(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つの循環式コンベア、下布層、第1の固定液塗布装置、コロイド塗布装置、上布層導入装置及び第2の固定液塗布装置を備える湿式フィルムの製造設備であって、
前記少なくとも1つの循環式コンベアは、湿式フィルムを連続形成する作業面とされる少なくとも1つの循環式載置面を有し、前記循環式載置面は、上方に平坦面を有する上、搬送方向に沿って入口端から出口端の方向に循環移動し、前記循環式載置面と対向して前記第1の固定液塗布装置、コロイド塗布装置、前記上布導入装置及び第2の固定液塗布装置が前記入口端から前記出口端の方向に沿って順番に設置され、
前記下布層は、前記載置面の表面上に設置される上、前記載置面と共に同期移動し、前記下布層が前記載置面と共に同期移動する過程において、前記下布層の上表面に各成膜材料が順番に載置されることにより、フィルムが連続して迅速に形成され、
前記第1の固定液塗布装置は、前記載置面と共に同期移動する前記下布層上に第1の固定液層を塗布して形成し、
前記コロイド塗布装置は、前記第1の固定液塗布装置の後方に設置され、前記第1の固定液層が前記下布層上に塗布された上、前記載置面と共に後方の前記コロイド塗布装置の作業範囲まで同期移動すると、前記コロイド塗布装置は、前記第1の固定液層上にコロイド層を塗布し、前記第1の固定液層は、前記下布層上において前記コロイド層と架橋を行って徐々に硬化し、
前記上布層導入装置は、前記コロイド塗布装置の後方に設置されて上布層を供給し、
前記第2の固定液塗布装置は、前記上布導入装置の後方に設置されて第2の固定液層を供給し、
前記コロイド塗布装置と前記第2の固定液塗布装置との間には前記上布層導入装置が設置され、
前記上布層導入装置によって前記上布層は、先ず前記コロイド層上に貼設され、次に前記上布層上には、前記第2の固定液塗布装置によって前記第2の固定液層が塗布され、前記コロイド層が前記第2の固定液層と架橋及び硬化を行うことにより、前記上布層は、前記第2の固定液層と前記コロイド層との間に挟設され、
これにより、前記下布層が後方に移動する過程において、前記下布層の表面上には、適当な厚さである上、前記上布層を含むフィルムが徐々に形成され、キャリア有りの湿式フィルムの連続成膜製造工程が構成され、
前記下布層は、前記循環式コンベアの循環式載置面上に固定設置され、前記循環式コンベアと共に同期循環回転することを特徴とする湿式フィルムの製造設備。
前記循環式コンベアと共に同期循環回転する前記下布層の表面には、前記循環式載置面又は前記下布層上に成膜された後に残留する固定液又はコロイドを掻き取って洗浄するスクレーパが設置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の湿式フィルムの製造設備。
【背景技術】
【0002】
本発明における成膜材料は、アルギン酸及びアルギン酸塩(alginate)化合物を含む(これに限定されない)。アルギン酸(本発明においては、コロイドと称すが、これに限定されない)は、天然の高分子体であり、塩類化合物(本発明においては、第1の固定液及び第2の固定液と称すが、これに限定されない)中の金属イオンと共に各種のアルギン酸塩フィルム(本発明においては、フィルムと称すが、これに限定されない)を形成する。例えば、水溶性のアルギン酸ナトリウム(コロイド)は、塩類化合物(固定液)中の2価カルシウムイオンと架橋(crosslinking)及び硬化(curing)が発生し、水に溶けないアルギン酸カルシウムフィルム(フィルム)が形成される。製造工程中、フィルムが適当な幅を有する連続式又は非連続式の帯状のフィルム(これに限定されない)である場合、後続の作業工程中、マスク裁断作業を含むことができる。例えば、カッターを使用し、帯状のフィルムをマスクの形状に裁断することにより、美容用の湿式マスクに応用される。本発明中のフィルムは、大部分が市場においてよく見られる顔部に貼るマスクに使用されるため、本発明中のフィルムは、マスクと称することができる。本発明においては、先ず、大面積のフィルムが製造され、次に、大面積のフィルムが所定のマスクの形状に裁断(例えば、打ち型を利用)される(これに限定されない)。
【0003】
従来の湿式フィルム(マスク)に関連する技術としては、特許文献1〜特許文献25などが存在する。しかし、特許文献1〜特許文献25の技術的特徴は、湿式フィルムの組成成分又は各成分間の重量パーセント(wt%)の関係に重点が置かれており、湿式フィルムの量産化又はコスト低下に関する問題に対しては、有効な技術が開示されていない。
【0004】
また、湿式フィルム(マスク)の使用態様に関し、従来の湿式フィルムは、キャリア有り又はキャリア無しの2種類に分類される。キャリア無しの湿式フィルムとは、使用時において、適当な厚さのフィルム(例えば、アルギン酸塩マスク)のみから構成される湿式フィルムを指す。キャリア有りの湿式フィルムとは、使用時において、適当な厚さのフィルムと不織布などのシート状のキャリアとが結合されて構成される湿式フィルムを指す。一般に、シート状のキャリアは、フィルム中に一体に結合されるため、分離できないか、分離しにくい。
【0005】
一般によく見られる湿式フィルム(マスク)の包装形態に関して述べると、キャリア無し及びキャリア有りの湿式フィルムは、直接又は折り畳まれた後、所定の液体(例えば、保湿に用いられる食塩水又は美容効果を有するエッセンス)を含む密封包装袋内に入れられて密封される(これに限定されない)。ユーザは、使用時、包装袋を開封して湿式フィルムを取り出して使用する。キャリア無し又はキャリア有りの湿式フィルムは、柔軟で薄いシート構造であるため、製作(製造工程中の移動)又は包装(折り畳んだ後、密封包装袋内に入れて密封する)に都合がよい。また、ユーザは、密封包装袋から湿式フィルムを取り出して便利に使用(フィルムを展開し、顔部に貼る)することができる。キャリア無し又はキャリア有りの湿式フィルムは、少なくとも一方の面上に保護フィルムが貼設される。例えば、湿式フィルム(マスク)を支持し、包装又は折り畳んで包装袋に入れるのに便利なように、湿式フィルムの一方の面上には、光沢紙(これに限定されない)が貼設される。或いは、密封包装袋内の液体を浸透させ、フィルムを保湿するために、湿式フィルムの他方の面上には、不織布層(これに限定されない)が貼設される。ここで、本発明の実施形態中、上記の保護フィルムは、本発明のキャリア有りの湿式マスクにおけるシート状のキャリアではない。
【0006】
従来の湿式フィルムの成膜製造設備又は成膜方法においては、以下(1)〜(3)に示す欠点を有する。
【0007】
(1)湿式フィルムは、柔軟で薄いコロイドフィルムであり、製造工程又は裁断作業(マスクの形状に裁断する)の利便性を高めるため、本発明の発明者は、湿式フィルムを平坦な載置面又は下布層によって搬送し、搬送工程と同時にすべての成膜工程を完了することができれば、湿式フィルムの製造に大変有利であると考えた。しかし、従来技術においては、以上の構想が開示されてないため、湿式フィルムの製造工程の難度を高め、湿式フィルム(マスク)の発展に都合が悪い状況となっている。
【0008】
(2)従来の成膜製造工程及び関連する製造設備について述べると、特許文献24によっては、メーカーは、キャリア無し又はキャリア有りの湿式フィルムを連続して迅速に製造することができない。湿式フィルムの成膜製造工程は、コロイド(例えばアルギン酸)の塗布作業及び塗布作業に使用されるコロイド塗布装置(又は作業ステーション)と、固定液(例えば、塩類化合物)の塗布作業及び塗布作業に使用される固定液塗布装置(又は作業ステーション)と、上述の成膜材料であるコロイドと固定液とを所定程度まで架橋させる装置(又は作業ステーション)及び/又は架橋を中止させる中止装置(又は作業ステーション)と、を含む。これにより、適度な柔軟性を有する湿式フィルムが形成される。しかし、従来の製造設備は、成膜製造工程の構成上、効率が悪い。例えば、特許文献24で開示される製造設備は、含浸コータ(impregnation coater)及びグラビアコータ(gravure coater)の2つの主要な作業ステーションが別々に設置され、複数のホイール又はローラによる回転及び/又は牽引作用により、連続式支持用ベース材が上記2つの主要な作用ステーション領域を順番に通過し、連続式支持用ベース材の表面上において、塩類化合物(即ち、本発明中における固定液)及びアルギン酸(即ち、本発明中におけるコロイド)の塗布作業が別々に行われる。即ち、製造設備及び成膜製造工程中、支持用ベース材を載置する連続式コンベアが設けられないため、アルギン酸(コロイド)又は塩類化合物(固定液)などの各成膜材料を使用して支持用ベース材上において連続して迅速に成膜製造工程を行い、湿式マスクを完成させることができない。即ち、メーカーは、独立した複数の作業ステーション(特許文献24の
図2〜
図4に示す別々に設置される含浸コータ及びグラビアコータの2つの主要な作業領域)を設置し、各独立した作業ステーション間に連結されて搬送を行う搬送装置(例えば、複数のローラ又はホイール)を設置しなければ、湿式フィルムの製造工程を実施することができない。このため、製造設備及び製造工程が煩雑となり(特許文献24の
図2〜
図4参照)、占有される面積が大きい。このため、設備及び製造コストが増加する。また、成膜製造工程を連続して迅速に行うことができない。
【0009】
(3)湿式フィルムは、主に、キャリア無し及びキャリア有りの2種類が存在するが、従来技術においては、同一の製造設備の基本装置を使用し、設備を置換したり、増設したりすることにより、キャリア無し又はキャリア有りの湿式フィルム(マスク)を選択的に製造することができない。即ち、本来キャリア無しの湿式フィルムを製造していたメーカーが、ユーザ又はクライアントからの要望に応じ、キャリア有りの湿式フィルムを製造する場合、キャリア無しの湿式フィルムを専門に製造する製造設備の設備を置換したり、増設したりすれば、キャリア有りの湿式フィルムを製造できるようになるわけではない。即ち、この場合、一般に、メーカーは、キャリア有りの湿式フィルムを専門に製造する製造設備を新たに設計する必要があるため、製造設備が浪費され、製造コストが上がり、使用空間が増え、フィルム(マスク)産業の競争に不利となる。
【0010】
本発明の発明者の発見によると、キャリア有りの湿式フィルムの製造に使用される製造設備でも、キャリア無しの湿式フィルムの製造に使用される製造設備でも、湿式フィルム中の主要部分であるフィルム(例えば、アルギン酸塩類フィルム)を形成するために用いられる各基本装置(例えば、本発明中で開示される第1の固定液塗布装置、コロイド塗布装置、第2の固定液塗布装置など)の各作業ステーションの作業機能及び製造工程の構成は、一般に、同一又は類似する。即ち、各作業ステーションの作業機能は、共通性を有する。しかし、特許文献24などの従来技術においては、キャリア有りの湿式マスク又はキャリア無しの湿式マスクの何れか1種類のみを製造するように設計されている。このため、メーカーがキャリア無し及びキャリア有りの2種類の湿式マスクを製造する必要がある場合、2つの異なる製造設備によって別々に製造する必要がある。即ち、従来技術においては、各作業ステーションの作業機能の共通性が考慮されていないため、製造工程においても好適な構成がされていない。このため、全体の製造設備中の各作業ステーションの装置構造及び製造工程が煩雑となり(特許文献24の
図2〜
図4を参照)、占有される体積が大きい。また、メーカーは、同一の製造設備に簡単な置換又は増設を行い、キャリア無し又はキャリア有りの2種類の湿式マスクを選択的に製造することができないため、設備及び製造コストが増加する上、成膜製造工程を連続して迅速に行うことができない。
【0011】
上述の説明から分かるように、従来のアルギン酸塩類フィルムを有するキャリア無し又はキャリア有りの湿式マスクの連続成膜方法及び成膜製造設備には、解決が望まれる問題及び欠点が存在する。本発明は、従来技術における上述の問題及び欠点を有効に解決することができる技術を提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
説明の都合上、
図1〜
図9に示す本発明の第1〜第9実施形態は、何れも側面図を示し、本発明の湿式フィルムの連続成膜製造設備の成膜製造工程の進行方向(即ち、搬送方向)は、
図1〜
図9の左側から右側とする。また、
図1〜
図9の左側は、前方と定義し、
図1〜
図9の右側は、後方と定義し、
図1〜
図9の表面に垂直の方向は、幅と定義する。また、説明の都合上、成膜製造工程中に形成される下布層20、第1の固定液層31、コロイド層41、第2の固定液層51及び上布層81は、何れも、分離しているが積層されている線で示すが、実際の下布層20、第1の固定液層31、コロイド層41、第2の固定液層51及び上布層81間は、架橋作用によって一体に連結されたり、塗布(噴霧、浸漬など)によって一体に貼合されたりする。即ち、実際の各層間には、図面に示すような隙間が存在しない。
【0025】
図1に示すように、本発明の湿式フィルムの連続成膜の製造設備は、主に、上面に少なくとも1つの載置面11を有する少なくとも1つの循環式コンベア10と、吸水性を有する下布層20と、載置面11の上方又は前方に設置され、載置面11の搬送方向に沿って入口端12から出口端13の方向に順番に設置される第1の固定液塗布装置30と、コロイド塗布装置40と、第2の固定液塗布装置50と、を含む。循環式コンベア10の形態は、限定されない。載置面11は、循環式コンベア10の形態に応じて構造が異なり、例えば、PVCコンベア、PUコンベア、テフロン(登録商標)コンベア、ベルトコンベアなどの連続面を有する構造や、ローラコンベア、チェーンコンベアなどの連続面を有さない構造を含み、何れの形態のコンベアの場合でも、載置面11と称し、図面中、太い点線で示す。また、少なくとも1つの循環式コンベア10は、少なくとも1つの載置面11を有するが、循環式コンベア10の搬送方式は、限定されず、複数の循環式コンベア10を使用することによって同数の複数の載置面11を構成したり、複数の循環式コンベア10を連結して1つの載置面11を構成したり、1つの循環式コンベア10を使用することによって複数の載置面11を構成したりすることができる。
【0026】
本発明においては、少なくとも1つの循環式コンベア10を使用することにより、少なくとも1つの循環式載置面11を構成し、載置面11をフィルム形成の作業プラットフォーム(即ち、湿式フィルムを連続形成する作業面)とする。循環式載置面11は、上方に平坦面を有する上、搬送方向に沿って入口端12から出口端13の方向に循環移動する。循環式コンベア10は、適当な長さ(搬送方向に沿った前方から後方への長さ)及び幅(搬送方向と垂直の水平方向)を有する。このため、循環式載置面11は、湿式フィルムを形成する作業面とされる適当な長さ及び幅を有する。また、載置面11の表面上には、可動方式(
図1〜
図4参照)又は固定方式(
図5参照)により、載置面11と共に同期移動する吸水性を有する下布層20が載置される。これにより、下布層20には、載置面11と共に同期移動する過程において、固定液31,51(例えば、塩類化合物)及びコロイド41(例えば、アルギン酸)などの各成膜材料を載置することができる(
図1参照)。これにより、下布層20が載置面11と共に同期移動する過程において、下布層20の上表面に適当な厚さのフィルムが連続して迅速に形成される。即ち、下布層20上に成膜作業が行われる。
【0027】
(第1実施形態)
図1に示すように、下布層20は、連続する帯状の布である(これに限定されない)。下布層20は、ロール状に巻かれて下布層20の供給源21とされ、入口端12から循環式載置面11上に進入させ、下布層20を連続して供給することができる。また、連続する下布層20を載置面11の表面上に平坦に貼設することができ(
図1中、下布層20及び載置面11の表面は、分離した2本の線で示す)、載置面11と共に同期移動することができ、最後に、載置面11の出口端13から後方に排出されて載置面11を離れる。連続する下布層20は、排出された後、予め準備された後続作業設備70に搬送されて後続作業が行われる。後続作業は、例えば、自動化又は手動のマスク裁断装置71、他の循環式コンベア72など(これに限定されない)によって構成される裁断作業ステーションによって行われ、連続する下布層20上に形成された湿式フィルムを単一のマスクの形状に裁断することができる。或いは、収納整理作業ステーション又は包装作業ステーションなどの他の機能の作業ステーションを設置することができる。後続作業設備70は、必要に応じて様々な機能の装置又は作業ステーションを構成し、様々な後続作業を行うことができるが、本発明の重点ではないため、ここでは説明しない。
【0028】
第1の固定液塗布装置30は、載置面11と共に同期移動する下布層20上に第1の固定液層31を塗布するために用いられる。本発明の第1実施形態中、第1の固定液塗布装置30は、載置面11の上方に設けられるが、これに限定されず、例えば、第1の固定液塗布装置30は、載置面11の前方に設けてもよい(
図4参照)。また、一般の湿式マスクの形状(人の顔部の形状)又は構造に関して述べると、第1の固定液層31は、下布層20上に均一に塗布されるが、これに限定されず、例えば、湿式マスクが特殊構造又は特殊形状を有する場合(顔部上半部又は顔部下半部のみを被覆する形状)、下布層20上に均一ではなく、特定領域にのみ塗布作業を行うことができる。また、本発明の塗布作業とは、第1の固定液層31を下布層20上に形成することであるが、塗布作業に用いられる作業方式は、限定されない(噴霧方式、浸漬方式又はその組み合わせ)。
図1中の第1の固定液塗布装置30においては、噴霧方式で塗布を行う。
【0029】
図1に示すように、コロイド塗布装置40は、第1の固定液塗布装置30の後方に設置される。第1の固定液層31が下布層20上に塗布された上、載置面11と共に後方のコロイド塗布装置40の作業範囲まで同期移動すると、コロイド塗布装置40は、第1の固定液層31上に適当な厚さのコロイド層41を塗布する。コロイド層41が第1の固定液層31上に塗布された後、コロイド層41、第1の固定液層31及び下布層20は、継続して載置面11と共に後方に同期移動する。移動過程において、先に塗布された第1の固定液層31は、下方から上方にコロイド層41と架橋(crosslinking)を行い、除々に硬化(curing)してフィルム状になる。
【0030】
また、第1実施形態においては、先に第1の固定液層31が下布層20上に塗布された後、第1の固定液層31上にコロイド層41が塗布される。このため、第1の固定液層31は、先に下布層20に接触し、下布層20の上表面(又は上下表面)から内層中に浸入する。実際の架橋作用に関して述べると、第1の固定液層31(2価金属イオンを有する)の上表面がコロイド層41に接触すると、架橋が即座に発生する上、硬化が始まり、両者間の接触面に薄膜フィルムが即座に形成される。この際、薄膜フィルムが遮蔽面となるため、コロイド層41が下布層20の上表面(又は上下表面)から内層中に浸入し、架橋作用が継続して発生するのを阻止することができる。即ち、先に下布層20の上表面上の第1の固定液層31がコロイド層41の方向(下方から上方)に対して架橋を行うが、コロイド層41が下布層20の上表面から下布層20の内層(上方から下方)に浸入することはない。これにより、下布層20の上表面上には、湿式フィルム(即ち、網構造を有する親水コロイド型配位化合物膜層)を形成することができる。また、湿式フィルムは、下布層20から簡単に分離するため、形成される湿式フィルム31,41は、使用時、下布層20から簡単に分離させることができる。このため、本発明においては、キャリア無しの湿式フィルムと見なす。
【0031】
図1に示すように、第2の固定液塗布装置50は、コロイド塗布装置40の後方に設置される。コロイド層41が第1の固定液層31上に塗布された上、下布層20と共に載置面11上において後方の第2の固定液塗布装置50の作業範囲まで同期移動すると、第2の固定液塗布装置50は、コロイド層41上に第2の固定液層51を塗布する。第2の固定液層51がコロイド層41上に塗布された後、第2の固定液層51、コロイド層41、第1の固定液層31及び下布層20(一体に接着されると見なすことができる)は、載置面11と共に後方に同期移動する。また、移動過程において、塗布された第2の固定液層51は、上方から下方にコロイド41と架橋を行う上、除々に硬化してフィルム状態となる。即ち、コロイド層41は、第1の固定液層31により、下方から上方に架橋を行う上、第2の固定液層51により、上方から下方に架橋を行い、載置面11と共に後方に同期移動する下布層20上において除々に硬化し、適当な厚さのフィルム100(31,41,51)が形成される。これにより、コロイド層41がフィルム状態を形成する時間が短縮される。即ち、硬化後のフィルム100(31,41,51)は、第1の固定液層31及び第2の固定液層51と中間のコロイド層との間の架橋作用によって形成されるため、
図1中の硬化後のフィルム100は、符号(31,41,51)によって示す。またフィルム100(31,41,51)は、載置面11と共に後方に移動する下布層20上に連続して形成されるため、実際に製作する際、フィルム100(31,41,51)と下布層20とが密着されて連続式帯101(20,31,41,51)が形成される上、載置面11と共に同期移動し、その後、載置面11の出口端13から後方に排出され、載置面11を離れて後続作業が行われる。載置面11を離れる際、フィルム100(31,41,51)と下布層20とが密着されて連続式帯101(20,31,41,51)が形成されるため、
図1中の連続式帯101は、符号(20,31,41,51)によって示す。しかし、ユーザが使用する際、フィルム100(31,41,51)は、下布層20から簡単に分離することができるため、本発明の第1実施形態は、キャリア無しの湿式フィルムの連続成膜製造工程を示す。本発明の第1実施形態により、キャリア無しの湿式フィルム100(31,41,51)を連続して迅速に生産することができるため、量産化及びコスト低下を実現することができる。
【0032】
また、第1の固定液層31又は第2の固定液層51の主要材料は、フィルム形成に必要な塩類化合物などの固定液である。しかし、実際に製作する際、第1の固定液層31及び第2の固定液層51の材料中、必要に応じ、マスクに美白、しわ防止などの効果を与える物質を加えたり、美容エッセンスなどの特殊成分を加えたりすることができる。
【0033】
(第2実施形態)
図2を参照する。本発明の第2実施形態が
図1に示す第1実施形態と異なる点を以下に示す。本発明の第2実施形態においては、第1実施形態中のコロイド塗布装置40と第2の固定液塗布装置50との間に上布層81を供給する上布層導入装置80が更に設置される。
図2中の上布層81は、先ず、コロイド層41上に平坦に貼設された後又は同時に、上布層81上に第2の固定液層51が塗布される。先に上布層81がコロイド層41と接触するため、コロイド層41は、上布層81の下表面から内層中に浸入することができる。このため、第2の固定液層51が内部にコロイド層41が浸入した上布層81上に塗布されると、第2の固定液層51は、上布層81の上表面から内層中に浸入し、上布層81の内層中に浸入したコロイド層41と架橋を行う。このため、コロイド層41は、第1の固定液層81の下方から上方への架橋作用と、第2の固定液層51の上方から下方への架橋作用と、により、第2の固定液層51とコロイド層41との間に上布層81を挟設又は含むことができる。これにより、下布層20の上表面上には、載置面11と共に後方に同期移動する過程において、適当な厚さである上、上布層81を含むフィルム110(31,41,81,51)が除々に形成される。これにより、キャリア有りの湿式フィルムの連続成膜製造工程が構成される。
【0034】
第2実施形態中、上布層導入装置80によって供給される上布層81は、連続する帯状の布である(これに限定されない)。
図2に示す連続する帯状の上布層81は、ロール状に巻かれて上布層81の供給源82とされる。帯状の上布層81は、連続して供給され、コロイド層41上に平坦に貼設することができる。上布層導入装置80は、ローラ83などの他の機械部材又はローラセットなどの部材セットなどにより、上布層導入装置80を操作する簡易性及び正確性を高め、上布層81を簡単で正確にコロイド層41上に平坦に貼設することができる。
【0035】
また、本発明中、第2の固定液層51が上布層81上に塗布されるタイミングと、上布層81がコロイド層41上に平坦に貼設されるタイミングと、の間の前後順序は、特に限定されない。例えば、
図2に示すように、上布層81が先にコロイド層41上に平坦に貼設された後(又は同時)、第2の固定液層51が上方から下方への噴霧によって上布層81上に塗布される場合、キャリア有りの湿式フィルムの連続成膜製造工程が構成される。しかし、
図3に示すように、第2の固定液層51が浸漬方式によって先に上布層81上に塗布された後、第2の固定液層51が塗布された上布層81がコロイド層41上に平坦に貼設される場合、上布層81とコロイド層41との間の接触面は、既に第2の固定液層51を有するため、
図3中は、上布層81を有するが、上布層81は、形成されたフィルム110(31,41,81,51)中から容易に分離することができる。このため、
図3においては、キャリア無しの湿式フィルムの連続成膜製造工程が構成される。
【0036】
図2に示すように、フィルム110は、第1の固定液層31によって下方から上方にコロイド層41と架橋を行い、第2の固定液層51によって上布層81を介して上方から下方にコロイド層41と架橋を行うことによって形成されるため、形成された後のフィルム110(31,41,81,51)中の上布層81は、フィルム110(31,41,81,51)中から分離しにくい。このため、第2実施形態(
図2参照)のフィルム110(31,41,81,51)は、上布層81を含む上、一体に形成され、載置面11と共に後方に同期移動する下布層20上に連続して形成される。このことから分かるように、実際に製作する際、フィルム110(31,41,81,51)及び下布層20が接着されて連続式帯111(20,31,41,81,51)が形成される。
図2に示すように、連続式帯111(20,31,41,81,51)は、載置面11と共に同期移動し、載置面11の出口端13から後方に排出され、載置面11を離れて後続作業が行われる。即ち、後続作業が行われる際、フィルム110(31,41,81,51)と下布層20との接着状態が保持されるため、連続式帯111(20,31,41,81,51)が形成される。しかし、実際に使用する際(例えば、マスクの形態に裁断された際)、フィルム110(31,41,81,51)は、下布層20から容易に分離することができる。しかし、第2実施形態のフィルム110(31,41,81,51)は、上布層81を含むため、本発明においては、キャリア有りの湿式フィルムと見なす。即ち、本発明の第2実施形態においては、キャリア有りの湿式フィルムの連続成膜製造工程が構成され、キャリア有りの湿式フィルム110(31,41,81,51)を連続して迅速に生産することができ、量産化及びコスト低下を実現することができる。
【0037】
また、上布層導入装置80を設置して上布層81を供給することにより、キャリア無しの湿式フィルムの連続成膜製造工程(
図1に示す第1実施形態)をキャリア有りの湿式フィルムの連続成膜製造工程(
図2に示す第2実施形態)に変更することができる。このため、メーカーは、ユーザの要求に応じ、キャリア無しの湿式フィルム又はキャリア有りの湿式フィルムの生産を簡単に選択することができる。これにより、量産化及びコスト低下を実現することができる上、湿式フィルムのユーザ側における選択性を高め、使用上の利便性を高めることができる。
【0038】
図1及び
図2に示すように、本発明においては、第2の固定液塗布装置50の後方には、架橋作用制御領域60を設置することができる。架橋作用制御領域60は、少なくとも1つの架橋作用制御装置60(これに限定されない)を含む。
図1〜
図5中の架橋作用制御領域60は、それぞれ3つ及び2つの噴霧(吹き付け)式の架橋作用制御装置60を含み、それぞれ載置面11(又は下布層20)の上面及び下面(これに限定されない)に設けられる。架橋作用制御領域60(又は架橋作用制御装置60)の主な機能は、形成された後のフィルム100(31,41,51)(
図1参照)又は110(31,41,81,51)(
図2参照)に対して洗浄作業を行うことである。これにより、架橋が行われて除々に硬化するフィルム100(31,41,51)又は110(31,41,81,51)は、架橋作用制御領域60が提供する洗浄作業によって洗浄されるか、或いは、固定液層31,51とコロイド層41との間の架橋作用が停止される。即ち、架橋作用が完了していない一部の固定液31,51が洗浄される(純水が使用される場合)か、或いは、固定液層31,51とコロイド層41との間の架橋作用が直接中止される(架橋作用中止液が使用される場合)。第2の固定液層51とコロイド層41との間の架橋及び硬化作用の程度が制御又は中止される(例えば、架橋作用制御領域60の洗浄時間を調整したり、移動工程の長さを調整したりする)ことにより、固定液層31,51中の一部の固定液31,51を洗浄し、これにより、固定液層31,51とコロイド層41との間の架橋及び硬化の時間及び程度を減少させ、過度に硬化するのを防ぐことができる。これにより、形成されるフィルム100(31,41,51)又は110(31,41,81,51)の柔軟性を高めることができる。
【0039】
また、架橋作用制御領域60の架橋作用制御液61は、純水を使用することによって洗浄作業を行ったり、架橋作用中止液を使用することによって固定液層31,51とコロイド層41との間の架橋作用を停止したりすることができる(これに限定されない)。また、実施に製作する際、架橋作用制御領域60に使用される架橋作用制御液61(例えば、純水又は架橋作用中止液)中、必要に応じ、マスクに美白、しわ防止などの効果を与える物質を加えたり、美容エッセンスなどの特殊成分を加えたりすることができる。
【0040】
(第3実施形態)
図3に示すように、本発明の第3実施形態が
図2に示す第2実施形態と異なる点を以下に示す。本発明の第3実施形態においては、第2実施形態中の第2の固定液塗布装置50の塗布方式が同等効果を有する浸漬式の第2の固定液塗布装置50aに変更される。これにより、上布層導入装置80によって供給される上布層81は、先ず、浸漬式の第2の固定液塗布装置50aを通過する。
図3中、浸漬式の第2の固定液塗布装置50aを通過した後の上布層81上には、平行線で示す第2の固定液層51が加えられるが、第2の固定液層51は、上布層81の表面上に浸漬される形態のみに限定されない。第3実施形態中、上布層81は、フィルム110(31,41,81,51)から簡単に分離することができるため、
図3に示す実施形態においては、キャリア無しの湿式フィルムの連続成膜製造工程が構成される。
【0041】
(第4実施形態)
図4に示すように、本発明の第4実施形態が
図2に示す第2実施形態と異なる点を以下に示す。本発明の第4実施形態においては、第2実施形態中の第1の固定液塗布装置30の塗布方式が同等効果を有する浸漬式の第1の固定液塗布装置30aに変更される。これにより、下布層導入装置21によって供給される下布層20は、先ず、浸漬式の第1の固定液塗布装置30aを通過する。
図4中、浸漬式の第1の固定液塗布装置30aを通過した後の下布層20上には、平行線で示す第1の固定液層31が加えられるが、第1の固定液層31は、下布層20の上表面上に浸漬される形態のみに限定されない。これにより、第4実施形態においても
図2に示す第2実施形態(又は第1実施形態)中の下布層導入装置21の使用機能及び使用目的を達成することができる。即ち、第1の固定液塗布装置30aは、載置面11と共に後方に同期移動する下布層20上に第1の固定液層31を塗布することができる。
【0042】
(第5実施形態)
図5に示すように、本発明の第5実施形態が第1実施形態〜第4実施形態と異なる点を以下に示す。本発明の第1実施形態〜第4実施形態中の載置面11の表面には、可動方式(
図1〜
図4参照)によって載置面11と共に後方に同期移動する吸水性を有する下布層20が載置される。しかし、第5実施形態においては、載置面11の表面に固定方式によって載置面11と共に同期移動する吸水性を有する下布層20が載置される。即ち、下布層20は、循環式コンベア10のすべての表面上に固定され、循環式コンベア10と共に同期循環回転する。これにより、下布層20が循環式コンベア10と共に循環式コンベア10の上表面まで回転すると、
図1〜
図4に示す循環式載置面11のような湿式フィルムを連続形成する作業面が構成され、下布層20の使用機能及び使用目的を達成することができる。実際に製作する際、第5実施形態中のフィルム110(31,41,81,51)は、架橋硬化中であれ、形成された後であれ、架橋作用制御領域60を通過した後の洗浄作業中であれ、フィルム110(31,41,81,51)が載置面11上に留まって後方に同期移動する際、フィルム110(31,41,81,51)は、下布層20と接着されており、後方に同期移動する。しかし、フィルム110(31,41,81,51)が載置面11の出口端13から後方に排出され、載置面11を離れると、フィルム110(31,41,81,51)は、下布層20から分離し、連続式帯112(31,41,81,51)が形成され、後続作業が行われる(
図5参照)。即ち、第5実施形態において、載置面11の出口端13から排出され、載置面11を離れた連続式帯112(31,41,81,51)は、第2実施形態〜第4実施形態中の連続式帯111(20,31,41,81,51)と異なる。即ち、第5実施形態において、下布層20は、載置面11上に固定されるため、連続式帯112(31,41,81,51)と共に後方に同期移動して後続作業が行われない。
【0043】
第5実施形態中、下布層20が循環式コンベア10のすべての表面上に固定設置されるため、下布層20は、循環式コンベア10と共に同期循環回転する。また、すべての塗布作業は、開放状態で行われるため、フィルム110(31,41,81,51)が載置面11(下布層20)を離れる際、循環式載置面11及び/又は下布層20上には、成膜用材料(固定液31,51、コロイド41、フィルム110など)の一部の残留物が存在し、次に形成される循環中のフィルム110(31,41,81,51)の成膜品質が影響を受ける虞がある。このため、スクレーパ90によって循環式載置面11又は下布層20の残留物を掻き取ったり、洗浄したりすることにより、フィルム110(31,41,81,51)の成膜品質が影響を受けるのを防止する。
【0044】
また、本発明の第4実施形態及び第5実施形態は、第2実施形態(キャリア有りの湿式フィルムの連続成膜製造設備及びその製造工程)と同等効果を有する変更によって実現されるが、これに限定されない。即ち、本発明の第4実施形態及び第5実施形態で使用される技術及び特徴は、第1実施形態(キャリア無しの湿式フィルムの連続成膜製造設備及びその製造工程)にも適用される。
【0045】
(第6実施形態)
図6に示すように、本発明の第6実施形態が第1実施形態と異なる点を以下に示す。本発明の第6実施形態においては、第1実施形態中の噴霧式の第2の固定液塗布装置50が同等効果を有する浸漬式の第2の固定液塗布装置50aに変更される。これにより、コロイド層41が第1の固定液層31上に塗布された後、第1の固定液層31、コロイド層41及び下布層20が組み合わされて集合体(20,31,41)が形成され、継続して後方に同期移動され、浸漬式の第2の固定液塗布装置50aを通過する。
図6中、浸漬式の第2の固定液塗布装置50aを通過した後のコロイド層41上には、平行線で示す第2の固定液層51が加えられるが、第2の固定液層51は、コロイド層41の上表面上に浸漬される形態のみに限定されない。第6実施形態の浸漬式の第2の固定液塗布装置50aによっても、
図1に示す第1実施形態中の第2の固定液塗布装置50の使用機能及び使用目的を達成することができる。即ち、浸漬式の第2の固定液塗布装置50aは、後方に同期移動する集合体(20,31,41)上に第2の固定液層51を塗布することができる。
【0046】
また、第6実施形態中、載置面11は、2段階式の載置面11と見なすことができる。各載置面11は、浸漬式の第2の固定液塗布装置50aの前後にそれぞれ設けられる。また、載置面11は、2つに分割された載置面11と見なすことができ、2つの分割された循環式コンベア10によって2つの分割された載置面11が構成される。しかし、本発明の載置面11は、2段階式の載置面11であれ、2つに分割された載置面11であれ、何れも本発明の範囲に含まれる。
【0047】
(第7実施形態)
図7に示すように、本発明の第7実施形態が第1実施形態と異なる点を以下に示す。本発明の第7実施形態においては、第1実施形態中の噴霧(吹き付け)式の架橋作用制御領域60が同等効果を有する浸漬式の架橋作用制御領域60aに変更される。フィルム100(31,41,51)及び下布層20によって構成される集合体(20,31,41,51)は、載置面11と共に後方に同期移動し、載置面11を離れた後、継続して後方に移動し、浸漬式の架橋作用制御領域60aを通過する。
図7中の浸漬式の架橋作用制御領域60aは、架橋作用制御液61によってフィルム100(31,41,51)中に残留する固定液層31,51及び/又はコロイド層41を洗浄したり、相互間の架橋作用を直接中止したりする。これにより、
図1に示す第1実施形態中の噴霧(吹き付け)式の架橋作用制御領域60の使用機能及び使用目的を達成することができる。
【0048】
(第8実施形態)
図8に示すように、本発明の第8実施形態が
図2に示す第2実施形態と異なる点を以下に示す。本発明の第8実施形態においては、第2実施形態中の噴霧式の第2の固定液塗布装置50が同等効果を有する浸漬式の第2の固定液塗布装置50bに変更される。コロイド層41が第1の固定液層31上に塗布され、上布層81がコロイド層41上に平坦に貼設された後、第1の固定液層31、コロイド層41、上布層81及び下布層20が組み合わされて集合体(20,31,41,81)が形成され、載置面11と共に継続して後方に同期移動され、浸漬式の第2の固定液塗布装置50bを通過する。
図8中、浸漬式の第2の固定液塗布装置50bを通過した後のコロイド層41上には、平行線で示す第2の固定液層51が加えられるが、第2の固定液層51は、コロイド層41の上表面に浸漬される形態のみに限定されない。これにより、第8実施形態の浸漬式の第2の固定液塗布装置50bも
図2に示す第2実施形態中の第2の固定液塗布装置50(又は第6実施形態中の第2の固定液塗布装置50a)の使用機能及び使用目的を達成することができる。即ち、浸漬式の第2の固定液塗布装置50bは、載置面11と共に後方に同期移動する集合体(20,31,41,81)上に第2の固定液層51を塗布することができる。また、第8実施形態中の載置面11の構造形態は、第6実施形態中の2段階式の載置面11又は2つの載置面11に類似する。
【0049】
(第9実施形態)
図9に示すように、本発明の第9実施形態が第2実施形態と異なる点を以下に示す。本発明の第9実施形態においては、第2実施形態中の噴霧(吹き付け)式の架橋作用制御領域60が同等効果を有する浸漬式の架橋作用制御領域60bに変更される。これにより、フィルム100(31,41,81,51)及び下布層20は、載置面11と共に後方に同期移動し、載置面11を離れた後、継続して後方に移動し、浸漬式の架橋作用制御領域60bを通過する。
図9中の浸漬式の架橋作用制御領域60bは、架橋作用制御液61によってフィルム110(31,41,81,51)中に残留する固定液層31,51又はコロイド層41を洗浄したり、相互間の架橋作用を直接中止したりすることができる。これにより、
図2に示す第2実施形態中の噴霧(吹き付け)式の架橋作用制御領域60又は第7実施形態中の浸漬式の架橋作用制御領域60aの使用機能及び使用目的を達成することができる。
【0050】
上述の湿式フィルムの連続成膜製造設備を使用することにより、本発明は、キャリア無しの湿式フィルムの連続成膜方法を提供する。本発明のキャリア無しの湿式フィルムの連続成膜方法は、以下ステップ1〜ステップ5を含む。
【0051】
ステップ1:成膜作業のプラットフォームとされる少なくとも1つの循環式載置面を準備する。載置面は、上面に平坦面を有する上、搬送方向に沿って入口端から出口端方向に循環移動する。
【0052】
ステップ2:吸水性を有する下布層を準備する。下布層には、載置面上において、載置面と共に同期移動する際、各成膜材料が順番に載置され、これにより、成膜作業が行われる。
【0053】
ステップ3:下布層上に第1の固定液層を塗布する第1の固定液塗布装置を準備する。第1の固定液塗布装置は、噴霧方式又は浸漬方式によって下布層上に第1の固定液層を塗布する。
【0054】
ステップ4:第1の固定液層上にコロイド層を塗布し、第1の固定液層と架橋及び硬化を行うコロイド塗布装置を準備する。
【0055】
ステップ5:コロイド層上に第2の固定液層を塗布し、コロイド層と架橋及び硬化を行う第2の固定液塗布装置を準備する。第2の固定液塗布装置は、噴霧方式又は浸漬方式によってコロイド層上に第2の固定液層を塗布する。これにより、下布層が載置面と共に同期移動する過程において、下布層の上表面上に好適な厚さのフィルムを形成することができ、キャリア無しの湿式フィルムの連続成膜製造工程が完了する。
【0056】
上述のステップ5の後には、ステップ6を含むことができる。ステップ6:下布層上に除々に形成されるフィルム中において行われる架橋作用を制御する架橋作用制御領域を準備する。架橋作用制御領域は、少なくとも1つの架橋作用制御液が使用される上、噴霧方式又は浸漬方式により、洗浄を行うか、或いは、第2の固定液層及び/又は第1の固定液層とコロイド層との間の架橋作用を中止させる。
【0057】
上述の湿式フィルムの連続成膜製造設備を使用することにより、本発明は、キャリア有りの湿式フィルムの連続成膜方法を提供する。本発明のキャリア有りの湿式フィルムの連続成膜方法は、以下ステップ1〜ステップ6のステップを含む。
【0058】
ステップ1:成膜作業のプラットフォームとされる少なくとも1つの循環式載置面を準備する。載置面は、上面に平坦面を有する上、搬送方向に沿って入口端から出口端方向に循環移動する。
【0059】
ステップ2:吸水性を有する下布層を準備する。下布層には、載置面上において、載置面と共に同期移動する際、各成膜材料が順番に載置され、これにより、成膜作業が行われる。
【0060】
ステップ3:下布層上に第1の固定液層を塗布する第1の固定液塗布装置を準備する。第1の固定液塗布装置は、噴霧方式又は浸漬方式によって下布層上に第1の固定液層を塗布する。
【0061】
ステップ4:第1の固定液層上にコロイド層を塗布し、第1の固定液層と架橋及び硬化を行うコロイド塗布装置を準備する。
【0062】
ステップ5:コロイド層上に貼設される上布層を準備する。
【0063】
ステップ6:上布層上に第2の固定液層を塗布し、コロイド層と架橋及び硬化を行う第2の固定液塗布装置を準備する。第2の固定液塗布装置は、噴霧方式又は浸漬方式によって上布層上に第2の固定液層を塗布する。これにより、上布層は、第2の固定液層とコロイド層との架橋作用によって第2の固定液層とコロイド層との間に挟設される。これにより、下布層が載置面と共に同期移動する過程において、下布層の上表面上に好適な厚さである上、上布層を含むフィルムが形成され、キャリア有りの湿式フィルムの連続成膜製造工程が完了する。
【0064】
上述のステップ6の後には、ステップ7を含むことができる。ステップ7:下布層上に除々に形成されるフィルム中において行われる架橋作用を制御する架橋作用制御領域を準備する。架橋作用制御領域は、少なくとも1つの架橋作用制御液が使用される上、噴霧方式又は浸漬方式により、洗浄を行うか、或いは、第2の固定液層及び/又は第1の固定液層とコロイド層との間の架橋作用を中止させる。
【0065】
上述の説明は、本発明の技術特徴を示す好適な実施形態を説明したものである。当業者は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において変更および修飾を行うことができ、これらの変更および修飾は、本発明の特許請求の範囲に含まれる。