【課題を解決するための手段】
【0011】
その目的は、フライスが使用されるという点において達成され、フライスに載置されている状況において、切削インサートが、フライス軸に対して半径方向かつ垂直に延在する、少なくとも1つの刃先を有し、フライス軸が、歯輪郭のフライス加工の際に、歯の後部の縦の広がりに垂直に平面の中で配向され、歯車要素の表面または歯間の中へとフライス軸の周りを回転する切削インサートの係合運動中に、所望の輪郭表面への全法線の範囲を覆う角度に渡って、平面の中で枢動される。
【0012】
既に述べた通り、本発明に従う方法は、主に、直線の歯形状を伴う歯、すなわち、その歯の後部が直線に沿って延在する歯に対して意図され、その歯との関連で有利である。
【0013】
このような歯は、直歯歯車、ラック、および他の歯車要素上で頻繁に見つけられる。特に、大きな半径および多数の歯を伴うラックおよび歯車上のいくつかの斜歯の伝動装置要素はまた、本発明に従う方法を用いて製作することもできる。
【0014】
直歯はまた、いわゆるかさ歯車上で見つけられ、その外皮表面が、円錐軸に対して、より具体的には、円錐角の極値90°への円錐表面である。最後に述べたケースでは、かさ歯車は、その歯が半径方向に、または半径方向に対する角度でも延在できる、平坦で同じ高さの歯車である。比較的小さい円錐角の場合でさえも、直歯は、円錐軸を含有する平面において、またはこのような平面に対しても傾斜してのいずれかで延在することができるが、しかしながら、その場合、歯の後部の概念上の円錐表面の先端が、歯の底部表面の概念上の円錐表面の先端と一致するように、歯の後部は、同じ円錐表面上にあり、歯の底部表面もまた全て、概して少々小さい円錐角からなるが、共通の円錐表面上にある。その後、個々の歯は、その先端が一致するが異なる円錐角を伴う、2つの円錐表面の間の空隙幅が減少するに従い、半径方向にさらに外向きに配置される部分から、半径方向内向きの部分へと継続的に減少する、異なる歯高さからなる。しかしながら、原則として、歯の底部表面が歯の後部と同じ円錐角を画定する、かさ歯車を構想することも可能である。その場合、歯は、至る所で同じとなる、一定の高さからなるであろう。所与のかさ歯車上の歯の数が一定であるため、歯輪郭は、半径方向外向きに配置される領域から、半径方向内向きに配置される領域へとより狭くなる。
【0015】
フライスの直径に応じて、およびそれぞれの歯の長さ(歯の後部に平行に測定)に応じて、歯輪郭は、1つ、または場合により2つ以上のパス、もしくはフライス作業において製作することができる。
【0016】
その点において、歯車要素に対するフライス軸の枢動可能な運動は、必ずしも空間におけるフライス軸の実際の枢動運動を意味しないが、その代わりに、歯車要素はまた、好適に枢動もできる一方、フライス軸は、結果として、歯車要素またはその歯輪郭に対するフライス軸の相対的な枢動運動を実現するために、空間においてその配向を保持する。それは特に、歯の配設を製作中に、例えば、フライスが並進運動で移動のみし、フライス軸がその配向を保持する一方、車軸の周りを単に回転することができる、歯車の製作において適用される。
【0017】
したがって、本発明に従う表現「フライス軸の枢動運動」は、関与するその要素もまた、実際に空間において、または対応する工作機械の中で枢動するにもかかわらず、歯車要素とフライスとの間の全ての相対的な枢動運動を受け入れる。
【0018】
その点において、フライスの並進運動は、概して、歯の後部に垂直に平面において、およびフライス軸に対して、独立して制御可能な軸方向および半径方向のコンポーネントを有する。
【0019】
本発明に従う方法のさらに好ましい形状、関連付けられるフライス、および対応する切削インサートは、付随する特許請求項の範囲において説明する。
【0020】
それゆえ、変形に従い、本明細書の上文で既に説明した通り、回転フライスおよび切削インサートの係合運動ならびに枢動運動中に、歯車要素が歯車である限り、歯車要素が、歯の列の方向に並進的に変位するか、または歯車要素の軸の周りを回転することを提供する。
【0021】
さらなる変形において、切削インサートは、フライス本体の外周から半径方向に突出し、相互に対向する側に、フライス軸に垂直である平行な刃先を有し、相互に対向する刃先はそれぞれ、隣接する歯の側面を生成するために、連続的に使用され、側面は、歯付きの空隙に対して対向関係にあることを提供する。
【0022】
変形において、切削インサートは、フライス軸の周りの円筒表面の中に配置され、フライス軸(21)に平行なコンポーネントを有する、刃先(9)を追加として有し、追加の刃先は、2つの隣接する歯の後部によって画定される平面に対して半径方向かつ垂直に、歯車要素に接近するフライスによって、歯付きの空隙の底部を生成するように使用され、フライス軸はそれぞれ、歯輪郭の目下生成された表面区分に垂直に配置されることをさらに提供する。
【0023】
具体的には、歯間の境界を定める歯輪郭の製作のための、本発明に従う方法は、以下のステップを含み得る。
【0024】
a)歯車(20)の軸(15)に平行な歯高さに対応する深さである、切削インサートによって画定される切削円で、表面を切開するフライスによって、歯車のブランク(20)の円筒表面の中に溝を製作するステップ
【0025】
b)フライスを溝から引き抜き、輪郭が、溝または対応する歯間の境界を定める歯の先端で製作されるべき、歯の後部の軸位置に、フライスを送り込むステップであって、歯車は、適所の中へと回転し、フライスは、それに応じて、フライスの刃先(8)が、輪郭の半径方向外向きの端部分への法線に垂直となるように、それとともに追跡される、ステップ
【0026】
c)歯車を回転させ、同時に、軸方向および半径方向の並進によって、フライスを追跡するステップであって、フライス軸は、空間においてその配向を保持し、歯の輪郭は、継続的に製作される、ステップ
【0027】
好適な歯幅で、または歯幅に対するフライスの直径の点での好適な比率で、係合運動および枢動運動のプロセスは、第1の平面に平行な少なくとも1つのさらなる平面において繰り返される。
【0028】
かさ歯車の製作のための変形において、歯の後部は、円錐表面の軸に対して傾斜する、円錐表面上で延在することを提供する。
【0029】
その場合、円錐軸に対して測定される円錐表面の角度は、0°から90°の間で、好ましくは、10°から80°の間である。
【0030】
具体的には、かさ歯車を製作する方法は、以下のステップを含み得る。
【0031】
a)製作されるかさ歯車の歯の底部の円錐角に対応する、円錐軸への傾角の角度で、歯高さに対応する深さである、切削インサートによって画定される切削円で、表面を切開するフライスによって、歯車のブランク(20)の円錐表面の中に溝を製作するステップ
【0032】
b)フライスを溝から引き抜き、輪郭が、溝または対応する歯間の境界を定める歯の先端で作成されるべき、歯の後部の軸位置に、フライスの切削円を送り込むステップであって、歯車は、円錐軸の周りを回転し、フライスは、それに応じて、フライスの刃先(8)が、輪郭の半径方向外向きの端部分への法線に垂直となるように、それとともに追跡されるステップ
【0033】
c)フライス軸に対して、歯車を回転させ、同時に、軸方向および半径方向の並進によって、フライスを追跡するステップであって、フライス軸は、空間においてその配向を保持し、歯の輪郭は、継続的に製作されるステップ
【0034】
その場合、フライス軸に関係する、フライスの軸方向および半径方向の並進は、円錐軸上にあり、製作されるかさ歯車の円錐表面の、円錐先端に対する略一定の間隔での運動に対応し、フライス軸はそれぞれ、円錐表面への接線に平行に延在する。
【0035】
本明細書でも、フライスは実際に、空間において並進、軸方向、および半径方向の運動を行うことができる一方、同時に、かさ歯車またはかさ歯車のブランクもまた回転することに留意すべきである。
【0036】
歯輪郭の製作用の対応するフライスは、回転可能な回転対称本体と、本体の周縁部に、切削インサートが受容される陥凹とを有し、切削インサートは、半径方向の平面の中に配置され、陥凹を有する本体の部分の周囲表面を、少なくとも6mm超えて半径方向に延在する、刃先を有する。
【0037】
したがって、歯輪郭は、フライス軸に垂直で平面の中にある刃先によって生成される。
【0038】
本明細書の上文に記載した通りの方法において使用するための、フライス用の対応する切削インサートは、逃げ表面上への平面図において、幅を少なくとも2倍超え、中央固定穴を有する長さの細長い平行四辺形から成る、可逆的な接線切削インサートの形態であり、固定穴の縁は、平行四辺形の縦方向において、端部から少なくとも12mmの間隔にある。
【0039】
その場合、平行四辺形の縦方向端部にて提供される、その切削部分が少なくとも8mmより大きい切削インサートは、2つの平行な刃先およびそれに隣接する逃げ表面を伴う、接線のすくい角表面を有することができ、2つの平行な刃先およびそれに隣接する逃げ表面は、すくい角表面との90度より小さい角度を含む。
【0040】
直歯形状を伴う歯車要素の歯の列を圧延する方法を概括すると、歯車要素は、フライス軸の周りを回転可能で、フライスが、歯車要素に接近する時、切削インサートが、隣接する歯の間の空隙の中へ係合するか、またはそれらの空隙を生成するように配設される、交換可能な切削インサートをその周縁部に有する、フライスを伴うかさ歯車である、方法において、フライスが使用され、フライスに載置される状況において、切削インサートは、フライス軸に対して半径方向かつ垂直に延在する、少なくとも1つの刃先を有し、フライス軸は、歯輪郭を圧延すると、所望の輪郭表面の境界を定める、歯の後部の端部に垂直に平面の中で配向し、歯車要素の表面または歯間の中へとフライス軸の周りを回転する、切削インサートの係合運動中に、製作される歯の輪郭表面への全法線の範囲を覆う角度範囲に渡って、平面の中で枢動される。
【0041】
フライス上の切削インサートが、その直径が特に使用されるフライスに依存する、円の上を移動するため、および本発明に従う方法で、フライス軸の枢動運動中に、歯間の最深点に、切削インサートのそれぞれの半径方向外側の刃先部分が到達するため、歯間における1つの地点にてのみ、フライス工程の切削インサートの自由端部がそれに沿って通過する円弧が、歯の両端で、すなわち、歯の全幅に渡って完全な歯輪郭を形成するのに、歯間の底部に十分近いかどうかは、フライスの直径およびそれぞれの歯の長さに依存する。必要な場合には、切削インサートが歯間における最深係合位置を有する時、フライス軸はまた、歯間の底部および歯間の底部に任意の隆起を生成するために、歯の後部の縦の広がりに平行して配置することもでき、フライス軸が、それら2つ以上のフライス作業の間(歯の後部に平行関係で)に、多かれ少なかれ傾斜することができることは、まさに、刻み目の形状の隆起を生成することである。特に、第1の隙間または第1の空隙は、このようなフライス作業によって、歯車要素の表面(最初はまだ滑らかであるか、または構造化されていない)において生成することができ、その後、そこから開始し、隣接する歯の輪郭が、本発明に従う方法で生成される。
【0042】
しかしながら、実際の歯輪郭は、歯の後部の縦の広がりに対するフライス軸用の固定位置で製作され、しかしながら、その場合、フライスの切削インサートによって画定された切削円との関連で、それに応じて大きい歯幅がそれを必要とするなら、フライス作業はまた、2つ以上の位置で繰り返され、フライス軸については、フライス軸の枢動運動、および歯間の生成または歯間への係合により、歯の後部に沿って変位することができる。
【0043】
その場合、フライス軸の枢動運動は、例えば、フライス軸の延長上のフライスの外側にある点の周りにもたらされ、その枢動運動はまた、同時に、フライスに対するそれぞれの歯の並進運動によって重ね合わせることもできる。
【0044】
しかしながら、方法の好ましい形状では、歯車要素は、歯の後部に平行に延在する軸の周りを回転する一方、フライスは、空間においてその軸の配向を保持するが、同時に、歯車要素の運動に続くように、およびその場合、歯輪郭を圧延するように、その軸に平行な並進運動で、かつその軸に垂直に(また、歯の後部の縦の広がりに垂直にも)変位する。特に、直歯形状を伴う歯車の場合、旋回軸は歯車の軸である。しかしながら、斜歯歯車の場合、歯車の回転の軸は、歯の後部の方向とは異なり、その場合、歯車の回転はそれにもかかわらず、その回転の軸の周りにもたらされるが、フライス軸は、歯の後部に垂直な平面の中を、並進運動で移動する。
【0045】
既に述べた通り、歯の輪郭上のそのフライス作業は、特に、状況が比較的幅広の歯に関する場合、歯の幅に渡って種々の位置で繰り返すことができ、その場合、関係は、フライスの半径または直径に関して、それぞれ製作されるべきである。例えば、多くの実際的場合には、そのとき、それぞれの歯の端部部分で、フライスによってもはや係合されない領域が、歯間底部に十分近く、その領域が、対向して配置される歯車要素上での歯の回転運動の際に、係合に至らない場合、フライス半径の最大30%である、最大幅の歯は、本発明に従う方法で、単一パスにおいて容易に圧延することができる。
【0046】
歯幅が、フライス半径の30%より著しく大きい場合、対応するフライス作業は、例えば、歯幅に沿ってフライス半径の30%以下の間隔で、それぞれ繰り返される必要がある。(歯幅は、各場合において、歯の後部に平行に測定される)。
【0047】
望ましくは、対応するフライスは、切削インサートが、例えば、少なくとも歯元の高さほどは十分に遠い、フライス胴体の外側周縁部から半径方向に突出するような形状からなり、それらの2つの相互に対向する側に、対向して配置される刃先が、歯間に対向する関係で、隣接する歯の側面を生成するために、連続的にそれぞれ使用することができるように、フライス軸に垂直である平行な刃先を有する。したがって、切削インサートの後方の刃先(前端部から離れている)が、まさに製作されるべき輪郭表面領域への法線に垂直に、各々配向されなくてはならないため、フライス軸は、対向して配置される刃先を伴う歯輪郭の製作においてより、フライスの正面端部から離れて面する刃先を使用する時、さらにより枢動する。歯元の高さは、幅広い制限内において変動することができ、その点において、実際に関連する範囲は、歯元の高さが1mmから150mmの間であることは理解されるであろう。代替的に、使用されるフライスのサイズ、または半径もしくは直径が、概して、ある範囲の歯車サイズおよび対応する歯元の高さに適合するため、刃先がフライスの外側周縁部を超えて、フライス軸へ突出する分の、半径距離を関連付けることもまた可能である。このような用語で表される、上記に述べた半径方向に突出する刃先の距離は、フライス半径の2%から20%の間、好ましくは、5%から16%の間で、概して8%より大きいはずである。
【0048】
望ましくは、自由端部にて、切削インサートはまた、フライス軸の周りの円筒表面の中にあり、したがって、その軸に平行なコンポーネントを有する、端部刃先をも有し、その追加の端部刃先は、2つの隣接する歯の後部によって画定される平面に垂直に、半径方向に歯車要素に接近し、場合によっては、歯の後部の方向に平行な歯間を通って移動もするフライスによって、歯間底部を生成するために使用される。
【0049】
回転可能な回転対称本体と、本体の周縁部に、切削インサートが受容される陥凹とを有する、歯輪郭の製作用の対応するフライスは、切削インサートが、半径方向の平面の中にあり、半径方向に延在し、加えて、陥凹を有する本体の部分の周囲表面を、少なくとも歯元の高さだけ超えて半径方向に延在する、刃先を有する点において、本発明の目的を達成する。
【0050】
可能な歯元の高さ、およびフライス半径に関係する半径方向に突出する距離については、既に本明細書の上文に、より詳細に記載してきた。
【0051】
半径方向において突出する、切削インサートの端部は、歯間の中へと係合されなくてはならず、加えて、フライス本体の側のフライス軸は、フライス本体が隣接する歯のうちの1つに接触することなく、歯車要素の方へ傾くべきであり、それによって、歯間の中へのさらなる係合運動、またはフライス軸の必要な傾斜運動を防止するであろうため、このような半径方向に突出する寸法が必要である。
【0052】
すくい角表面上への平面図における好ましい実施形態では、関連付けられる切削インサートは狭い長方形からなり、狭い側は最大でも、歯車要素の底部で歯間の幅に対応し、長方形のすくい角表面の縦側は、2つの平行な刃先を有し、切削インサートは、フライス本体に載置されている状況において、少なくとも歯元の高さのミリメートル分、フライスの周縁部を超えてそれぞれ突出するように十分長い。
【0053】
好ましくは、突出距離は、歯元の高さの1.1倍であり、それゆえ、それで製作される歯の高さに合致する。歯元の高さがより大きい場合、フライス本体を超える突出寸法はそれぞれ、歯元の高さより少なくとも10%、好ましくは、少なくとも15%大きい。