特許第6010113号(P6010113)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6010113DDR型ゼオライト種結晶の製造方法及びDDR型ゼオライト膜の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010113
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】DDR型ゼオライト種結晶の製造方法及びDDR型ゼオライト膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/48 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
   C01B39/48
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-508264(P2014-508264)
(86)(22)【出願日】2013年3月29日
(86)【国際出願番号】JP2013060415
(87)【国際公開番号】WO2013147327
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2015年11月18日
(31)【優先権主張番号】特願2012-80496(P2012-80496)
(32)【優先日】2012年3月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】萩尾 健史
(72)【発明者】
【氏名】市川 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】谷島 健二
(72)【発明者】
【氏名】宮原 誠
【審査官】 佐藤 哲
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/090049(WO,A1)
【文献】 特開2011−131174(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/113715(WO,A1)
【文献】 特開2010−158665(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/106881(WO,A1)
【文献】 特表2007−520334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/20 − 39/54
B01D 69/10
B01D 71/02
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DDR型ゼオライトを含む核と、シリカとを含有する原料溶液を、130〜180℃で4時間以上加熱してDDR型ゼオライト結晶を生成させる加熱工程と、前記加熱工程の後に、生成したDDR型ゼオライト結晶を洗浄する洗浄工程とを有し、前記洗浄工程が、洗浄後のDDR型ゼオライト結晶を分散媒に分散させることによりDDR型ゼオライト結晶の分散液を作製し、前記分散液をpH7.5以上とするものであり、
平均粒子径が0.05〜1.5μmであり、最大フェレー径を最小フェレー径で除した値であるアスペクト比が1〜3の粒子を90%以上含有し、前記アスペクト比の2乗の変動係数が0.3以下であるDDR型ゼオライト種結晶を得るDDR型ゼオライト種結晶の製造方法。
【請求項2】
X線回折分析により得られる回折強度に基づき、DDR型ゼオライト結晶の(024)面に起因する回折ピークの回折強度をA、非晶質含有量により影響を受ける(024)面と(116)面のピーク間の回折強度の最低値をB、(024)面と(202)面のピーク間の回折強度の最低値をCとしたときに、前記DDR型ゼオライト種結晶の下記式(1)で算出されるYの値が、60以上である請求項1に記載のDDR型ゼオライト種結晶の製造方法。
Y=(A−C)/(B−C)・・・(1)
【請求項3】
前記核が、DDR型ゼオライト結晶、又はDDR型ゼオライト結晶とアモルファスシリカとの混合物、である請求項1又は2に記載のDDR型ゼオライト種結晶の製造方法。
【請求項4】
前記原料溶液が、DDR型ゼオライトの構造規定剤として1−アダマンタンアミンを更に含有し、前記シリカのモル数に対する前記1−アダマンタンアミンのモル数の比の値が、0.1以下である請求項1〜3のいずれかに記載のDDR型ゼオライト種結晶の製造方法。
【請求項5】
前記DDR型ゼオライト種結晶が前記1−アダマンタンアミンを含有し、前記1−アダマンタンアミンを含有するDDR型ゼオライト種結晶の比表面積が、前記DDR型ゼオライト種結晶が球形であると仮定した場合に粒度分布から求められる比表面積より、小さい請求項に記載のDDR型ゼオライト種結晶の製造方法。
【請求項6】
前記加熱工程で生成したDDR型ゼオライト結晶の形状を変形させるような機械的な外力を加えることなくDDR型ゼオライト種結晶を作製する請求項のいずれか1項に記載のDDR型ゼオライト種結晶の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のDDR型ゼオライト種結晶の製造方法で製造されたDDR型ゼオライト種結晶を含有するスラリーを多孔質支持体の表面に塗布して種結晶付着多孔質支持体を作製する塗布工程を有するDDR型ゼオライト膜の製造方法。
【請求項8】
前記多孔質支持体の前記種結晶を塗付する部分の表面に開口する細孔の、開口径の平均値が、前記DDR型ゼオライト種結晶の平均粒子径以下の大きさである請求項に記載のDDR型ゼオライト膜の製造方法。
【請求項9】
前記種結晶付着多孔質支持体を、1−アダマンタンアミン及びシリカを含有する膜形成用原料溶液中に浸漬し、加熱することにより、1−アダマンタンアミンを含むDDR型ゼオライト膜であるDDR型ゼオライト膜を多孔質支持体の表面に形成するDDR型ゼオライト膜形成工程を有する請求項又はに記載のDDR型ゼオライト膜の製造方法。
【請求項10】
前記DDR型ゼオライト膜形成工程において、DDR型ゼオライト膜以外の析出物の膜形成用原料溶液に対する比率が、0.2質量%以下となる請求項に記載のDDR型ゼオライト膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DDR型ゼオライト種結晶及びその製造方法並びにDDR型ゼオライト膜の製造方法に関する。さらに詳しくは、多孔質支持体の表面にDDR型ゼオライト膜を形成する際の種結晶として用いた場合に、余剰のDDR型ゼオライト結晶が発生することを抑制できるDDR型ゼオライト種結晶、及びその製造方法に関する。また、余剰のDDR型ゼオライト結晶の発生を抑制することができるDDR型ゼオライト膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゼオライトは、触媒、触媒担体、吸着材等として利用されている。また、金属やセラミックからなる多孔質支持体の表面に成膜されたゼオライト膜は、ゼオライトの分子篩作用を利用し、ガス分離膜や浸透気化膜として用いられるようになってきている。
【0003】
ゼオライトは、その結晶構造により、LTA、MFI、MOR、AFI、FER、FAU、DDR等の多くの種類が存在する。これらの中でDDR(Deca−Dodecasil 3R)型ゼオライトは、主成分がシリカからなる結晶である。そして、その細孔は酸素8員環を含む多面体によって形成されている。更に、酸素8員環の細孔径は4.4×3.6オングストロームであることが知られている。これらは、「W.M.Meier,D.H.Olson,Ch.Baerlocher,Atlas of zeolite structure types,Elsevier(1996)」に記載されている。
【0004】
DDR型ゼオライトは、ゼオライトの中では比較的細孔径が小さいものであり、二酸化炭素(CO)、メタン(CH)、エタン(C)といった低分子ガスの分子篩膜として適用できる可能性を有する。
【0005】
このようなDDR型ゼオライト膜を多孔質支持体の表面に成膜する方法としては、まず、種結晶となるDDR型ゼオライト結晶を作製する(例えば、非特許文献1〜3、特許文献1,2を参照)。そして、予め多孔質支持体の表面に当該DDR型ゼオライト種結晶を塗付し、このDDR型ゼオライト種結晶を、原料溶液中で水熱合成することにより成長させて膜形成する方法がある(例えば、特許文献3,4を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2010/90049号
【特許文献2】特許第3757115号公報
【特許文献3】特開2004−82008号公報
【特許文献4】特開2008−74695号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】H.Gies,Journal of Inclusion Phenomena 2,(1984)275−278
【非特許文献2】J.Gascon,W.Blom,A.van Miltenburg,A.Ferreira,R.Berger,F.Kapteijn,Microporous and Mesoporous Materials vol.115,(2008)585−593
【非特許文献3】A.Stewart,D.W.Johnson and M.D.Shannon,Studies in Surface Science and Catalysis vol.37,(1988)57−64
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来は、水熱合成において、事前に多孔質支持体の表面に塗付したDDR型ゼオライト種結晶が、原料溶液中に一部脱離し、多孔質支持体の表面以外の部分でも成長するという問題があった。例えば、チューブ状、モノリス状、ハニカム状などの、流体の流路となる貫通孔を有する多孔質支持体表面に成膜する場合、この脱離した種結晶が貫通孔の開口部や内部で成長し、貫通孔の閉塞を引き起こすという問題があった。このような貫通孔が閉塞する現象は、特に「流体の流通方向に直交する断面」の直径が小さい貫通孔を有する多孔質支持体の表面に成膜する場合に顕著に現れる。上記のような貫通孔の閉塞により、有効膜面積の減少、閉塞物除去の際に膜が損傷することによる膜の性能低下、等の問題があった。また、上記貫通孔を有する多孔質支持体の表面および貫通孔を有さない平板状の多孔質支持体の表面に成膜する際に、脱離したDDR型ゼオライト種結晶が、成長(成膜)中の膜に付着し、厚膜化による透過阻害が生じたり、膜にクラックが発生したりするという問題があった。
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。本発明は、多孔質支持体の表面にDDR型ゼオライト膜を形成する際の種結晶として用いた場合に、余剰のDDR型ゼオライト結晶が発生することを抑制できるDDR型ゼオライト種結晶、及びその製造方法である。更に、本発明は、余剰のDDR型ゼオライト結晶の発生を抑制することができるDDR型ゼオライト膜の製造方法である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によって以下のDDR型ゼオライト種結晶及びその製造方法並びにDDR型ゼオライト膜の製造方法が提供される。
【0014】
] DDR型ゼオライトを含む核と、シリカとを含有する原料溶液を、130〜180℃で4時間以上加熱してDDR型ゼオライト結晶を生成させる加熱工程と、前記加熱工程の後に、生成したDDR型ゼオライト結晶を洗浄する洗浄工程とを有し、前記洗浄工程が、洗浄後のDDR型ゼオライト結晶を分散媒に分散させることによりDDR型ゼオライト結晶の分散液を作製し、前記分散液をpH7.5以上とするものであり、平均粒子径が0.05〜1.5μmであり、最大フェレー径を最小フェレー径で除した値であるアスペクト比が1〜3の粒子を90%以上含有し、前記アスペクト比の2乗の変動係数が0.3以下であるDDR型ゼオライト種結晶を得るDDR型ゼオライト種結晶の製造方法。
[2] X線回折分析により得られる回折強度に基づき、DDR型ゼオライト結晶の(024)面に起因する回折ピークの回折強度をA、非晶質含有量により影響を受ける(024)面と(116)面のピーク間の回折強度の最低値をB、(024)面と(202)面のピーク間の回折強度の最低値をCとしたときに、前記DDR型ゼオライト種結晶の下記式(1)で算出されるYの値が、60以上である請求項1に記載のDDR型ゼオライト種結晶の製造方法。
Y=(A−C)/(B−C)・・・(1)
【0015】
] 前記核が、DDR型ゼオライト結晶、又はDDR型ゼオライト結晶とアモルファスシリカとの混合物、である前記[1]又は[2]に記載のDDR型ゼオライト種結晶の製造方法。
【0016】
] 前記原料溶液が、DDR型ゼオライトの構造規定剤として1−アダマンタンアミンを更に含有し、前記シリカのモル数に対する前記1−アダマンタンアミンのモル数の比の値が、0.1以下である前記[1]〜[3]のいずれかに記載のDDR型ゼオライト種結晶の製造方法。
【0017】
] 前記DDR型ゼオライト種結晶が、前記1−アダマンタンアミンを含有し、前記1−アダマンタンアミンを含有するDDR型ゼオライト種結晶の比表面積が、前記DDR型ゼオライト種結晶が球形であると仮定した場合に粒度分布から求められる比表面積より小さい、前記[]に記載のDDR型ゼオライト種結晶の製造方法。
【0020】
前記加熱工程で生成したDDR型ゼオライト結晶の形状を変形させるような機械的な外力を加えることなくDDR型ゼオライト種結晶を作製する前記[]〜[]のいずれかに記載のDDR型ゼオライト種結晶の製造方法。
【0021】
] 前記[1]〜[6]のいずれかに記載のDDR型ゼオライト種結晶の製造方法で製造されたDDR型ゼオライト種結晶を含有するスラリーを多孔質支持体の表面に塗布して種結晶付着多孔質支持体を作製する塗布工程を有するDDR型ゼオライト膜の製造方法。
【0022】
] 前記多孔質支持体の前記種結晶を塗付する部分の表面に開口する細孔の、開口径の平均値が、前記DDR型ゼオライト種結晶の平均粒子径以下の大きさである前記[]に記載のDDR型ゼオライト膜の製造方法。
【0023】
] 前記種結晶付着多孔質支持体を、1−アダマンタンアミン及びシリカを含有する膜形成用原料溶液中に浸漬し、加熱することにより、1−アダマンタンアミンを含むDDR型ゼオライト膜であるDDR型ゼオライト膜を多孔質支持体の表面に形成するDDR型ゼオライト膜形成工程を有する前記[]又は[]に記載のDDR型ゼオライト膜の製造方法。
【0024】
10] 前記DDR型ゼオライト膜形成工程において、DDR型ゼオライト膜以外の析出物の膜形成用原料溶液に対する比率が、0.2質量%以下となる前記[]に記載のDDR型ゼオライト膜の製造方法。
【発明の効果】
【0025】
本発明のDDR型ゼオライト種結晶は、平均粒子径が0.05〜1.5μmであり、最大フェレー径を最小フェレー径で除した値であるアスペクト比が1〜3の粒子を90%以上含有し、前記アスペクト比の2乗の変動係数が0.3以下である。そのため、本発明のDDR型ゼオライト種結晶は、多孔質支持体の表面にDDR型ゼオライト膜を形成する際の種結晶として用いた場合に、多孔質支持体の表面から落下し難いものである。そのため、本発明のDDR型ゼオライト種結晶を用いて多孔質支持体の表面にDDR型ゼオライト膜を形成すると、余剰のDDR型ゼオライト結晶が発生することを抑制することができる。また、本発明のDDR型ゼオライト種結晶の製造方法によれば、このような本発明のDDR型ゼオライト種結晶を製造することができる。
【0026】
また、本発明のDDR型ゼオライト膜の製造方法は、本発明のDDR型ゼオライト種結晶を用いてDDR型ゼオライト膜を製造するため、余剰のDDR型ゼオライト結晶の発生を抑制することができる
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施例1のDDR型ゼオライト種結晶の顕微鏡写真である。
図2】比較例1のDDR型ゼオライト種結晶の顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら具体的に説明する。本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0029】
(1)DDR型ゼオライト種結晶:
本発明のDDR型ゼオライト種結晶の一実施形態は、平均粒子径が0.05〜1.5μmであり、「「最大フェレー径を最小フェレー径で除した値であるアスペクト比」が1〜3の粒子」を、90%以上含有し、アスペクト比の2乗の変動係数が0.3以下である。
【0030】
本実施形態のDDR型ゼオライト種結晶は、このような構成であるため、多孔質支持体の表面にDDR型ゼオライト膜を形成する際の種結晶として用いた場合に、多孔質支持体の表面から落下し難いものである。そのため、本実施形態のDDR型ゼオライト種結晶を用いて多孔質支持体の表面にDDR型ゼオライト膜を形成すると、余剰のDDR型ゼオライト結晶が発生することを抑制することができる。
【0031】
本実施形態のDDR型ゼオライト種結晶は、平均粒子径が0.05〜1.5μmであり、0.05〜1.0μmが好ましく、0.1〜0.5μmが更に好ましい。平均粒子径が0.05μmより小さいと、DDR型ゼオライト膜を製造する際に使用(適用)可能な多孔質支持体の細孔径が小さくなり、得られたDDR型ゼオライト膜の透過量が減少してしまうため好ましくない。平均粒子径が1.5μmより大きいと、「種結晶を含有するスラリー」中の種結晶が、短時間で沈降してしまい、種結晶を多孔質支持体の表面に塗付する際に「種結晶を含有するスラリー」の分散性を維持することが困難となるため好ましくない。平均粒子径は、動的光散乱法で測定した値である。
【0032】
本実施形態のDDR型ゼオライト種結晶は、「最大フェレー径を最小フェレー径で除した値である、アスペクト比」が1〜3の粒子を、90%以上含有するものである。そして、本実施形態のDDR型ゼオライト種結晶は、上記「アスペクト比が1〜3の粒子」を、95%以上含有するものであることが好ましく、98%以上含有するものであることが更に好ましく、100%含有するものであることが特に好ましい。「アスペクト比が1〜3の粒子」の含有率が、90%未満であると、多孔質支持体の表面にDDR型ゼオライト膜を形成する際に、多孔質支持体の表面に付着させたDDR型ゼオライト種結晶が、多孔質支持体の表面から落下し易くなるため好ましくない。
【0033】
本実施形態のDDR型ゼオライト種結晶において、アスペクト比は、「最大フェレー径を最小フェレー径で除した値」である。最大フェレー径は、DDR型ゼオライト種結晶のFE−SEM画像上において、平行な2本の直線で、「当該平行な2本の直線間の距離が最大となる」ようにDDR型ゼオライト種結晶を挟んだときの、当該平行な2本の直線間の距離である。また、最小フェレー径は、DDR型ゼオライト種結晶のFE−SEM画像上において、平行な2本の直線で、「当該平行な2本の直線間の距離が最小となる」ようにDDR型ゼオライト種結晶を挟んだときの、当該平行な2本の直線間の距離である。最大フェレー径及び最小フェレー径は、上記のように、FE−SEM(電界放射型走査電子顕微鏡(インレンズ))を用いて測定する。
【0034】
「アスペクト比が1〜3の粒子」の含有率は、以下のようにして測定する。FE−SEM(電界放射型走査電子顕微鏡(インレンズ))を用いてDDR型ゼオライト種結晶を観察する。DDR型ゼオライト種結晶の観察は、20個以上のDDR型ゼオライト種結晶を含み、且つ「(平均粒子径)×50〜(平均粒子径)×200倍」の面積範囲内で行う。「平均粒子径」は、DDR型ゼオライト種結晶の、体積ベースでの粒子径の中央値(D50)のことである。そして、20個のDDR型ゼオライト種結晶について、上記最大フェレー径及び最小フェレー径を測定し、それぞれのアスペクト比を算出する。そして、「アスペクト比が1〜3の粒子」の含有率を算出する。「平均粒子径」は、動的光散乱法で測定した値である。
【0035】
本実施形態のDDR型ゼオライト種結晶は、アスペクト比の2乗の変動係数が0.3以下であり、0.25以下が好ましく、0〜0.2が更に好ましく、0が特に好ましい。アスペクト比の2乗の変動係数が0.3を超えると、多孔質支持体の表面にDDR型ゼオライト膜を形成する際に、多孔質支持体の表面に付着させたDDR型ゼオライト種結晶が、多孔質支持体の表面がら落下し易くなるため好ましくない。
【0036】
「アスペクト比の2乗の変動係数」は、「アスペクト比の2乗」の標準偏差を、「アスペクト比の2乗」の平均値で除した値である。「アスペクト比の2乗の変動係数」は、以下のようにして測定する。FE−SEM(電界放射型走査電子顕微鏡(インレンズ))を用いてDDR型ゼオライト種結晶を観察する。DDR型ゼオライト種結晶の観察は、20個以上のDDR型ゼオライト種結晶を含み、且つ「(体積D50)×50〜(体積D50)×200倍」の面積範囲内で行う。そして、20個のDDR型ゼオライト種結晶について、上記最大フェレー径及び最小フェレー径を測定し、それぞれのアスペクト比を算出する。そして、得られた、20個のDDR型ゼオライト種結晶についてのアスペクト比を用いて、「アスペクト比の2乗の変動係数」を求める。
【0037】
本実施形態のDDR型ゼオライト種結晶の、X線回折分析により得られる回折強度において、DDR型ゼオライト結晶の(024)面に起因する回折ピークの回折強度をAとする。そして、非晶質により影響を受ける(024)面と(116)面のピーク間の回折強度の最低値をBとし、(024)面と(202)面のピーク間の回折強度の最低値をCとする。そのときに、本実施形態のDDR型ゼオライト種結晶は、AからCを引いた値を、BからCを引いた値で除算して得られる値Y((A−C)/(B−C))が、60以上であることが好ましい。そして、Yの値は70以上であることが好ましく、75以上であることが更に好ましい。Yの値が、60より小さいと、結晶性が低く、アモルファスが多いため、DDR型ゼオライト膜を良好に形成し難くなることがある。また、DDR型ゼオライト種結晶が脱離しやすくなる。DDR型ゼオライト結晶と非晶質の存在量の関係を表しているYの値は、DDR型ゼオライト種結晶の「結晶性指数」であると言うこともできる。
【0038】
(2)DDR型ゼオライト種結晶の製造方法:
本発明のDDR型ゼオライト種結晶の製造方法の一実施形態は、DDR型ゼオライトを含む核と、シリカとを含有する原料溶液を、130〜180℃で4時間以上加熱してDDR型ゼオライト結晶を生成させる加熱工程を有するものである。そして、本実施形態のDDR型ゼオライト種結晶の製造方法によって、上記本発明のDDR型ゼオライト種結晶を得ることができる。
【0039】
以下、本実施形態のDDR型ゼオライト種結晶の製造方法について、工程毎に説明する。
【0040】
(2−1)加熱工程;
本実施形態のDDR型ゼオライト種結晶の製造方法の一の実施形態において、加熱工程は、DDR型ゼオライトを含む核と、シリカとを含有する原料溶液を、130〜180℃で4時間以上加熱してDDR型ゼオライト結晶を生成させる工程である。
【0041】
加熱工程に用いる、DDR型ゼオライトを含む核の平均粒子径は、10〜300nmであることが好ましい。DDR型ゼオライトを含む核は、DDR型ゼオライト結晶、又は「DDR型ゼオライト結晶とアモルファスシリカとの混合物」、であることが好ましい。DDR型ゼオライトを含む核の平均粒子径は、動的光散乱法で測定した値である。DDR型ゼオライトを含む核の製造方法は特に限定されない。例えば、以下のような方法を挙げることができる。1−アダマンタンアミン、シリカ(SiO)、及び水を含有する溶液を、100〜180℃程度の温度で加熱処理することにより、DDR型ゼオライトに構造規定剤(1−アダマンタンアミン)が含有されている核を生成させることができる。「「構造規定剤(1−アダマンタンアミン)が含有されたDDR型ゼオライト」を含む核」は、「構造規定剤(1−アダマンタンアミン)が含有されたDDR型ゼオライト結晶」であることが好ましい。「DDR型ゼオライトを含む核」は、上記のように構造規定剤(1−アダマンタンアミン)が含有されていてもよいが、構造規定剤(1−アダマンタンアミン)を含有していなくてもよい。「「構造規定剤(1−アダマンタンアミン)を含有しないDDR型ゼオライト」を含む核」は、「「構造規定剤を含有するDDR型ゼオライト」を含む核」を加熱処理して、1−アダマンタンアミンを燃焼除去することにより、得ることができる。「「構造規定剤(1−アダマンタンアミン)を含有しないDDR型ゼオライト」を含む核」は、構造規定剤(1−アダマンタンアミン)を含有しないDDR型ゼオライト結晶であることが好ましい。
【0042】
原料溶液(原料ゾル)は、DDR型ゼオライトを含む核と、シリカとを含有する溶液(ゾル)である。原料溶液は、構造規定剤として1−アダマンタンアミンを含有することが好ましい。更に、原料溶液には、水、エチレンジアミン及びその他添加剤を混合してもよい。
【0043】
原料溶液中の「DDR型ゼオライトを含む核」の含有率は、0.0001〜3質量%が好ましく、0.001〜2質量%が更に好ましく、0.01〜1質量%が特に好ましい。0.0001質量%より少ないと、DDR型ゼオライト種結晶の生成量が少なくなったり、DDR型ゼオライト種結晶の粒子径が大きくなり過ぎたりすることがある。3質量%より多いと、DDR型ゼオライト種結晶の粒子径が小さくなり過ぎることや、アモルファスが残存し、得られるDDR型ゼオライト種結晶の結晶性指数が低下することがある。
【0044】
原料溶液が、構造規定剤として1−アダマンタンアミンを含有する場合、「シリカのモル数」に対する「1−アダマンタンアミンのモル数」の比の値(1−アダマンタンアミン/シリカ)が、0.1以下であることが好ましい。「シリカのモル数」に対する「1−アダマンタンアミンのモル数」の比の値は、0.01〜0.05が好ましく、0.03〜0.05が更に好ましい。「シリカのモル数」に対する「1−アダマンタンアミンのモル数」の比の値が、0.05より大きいと、構造規定剤としての役割を果たさない余分な1−アダマンタンアミンの量が増えて製造コストがかかることがある。
【0045】
原料溶液中の、「シリカのモル数」に対する「水のモル数」の比の値(水/シリカ)は、10〜500が好ましく、10〜200が更に好ましい。10より小さいとシリカ濃度が高すぎてDDR型ゼオライトが形成しにくいことがあり、500より大きいとシリカ濃度が低すぎてDDR型ゼオライトが形成し難いことがある。
【0046】
原料溶液中にエチレンジアミンを含有させると、1−アダマンタンアミンを容易に溶解することが可能となり、均一な結晶サイズのDDR型ゼオライト粉末を製造することが可能となる。1−アダマンタンアミンに対するエチレンジアミンの比の値(エチレンジアミン/1−アダマンタンアミン(モル比))は、4〜35が好ましく、8〜32が更に好ましい。4より小さいと、1−アダマンタンアミンを溶かし易くするための量としては不充分であり、35より大きいと、反応に寄与しないエチレンジアミンが過剰となり製造コストがかかることがある。
【0047】
加熱工程においては、原料溶液を、130〜180℃で4時間以上加熱して(水熱合成して)DDR型ゼオライト結晶を生成する。原料溶液に、構造規定剤として1−アダマンタンアミンが含有される場合、生成するDDR型ゼオライト結晶は、1−アダマンタンアミンを含有するDDR型ゼオライト結晶である。加熱温度は、上記のように130〜180℃であり、130〜170℃が好ましく、140〜170℃が更に好ましい。130℃より低いと、DDR型ゼオライト結晶が生成し難くなるため好ましくない。180℃より高いと、DDR型ゼオライト結晶とともに別の結晶相が生成し易くなるため好ましくない。加熱時間は、上記のように4時間以上であり、4〜24時間が好ましく、4〜16時間が更に好ましい。4時間より短いと、DDR型ゼオライト結晶が十分に生成しないため好ましくない。
【0048】
(2−2)洗浄工程;
本実施形態のDDR型ゼオライト種結晶の製造方法の一の実施形態は、加熱工程の後に、生成したDDR型ゼオライト結晶を洗浄する洗浄工程を有する。そして、洗浄工程において、洗浄後のDDR型ゼオライト結晶を分散媒に分散させることによりDDR型ゼオライト結晶の分散液を作製し、当該分散液をpH7.5以上とする。分散液の水素イオン濃度は、pH8.0以上とすることが更に好ましく、pH9.0〜pH10.5が特に好ましい。分散液の水素イオン濃度がpH7.5未満であると、DDR型ゼオライト種結晶の粒子が凝集し易くなることがある。洗浄後のDDR型ゼオライト結晶を分散させる分散媒としては、水、アルコール類等を挙げることができる。また、上記分散媒は、DDR型ゼオライト結晶を洗浄したときの洗浄後の液であってもよい。上記分散媒が、DDR型ゼオライト結晶を洗浄したときの洗浄後の液である場合、最後にDDR型ゼオライト結晶を洗浄した洗浄液(洗浄後の液)であることが好ましい。洗浄後の液としては、最も汚れが少ないためである。洗浄液としては、水を用いることが好ましい。洗浄方法としては、振とう器を用いる方法や超音波を用いる方法を挙げることができる。DDR型ゼオライト結晶の洗浄は、DDR型ゼオライト結晶1gに対して、0.02〜2リットルの洗浄液を用いることが好ましい。
【0049】
洗浄後のDDR型ゼオライト結晶は、原料溶液に1−アダマンタンアミンが含有される場合、「1−アダマンタンアミンが含有されているDDR型ゼオライト種結晶」になる。この1−アダマンタンアミンが含有されているDDR型ゼオライト種結晶の比表面積は、当該「DDR型ゼオライト種結晶が球形である」と仮定した場合に粒度分布から求められる比表面積より、小さいことが好ましい。1−アダマンタンアミンが含有されているDDR型ゼオライト結晶の比表面積は、N吸着法によって測定した値である。「「DDR型ゼオライト種結晶が球形である」と仮定した場合に粒度分布から求められる比表面積」は、以下の方法で測定した値である。すなわち、まず、DDR型ゼオライト種結晶前駆体の粒度分布を、粒度分布測定装置を用いて測定する。そして、得られた粒度分布より、「DDR型ゼオライト種結晶が球形である」と仮定した場合の比表面積を算出する。粒度分布測定装置としては、「光学散乱を用いる方法で粒度分布を測定する装置」を用いる。例えば、「日機装社製、商品名:Nanotrac」を用いてDDR型ゼオライト種結晶の粒度分布を測定する。
【0050】
尚、洗浄後のDDR型ゼオライト結晶は、原料溶液が、1−アダマンタンアミンを含有しない場合には、「1−アダマンタンアミンを含有しないDDR型ゼオライト種結晶」となる。
【0051】
本実施形態のDDR型ゼオライト種結晶の製造方法においては、機械的処理を行わずにDDR型ゼオライト種結晶を作製することが好ましい。ここで、機械的処理とは、粉砕、破砕等の処理を意味し、機械的な外力を加えることによって、「水熱合成によって形成されたDDR型ゼオライト結晶」の形状を、変形させること(削ったり、割ったりすることにより変形させること)を意味する。
【0052】
(3)DDR型ゼオライト膜の製造方法:
本発明のDDR型ゼオライト膜の製造方法の一実施形態は、本発明のDDR型ゼオライト種結晶を含有するスラリーを多孔質支持体の表面に塗布して種結晶付着多孔質支持体を作製する塗布工程を有するものである。
【0053】
このように、本実施形態のDDR型ゼオライト膜の製造方法は、本発明のDDR型ゼオライト種結晶を用いてDDR型ゼオライト膜を作製するため、DDR型ゼオライト種結晶が多孔質支持体の表面から落下し難いものである。これにより、余剰のDDR型ゼオライト結晶が発生するのを抑制することができる。
【0054】
本実施形態のDDR型ゼオライト膜の製造方法について、工程毎に説明する。
【0055】
(3−1)塗布工程;
塗布工程は、本発明のDDR型ゼオライト種結晶(以下、単に「DDR型ゼオライト種結晶」ということがある。)を含有するスラリーを多孔質支持体の表面に塗布して種結晶付着多孔質支持体を作製する工程である。DDR型ゼオライト種結晶を含有するスラリーは、DDR型ゼオライト種結晶をアルコールに分散させたスラリーであることが好ましい。アルコールとしては、エタノールが好ましい。スラリー中の、DDR型ゼオライト種結晶の含有率は、0.001〜0.5質量%が好ましく、0.005〜0.3質量%が更に好ましく、0.01〜0.2質量%が特に好ましい。0.001質量%より少ないと、DDR型ゼオライト膜が生成し難くなることがある。0.5質量%より多いと、DDR型ゼオライト膜の厚さが不均一になることがある。
【0056】
多孔質支持体は、セラミックにより形成されていることが好ましい。多孔質支持体を構成するセラミックとしては、アルミナ、ムライト、コージェライト、炭化珪素、チタニア、ジルコニア、ガラス、これらの複合物等を挙げることができる。多孔質支持体の形状は、特に限定されず、用途に応じて任意の形状とすることができる。例えば、板状、筒状、ハニカム形状、モノリス形状等を挙げることができる。これらの中でも、ハニカム形状又はモノリス形状が好ましい。これらの形状は、単位体積当たりの膜面積を大きくすることが可能である。なお、「モノリス形状」とは、「流体の流路となり、両端面間に亘って延びるとともに両端面に開口する」複数の貫通孔が形成された柱状を意味する。例えば、貫通孔の延びる方向に直交する断面の形状が、蓮根の「空洞の延びる方向に直交する断面」の形状のようになっているものを挙げることができる。
【0057】
多孔質支持体は、「当該多孔質支持体の「種結晶を塗付する部分(表面)」に、開口する細孔」の、開口径の平均値が、DDR型ゼオライト種結晶の平均粒子径以下の大きさであることが好ましい。これにより、多孔質支持体の細孔内にDDR型ゼオライト膜が形成されることを抑制することができる。ここで、「開口径」は、「多孔質支持体に形成された細孔によって多孔質支持体の表面に形成された」開口部の直径である。なお、開口径は、焼成後の多孔質支持体からDDR型ゼオライト種結晶が塗付される表面の層を切り出し、「ASTM F316」に記載のエアフロー法により測定された値である。
【0058】
多孔質支持体の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、以下のような方法を挙げることができる。まず、所定のセラミック原料を含有する成形原料を混練し、モノリス形状の成形体が形成されるような口金を用いて押出成形し、モノリス形状の成形体を得る。その後、モノリス形状の成形体を乾燥し、焼成することによりモノリス形状の多孔質支持体を得る。
【0059】
(3−2)DDR型ゼオライト膜形成工程;
本実施形態のDDR型ゼオライト膜の製造方法は、DDR型ゼオライト膜形成工程を有することが好ましい。DDR型ゼオライト膜形成工程は、種結晶付着多孔質支持体を、1−アダマンタンアミン及びシリカを含有する膜形成用原料溶液中に浸漬し、加熱する(水熱合成する)ことにより、DDR型ゼオライト膜を多孔質支持体の表面に形成する工程である。DDR型ゼオライト膜形成工程で得られるDDR型ゼオライト膜は、1−アダマンタンアミンを含むDDR型ゼオライト膜である。多孔質支持体の表面に形成されるDDR型ゼオライト膜は、水熱合成により、複数のDDR型ゼオライト種結晶が膜状に成長したものである。
【0060】
本実施形態のDDR型ゼオライト膜の製造方法において、膜形成用原料溶液は、1−アダマンタンアミン及びシリカを含有するものであり、更に水を含有するものであることが好ましい。膜形成用原料溶液は、更に、エチレンジアミン及びその他添加剤を含有してもよい。
【0061】
膜形成用原料溶液の調製に際して、シリカのモル数に対する1−アダマンタンアミンのモル数の比の値(1−アダマンタンアミン/シリカ(モル比))は、0.002〜0.5が好ましく、0.002〜0.2が更に好ましい。0.002より小さいと構造規定剤である1−アダマンタンアミンが不足してDDR型ゼオライトが形成しにくいことがある。0.5より大きいと、DDR型ゼオライト膜に取り込まれない余剰の1−アダマンタンアミンが多くなることがある。シリカに対する水の比の値(水/シリカ(モル比))は、10〜500が好ましく、10〜200が更に好ましい。10より小さいとシリカ濃度が高すぎてDDR型ゼオライト膜が形成しにくいことがある。500より大きいとシリカ濃度が低すぎてDDR型ゼオライト膜が形成しにくいことがある。
【0062】
膜形成用原料溶液中にエチレンジアミンが含有されると、1−アダマンタンアミンを容易に溶解することが可能となり、均一な厚さのDDR型ゼオライト膜を製造することが可能となる。1−アダマンタンアミンのモル数に対するエチレンジアミンのモル数の比の値(エチレンジアミン/1−アダマンタンアミン(モル比))は、4〜35が好ましく、8〜32が更に好ましい。4より小さいと、1−アダマンタンアミンを溶かし易くするための量としては不充分であり、35より大きいと、反応に寄与しないエチレンジアミンが過剰となることがある。
【0063】
また、1−アダマンタンアミンを予めエチレンジアミンに溶解することにより1−アダマンタンアミン溶液を調製することが好ましい。そして、このように調製した1−アダマンタンアミン溶液と、シリカを含むシリカゾル溶液とを混合して膜形成用原料溶液を調製することが好ましい。これにより、より簡便かつ完全に1−アダマンタンアミンを膜形成用原料溶液に溶解することができる。そして、それにより、均一な厚さのDDR型ゼオライト膜を製造することが可能となる。なお、シリカゾル溶液は、微粉末状シリカを水に溶解すること、又は、アルコキシドを加水分解することにより調製することができるが、シリカゾル市販品のシリカ濃度を調整して用いることもできる。
【0064】
種結晶付着多孔質支持体を、膜形成用原料溶液中に浸漬し、加熱することにより、DDR型ゼオライト膜前駆体を多孔質支持体の表面に形成する方法としては、以下の方法を挙げることができる。すなわち、膜形成用原料溶液を入れた耐圧容器等に、多孔質支持体を入れて、下記所定の温度で所定時間保持することにより水熱合成し、多孔質支持体の表面に、構造規定剤が含有されたDDR型ゼオライト膜を形成する方法である。
【0065】
DDR型ゼオライト膜形成工程においては、水熱合成に際しての温度条件を100〜200℃とすることが好ましく、120〜180℃とすることが更に好ましく、130〜160℃とすることが特に好ましい。100℃未満で水熱合成を行った場合には、DDR型ゼオライト膜を形成し難いことがある。200℃超で水熱合成を行った場合には、DDR型ゼオライトとは異なる結晶相が形成されることがある。
【0066】
多孔質支持体の表面に形成されたDDR型ゼオライト膜前駆体の厚さは、0.5〜6μmであることが好ましい。6μmより厚いと、得られるDDR型ゼオライト膜を被処理流体が透過するときの透過速度が低くなることがある。0.5μmより薄いと、得られるDDR型ゼオライト膜の分離性能が低下することがある。DDR型ゼオライト膜の膜厚は、厚さ方向に沿って切断した断面の電子顕微鏡写真により測定した5ヶ所の断面位置での膜厚の平均値である。
【0067】
DDR型ゼオライト膜形成工程においては、「DDR型ゼオライト膜以外の析出物」の膜形成用原料溶液に対する比率が、0.2質量%以下であることが好ましい。「DDR型ゼオライト膜以外の析出物」とは、DDR型ゼオライト膜を構成せずに、例えば、多孔質支持体の「DDR型ゼオライト膜を形成しない部分」に形成された、「1−アダマンタンアミンを含むDDR型ゼオライト結晶」の塊等である。「DDR型ゼオライト膜以外の析出物」の膜形成用原料溶液に対する比率は、上記のように0.2質量%以下であることが好ましく、0〜0.15質量%であることが更に好ましく、0〜0.1質量%であることが特に好ましい。0.2質量%より大きいと、例えば、モノリス状の多孔質支持体を用いたときに、当該析出物によって貫通孔が塞がれることがある。
【0068】
(3−3)DDR型ゼオライト膜の細孔形成工程;
本実施形態のDDR型ゼオライト膜の製造方法は、DDR型ゼオライト膜形成工程の後に、DDR型ゼオライト膜の細孔形成工程を有することが好ましい。DDR型ゼオライト膜の細孔形成工程は、構造規定剤が含有されたDDR型ゼオライト膜を加熱して、1−アダマンタンアミンを取り除き、構造規定剤を含有しないDDR型ゼオライト膜(多孔質支持体の表面に配設されたDDR型ゼオライト膜)を形成する工程である。そして、得られたDDR型ゼオライト膜は、細孔を有するものである。「DDR型ゼオライト膜の細孔」とは、DDR型ゼオライト結晶中の1−アダマンタンアミンが取り除かれることにより、「DDR型ゼオライト結晶の、1−アダマンタンアミンが存在していた部分」に形成される空間であり、外部に通じる開気孔である。DDR型ゼオライト膜の細孔形成工程は、例えば、以下のような工程であることが好ましい。すなわち、構造規定剤を含有するDDR型ゼオライト膜が形成された多孔質支持体を加熱装置内に入れ、400〜800℃で4〜100時間加熱し、DDR型ゼオライト膜に含有される1−アダマンタンアミンを燃焼除去することが好ましい。これにより、多孔質基体の表面に形成されたDDR型ゼオライト膜(1−アダマンタンアミンを含有しないDDR型ゼオライト膜)を得ることができる。加熱装置としては、電気炉等を用いることができる。本発明のDDR型ゼオライト膜は、上記のような、「1−アダマンタンアミンを含有しないDDR型ゼオライト膜」であることが好ましい。尚、1−アダマンタンアミンを含有するDDR型ゼオライト膜も本発明のDDR型ゼオライト膜に含まれるが、ガス分離膜や浸透気化膜として用いる場合には、「1−アダマンタンアミンを含有しないDDR型ゼオライト膜」であることが好ましい。
【実施例】
【0069】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0070】
(実施例1)
フッ素樹脂製の250mlの密閉容器に12.63gのエチレンジアミン(和光純薬工業社製)を入れた後、1.98gの1−アダマンタンアミン(シグマアルドリッチ社製)を加え、超音波にて1−アダマンタンアミンを完全に溶解した。別の容器に、核としてDDR型ゼオライト結晶を0.5質量%含む水溶液(核含有液)を149.45g入れ、シリカを30質量%含むシリカゾル(スノーテックスS、日産化学工業社製)を97.90g加えて攪拌し、「核を含むシリカゾル」を得た。その後、得られた「核を含むシリカゾル」を、先に用意した「1−アダマンタンアミンを溶解したエチレンジアミン」の入った密閉容器に素早く加え、密閉容器内の混合液が透明になるまでシェーカーにて振とうし、原料溶液(原料ゾル)を得た。振とう時間は1時間であった。
【0071】
核として用いたDDR型ゼオライト結晶は、国際公開第2010/090049A1に記載の方法を基に、DDR型ゼオライト粉末を作製し、これを粉砕することにより得た。DDR型ゼオライト粉末から核を作製する方法は、具体的には、以下の通りである。平均粒子径が2.9μmのDDR型ゼオライト結晶をアシザワ・ファインテック社製ビーズミル、商品名:スターミルにて90分粉砕処理を行った。粉砕処理後3000rpmで15分間遠心分離を行い、粗粒子を取り除き、平均粒子径168nmの核を得た。
【0072】
得られた核は、平均粒子径が168nmであった。原料溶液中の核の濃度は0.29質量%であった。
【0073】
次に、3個の容器を用いてDDR型ゼオライト種結晶を作製し、3個の容器で作製されたそれぞれのDDR型ゼオライト種結晶(分散液)を混合して、DDR型ゼオライト膜作製のための種結晶とした。具体的には、まず、原料溶液を3個の容器に入れた。容器としては、内容積100mlの、フッ素樹脂製内筒付きステンレス製耐圧容器を用いた。そして、容器中の原料溶液を、160℃で16時間加熱した(水熱合成を行った)。水熱合成後、pH10程度となるまで水洗し、DDR型ゼオライト種結晶を水に分散させた「分散液」を得た。そして、3個の容器で作製された分散液を混合して、一つの「DDR型ゼオライト種結晶分散液」を作製した。以下の説明において、「DDR型ゼオライト種結晶」というときは、上記「DDR型ゼオライト種結晶分散液」から取り出したDDR型ゼオライト種結晶を意味する。
【0074】
得られたDDR型ゼオライト種結晶は平均粒子径が241nmであった。また、DDR型ゼオライト種結晶の結晶性指数は88であった。また、DDR型ゼオライト種結晶のアスペクト比(AR)は1.48であった。また、DDR型ゼオライト種結晶の、「アスペクト比の2乗(AR)」の変動係数(C.V.)は、0.25であった。また、「アスペクト比が1〜3の粒子」の含有率は、100%であった。また、最終的な「DDR型ゼオライト種結晶分散液」のpHは10.2であった。各測定値の測定方法は、以下に示す方法とした。図1に、得られたDDR型ゼオライト種結晶の顕微鏡写真(SEM画像)を示す。
【0075】
(平均粒子径)
約20mlの水に上記「DDR型ゼオライト種結晶分散液」を測定可能な濃度となるよう滴下する。その後、超音波で5分以上分散させることによりDDR型ゼオライト種結晶の懸濁液を作製する。作製した懸濁液を「日機装社製、商品名:Nanotrac」にて粒度分布を測定する。
【0076】
(結晶性指数)
DDR型ゼオライト種結晶の結晶性指数は、XRD測定(粉末X線回折測定)により求める。具体的には、まず、結晶性指数は、得られたDDR型ゼオライト結晶の(024)面に起因する回折ピークの回折強度をAとする。そして、非晶質により影響を受ける(024)面と(116)面のピーク間の回折強度の最低値をBとし、(024)面と(202)面のピーク間の回折強度の最低値をCとする。そのときに、AからCを引いた値を、BからCを引いた値で除算して得られた値Y((A−C)/(B−C))である。X線回折測定に用いる装置は、「リガク社製、商品名(型番):RINT−2500」とする。測定時の管電圧、管電流はそれぞれ50kV、300mAとする。
【0077】
(アスペクト比)
アスペクト比は、「FE−SEM(電界放射型走査電子顕微鏡(インレンズ))」観察により求める。FE−SEM観察に用いる装置は、ZEISS社製、商品名(型番):ULTRA55とする。以下に用いられる「FE−SEM」としては、全て上記装置を用いている。アスペクト比は、「最大フェレー径を最小フェレー径で除した値」である。最大フェレー径は、DDR型ゼオライト種結晶のFE−SEM画像上において、平行な2本の直線で、「当該平行な2本の直線間の距離が最大となる」ようにDDR型ゼオライト種結晶を挟んだときの、当該平行な2本の直線間の距離である。また、最小フェレー径は、DDR型ゼオライト種結晶のFE−SEM画像上において、平行な2本の直線で、「当該平行な2本の直線間の距離が最小となる」ようにDDR型ゼオライト種結晶を挟んだときの、当該平行な2本の直線間の距離である。最大フェレー径及び最小フェレー径は、上記のように、FE−SEM(電界放射型走査電子顕微鏡(インレンズ))を用いて、DDR型ゼオライト種結晶を観察することにより求める。FE−SEMを用いてDDR型ゼオライト種結晶を観察する際には、20個以上のDDR型ゼオライト種結晶を含むように、且つ「(平均粒子径)×50〜(平均粒子径)×200倍」の面積範囲内で行う。そして、20個のDDR型ゼオライト種結晶について、上記最大フェレー径及び最小フェレー径を測定し、それぞれのアスペクト比を算出する。そして、得られた、20個のDDR型ゼオライト種結晶についてのアスペクト比を平均して、測定対象のDDR型ゼオライト種結晶のアスペクト比とする。「平均粒子径」は、DDR型ゼオライト種結晶の、体積ベースでの粒子径の中央値(D50)のことである。「平均粒子径」は、動的光散乱法で測定した値である。
【0078】
(「アスペクト比が1〜3の粒子」の含有率)
FE−SEM(電界放射型走査電子顕微鏡(インレンズ))を用いてDDR型ゼオライト種結晶を観察する。DDR型ゼオライト種結晶の観察は、20個以上のDDR型ゼオライト種結晶を含むように、且つ「(平均粒子径)×50〜(平均粒子径)×200倍」の面積範囲内で行う。そして、20個のDDR型ゼオライト種結晶について、最大フェレー径及び最小フェレー径を測定し、それぞれのアスペクト比を算出する。そして、「アスペクト比が1〜3の粒子」の含有率を算出する。
【0079】
(アスペクト比の2乗の変動係数)
「アスペクト比の2乗の変動係数」は、「アスペクト比の2乗」の標準偏差を、「アスペクト比の2乗」の平均値で除した値である。「アスペクト比の2乗の変動係数」は、以下のようにして測定する。FE−SEM(電界放射型走査電子顕微鏡(インレンズ))を用いてDDR型ゼオライト種結晶を観察する。DDR型ゼオライト種結晶の観察は、20個以上のDDR型ゼオライト種結晶を含むように、且つ「(平均粒子径)×50〜(平均粒子径)×200倍」の面積範囲内で行う。そして、20個のDDR型ゼオライト種結晶について、最大フェレー径及び最小フェレー径を測定し、それぞれのアスペクト比を算出する。そして、得られた、20個のDDR型ゼオライト種結晶についてのアスペクト比を用いて、「アスペクト比の2乗の変動係数」を求める。
【0080】
【表1】
【0081】
(実施例2〜7、比較例1,2)
製造条件を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてDDR型ゼオライト種結晶を作製した。実施例1と同様にして上記評価を行った。結果を表1に示す。また、図2に、比較例1のDDR型ゼオライト種結晶の顕微鏡写真(SEM画像)を示す。
【0082】
(実施例8)
実施例1で得られた、DDR型ゼオライト種結晶が水に分散した「DDR型ゼオライト種結晶分散液」を、5分間、超音波にさらした。その後、分散液をエタノール中に滴下し、スターラーで攪拌することによって、DDR種結晶の濃度が0.018質量%の「種付け用スラリー(DDR型ゼオライト種結晶を含有するスラリー)」を作製した。
【0083】
多孔質支持体を、片方の端面が鉛直方向上側を向くようにして載置した。そして、多孔質支持体の上記片方の端面の上側に、出口の広い「広口ロート」を配置した。広口ロートの出口の直径は、多孔質支持体の上記片方の端面の直径と同程度の大きさであった。そして、得られた種付け用スラリーを、広口ロートに注ぎ、広口ロートの出口から流出した種付け用スラリーを、モノリス状の多孔質支持体のセル内に流し込んだ。そして、種付け用スラリーが、多孔質支持体のセルを通過するようにした(種付け用スラリー流下操作)。多孔質支持体のセル内に流し込んだ種付け用スラリーは、160cmであった。多孔質支持体は、底面の直径30mm、中心軸方向の長さ160mmの円柱状であった。また、多孔質支持体には、「一方端面から他方の端面まで延びるとともに、両端面に開口する」セルが、55本形成されるものであった。そして、セルの、中心軸方向に直交する断面の直径(セルの径)は2.34mmであった。また、多孔質支持体の平均細孔径は、0.12μmであった。また、多孔質支持体は、アルミナ基材の表面にチタニア層が形成されたものであった。
【0084】
種付け用スラリーを多孔質支持体のセル内に流し込み、セル内の壁面に種付け用スラリー(DDR型ゼオライト種結晶)を塗膜した後、風速2〜7m/秒の条件で、セル内に空気を流した。セル内に空気を流す操作は、室温で行った。また、セル内に空気を流した時間は10分であった。これにより、セル内の壁面に塗膜された種付け用スラリーを乾燥させた(乾燥操作)。
【0085】
上記「種付け用スラリー流下操作」及び「乾燥操作」をそれぞれ1回行う一連の操作を「1サイクルの操作」としたときに、当該「1サイクルの操作」を合計で2回行い、種結晶付着多孔質支持体を得た。
【0086】
フッ素樹脂製容器に、6.821gのエチレンジアミン(和光純薬工業社製)を入れた後、1.073gの1−アダマンタンアミン(シグマアルドリッチ社製)を加え、1−アダマンタンアミンを完全に溶解した。別の容器に、シリカを30質量%含むシリカゾル(スノーテックスS、日産化学工業社製)90.95gとイオン交換水108.2gを入れ、軽く攪拌してシリカ分散液を調製した。その後、シリカ分散液に、先に用意した1−アダマンタンアミンを溶解したエチレンジアミン溶液を加え、ホモジナイザーにて90分間攪拌し、膜形成用原料溶液を調製した。
【0087】
容積300cmのフッ素樹脂製内筒付きステンレス製耐圧容器内に、種結晶付着多孔質支持体を配置し、調合した膜形成用原料溶液を入れ、135℃(合成温度)にて20時間(合成時間)、加熱処理(水熱合成)を行った。これにより、多孔質支持体のセル内の壁面にDDR型ゼオライト膜(1−アダマンタンアミンを含有するDDR型ゼオライト膜)を形成した。その後、DDR型ゼオライト膜(1−アダマンタンアミンを含有するDDR型ゼオライト膜)が形成された多孔質支持体を取り出し、3時間、水で洗浄を行った。
【0088】
得られた「DDR型ゼオライト膜(1−アダマンタンアミンを含有するDDR型ゼオライト膜)が形成された多孔質支持体」を460℃で50時間加熱して、1−アダマンタンアミンを燃焼除去し、多孔質支持体のセルの壁面に配設されたDDR型ゼオライト膜(1−アダマンタンアミンを含有しないDDR型ゼオライト膜)を得た。
【0089】
得られたDDR型ゼオライト膜(1−アダマンタンアミンを含有しないDDR型ゼオライト膜)が配設される多孔質支持体は、DDR型ゼオライト結晶による「セルの閉塞」は全く無かった。また、多孔質支持体の端面に析出(端面析出)するDDR型ゼオライト結晶も少なかった。また、DDR型ゼオライト膜の作製(水熱合成)に用いた「フッ素樹脂製内筒付きステンレス製耐圧容器」の底に析出(容器析出)するDDR型ゼオライト結晶は殆ど無かった。また、端面析出及び容器析出したDDR型ゼオライト結晶は、膜形成用原料溶液の、0.02質量%であった。これより、DDR型ゼオライト種結晶が膜形成用原料溶液中に脱離していないことがわかる。端面析出及び容器析出したDDR型ゼオライト結晶(析出結晶)は、膜形成用原料溶液に対して、0.2質量%以下であることが好ましい。析出結晶の質量の、膜形成用原料溶液の質量に対する比率を「析出結晶比率」と称する。DDR型ゼオライト膜の製造条件及び評価結果を表2に示す。
【0090】
表2において、「種結晶」の欄は、DDR型ゼオライト膜の製造に用いたDDR型ゼオライト種結晶の由来(実施例及び比較例の番号)が示されている。また、「多孔質支持体」の欄は、DDR型ゼオライト膜の製造に用いた多孔質支持体の形状を示している。具体的には、「30」は、底面の直径が30mm、中心軸方向(セルの延びる方向)の長さが160mmのモノリス形状(外形は円柱状)を意味する。「180」は、底面の直径が180mm、中心軸方向(セルの延びる方向)の長さが1000mmのモノリス形状(外形は円柱状)を意味する。「セルの閉塞」の欄は、DDR型ゼオライト膜の製造の後に、セルが閉塞したか否かを示している。「セルの閉塞」があった場合を「有り」とし、「セルの閉塞」がなかった場合を「無し」とした。「端面析出」の欄は、多孔質支持体の端面に析出(端面析出)するDDR型ゼオライト結晶の観察結果を示す。「少」は、多孔質支持体の端面に析出したDDR型ゼオライト結晶が少なかったことを意味する。「多」は、多孔質支持体の端面に析出したDDR型ゼオライト結晶が多かったことを意味する。「容器析出」の欄は、「フッ素樹脂製内筒付きステンレス製耐圧容器」の底に析出したDDR型ゼオライト結晶の観察結果を示す。「無し」は、「フッ素樹脂製内筒付きステンレス製耐圧容器」の底に、DDR型ゼオライト結晶が殆ど析出しなかったことを意味する。「有り」は、「フッ素樹脂製内筒付きステンレス製耐圧容器」の底全体を覆うように、DDR型ゼオライト結晶が析出したことを意味する。
【0091】
【表2】
【0092】
(実施例9〜13、比較例3〜7)
表2に示すように製造条件の一部を変更した以外は、実施例8と同様にしてDDR型ゼオライト膜を作製した。実施例8と同様にして上記評価を行った。結果を表2に示す。尚、表2において「セルの径」が2.34mmである多孔質支持体は、アルミナ基材の表面にチタニア層が形成されたものである。また、「セルの径」が2.14mmである多孔質支持体は、アルミナ基材の表面にアルミナ層が形成されたものである。
【0093】
実施例8〜13より、実施例1〜7のDDR型ゼオライト種結晶を用いてDDR型ゼオライト膜を作製すると、余分なDDR型ゼオライト結晶の析出が抑制されることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明のDDR型ゼオライト種結晶は、DDR型ゼオライト膜の製造に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0095】
1:DDR型ゼオライト種結晶。
図1
図2