実施例1
表2に示すように、ワックスマスターバッチAを30質量部、結着樹脂としてのポリエステル樹脂(花王株式会社製「CBC500」)65質量部、着色剤4質量部(大日精化工業株式会社製「ECR−101」)、及び帯電制御剤1質量部(オリエント工業株式会社「P−51」)をヘンシェルミキサー(日本コークス株式会社製「FM−20B」)に投入した。これを、2400r/分で180秒混合した。その後、二軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて、材料供給速度5kg/hr、軸回転数150rpm、及びシリンダ温度150℃の条件にて溶融混練した後冷却した。得られた混練物をロートプレックスミル(株式会社東亜器機製作所製「8/16型」)にて粗粉砕した後、衝突板式粉砕機(日本ニューマチック工業株式会社製「ディスバージョンセパレーター」)を用いて微粉砕した。次いで、得られた微粉砕品をエルボージェット(日鉄鉱業株式会社製「EJ−LABO型」)で分級して、質量平均粒子径が8.0μmである粉体を得た。得られた粉体100質量部に対し、外添剤として疎水性シリカ(日本アエロジル株式会社製「RA−200H」)1質量部、及び酸化チタン微粒子(チタン工業製「ST−100」)0.5質量部を加え、ヘンシェルミキサーで2400r/分で180秒間攪拌して、外添処理された実施例1のトナーを得た。
【0095】
なお、表2中、「ECR−101」は、大日精化工業株式会社製の着色剤を示す。「P−51」は、オリエント工業株式会社の帯電制御剤を示す。
【0096】
実施例2〜10、及び比較例1〜3
ワックスマスターバッチAを、それぞれワックスマスターバッチB〜Mに変更した以外は、実施例1と同様の操作をおこなって、実施例2〜10、及び比較例1〜3のトナーを得た。
【0097】
比較例4
ワックスマスターバッチAに代えてカルナバワックス(加藤洋行株式会社製「特性カルナバ1号」)を用い、表2に示す組成とした以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較例4のトナーを得た。
【0098】
比較例5
ワックスマスターバッチAに代えてフィッシャートロプシュワックス(加藤洋行株式会社製「パラフリントC105」)を用い、表2に示す組成とした以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較例5のトナーを得た。
【0099】
比較例6
ワックスマスターバッチAに代えてエステルワックス(中京油脂株式会社製「MPWAX N−252」を用い、表2に示す組成とした以外は、実施例1と同様の操作を行って、比較例6のトナーを得た。
【0100】
【表2】
【0101】
実施例又は比較例にて得られたトナーの評価方法又は測定方法(定着性、耐熱保存性、及び耐久性)を以下に示す。なお、以下の評価においては、評価機としてカラープリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5300DN」)を用いた。
【0102】
実施例及び比較例で得られたトナーを含む2成分現像剤を用いて、定着性を評価した。実施例及び比較例で得られたトナーを含む2成分現像剤の調製方法を以下に示す。カラープリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5300DN」)用のキャリア100質量%に対して、実施例及び比較例にて得られたトナーの割合が10質量%となるように配合し(つまり、トナーとキャリアとの合計100質量部に対し、10質量部のトナーを配合し)、プラスチックボトルに封入した。次いで、ボールミルを用いてプラスチックボトルを100rpmの回転数で30分間回転させ、プラスチックボトル内のキャリアとトナーを均一に撹拌混合し2成分現像剤を得た。
【0103】
<定着性>
上記の評価機を用いて、評価機のブラック用の現像装置に作成した2成分現像剤を投入し、評価機のブラック用のトナーコンテナに上記のようにして調製したトナーを投入して、印字率100%で記録媒体にソリッド画像を形成させた。実施例又は比較例にて得られたトナーを用い、トナー載り量を1.4mg/cm
2以上1.5mg/cm
2以下の範囲に調整し、定着温度を110℃から180℃まで変化させて画像を形成した。画像形成後のオフセット発生の有無を目視にて確認した。下記の基準に従って定着性を評価した。
○(良い):オフセットが発生しなかった。
×(悪い):オフセットが発生した。
定着性に関しては、120℃以上170℃以下の定着温度において「○」の評価であれば必要性能を満たしていると判定した。
【0104】
<耐熱保存性>
実施例又は比較例にて得られたトナー5gを、ガラス製サンプル瓶に秤量した。このサンプル瓶を55℃の恒温槽(ヤマト科学社製「DKN302」)に24時間静置した後、室温まで冷却した。冷却後のトナーを、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)を用いて篩別した。篩別条件は振動目盛り5で、400メッシュの篩とした。篩を通過したトナーの質量(T)(単位:g)を測定し、下式を用いてトナー通過率を算出した。下記の基準に従って耐熱保存性を評価した。
トナー通過率(%)=(T/5)×100
○(良い):トナー通過率が80%以上であった。
△(平均):トナー通過率が60%以上80%未満であった。
×(悪い):トナー通過率が60%未満であった。
耐熱保存性に関しては、「△以上」の評価であれば必要性能を満たしていると判定した。
【0105】
<トナー耐久性(画像濃度)>
上記の評価機のブラック用の現像装置に、定着性評価に用いる2成分現像剤と同様の手法により調製した2成分現像剤を投入し、評価機のブラック用のトナーコンテナに実施例又は比較例にて得られたトナーを投入して、23℃かつ50%RHの環境下で画像濃度の評価を行った。印字率4%で1000枚連続印字した後に、記録媒体に印字率100%でソリッド画像を形成させた。形成したソリッド画像の画像濃度を、反射濃度計(グレタグマクベス社製「グレタグマクベススペクトロアイ」)を用いて測定した。印字率4%の連続印字を5000枚行って、1000枚毎刻みでソリッド画像を形成し、その画像濃度を測定し評価した。下記の基準に従って画像濃度を評価した。
○(良い):画像濃度が1.20以上であった。
×(悪い):画像濃度が1.20未満であった。
耐久性の判定は、以下のようにして行った。すなわち、4000枚連続印字した時点での画像濃度が1.2未満であれば×とし、5000枚の時点での画像濃度が1.2未満であれば△とし、5000枚の時点での画像濃度が1.2以上であれば○とした。この評価が△以上であれば必要性能を満たしていると判定した。
【0106】
実施例1〜10、及び比較例1〜6にて得られたトナーの評価結果を表3に示す。
【0107】
【表3】
【0108】
表3から明らかなように、実施例1〜10にて得られたトナーは、本実施形態のワックスマスターバッチを含有するため、定着性、耐熱保存性、及び耐久性のいずれにも優れていた。