(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6010171
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】仮設排水金具
(51)【国際特許分類】
E04D 13/04 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
E04D13/04 D
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-77155(P2015-77155)
(22)【出願日】2015年4月3日
【審査請求日】2015年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000213231
【氏名又は名称】株式会社中部コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118706
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 陽
(72)【発明者】
【氏名】江上 幸雄
【審査官】
七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−315621(JP,A)
【文献】
特開2013−129974(JP,A)
【文献】
特開平03−244748(JP,A)
【文献】
特開2000−282640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受皿部と、該受皿部に連成され、下方に向かって内径が小径とされた排水管部とを備え、床部に打設されたルーフドレンの該排水管部に仮設排水ホースを着脱可能に取り付けるための仮設排水金具であって、
前記受皿部に掛止される鍔部と、該鍔部から下方に連成されて前記排水管部に内嵌され、前記仮設排水ホースに接続される内管部と、を有し、
該内管部の外周には前記排水管部との隙間からの水漏れを防ぐためのパッキンが取り付けられており、
前記床部の上側から人の手によってルーフドレンへ設置したり取り外したりすることが可能とされていることを特徴とするルーフドレン用の仮設排水金具。
【請求項2】
前記内管部は下方に向かって外径が小径とされている請求項1に記載の仮設排水金具。
【請求項3】
前記パッキンは水膨張ゴムからなる請求項1又は2に記載のルーフドレン用の仮設排水金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベランダ,バルコニー等の床部に打設されたルーフドレンに樋管を取り付ける迄の間使用する、仮設排水金具に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の各階に形成されるベランダ,バルコニー等における雨水の排水手段は、床部にルーフドレンを打設してから、各ルーフドレンに樋管を取り付けて直列状に連通させ、雨水を下水溝へ導いて排水する構造とされている。
【0003】
しかし、各ルーフドレンの打設後であって樋管を取り付ける前に雨が降った場合、各ルーフドレンから流れ落ちる雨水によって、階下の床部が水浸しとなり、建物を汚すこととなる。
【0004】
このため、従来、ルーフドレンの打設後、樋管を取り付けるまでの間、仮設排水金具をルーフドレンに取り付け、これに仮設排水ホースを接続して下水溝に排水することが行われている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−315621号公報
【特許文献2】特許第3929597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来のルーフドレン用の仮設排水金具では、ルーフドレンに仮設排水金具を取り付ける場合に、床部裏側からの施工となるため、足場を組んだり、無理な姿勢で作業したりする必要があった。また、仮設排水ホースを外して樋管を設置する時にも、仮設排水金具を床部裏側から取り外さなければならず、同様の問題があった。さらに、ルーフドレン側にも仮設排水金具を取り付けるための加工を施しておかなければならなかったため、ルーフルーフドレンを打設後に仮設排水ホース設置の必要性に気付いた場合には、取付けることができなかった。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたもので、ルーフドレンの打設後であっても床部の上側から容易に取り付けることができ、不要になった際の取り外しも、床部の上側から簡単に行うことができる仮設排水金具を提供することを解決すべき課題とする。また、ルーフドレンを打設後に仮設排水ホース設置の必要性に気付いた場合であっても、取付けることができる排水金具を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の仮設排水金具は、受皿部と該受皿部に連成された排水管部とを備え、床部に打設されたルーフドレンの該排水管部に仮設排水ホースを着脱可能に取り付けるための仮設排水金具であって、前記受皿部に掛止される鍔部と、該鍔部から下方に連成されて前記排水管部に内嵌され、前記仮設排水ホースに接続される内管部と、を有し、該内管部の外周には前記排水管部との隙間からの水漏れを防ぐためのパッキンが取り付けられており、前記床部の上側から人の手によってルーフドレンへ設置したり取り外したりすることが可能とされていることを特徴とする。
【0009】
本発明の仮設排水金具を用いて仮設排水ホースを取り付ける場合には、まず、仮設排水金具の内管部の下端に仮設排水ホースの一端を接続した後、仮設排水ホースの他端を持ってルーフドレンの排水管部に挿入し、そのまま下げる。そして最後に仮設排水金具の鍔部をルーフドレンの受皿部に掛止させることにより、容易に仮設排水ホースを設置することができる。また、仮設排水金具の内管部の外周にはルーフドレンの排水管部との隙間からの水漏れを防ぐためのパッキンが取り付けられているため、ルーフドレンの排水管に流入する雨水を漏らすことなく全て仮設排水ホースに流入させることができる。さらには、仮設排水ホースを撤去する場合にも、床部の上側から仮設排水金具の鍔部を持って上に引上げた状態とすれば、仮設排水ホースを容易に撤去することができる。
したがって、足場を組んだり、無理な姿勢で作業したりすることなく、簡単に仮設排水ホースをルーフドレンに接続したり撤去したりすることができる。また、撤去した仮設用金具を再使用することもできる。さらには、ルーフドレンを床部に打設した後に仮設排水ホースを接続させる必要性があることに気付いた場合においても、ルーフドレンに特別な細工を施すことなく、施工することができる。
【0010】
パッキンは水膨張ゴムからなることが好ましい。こうであれば、雨水によってパッキンが膨張するため、仮設用金具の内管部とルーフドレンの排水管部との隙間から水が漏れることを確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例1のルーフドレン用仮設排水金具1の設置状況を示す断面図である。
【
図2】実施例1のルーフドレン用仮設排水金具1の平面図である。
【
図4】実施例1のルーフドレン用仮設排水金具1の設置方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化したルーフドレン用の仮設排水金具について、図面を参照しつつ詳述する。
(実施例1)
図1は本発明の仮設排水金具1の設置状況を示す断面図である。ルーフドレン101は床部100の上面に露出する受皿部101aと、受皿部101aから下方に連成された排水管部101bからなる。実施例1の仮設排水金具1はルーフドレン101の排水管部101bに内嵌され、仮設排水ホース102に接続され、床部100に溜まった雨水を仮設排水ホース102に排水可能としている。
【0013】
仮設排水金具1の上端には径外方向に突出する3つの鍔部2a、2b、2c(
図2参照)が設けられ、ルーフドレン101の受皿部101aに掛止されている。鍔部2a、2b、2cから下方に向かって内管部3が連成され、排水管部101bに内嵌されている。
図3に示すように、内管部3は下方に向かって小径となる内管上部3aと、内管上部3aから下方に円筒状に連成された内管下部3bとからなる。内管上部3aの略中央外周にはパッキン溝3cが凹設されており、パッキン溝3cには水膨張ゴムからなる環状パッキン4がルーフドレン101の排水管部101bの内周に密着するように嵌められている。内管部3の下端は仮設排水ホース102に内嵌されている(
図1参照)。
【0014】
<施工方法>
次に、施工方法について説明する。
まず、コンクリート打設前のベランダやバルコニーの型枠にルーフドレン101を固定し、ルーフドレン101の受皿部101aの上面を図示しない保護カバーで覆った後、コンクリートを打設する。コンクリートが固化した後、保護カバーを外す。そして、仮設排水金具1のパッキン溝3cに環状パッキン4を装着させた後(
図3参照)、
図4に示すように、仮設排水金具1の内管部3の下端に仮設排水ホース102の一端を挿入し、針金やホース接続用の金具等で固定した後、、仮設排水ホース102の他端をルーフドレン101の排水管部101bへ挿通し、仮設排水金具1の鍔部2a、2b、2cがルーフドレン101の受皿部101aに掛止されるまで下降させる。この状態において、環状パッキン4はルーフドレン101の排水管部101bに密着した状態とされる。そして、仮設排水ホース102の他端を図示しない排水溝へ設置する。こうして、仮設排水ホース102の施工作業が終了する。
【0015】
<撤去方法>
仮設排水ホース102を撤去する場合には、
図1に示す仮設排水金具1を手で持ち、仮設排水ホース102と共に引上げて床部100に置き、仮設排水ホース102を仮設排水金具1から外し、仮設排水ホース102を排水管部101bから下方に降ろす。こうして、撤去作業を終了する。
【0016】
以上のように、実施例1の仮設排水金具1を用いた仮設排水ホース102の設置作業では、床部100にいる作業員によって、容易に仮設排水ホース102に接続された仮設排水金具1をルーフドレン101に設置することができる。また、水膨張ゴムからなる環状パッキン4によって仮設用金具1の内管部3とルーフドレン101の排水管部101bとの隙間から水が漏れることを確実に防ぐことができる。このため、ルーフドレン101の排水管部101bに流入する雨水を漏らすことなく全て仮設排水ホース102に流入させることができる。
【0017】
また、仮設排水ホース102を撤去する場合にも、床部100の上側にいる作業員が仮設排水金具1の鍔部2a、2b、2cを持って上に引上げた状態とすれば、仮設排水ホース102を容易に外すことができる。さらには、撤去した仮設用金具1を再使用することもできる。
【0018】
また、ルーフドレン101を床部100に打設した後に仮設排水ホース102を接続させる必要性があることに気付いた場合においても、ルーフドレン101に特別な細工を施すことなく、施工することができる。
【0019】
上記実施例1の仮設排水金具1は径外方向に突出する3つの鍔部2a、2b、2cを有しているが、鍔部の数を4つ、あるいはそれ以上に増やしてもよい。また、鍔部を排水管部101bに連通する孔を有したリング形状としてもよい。
【0020】
この発明は、上記発明の実施形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0021】
101a…受皿部
101b…排水管部
100…床部
101…ルーフドレン
102…仮設排水ホース
2a,2b,2c…鍔部
3…内管部(3a…内管上部,3b…内管下部)
4…環状パッキン(パッキン)
【要約】
【課題】ルーフドレンの打設後であっても床部の上側から容易に取り付けることができ、不要になった際の取り外しも、床部の上側から簡単に行うことができる仮設排水金具を提供することを解決すべき課題とする。また、ルーフルーフドレンを打設後に仮設排水ホース設置の必要性に気付いた場合であっても、取付けることができる排水金具を提供することを解決すべき課題とする。
【解決手段】
本発明の仮設排水金具1は、ルーフドレン101の該排水管部101bに仮設排水ホース102を着脱可能に取り付けるためのものであり、前記受皿部101aに掛止される鍔部2a,2b,2cと、該鍔部2a,2b,2cから下方に連成されて前記排水管部101bに内嵌され、前記仮設排水ホース102に接続される内管部3と、を有している。内管部3の外周には前記排水管部101bとの隙間からの水漏れを防ぐための環状パッキン4が取り付けられている。
【選択図】
図1