(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010013
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/64 20060101AFI20161006BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
H04N5/64 541N
H04R1/02 102Z
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-251797(P2013-251797)
(22)【出願日】2013年12月5日
(65)【公開番号】特開2015-109575(P2015-109575A)
(43)【公開日】2015年6月11日
【審査請求日】2016年3月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浜舘 俊一
【審査官】
大室 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−085661(JP,A)
【文献】
特開2005−100312(JP,A)
【文献】
特開平11−331733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00
H04N 5/64−5/655
H04R 1/00−1/08
H04R 1/12−1/14
H04R 1/42−1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、
前記表示パネルに電気的に接続され、前記表示パネルを制御する回路基板と、
スピーカと、
前記表示パネルの外周部を全周にわたって覆うフロントベゼルと、
前記表示パネルの背面に位置し前記フロントベゼルと接合し、前記回路基板と前記スピーカを覆うバックカバーと、
を備え、
前記バックカバーは、
前記表示パネルの表示面に対して第1の方向を向く前記スピーカの放音面に対して対向する位置に配置された、前記スピーカの音を外部へ通すための第1貫通孔を有する第1開口部と、
前記表示パネルの表示面に対して第2の方向を向き、前記第1開口部とは異なる位置に配置された、前記スピーカの音を外部へ通すための第2貫通孔を有する第2開口部と、
を具備し、
前記第1開口部が有する前記第1貫通孔の開口面積は、前記第2開口部が有する前記第2貫通孔の開口面積よりも大きいことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1貫通孔は、任意の形状からなる1つ又は複数の孔から形成され、前記第2貫通孔は、任意の形状からなる1つ又は複数の孔から形成される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1貫通孔が外部に通す音の量は、前記第2貫通孔が外部に通す音の量よりも大きい請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第2の方向は、前記第1の方向に対して45度より大きく90度より小さい角度を有する請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1貫通孔を構成する孔の大きさは任意の大きさであり、前記第2貫通孔を構成する孔の大きさは任意の大きさである請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記スピーカは一対のスピーカユニットからなり、前記第1開口部は一対の第1開口からなり、前記第2開口部は一対の第2開口からなる請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項7】
表示パネルと、
前記表示パネルに電気的に接続され、前記表示パネルを制御する回路基板と、
スピーカと、
前記表示パネルの外周部を全周にわたって覆うフロントベゼルと、
前記表示パネルの背面に位置し前記フロントベゼルと接合し、前記回路基板と前記スピーカを覆うバックカバーと、
を備え、
前記バックカバーは、
前記表示パネルの表示面に対して第1の方向を向く前記スピーカの放音面に対して対向する位置に配置された、前記スピーカの音を外部へ通すための第1貫通孔を有する第1開口部と、
前記表示パネルの表示面に対して第2の方向を向き、前記第1開口部とは異なる位置に配置された、前記スピーカの音を外部へ通すための第2貫通孔を有する第2開口部と、
を具備し
前記第1開口部と前記放音面は、互いに対向する部分を少なくとも有する位置に配置され、
前記第1開口部が有する前記第1貫通孔の開口面積は、前記第2開口部が有する前記第2貫通孔の開口面積より大きいことを特徴とする表示装置。
【請求項8】
前記第1貫通孔は、任意の形状からなる1つ又は複数の孔から形成され、前記第2貫通孔は、任意の形状からなる1つ又は複数の孔から形成される、請求項7に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、スピーカを内蔵した表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば壁掛けテレビ等の薄型で軽量構造の表示装置においては、スピーカで発生した音を下方又は側方に向けて放出するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−156987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような表示装置では、出力の小さなスピーカにより、拡がりのあるクリアな音質を実現することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、表示装置は、表示
パネルと、
前記表示パネルに電気的に接続され、前記表示パネルを制御する回路基板と、スピーカと、前記回路基板と前記スピーカを覆う筐体と、を備える。前記筐体は、
前記スピーカの放音面に対向する位置に配置され、前記スピーカの音を外部へ通すための第1貫通孔を有する第1開口部と、前記第1開口部とは異なる
位置に配置され、前記スピーカの音を外部へ通すための第2貫通孔を有する第2開口部と、を
具備し、前記第1開口部が有する前記第1貫通部の開口面積は、前記第2開口部が有する前記第2貫通孔の開口面積よりも大きいことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図3】壁面に設置した表示装置を
図1のIII−III線方向から示す説明図。
【
図4】壁面に設置した表示装置を
図1のIV−IV線方向から示す説明図。
【
図7】壁面に対する表示装置の2つの配置例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。図中、同様な部位には同様な符号を付してある。
【0008】
図1に示すように、実施形態の表示装置10は、全体に横長の矩形形状に形成してあり、ユーザ側である前面に配置した表示部12と、この表示部12を背部から支えるキャビネット部14とからなる筐体16を備え、この筐体16内に内部空間18(
図2)が形成されている。
【0009】
図2に内部構造を概略的に示すように、表示部12は、表示パネル20の横方向の外側部及び背部に、例えばアルミニューム等の軽量金属製のシャーシ22を配置した表示ユニット24を備え、この表示ユニット24が表示パネル20を形成している。表示パネル20は表示面を形成する前面を透明ガラス板26で覆い、表示パネル20の表示面を外部から視認可能とすると共に、周囲環境から保護している。この表示パネル20は、例えば板状の液晶パネルで形成することができ、この他にも、例えばプラズマディスプレイパネル、有機ELパネル等の種々のディスプレイパネルで形成してもよい。
【0010】
表示部12の表示ユニット24は、ガラス板26と共にキャビネット部14で一体的に支えられている。このキャビネット部14は、フロントペゼル28とバックカバー30とを有する。フロントベゼル28は、ガラス板26の外周部に当接する前板部28aと、前板部28aの外縁部から背面側に延びる側板部28bとで略L字状の断面形状を形成しており、側板部28bを介してバックカバー30に一体的に接続される。
【0011】
フロントベゼル28の前板部28aは、表示部12の外周部を全周にわたって覆っており、その幅すなわちガラス板26側の内周縁部と外側の外周縁部との間の寸法は、表示パネル20に比して極めて小さな幅狭形状に形成してあり、開口部、スイッチ類等は設けられていない。この前板部28aは、ユーザ側の前面から見たときに、上下方向の短辺部及び左右方向の長辺部に沿ってほぼ一定幅を有し、内周縁部と外周縁部との間の中間部位が前方に僅かに突出した湾曲断面となっている。また、側板部28bは前板部28aよりも薄肉構造に形成し、軽量化が図られる。
【0012】
バックカバー30は、表示ユニット24の背部に位置する平坦状の裏板部30aと、裏板部30の外周縁部から前面側に延びる側板部30bとを有し、この側板部30bがフロントベゼル28の側板部28bの外面に接合される。これにより、筐体16の強固な一体構造を提供し、内部空間18内に配置される種々の電子部材を保護する。
【0013】
これらの表示ユニット24とキャビネット部14との間に形成される内部空間18内には、表示パネル20に接続されて表示装置10の全体を制御する制御基板や、電源回路基板、後述するスピーカを駆動する回路基板等の必要とする種々の基板及び電子部材が配置される。これらの種々の基板は、表示ユニット24のシャーシ22に直接又は種々の形状の補助ブラケット32を介してこの内部空間18内に保持することができる。これらの補助ブラケット32は、金属の他にも、適宜のエンジニアプラスチック等で形成し、軽量化及び小型化を図ることが好ましい。
【0014】
内部空間18内には、一対のスピーカ34を配置してある。本実施形態では、一対のスピーカ34は、
図1の前面側から見たときに、横長の左右方向両側で左右対称となる位置で、下方すなわち下側の長辺部に近接する側に配置してある。各スピーカ34は、
図2に示すように、固定用の支持部材36により、表示ユニット24のシャーシ22に取付けられる。
【0015】
各スピーカ34は、音を放散する放音面34aを表示装置10の裏面側、すなわちバックカバー30の裏板部30aに向けた状態で、この裏板部30aの内面に対向させて保持されている。放音面34aは、表示パネル20とほぼ平行に配置し、この表示装置10の全体の最大厚みであるフロントベゼル28の前板部28aとバックカバー30の裏板部30aとの間の距離を小さくすることが好ましい。また、スピーカ34は表示ユニット24の裏面側で、この表示ユニット24に重なる位置に配置することにより、フロントベゼル28の幅寸法及び表示装置10の全体の左右方向寸法を小さくすることができる。
【0016】
各スピーカ34の音を内部空間18から筐体16の外部に放出するため、バックカバー30の裏板部30aに一対の第1開口部38と第2開口部40とをそれぞれ形成してある。第1開口部38は、スピーカ34の放音面34aに対向して前後方向に重なる位置に配置し、第2開口部40は放音面34aからずれて側板部30bに隣接する位置に配置してある。第1開口部38及び第2開口部40は、それぞれバックカバー30をその厚み方向に貫通させて形成した複数の貫通孔で形成してある。
【0017】
第1開口部38は、放音面34aに垂直な方向に延びる第1軸38aを有し、第2開口部40は、第1軸38aに交差する第2軸40aを有する。この第2軸40aは、スピーカ34の音を筐体16の側方に導くものであれば、適宜の方向に延設することができるが、第1軸38aに対して少なくとも45度より大きく90度よりも小さい角度を有することが好ましい。
【0018】
第1開口部38は、スピーカ34からの音の主要部を通過させ、残りの部分を第2開口部40を通過させて筐体16の外部に放出する。換言すると、スピーカ34から放出された音は、第1開口部38から第2開口部40よりも大きな音あるいは音圧に分配される。このように、第1開口部38から放出する音量を第2開口部40から放出される音量よりも大きくするため、第1開口部38の第1軸方向における開口面積は、第2開口部40の第2軸方向における開口面積よりも大きく形成し、スピーカ34から出力される音の強さを100としたときに、第1開口部38から60〜80、第2開口部40から20〜40程度の比率でキャビネット部14から放出することが好ましい。
【0019】
また、筐体16の内部空間18内には、各スピーカ34の放音面34aに隣接すると共に第1開口部38及び第2開口部40が連通する放音部42を区画する仕切り44を設けてある。この仕切り44は、スピーカ34の支持部材36に沿ってバックカバー38の内面に接触して放音部42を、内部空間18内の他の部分に音が漏れないように区画する。この仕切り44は、放音部42から内部空間18内の隣接する領域に音が漏れるのを防止できるものであれば適宜の材料で形成することができ、例えばゴム材料等の弾性材で形成することが好ましい。また、放音部42に面する側に、音の吸収を防止する薄膜材等を配置することにより、発泡樹脂等で形成することも可能である。
【0020】
図3から
図5に示すように、この表示装置10は、全体に薄型構造に形成され、例えば取付具46で壁W等に掛け、表示部12に画像を表示し、スピーカ34から音響を出力することが可能な電子表示装置として用いることができる。例えば通信端末やパーソナルコンピュータから有線又は無線で受けた信号により、表示部12に画像や文字を表示し、一対の内蔵スピーカ34から音楽や音声等の音を発することができる。更に、所要のオペレーティングシステムを内蔵してタブレット型ポータブルコンピュータとして使用し、地上デジタルテレビの受信装置として使用してもよく、種々の用途に用いることができる。電源は、内蔵したバッテリを用いてもよく、電源ケーブルを介して外部から供給してもよい。
【0021】
このように壁Wに取付けた状態では、スピーカ34の音は、放音面34aから放音部42に放散され、第1開口部38及び第2開口部40から筐体16の外部に放出される。第1開口部38から放出された音48は壁Wで反射されて符号48aで示すように表示装置10の前面側に出てくる。このとき、第2開口部40からも、音50が表示装置10の側方に出てくる。
【0022】
これにより、第1開口部38から出て壁Wで反射した音48aと、第2開口部40から出た音50とのバランスをとることができ、拡がりのある音の設定と音のクリアさを細かくチューニングすることができる。
【0023】
図6は、このような音のバランスをとる第1開口部38及び第2開口部40は、第1開口部38を多数の円形形状のパンチ孔で形成し、第2開口部40を上下に延びる細長いスリット状に形成した状態を示す。もちろん、このような形状に限らず、第1開口部38から第1軸38a方向に沿って出る音48と第2開口部40から第2軸方向に沿って出る音50とのバランスを取ることができるものであれば、適宜の形状に形成することができる。例えば、第1開口部38の開口をスリット状又は矩形形状にし、第2開口部40の開口をパンチ孔で形成してもよい。
【0024】
図7は、第1開口部38が壁Wで閉塞されるのを防止するため構造例を示す。
図7の左側では、バックカバー30の裏板部30aの裏面すなわち壁Wに対向する面を平坦に形成し、この裏面から1又は複数の突起52を突出させてある。また、
図7の右側では、裏板部30bの中央部の裏面を平坦状に形成し、第1開口部38が形成される側縁部を、中央部から表示部12側に傾斜する傾斜面54に形成してある。いずれの場合も、第1開口部38から出た音が壁Wで反射した後、表示装置10の側面側から外方に拡がりのある音を導くことができる。
【0025】
図8は、スピーカ34の放音面34aの形状を例示する。このように、スピーカ34の放音面34aが長円形状又は楕円形状に形成することにより、長軸側を上下方向に沿わせ、放音面34aの全体が表示装置10の側部に近接させて配置することができる。この場合には、表示部12したがって筐体16のサイズが大きくなっても、第1開口部38と第2開口部40との音のバランスを取ることができる。
【0026】
図9の(A)及び(B)に示すように、バックカバー30の裏板部30aに小径部と大径部とを有する取付孔56を配置し、この取付孔56を補強する補助具58を、例えばシャーシ22である構造部材に固定することにより、この取付孔56を介して取付具46を取付け、壁Wに取外し可能に固定することができる。このような取付孔56は、表示装置10の裏面に、例えば4箇所形成することが好ましい。
【0027】
なお、バックカバー30の少なくとも中央部は平坦状に形成してあるため、取付具46を用いずに、裏面を直接、机等の上に接触させて置くことも可能である。この場合にも、第1開口部38から出た音48を机の上面から反射音48aとして反射させることができ、第2開口部40からの音50とバランスさせることができる。また、壁Wに掛ける場合も、取付孔56及び取付具46に限らず、筐体16の下縁部を適宜の支持腕部材で支えるようにしてもよい。
【0028】
このような実施形態の表示装置10によると、出力の小さなスピーカ34であっても、拡がりのあるクリアな音質を実現することができる。
【0029】
上述の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0030】
10…表示装置、12…表示部、14…キャビネット部、16…筐体、18…内部空間、20…表示パネル、22…シャーシ、24…表示ユニット、26…ガラス板、28…フロントベゼル、30…バックカバー、32…補助ブラケット、34…スピーカ、36…支持部材、38…第1開口部、40…第2開口部、42…放音部、46…取付具、48,50…音、52…突起、54…傾斜面、56取付孔、58…補強具、W…壁。