(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記保湿剤は、単糖類由来の糖アルコール、二糖類由来の糖アルコール、ジグリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール及び平均重合度3〜10のポリグリセリンから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のインクジェット用昇華性染料インク。
前記スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体の含有量は、インク全質量に対して0.2〜4質量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット用昇華性染料インク。
前記保湿剤は、ソルビトール、キシリトール及びマルチトールから選ばれる少なくとも一種の糖アルコールである請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット用昇華性染料インク。
前記保湿剤は、ジグリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール及び平均重合度3〜10のポリグリセリンから選ばれる少なくとも1種であり、インク全質量に対して5〜40質量%含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット用昇華性染料インク。
請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット用昇華性染料インクを用いてシート状記録媒体にインクジェット印刷を行った後、前記記録媒体の印刷面を被染色対象物に重ね合わせ、加熱して昇華性染料を被染色対象物に昇華転写することを特徴とする昇華転写染色方法。
【背景技術】
【0002】
水性のインクジェット記録用インクは、水溶性染料を水または水溶性有機溶剤を含む水溶液に溶解させた溶液、または水不溶性色材を水または水溶性有機溶剤を含む水溶液に分散させた分散液の形態をとるのが一般的である。また、転写紙等のシート状記録媒体にインクジェット印刷を行った後、疎水性繊維等の被染色対象物に該記録媒体の印刷面を重ね合わせたのち、加熱により昇華転写する染色方法などに、昇華性染料を用いたインクジェット記録用インクが使用されている。また、インクジェット記録用インクの性能に要求される項目として、
(1)ノズルの目詰まり防止、吐出安定性
(2)インク吐出時の方向性、吐出量及びドットの形状が一定した高品位な記録画像
(3)インクの保存安定性
(4)高印字濃度、高品位な画質
(5)インクの乾燥性、定着性
などが挙げられる。
【0003】
インクジェット記録方式は、インクを細いノズルから小滴として噴射する必要があるため、前記項目中(1)が特に重要である。特にオンデマンド型の方式では、連続運転中でも一時的にノズルからインクの噴射が停止されるため、長時間の連続運転時に吐出不良が生じるという問題があった。また、昇華性染料を使用した分散液形態の昇華転写用インクジェット記録用インクの場合、水溶性染料を使用する場合と違って、分散劣化による沈殿物(凝集物)の生成、ノズルにおける水分の蒸発による増粘等が原因となり、目詰まりを起こしやすい。特に、装置の運転が長時間休止されるような状態に置かれたとき、水分の蒸発に伴う目詰まりが発生しやすくなる。そこで、水分の蒸発を抑えるために保湿剤を加えることが行われている。これらの保湿剤としては高沸点水溶性有機溶剤、固体水溶性化合物等がある。高沸点水溶性有機溶剤としてはグリセリン、ポリエチレングリコール等の多価アルコール系化合物、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等のピロリドン系化合物等が、固体水溶性化合物としては糖類,尿素系化合物等が使用される。
【0004】
前記昇華性染料インクは、昇華性染料を水、水溶性有機溶剤及び分散剤を含む水溶液中に分散させた形態をとるのが一般的であるが、昇華性染料インクを転写紙等のシート状記録媒体上にインクジェット印刷した後、前記記録媒体の印刷面を被転写体に重ね合わせ、加熱により昇華転写して染色する場合、また昇華性染料インクを疎水性繊維材料からなる布帛にインクジェット印刷を行った後加熱により染色する場合に、加熱処理を実施中に水と共に水溶性有機溶剤が揮発する。これは、一般の印刷のみを目的としたインクジェット印刷とは異なる点であり、昇華転写を利用した染色方法では昇華性染料の昇華温度以上に温度を高くして一定時間加熱するため高沸点有機溶剤でも揮発してしまうことになる。特に、グリセリン等の高沸点有機溶剤の場合には、揮発した溶剤が大気中に放出されるとすぐに凝縮点にまで温度が低下するため煙状の蒸気を生じる結果となる。これは、見た目には非常に印象が悪い。これを避けるために煙状とならない保湿剤を使用することが検討されている(例えば下記特許文献1〜2参照)。
【0005】
前記特許文献1には、環境汚染を低減し、再分散性の良い昇華転写用インクジェット記録用インクとして、保湿剤として4個以上のOH基を有する糖アルコールを含有し、分散剤、及びアルキル基の炭素数が25〜150のポリオキシエチレンアルキルエーテル系の化合物を含有する昇華転写用インクジェット記録用インクが記載されている。前記特許文献1の昇華転写用インクジェット記録用インクは、再分散性向上を目的として、アニオン性分散剤とアルキル基の炭素数が25〜150のポリオキシエチレンアルキルエーテル系の化合物とを併用しているため、表面張力が低い傾向になり、転写紙等のシート状記録媒体や疎水性繊維材料からなる布帛にインクジェット印刷を行った場合、前記被記録媒体に対して過度の浸透性を示す場合があり、被記録媒体の表面濃度が低くなる傾向になる。
【0006】
前記特許文献2には、2種類の分散剤、平均重合度2〜12のポリグリセリン及びポリオールを含有する昇華転写用の水性インクジェット記録用インクが記載されている。2種類の分散剤としては、β−ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物等のアニオン分散剤、フィトステロールのエチレンオキサイド付加物等のノニオン分散剤が記載されている。特許文献3には、水不溶性色素の平均分散粒径が0.1〜0.3μmであり、スチレン−アクリル酸系共重合体の遊離酸の形での酸価が150mgKOH/g以上250mgKOH/g未満であり、水不溶性色素に対するスチレン−アクリル酸系共重合体の割合が5質量%以上20質量%未満である水性インク組成物が記載されている。前記特許文献3では、水不溶性色素の平均分散粒径を0.1〜0.3μmと比較的大きな特定の範囲内とすることにより、極めて高い記録濃度を達成できることが記載されている。しかしながら、水不溶性色素に対するスチレン−アクリル酸系共重合体の割合が5質量%以上20質量%未満のため、水不溶性色素の分散安定性 (インクの保存安定性)が十分ではなかった。特許文献4には、特定の顔料を含有するインクにおいて、浸透剤としてアセチレングリコール化合物を含み、かつ水溶性分散剤としてスチレン−(メタ)アクリル酸系水溶性樹脂を含むインク組成物が記載され、特定の顔料を特定の成分と共に含んでなるインク組成物が、耐擦性および色再現性に優れた画像を実現し、かつ超浸透インク組成物としての利点を備えることが記載されている。特許文献4の各実施例に記載されたスチレン−(メタ)アクリル酸系水溶性樹脂の重量平均分子量は7,000のみであり、酸価は70〜150のものが記載され、アセチレングリコール化合物は特定されていない。実施例にはアセチレングリコール化合物として“サーフィノール465”のみが記載されている。
【0007】
特許文献5には、分散染料を含有するインクジェットインクにおいて、酸性基としてカルボキシル基またはスルホン酸基を有し、酸価が80mgKOH/g以上、300mgKOH/g以下のポリマー樹脂を固形分で2質量%以上、10質量%以下含有し、前記ポリマー樹脂は分散剤としてではなく、バインダー樹脂として使用され、布帛を加熱するだけで、高画質で、高耐久性な画像を作成できるインクジェットインクが記載されている。特許文献6には、昇華性染料、アセチレングリコール系界面活性剤、特定の水溶性有機溶剤および水を含有するポリエステル生地昇華転写用インクジェットインクが記載されているが、アセチレングリコール系界面活性剤は特定されておらず、実施例にはアセチレングリコール化合物として“サーフィノール465”のみが記載されている。昇華性染料の分散剤としては、実施例ではアニオン性分散剤(β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩)を使用している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明者らは、インクジェットヘッドにおけるノズルの目詰まりを起こしにくい信頼性の優れたインクジェット用昇華性染料インクについて、被記録媒体表面への印字濃度が高いインク組成物を得るために、昇華性染料の分散剤及び浸透剤について検討した結果、特定のアニオン性高分子分散剤及び特定の浸透剤を選択することで前記目的を達成することができることを見出し、本発明に至った。
【0016】
本発明で使用するアニオン性高分子分散剤は、酸価160〜250mgKOH/g(以下、酸価は単に数値で示す)、重量平均分子量8,000〜20,000のスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体である。本発明の1つの特徴は、昇華性染料の分散剤として前記アニオン性高分子分散剤を使用することである。前記アニオン性高分子分散剤は、昇華性染料を微粒子化して水性媒体中に分散させるものであり、微粒子化した昇華性染料の分散安定性を保持する機能も発揮される。
【0017】
前記スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体としては、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−αメチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−αメチルスチレン−メタクリル酸共重合体等を挙げることができる。
【0018】
本発明で用いる前記スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体は、その酸価が160〜250であり、好ましくは200〜250の範囲である。酸価が160未満の場合、水に対する樹脂の溶解性が悪くなり,また昇華性染料に対する分散安定化力が劣る傾向にあり、酸価が250を越えると、水性媒体との親和性が強くなり、印字後の画像ににじみが発生し易い傾向があり好ましくない。樹脂の酸価は、樹脂1gを中和するのに要するKOHのmg数を表し、JIS−K3054に従って測定する。
【0019】
また、前記スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体の重量平均分子量は、8,000〜20,000であり、好ましくは10,000〜18,000である。重量平均分子量が8,000よりも小さくなると、昇華性染料に対する分散安定化力が低下する、20,000より大きくなると、昇華性染料を分散する能力が低下し,またインクの粘度が高くなりすぎる場合があり好ましくない。前記スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミッションクロマトグラフ)法で測定する。
【0020】
前記スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体はフレーク状または水溶液状のものが市販されており,取り扱いの観点から水溶液状のものが好ましく使用される。具体例としては、BASFジャパン株式会社製の、商品名“ジョンクリル60”(重量平均分子量=8,500、酸価=215),“ジョンクリル62”(重量平均分子量=8,500、酸価=200)、“ジョンクリル63”(重量平均分子量=12,500、酸価=213)、“ジョンクリル70”(重量平均分子量=16,500;酸価=240)、“HPD−71”(重量平均分子量=17,250;酸価=214)、“HPD−96”(重量平均分子量=16,500;酸価=240)等が挙げられる。
【0021】
これらアニオン性高分子分散剤の含有量は、昇華性染料の分散安定性を良好に保つ目的から、インクの全質量に対して0.2〜4質量%が好ましい。また、これらアニオン性高分子分散剤の含有量は、昇華性染料の分散安定性を良好に保つ目的から、昇華性染料に対して20〜40質量%が好ましく、20〜30質量%がより好ましい。
【0022】
本発明のもう1つの特徴は、浸透剤として、前記化学式(I)で示されるアセチレングリコール系化合物を含有することである。上記化学式(I)の化合物の化学式名は3,6−ジメチル−4−オクチン− 3,6−ジオールであり、市販品としては、日信化学工業株式会社から商品名“サーフィノール82”として販売されている。
【0023】
一般的に、アセチレングリコール系化合物としては、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、4 ,7− ジメチル− 5 − デシン− 4 , 7 −ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4 ,7−ジオー
ル、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、並びに、該2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、該4 ,7− ジメチル−5−デシン−4 ,7 −ジオール、該2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン− 4,7−ジオールおよび該3 ,6−ジメチル−4− オクチン−3 ,6−ジオールのそれぞれに対してエチレンオキシ基および/ またはプロピレンオキシ基が付加したものを挙げることができ、これらは、商品名“サーフィノール82”、104、420、440、465、485(日信化学工業株式会社製)等として市販されているが、本発明の昇華性染料インクには、前記化学式(I)の化合物である3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール(商品名“サーフィノール82”)を使用する。
【0024】
昇華性染料の分散剤として前記アニオン性高分子分散剤を選択し、浸透剤として化学式(I)の化合物を選択することで、被記録媒体表面の印字濃度が高いインク組成物を得ることができる。
【0025】
この場合、前記アニオン性高分子分散剤と他の前記アセチレングリコール系化合物との組み合わせでは、浸透性が高いインク組成物となるため被記録媒体表面の印字濃度を高くすることができない。
【0026】
前記化学式(I)の化合物は、浸透効果が他の前記アセチレングリコール系化合物に比べて緩やかであるため、被記録媒体へのインクの浸透性も緩やかとなり、昇華性染料が表面近くにとどまるため被記録媒体の表面濃度が高くなると考えられる。また、他の前記アセチレングリコール系化合物を使用すると、インク組成物の保存安定性が悪くなるが、前記化学式(I)の化合物を使用した場合は、インクの保存安定性も良好である。
【0027】
前記化学式(I)の化合物の含有量は、インクへの溶解性及び被記録媒体への緩やかな浸透性を維持する観点からインク全量に対して、0.1〜2.0質量%が好ましい。より好ましくは、0.1〜1.5質量%であり、さらに好ましくは0.2〜1.0質量%である。
【0028】
本発明で使用する昇華性染料としては、昇華性を有する分散染料及び油溶性染料が好ましく、これらは、単独で使用しても混合されて使用してもよいが、分散性や染色性の点から特に分散染料が好ましく用いられる。
【0029】
昇華性染料の例としては、大気圧下、70〜260℃で昇華又は蒸発する染料が好ましい。例えば、アゾ、アントラキノン、キノフタロン、スチリル、オキサジン、キサンテン、メチン、アゾメチン等の染料がある。これらの内、イエロー系分散染料の例としては、染料名"C.I.Disperse Yellow 51",54,60,64,65,71,82,98,114,119,160,201,211などが挙げられる。オレンジ系分散染料の例としては、"C.I.Disperse Orange 25",33,44,288などが挙げられる。レッド系分散染料の例としては、"C.I.Disperse Red 4",22,55,59,60,73,86,91,146,152,191,302,364などが挙げられる。ブルー系分散染料の例としては、"C.I.Disperse Blue 14",28,56,60,72,73,77,334,359,360,366などが挙げられる。その他の色成分としては、“C.I.Disperse Brown 27","C.I.Disperse Violet 26",27,28等が挙げられる。上記以外の油溶性染料としては、"C.I.Solvent Yellow 16",33,93,160,"C.I.Solvent Orange 60"、"C.I.Solvent Red 111",155,"C.I.Solvent Violet 31","C.I.Solvent Blue 35",36,59,63,97,104等が挙げられる。
【0030】
これらの中でも、"C.I.Disperse Yellow 54",60,64,71,82,"C.I.Disperse Orange 25",288,"C.I.Disperse Red 4",22,55,60,146,302,364,"C.I.Disperse Blue 14",28,56,72,334,359,360,"C.I.Disperse Violet 28","C.I.Solvent Yellow 16",33,93,"C.I.Solvent Orange 60","C.I.Solvent Red 111",155, "C.I.Solvent Violet 31","C.I.Solvent Blue 35",36,59,63,97,104が好ましい。
【0031】
これら昇華性染料の含有量は、一般的に、分散安定性を保ち、且つ必要な印字濃度が得られることから、インクの全質量に対して0.2〜12質量%が好ましい。より好ましくは0.5 〜10質量%である。
【0032】
本発明において、本発明で使用するアニオン性高分子分散剤は、昇華性染料を微粒子化して水性媒体中に分散させるものであり、微粒子化した昇華性染料の分散安定性を保持する機能も発揮される。
【0033】
さらに、インクの調製時に、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、などを使用することができる。特に、分散染料または油溶性染料の分散安定性をより向上するためにアニオン性界面活性剤をインク全質量に対して0.1〜3質量%含有するのが好ましい。
【0034】
アニオン性界面活性剤としては、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、リグニンスルホン酸塩類、芳香族スルホン酸塩のホルマリン縮合物(ブチルナフタレン等のアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムとナフタレンスルホン酸ナトリウムとのホルマリン縮合物、クレゾールスルホン酸ナトリウムと2ナフトール−6−スルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、クレゾールスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、クレオソート油スルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物等)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等が挙げられる。
【0035】
これらの中でも、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、芳香族スルホン酸塩のホルマリン縮合物が好ましい。
【0036】
本発明のインクジェット用昇華性染料インクにおいて、使用される保湿剤としては、単糖類由来の糖アルコールまたは二糖類由来の糖アルコールが好ましい。単糖類由来の糖アルコールとしては、トレイトール、エリトリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、リキシトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、グリトール、タリトール、ガラクチトール、アリトール、アルトリトール等が挙げられる。二糖類由来の糖アルコールとしては、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール、ツラニトール等が挙げられる。これらの中でも、ソルビトール、キシリトール及びマルチトールは溶解性が良好なことから好ましい。特に溶解性や経済性の点からソルビトールが好ましい。
【0037】
また、前記糖アルコールの含有量は、インクの粘度調整、保湿効果による目詰まり防止の点から、インク全質量に対して5〜30質量%含有するのが好ましく、他の保湿剤と併用する場合は、5〜20質量%が好ましい。
【0038】
また、本発明の目的の達成を妨げない範囲において、保湿剤として、水溶性有機溶剤が使用されてもよい。水溶性有機溶剤としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホランなどが挙げられる。前記糖アルコールと前記水溶性有機溶剤は併用することもできる。
【0039】
上記水溶性有機溶剤のうち、煙状の蒸気の発生が少ない溶剤としてはジグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ポリグリセリン(平均重合度3〜10)が好ましく、ジグリセリン、プロピレングリコールが更に好ましい。
【0040】
これらは、単独でも2種以上混合して使用してもかまわないが、前記糖アルコールと併用して前記水溶性有機溶剤が使用されるのが好ましい。これら前記水溶性有機溶剤の含有量は、インクの粘度調整、保湿効果による目詰まり防止の点から、インクの全質量に対して5〜40質量%が好ましい。より好ましくは10〜40質量%であり、15〜35質量%が特に好ましい。
【0041】
本発明のインクには、その他各種添加剤を本発明の目的の達成を妨げない範囲において、必要に応じて添加することができる。例えば、表面張力調整剤、ヒドロトロープ剤、PH調整剤、粘度調整剤、防腐剤、防かび剤、防錆剤、酸化防止剤、還元防止剤、光安定剤、キレート化剤、消泡剤等である。pH調整剤としては、有機アミン、アルカリ金属水酸化物等を使用することができる。また、消泡剤としては、前記化学式(I)の化合物以外のアセチレングリコール系化合物(日信化学工業株式会社製、商品名“サーフィノール104E”等)が使用できるが、使用量が多くなると、印字濃度が低くなるため、0.01〜0.1質量%が好ましい。
【0042】
本発明のインクジェット用昇華性染料インクの調製方法に特に制限はないが、好ましくは、以下に述べる方法によって調製される。
(1)昇華性染料、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体、水、並びに、必要に応じて保湿剤や前記添加剤を混合して撹拌し、予備分散液を調製し、次いで、
(2)該予備分散液をサンドミル等の湿式媒体ミルで昇華性染料を微粒子化し、分散させ、昇華性染料分散液を得る。
(3)該昇華性染料分散液に、水、前記化学式(I)の化合物、必要に応じて保湿剤や前記添加剤を加え濃度調整した後、濾紙等でろ過してからインクジェット用昇華性染料インクとして使用する。
【0043】
上記方法において、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体は、昇華性染料の分散性を向上させるために、濃度調整時にさらに添加してもよい。上記方法において、保湿剤が糖アルコールの場合は、作業性の点から予め作成した水溶液または市販の水溶液を用いるのが好ましい。上記方法で得られた昇華性染料の平均粒子径は200nm以下が好ましく、より好ましくは50〜150nmである。
【0044】
以上、昇華性染料、保湿剤、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体、前記化学式(I)の化合物、その他の成分について具体例を例示して説明したが、本発明はこれらの具体例に例示されたもののみに限定されるものではない。
【0045】
上述したような本発明のインクジェット用昇華性染料インクを用いて昇華転写染色を行う方法としては、前記インクジェット用昇華性染料インクを用いて転写紙等のシート状記録媒体にインクジェット印刷を行った後、疎水性繊維または樹脂フィルム製品等の被染色対象物に該記録媒体の印刷面を重ねたのち、ホットプレートやオーブン等で加熱して昇華性染料を被染色対象物に昇華転写する方法が採用される。
【0046】
上記方法に使用されるシート状記録媒体としては、普通紙等の非コーティングのシート状記録媒体はもとより、少なくとも親水性ポリマー及び/又は無機多孔質体を含有したコーティング層を有するシート状支持体からなるシート状記録媒体等が挙げられる。
【0047】
被染色対象物としては、昇華転写染色が可能なものであれば、特にその形状や材質は限定されないが、一般的には疎水性繊維布帛または樹脂フィルム、樹脂板等の平面状物が用いられるが、平面状でなく、球状、立方体状物など、立体的な形状の物に適用することも可能である。
【0048】
昇華転写する際の加熱温度は、用いる昇華性染料の種類等によっても異なるので一概に規定しがたいが、通常、150〜220℃程度で、加熱時間は0.1〜10分間程度である。
【0049】
上述したような本発明のインクジェット用昇華性染料インクを用いてインクジェット捺染を行うこともできる。インクジェット捺染方法としては、例えば、以下のようにして行うことができる。まず、前記インクジェット用昇華性染料インクをピエゾ方式インクジェットプリンタにセットして、にじみ防止等の前処理を施したポリエステル布上に吐出して所望の画像を形成することができる。更に、この布を、例えば150〜220℃の温度で加熱処理して、昇華性染料をポリエステル繊維に染色する。その後、必要に応じて未固着の昇華性染料、分散剤等の添加剤及び前処理剤等を還元洗浄及び水洗により除去し、乾燥することにより前記画像の染色物を得ることができる。
【実施例】
【0050】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。尚、下記実施例において"部"は特に断らない限り"質量部"を、また"%"は特に断らない限り"質量%"を示す。
【0051】
(実施例1)
レッド分散染料原体(C.I.Disperse Red 60)100部、アニオン性高分子分散剤として"ジョンクリル63"( スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体アンモニア中和物の30%樹脂水溶液、重量平均分子量=12,500、酸価=213)100部、水300部からなる混合物に直径0.4mmのジルコンビーズ1500部を使用して、サンドミルにて35時間微粒子化して分散液を得た。
【0052】
この分散液25部に、糖アルコールとして"ソルビトールS"(日研化学(株)製、D−ソルビトール70%水溶液)15部、化学式(I)のアセチレングリコール系化合物である"サーフィノール82" (日信化学工業(株)製)1部、ジグリセリン20部、さらに水を39部加え染料濃度を5%に調整したインクを作成した。染料の平均粒径は100nmであった。
【0053】
(実施例2〜4)
"サーフィノール82"を0.2部、1.5部及び1.8部に変更する以外は実施例1と同様にして染料濃度を5%に調整し実施例2〜4のインクを作成した。染料の平均粒径は100nmであった。
【0054】
(実施例5)
レッド分散染料原体に代えて、イエロー分散染料原体(C.I.Disperse Yellow 54)100部を使用する以外は実施例1と同様に微粒子化して分散液を得た。この分散液15部に、"ソルビトールS"15部、"サーフィノール82"1部、ジグリセリン20部、さらに水を49部加え染料濃度を3%に調整したインクを作製した。染料の平均粒径は110nmであった。
【0055】
(実施例6)
レッド分散染料原体に代えて、ブルー分散染料原体(C.I.Disperse Blue 72)100部を使用する以外は実施例1と同様に微粒子化して分散液を得た。この分散液25部に、 "ソルビトールS"15部、"サーフィノール82"1部、ジグリセリン20部、さらに水を39部加え染料濃度を5%に調整したインクを作製した。染料の平均粒径は110nmであった。
【0056】
(実施例7)
レッド分散染料原体に代えて、ブルー分散染料原体(C.I.Disperse Blue 359)100部を使用する以外は実施例1と同様に微粒子化して分散液を得た。この分散液25部に、"ソルビトールS"15部、"サーフィノール82"1部、ジグリセリン20部、さらに水を39部加え染料濃度を5%に調整したインクを作製した。染料の平均粒径は90nmであった。
【0057】
(実施例8)
"ジョンクリル63"67部、水333部を使用して微粒子化する以外は実施例1と同様にして、染料濃度を5%に調整したインクを作製した。染料の平均粒径は100nmであった。
【0058】
(実施例9)
実施例1と同一の方法で作製した分散液5部に、"ソルビトールS"15部、"サーフィノール82"1部、ジグリセリン20部、さらに水を59部加え染料濃度を1%に調整したインクを作成した。染料の平均粒径は100nmであった。
【0059】
(実施例10)
レッド分散染料原体(C.I.Disperse Red 60)100部、"ジョンクリル63"133部、水267部からなる混合物に直径0.4mmのジルコンビーズ1500部を使用して、サンドミルにて35時間微粒子化して分散液を得た。
【0060】
この分散液50部に、"ソルビトールS"15部、"サーフィノール82"1部、ジグリセリン20部、さらに水を14部加え染料濃度を10%に調整したインクを作成した。染料の平均粒径は100nmであった。
【0061】
(実施例11)
アニオン性高分子分散剤として"ジョンクリル61"( スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体アンモニア中和物の30.5%樹脂水溶液、重量平均分子量=12,000、酸価=195)98部、水302部を使用する以外は実施例1と同様に微粒子化して分散液を得た。この分散液25部に、"ソルビトールS"15部、"サーフィノール82"1部、ジグリセリン20部、さらに水を39部加え染料濃度を5%に調整したインクを作製した。染料の平均粒径は100nmであった。
【0062】
(実施例12)
アニオン性高分子分散剤として"ジョンクリル70"( スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体アンモニア中和物の30%樹脂水溶液、重量平均分子量=16,500、酸価=240)100部を使用する以外は実施例1と同様に微粒子化して分散液を得た。この分散液25部に、"ソルビトールS"15部、"サーフィノール82"1部、ジグリセリン20部、さらに水を39部加え染料濃度を5%に調整したインクを作製した。染料の平均粒径は100nmであった。
【0063】
(実施例13)
実施例1と同一の方法で作製した分散液25部に、"ソルビトールS"15部、"サーフィノール82"1部、ジグリセリン20部、アニオン性界面活性剤として“デモールN”(花王(株)製、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩)1.5部,さらに水を37.5部加え染料濃度を5%に調整したインクを作製した。染料の平均粒径は100nmであった。
【0064】
(実施例14)
実施例1と同一の方法で作製した分散液25部に、"ソルビトールS"15部、"サーフィノール82"1部、ジグリセリン20部、アニオン性界面活性剤として"デモール SNB"(花王(株)製、芳香族スルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物)1.5部、さらに水を37.5部加え染料濃度を5%に調整したインクを作製した。染料の平均粒径は100nmであった。
【0065】
(実施例15)
実施例1と同一の方法で作製した分散液25部に、"ソルビトールS"40部、"サーフィノール82"1部、さらに水を34部加え染料濃度を5%に調整したインクを作製した。染料の平均粒径は100nmであった。
【0066】
(実施例16)
実施例1と同一の方法で作製した分散液25部に、"サーフィノール82"1部、ジグリセリン30部、さらに水を44部加え染料濃度を5%に調整したインクを作製した。染料の平均粒径は100nmであった。
【0067】
(実施例17)
実施例1と同一の方法で作製した分散液25部に、"サーフィノール82"1部、プロピレングリコール30部、さらに水を44部加え染料濃度を5%に調整したインクを作製した。染料の平均粒径は100nmであった。
【0068】
(実施例18〜24)
実施例1と同一の方法で作製した分散液25部に、表1〜2に記載の保湿剤を所定量、"サーフィノール82"1部、さらに水を加え染料濃度を5%に調整し、実施例18〜24のインクを作製した。染料の平均粒径は100nmであった。
【0069】
(比較例1〜5)
実施例1の"サーフィノール82"を、それぞれ"サーフィノール104E"(日信化学工業(株)製、アセチレングリコール系化合物)、"サーフィノール465"(日信化学工業(株)製、サーフィノール104のエチレンオキサイド付加体)、"BYK−348"(ビックケミー・ジャパン(株)製、シリコン系界面活性剤)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及び1,2−ヘキサンジオールに変更した以外は、実施例1と同様にして比較例1〜5のインクを作製した。各比較例の染料の平均粒径は100nmであった。
【0070】
(比較例6)
レッド分散染料原体(C.I.Disperse Red 60)100部、アニオン性高分子分散剤として"ジョンクリル57"( スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体アンモニア中和物の37%樹脂水溶液、重量平均分子量=4,900、酸価=215)81部、水319部からなる混合物に直径0.4mmのジルコンビーズ1500部を使用して、サンドミルにて35時間微粒子化して分散液を得た。この分散液25部に、"ソルビトールS"15部、"サーフィノール82"1部、ジグリセリン20部、さらに水を39部加え染料濃度を5%に調整したインクを作製した。染料の平均粒径は110nmであった。
【0071】
(比較例7)
レッド分散染料原体(C.I.Disperse Red 60)100部、分散剤として“デモールN”100部、水300部からなる混合物に直径0.4mmのジルコンビーズ1500部を使用して、サンドミルにて35時間微粒子化して分散液を得た。この分散液25部に、"ソルビトールS"15部、"サーフィノール82"1部、ジグリセリン20部、さらに水を39部加え染料濃度を5%に調整したインクを作製した。染料の平均粒径は120nmであった。
【0072】
(比較例8)
レッド分散染料原体(C.I.Disperse Red 60)100部、分散剤として “デモールN”70部、"ユニトックス480" (平均炭素数30直鎖アルコールのエチレンオキサイド付加物、米国ペトロライト社製)30部、水300部からなる混合物に直径0.4mmのジルコンビーズ1500部を使用して、サンドミルにて35時間微粒子化して分散液を得た。この分散液25部に、"ソルビトールS"15部、"サーフィノール82"1部、ジグリセリン20部、さらに水を39部加え染料濃度を5%に調整したインクを作製した。染料の平均粒径は110nmであった。
【0073】
(比較例9〜12)
実施例10のジグリセリンを、それぞれグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量300)及びジプロピレングリコールに変更した以外は、実施例10と同様にして比較例9〜12のインクを作製した。各比較例の染料の平均粒径は100nmであった。
【0074】
また、上記実施例および比較例で作成したインクについて以下の試験を行った。試験結果を表1〜3に示す。表1〜3における各物質の数値は質量部を示す。表1〜3における各試験の測定方法は次のとおりである。
(1)出射試験:上記実施例および比較例で作製したインクを市販の大判インクジェット用プロッター((株)ミマキエンジニアリング製"JV4−130")を使用して、360×540dpi、3パス、双方向、印字幅1200mmの条件下で、単色・塗りつぶし印刷を10時間行った。印刷後ノズルチェックを行い、全180ノズルのうちの正常出射していないノズルの数を確認した。
評価基準:
A 正常出射していないノズルの数が0〜2。
B 正常出射していないノズルの数が3〜9。
C 正常出射していないノズルの数が10以上。
【0075】
(2)昇華転写染色試験(煙状蒸気の発生状況):上記実施例および比較例で作製したインクを市販のインクジェット印刷用昇華転写紙(キモト株式会社製“CT−JET100”)に、前記大判インクジェット用プロッター(ピエゾ方式、(株)ミマキエンジニアリング製"JV4−130")により、360×540dpi、3パス、双方向の条件で、縦300mm、横400mmの単色・塗りつぶし印刷を行い、印字後ポリエステル布に重ねて、ホットプレートにて200℃で1分間加熱圧着し、転写染色を行った。その際の煙状蒸気の発生状況を目視にて確認した。
評価基準:
A 煙状の蒸気の発生は認められない。
B 少し、煙状の蒸気の発生が認められる。
C かなり、煙状の蒸気の発生が認められる。
【0076】
(3)昇華転写染色試験(濃度感):上記実施例および比較例で作製したインクを市販のインクジェット印刷用昇華転写紙(キモト株式会社製“CT−JET100”)に、前記大判インクジェット用プロッター(ピエゾ方式、(株)ミマキエンジニアリング製"JV4−130")により、360×540dpi、3パス、双方向の条件で、縦300mm、横400mmの単色・塗りつぶし印刷を行い昇華転写紙の印字濃度を目視で確認した。次いで前記昇華転写紙をポリエステル布に重ねて、ホットプレートにて200℃で1分間加熱圧着し、転写染色を行い、染色布の濃度感を目視にて確認した。
評価基準:
A 昇華転写紙の印字濃度が高く、転写染色布の染色濃度が高い。
B 少し、昇華転写紙の印字濃度が低く、転写染色布の染色濃度が低い。
C かなり、昇華転写紙の印字濃度が低く、転写染色布の染色濃度が低い。
【0077】
(4)昇華捺染染色試験(濃度感):上記実施例および比較例で作製したインクを市販のインクジェット印刷用前処理済みポリエステル布(株式会社大力製“大力スーパーポンジ”)に、大判インクジェット用プロッター(ピエゾ方式、(株)ミマキエンジニアリング製"TX2−160")により、360×540dpi、3パス、双方向の条件で、縦300mm、横400mmの単色・塗りつぶし印刷を行い、ホットプレートにて200℃で1分間加熱圧着し、染色を行った。得られた染色布の濃度感を目視にて確認した。
評価基準:
A 染色布の染色濃度が高い。
B 少し、染色布の染色濃度が低い。
C かなり、染色布の染色濃度が低い。
【0078】
(5)経時安定性確認試験 実施例および比較例で作成した昇華転写用インクジェット記録用インクを40℃で1ヶ月間保管して、凝集物(沈降物)の発生状況を目視で確認した。
評価基準:
A 凝集物の発生なし。
B 少し、凝集物が発生している。
C 多量の凝集物が発生している。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
これらの試験結果から明らかなように、本発明の実施例1〜24の“ジョンクリル63”及び“サーフィノール82”を含むインクは、安定した記録性能、インクの保存安定性、被記録媒体表面への高印字濃度、染色工程時の環境汚染の低減を兼ね備えたものであった。“サーフィノール82”を“サーフィノール104E”、“サーフィノール465”、“BYK−348”、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオールに置き換えた比較例1乃至5のインクは、安定した記録性能は有していたが、被記録媒体に対して浸透した結果印字濃度が低く、またインクの保存安定性は悪いものであった。“ジョンクリル63”を低分子量の“ジョンクリル57”に置き換えた比較例6のインクはインクの保存安定性が十分ではなかった。“ジョンクリル63”を“デモールN”に置き換えた比較例7のインクは被記録媒体に対して浸透した結果印字濃度が低く、またインクの保存安定性は悪いものであった。“ジョンクリル63”を“デモールN”に置き換え、さらに“ユニトックス480”を添加した比較例8のインクは被記録媒体に対して浸透した結果印字濃度が低いものであった。保湿剤としてグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量300)、ジプロピレングリコールを使用した比較例9乃至12のインクは安定した記録性能、インクの保存安定性、被記録媒体表面への高印字濃度は兼ね備えていたが、染色工程時の環境汚染の観点ではかなり劣るものであった。