【文献】
Journal of Immunological Methods,2005年,Vol. 307, No. 1-2,p. 24-33
【文献】
"CTS (TM) AIM V (R) Medium",Thermo Fisherホームページ,(2015年8月24日入手(URL:http://www.thermofisher.com/order/catalog/product/0870112BK?ICID=search-product))
【文献】
"Data Sheet: CellGro/CellGenix GMP Serum-free Stem Cell Growth Medium (SCGM) Xeno-free",岩井化学薬品株式会社ホームページ,2011年 5月16日,(2015年8月24日入手(URL:http://www.iwai-chem.co.jp/products/cellgenix/20802-0500.pdf))
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(iv)段階の浮遊培養は振盪フラスコ、振盪培養器、発酵槽、T−フラスコ及び使い捨ての細胞培養バックからなる群より選択される反応器を用いて行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
前記(ii)または前記(iii)段階の静置培養及び前記(iv)段階の静置または浮遊培養は同じ反応器または相異な反応器で行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
前記(iv)段階の静置または浮遊培養の間に、細胞濃度及びサイトカイン濃度を測定し、サイトカインを含む培地を添加することにより細胞濃度及びサイトカイン濃度を一定に維持することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
癌治療のために、手術、放射線治療、化学療法などの様々な治療法が開発されて用いられているが、癌の種類や患者の状態によっては、上記の治療法の適用が困難である場合があり、再発可能性が高いという欠点がある。
【0003】
したがって、患者の免疫機能を用いた免疫療法(immunotherapy)に対する関心が高まっている。免疫療法は、様々な機能を有する免疫細胞の複雑な相互作用により腫瘍が除去される特性を利用した治療法である。癌細胞を直接除去する免疫細胞としては、NK細胞や細胞傷害性Tリンパ球(cytotoxic T lymphocyte;CTL)などが挙げられ、これらエフェクター細胞(effector cell)に抗原を提示する抗原提示細胞(antigenpresenting cell)としては、樹状細胞(dendritic cell;DC)やB細胞が挙げられ、その他に、各種サイトカインを分泌するヘルパーT細胞(Helper T cell;Th cell)、調節性T細胞(Regulatory T cell;Treg cell)などがともに関与する。これらのうちNK細胞は、免疫細胞治療法で最も効果が速く、且つ効率的な免疫細胞として重要視されている。
【0004】
NK細胞は、血球細胞の約10%程度を占めており、免疫反応において重要な役割をするリンパ球系細胞の一つである。NK細胞は、諸機能を果たすことができるが、特に、癌細胞や外部から侵入した病原菌に感染された細胞などを殺す能力を有していて、腫瘍化したかまたは腫瘍化が進んでいる異常細胞を除去する役割をする。
【0005】
正常な状態で体内に存在する大部分のNK細胞は不活性化状態で存在する。しかし、実際にNK細胞を治療用途に用いるためには、活性化されたNK細胞が必要であるため、正常血液からまたは不活性化した患者血液からNK細胞を活性化させる研究が活発に行われている。
【0006】
体外でNK細胞を活性化させることで達成される、NK細胞の高い細胞毒性(cytotoxicity)によるNK細胞の免疫細胞治療の可能性が確認されている。体外で活性化されたNK細胞を、様々な種類の癌、特に白血病などの血液癌(blood cancer)を対象として、同種骨髄移植後に投与することで、その治療効果が確認されたという報告(Blood Cells Molecules&Disease,33:p261−266,2004)があるが、血液癌でなく固形癌(solid cancer)に対しては、臨床的に確実な治療効果が未だに立証されていない。具体的に、NK細胞を腫瘍が生じる前から投与することで、腫瘍の生着を抑えることができるという報告があるが(Cancer Immunol.Immunother.,56(11):p1733−1742,2007)、適した治療モデルとはいえず、腹腔内にNK細胞を投与することで乳癌細胞の成長を阻害した動物実験結果もあるが、NK細胞による効果であるかが不明である(Breast Cancer Res.Treatment,104(3):p267−275,2007)。
【0007】
一方、上記のような癌や感染性疾患の治療剤としてのNK細胞の可能性にもかかわらず、体内に存在するNK細胞の数は多くない。そのため、NK細胞を治療用途に使用できる程度の十分な効能を保持しながらも、大量に生産することができる技術が必須であるが、NK細胞は、インビトロで大量増殖及び培養が十分になされない。したがって、NK細胞を実際に有用な水準に増幅及び培養するための技術に対する関心が高まっており、多くの研究が行われているが、臨床に適用可能な水準には未だに達していない。
【0008】
NK細胞の培養に、既存のT細胞増殖/活性に用いられていたIL−2だけでなく、IL−15(J.Immunol.,167(6):p3129−3138,2001;Blood,106(1):p158−166,2005,韓国特許出願公開第2009−0121694号公報)、LPS(J.Immunol.,165(1):p139−147,2000)、CD3を刺激するOKT−3抗体(Experimental Hematol.,29(1):p104−113,2001)を用いる研究が行われてきたが、これらは、従来から用いられてきたIL−2の使用の変形及び発展の形態で新たな増殖物質を見出したものにすぎず、画期的な増殖方法は提示していない。通常、IL−2またはその他のサイトカイン及び化合物を用いたNK細胞培養では、初期NK細胞に比べ3〜10倍程度しか細胞数が増加されないと知られている。
【0009】
一部の研究者らにより、腫瘍細胞株を支持細胞(feeder cell)として用いてNK細胞を増幅させた例も報告されたことがある。白血病細胞株であるCTV−1を用いた場合には、増殖の改善が殆どなく(J.Immunol.,178(1):p85−94,2007)、EBV−LCLを用いて21日間培養した場合には、平均490倍程度に増殖されたと報告されている(Cytotherapy,11(3):p341−355,2009)。また、K562細胞株に4−1BBLと膜結合(membrane−bound)されたIL−15を発現させた人工抗原提示細胞(artificial APC(antigenpresenting cell))を用いて3週間培養した結果、平均277倍に増加されて、インビトロ及びインビボで高い細胞毒性を示したが、細胞死滅による制限された増殖を示した(Cancer Res.,69(9):p4010−4017,2009)。近年、MICA、4−1BBL、及びIL−15をK562細胞株に発現させ、3週間培養することで、平均350倍に増殖させたという報告もあり(Tissue Antigens,76(6):p467−475、2010)、K562細胞株に膜結合されたIL−21を発現させ、7日間隔で再刺激しながら2週間培養することで、平均21,000倍に増殖させたという報告もあった。しかし、上記の全ての報告は、癌細胞株を支持細胞として用いるなど、臨床適用において重要な安全性を保障するには適していない方法を利用しており、正常細胞でなく特定癌細胞株を支持細胞として用いるため、特定癌細胞に対するプライミング(priming)特異性が付与されたNK細胞であるという限界がある。
【0010】
NK細胞の分離過程を経ずに末梢血リンパ球細胞(peripheral blood lymphocyte;PBL)からNK細胞を選択的に増幅させる方法により得られた細胞は、純粋なNK細胞群に比べ細胞殺傷能が劣り、純粋なNK細胞だけでなくT−細胞も存在するため、自己MHC分子により自己と非自己を認識するT細胞を除去しない限り、自己移植に限定されるしかないという問題点がある。近年、NK細胞のみを精製した後、支持細胞を用いながら適切な刺激を与えて増幅させる方法や、全体PBLまたは末梢血単核球細胞(peripheral blood mononuclear cell;PBMC)を用いてNK細胞を選択的に増幅する方法などが開発されており、抗−CD3抗体及びインターロイキンが含有された培地を用いて、末梢血リンパ球細胞の存在下でNK細胞を培養する工程を含むNK細胞の培養方法が開発されて報告されている(韓国特許出願公開第2010−0011586号公報)。同種に適用するための一般的増殖過程はCD3+T細胞の磁性除去及びCD56+NK細胞増殖という二つ連続的な段階から始まる。NK細胞増殖を刺激するため、PBMCs(Cytotherapy 12:750−763,2010),EBV−LCLs[Epstein−Barr virus−transformed lymphoblastoid cell line]のような不活性化支持細胞がしょっちゅう使用される。不活性化支持細胞は体液性因子及び直接的な細胞間の接触を通じてNK細胞を刺激する[Blood 80:2221−2229,1992]。
本発明の本出願の発明者らは、臨床的使用のため健康な支援者らから収得したNK細胞を大量増殖及び活性化するための簡単で効率的な方法を打ち立てた。CD3+T細胞を磁性除去する段階を経てT細胞が除去されたPBMCsを刺激してOKT3及びIL−2存在下で反復的に不活性化支持細胞と共に増殖した結果、同種目的のため、望ましい高純度のCD3−CD16+CD56+NK細胞集団を製造した。
【0011】
一方、アルブミンは、細胞の基本物質を構成するタンパク質の一つであり、自然状態で存在する単純タンパク質のうち分子量が最も少ない。一般に、生物学的製剤の保存剤として使用される場合はあるが、NK細胞の安全性を高めるために使用された報告は全くない。
【0012】
上述のように様々なNK細胞の培養方法が開発されてきたが、依然として、免疫細胞治療に適用するに十分な数のNK細胞を、臨床適用に適した方法で、安全で且つ安定的に培養及び増殖できる方法、及び生産されたNK細胞を長期間にわたって安定して保存し、必要な時期に供給できる技術に対する需要が強く要求されている状況である。特に、生きているNK細胞を治療用として用いるためには、その活性が維持される期間、すなわち、有効期間が数日に過ぎないという欠点を解決するべきであるが、NK細胞を培養して製造した後、凍結保存し、必要な時に解凍して提供することで、免疫細胞の活用を画期的に改善することができる技術に対する需要も強く要求されている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
特に定義されない限り、本明細書で用いられた全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の熟練した当業者が通常的に理解しているものと同一の意味を有する。一般に本明細書で用いられた命名法は、本技術分野において公知であり、通常的に用いられるものである。
【0018】
本発明によるNK細胞の製造方法は、T細胞が除去された単核球細胞を、サイトカインを含有する培地で抗−CD3抗体及び支持細胞を用いて刺激した後、数日間静置培養することで細胞間接触を刺激し、細胞濃度及びサイトカイン濃度を一定に維持しながらNK細胞反応器で静置または浮遊培養を繰り返すことを含む。増加された含量のNK細胞を収得するため、以降の静置または浮遊培養の前に刺激及び静置培養を繰り返して行うことができる。本発明の方法により製造されたNK細胞は、高い細胞生存率及び細胞殺傷能を保持するため、腫瘍及び感染性疾患に対して高い治療効果を示し、高効率及び高濃度で体外培養が可能である。
【0019】
本発明によれば、最初刺激後の静置培養は、約2〜15日間、好ましくは5〜10日間行われ、再刺激後の静置培養は、約2〜7日間、好ましくは3〜5日間行われる。また、静置培養が完了した後には、サイトカインの濃度を一定に維持しながら浮遊培養器で培養することが好ましい。
【0020】
本発明によるNK細胞の製造方法は、特に制限されないが、例えば、下記の段階を含んで行われることができる。
【0021】
(i)ヒト末梢血から末梢血リンパ球細胞及びNK細胞を分離する段階;
(ii)分離したNK細胞を抗−CD3抗体及びサイトカインが含有された培地に入れた後、支持細胞を添加して刺激し、細胞間接触が起こるように2〜15日間、好ましくは5〜10日間静置培養する段階;
(iii)(ii)段階の静置培養が完了した後、サイトカイン、抗−CD3抗体及び支持細胞を添加して再刺激し、細胞間接触が起こるように2〜7日間、好ましくは3〜5日間さらに静置培養する段階;
(iv)静置培養が完了した後、浮遊培養のために必要なサイトカインなどが含有された培地を追加し、細胞濃度及びサイトカイン濃度を一定に維持しながら浮遊培養する段階。
【0022】
前記NK細胞の製造方法において、必要に応じて、段階(iii)により再刺激してさらに静置培養する段階を1回以上繰り返して行うことができる。また、前記NK細胞の製造方法は、段階(ii)の前に、支持細胞を準備する段階をさらに含むことができる。
【0023】
本発明における静置培養(stationary culture)とは、培養器で撹拌(agitating)または振盪(shaking)することなく放置した状態で培養することを意味し、浮遊培養(suspended culture)とは、通気(aeration)や撹拌などにより、細胞が反応器の下部または側面部に付着されずに懸濁された状態で培養することを意味する。
【0024】
本発明において、静置培養のための反応器として、フラスコ、T−フラスコ、使い捨ての細胞培養バックなどが使用できるが、これに制限されるものではない。また、本発明において、浮遊培養のための反応器として、振盪フラスコ、振盪培養器、発酵槽、T−フラスコ、使い捨ての細胞培養バック(disposable cell culture bag)などが使用できるが、これに制限されるものではない。さらに、本発明の目的を達成するのに適した生物反応器として、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に採択可能な如何なる反応器も使用できる。
【0025】
また、静置培養のための反応器と浮遊培養のための反応器とは、同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。静置培養のための反応器と浮遊培養のための反応器とが同一である場合には、同一の反応器で静置培養を完了した後、サイトカインなどの必要な栄養成分を含有する培地をさらに供給して浮遊培養方式で培養することができる。また、互いに異なる種類の反応器を用いる場合には、静置培養が完了した後、培養物を浮遊培養のための反応器に移して浮遊培養することができる。
【0026】
このような浮遊培養のための反応器の例としては、GE Healthcare社のWave生物反応器(Wave Bioreactor)、Thermo Fisher社の使い捨ての生物反応器(Single−Use Bioreactor;SUB)、Xcellerex社の使い捨てのXDR生物反応器(Single−Use XDR Bioreactor)、ニプロ株式会社の細胞培養バック、PBS Biotech.社のPBSシリーズ細胞培養器(国際公開第07/111677A号、国際公開第08/133845A号、国際公開第09/132192A号など参照)、藤森工業株式会社の細胞培養バック(cell culture bag)、Erlenmeyer社の使い捨ての振盪フラスコ(Disposable Shake Flasks)などが挙げられるが、これに限定されるのではなく、特に、PBS Biotech社のPBSシリーズ細胞培養器が好ましい。
【0027】
本発明における「支持細胞(培養補助細胞ともいう)」とは、分裂増殖能力はないが、代謝活性能を有するため、様々な代謝物質を生産して目的NK細胞の増殖を助ける細胞を意味する。本発明で使用できる支持細胞としては、遺伝子が導入された動物細胞株、各種サイトカインや化合物で処理された末梢血リンパ球細胞(PBL)、自己または他人の末梢血リンパ球細胞、T−細胞、B−細胞(B−cell)、または単核細胞(monocyte)などが挙げられ、好ましくは、自己末梢血単核球細胞が使用できるが、これに限定されるものではない。すなわち、本発明が属する技術分野において通常的に使用可能であると知られた他の支持細胞も、本発明の目的にかなうかぎり、制限されずに使用可能であることはいうまでもない。
【0028】
前記支持細胞として使用される自己末梢血単核球細胞を不活性化させて使用することで、安全性を確保することができる、不活性化させる方法としては、当業界に公知された通常の方法が用いられることができ、例えば、ガンマ線を照射する方法が用いられることができる。このように不活性化された支持細胞は、分離されたT−細胞を含む。本発明のように支持細胞を用いる増殖方法は、NK細胞を純粋分離した後に増殖させる方法であって、以後にも純粋NK細胞のみが増殖するという利点がある。
【0029】
本発明における抗−CD3抗体とは、T細胞受容体(TCR)と結合して抗原認識複合体を形成する分子群であるCD3抗原に特異的に結合する抗体を意味し、CD3分子は、TCRと結合して抗原認識信号を細胞内に伝達する役割を担当する。本発明で使用可能な抗−CD3抗体としては、CD3に結合する特性を有する抗体であれば制限されないが、OKT3、UCHT1、及びHIT3aからなる群から選択されることが好ましい。
【0030】
本発明における培地に含有されるサイトカインは、インターロイキン類から選択される一つ以上であることが好ましい。インターロイキンとは、リンパ球や単球及びマクロファージなど、免疫担当細胞が生産するタンパク質性生物活性物質の総称である。本発明で使用可能なインターロイキンは、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−12(IL−12)、インターロイキン−15(IL−15)、インターロイキン−18(IL−18)、及びインターロイキン−21(IL−21)からなる群から選択される一つ以上であることが好ましく、特に、IL−2を使用することが好ましいが、これに限定されるものではない。すなわち、本発明に属する技術分野において通常の知識を有する者により、本発明の目的にかなう限り、他のサイトカインも制限されずに使用可能である。
【0031】
本発明の静置培養及び浮遊培養のために使用される抗−CD3抗体の培地中濃度は、0.1〜1,000ng/ml、好ましくは1〜100ng/ml、より好ましくは5〜20ng/mlであり、サイトカインの培地中濃度は、10〜2,000IU、好ましくは100〜1,000IU、より好ましくは約200〜700IUである。
【0032】
本発明における「刺激」とは、支持細胞などを添加してNK細胞の増殖を誘導することを意味し、抗−CD3抗体がともに用いられることもできる。本発明における「再刺激」とは、所定の培養時間が経過した後、培地に支持細胞及び/または抗−CD3抗体をさらに添加してNK細胞の増殖を再誘導することを意味する。
【0033】
本発明によるNK細胞を製造するための培地としては、CellGro培地(Cellgenix社)、AIM−V培地、RIMI1640培地、X−VIVO20などの通常の動物細胞培養用培地が用いられることができる。この動物細胞培養用培地に、必要に応じて、ヒト末梢血から分離したNK細胞、末梢血単核球細胞、抗−CD3抗体、及びインターロイキンから選択される一つ以上の成分が添加されて用いられることができる。
【0034】
特に、本発明のNK細胞の製造方法において、浮遊培養を行う際に、細胞濃度及びサイトカインの濃度を一定に維持するために、培地中のサイトカイン及び細胞の濃度を所定時間間隔で測定し、その測定値に基づいて、サイトカインが含有された培地を細胞濃度及びサイトカイン濃度に応じて提供することができる。
【0035】
また、前記培地に、血清または血漿及びリンパ球の増殖を支持する増殖因子をさらに添加して培養してもよい。培地に添加する血清または血漿の種類は特に限定されず、市販の各種動物来由のものが使用できるが、ヒト来由、特に自己来由のものがより好ましい。例えば、末梢血単核球細胞からリンパ球を増殖させるサイトカインの組み合わせや、リンパ球の増殖を刺激するレクチン類などを添加するなど、通常の技術者に公知の方法を用いることができる。
【0036】
本発明の方法により製造されたNK細胞を、適切な付形剤及び添加剤を用いて治療用組成物として提供することができ、その組成物を治療が必要な患者に投与することで、治療効果を奏することができる。
【0037】
特に、本発明の方法により製造されたNK細胞を含む組成物にアルブミンを添加することで、NK細胞の長期保存安全性が向上されて細胞殺傷能及び細胞生存率が著しく向上されることができる。本発明による組成物に添加されるアルブミンの含量は特に制限されないが、全体組成物中に0.1〜5重量%の範囲で含まれることが好ましく、0.5〜2重量%の範囲で含まれることがより好ましい。
【0038】
また、NK細胞の製造のために、細胞濃度を一定に維持させる培養方法を適用することで、細胞の過剰成長(over growth)を防止することができるため、細胞が最適の状態に維持される。特に、凍結後にさらに解凍する場合にも、細胞の機能が損傷することなく高い細胞生存率及び細胞殺傷能を保持することができるため、追加的な処理過程を行わなくても液状または凍結形態で保存されて容易に供給されることができるという利点がある。
【0039】
本発明の方法により製造されたNK細胞及びそれを含む組成物は、腫瘍及び感染性疾患の治療に用いられることができる。本発明の方法により製造されたNK細胞は、固形癌及び血液癌を含む全ての種類の腫瘍に適用されることができる。固形癌とは、血液癌と異なって臓器で塊をなして形成される癌を意味し、大部分の臓器で生じる癌がこれに該当する。本発明によるNK細胞を用いて治療可能な腫瘍としては、胃癌、肝癌、肺癌、大腸癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌、子宮頚癌、甲状腺癌、喉頭癌、急性骨髄性白血病、脳腫瘍、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、頭頸部癌、唾液腺癌、リンパ腫などが挙げられるが、これに制限されるものではない。感染性疾患は、ウイルスまたは病原菌の感染により発生する疾患であって、呼吸器及び血液、肌接触などにより伝染されて感染され得る全ての疾患を含む概念である。この感染性疾患の非制限的な例として、B型及びC型肝炎、ヒトパピローマウイルス(human papilloma virus;HPV)感染、サイトメガロウイルス(cytomegalovirus)感染、ウイルス性呼吸器疾患、インフルエンザなどが挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0040】
以下、本発明を実施例を挙げてより詳細に説明する。これら実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれら実施例に限定されないということは、当業界で通常の知識を有する者において自明である。
【0041】
≪実施例1:支持細胞で繰り返して刺激することによるNK細胞の培養及び特性評価≫
(1)支持細胞で繰り返して刺激することによるNK細胞の培養
健常なドナーから採取した末梢血単核球を1回生産分量に小分けしてバイアルに入れた後、液体窒素で凍結させた。凍結した一つのPBMCバイアルを解凍して50mLのチューブに移し、1体積%のFBSまたは自己血漿(autoplasma)を含有するPBS20mLで懸濁して、1200rpm、4℃で10分間遠心分離した。
【0042】
PBMCペレットをMACSランニングバッファー10mLで懸濁し、トリパンブルーで染色して細胞数を測定した。PBMCフィーダーの準備及びCD3の除去(depletion)のために、それぞれ5×10
7ずつ、新しい50mLのチューブに移した後、1200rpm、4℃で10分間遠心分離した。
【0043】
PBMCフィーダーは、1体積%の自己血漿が含有されたCellGro培地(Cellgenix社)10mLでペレットを懸濁した後、ガンマ線照射器で2000cGyで照射することで準備した。
【0044】
CD3が除去されたNK細胞を得るために、5×10
7の細胞ペレットに400μLのMACSランニングバッファー及び100μLのCD3磁気ビーズ(Miltenyi biotech社)を入れた後、4℃で20分間反応させた。20mLのMACSランニングバッファーを入れて洗浄した後、1200rpm、4℃で10分間遠心分離し、さらに2mLのMACSランニングバッファーで懸濁した。VarioMACS(Miltenyi Biotech社)にCSカラム(Miltenyi Biotech社、130−041−305)を取り付けて細胞を分離し、最終的に20mLとなるまでカラムを洗浄して、細胞を回収した。
【0045】
トリパンブルーで染色して細胞数を測定し、1×10
7の細胞を新しい50mLのチューブに入れた後、1200rpm、4℃で10分間遠心分離した。細胞ペレットを、1体積%の自己血漿が含有されたCellGro培地(Cellgenix社)10mLで懸濁した。
【0046】
バック(bag)培養時に、500IUのIL−2及び10ng/mLのOKT−3をPBMCフィーダー入りのチューブに入れた。ニプロ350バック(Nipro350 bag、ニプロ株式会社)に、PBMCフィーダー10mL、NK細胞10mL、及び1体積%の自己血漿が含有されたCellGro培地(Cellgenix社)10mLを入れ、37℃の培養器で5日間静置培養した。この際、ニプロ350バックを、上端から6cm、下端から5cmとなる点を折って、面積が約70cm
2となるようにして静置培養した。フラスコ培養は、前記バックの培養と同一の組成を用いて行った。具体的に、12ウェルプレートを用いて、PBMCフィーダー0.5mL、NK細胞0.5mL、1体積%の自己血漿が含有されたCellGro培地0.5mLで、同一の条件で培養した。この際、12ウェルプレートの面積は3.5〜3.8cm
2であった。
【0047】
培養開始5日目に細胞数を測定し、約2×10
5細胞/mLとなるようにIL−2(Proleukin)500IU及び1体積%の自己血漿が含有されたCellGro培地(Cellgenix社)で希釈し、適切な培養容器に入れて静置培養した。この際、細胞濃度及び面積は、2×10
5細胞/mL及び3.5cm
2となるようにした。
【0048】
培養開始7日目、10日目、及び14日目に細胞数を測定し、培養中の細胞を基準として2〜5×10
5細胞/mLとなるように、1体積%の自己血漿が含有されたCellGro培地(Cellgenix社)で希釈した。次に、1〜5倍数の支持細胞を準備し、1体積%の自己血漿が含有されたCellGro培地(Cellgenix社)で懸濁した後、ガンマ線照射器で2000cGyで照射して準備した。500IUのIL−2及び10ng/mLのOKT−3を入れ、準備された二つの細胞を3日間共培養(co−culture)した。
【0049】
支持細胞で再刺激した後、さらに3日間静置培養してから、2〜3日間隔で細胞数を測定し、5〜10×10
5細胞/mLとなるように500IUのIL−2及び1体積%の自己血漿が含有されたCellGro培地(Cellgenix社)で希釈して、21日間浮遊培養した。浮遊培養開始21日目にNK細胞を得た。
【0050】
得られたNK細胞を、1重量%のアルブミン(Green Cross Corporation)が懸濁されたハートマン溶液(中外製薬)で、1〜5×10
7/mLとなるようにNK細胞を懸濁し、4℃で保存した。
【0051】
支持細胞で再刺激した結果、
図1の(a)のように、刺激を1回のみ与えた場合に比べ、2回または3回持続的に刺激を与えることで、NK細胞の増殖が著しく増加されることを確認することができた。従来の製造方法による場合には、NK細胞が約161倍に増殖したが、支持細胞で2回再刺激した場合には425倍、3回再刺激した場合には1,320倍まで爆発的に増殖することが観察された。また、
図1の(b)に示したように、7日目または10日目にさらに支持細胞で再刺激を与える場合、ドナーによって差はあったものの、追加刺激せずに培養された場合より高い増殖率を示した。したがって、培養初期に1回のみ刺激させながら、細胞数でなく培地量を中心として細胞を増殖させる方法に比べ、支持細胞で追加刺激を与え、一定の細胞数を維持させながら培地量を調節する新たな培養方法が、NK細胞の増殖において非常に効果的であることを確認した。
【0052】
(2)NK細胞のインビトロ細胞生存率
インビトロ細胞生存率を比較及び評価するために、細胞内の核と結合できるPI染色液を用いる細胞カウンタ方法の一つであるNucleoCounter(chemometec社)システムを用いた。
【0053】
再刺激を行わずに培養された細胞、7日及び10日目に再刺激して培養された細胞をPBSで10倍に希釈した後、NucleoCounterシステムを用いて総細胞数及び死細胞数をそれぞれ測定した。10倍に希釈した細胞100μLを、溶解バッファーであるSolution A−100(chemometec社)100μLと混合した後、安定化バッファーであるSolution B(chemometec社)100μLを追加した。次に、NucleoCasetteのピストンを用いて総細胞数を測定した。死細胞数は、NucleoCasetteのピストンを用いて、10倍に希釈させた細胞をそのまま測定した。
【0054】
測定された総細胞数から死細胞数を引いて生存細胞数を計算した後、次の式を利用して細胞生存率(Cell viability)を計算した。
【0055】
細胞生存率(%)=(生存細胞数/総細胞数)×100
【0056】
その結果、
図2に示したように、支持細胞で再刺激して21日間培養したNK細胞が、再刺激せずに培養したNK細胞より高い増殖率を示すとともに、約90%程度の高い細胞生存率を示した。
【0057】
(3)インビトロ細胞殺傷能
標的腫瘍細胞株(K562など)を回収し、3×10
6個の細胞を15mLのチューブに入れて遠心分離した。細胞ペレットを600μLのRPMI培地で懸濁した後、そのうち400μLを新しい15mLのチューブに移し、Calcein−AM(Molecular probe、C34852)を50nMの濃度で入れた。次に、銀箔で光を遮断し、37℃の培養器で20分間染色した。一方、残りの細胞懸濁液200μLには、RPMI培地800uLを入れて、1×10
6細胞/mLの濃度となるように準備した。Calcein−AM染色が終わった腫瘍細胞株は、RPMI培地15mLを入れて洗浄し、遠心分離した後、ペレットを2mLのRPMI培地で懸濁して、1×10
6細胞/mLの濃度となるようにした。
【0058】
NK細胞は、3×10
6個を15mLのチューブに入れて遠心分離し、ペレットを標的腫瘍細胞株に対して所望の比率となるようにRPMI培地で懸濁した。準備された標的腫瘍細胞株及びNK細胞株を丸底96−ウェルプレートに100μLずつ混合して分注した。各ウェルを2個ずつ(duplicate)準備して平均値を得た。光を遮断して37℃の培養器で2時間反応させた後、プレートを2000rpmで3分間遠心分離した。上清液を除去し、FACSバッファー(2.5重量%FBS in PBS)を100μL/wellずつ入れて細胞を懸濁させた後、7−AAD(BD、559925)を予め5μLずつ入れたFACSチューブに移した。常温で20分間反応させた後、FACSアリア(Aria)装置を用いて、NK細胞の腫瘍細胞殺傷能を次のように分析した。
【0060】
Aは、NK細胞と標的腫瘍細胞とを反応させた時に殺される標的細胞の比率(Calcein−AM及び7−AADが両方とも染色された、殺された標的腫瘍細胞株の平均値−Calcein−AMのみが染色された対照群)である。
【0061】
Bは、標的腫瘍細胞が基本的に殺された比率(Calcein−AM及び7−AADが両方とも染色された、殺された標的腫瘍細胞株−Calcein−AMのみが染色された対照群)である。
【0062】
その結果、
図3に示したように、支持細胞で再刺激して21日間培養したNK細胞は、再刺激せずに培養したNK細胞より高い細胞増殖率を示したにもかかわらず、E:T比率=3:1で約90%程度と、却って高い細胞殺傷能を示した。
【0063】
(4)インビトロ細胞表現型の分析
実施例1の(1)に記載の培養方法により培養されたNK細胞の培養前及び培養後の細胞を回収して1200rpmで5分間遠心分離し、培養溶液を吸込み(suction)により除去した。1mLのFACSバッファー(2.5%のFBSが含有されたPBS)で希釈して細胞数を測定し、5×10
6細胞/mLとなるようにFACSバッファーで希釈した。5mLのFACSチューブ(Falcon、352052)で希釈した細胞溶液を100μLずつ入れた後、次のように抗体を入れた。
【0065】
対照群用として用いられるチューブは、下記のように準備した。
【0067】
表1及び表2のチューブを冷蔵温度で30分間放置して染色した後、染色が終わった細胞にFACSバッファー2mLを入れて、1500rpmで5分間遠心分離した。上清液を除去した後、さらにFACSバッファー2mLを入れて、1500rpmで5分間遠心分離した。その後、さらに上清液を除去し、FACSバッファー300μLを入れて懸濁した後、FACS Calibur(Becton Dickinson社)を用いて表現型を分析した。
【0068】
その結果、
図4に図示されたように、支持細胞を用いた刺激をさらに与えた場合及び与えていない場合、確認及び純度に該当する表現型、NK細胞の活性及び抑制に係る表現型において、大きい差はなかった。
【0069】
したがって、上記のように支持細胞を用いた再刺激により改善された培養法で生産されたNK細胞は、従来の方式により培養されたNK細胞に比べ、高い増殖率を示すにもかかわらず、細胞生存率、細胞殺傷能、細胞表現型などにおいて大きい差がない。
【0070】
≪実施例2:アルブミンの添加によるインビトロ安定性(使用中における安定性)≫
ハートマン溶液に添加されたアルブミンの濃度(2重量%、1重量%、0.5重量%)による、培養された細胞の安定性を評価するために、実施例1の(1)の方法により最終培養された細胞を4℃で72時間保存しながら、24時間単位でインビトロ細胞殺傷能及びインビトロ細胞生存率を評価した。
【0071】
最終培養されたNK細胞を遠心分離して細胞ペレットを作った後、上清液を除去した。次に、フラスコを用いて培養した細胞は、ハートマン溶液または2重量%、1重量%、0.5重量%のヒト血清アルブミンが含有されたハートマン溶液で細胞ペレットを解砕して、細胞希釈液を作った。この際、ハートマン溶液またはヒト血清アルブミンが含有されたハートマン溶液の量を調節して、最終細胞希釈液の濃度を1.1×10
7細胞/mlとなるようにした後、細胞培養バックに入れて4℃で保存した。24時間後、48時間後、72時間後にそれぞれ細胞を取り出してインビトロ細胞殺傷能(実施例1の(3)参照)及びインビトロ細胞生存率(実施例1の(2)参照)を評価した。
【0072】
その結果、
図5の(a)に示したように、ハートマン溶液中に48時間冷蔵保存した際に、細胞生存率が65%に低下した。一方、1%のヒトアルブミンが添加された場合には、48時間冷蔵保存した際に、または使用時間を考慮して常温で2時間保存した際にも、約90%前後の細胞生存率を保持することを確認することができた。
【0073】
図5の(b)は、保存時間による細胞殺傷能を比較した図面であり、ハートマン溶液中に保存する場合には、24時間後から細胞殺傷能が急激に減少し、48時間後には、E:T比率=3:1を基準として、10%未満に細胞殺傷能が減少されたが、1重量%のヒトアルブミンが添加された場合には、48時間冷蔵保存した後にも同一のE:T比率で70%以上の高い細胞殺傷能を示すことが観察された。
【0074】
図6は、ハートマン溶液及び1重量%のヒトアルブミン−ハートマン溶液の累積データを比較した図面である。
図6の(a)に図示されたように、1重量%のアルブミンを添加した場合には、72時間経過時にも80%以上の高い生存率を維持したが、ハートマン溶液中では、48時間経過時に既に60%の水準に生存率が急激に減少した。
図6の(b)は、E:T比率=3:1で細胞毒性を比較した図面であり、1重量%のアルブミンを添加した場合には、72時間経過時にも70%以上の細胞殺傷能を維持したが、ハートマン溶液の場合、48時間経過時に既に50%まで細胞殺傷能が減少された。
図6の(c)は、前記二つの条件でNK細胞の表現型の変化を観察した図面であり、細胞殺傷能と直接的な連関を有するNKp46が、1重量%のアルブミンが添加された場合より高く発現することが観察された。また、残りの表現型は大きい差がないことが確認された。
【0075】
したがって、最終的に、NK細胞治療剤に1重量%のヒトアルブミンを添加することは、時間経過時にもNK細胞の細胞生存率及び細胞殺傷能が維持されるため、安定性の確保に大きく寄与することが分かる。
【0076】
≪実施例3:NK細胞の凍結及び解凍実験:細胞数、収率、表現型、生存率、傷害能≫
実施例1の(1)に記載の方法により培養されたNK細胞間の凍結安定性を確認した。
【0077】
培養されたNK細胞を凍結させるために、細胞数が2〜8×10
7細胞/mLとなるようにし、凍結しようとする細胞を別のチューブに移した後、1200rpm、4℃で10分間遠心分離した。凍結バック(Freezing bag、MEDI−RUTION社)の凍結は、20mLを基準とした。遠心分離された細胞を、14mLのヒト血清ABで十分に懸濁させた。4mLのデキストラン(Dextran)40と2mLのDMSOとを予め混合して冷たくした後、準備された細胞懸濁液に一滴ずつ滴下しながら十分に混合した。凍結バックに細胞を注入した後、気泡を極力除去した。プログラムフリーザで冷却させた後、液体窒素タンクに保存した。
【0078】
細胞の解凍は、窒素タンクから凍結バックを取り出して、凍結バックをジッパ袋に入れ、37℃の恒温槽で速い速度で解凍させた。完全に解凍されると、細胞を該当チューブに移し、10倍量の、1重量%のFBSを含有するPBS溶液で徐々に懸濁させた。十分に混合した後、遠心分離(1,200rpm、10分、4℃)した。遠心分離後、細胞が10
7細胞/mLとなるように、1重量%のFBSを含有するPBSで懸濁した。10倍に希釈した後、細胞数及び生存率を測定した。測定された細胞数に基づいて、K562細胞株に対する傷害能を評価した。この際、E:T比率=3:1を基準として測定した。細胞表現型は、CD16、NKG2A、NKG2C、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46、CD25、CD62L、CD57などに対して測定した。最終的に、凍結前と凍結後の細胞収率、生存率、細胞殺傷能、細胞表現型の変化を評価した。
【0079】
その結果、培養されたNK細胞を凍結後に解凍した際に、高い細胞生存率(
図7の(a)参照)及び回収率(
図7の(b)参照)を維持し、特別に活性誘導しなくても、K562癌細胞株に対する高い細胞殺傷能を有していた(
図7の(c)参照)。また、細胞表現型(
図7の(d)参照)も維持されていることを確認することができた。
【0080】
≪実施例4:リンパ腫動物モデルにおけるナチュラルキラー細胞の抗癌効果の評価≫
(1)リンパ腫動物モデルの構築
1)Raji、SU−DHL−4細胞株の培養
Raji及びSU−DHL−4(ヒトB細胞リンフォーマ細胞株)(DSMZ、ACC495)細胞株を、RIMI培地(L−グルタミン2mM、ピルビン酸ナトリウム1mM、FBS10重量%、2−メルカプトエタノール0.055mM、ペニシリン100U/ml、ストレプトマイシン100ug/ml)を用いて、37℃、CO
25%の培養器で培養した。
【0081】
2)動物モデルの製作
6〜8週齢のC.B−17雌性マウスに対して、7日間の順化期間を経た後、1mLの注射器を用いてRaji及びSU−DHL−4細胞株をそれぞれ1×10
5細胞/100μLずつ尾静脈内に注入した。
【0082】
(2)ナチュラルキラー細胞の投与及び抗癌効果の評価
1)ナチュラルキラー細胞の投与
腫瘍移植後、無作為に群を分離し、個体識別法により表示した。次に、対照群には、400μLのPBSを尾静脈内に注入した。また、実験群には、1×10
7/400μLのナチュラルキラー細胞を、0日から2〜3日間隔で尾静脈内に5回投与した。
【0083】
2)抗癌効果の評価
実験を行った後、マウスの一般的な状態変化、運動性、下肢麻痺発病及び生存率を毎日確認した。公知のリンパ腫モデルであるRaji及びSU−DHL−4をマウスの尾静脈内に投与すると、脊髄の周辺に腫瘍が生じて、下肢麻痺症状が現れ、2〜3日後には死亡することになる。したがって、下肢麻痺の発病有無及び生存率をともに評価して、抗癌効果の指標として判断した。
【0084】
その結果、PBSを投与した対照群では、下肢麻痺症状(
図8の(a)参照)と生存率(
図8の(b)参照)の中間値が37日及び39日であることに比べ、NK細胞を投与した群では、中間値が算定されないほどに下肢麻痺症状が著しく改善され、生存率が大きく向上された。
【0085】
≪実施例5:脳腫瘍動物モデルにおけるナチュラルキラー細胞の抗癌効果の評価≫
(1)脳腫瘍動物モデルの構築
6週齢のBALB/C−nu/nuマウスに対して、一度に7匹に同時に腫瘍を植えることができる自動化装置であるセブンフレーム(seven frame)及びマルチ−シリンジインジェクタ(multi−syringe injector)を用いて、2×10
5細胞/5μLのU−87MG(ヒト神経膠芽腫細胞株)(ATCC HTB−14)を大脳に注入した。この際、ハミルトンシリンジ(hamilton syringe)を用いて10分間注入し、5分間中断した後、5分間シリンジの針を抜いて消毒後、縫合した。実験期間中にマウスの状態及び重量を観察し、実験日程に応じて犠牲(sacrifice)にして組職分析を行った。
【0086】
(2)ナチュラルキラー細胞の投与
脳腫瘍動物モデルにおけるNK細胞の抗腫瘍効果を確認するために、U−87MGを投与し、1週目から1週間隔でNK細胞を3回注入した。NK細胞は、脳に直接注入する頭蓋内投与(intracranial)方式及びマウスの尾静脈に注射する静脈内投与(intravenous)方式により投入した。頭蓋内投与方式を利用する場合には、1×10
3、1×10
4、1×10
5個のNK細胞を、静脈内投与方式を利用する場合には、1×10
5、1×10
6、1×10
7個のNK細胞を投与した。U−87MGを投与して4週後に犠牲にして、抗癌効果を評価した。
【0087】
脳腫瘍動物モデルにおけるNK細胞と抗癌剤の併用投与及び投与時期による抗腫瘍効果を確認するために、下記の表3のように様々な時期に1×10
7個のNK細胞を静脈内投与方式で注入した。併用治療剤として使用したテモゾロミド(temozolomide)(TMZ)は、2.5mg/kgの用量でU−87MGを投与した後3週目から毎日総5回を腹腔内投与(intraperitoneal)方式で注入した。U−87MGを投与して4週後に犠牲にして、腫瘍のサイズを測定した。
【0089】
(3)抗癌効果の評価
腫瘍のサイズを測定するために、ヘマトキシリン、エオシン染色法を用いた。脳を摘出してブレインマトリックス(brain matrix)に載せ、2mm間隔で切片を製作した。緩衝化した10%のホルマリン溶液に入れ、4℃で24時間固定した後、パラフィンブロックを製作した。パラフィンフォーマットされた組職を4μL切片として、コーティングされたスライドガラスに付けて、一晩乾燥させた。組職をキシレンで脱パラフィン処理した後、アルコールを順に作って(100体積%、95体積%、80体積%、エタノール/蒸溜水)再水和(rehydration)処理し、Gill’sヘマトキシリン及びエオシンで染色した。その染色程度を確認した後、脱水過程及びシール過程を行った。上記のように染色された組職から、腫瘍の長さ及び幅を算出した後、次の式で腫瘍の体積を計算した。
【0090】
腫瘍の体積(mm
3)=腫瘍の長さ(mm)×腫瘍の幅(mm)
2×0.5
【0091】
頭蓋内投与方式(
図9)で1×10
4、1×10
5のNK細胞を投与した場合及び静脈内投与方式(
図10)で1×10
6、1×10
7のNK細胞を投与した場合に、対照群に比べ腫瘍の体積が減少することを確認することができた。NK細胞と抗癌剤の併用投与及び投与時期による効果を観察した結果(
図11)、TMZとNK細胞を併用投与した場合、単独で投与した場合に比べ腫瘍の体積が減少され、腫瘍投与後1週以内にNK細胞を3回注入した場合、腫瘍の体積が最も多く減少されて、その効果が最も大きいことが分かる。
【0092】
細胞死滅程度を分析するために、TUNEL分析(terminal deoxynucleotidyl mediated deoxyuridine triphosphate nick−end labeling assay)を行った。組職は、パラフィン切片(4mm)を製作してコーティングされたスライドガラスに載せ、一晩乾燥させた。組職をキシレンで脱パラフィン処理した後、アルコールを順に作って(100v%、95v%、80v%、エタノール/蒸溜水)再水和処理し、PBS(pH7.5)で水洗した。インビトロジェン(Invitrogen)社のTUNELキットを用いて、組職中の細胞死滅程度を検査した。染色されたスライドは、Gill'sヘマトキシリンで1分間処理して対比染色(counterstain)を施した後、シールした。染色の終わったスライドを顕微鏡にセットして、腫瘍の端部周辺を基準として10枚の写真を400倍の倍率で取り、陽性反応を示した細胞を基準として数えて平均値を計算した。
【0093】
その結果、頭蓋内投与方式で1×10
4、1×10
5のNK細胞を投与した場合、対照群に比べ死細胞数が多くて、効果があることが分かった(
図9c)。
【0094】
≪実施例6:卵巣癌動物モデルにおけるNK細胞の抗癌効果の評価≫
(1)卵巣癌動物モデルの構築
1)OVCAR−3−Luc細胞株の製作
ルシフェラーゼ遺伝子をpGL3ベクターにクローニングしてOVCAR−3細胞株に一過性導入(transient transfection)させた。ルシフェリンによりルシフェラーゼが発現される細胞株を1次選別し、表現型及びNK細胞による細胞毒性がOVCAR−3と同等な細胞株を2次選別した。
【0095】
2)OVCAR−3−Luc細胞株の培養
OVCAR−3−Luc(ヒト卵巣癌細胞株、KTCC(韓国細胞バンク)30162)細胞株は、RIMI培地(2mMのL−グルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウム、10%のFBS、0.055mMの2−メルカプトエタノール、100U/mlのペニシリン、100ug/mlのストレプトマイシン、100ug/mLのG418)組成培地を用いて、37℃、5%のCO
2培養器で培養した。
【0096】
3)動物モデルの製作
6〜8週齢のC.B−17 SCID雌性マウスに対して、7日間の順化期間を経た後、OVCAR−3−Luc細胞株5×10
6細胞/100uLを腹腔内に注入した。
【0097】
(2)NK細胞の投与及び抗癌効果の評価
1)NK細胞の投与
腫瘍移植後、無作為に群を分離し、個体識別法により表示した。対照群には、200μLのハートマン溶液(中外製薬)を腹腔内に注入した。NK細胞投与群には、1×10
7/200μL個のNK細胞を腫瘍移植1週後から2〜3日間隔で腹腔内に5回投与した。
【0098】
2)抗癌効果の評価
OVCAR−3−Luc移植後、マウスの一般的な状態の変化及び運動性を毎日観察し、2〜7日間隔でルシフェリンを腹腔内に投与して、IVISイメージングシステム(Xenogen社)を利用してルシフェラーゼイメージを撮影し、腫瘍移植8週後に、全ての群のマウスを開腹して腫瘍のサイズを測定した。
【0099】
腫瘍細胞が投入された直後には、腫瘍細胞が腹腔全体に広がってルシフェラーゼイメージが大きくみえるが、7日以後には腫瘍が生着されてルシフェラーゼ数値が減少した。7日目からNK細胞を投与した群では、23日まで持続的にルシフェラーゼ数値が減少したが、陰性対照群では、ルシフェラーゼ数値が増加した(
図12の(a)参照)。
【0100】
8週目にマウスを犠牲にして腫瘍を摘出し、腫瘍のサイズ及び重量を測定した(
図12の(b)参照)。陰性対照群に比べNK細胞投与群の腫瘍の重量が54.91%減少することを確認した。換言すれば、陰性対照群に比べNK細胞投与群の腫瘍の体積が顕著に減少することを確認した。卵巣癌腹腔転移モデルにNK細胞を腹腔内に投与すると、腫瘍の成長が抑えられることが分かる。
【0101】
≪実施例7:肝臓癌動物モデルにおけるNK細胞の抗癌効果の評価≫
(1)肝臓癌動物モデルの構築
NK細胞の肝臓癌に対する抗癌効能を評価するため、人体由来肝臓癌細胞株であるSNU−354を移植した人間腫瘍移植モデルを構築し、NK細胞投与した。人体由来肝臓癌細胞株であるSNU−354は6×10
6細胞/マウスの濃度でヌードマウス側面に皮下移植した。
【0102】
(2)NK細胞投与及び抗癌効果評価
1)NK細胞の投与
SNU−354移植2時間後に1×10
6細胞または1×10
7細胞の容量でNK細胞をマウスの尾静脈を通じて200μL投与した。最初の投与以降、同じ容量のNK細胞を1週間隔で3回以上投与した。
【0104】
2)抗癌効能評価
試験期間の間、NK細胞による毒性を評価するため、一般症状を毎日観察して、動物の体重及び腫瘍体積を試験終了時まで11回(0、7、9、12、14、16、19、21、23、26及び28日)測定した。28日以降、動物を犠牲にして抽出した腫瘍の重さを測定した。
【0105】
陰性対照群に比べ、NK細胞群の腫瘍体積が37.7%(1×10
6細胞/マウス)及び50.6%(1×10
7細胞/マウス)減少することが確認できた(
図13)。
【0106】
また、陰性対照群に比べ、NK細胞群の腫瘍の重さが36.0%%(1×106細胞/マウス)及び50.2%(1×107細胞/マウス)減少した。したがって、NK細胞は肝臓癌治療に使用できることが確認された。
【0107】
≪実施例8:神経芽細胞腫動物モデルにおけるNK細胞の抗癌効果の評価≫
(1)神経芽細胞腫動物モデルの構築
1)NB−1691luc細胞株培養
NB−1691(ヒト神経芽細胞腫細胞株,st.Jude Children’s Research Hospital)にルシフェラーゼ遺伝子を形質感染させて製造したNB−1691luc(ヒト神経芽細胞腫)細胞株を、RIMI培地(L−グルタミン2mM、ピルビン酸ナトリウム1mM、FBS10重量%、2−メルカプトエタノール0.055mM、ペニシリン100U/ml、ストレプトマイシン100μg/ml,G418 100μg/ml)を使用して、37℃、CO
225%の培養器で培養した。
【0108】
2)動物モデルの製作
7週齢のC.B−17 SCID雌性マウスに対して、7日間の順化期間を経た後、NB−1691luc細胞株5×10
5細胞/100μLをマウスの尾静脈に注入した。
【0109】
(2)NK細胞投与及び抗癌効果評価
1)NK細胞の投与
腫瘍移植後、マウスをランダムに分類し、表示した。対照群としては200μLのハートマン溶液(中外製薬、韓国)を尾静脈に注入した。NK細胞投与群には、腫瘍移植した1週後から2〜3日間隔で1×10
7細胞/200μLのNK細胞を尾静脈に5回注入した。
【0110】
2)抗癌効果の評価
NB−1691luc移植後、マウスの一般的な状態の変化及び運動性を毎日観察した。腫瘍の生成を確認するため、ルシフェリンをマウスの腹腔に投与して、IVISイメージングシステム(Xenogen社)を利用して7日間隔でルシフェラーゼイメージ映像を撮影した。
【0111】
試験の間、週5回死亡動物の有無を確認した。その結果、対照群及びNK細胞投与群に対する生存日数は各々49日及び51日であった。ただし、NK細胞投与群の生存はロングランク(l−rand)テストの結果、有意に増加した(
図14)。
【0112】
≪実施例9:多様な腫瘍細胞株及びウイルス感染細胞株におけるNK細胞のインビトロの抗癌効能の評価≫
実施例1に記載されたように製造されたNK細胞を使用して、NK細胞の殺害能を実施例1(3)に記載されたように評価した。
【0113】
NK細胞のサイトカイン分泌能を次のように測定した;
5×10
6細胞/mL NK細胞と5×10
6細胞/mL ターゲット腫瘍細胞株(K562等)を準備し、準備されたNK細胞及びターゲット腫瘍細胞株を丸底96−ウェルプレートにいれた。細胞内に蓄積されたサイトカインの分泌を防ぐため、GolgiStop(BD Pharmingen, 554724)を共に入れた。
ウェル1:懸濁されたNK細胞100μL、RPMI培地100μL、抗ヒトCD107a−APC(BD Pharmingen,560664)1μL
ウェル2:懸濁されたNK細胞100μL、懸濁されたターゲット腫瘍細胞株100μL、抗ヒトCD107a−APC(BD Pharmingen,560664)1μL
ウェル3:懸濁されたNK細胞100μL、懸濁されたターゲット腫瘍細胞株100μL、APCマウスIgG1kイソタイプコントロール(BD Pharmingen,555751)5μL
【0114】
96ウェルプレートをフォイルで囲んだ後、37℃インキュベーターで4時間置いた。4時間後、96ウェルプレートの上層液を除去し、100μLのFACSバッファー、7−AAD(BD Pharmingen,559925)5μL、 CD3−PerCP−Cy5.5(eBioscience,45−0036−42)1μL及び抗ヒト−CD56−APC−eFluor780(eBioscience,47−0567−42)1μLを各ウェルに入れた。
【0115】
96ウェルプレートを30分間4℃で保管し染色した後、200μLFACSバッファーを入れて、2000rpmで3分間遠心分離した(2回)。
【0116】
96ウェルプレートの上層液を除去し、Cytofix/Cytoperm(BD,51−2090KZ)を各ウェルに200μLずつ入れた。ピペットを利用して各ウェルの混合物をよく混ぜた後、固定するため30分間4℃で保管した。
【0117】
固定の後、蒸留水で10倍希釈された200μLのPerm/washバッファー(BD,51−2090KZ)を各ウェルにいれて96ウェルプレートを2000rpmで3分間遠心分離した(2回)。
【0118】
上層液を除去し、下に記載された抗体セットを上層液除去後にいれた。
ウェル1,2:希釈されたPerm/washバッファー100μL、抗ヒトIFN−g−FITC(BD,554700)1μL,抗ヒトTNF−a−PE−Cy7(eBioscience,25−7349−82)1μL
ウェル3:希釈されたPerm/washバッファー100μL、FITCマウスIgG1kイソタイプコントロール(BD,555748)5μL、PE−Cy7マウスIgG1kイソタイプコントロール(BD,557872)5μL
【0119】
96ウェルプレートを30分間4℃で保管し、サイトカインを染色した。染色後、蒸留水で10倍希釈された200μLのPerm/washバッファー(BD,51−2090KZ)を各ウェルにいれて96ウェルプレートを2000rpmで3分間遠心分離した(2回)。
【0120】
最終的に、希釈されたPerm/washバッファー(BD、51−2090KZ)200μLを入れて、懸濁し、サイトカイン分泌能をFACSFortessa(BD)で評価した。
【0121】
図15は次の多様な癌細胞株及びウイルス感染細胞株におけるNK細胞のインビトロの効能(細胞殺害能及びサイトカイン分泌能)を示す:
(a)K562細胞株(白血病)
(b)Raji細胞株(リンパ腫)
(c)SK−N−SH細胞株(神経芽細胞腫)
(d)SNUOT−Rb1細胞株(網膜芽腫)
(e)U87−MG細胞株(神経膠芽腫)
(f)OVCAR−3細胞株(卵巣癌)
(g)Huh−7細胞株(HCC,原発性肝細胞癌)
(h)SNU398細胞株(HBV感染HCC)
(i)Huh−7.5(HCV感染HCC)
【0122】
NK細胞は殆どの癌細胞株に対して非常に高い細胞殺害能を表した。また、NK細胞はウイルスが感染された細胞株に対しても優秀な殺傷能を表した。
【0123】
NK細胞のサイトカイン分泌能は一部の細胞で観察したが、特にNK細胞はK562細胞株とウイルスが感染された癌細胞株(HBV及びHCV感染細胞株)に対する強いサイトカイン分泌能を表した。
【0124】
結論的に、本発明により製造されたNK細胞は多様な癌細胞株及びウイルス感染細胞株における優秀な効能(細胞殺害能及びサイトカイン分泌能)をあらわすことを確認した。