特許第6010107号(P6010107)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6010107セラミック製触媒担体を下塗り被膜で被覆する方法および下塗り被膜を有するセラミック製触媒担体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010107
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】セラミック製触媒担体を下塗り被膜で被覆する方法および下塗り被膜を有するセラミック製触媒担体
(51)【国際特許分類】
   B01J 37/02 20060101AFI20161006BHJP
   B01J 32/00 20060101ALI20161006BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   B01J37/02 101A
   B01J32/00ZAB
   B01J37/02 301M
   B01D53/94 241
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-502576(P2014-502576)
(86)(22)【出願日】2012年2月28日
(65)【公表番号】特表2014-510631(P2014-510631A)
(43)【公表日】2014年5月1日
(86)【国際出願番号】US2012026840
(87)【国際公開番号】WO2012161833
(87)【国際公開日】20121129
【審査請求日】2015年2月27日
(31)【優先権主張番号】13/075,296
(32)【優先日】2011年3月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】キーガン,キンバリー エム
(72)【発明者】
【氏名】シュスタック,ポール ジョン
【審査官】 安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−526117(JP,A)
【文献】 特開昭58−089950(JP,A)
【文献】 特開昭53−021244(JP,A)
【文献】 特表2008−529775(JP,A)
【文献】 R.H. Li,et al.,Characterization and mechanical support of asymmetric hydrogel membranes based on the interfacial cross-linking of poly(vinyl alcohol) with toluene diisocyanate,Journal of Membrane Science,1996年,Volume 111,Pages 115-122
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00−38/74
B01D 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック製触媒担体を下塗り被膜で被覆する方法であって、
少なくとも1種類のポリビニルアルコールホモポリマーおよび少なくとも1種類のブロック化イソシアネート架橋剤を含む水性混合物を提供する工程、
前記水性混合物の被膜をセラミック製触媒担体に施す工程、および
前記被膜を乾燥させ、硬化させる工程、
を有してなる方法。
【請求項2】
前記水性混合物を提供する工程が、少なくとも1種類のポリビニルアルコールホモポリマーおよび少なくとも1種類のブロック化イソシアネート架橋剤を組み合わせる工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1種類のポリビニルアルコールホモポリマーが水溶液中にある、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1種類のブロック化イソシアネート架橋剤が、水性分散体または水溶液の形態にある、請求項2記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1種類のポリビニルアルコールホモポリマーおよび少なくとも1種類のブロック化イソシアネート架橋剤を含む下塗り被膜を有するセラミック製触媒担体。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、ここに全て引用される、2011年3月30日に出願された米国特許出願第13/075296号の米国法典第35編第120条の下での優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
セラミック製触媒担体を下塗り被膜(base coating)で被覆する方法であって、少なくとも1種類のポリビニルアルコールホモポリマーおよび少なくとも1種類のブロック化イソシアネート架橋剤を含む水性混合物を提供する工程、この水性混合物の被膜をセラミック製触媒担体に施す工程、およびその被膜を乾燥させ、硬化させる工程を含む方法が、ここに開示されている。本開示はさらに、少なくとも1種類のポリビニルアルコールホモポリマーおよび少なくとも1種類のブロック化イソシアネート架橋剤を含む下塗り被膜を有するセラミック製触媒担体に関する。
【背景技術】
【0003】
チタン酸アルミニウムおよびコージエライトセラミックなどのセラミック体が、様々な用途に使用されているであろう。例えば、そのような物体は、例を挙げると、触媒コンバータおよびディーゼル微粒子フィルタとして、排ガス環境の厳しい条件に使用するのに適している。これらの用途で濾過される排ガス中の多くの汚染物質には、例えば、炭化水素および酸素含有化合物、並びに炭素系煤および粒状物質があり、酸素含有化合物の例としては、窒素酸化物(NOx)および一酸化炭素(CO)が挙げられる。
【0004】
セラミック体は耐熱衝撃性を示し、そのために、それらの用途で遭遇する幅広い温度変動に耐えることが可能になる。また、セラミック体は、例えば、高気孔率、低い熱膨張係数(CTE)、灰反応に対する耐性、および対象とする用途に適した破壊係数などのディーゼル微粒子フィルタ用途のための他の有利な性質も示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
エンジン管理スキームがますます高度になるのにつれて、炭化水素および/または窒素酸化物の排出を規制するためにセラミック体上またはセラミック製触媒担体上に様々な触媒被膜を施す必要性が生じてきた。しかしながら、セルラセラミックなどのセラミック体または触媒担体の熱的性質に対する触媒被覆プロセスの弊害がよく知られている。例えば、遭遇し得る問題の1つは、アルミナなどの触媒被膜または触媒担体被膜の酸化物成分が、被覆および硬化プロセス中にセラミック製担体の微細構造中に浸透して、触媒を備えたセラミックの熱膨張係数を増加させ、それによって、耐熱衝撃性を低下させるような様式で微細構造を充填してしまう。
【0006】
それゆえ、例えば、触媒を備えたフィルタの高いガス透過率および低い熱膨張係数を維持しながら、排気流の効果的な触媒処理にとって十分な触媒添加量を提供するために、セラミック製触媒担体の設計と性能、およびそのようなセラミック製触媒担体を製造する方法を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここで、本出願の発明者等は、セラミック製触媒担体を、少なくとも1種類のポリビニルアルコールホモポリマーおよび少なくとも1種類のブロック化イソシアネート架橋剤を含む下塗り被膜で被覆する新規の方法、および少なくとも1種類のポリビニルアルコールホモポリマーおよび少なくとも1種類のブロック化イソシアネート架橋剤を含む下塗り被膜を有する触媒担体を見出した。様々な実施の形態において、本開示の被覆されたセラミック製触媒担体は、セラミック製担体の性質に悪影響を及ぼさずに、効果的な触媒処理にとって十分な触媒添加量を提供するであろう。
【0008】
ここに記載された詳細な説明および様々な例示の実施の形態によれば、本開示は、セラミック製触媒担体を下塗り被膜で被覆する方法であって、少なくとも1種類のポリビニルアルコールホモポリマーおよび少なくとも1種類のブロック化イソシアネート架橋剤を含む水性混合物を提供する工程、この水性混合物の被膜をセラミック製触媒担体に施す工程、およびその被膜を乾燥させ、硬化させる工程を含む方法に関する。
【0009】
本開示はさらに、少なくとも1種類のポリビニルアルコールホモポリマーおよび少なくとも1種類のブロック化イソシアネート架橋剤を含む下塗り被膜を有する触媒担体に関する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、例示であり、説明のためだけであり、請求項に記載された本発明を制限するものではないことが理解されよう。本発明の他の実施の形態が、ここに開示された本発明の実施および明細書を検討することによって、当業者には明白であろう。明細書および実施例は、例示のみと考えられ、本発明の真の範囲と精神は、請求項により示されることが意図されている。
【0011】
ここに用いたように、単数形は、「少なくとも1つ」を意味し、そうではないと明白に示されていない限り、「たった1つ」に制限されるべきではない。それゆえ、例えば、「前記ポリビニルアルコールホモポリマー」または「ポリビニルアルコールホモポリマー」は、「少なくとも1種類のポリビニルアルコールホモポリマー」を意味することが意図されている。
【0012】
本開示は、様々な実施の形態において、セラミック製触媒担体を下塗り被膜で被覆する方法であって、少なくとも1種類のポリビニルアルコールホモポリマーおよび少なくとも1種類のブロック化イソシアネート架橋剤を含む水性混合物を提供する工程、この水性混合物の被膜をセラミック製触媒担体に施す工程、およびその被膜を乾燥させ、硬化させる工程を含む方法に関する。
【0013】
ここに用いたように、「セラミック製触媒担体」という用語、およびその変形は、触媒材料を被覆するためのセラミック体を意味することが意図されている。セラミック製触媒担体としては、以下に限られないが、コージエライト、チタン酸アルミニウム複合体、ムライト、アルカリおよびアルカリ土類長石相、および炭化ケイ素からなるものが挙げられる。少なくとも1つの実施の形態において、セラミック製触媒担体は、チタン酸アルミニウム、コージエライト、または炭化ケイ素の少なくとも1つからなっていてよい。「セラミック製触媒担体」および「セラミック体」という用語は、ここでは、交換可能に使用されている。
【0014】
少なくとも1つの実施の形態において、セラミック製触媒担体は、セラミック製ハニカム構造体に見られるように、多孔質であってよい。様々な実施の形態において、セラミック製触媒担体は、例えば、約40%から60%、または40%から50%などの、約30%から70%の範囲にある気孔率を有してよい。
【0015】
ここに用いたように、「下塗り被膜」という用語、およびその変形は、セラミック製触媒担体を覆う材料の層を意味することが意図されている。様々な実施の形態において、下塗り被膜は、セラミック製触媒担体に直接接触していても、または直接施されてもよい。さらに別の実施の形態において、下塗り被膜は、セラミック製触媒担体の実質的に全ての表面を被覆してもよい。他の実施の形態において、下塗り被膜は、栓が利用されるときのセラミック製担体の端部などの、セラミック製触媒担体の一部を被覆してもよい。
【0016】
追加の実施の形態において、下塗り被膜は保護膜であってよく、これは、触媒被膜またはウォッシュコーティングなどの、二次被膜に適合することを意味し、さらに別の実施の形態において、下塗り被膜は、セラミック製触媒担体の許容できない劣化を防ぐであろう。例えば、少なくとも1つの実施の形態において、セラミック製触媒担体は多孔質であってよく、下塗り被膜は保護膜であってよく、それによって、二次被膜材料の担体の微細な細孔構造への望ましくない浸透が防がれる。
【0017】
様々な開示の実施の形態において、少なくとも1種類のポリビニルアルコールホモポリマーおよび少なくとも1種類のブロック化イソシアネート架橋剤を含む水性混合物を提供する。様々な実施の形態において、水性混合物を提供する工程は、少なくとも1種類のポリビニルアルコールホモポリマーおよび少なくとも1種類のブロック化イソシアネート架橋剤を組み合わせる工程を含んでよい。
【0018】
様々な例示の実施の形態において、水性混合物に使用するためのポリビニルアルコールホモポリマーは、水中に溶解されても、または水中に既に溶解した状態で提供されてもよい。少なくとも1つの実施の形態において、ポリビニルアルコールホモポリマーは、水中に既に溶解した状態で提供されてもよく、pH調節を必要としないであろう。様々な実施の形態において、ポリビニルアルコールホモポリマーの水溶液は、5から30%の固形分、10から25%の固形分、または20から25%の固形分などの、2から50%の固形分を含む。ポリビニルアルコールホモポリマーの水溶液は、5から50,000センチポアズ、10から20,000センチポアズ、または20から10,000センチポアズなどの、5から100,000センチポアズに及ぶ粘度を有してもよい。
【0019】
ここで有用な水性混合物に使用するためのポリビニルアルコールホモポリマーの非限定的例としては、西国、タラゴナ所在のSekisui Specialty Chemicals America社によりCelvolの商標名で市販されているポリビニルアルコールホモポリマー、例えば、Celvol 05−540、08−125、09−325、09−523、21−205、および24−203、およびデラウェア州、ウィルミントン所在のDuPont Corporation社によりElvanolという商標名で市販されているもの、例えば、Elvanol 20−25 L3、51−03 L24、51−04 L24、52−22 L10、および70−03 L12が挙げられる。以下に限られないが、分子量、加水分解レベル、粘度、およびホモポリマーが水溶液中にある場合の固形分レベルなどの、所望の特徴に基づいて、水性混合物に使用するためのポリビニルアルコールホモポリマーを選択することは、当業者の能力に含まれる。
【0020】
様々な実施の形態において、ポリビニルアルコールホモポリマーの量は、水性混合物中の全ポリマー固形分の約50%から約99%、例えば、約65%から約98%、または約80%から約97%に及んでよい。
【0021】
様々な実施の形態において、水性混合物に使用するためのブロック化イソシアネート架橋剤は、水中に可溶性または分散性であってよい。さらに別の実施の形態において、ブロック化イソシアネート架橋剤は、水中に既に溶解した状態、または水中に分散した状態で提供されてもよい。
【0022】
水性混合物に使用するためのブロック化イソシアネート架橋剤の非限定的例としては、英国、ランカシャー州所在のBaxenden Chemicals Limited社によりBI 7986およびBI 7987の商標名で市販されている水中に分散または溶解したブロック化イソシアネート架橋剤;ペンシルベニア州、ピッツバーグ所在のBayer Corporation社によるBaybond 116およびBayhydur BL 116、BL 5235、BL 5335、BL2871 XP、BL 5140、BL XP 2706、LP MXH 1241−B、LP MXH 1274−A、およびVP LS 2310;サウスカロライナ州、ファウンテンイン所在のNicca USA Incorporated社によるNK Assist V−2;ロードアイランド州、プロビデンス取材のEastem Color & Chemical Company社のEcco Crosslinker AP−900、AP−906、およびMT356;日本国、東京都所在の三井武田ケミカル株式会社のTakanate WB 920およびATH400;および日本国、東京都所在の日本ポリウレタン工業株式会社のAcuanate 200および210が挙げられる。以下に限られないが、分子量、イソシアネートの種類、ブロック剤、および脱ブロック化温度を含む特徴に基づいて、水性混合物に使用するためのブロック化イソシアネート架橋剤を選択することは、当業者の能力に含まれる。少なくとも1つの実施の形態において、ブロック化イソシアネート架橋剤は、ポリビニルアルコールホモポリマーを含む水性混合物に加えてもよいが、セラミック製触媒担体に施すまで架橋しないように選択されるであろう。
【0023】
様々な実施の形態において、ブロック化イソシアネート架橋剤の量は、約2%から約35%、または約3%から約20%などの、水性混合物中の全ポリマー固形分の約1%から約50%に及んでよい。
【0024】
少なくとも1つの例示の実施の形態において、本開示による有用な水性混合物は、ポリビニルアルコールホモポリマーの水溶液と、ブロック化イソシアネート架橋剤の水性分散体または水溶液との混合物に基づいてよい。
【0025】
少なくとも1つの実施の形態において、水性混合物は、例えば、消泡剤、合体剤、可塑剤、界面活性剤、分散剤、触媒、またはpH調節剤などの追加の成分を少なくとも1種類さらに含んでよい。少なくとも1つの実施の形態において、少なくとも1種類の追加の成分は消泡剤であってよい。消泡剤の非限定的例に、カンザス州、カンザスシティー所在のHarcros Chemicals IncorporatedのAntifoam 116として販売されているものがある。開示された方法のさらに別の実施の形態において、水性混合物は、ナトリウム、カルシウム、カリウム、ケイ素、フッ素、リン、塩素、臭素、鉄、および硫黄の内の少なくとも1つを実質的に含まないであろう。ここに用いたように、「実質的に含まない」という用語、およびその変形は、存在する場合、これらの元素の1つ以上の量が、セラミック製触媒担体および/または二次被膜に悪影響を及ぼさない、および/または製造プロセスまたは環境に有害ではないことを意味する。単に一例として、水性混合物は、約800ppm未満、約600ppm未満、または約400ppm未満などの、約1000ppm未満しか、前記元素の少なくとも1つを含まないであろう。
【0026】
様々な実施の形態において、水性混合物は、約2質量%から約40質量%、約3質量%から約30質量%、および約5質量%から約20質量%などの、約1質量%から約50質量%に及ぶ固形分レベルを有してよい。さらに別の実施の形態において、水性混合物は、約10センチポアズから約100センチポアズなどの、約10センチポアズから約1000センチポアズに及ぶ粘度を有してよい。
【0027】
開示された方法の少なくとも1つの例示の実施の形態において、水性混合物により、1液型組成物が下塗り被膜を形成できるであろう。そのような実施の形態により、2液型被膜組成物に必要とされるような、適切な比率の反応性材料(化学量論)を分配し、混合する必要がなくなるであろう。例えば、ウレタンを形成するためのヒドロキシ官能性材料(アルコール)のイソシアネート官能性材料との反応を含む化学反応は、一般に、A液がヒドロキシ官能性材料であり、B液がイソシアネート官能性材料である場合の2液系を含むであろう。そのような系において、A液とB液は、別々に保持されなければならず、次いで、必要なときに、適切な化学量論比で互いにブレンドされる。本開示の方法の少なくともこの実施の形態において、2液系は必要なく、それゆえ、A液とB液を互いに適切にブレンドすること、または化学量論比についての懸念はないであろう。
【0028】
本開示の様々な実施の形態において、水性混合物は、安定であろう、例えば、混合物が実質的に未反応のままである、および/または時間の経過により粘度がわずかしかまたは全く増加しない、貯蔵寿命を有するであろう。例えば、混合物は、少なくとも3ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも9ヶ月、または少なくとも1年などの、少なくとも1ヶ月の貯蔵寿命を有する、またはその期間に亘り安定であろう。
【0029】
水性混合物は、ここに引用される、米国特許第7166555号明細書に述べられているような浸漬および/または真空により、または当業者に公知の他の方法により、セラミック製触媒担体に施してよい。
【0030】
様々な実施の形態において、前記方法は、例えば、材料を捨てるまたははかせる、および/またはセラミック製触媒担体に高圧空気を吹き付けるまたは真空に引くことによって、セラミック製触媒担体から過剰の水性混合物を除去する工程をさらに含んでよい。
【0031】
開示の方法は、被膜を乾燥させ、硬化させる工程をさらに含む。様々な実施の形態において、乾燥および硬化工程は、連続して行っても、または同時に行ってもよく、同じ技法または異なる技法を使用してもよい。例えば、被覆されたセラミック製触媒担体は、強制空気オーブンなどのオーブンを使用して、乾燥および/または硬化させてもよい。被覆されたセラミック製触媒担体は、マイクロ波または誘電式乾燥機を使用して乾燥させてもよい。少なくとも1つの例示の実施の形態において、被覆されたセラミック製触媒担体は、マイクロ波乾燥機を使用して乾燥させてもよい。さらに別の例示の実施の形態において、被覆されたセラミック製触媒担体は、例えば、約24時間に亘り約125℃で、強制空気オーブン内で乾燥させ、硬化させてもよい。別の実施の形態において、被覆されたセラミック製触媒担体は、強制空気オーブンを使用して硬化させてもよい。さらに別の実施の形態において、被覆されたセラミック製触媒担体は、マイクロ波乾燥機を使用して乾燥させ、次いで、強制空気オーブンを使用して硬化させてもよい。
【0032】
様々な実施の形態において、次いで、触媒被膜またはウォッシュコーティングなどの二次被膜を下塗り被膜上に施してもよい。そのような被膜の非限定的例としては、以下に限られないが、マサチューセッツ州、アシュランド所在のNano technologies, Incorporated社により市販されているNyacol AL−20、または独国、ハンブルク所在のSasol Germany GmbH社により市販されているSiralox 1.5/100 Si添加材料などの高表面積アルミナ材料、またはペンシルベニア州、コンシュホッケン所在のZeolyst International社により市販されているZSM−5材料などゼオライト材料が挙げられる。
【0033】
本開示は、少なくとも1種類のポリビニルアルコールホモポリマーおよび少なくとも1種類のブロック化イソシアネート架橋剤を含む下塗り被膜を有するセラミック製触媒担体にも関する。
【0034】
先に記載したように、「セラミック製触媒担体」という用語、およびその変形は、触媒材料で被覆するためのセラミック体を意味することが意図されており、以下に限られないが、コージエライト、チタン酸アルミニウム複合体、ムライト、アルカリおよびアルカリ土類長石相、および炭化ケイ素からなるものを含む。少なくとも1つの実施の形態において、セラミック製触媒担体は、チタン酸アルミニウム、コージエライト、または炭化ケイ素の内の少なくとも1つからなっていてよい。
【0035】
これも先に記載したように、様々な実施の形態において、セラミック製触媒担体は、ハニカム構造体のように、多孔質であってよく、例えば、約40%から60%、または40%から50%などの、約30%から70%の範囲にある気孔率を有してよい。
【0036】
セラミック製触媒担体上の下塗り被膜は、上述したものにより、セラミック製触媒担体上の材料の層を意味することが意図されている。様々な実施の形態において、下塗り被膜は、必要に応じてセラミック製触媒担体と直接接触していてよい。さらに別の実施の形態において、下塗り被膜は、セラミック製触媒担体の実質的に全ての表面を被覆してよい。他の実施の形態において、下塗り被膜は、例えば、栓が利用されるときのセラミック製担体の端部などの、セラミック製触媒担体の一部を被覆してもよい。
【0037】
さらに別の実施の形態において、下塗り被膜は保護膜であってよく、これは、触媒被膜またはウォッシュコーティングなどの、二次被膜に適合することを意味し、下塗り被膜は、セラミック製触媒担体の許容できない劣化を防ぐであろう。例えば、少なくとも1つの実施の形態において、セラミック製触媒担体は多孔質であってよく、下塗り被膜は保護膜であってよく、それによって、二次被膜材料の担体の微細な細孔構造への望ましくない浸透が防がれる。
【0038】
下塗り被膜に使用するためのポリビニルアルコールホモポリマーの非限定的例が先に述べられている。以下に限られないが、分子量、加水分解レベル、粘度、およびホモポリマーが水溶液中にある場合の固形分レベルを含む所望の特徴に基づいて、下塗り被膜に使用するためのポリビニルアルコールホモポリマーを選択することは、当業者の能力に含まれる。
【0039】
様々な実施の形態において、下塗り被膜中のポリビニルアルコールホモポリマーの量は、約50質量%から約99質量%、例えば、約65質量%から約98質量%、または約80質量%から約97質量%に及んでよい。
【0040】
下塗り被膜に使用するためのブロック化イソシアネート架橋剤の非限定的例が先に述べられている。以下に限られないが、分子量、イソシアネートの種類、ブロック剤、および脱ブロック化温度を含む特徴に基づいて、下塗り被膜に使用するためのブロック化イソシアネート架橋剤を選択することは、当業者の能力に含まれる。
【0041】
様々な実施の形態において、下塗り被膜中のブロック化イソシアネート架橋剤の量は、約2質量%から約35質量%、または約3質量%から約20質量%などの、約1質量%から約50質量%に及んでよい。
【0042】
開示されたセラミック製触媒担体のさらに別の実施の形態において、下塗り被膜は、ナトリウム、カルシウム、カリウム、ケイ素、フッ素、リン、塩素、臭素、鉄、および硫黄の内の少なくとも1つを実質的に含まないであろう。
【0043】
少なくともいくつかの実施の形態において、開示の方法およびセラミック製触媒担体は、材料の選択とプロセスの簡単さのために、当該技術分野で公知の方法および製品よりも、費用がかからないであろう。例えば、水性混合物および/または下塗り被膜における材料は、当該技術分野で使用されるものよりも費用がかからないであろう。より詳しくは、ポリビニルアルコールホモポリマーの使用は、米国特許第7166555号明細書に記載されているものなどのコポリマーを使用することよりも、費用がかからないであろう。何故ならば、その原材料はそれほど費用がかからず、最終材料の製造には、より少ない処理工程しか必要ないであろう。別の例として、開示された方法の水性混合物は、当該技術分野で公知の他の下塗り被膜混合物よりも、製造するのに費用がかからないであろう。より詳しくは、米国特許第7166555号明細書に開示されたものなどの方法は、蒸発を制御しながら、混合物を加熱することによって、コポリマーを溶解させる工程(これには、数時間がかかり、専用の設備が必要であろう)、次いで、濃硝酸を加えることによって、その溶液を中和する工程が必要とされるであろう。それに対し、開示された方法のポリビニルアルコールホモポリマーは、水溶液中で市販されており、それによって、2つの処理工程がなくなるであろう。
【0044】
本開示の様々な実施の形態において、セラミック製触媒担体上の下塗り被膜は、pH=1.5の酢酸溶液中の約24時間に亘る浸漬などの厳しい条件の後を含む、低pH溶液への曝露の後に、悪影響を示さないであろう。他の実施の形態において、本開示の下塗り被膜は、本開示の範囲に含まれない下塗り被膜と比べて、低pH溶液への曝露後の悪影響が減少しているであろう。さらに別の実施の形態において、本開示の下塗り被膜は、まだ、ディーゼルフィルタに要求される、ウォッシュコートまたは触媒の添加量、背圧、および熱膨張係数の仕様をまだ満たすであろう。
【0045】
本開示の様々な実施の形態において、下塗り被膜は、いくつかの触媒被膜およびウォッシュコートなどの低pH溶液中において、実質的に不活性であり、それによって、触媒およびウォッシュコートの施用および効率への悪影響が避けられるであろう。例えば、少なくとも1つの実施の形態において、約24時間に亘る約pH1.5の酢酸溶液中にセラミック製触媒担体を浸漬した後のセラミック製触媒担体から、下塗り被膜が約20質量%未満しか抽出されず、さらに別の実施の形態において、下塗り被膜は約15質量%未満または約10質量%未満しか抽出されないであろう。
【0046】
本開示の様々な他の実施の形態において、下塗り被膜は、いくつかの触媒被膜およびウォッシュコートなどの低pH溶液中において膨潤および/またはしわに対して実質的に耐性であり、それによって、セラミック製触媒担体に対する、割れ目などの物理的損傷が避けられるまたは減少するであろう。例えば、少なくとも1つの実施の形態において、下塗り被膜は、pH1.5の酢酸溶液中に少なくとも1時間に亘りセラミック製触媒担体を浸漬した後に、しわまたは割れ目に実質的に耐性であろう。
【0047】
別記しない限り、明細書および特許請求の範囲に使用した全ての数字は、そのように述べられていてもいなくても、「約」という語句により全ての場合で修飾されていると理解すべきである。明細書および特許請求の範囲に使用される正確な数値は、本発明の別の実施の形態を形成するものと考えるべきでもある。実施例に開示された数値の精度を確実にするために、努力がなされてきた。しかしながら、どの実測数値も、それぞれの測定技法に見られる標準偏差から生じる特定の誤差を固有に含み得る。
【0048】
本発明の他の実施の形態は、明細書およびここに開示された本発明の実施を検討することによって、当業者に明白であろう。明細書および実施例は、説明としてのみ考えられ、本発明の真の範囲および精神は、特許請求の範囲によって示されることが意図される。
【実施例】
【0049】
実施例1
7.5gのCelvol 24−203および7.5gの脱イオン水を混合することによって、ポリビニルアルコールホモポリマーを含む水性混合物を調製した。結果として得られた最初の組成物は、1.8gまたは12質量%のポリビニルアルコールホモポリマー固形分を含有し、47センチポアズの粘度を有した。
【0050】
次に、ブロック化イソシアネート架橋剤を加えて、セラミック製触媒担体を被覆するための水性混合物を製造した。この水性混合物の組成が、下記の表1に列記されている。結果として得られた水性混合物は、12.73質量%の固形分を含み、45センチポアズの粘度を有した。
【表1】
【0051】
この水性組成物を、米国特許第7166555号明細書、第6段、第3〜14行目に述べられている方法によって、2インチ×6インチ(約5cm×約15cm)のチタン酸アルミニウムのセルラセラミック製触媒担体に施し、この被覆された担体を、14時間に亘り125℃でオーブン内において乾燥させ、硬化させた。
【0052】
結果として得られた下塗り被膜を有するセラミック製触媒担体を分析した。その結果が、以下の表2に列記されている。
【表2】
【0053】
次いで、被覆されたセラミック製触媒担体をpH=1.5の酢酸溶液中に浸漬した。1時間後、フィルタは変化しなかったが、2時間後、わずかに表皮にしわが生じた。24時間の浸漬後、抽出可能物の量は、堆積した下塗り被膜の3.36質量%であった。
【0054】
比較として、米国特許第7166555号明細書にしたがって調製され、pH=1.5の酢酸溶液中の浸漬に施した予備被膜を有するセラミック製触媒担体は、1時間未満で、より大きい程度、より迅速にしわを生じた。その上、24時間の浸漬後、抽出可能物の量は、堆積された予備被膜の25質量%で、ずっと多かった。
【0055】
実施例2〜8
表3に列挙された7つの組成物を調製し、実施例1に記載されたのと同じ様式で、2インチ×6インチ(約5cm×約15cm)のチタン酸アルミニウムのセルラセラミック製触媒担体に施した。
【0056】
結果として得られた下塗り被膜を有するセラミック製触媒担体を分析した。その結果が、以下の表3に列記されている。表3に見られるように、硬化した下塗り被膜を有するセラミック製触媒担体の、pH=1.5の酢酸溶液中の浸漬後の抽出可能物の百分率は、25質量%よりも著しく少ない。浸漬された担体の外観は、米国特許第7166555号明細書にしたがって調製され、実施例1に記載された担体よりも、ずっと良好であった。
【表3】
【0057】
次いで、実施例2および3の下塗り被膜を有するセラミック製触媒担体にNyacol AL20をウォッシュコートした。2つの追加の比較例を調製した。「裸の担体」と記した第1の比較例は、裸の2インチ×6インチ(約5cm×約15cm)のチタン酸アルミニウムのセルラセラミック製触媒担体であった。「比較」と記した第2の比較例は、裸の2インチ×6インチ(約5cm×約15cm)のチタン酸アルミニウムのセルラセラミック製触媒担体にNyacol AL20を同様にウォッシュコートすることによって調製した。それゆえ、これらの比較例には、下塗り被膜がない。
【0058】
4種類の担体を分析した。そのデータが下記の表4に見られる。表4に見られるように、実施例2および3のAL20のウォッシュコート添加量、煤の付着による背圧、および背圧比は、比較例、すなわち、下塗り被膜のないAL20のウォッシュコート付きフィルタと同様である。表4から分かるように、実施例2および3のCTEは、比較例、すなわち、下塗り被膜のないAL20のウォッシュコート付きフィルタよりも、ずっと改善されている(すなわち、低い)。
【表4】