(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記手首用センサ及び前記指用センサは、赤外線を発光する発光部と該赤外線を受光する受光部とのセットからなる脈波センサと、サーミスタとしての温度センサと、を有し、
前記脈波センサによって脈波を測定し、前記温度センサによって皮膚温度を測定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の末梢血管抵抗測定装置。
前記計算手段は、一定期間内における前記差分の平均値と、該一定期間内における前記脈波伝達時間の平均値と、の積を、前記手首から末梢側の末梢血管抵抗として求めることを特徴とする請求項1に記載の末梢血管抵抗測定装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱調整に大きな役割を果たす血管系での特化した熱調整システムは、解剖学的に遠位の皮膚領域、特に掌など体毛のない部分にだけに局所化している。これは動静脈吻合(AVA)を中心とする血管収集拡張による調整系である。AVAは細動脈から細静脈へシャントとして働き、急速な熱交換を可能としている。AVAが開いているとき、毛細血管の血流速度より1万倍速い速度でAVA血流は流れる。
【0005】
AVAを中心とする熱交換システムは、主として交感神経系により制御される。そして、熱交換・消失を生体全体が要求し、そのように制御されるとき、掌の皮膚温度が他の皮膚温と比べて上昇する。逆に、熱消失を防ごうとするとき、下降する。
【0006】
本出願人はこのような原理に着目し、生体情報である皮膚温及び容積脈波を、手の指と、比較的変動の少ない手首部分と、で測定し、測定した生体情報を用いて、眠気や冷え性、自律神経失調、睡眠状況等を知ることに着想した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明の末梢血管抵抗測定装置は、患者の手首における皮膚温度と、該手首における脈波と、を測定するために該手首に装着される手首用センサと、
前記患者の指における皮膚温度と、該指における脈波と、を測定するために該指に装着される指用センサと、
に接続されている末梢血管抵抗測定装置であって、
前記手首用センサにより測定された皮膚温度と、前記指用センサにより測定された皮膚温度と、の差分を計算する手段と、
前記手首用センサにより測定された脈波と、前記指用センサにより測定された脈波と、から、前記手首から前記指までの脈波伝達時間を求める手段と、
前記差分と前記脈波伝達時間との積を、前記手首から末梢側の末梢血管抵抗として求める計算手段と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の構成によれば、生体情報である皮膚温及び容積脈波を、手の指と、比較的変動の少ない手首部分と、で測定し、測定した生体情報を用いて、眠気や冷え性、自律神経失調、睡眠状況等を知ることができる。
【0009】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照し、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下説明する実施形態は、本発明を具体的に実施した場合の一例を示すもので、特許請求の範囲に記載の構成の具体的な実施例の1つである。
【0012】
[第1の実施形態]
上記の通り、本出願人は、生体情報である皮膚温及び容積脈波を、手の指と、比較的変動の少ない手首部分と、で測定し、該測定した生体情報を用いて、眠気や冷え性、自律神経失調、睡眠状況等を知ることに着想した。ここで、手の指における皮膚温と、手首における皮膚温と、の差は、毛細血管及び細動脈、AVAといった末梢の血液量を表している。また、手の指における容積脈波と、手首における容積脈波と、の差(手首から指までの容積脈波の伝播時間)は細動脈以上の大きな動脈の緊張・弛緩を表している。然るに、本実施形態では、これらの差を用いることで、手首から末梢までの抵抗(末梢血管抵抗)を求める。この末梢血管抵抗からは患者の様々な身体状況を推測することができるので、本実施形態では更に、この求めた末梢血管抵抗に応じた情報を患者に通知する。
【0013】
先ず、本実施形態に係る末梢血管抵抗測定装置の構成例について、
図1を用いて説明する。本実施形態に係る末梢血管抵抗測定装置は、患者の手150の指に装着する為のセンサである指用センサ103と、患者の手首に装着する為のセンサである手首用センサ105と、本体100と、で構成され、本体100は指用センサ103とは有線104を介して接続されており、手首用センサ105とは有線106を介して接続されている。もちろん、これらの有線104,106の代わりに無線としてもよい。また、
図1及び以降の説明では、右手の手首に手首用センサ105を取り付け、右手の人差し指に指用センサ103を取り付けているものとするが、取り付ける手、指はそれぞれ右手、人差し指に限るものではない。
【0014】
先ず、指用センサ103について説明する。指用センサ103は、患者の指に装着するものであって、該指の皮膚温度と、該指における脈波と、を測定するためのものである。指用センサ103を装着した状態における指及び指用センサ103の断面図を
図2に示す。250は指の断面である。
図2に示す如く、この指には指用センサ103が取り付けられている。この指用センサ103には、赤外線を発光する発光部201、赤外線を受光する受光部202、温度を測定するセンサ203が取り付けられている。
【0015】
発光部201と受光部202とで脈波センサを構成している。発光部201が発光した赤外線は指内で反射し、反射した赤外線は受光部202で受光される。ここで、指内の血液が多くければ、発光部201が発光した赤外線はこの血液内のヘモグロビンに吸収され、その結果、赤外線の反射量は少なくなるので、受光部202における受光量も少なくなる。一方、指内の血液の量が少なければ、ヘモグロビンも少ないので、その結果、赤外線の反射量は多くなり、受光部202における受光量も多くなる。即ち、脈波(脈拍)は受光部202における受光量の増減と関連しているので、受光部202における受光量の時系列から、脈波(脈拍)を知ることができる。なお、脈波センサを用いた脈波の測定方法及び原理については周知であるので、これ以上の説明は省略する。
【0016】
受光部202は、受光量を示す信号、即ち脈波の波形信号(受光量を示す信号を適宜加工して脈波の波形信号としてもよい)を有線104を介して本体100に対して送出するので、本体100は、受光部202から受けた信号をデータとしてRAM502に記録する。
【0017】
また、発光部201の動作制御(発光の開始及び終了など)は、有線104を介して本体100が行う。
【0018】
センサ203は、サーミスタなどの温度センサであり、指の皮膚温度を測定し、該測定した皮膚温度を示す信号を、有線104を介して本体100に送出する。
【0019】
次に、手首用センサ105について説明する。手首用センサ105は、患者の手首に装着するものであって、該手首の皮膚温度と、該手首における脈波と、を測定するためのものである。手首用センサ105を装着した状態における手首及び手首用センサ105の断面図を
図3に示す。350は手首の断面である。
図3に示す如く、この手首には手首用センサ105が取り付けられている。この手首用センサ105には、赤外線を発光する発光部301、赤外線を受光する受光部302、温度を測定するセンサ303が取り付けられている。発光部301と受光部302とで脈波センサを構成している。発光部301及び受光部302の動作についてはそれぞれ発光部201及び受光部202と同様であり、手首の脈波を測定し、測定した脈波の波形信号を有線106を介して本体100に対して送出する。発光部301の動作制御は、有線106を介して本体100が行う。
【0020】
センサ303は、サーミスタなどの温度センサであり、手首の皮膚温度を測定し、該測定した皮膚温度を示す信号を、有線106を介して本体100に送出する。
【0021】
次に、本体100について説明する。本体100には、液晶画面101とユーザが押下可能なボタン102とが設けられている。本体100のハードウェア構成例について、
図5のブロック図を用いて説明する。
【0022】
CPU501は、RAM502やROM503に格納されているコンピュータプログラムやデータを用いて処理を実行することで、本体100全体の動作制御を行うと共に、I/F504に有線104、106を介して接続されている指用センサ103、手首用センサ105の動作制御も行う。
【0023】
RAM502は、指用センサ103や手首用センサ105から送出された信号に応じたデータを一時的に記憶するためのエリアや、CPU501が各種の処理を実行するために用いるワークエリアを有する。
【0024】
ROM503には、本体100が行うものとして後述する各処理をCPU501に実行させるためのコンピュータプログラムやデータが格納されている。ROM503に格納されているコンピュータプログラムやデータはCPU501による制御に従って適宜RAM502にロードされ、CPU501による処理対象となる。
【0025】
液晶画面101は、CPU501による処理結果を画像や文字などでもって表示することができる画面である。ボタン102は、ユーザが様々な指示を入力するために押下するものであり、押下された旨を示す信号はボタン102からCPU501に通知される。
【0026】
上記の各部はいずれもバス505に接続されている。
【0027】
次に、本体100の動作について、
図6のフローチャートを用いて説明する。なお、
図6のフローチャートに従った処理をCPU501に実行させるためのコンピュータプログラムやデータはROM503に格納されている。然るに、CPU501はこのコンピュータプログラムやデータをROM503からRAM502にロードし、該ロードしたコンピュータプログラムやデータを用いて処理を実行することで、
図6のフローチャートに従った処理を実行する。
【0028】
なお、ステップS601及びステップS602の処理と、ステップS603及びステップS604の処理と、は並行して行われるものとする。また、手首用センサ105と指用センサ103とは同期して動作しているものとする。
【0029】
ステップS601では、CPU501は、手首用センサ105に備わっているセンサ303からI/F504を介して受けた皮膚温度の信号を、データとしてRAM502に格納する。
【0030】
ステップS602では、CPU501は、手首用センサ105に備わっている受光部302からI/F504を介して受けた脈波の波形信号を、データとしてRAM502に格納する。
【0031】
ステップS603では、CPU501は、指用センサ103に備わっているセンサ203からI/F504を介して受けた皮膚温度の信号を、データとしてRAM502に格納する。
【0032】
ステップS604では、CPU501は、指用センサ103に備わっている受光部202からI/F504を介して受けた脈波の波形信号を、データとしてRAM502に格納する。
【0033】
ステップS605では、CPU501は、ステップS601でRAM502に格納した手首の皮膚温度のデータと、ステップS603でRAM502に格納した指の皮膚温度の皮膚温度のデータと、の差DPG(手首における皮膚温度と指における皮膚温度との差)を求める。
【0034】
ステップS606では、CPU501は、RAM502に格納した手首の脈波のデータと、指の脈波のデータと、を用いて、手首と指との間の脈波伝達時間DTを求める。この処理について
図4を用いて説明する。
【0035】
図4において横軸は時刻であり、401は手首用センサ105により測定された脈波、402は指用センサ103により測定された脈波、を示す。
図4に示す如く、時間的には、手首で脈波が観測された後に、指で脈波が観測されることになる。そこで、例えば、脈波402の立ち上がり開始タイミングから脈波401の立ち上がり開始タイミングを差し引いた差を、手首と指との間の脈波伝達時間DTとして求める。もちろん、この脈波伝達時間を求めるための方法はこれに限るものではない。
【0036】
なお、差DPGが、時刻t1においてセンサ203で測定した皮膚温度とセンサ303で測定した皮膚温度との差である場合、脈波伝達時間DTは、時刻t1近傍時刻における脈波401の立ち上がり開始タイミングと、該立ち上がり開始タイミング後の直近の脈波402の立ち上がり開始タイミングとの差であることに注意されたい。
【0037】
ステップS607では、CPU501は、差DPGと脈波伝達時間DTとの積を、手首から末梢側の末梢血管抵抗として求める。そしてステップS608では、CPU501は、この求めた末梢血管抵抗に対応する情報をROM503から読み出し、読み出した情報に基づいた画面を液晶画面101に表示する。
【0038】
例えば、末梢血管抵抗が比較的高い(閾値以上)場合、患者は、細動脈レベル弛緩、AVA・毛細開放、といった状態であり、眠気・睡眠が初期状態であることが分かる。一方、末梢血管抵抗が比較的低い(閾値未満)場合、患者は、動脈レベル緊張、AVA・毛細緊張、といった状態であり、交感神経の緊張・高血圧・心血管アクシデント起こしやすい、という状況にあり、血管内皮機能障害であることが分かる。そこで、末梢血管抵抗とそれに対応する患者の健康状態と、を関連づけた情報をROM503に格納しておき、ステップS608では、ステップS607で求めた末梢血管抵抗に対応する患者の状態をROM503から読み出して液晶画面101に表示すればよい。表示するものは文字情報であってもよいし、患者の状態を表す画像であってもよい。
【0039】
<変形例1>
末梢血管抵抗を求める他の方法として、一定時間内におけるDPGの平均値と、該一定時間内におけるDTの平均値と、の積を末梢血管抵抗とする方法を採用してもよい。その場合、例えば患者がボタン102を押下してから一定時間内にCPU501はDPGの平均値とDTの平均値を求め、これら求めた平均値の積を末梢血管抵抗として計算し、計算した末梢血管抵抗に応じた情報を第1の実施形態と同様にして患者に対して提示すればよい。
【0040】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、末梢血管抵抗に応じた情報を提示していたが、DPG及びDTの組み合わせに応じた情報を提示するようにしてもよい。このような場合、例えば、
図7に示すように、DPGとDTとの組み合わせごとに、対応する情報が登録されたテーブルをROM503に予め登録しておけばよい。
【0041】
図7の場合、DPGが0.5℃以上且つDTが50ms以上である場合には、細動脈レベル弛緩、AVA・毛細も開放、と判断し、眠気・睡眠が初期状態であると判断する。また、DPGが0.5℃以上且つDTが50ms未満である場合には、動脈レベル緊張、AVA・毛細弛緩、と判断し、高血圧・高温環境・発熱であると判断する。また、DPGが0.5℃未満且つDTが50ms以上である場合には、動脈レベル弛緩、AVA・毛細は緊張、と判断し、低温環境・緊張・冷え性・血管内皮機能障害であると判断する。また、DPGが0.5℃未満且つDTが50ms未満である場合には、動脈レベル緊張、AVA・毛細は緊張、と判断し、交感神経の緊張・高血圧・心血管アクシデント起こしやすい・血管内皮機能障害と判断する。
【0042】
なお、
図7のテーブルの構成はあくまでも一例であり、様々な構成が考え得る。また、
図7のテーブルにおいて「0.5℃」や「50ms」といった上記の閾値についてもあくまで一例であり、状況や個人ごとに変更するようにしても構わない。
【0043】
判断の結果をどのような形態で液晶画面101に表示するのかについては第1の実施形態で説明したように、文字情報で表示してもよいし、対応する画像で表示してもよい。また、このような判断結果を履歴としてRAM502や本体100に接続可能なメモリ装置に記録しておき、後でこの履歴を液晶画面101や本体100に接続可能な外部装置の表示画面上に表示するようにしても構わない。
【0044】
[第3の実施形態]
図1に示した末梢血管抵抗測定装置の構成では、本体100は、手首用センサ105や指用センサ103と別個の装置としているが、手首用センサ105や指用センサ103内に組み込んでもよい。即ち、末梢血管抵抗測定装置は、指用センサ103と、本体100が組み込まれた手首用センサ105と、で構成されるようにしてもよいし、手首用センサ105と、本体100が組み込まれた指用センサ103と、で構成されるようにしてもよい。
【0045】
また、本体100の構成には様々な構成が考えられ、必ずしも
図5に示した構成に限るものではない。例えば、末梢血管抵抗やDPGとDTとの組み合わせに応じた情報の報知を音声によって行う場合には、本体100に音声出力を行うための構成を加える必要がある。
【0046】
また、末梢血管抵抗に応じた情報通知を行うのか、それともDPGとDTとの組み合わせに応じた情報通知を行うのかを、ユーザがボタン102を操作することで設定するようにしても構わない。
【0047】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。