(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、家庭内等で乳幼児が離乳食あるいは通常の食べ物を自ら摂取する場合、大人が使用している食器をそのまま使用するか、あるいは小さく作ったスプーンやフォーク等を使用している。このようなスプーン、フォークは、通常の大人が使用しているものを単に小さく構成しただけで、その形態において特に工夫はなく、これをそのまま乳幼児に使用させているのが現状である。
【0003】
しかしながら、乳幼児は発達段階の途中にあり、スプーンやフォークの取り扱いが十分であるとは言い難い。このため、料理を口に運ぶまでに殆どのものが脱落するか、口腔周囲に付着するなどして、口腔内にまで運び入れることのできる量はごく僅かなものである。このように乳幼児が普通の食器を使ったのではスムーズに食事をすることが困難であった。また、麺類などを通常のフォークで食べようとしても、上手く麺類を絡め取ることが出来ずに、さらに食事が困難なものなっていた。
【0004】
特開2001−286516号公報には、医療施設、介護施設又は家庭内で、病人・障害者・幼児又は高齢者であっても容易に食事を行うことができる、病人・障害者・幼児又は高齢者用のスプーンを提供することを目的として、食品を入れる皿状凹部の長手方向の平面の中心線が、手で握るための柄の部分の長手方向の平面の中心線に対して、約60〜150度の角度だけ、ユーザーの口元に近づく方向に傾斜するように形成されているスプーンが開示されている。
【0005】
しかし、この文献で開示されているスプーンは、食品を入れる皿状凹部の長手方向の平面の中心線が柄の部分の長手方向の平面の中心線に対して約60〜150度の角度を持たせているだけであり、他の方向に対する角度は規定されていない。このような横方向の角度だけでは食べやすさを機能させるには不十分である。しかも、前記角度は60〜150度と大きく、十分に食べやすい角度が検討されているとはいえない。また、捻る方向の変形については記載も示唆もない。
【0006】
特開2002−320543号公報には、乳幼児が使用するスプーンに関して、食品を容易にすくうことができ、食品を口に運んだ後は困難なく引き出せるようにしたスプーンを提供することを目的として、一方向に長い柄部31と、この柄部の先端に設けられた匙本体32とを備えるスプーンであって前記匙本体32は、食品を収容するための凹面33を有しており、この匙本体が、前記柄部の長手方向に沿った仮想の中心軸C1に対して、前記凹面33側に略10度の傾斜角度を備えるスプーンが開示されている。
【0007】
しかし、この文献のスプーンも上記文献同様一方向への曲げ角度しか規定していない。しかも曲げる方向は縦方向であり、この方向だけの変形では食べやすさを機能させるには不十分である。また、捻る方向の変形については記載も示唆もない。
【0008】
特開2002−262981号公報には、手などの不自由な方に介護者が食事をあげる場合、介護者の手で相手の口元がかくれず、こぼれなどを少なくでき、また置いてあるスプーンが取上げやすくなることを目的として、スプーン部およびフォーク部と柄の部分を直角にした、直角スプーン直角フォークが開示されている。
【0009】
しかし、この文献に開示されているスプーンも横方向の変形しか規定していない。しかも、曲げ角度が直角であり、このような角度ではかえって食べ難くなってしまう。さらに、この文献でも捻る方向の変形については記載も示唆もない。
【0010】
実登3123721号公報には、ある程度持ち方を矯正でき、特に乳幼児の発達段階に応じて適切な持ち方に矯正できるスプーンおよび/またはフォーク提供し、さらには将来お箸を持つ練習が可能なスプーンおよび/またはフォークを提供することを目的として、柄31の部分に指の位置を矯正するための指固定構造35,37,38を有し、この指固定構造35,37,38は、リングまたはサック状の構造体であり、この指固定構造35,37,38の位置や種類、数を調整することで発達段階などに対応するスプーンおよび/またはフォークが記載されている。また、この文献中の段落0018には、「匙本体12の中心線が柄11の軸中心に対してある程度の角度、好ましくは15〜60°、より好ましくは30〜45°程度の角度を有するようになっている。」と記載され、さらに段落0027には、「匙本体22の中心線が柄21の軸中心に対して僅かに、好ましくは5〜30°、より好ましくは10〜20°程度の角度を有するようになっている」と記載されている。
【0011】
しかし、この文献でも変形される方向は横方向だけであり、他の方向の変形との組み合わせは記載されていない。また、捻る方向の変形については記載も示唆もない。従って、この文献の変形だけでは上記同様食べ易さを改善するには不十分である。しかも、この文献では変形の好適な角度範囲が2種類記載されているが、これは同文献の段落0027に「なお、第1の態様より角度が小さくなっているのは、この態様では後述するようにある程度持ち方が調整できるからである」と記載されているように、この文献のスプーンは持ち方により好適な角度範囲が異なってしまうからである。
【0012】
以上のように、上記いずれの文献でも、匙本体と柄との間である程度の角度を持たせる点については開示されているものの、いずれの文献も1方向への曲げによる変形にとどまり、複数の方向への変形とその相互作用について記載されているものはない。しかも、捻る方向の変形については記載も示唆もない。しかも、変形確度の検討も十分なされているとはいえない。
【0013】
実登3158497号公報には、乳幼児などでも食品を十分に保持して搬送できる機能を有するフォークを提供することを目的として、フォークヘッドの各指状部5a,5b,5cに複数の凹部6が形成され、この凹部6は各指状部の対向する側部に形成されていて、交互に配置されるように形成されている構成のフォークが記載されている。
【0014】
しかし、この文献に記載されている指状部に形成された凹部は、指状部の中心に対して直行する方向に形成されており、角度を持たせたり、その方向については何ら検討されていない。また、指状部の太さも先端部を除き一定であり、指状部の幅を変えることの検討も一切されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、一般の成人はもとより、食器の取り扱いが上手に出来ない者、特に乳幼児や小児あるいは老人、身体障害者などでも、食事の際に食べ物を容易に保持して確実に口元まで運べ、口腔内に円滑に持ち込む機能を有する
フォークを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、乳幼児などの食器の操作が上手にできない者が使用した場合でも円滑な食事が可能なように、フォーク、スプーンなどの機能と形状についての検討を行った。その結果、スプーンまたはフォークヘッドと柄の間の角度関係において、3次元での複数方向の角度範囲の関係が成立する形状が食事動作に最適であることが分かった。つまり、単純にスプーンまたはフォークヘッドを柄に対して曲げただけではなく、複合的な方向性を持たせて曲げることが有効である。また、その曲げ角も各方向により厳格に規定されなければならない。さらに、フォーク前部のフォークヘッドの形状や溝の角度を検討することで、乳幼児だけでなく大人でも食事の際の食品の搬送機能を高めることができることが分かった。
【0018】
すなわち、上記目的を達成するために以下の構成とした。
(1)柄の先端部に形成されたフォークヘッドを有し、このフォークヘッドに形成された指状部は基部側より中央部が幅広に形成され、
前記フォークヘッドの指状部に凹部が形成され、この凹部は基部方向に開口するように斜めに形成されているフォーク。
(2)前記凹部はその中心線がフォークヘッドの中心線に対して第4の角度θ4 だけ基部方向に斜めに傾き、この第4の角度θ4 は18〜50°である上記(1)のフォーク。
(3)前記フォークヘッドの中心線が柄の中心軸に対して第1の角度だけ横方向に曲がり、さらにフォークヘッドの基準平面が柄の基準平面に対して捻るように第2の角度だけ傾いている(1)または(2)のフォーク。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、一般の成人はもとより、フォークやスプーンなどの食器を上手く使用できない幼児や小児、あるいは老人や障害者等でも容易に食品を保持して、口腔内まで運ぶことができ、楽に食事をすることができる。
また、本発明のフォークヘッドにより従来は食べ難かった麺類も、容易に保持し、安定して口腔内まで運ぶことができるので、麺類等の食事も容易で楽しくなり、食事時間も短縮される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施例であるスプーンを示した平面図。
【
図2】本発明の第1実施例であるスプーンを示した側面図。
【
図3】本発明の第1実施例であるスプーンを示した正面図。
【
図4】本発明の第1実施例であるスプーンを示した断面図。
【
図5】本発明の第2実施例であるフォークを示した平面図。
【
図6】本発明の第2実施例であるフォークを示した側面図。
【
図7】本発明の第2実施例であるフォークを示した正面図。
【
図8】本発明の第2実施例であるフォークを示したフォークヘッド部の拡大図。
【
図9】本発明の第3実施例であるフォークスプーンを示した平面図。
【
図10】本発明の第4実施例である他の態様のスプーンを示した側面図。
【
図11】本発明の第5実施例である他の態様のフォークを示した側面図。
【
図12】本発明の第6実施例である第3の態様のフォークのフォークヘッド部分を示した一部平面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のスプーン・フォークは、柄の先端部にスプーンまたはフォークヘッドを有し、このスプーンまたはフォークヘッドの中心線が柄の中心軸の線に対して第1の角度だけ横方向に曲がり、さらにスプーンまたはフォークヘッドの基準平面が柄の基準平面に対して捻るように第2の角度だけ傾いている。また、前記スプーンまたはフォークヘッドの中心軸が柄の中心軸線に対して第3の角度だけ縦方向に曲がっている。
【0022】
本発明において第1の角度θ1 は20〜32°であり、好ましくは22〜30°、より好ましくは24〜28°である。角度が小さすぎると曲げることによる改善効果が得られ難くなり、大きすぎるとかえって食べ難さが増してくる。第2の角度θ2 は6〜14°であり、好ましくは7〜13°、より好ましくは8〜12°である。捻る角度が小さいと改善効果が少なくなり、捻りすぎると食べ物がこぼれ易くなったり、食べ難くなる。第3の角度θ3 は4〜26°であり、好ましくは6〜24°、より好ましくは鋭角の態様では8〜12°、鈍角の態様では18〜22°である。鋭角の態様とするか鈍角の態様とするかは対象年齢などにより選択される。角度が小さいと改善効果が少なくなり、角度が大きいと食べ物がこぼれ易くなったり、かえって食べ難くなる。
【0023】
本発明において、前記第1〜第3の角度をそれぞれ、単独にスプーンまたはフォークに適用してもある程度の効果を奏することが可能である。しかし、前記第1ないし第3の角度を組み合わせることでさらなる相乗効果を得ることができる。特に、第1の角度と第2の角度の組み合わせが効果的であり、これに第3の角度を組み合わせることで更に優れた効果を得ることができる。
【0024】
この明細書においてスプーンまたはフォークヘッドの中心線とは、スプーンまたはフォークヘッドの基準平面に投影されるスプーンまたはフォークヘッドの面積を丁度1/2に分割することのできる長手方向の直線に相当し、上下の厚み方向では、丁度断面における素材と湾曲部分の厚みを1/2に分割できる位置を通る線である。スプーンまたはフォークヘッドの基準平面とはスプーンでは周縁部の上面の50%以上を含むか接するような平面であり、フォークでは各指状部の長手方向の形状に近似される円弧の中央部の接線を含む平面である。この基準平面と中心線とは通常平行になる。また、柄の中心軸とは首部の中央と柄の後端部中央とを結ぶ直線をいう。さらに、柄の基準平面とは柄の両側縁の50%以上を通るか含むような平面である。なお、これらは近似値を用いて規定してもよい。
【0025】
本発明のフォークは、少なくとも指状部の中間部分が先端部および基部に対して幅広に形成され、指状部間の間隙が狭くなるように形成されている。具体的には指状部の先端部の間隙t1 および基部の間隙t3 が中間部分の間隙t2 の好ましくは1.2〜2.2倍、より好ましくは1.4〜2.0倍、特に1.6〜1.9倍である。なお、指状部の先端がU字状、V字状等、先細に形成され、基部の間隙がU字状、V字状等暫時狭くなるように形成されている形状では、このように漸次幅が変化する部分を除いた位置が前記先端部と基部に相当する。
【0026】
このように、中間部で指状部間の間隙が狭くなるように形成することで、この狭くなった中間部と基部の間の間隙に、麺類などの食材が保持されるようになり、より効率的に食品を保持できるようになる。そして、乳幼児だけでなく、一般の成人、青少年でも効果が期待できる。
【0027】
また、本発明のフォークは、各指状部に複数の凹部が形成され、この凹部は各指状部の対抗する側部に形成されている。また、前記凹部は対向する指状部の側部に交互に配置されるよう形成され、かつ前記側部1カ所あたりで1〜4個形成されている。
【0028】
このように指状部の側部に凹部構造を形成することで、麺等の細長状の食品も効果的に絡め取ることができる。また、凹部の形成位置や数を最適化することで、より効率的に食品を保持できるようになる。そして、乳幼児だけでなく、一般の成人、青少年でも効果が期待できる。
【0029】
さらに、指状部の対向する側部に形成された凹部が交互に配置されるように形成されているので、同じ位置に対向するように形成された凹部に比べ、麺等の細長状の食品が良く絡み、より多くの食品を確実に保持できるようになる。
【0030】
さらに、前記凹部はその中心線がフォークヘッドの中心線に対して直角ではなく第4の角度θ4 だけ基部方向に開口するように傾いている。具体的には、第4の角度はフォークヘッドの中心線に対して好ましくは18〜50°、より好ましくは26〜46°、特に29〜39°傾いている。このように、凹部の開口方向を指状部の基部方向に向けて開口することにより、麺類などの食べ物が引っかかり易くなり、食品保持能力が向上する。
【0031】
本発明のスプーンおよび/またはフォークは、スプーンヘッドまたはフォークヘッドと、柄との間の3次元における角度の関係と柄の形状、あるいはフォークヘッドの形状を除き通常使用されているスプーンやフォークと概ね同様な構成である。すなわち、持ち手となる柄と、この柄の先端に形成されているスプーンまたはフォークヘッドを有し、スプーンまたはフォークヘッドは、柄に繋がる首部とスプーンまたはフォークヘッド本体を有する。特にフォークヘッド本体は、首部から広がって指状部の基礎となる基部と、基部から一定の間隔を空けて複数の細片状に延在ないし突出している指状部を有する。
【0032】
本発明における柄は前記スプーンまたはフォークヘッドとの間で上記のような所定の角度を維持可能で、スプーンまたはフォークヘッドを操作する持ち手として機能することができる形状であれば特に限定されるものではない。特にフォークでは形状は特定されない。しかしながら、本発明の好ましい態様では、スプーンまたはフォークヘッドと柄との間に複数方向に曲げる角度が規定され、食事の際にはスプーンまたはフォークヘッドが口腔に向けて良好な角度を保てるように工夫されている。このため、特に乳幼児において使用時にスプーンまたはフォークヘッドが握り手に対して特定の位置になるように柄の持ち位置が固定される形状であることが望ましい。このときの握り手とは、通常大人が使用するような親指と人差し指手つまむ状態の持ち手ではなく、幼児が通常行う”ぐー”(rock)の手の握り状態である。
【0033】
握り手に対してスプーンまたはフォークヘッドが特定の位置になるように柄を固定するには、柄を握る際に柄を回転させるなどして調整して特定の位置で握るようにすることも可能である。しかし、柄の形状を非円筒形、あるいは中心軸に対して非回転対称とし、握るときに自然と特定の位置で握ることのできる形状にすれば、前述のような調整作業が不要になり便利である。非円筒形あるいは非対称な形状としては、例えば横断面を3角形に近似されるような形状とし、さらに握ったときの指側と手のひら側とで厚みを変えることで特定の位置で握るように規制することができる。さらに、縦断面も細長の三角形に近似されるように形成することで、長手方向での掴み位置も規制できると共に握り易くなり、使用感も向上する。
【0034】
本発明のスプーン・フォークは、スプーンまたはフォークヘッドの中心が柄の中心軸に対して縦方向にある程度変位するようにずらして形成してもよい。このように、柄の中心線に対してスプーンまたはフォークヘッドの中心を変位させることで、容器内にある食品を掬い易くなる。このため特にスプーンに適用することが望ましい。変位幅Hとしては特に規制されるものではないが、好ましくは1〜9mm、より好ましくは3〜7mm程度である。なお、スプーンまたはフォークヘッドの中心とは,スプーンまたはフォークヘッドの投影面上の中心あるいは重心の何れかであって、厚さ方向では断面の中間部分になる位置であり、前記中心線とも交わる位置にある。
【0035】
本発明のスプーンまたはフォークを構成する材料は特に限定されるものではなく、通常のスプーン・フォークに使用されている合成樹脂、合成ゴム、天然ゴム、天然繊維などや、ステンレス鋼、真鍮、アルミニウム、銀、鉄等の金属材料の1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。特にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂が好ましい。また、柄の部分と先端のスプーンまたはフォークヘッドとを異なる材料により形成してもよい。さらに、柄には滑り止めや、持ち手形状を付与する構造、指の位置を規制するためのストッパーや固定構造を設けてもよい。具体的にはエラストマー等を部分的に配置することで滑り止めや触感を改善させることができる。
【0036】
スプーン・フォークの大きさとしては、使用者や使用状況に合わせて好適な大きさとすればよい、具体的には幼児から小児向けのフォークでは先端から後端までの長さで90〜140mm程度である。フォーク指状部の幅と間隔も特に規制されるものではないが、通常、中央部の幅2〜6mm、中央部の間隔1〜5mm程度である。指状部の数は3片でも、4片または5片でもよい。しかしながら、乳幼児、小児用の場合には、口の大きさが小さいため、3片が好ましい。指状部は先端部で徐々に細くなるように形成したり、先端が丸みをおびるような形状にすると良い。
【実施例1】
【0037】
次に実施例を示して本発明をより詳細に説明する。
図1〜4は、本発明の第1実施例であるスプーンを示した図である。ここで、
図1は実施例1のスプーンの平面図、
図2は側面図、
図3は正面図、
図4は柄の横断面A−A’矢視図である。
【0038】
図1〜4において、スプーン1は、柄2と柄の先端部に形成されたスプーンヘッド4とを有する。スプーンヘッド4は柄2に接続される首部3と、この首部3から拡大するように広がると共に前部で円弧状に閉じ、内部に緩やかな凹面を形成したいわゆるスプーン形状のスプーン皿を有する。スプーン皿は周縁部4aとその中にある凹部4bからなり、その外形は首部3の方向から滴下するような液滴形状に近似される。凹部4bは通常のスプーン同様凹曲面により形成され、この凹曲面内に食材が保持される。このため、その大きさは使用する者の食事に最適な大きさに調整される。例えば、通常の動作で口を開けたときに、口腔内に容易に挿入でき、ある程度食べ物も収納できる大きさと形状に調整すればよい。
【0039】
柄2は、棒状また板厚の細長い構造物であり、この例では
図1に示されるように長手方向の平面形状も中央部が幅広の三角形に近似される形状を有する。また、
図2に示されるように、側面形状においても中央部分が板厚で首部3と後端部2dに向かうに従って徐々に薄くなる細長の三角形に近似される形状をなしている。また、中心軸C1から縁部2c、2c’までの幅が、指側となる縁部2cまでの幅より、手のひら側となる縁部2c’までの幅が広くなるように設定され、握る位置が規制されるようになっている。また、中心軸C1から指側となる縁部2cまでの幅は首部3と後端部2dを除きほぼ一定となるが、中心軸C1から手のひら側となる縁部2c’までの幅は中央部を最大に首部3と後端部2dに向けて徐々に狭まるような形状になっていて、これにより三角形に近似される形状を形成している。
【0040】
柄2は、また中央部から
図3に示されるように、横断面の形状において中心軸から両縁部2c、2c’に向かって徐々に厚みが薄くなる形状であって、この部分も下側に尖った三角形に近似されるような形状となっている。また、両縁部2c、2c’を通る平面で横断面を分離したとき、上半面は厚みがあまり変化しない半楕円の形状であるが、下半面より三角形に近い形状になっている。
【0041】
このように、平面形状と断面形状で使用者が握ったときに、自然に柄2が手の特定の位置で固定されるようになっている。本明細書において柄の中心軸C1とは首部3中心と後端部2dを結ぶ直線であり、柄の基準平面C3とは両縁部2c、2c’を通る平面である。
【0042】
このスプーンヘッドの中心線C2が柄の中心軸C1に対して第1の角度だけ横方向に曲がり、さらにスプーンヘッドの基準平面C4が柄の基準平面に対して捻るように第2の角度だけ傾いている。また、前記スプーンヘッドの中心線C2が柄の基準軸に対して第3の角度θ3 だけ縦方向に曲がっている。この実施例では第1の角度θ1 は24〜28°、第2の角度θ2 は8〜12°、第3の角度θ3 は8〜12°の範囲に規定され、この範囲内で最適な角度に調整される。
【0043】
柄2の長さはスプーンヘッドの1.6〜2.2倍程度であるが、使用する者の手の大きさに合わせて調整すればよい。また、スプーンヘッドの大きさも使用する者の口の大きさに合わせて調整される。具体的なスプーンの大きさとしては、幼児から小児向けのスプーンでは先端から後端までの長さで90〜140mm、好ましくは100〜125mm程度である。
【実施例2】
【0044】
図5〜8は、本発明の第2実施例であるフォークを示した図である。ここで、
図5は実施例1のフォークの平面図、
図6は側面図、
図7は正面図、
図8はフォークヘッド部の拡大平面図である。
図5〜8において、フォーク11は、柄12と柄の先端部に形成されたフォークヘッド14,15とを有する。フォークヘッド14は柄12に接続される首部13と、この首部13から拡大するように大きく広がる基部14と、基部14から間隙17を空けて複数の細片状に延在ないし突出している指状部15a,15b,15c,15dを有する。また、各指状部15a,15b,15c,15dは上方に向けて僅かに湾曲して食品をすくい取る機能を高めている。
【0045】
この例のフォークは、凹部16が対向する指状部15a,15b,15c,15dの側部18に交互に配置されるよう形成されている。つまり、指状部15a,15b,15c,15dは、本実施例では4片であるが、このうち外側に配置された指状部15a,15dの外側部18aには凹部16は形成されていない。それ以外の指状部15a,15b,15c,15d同士が対向する側部18に凹部16が形成されている。そして、対向する側部において、凹部16は交互に形成され、凹部16が形成されている側部と対向する側部には凹部16は存在しない。また、図示例では、各側部18において凹部16が2個ずつ形成されている。
【0046】
本実施例では、凹部16は好ましくは側部18あるいはフォークヘッド14の中心線C12に対して斜めになるよう形成されている。つまり、凹部16の中心線が、フォークヘッド14の中心線C12に対してある程度の角度を有するように形成されている。フォークヘッド14の中心線C12に対して凹部16の中心線のなす角度θ4 としては、この例では29〜39度の範囲で調整される。また、凹部16は基部方向に向けて斜めに開口するように形成される。このように、基部方向に向けて斜めに開口するように形成することで、麺類などの細長状の食品も保持しやすくなり、食品を食べやすくなる。
【0047】
凹部16の大きさは特に規制されるものではないが、大きすぎると食品の保持能力が低下したり、強度が弱くなったりし、小さすぎると凹部を設ける効果が薄れてくる。具体的には、凹部の深さが指状部の中央における幅の1/6〜1/3程度であり、凹部開口部における幅が前記深さの1/4〜1/3程度である。より具体的な大きさとしては、前記深さが1〜5mm、幅が2〜6mm程度である。各側部における凹部の間隔は同じでも良いし異なっていてもよい。好ましい間隔としては、凹部開口部の中央部間の間隔で3〜12mm程度である。凹部の形状は特に規制されるものではなく、四角状、三角状、半円状やこれらを変形させた形状にすることができる。これらのなかでも洗浄の容易性などを考慮すると後端部が半円形、半楕円形の所定の幅を有する切り欠き形状が好ましい。
【0048】
指状部の中間部分が先端部および基部に対して幅広に形成され、指状部間の間隙が狭くなるように形成されている。具体的には先端部の間隙t1 および基部の間隙t3 が指状部の中間部分の間隙t2 の好ましくは1.2〜2.2倍、より好ましくは1.4〜2.0倍、特に1.6〜1.9倍である。
【0049】
本実施例においてもフォークヘッド14の中心線C12が柄12の中心軸C11に対して第1の角度θ1 だけ横方向に曲がり、さらにフォークヘッドの基準平面C14が柄の基準平面C13に対して捻るように第2の角度θ2 だけ傾いている。また、フォークヘッドの中心線C12が柄の中心軸C11に対して第3の角度θ3 だけ縦方向に曲がっている。この実施例では第1の角度θ1 は24〜28°、第2の角度θ2 は8〜12°、第3の角度θ3 は8〜12°の範囲に規定され、この範囲内で最適な角度に調整される。
【0050】
本実施例における柄12は、実施例1と同様であり棒状また板厚の細長い構造物である。長手方向の平面形状も中央部が幅広の三角形に近似される形状であり、側面形状においても中央部分が板厚で首部13と後端部12dに向かうに従って徐々に薄くなる三角形に近似される形状をなしている。そして、中心から縁部12c、12c’までの幅が、指側となる縁部12cまでの幅より、手のひら側となる縁部12c’までの幅が広くなるように設定され、握る位置が規制されるようになっている。また、中心軸から指側になる縁部12cまでの幅は首部13と後端部12dを除きほぼ一定となるが、中心軸から手のひら側となる縁部12c’までの幅は中央部を最大に首部13と後端部12dに向けて徐々に狭まるような形状になっていて、これにより三角形に近似される形状を形成している。
【0051】
柄12の長さはフォークヘッドの1.6〜2.2倍程度であるが、使用する者の手の大きさに合わせて調整すればよい。また、フォークヘッドの大きさも使用する者の口の大きさに合わせて調整される。
【0052】
具体的なフォークの大きさとしては、幼児から小児向けのフォークでは先端から後端までの長さで90〜140mm、好ましくは100〜125mm程度である。また、青少年から成人向けのフォークでは先端から後端までの長さで150〜210mm、好ましくは170〜200mm程度である。フォーク指状部の幅と間隔も特に規制されるものではないが、通常、中央部の幅2〜6mm、中央部の間隔1〜5mm程度である。また、図示例の構成では指状部は4片としたが、3片または5片でもよい。特に乳幼児、小児用の場合には、口の大きさが小さいため、3片が好ましい。また、指状部は先端部で徐々に細くなるように形成したり、先端が丸みをおびるような形状にすると良い。
【実施例3】
【0053】
図9は、本発明の第3の実施例を示したもので、フォークスプーンの平面図である。この例では、フォークとスプーンが結合した、所謂先割れスプーンに近似した食器形態を示している。スプーン先端部がフォーク形状となっている以外は実施例1,2と同様であり同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【実施例4】
【0054】
図10は、本発明の第4の実施例を示したもので、他の態様のスプーンの平面図である。この例では、スプーンヘッド4の中心C5が柄の中心軸C1に対して縦方向に幅Hだけずれて位置するように形成している。なお、図ではスプーンヘッド4の中心を通り柄の中心軸C1と平行な線を符号C5で表している。前記ずれ以外は実施例1と同様であり同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【実施例5】
【0055】
図11は、本発明の第5の実施例を示したもので、他の態様のフォークの側面図である。この例では、フォークヘッド14の中心C15が柄の中心軸C11に対して縦方向に幅Hだけずれて位置するように形成している。なお、図ではフォークヘッド14の中心を通り柄の中心軸C11と平行な線を符号C15で表している。前記ずれ以外は実施例2と同様であり同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
【実施例6】
【0056】
図12は、本発明の第6の実施例を示したもので、第3の態様のフォークのフォークヘッド部を示した一部平面図である。この例では、フォークヘッド14の指状部15a〜15cを3本で構成している。前記指状部15a〜15cの数、中央の指状部15bの溝16が各側部に1つだけ形成されている点以外は実施例2と同様であり同一構成要素には同一符号を付して説明を省略する。このフォークを乳幼児用に作成して用いたところ、乳幼児の小さい口に適合したサイズでは指状部を3本で構成した方が適していることが分かった。