(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記水溶性有機溶剤は、グリセリン、ジエチレングリコール及びジプロピレングリコールから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用インク。
請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェット捺染用インクを使用して、疎水性繊維材料からなる布帛にインクジェット印刷を行った後、加熱するインクジェット捺染方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明者らは、インクジェットヘッドにおけるノズルの目詰まりを起こしにくい信頼性の優れたインクジェット捺染用インクについて、布帛表面への印字濃度が高いインク組成物を得るために、分散染料の分散剤及び浸透剤について検討した結果、特定のアニオン性高分子分散剤及び特定の浸透剤を選択することで前記目的を達成することができることを見出し、本発明に至った。
【0016】
本発明で使用するアニオン性高分子分散剤は、酸価が160〜250mgKOH/gであり、重量平均分子量が8,000〜20,000であるスチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体である。本発明の1つの特徴は、分散染料の分散剤として前記アニオン性高分子分散剤を使用することである。前記アニオン性高分子分散剤は、分散染料を微粒子化して水性媒体中に分散させるものであり、微粒子化した分散染料の分散安定性を保持する機能も発揮される。
【0017】
前記スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体としては、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−αメチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−αメチルスチレン−メタクリル酸共重合体等を挙げることができる。
【0018】
本発明で用いる前記スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体は、その酸価が160〜250であり、200〜250の範囲にあるものが好ましい。酸価が160未満の場合、水に対する樹脂の溶解性が悪くなり、また分散染料に対する分散安定化力が劣る傾向にあり、酸価が250を越えると、水性媒体との親和性が強くなり、印字後の画像ににじみが発生し易い傾向があり好ましくない。樹脂の酸価は、樹脂1gを中和するのに要するKOHのmg数を表し、JIS−K3054に従って測定する。
【0019】
また、前記スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体の重量平均分子量は、8,000〜20,000であり、10,000〜18,000のものが好ましい。重量平均分子量が8,000よりも小さくなると、分散染料に対する分散安定化力が低下する、20,000より大きくなると、分散染料を分散する能力が低下し、またインクの粘度が高くなりすぎる場合があり好ましくない。前記スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミッションクロマトグラフ)法で測定する。
【0020】
前記スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体はフレーク状または水溶液状のものが市販されており、取り扱いの観点から水溶液状のものが好ましく使用される。具体例としては、BASFジャパン株式会社製の、“ジョンクリル60"(重量平均分子量=8,500、酸価=215)、“ジョンクリル62"(重量平均分子量=8,500、酸価=200)、“ジョンクリル63"(重量平均分子量=12,500、酸価=213)、“ジョンクリル70"(重量平均分子量=16,500;酸価=240)、“HPD−71"(重量平均分子量=17,250;酸価=214)、“HPD−96"(重量平均分子量=16,500;酸価=240)が挙げられる。
【0021】
これらアニオン性高分子分散剤の含有量は、分散染料の分散安定性を良好に保つ目的から、インクの全質量に対して0.2〜4質量%が好ましい。また、これらアニオン性高分子分散剤の含有量は、昇華性染料の分散安定性を良好に保つ目的から、分散染料に対して20〜40質量%が好ましく、20〜30質量%がより好ましい。
【0022】
本発明のもう1つの特徴は、浸透剤として、前記化学式(I)で示されるアセチレングリコール系化合物を含有することである。上記化学式(I)の化合物の化学式名は3,6−ジメチル−4−オクチン− 3,6−ジオールであり、市販品としては、日信化学工業株式会社から“サーフィノール82”として販売されている。
【0023】
一般的に、アセチレングリコール系化合物としては、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、4 ,7− ジメチル− 5 − デシン− 4 , 7 −ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4 ,7−ジオー
ル、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、並びに、該2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、該4 ,7− ジメチル−5−デシン−4 ,7 −ジオール、該2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン− 4,7−ジオールおよび該3 ,6−ジメチル−4− オクチン−3 ,6−ジオールのそれぞれに対してエチレンオキシ基および/ またはプロピレンオキシ基が付加したものを挙げることができ、これらは、“サーフィノール82”、104、420、440、465、485(日信化学工業株式会社製)等として市販されているが、本発明の分散染料インクには、前記化学式(I)の化合物である3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール(“サーフィノール82”)を使用する。
【0024】
分散染料の分散剤として前記アニオン性高分子分散剤を選択し、浸透剤として化学式(I)の化合物を選択することで、疎水性繊維材料からなる布帛表面の印字濃度が高いインク組成物を得ることができる。
【0025】
この場合、前記アニオン性高分子分散剤と他の前記アセチレングリコール系化合物との組み合わせでは、浸透性が高いインク組成物となるため布帛表面の印字濃度を高くすることができない。前記化学式(I)の化合物は、浸透効果が他の前記アセチレングリコール系化合物に比べて緩やかであるため、布帛へのインクの浸透性も緩やかとなり、分散染料が表面近くにとどまるため布帛の表面濃度が高くなると考えられる。
【0026】
また、他の前記アセチレングリコール系化合物を使用すると、インクの保存安定性が悪くなるが、前記化学式(I)の化合物の場合は、インクの保存安定性も良好である。
【0027】
前記化学式(I)の化合物の含有量は、インクへの溶解性及び布帛への緩やかな浸透性を維持する観点からインク全質量に対して、0.1〜2.0質量%が好ましい。より好ましくは、0.1〜1.5質量%であり、さらに好ましくは0.2〜1.0質量%である。
【0028】
本発明で使用する分散染料としては、例えば、アゾ、アントラキノン、キノフタロン、スチリル、オキサジン、キサンテン、メチン、アゾメチン等の染料がある。これらの内、イエロー系分散染料の例としては、"C.I.Disperse Yellow 42",51,54,60,64,65,71,82,98,114,119,149,160,163,201,211などが挙げられる。オレンジ系分散染料の例としては、"C.I.Disperse Orange 25",29,30,31,32,33,44,61,62,73,155,288などが挙げられる。レッド系分散染料の例としては、"C.I.Disperse Red 4",22,50,55,59,60,73,86,91,92,145,146,152,153,167,167:1,177,179,191,227,258,302,343などが挙げられる。ブルー系分散染料の例としては、"C.I.Disperse Blue 14",27,56,60,72,73,77,79,79:1,148,165,165:1,183:1,214,281,284,291,291:1,301,334,359,360,366,367などが挙げられる。その他の分散染料の例としては、"C.I.Disperse Violet 26",27,28,57,93等が挙げられる。上記以外の他の種属の染料として"C.I.Solvent Yellow 160",163,"C.I. Vat Red 41"等が挙げられる。
【0029】
これらの中でも、"C.I.Disperse Yellow 42",51,65,98,114,119,149,160,163,201,211,"C.I.Disperse Orange 29",30,31,32,33,44,61,62,73,155,"C.I.Disperse Red 50",59,73,86,91,92,145,152,153,167,167:1,177,179,191,227,258,343,"C.I.Disperse Blue 27", 60,73,77,79,79:1,148,165,165:1,183:1,214,281,284,291,291:1,301,366,367,"C.I.Disperse Violet 26",27, 57,93,"C.I.Solvent Yellow 160",163,"C.I. Vat Red 41"が好ましい。
【0030】
これら分散染料の含有量は、一般的に、分散安定性を保ち、且つ必要な印字濃度が得られることから、インクの全質量に対して0.2〜12質量%が好ましい。より好ましくは0.5 〜10質量%である。
【0031】
本発明において、本発明で使用するアニオン性高分子分散剤は、分散染料を微粒子化して水性媒体中に分散させるものであり、微粒子化した分散染料の分散安定性を保持する機能も発揮される。
【0032】
さらに、インクの調製時に、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、などを使用することができる。特に、分散染料の分散安定性をより向上するためにアニオン性界面活性剤をインク全質量に対して0.1〜3質量%含有するのが好ましい。
【0033】
アニオン性界面活性剤としては、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、リグニンスルホン酸塩類、芳香族スルホン酸塩のホルマリン縮合物(ブチルナフタレン等のアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムとナフタレンスルホン酸ナトリウムとのホルマリン縮合物、クレゾールスルホン酸ナトリウムと2ナフトール−6−スルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、クレゾールスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、クレオソート油スルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物等)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等が挙げられる。これらの中でも、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、芳香族スルホン酸塩のホルマリン縮合物が好ましい。
【0034】
本発明で使用できる水溶性有機溶剤としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホランなどが挙げられる。
【0035】
上記水溶性有機溶剤のうち、保湿性能の観点からグリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量200〜600)、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールが好ましく、グリセリン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールが更に好ましい。これらの中でも特にグリセリンが好ましい。これらは、単独でも2種以上混合して使用してもかまわない。
【0036】
これら前記水溶性有機溶剤の含有量は、インクの粘度調整、保湿効果による目詰まり防止の点から、インクの全質量に対して25〜50質量%が好ましい。より好ましくは30〜45質量%であり、30〜40質量%が特に好ましい。
【0037】
本発明のインクには、その他各種添加剤を本発明の目的の達成を妨げない範囲において、必要に応じて添加することができる。例えば、表面張力調整剤、ヒドロトロープ剤、pH調整剤、粘度調整剤、防腐剤、防かび剤、防錆剤、酸化防止剤、還元防止剤、光安定剤、キレート化剤、消泡剤等である。
【0038】
pH調整剤としては、有機アミン、アルカリ金属水酸化物等を使用することができる。また、消泡剤としては、前記化学式(I)の化合物以外のアセチレングリコール系化合物(日信化学工業株式会社製商品名“サーフィノール104E"等)が使用できるが、使用量が多くなると、印字濃度が低くなるため、0.01〜0.1質量%が好ましい。
【0039】
本発明のインクジェット捺染用インクの調製方法に特に制限はないが、好ましくは、以下に述べる方法によって調製される。
(1)分散染料、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体、水、並びに、必要に応じて水溶性有機溶剤や前記添加剤を混合して撹拌し、予備分散液を調整し、次いで、
(2)該予備分散液をサンドミル等の湿式媒体ミルで分散染料を微粒子化し、分散させ、分散染料分散液を得る。
(3)該分散染料分散液に、水、前記化学式(I)の化合物、必要に応じて水溶性有機溶剤や前記添加剤を加え濃度調整した後、濾紙等でろ過してからインクジェット捺染用インクとして使用する。
【0040】
上記方法において、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体は、分散染料の分散性を向上させるために、濃度調整時にさらに添加してもよい。上記方法で得られた分散染料の平均粒子径は200nm以下が好ましく、より好ましくは50〜150nmである。
【0041】
以上、分散染料、水溶性有機溶剤、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体、前記化学式(I)の化合物、その他の成分について具体例を例示して説明したが、本発明はこれらの具体例に例示されたもののみに限定されるものではない。
【0042】
上述したような本発明のインクジェット捺染用インクを用いてインクジェット捺染を行う方法としては、例えば、以下のようにして行うことができる。まず、前記インクジェット捺染用インクをピエゾ方式インクジェットプリンタにセットして、にじみ防止等の前処理を施したポリエステル布上に吐出して所望の画像を形成することができる。更に、この布を、例えば150〜220℃の温度で1〜15分間加熱処理して、分散染料をポリエステル繊維に染色する。その後、未固着の分散染料、分散剤等の添加剤及び前処理剤等を還元洗浄及び水洗により除去し、乾燥することにより前記画像の染色物を得ることができる。
【実施例】
【0043】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。尚、下記実施例において"部"は特に断らない限り"質量部"を、また"%"は特に断らない限り"質量%"を示す。
【0044】
(実施例1)
レッド分散染料原体(C.I.Disperse Red 92)100部、アニオン性高分子分散剤として"ジョンクリル63"( スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体アンモニア中和物の30%樹脂水溶液、重量平均分子量=12,500、酸価=213)100部、水300部からなる混合物に直径0.4mmのジルコンビーズ1500部を使用して、サンドミルにて35時間微粒子化して分散液を得た。
【0045】
この分散液40部に、グリセリン35部、化学式(I)のアセチレングリコール系化合物である"サーフィノール82"(日信化学工業(株)製)1部、さらに水を24部加え染料濃度を8%に調整したインクを作成した。染料の平均粒径は100nmであった。
【0046】
(実施例2〜4)
"サーフィノール82"を0.2部、1.5部及び1.8部に変更する以外は実施例1と同様にして染料濃度を8%に調整し、実施例2〜4のインクを作成した。染料の平均粒径は100nmであった。
【0047】
(実施例5)
レッド分散染料原体に代えて、イエロー分散染料原体(C.I.Disperse Yellow 65)100部を使用する以外は実施例1と同様に微粒子化して分散液を得た。この分散液20部に、グリセリン35部、"サーフィノール82"1部、さらに水を44部加え染料濃度を4%に調整したインクを作製した。染料の平均粒径は90nmであった。
【0048】
(実施例6)
レッド分散染料原体に代えて、ブルー分散染料原体(C.I.Disperse Blue 60)100部を使用する以外は実施例1と同様に微粒子化して分散液を得た。この分散液40部に、 グリセリン35部、"サーフィノール82"1部、さらに水を24部加え染料濃度を8%に調整したインクを作製した。染料の平均粒径は110nmであった。
【0049】
(実施例7)
レッド分散染料原体に代えて、ブルー分散染料原体(C.I.DisperseBlue 165)100部を使用する以外は実施例1と同様に微粒子化して分散液を得た。この分散液20部に、グリセリン35部、"サーフィノール82"1部、さらに水を44部加え染料濃度を4%に調整したインクを作製した。染料の平均粒径は90nmであった。
【0050】
(実施例8)
"ジョンクリル63"67部、水333部を使用して微粒子化する以外は実施例1と同様にして、染料濃度を8%に調整したインクを作製した。染料の平均粒径は100nmであった。
【0051】
(実施例9)
実施例1と同一の方法で作製した分散液10部に、グリセリン35部、"サーフィノール82"1部、さらに水を54部加え染料濃度を2%に調整したインクを作成した。染料の平均粒径は100nmであった。
【0052】
(実施例10)
レッド分散染料原体(C.I.Disperse Red 92)100部、"ジョンクリル63"133部、水267部からなる混合物に直径0.4mmのジルコンビーズ1500部を使用して、サンドミルにて35時間微粒子化して分散液を得た。この分散液50部に、グリセリン35部、"サーフィノール82"1部、さらに水を14部加え染料濃度を10%に調整したインクを作成した。染料の平均粒径は100nmであった。
【0053】
(実施例11)
アニオン性高分子分散剤として"ジョンクリル61"( スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体アンモニア中和物の30.5%樹脂水溶液、重量平均分子量=12,000、酸価=195)98部、水302部を使用する以外は実施例1と同様に微粒子化して分散液を得た。この分散液40部に、グリセリン35部、"サーフィノール82"1部、さらに水を24部加え染料濃度を8%に調整したインクを作製した。染料の平均粒径は100nmであった。
【0054】
(実施例12)
アニオン性高分子分散剤として"ジョンクリル70"( スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体アンモニア中和物の30%樹脂水溶液、重量平均分子量=16,500、酸価=240)100部を使用する以外は実施例1と同様に微粒子化して分散液を得た。この分散液40部に、グリセリン35部、"サーフィノール82"1部、さらに水を24部加え染料濃度を8%に調整したインクを作製した。染料の平均粒径は100nmであった。
【0055】
(実施例13)
実施例1と同一の方法で作製した分散液40部に、グリセリン35部、"サーフィノール82"1部、アニオン性界面活性剤として“デモールN”(花王(株)製、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩)1.5部、さらに水を22.5部加え染料濃度を8%に調整したインクを作製した。染料の平均粒径は100nmであった。
【0056】
(実施例14)
実施例1と同一の方法で作製した分散液40部に、グリセリン35部、"サーフィノール82"1部、アニオン性界面活性剤として"デモール SNB"(花王(株)製、芳香族スルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物)1.5部、さらに水を22.5部加え染料濃度を8%に調整したインクを作製した。染料の平均粒径は100nmであった。
【0057】
(実施例15)
実施例1と同一の方法で作製した分散液40部に、グリセリン25部、"サーフィノール82"1部、さらに水を34部加え染料濃度を8%に調整したインクを作製した。染料の平均粒径は100nmであった。
【0058】
(実施例16)
実施例1と同一の方法で作製した分散液40部に、グリセリン50部、"サーフィノール82"1部、さらに水を9部加え染料濃度を8%に調整したインクを作製した。染料の平均粒径は100nmであった。
【0059】
(参考例1〜3,実施例17〜22)
実施例1と同一の方法で作製した分散液40部に、表2に記載のグリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量300)、ジプロピレングリコールを所定量、"サーフィノール82"1部、さらに水を24部加え染料濃度を8%に調整したインクを作製した。染料の平均粒径は100nmであった。なお参考例1〜3は技術情報として開示する。
【0060】
(比較例1〜5)
実施例1の"サーフィノール 82"を、それぞれ"サーフィノール104E"(日信化学工業(株)製、アセチレングリコール系化合物)、"サーフィノール465"(日信化学工業(株)製、“サーフィノール104”のエチレンオキサイド付加体)、"BYK−348"(ビックケミー・ジャパン(株)製、シリコン系界面活性剤)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル及び1,2−ヘキサンジオールに変更した以外は、実施例1と同様にして比較例1〜5のインクを作製した。各比較例の染料の平均粒径は100nmであった。
【0061】
(比較例6)
レッド分散染料原体(C.I.Disperse Red 92)100部、アニオン性高分子分散剤として"ジョンクリル57"( スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体アンモニア中和物の37%樹脂水溶液、重量平均分子量=4,900、酸価=215)81部、水319部からなる混合物に直径0.4mmのジルコンビーズ1500部を使用して、サンドミルにて35時間微粒子化して分散液を得た。この分散液40部に、グリセリン35部、"サーフィノール82"1部、さらに水を24部加え染料濃度を8%に調整したインクを作製した。染料の平均粒径は120nmであった。
【0062】
(比較例7)
レッド分散染料原体(C.I.Disperse Red 92)100部、分散剤として“デモールN”100部、水300部からなる混合物に直径0.4mmのジルコンビーズ1500部を使用して、サンドミルにて35時間微粒子化して分散液を得た。この分散液40部に、グリセリン35部、"サーフィノール82"1部、さらに水を24部加え染料濃度を8%に調整したインクを作製した。染料の平均粒径は120nmであった。
【0063】
(比較例8)
レッド分散染料原体(C.I.Disperse Red 92)100部、分散剤として “デモールN”70部、"ユニトックス480" (平均炭素数30直鎖アルコールのエチレンオキサイド付加物、米国ペトロライト社製)30部、水300部からなる混合物に直径0.4mmのジルコンビーズ1500部を使用して、サンドミルにて35時間微粒子化して分散液を得た。この分散液40部に、グリセリン35部、"サーフィノール82"1部、さらに水を24部加え染料濃度を8%に調整したインクを作製した。染料の平均粒径は100nmであった。
【0064】
また、上記実施例および比較例で作成したインクについて以下の試験を行った。
(1)出射試験
上記実施例および比較例で作製したインクを市販の大判インクジェット用プロッター((株)ミマキエンジニアリング製"JV4−130")を使用して、360×540dpi、3パス、双方向、印字幅1200mmの条件下で、単色・塗りつぶし印刷を10時間行った。印刷後ノズルチェックを行い、全180ノズルのうちの正常出射していないノズルの数を確認した。
評価基準:
A 正常出射していないノズルの数が0〜2。
B 正常出射していないノズルの数が3〜9。
C 正常出射していないノズルの数が10以上。
【0065】
(2)捺染染色試験(濃度感)
上記実施例および比較例で作製したインクを市販のインクジェット印刷用前処理済みポリエステル布(株式会社大力製、“大力スーパーポンジ”)に、大判インクジェット用プロッター(ピエゾ方式、(株)ミマキエンジニアリング製"TX2−160")により、360×540dpi、3パス、双方向の条件で、縦300mm、横400mmの単色・塗りつぶし印刷を行い、H.T.スチーマーにて175℃にて8分間加熱して染色を行い、次いで還元洗浄、水洗を施し、染色布を得た。得られた染色布の濃度感を目視にて確認した。
評価基準:
A 染色布の染色濃度が高い。
B 少し、染色布の染色濃度が低い。
C かなり、染色布の染色濃度が低い。
【0066】
(3)経時安定性確認試験
実施例および比較例で作成した昇華転写用インクジェット記録用インクを40℃で1ヶ月間保管して、凝集物(沈降物)の発生状況を目視で確認した。
評価基準:
A 凝集物の発生なし。
B 少し、凝集物が発生している。
C 多量の凝集物が発生している。
【0067】
試験結果を表1〜3に示す。表1〜3における各物質の数値は質量部を示す。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】
これらの試験結果から明らかなように、本発明の実施例1〜22の“ジョンクリル63”及び“サーフィノール82”を含むインクは、安定した記録性能、インクの保存安定性、染色布表面への高印字濃度を兼ね備えたものであった。“サーフィノール82”を“サーフィノール104E”、“サーフィノール465”、“BYK−348”、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオールに置き換えた比較例1乃至5のインクは、安定した記録性能は有していたが、染色布に対して浸透した結果印字濃度が低く、またインクの保存安定性は悪いものであった。“ジョンクリル63”を低分子量の“ジョンクリル57”に置き換えた比較例6のインクはインクの保存安定性が十分ではなかった。“ジョンクリル63”を“デモールN”に置き換えた比較例7のインクは染色布に対して浸透した結果印字濃度が低く、またインクの保存安定性は悪いものであった。“ジョンクリル63”を“デモールN”に置き換え、さらに“ユニトックス480”を添加した比較例8のインクは染色布に対して浸透した結果印字濃度が低いものであった。