特許第6010145号(P6010145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6010145携帯機器、携帯機器の地磁気センサの補正方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010145
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】携帯機器、携帯機器の地磁気センサの補正方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 17/38 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
   G01C17/38 F
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-5234(P2015-5234)
(22)【出願日】2015年1月14日
(62)【分割の表示】特願2011-513315(P2011-513315)の分割
【原出願日】2010年4月26日
(65)【公開番号】特開2015-99157(P2015-99157A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2015年1月14日
(31)【優先権主張番号】特願2009-117214(P2009-117214)
(32)【優先日】2009年5月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314008976
【氏名又は名称】レノボ・イノベーションズ・リミテッド(香港)
(74)【代理人】
【識別番号】100084250
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】門倉 淳一
【審査官】 相羽 昌孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−023293(JP,A)
【文献】 特開2005−291934(JP,A)
【文献】 特開2008−035429(JP,A)
【文献】 再公表特許第2004/003476(JP,A1)
【文献】 特開2006−23293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 17/00−17/38
H04M 1/00
H04M 1/24− 1/82
H04M 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地磁気センサ、当該携帯機器の姿勢を検出する加速度センサ、前記地磁気センサ及び加速度センサを制御する制御装置を備え、
予め定められた姿勢変化が生じたことを前記加速度センサが検出すると、前記姿勢変化の検出に応じて前記制御装置が前記地磁気センサの補正処理を開始する携帯機器であって、
前記加速度センサは3軸加速度センサであり、当該携帯機器を所定の向きに傾ける際の姿勢変化を前記3軸加速度センサが検出すると、前記姿勢変化の検出に応じて前記制御装置が前記地磁気センサの補正処理を開始することを特徴とする携帯機器。
【請求項2】
地磁気センサ、当該携帯機器の姿勢を検出する3軸加速度センサ、前記地磁気センサ及び前記3軸加速度センサを制御する制御装置を備える携帯機器にて、予め定められた姿勢変化が生じたことを前記3軸加速度センサが検出する段階と、
当該携帯機器を所定の向きに傾ける際の姿勢変化を前記3軸加速度センサが検出すると、前記姿勢変化の検出に応じて前記制御装置が前記地磁気センサの補正処理を開始する段階と、
を含むことを特徴とする、携帯機器の地磁気センサの補正方法。
【請求項3】
地磁気センサ、当該携帯機器の姿勢を検出する3軸加速度センサ、前記地磁気センサ及び前記3軸加速度センサを制御する制御装置を備える携帯機器の制御装置にて実行されるプログラムであって、
予め定められた姿勢変化が生じたことを前記3軸加速度センサにて検出する手順と、
当該携帯機器を所定の向きに傾ける際の姿勢変化を前記3軸加速度センサが検出すると、前記姿勢変化の検出に応じて前記地磁気センサの補正処理を開始する手順と、
を前記制御装置に実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地磁気センサの補正処理、所謂キャリブレーションに関し、特に、携帯電話機等の携帯機器に内蔵した地磁気センサの補正処理を実行するタイミングに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、地磁気センサは非常に微小な地磁気を検出して方位を特定するデバイスであるため、周辺磁気源による磁気の影響を受けやすく、環境によって検出にズレが生じやすい。正確な測定結果を得るためには、地磁気センサの補正処理、所謂キャリブレーションを適宜行う必要がある。
【0003】
地磁気センサを所定の位置に据え付けて使用する場合は、周辺磁気源との位置関係等が同じであれば、それほど頻繁に補正処理を実行しなくとも、地磁気センサから十分な精度の測定結果を得ることができる。しかし、携帯電話機等の携帯機器は、持ち運ぶ装置であるという装置の性格上、使用環境が頻繁に変化する。地磁気センサを内蔵した携帯機器について記載されたものとして、特許文献1を挙げる。携帯機器に地磁気センサを内蔵する場合は、周辺磁気源の有無、位置関係等が一定ではないので、据付型の地磁気センサと比較してより頻繁に補正処理を行わなければ十分な精度の測定結果を得ることができない。
【0004】
他方で、地磁気センサの補正処理にはある程度の時間を要する。補正処理を行う際には、ユーザは、携帯機器の地磁気センサを好ましくは北に向け、特定の軸を中心として複数回回転する操作を行う。このような操作を頻繁にユーザに要求すると携帯機器の操作性を損ない、ユーザのストレスの一因になる恐れがある。
【0005】
地磁気センサを内蔵する従来の携帯電話機では、地磁気センサを起動する毎に、或いは、一定期間毎に、地磁気センサの補正処理の実行を促すメッセージをLCD(Liquid Crystal Display)にて表示し、これを見たユーザが操作を行って補正処理を行うといった手順をとるのが一般的である。
【0006】
地磁気センサの起動毎に補正処理を行う場合、ユーザは地磁気センサを使用する度に上述の携帯機器の回転操作を含む所定の操作を要求されることとなる。ユーザは要求に応じて操作を行い、補正処理の完了を待ち、その後に地磁気センサの測定結果を得ることになるが、このような手順では操作性を損ないユーザにストレスを与えやすい。
【0007】
一定期間毎に補正処理を行う場合、期間を十分に短くすれば十分な精度を得られるもののユーザに対して頻繁な操作を要求し、期間を長くすればユーザに対する操作要求の頻度は低くなるが地磁気センサの測定精度も低くなる。ちょうどよい長さの期間を如何に定めるかが問題となるが、適切な長さはユーザの移動頻度等にも依存し、決定が困難である。
【0008】
更に、いずれの場合であっても、補正処理を実行するか否かはユーザ次第となり、ユーザによっては補正処理を全く行わない、たまにしか行わないといったことも考えられ、測定結果に対して一定の信頼性を期待することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−207799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、操作性への影響を抑えつつも十分な頻度で地磁気センサの補正処理を実行する携帯機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
また、本発明は、他の一態様として、地磁気センサ、当該携帯機器の姿勢を検出する加速度センサ、地磁気センサ及び加速度センサを制御する制御装置を備え、予め定められた姿勢変化が生じたことを加速度センサが検出すると、姿勢変化の検出に応じて制御装置が地磁気センサの補正処理を開始する携帯機器であって、加速度センサは3軸加速度センサであり、当該携帯機器を所定の向きに傾ける際の姿勢変化を3軸加速度センサが検出すると、姿勢変化の検出に応じて制御装置が地磁気センサの補正処理を開始することを特徴とする携帯機器を提供する。
【0012】
上述の課題を解決するため、本発明は、その一態様として、地磁気センサ、当該携帯機器の姿勢を検出する3軸加速度センサ、地磁気センサ及び3軸加速度センサを制御する制御装置を備える携帯機器にて、予め定められた姿勢変化が生じたことを3軸加速度センサが検出する段階と、当該携帯機器を所定の向きに傾ける際の姿勢変化を3軸加速度センサが検出すると、姿勢変化の検出に応じて制御装置が地磁気センサの補正処理を開始する段階とを含むことを特徴とする、携帯機器の地磁気センサの補正方法を提供する。
【0013】
また、本発明は、他の一態様として、地磁気センサ、当該携帯機器の姿勢を検出する3軸加速度センサ、地磁気センサ及び3軸加速度センサを制御する制御装置を備える携帯機器の制御装置にて実行されるプログラムであって、予め定められた姿勢変化が生じたことを3軸加速度センサにて検出する手順と、当該携帯機器を所定の向きに傾ける際の姿勢変化を3軸加速度センサが検出すると、姿勢変化の検出に応じて地磁気センサの補正処理を開始する手順とを制御装置に実行させることを特徴とするプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザが補正処理のための操作を意識して実行せずとも、所定の姿勢変化が生じる毎に地磁気センサの補正処理が実行されるので、ユーザに対して補正処理のためだけに煩わしい操作を要求する必要がなく、かつ、正確な測定に必要な補正処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態である携帯電話機100のブロック図である。
図2】3軸地磁気センサ2の補正処理について説明するための図である。
図3】携帯電話機の変形の種類と向きの変化について説明するための図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
今日の携帯機器、特に携帯電話機は多機能化が進んでいるが、使用する機能に応じて携帯電話機を持つ向きを変えることを想定しているものが多い。例えば、ストレート型のワンセグTV対応携帯電話機では、通話に使用する際には携帯電話機の長手方向を地面に対して略垂直に立てて使用するが、ワンセグTV受像機として用いる際には短手方向を地面に対して略垂直に立てて使用することも想定している。
【0017】
また、携帯機器、特に携帯電話機には様々な変形機構を備え、複数の形態に変形可能なものがある。具体的には、クラムシェル型、2軸型、サイクロイド型、Wオープン型、スライド型、ストレート型等がある。これらの変形機構による形態についても、上述の持ち方と同様に、使用する機能に応じて適した形態に変形させた状態で用いることを想定したものが多い。例えば、2軸型のデジタルカメラ内蔵携帯電話機では、通話に使用する際にはLCDのスクリーンとテンキーが同じ側になるようにヒンジを開いた状態で使用することを主に想定し、デジタルカメラとして使用する際には、通話時の状態からLCDの裏側とテンキーが同じ側になるようにした上でヒンジを閉じた状態で使用することをも想定している。
【0018】
本明細書では、携帯機器の向きと、携帯機器の形態とを合わせて携帯機器の姿勢と呼ぶものとし、携帯機器の方向変化を検出する3軸加速度センサ、クラムシェル型携帯電話機のヒンジの開閉状態を検出するセンサのどちらも姿勢検出手段と呼ぶものとする。本発明では、使用する機能に応じてユーザが携帯機器の姿勢を変化させる操作を行うことに着目し、加速度センサ、ヒンジの開閉等変形状態を検出するセンサを用いて、携帯機器が所定の姿勢変化をしたことを検出すると、これに応じて地磁気センサの補正処理を開始・実行する。これにより、ユーザが意識していないときに磁気センサの補正処理が実行される。
【0019】
特に、地磁気センサを利用する際の携帯機器の向き・形態に至る姿勢変化の検出に応じて補正処理を行うこととすれば、ユーザが地磁気センサを利用しようとして携帯機器の向き・形態を変える操作をした時点で補正処理が開始されるので、補正処理完了までの待ち時間を最短に抑えた上で、地磁気センサにて高精度の測定を行うことができる。
【0020】
本発明の一実施の形態である携帯電話機100について図1を参照して説明する。携帯電話機100は、変形機構として開閉機構を備える折り畳み型の携帯電話機、図3を参照すると、具体的にはクラムシェル型、2軸型、サイクロイド型、Wオープン型等の開閉を伴う変形可能なヒンジを備える携帯電話機であり、3軸加速度センサ1、3軸地磁気センサ2、コントロールIC3、開閉状態検出センサ4、CPU5を備える。
【0021】
3軸加速度センサ1及び3軸地磁気センサ2は、コンロトールIC3に接続されており、コントロールIC3によって制御され、検出した加速度及び地磁気を出力する。
コントロールIC3はCPU5によって制御され、3軸加速度センサ1や3軸地磁気センサ2から入力された加速度や地磁気に対し、必要な演算処理をしてCPU5に出力する。一般的には消費電力を抑えるために、CPU5の求める変化があった時のみコントロールIC3からCPU5に割り込み信号が出力される。
【0022】
開閉状態検出センサ4は、CPU5に接続され、携帯電話機100のヒンジの開閉状態を検知してCPU5に割り込みにて通知する。
【0023】
3軸加速度センサ1、開閉状態検出センサ4の検出結果に基づいて、CPU5は、携帯電話機100の向き、開閉の形態の別を判定する。
【0024】
CPU5は、携帯電話機100全体の動作を制御する処理装置であり、携帯電話機100にて動作する各種のアプリケーションプログラムを格納する記憶装置を備える。特に、CPU5は、3軸地磁気センサ2の出力を参照する地磁気センサ利用プログラムを格納しているものとする。地磁気センサ利用プログラムは、例えば、地図表示アプリケーションや、ナビゲーションアプリケーションであり、ユーザの所定の操作に応じてCPU5にて実行される。地磁気センサ利用アプリケーションは、その起動時に横長の画面にて実行されるように予め設定しておくものとする。
【0025】
3軸地磁気センサ2の補正処理に関して図2を参照して説明する。ここで、携帯電話機100の長手方向をX軸、短手方向をY軸、厚さ方向をZ軸とする。3次元のX−Y−Z方向に対し、X−Y面、X−Z面、Y−Z面のうち2面の方向で加速度センサから地磁気センサの状態(方向)を検出し、地磁気の変化と比較して、正確な方位を割り出す必要がある。特に携帯電話機は一般コンシューマーが携帯して利用する機器であるという装置の性格上、使用する際の周辺磁気源の有無や方向、装置の姿勢を特定することができない。
【0026】
このため、より正確な測定結果を得るためには、地磁気センサでの測定に先立って補正処理を行うことが求められる。この補正はより頻度が高いほど検出誤差を減らす事が可能になるが、従来はユーザが携帯端末からの通知によって補正処理を行うため、あまり頻繁な補正処理はされていない。
【0027】
次に、3軸地磁気センサ2の補正処理を行うときの携帯電話機100の動作について説明する。上述のように、携帯電話機100は折り畳み型の携帯電話機であり、LCD画面を備える上部筐体と、テンキーを備える下部筐体とをヒンジにて連接した構造を有する。
3軸加速度センサ1及び3軸地磁気センサ2は上部筐体に搭載するものとする。
【0028】
携帯電話機100の操作に先立って、ユーザは、下部筐体を一方の手で掴んで固定した状態で、他方の手で上部筐体を掴み、ヒンジを中心として手前から奥の方に向かって略半回転させることにより、携帯電話機100を開く。このときの上部筐体の動作を、3軸加速度センサ1、開閉状態検出センサ4にて検出する(ステップS1)と、コントロールIC3は、3軸地磁気センサ2のX−Z面の補正処理を開始する(ステップS2)。携帯電話機100を開く際、上部筐体に内蔵された3軸地磁気センサ2は、ヒンジ、即ちY軸を中心として、X−Z面内を回転運動することになる。コントロールIC3は、この回転運動に伴う姿勢変化の発生を、3軸加速度センサ1、開閉状態検出センサ4の出力に基づいて判定し、3軸地磁気センサ2のX−Z面の補正処理のトリガーとする。
【0029】
次に、LCDのスクリーンが横長になるような向きに携帯電話機100の姿勢が変化したことを3軸加速度センサ1が検出する(ステップS3)と、コントロールIC3は、3軸地磁気センサ2のX−Y面の補正処理を開始する(ステップS4)。
【0030】
上述のように、地磁気センサ利用プログラムは、その起動時にLCDが横長の画面になる向きで表示されるので、ユーザが地磁気センサ利用プログラムを実行するのであれば、上部筐体を開いた後、ユーザは横長のLCDが正しい向きで見えるように、携帯電話機100の向きを変える。このとき、携帯電話機100は、Z軸を中心としてX−Y面内で略90度回転することになる。コントロールIC3は、3軸加速度センサ1、開閉状態検出センサ4の出力に基づいて、X−Y面内での回転運動の発生を検出し、これをトリガーとして3軸地磁気センサ2のX−Y面の補正処理を開始する。
【0031】
ステップS3からS4にかけての携帯電話機100の姿勢変化と、ユーザが行う操作について、変形機構別に説明する。
【0032】
クラムシェル型である場合は、携帯電話をそのまま横に傾ける操作である。このときの姿勢変化は3軸加速度センサ1にて検出する。
【0033】
2軸型である場合は、クラムシェル型と同様にそのまま横に傾ける操作か、上部筐体の表裏を反転させた後で上部筐体を閉じる操作である。前者の操作に伴う姿勢変化は3軸加速度センサ1にて検出する。後者の操作に伴う姿勢変化は、3軸加速度センサ1及び開閉状態検出センサ4にて検出する。2軸型の場合、上部筐体は、上部筐体と下部筐体を連接するヒンジと、上部筐体の長手方向の軸を中心として回転するための回転機構とを備えるが、開閉状態検出センサ4とは別に、この回転機構の動作状態を検出するセンサを備えることとし、コントロールIC3は、3軸加速度センサ1及び開閉状態検出センサ4の出力に加えて、このセンサの出力を参照して携帯電話機100の姿勢を判定することとしてもよい。このセンサの出力を用いれば、上部筐体の長手方向のX軸を中心とする回転運動、
即ち、Y−Z面内での略180度の回転運動を検出することが可能となり、この回転運動の際にY−Z面の地磁気センサの補正処理を行うことができる。
【0034】
サイクロイド型の場合、下部筐体の向きはそのままに、上部筐体のみを略90度回転させる操作になる。この姿勢変化は3軸加速度センサ1にて検出する。サイクロイド機構の動作状態を検出するセンサを携帯電話機100が更に備えることして、その出力を3軸加速度センサ1の出力と共に参照して姿勢を判定することとしてもよい。
【0035】
Wオープン型の携帯電話機は、上部筐体の開き方に2通りある。即ち、下部筐体の短辺側のヒンジを軸として開く開き方と、長辺側のヒンジを軸として開く開き方である。ここでは、長手方向が上下方向になるような向きにある携帯電話機が短辺を軸とした開き方で開いた状態にあるものとすると、この後、ユーザは、いったん上部筐体を閉じ、次に、下部筐体の長辺側ヒンジが上になるように携帯電話機100を持ち直し、長辺側ヒンジを軸として上部筐体を開く操作を行う。Wオープン型の場合、携帯電話機100は、短辺側ヒンジと長辺側ヒンジとを備えるが、これらのヒンジのそれぞれに開閉状態検出センサを設ける。コントロールIC3は、これら開閉状態検出センサの出力と、3軸加速度センサ1の出力とを組み合わせて携帯電話機100の姿勢を判定し、X−Y面の地磁気センサ2の補正のトリガーとする。Wオープン型では、上述の動作の代わりに、上部筐体が横の状態になった時点でX−Y面、長辺側ヒンジを開くときにX−Z面の補正を行う事としてもよい。
【0036】
尚、ステップS1からS4の動作は、地磁気センサ利用プログラムによるものではないので、地磁気センサ利用プログラムを起動するタイミングはユーザの任意である。
【0037】
携帯電話機100によれば、地磁気センサ利用プログラムが補正処理の実行を促すメッセージをLCDに表示して、これを見たユーザが補正処理実行のための所定の操作を行うのではなく、ユーザが携帯電話機100を持ち替えたり、変形機構を用いて携帯電話機100を変形させることにより、携帯電話機100に所定の姿勢変化が生じると、3軸加速度センサや変形機構の動作状態を検出するセンサの出力に基づいてこの姿勢変化を検出し、この検出をトリガーとして補正処理を開始する。このため、ユーザが補正処理の実行を意識しなくともX−Z面、X−Y面での補正処理が実行され、ユーザにストレスを与えるのを避けることができる。
【0038】
また、ユーザへの負荷が低いことから、補正処理の実行頻度を高めることができるので、地磁気センサ出力の精度向上を図ることが可能となり、更に、その結果として地磁気センサ出力を参照して動作する地磁気センサ利用プログラムの動作についても精度を高めることができる。
【0039】
以上、携帯電話機100について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の技術的範囲内で様々な変形が可能であることは、当業者には明らかであろう。
【0040】
例えば、上述の説明では、携帯電話機100は折り畳み型の携帯電話機であり、ヒンジを軸とした回転動作の際に地磁気センサの補正処理を開始・実行したが、本発明は折り畳み型の携帯機器に限定されるものではない。例えば、図3に示したスライド型携帯電話機や、ストレート型携帯電話機であっても、テーブル等に置いてある状態から使用のために持ち上げた状態へと至るまでの姿勢変化や、携帯電話機を所定の向きに傾ける際の姿勢変化を3軸加速度センサを用いて検出し、これをトリガーとして補正処理を実行することとしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 3軸加速度センサ
2 3軸地磁気センサ
3 コントロールIC
4 開閉状態検出センサ
5 CPU
100 携帯電話機
図1
図2
図3