特許第6010232号(P6010232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010232
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】表示機構
(51)【国際特許分類】
   G04B 19/20 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
   G04B19/20 B
【請求項の数】17
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-542281(P2015-542281)
(86)(22)【出願日】2013年11月15日
(65)【公表番号】特表2015-535081(P2015-535081A)
(43)【公表日】2015年12月7日
(86)【国際出願番号】EP2013073996
(87)【国際公開番号】WO2014076262
(87)【国際公開日】20140522
【審査請求日】2015年6月16日
(31)【優先権主張番号】02423/12
(32)【優先日】2012年11月16日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】513233632
【氏名又は名称】ハリー・ウィンストン・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】オルニー,フランク−シャルル−シリル
(72)【発明者】
【氏名】ジラルダン,ジョニー,フレデリク
【審査官】 櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−211865(JP,A)
【文献】 特開平11−160457(JP,A)
【文献】 米国特許第04796240(US,A)
【文献】 特開2011−027618(JP,A)
【文献】 特開平05−128695(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0040880(US,A1)
【文献】 特表2008−544241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 19/20
19/16
19/04
19/00
21/00
25/00
G04C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
いくつかの情報支持体(8)を備え、いくつかの互いに異なる測時情報項を表示するための表示機構であって、前記情報支持体(8)の各々に前記測時情報項目のうちの1つが現れる表示機構において、前記表示機構はさらに、前記情報支持体(8)が中に格納される収容箱(6)と、表示される前記測時情報項目に応じて可動式に、択した情報支持体(8)を受け入れるように構成されたプラットフォーム(10)と、前記収容箱内(6)の格納用非作動位置と前記プラットフォーム(10)上の動作用作動位置との間で、前記選択した情報支持体(8)を動かすための第1の移動手段(12)であって、前記収容箱(6)と前記プラットフォーム(10)との間に取り付けられる第1の移動手段(12)と、前記第1の移動手段(12)を制御するための制御手段(14)とを備えることを特徴とする、表示機構。
【請求項2】
前記収容箱(6)は、れぞが1つの情報支持体(8)を受け入れるように構成された、積層された様々な第1のハウジング(38)を備えることと、前記収容箱(6)は、前記選択した情報支持体(8)を前記第1の移動手段(12)の高さに持って行くために並進運動するように取り付けられることを特徴とする、請求項1に記載の表示機構。
【請求項3】
記選択した情報支持体(8)を前記第1の移動手段(12)の高さに持って行くために前記収容箱(6)を動かすように構成された第1の作動手段(40)を備えることを特徴とする、請求項2に記載の表示機構。
【請求項4】
前記情報支持体(8)は、前記測時情報項目を有するディスク(16)であって、前記測時情報項目を有する前記ディスク(16)を前記プラットフォーム(10)上に配置するための第1の配置手段を備える、前記ディスク(16)と、前記測時情報項目を有する前記ディスク(16)が自由回転するように取り付けられたリング(22)であって、前記情報支持体(8)を前記収容箱(6)に配置するための第2の配置手段(30)を備える、前記リング(22)とを備えることを特徴とする、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の表示機構。
【請求項5】
前記リング(22)はさらに、前記選択した情報支持体(8)の前記第1の移動手段(12)を受け入れるように構成された第2のハウジング(32)を備えることを特徴とする、請求項4に記載の表示機構。
【請求項6】
前記選択した情報支持体(8)の前記第1の移動手段(12)は、前記収容箱(6)と前記プラットフォーム(10)との間で回転式に取り付けられたアームであって、前記選択した情報支持体(8)を把持するための把持手段を有するアーム(80)を備えることを特徴とする、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の表示機構。
【請求項7】
前記プラットフォーム(10)は、該プラットフォーム(10)上で表示される測時情報項目と同じ数だけクラウン車(112a、112b)を備え、各々の前記クラウン車(112a、112b)は、1つの関連する情報支持体(8)を受け入れるように構成され、前記関連する情報支持体(8)に表示された測時情報項目に応じて選択された速度で回転運動できることを特徴とする、請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の表示機構。
【請求項8】
々の前記クラウン車(112a、112b)は、前記測時情報項目を有する前記ディスク(16)を配置するための前記第1の配置手段と協働するように構成された第3の配置手段を備え、前記第1の配置手段および前記第3の配置手段は、前記測時情報項目を有する前記ディスク(16)がそれに関連する前記クラウン車(112a、112b)に配置されて前記関連する測時情報項目を正しく表示するように構成されることを特徴とする、請求項4を引用する請求項7に記載の表示機構。
【請求項9】
前記クラウン車(112a、112b)に構成された前記第3の配置手段は、前記選択した情報支持体(8)を前記プラットフォーム上のしかるべき場所に設定するための低位置と、前記選択した情報支持体(8)とそれに関連する前記クラウン車(112a、112b)との間で協働させる高位置との間を並進運動できることを特徴とする、請求項に記載の表示機構。
【請求項10】
前記プラットフォーム(10)は、前記クラウン車(112a、112b)に構成された前記第3の配置手段をその前記低位置と前記高位置との間で並進運動させるように構成された第2の移動手段(126)を備えることを特徴とする、請求項9に記載の表示機構。
【請求項11】
らに、前記プラットフォーム(10)上に配置された前記選択した情報支持体(8)を、前記選択した情報支持体(8)が関連する前記クラウン車(112a、112b)と協働するまで回転させるように構成された連結手段を備えることを特徴とする、請求項〜10のうちいずれか一項に記載の表示機構。
【請求項12】
らに、前記連結手段を作動させるための第2の作動手段を備えることを特徴とする、請求項11に記載の表示機構。
【請求項13】
前記選択した情報支持体(8)の前記第1の移動手段(12)の前記制御手段(14)は、中央に置かれた制御ユニット(88)を備え、該制御ユニットは、前記クラウン車(112a、112b)に設けられた前記第3の配置手段の前記第2の移動手段(126)および前記連結手段を作動させるための前記第2の作動手段を制御するようにも構成されることを特徴とする、請求項1を引用する請求項10を引用する請求項12に記載の表示機構。
【請求項14】
記情報支持体(8)が作動位置または非作動位置にあるときに、前記第1の移動手段(12)を確実に保持するように構成された第1の安全装置を備えることを特徴とする、請求項1〜13のうちいずれか一項に記載の表示機構。
【請求項15】
前記収容箱(6)が正しく配置されていないときに、前記第1の移動手段(12)のどのような動きも防止するように構成された、前記表示機構を始動させる第2の安全装置を備えることを特徴とする、請求項1〜14のうちいずれか一項に記載の表示機構。
【請求項16】
前記第1の移動手段(12)が前記収容箱(6)の正面に構成されていないときに、前記収容箱(6)のどのような動きも防止するように構成された第3の安全装置を備えることを特徴とする、請求項1〜15のうちいずれか一項に記載の表示機構。
【請求項17】
請求項1〜16のうちいずれか一項に記載の表示機構を備える時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式時計に関する。本発明は、さらに詳細には、いくつかの情報支持体を備え、いくつかの互いに異なる測時情報項目を表示するための表示機構であって、情報支持体の各々に前記測時情報項目のうちの1つが現れる表示機構に関する。本発明は、このような表示機構を備える時計にも関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの情報支持体を備え、いくつかの互いに異なる測時情報項目を表示するためのこのような表示機構であって、この支持体の各々に前記測時情報項目のうちの1つが現れる表示機構は、通常文字盤に、日付、様々なタイムゾーンでの時間、月相などの様々な測時情報項目を表示する機械式時計で使用される。
【0003】
これらの測時情報項目は、時計の文字盤上に配置された様々な開口または指標を用いて表示される。時計が組み立てられた時点で、文字盤に表示された様々な測時情報項目の位置は不変になるため、文字盤の外観を修正することは不可能になる。
【0004】
さらに、使用者が必ずしも測時情報項目の表示を望んでいないとしても、測時情報項目はすべて常に見えている。
【0005】
さらに、各情報支持体およびその作動機構は、文字盤の下に相当な量の空間を占領するため、文字盤およびムーブメントは極めて雑然としていて、他の表示または他の機構に対する余地が残っていない。
【0006】
この問題を克服するための1つの解決策は、欧州特許第1922591号に提供された。この文献では、選択した表示情報の種類に応じて関連するカムが選択されたときに、運動学的にカムに接続している2つの回転するインジケータを使用してインジケータを「更新」することが開示されている。カムは、フィンガによって選択され、このフィンガは、並進運動してカムの情報を読み取り、それを関連するインジケータに伝達して「更新する」。しかしながら、この表示機構では、インジケータが開口の後ろに固定されているため、文字盤の外観を変更できない。さらに、使用されるインジケータは、表示する情報の種類に関わらず同じである。これはつまり、表示する情報が同種類のものでなければならないということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第1922591号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、表示される測時情報項目の選択を可能にする表示機構を提供してこれらの欠点を克服することが本発明の目的である。
【0009】
様々な測時情報項目を文字盤上の同じ場所に表示して、他の表示または機構のために利用可能なスペースを残すことを可能にする表示機構を提供することが、本発明のもう1つの目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このようにするために、本発明によれば、いくつかの情報支持体を備え、いくつかの互いに異なる測時情報項目を表示するための表示機構であって、各々の情報支持体に前記測時情報項目のうちの1つが現れる表示機構が提供される。
【0011】
本発明によれば、表示機構はさらに、格納用非作動位置にある前記情報支持体が中に格納される収容箱と、表示される測時情報項目に応じて可動式に、動作用作動位置にある選択した情報支持体を受け入れるように構成されたプラットフォームと、収容箱内の前記格納用非作動位置とプラットフォーム上の前記動作用作動位置との間で、選択した情報支持体を動かすための第1の移動手段であって、収容箱とプラットフォームとの間に取り付けられる第1の移動手段と、前記第1の移動手段を制御するための制御手段とを備える。
【0012】
収容箱は、積層された様々なハウジングを備えることができ、それぞれのハウジングが1つの情報支持体を受け入れるように構成される。さらに、前記収容箱は、選択した情報支持体を第1の移動手段の高さに持って行くために並進運動するように取り付けられる。
【0013】
好ましくは、表示機構は、選択した情報支持体を第1の移動手段の高さに持って行くために収容箱を動かすように構成された第1の作動手段を備える。
【0014】
本発明の好適な実施形態によれば、情報支持体は、測時情報項目を有するディスクであって、前記ディスクをプラットフォーム上に配置するための第1の配置手段を備えるディスクと、ディスクが自由回転するように取り付けられたリングであって、情報支持体を収容箱に配置するための第2の配置手段を備えるリングとを備える。リングは、選択した情報支持体の第1の移動手段を受け入れるように構成されたハウジングも備えていてよい。
【0015】
有利には、選択した情報支持体の第1の移動手段は、収容箱とプラットフォームとの間で回転するように取り付けられたアームであって、選択した情報支持体を把持するための把持手段を有するアームを備える。
【0016】
有利には、プラットフォームは、プラットフォーム上で表示される測時情報項目と同じ数だけクラウン車を備え、各々の前記クラウン車は、関連する情報支持体を受け入れるように構成され、関連する情報支持体に表示された測時情報項目に応じて選択された速度で回転運動できる。
【0017】
好ましくは、各クラウン車は、測時情報項目を有するディスクを配置するための第1の配置手段と協働するように構成された第3の配置手段を備え、第1の配置手段および第3の配置手段は、測時情報項目を有するディスクが関連するクラウン車に配置されて関連する測時情報項目を正しく表示するように構成される。
【0018】
好ましくは、クラウン車に構成された第3の配置手段は、選択した情報支持体をプラットフォーム上のしかるべき場所に設定するための低位置と、選択した情報支持体とそれに関連するクラウン車との間で協働させる高位置との間を並進運動できる。有利には、プラットフォームは、クラウン車に構成された第3の配置手段をその低位置と高位置との間で並進運動させるように構成された第2の移動手段を備える。
【0019】
本発明による機構はさらに、プラットフォーム上に配置された選択した情報支持体を、前記選択した情報支持体が関連するクラウン車と協働するまで回転させるように構成された連結手段を備える。
【0020】
本機構は、連結手段を作動させるための第2の作動手段を備える。
【0021】
好ましくは、選択した情報支持体の前記第1の移動手段の制御手段は、中央に置かれた制御ユニットを備え、この制御ユニットは、クラウン車に設けられた第3の配置手段の第2の移動手段および連結手段を作動させるための第2の作動手段を制御するようにも構成される。
【0022】
本発明は、上に定義したような表示機構を備える時計にも関する。
【0023】
この表示機構により、表示する測時情報項目を選択することが可能になり、この情報は、表示できる他の測時情報項目とは異なる性質のものであってよく、他の情報支持体とは異なる情報支持体を選択して文字盤の外観を変更することも可能になる。
【0024】
本発明は、例として挙げ図面を参照して記載した以下の一実施形態を読むことで、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明による表示機構の要素を備える時計ムーブメントの斜視図である。
図2】上部分の要素を取り除いた図1の時計ムーブメントの斜視図である。
図3図3aは、本発明で使用した情報支持体の上面図である。図3bは、本発明で使用した情報支持体のAA軸に沿った断面図である。図3cは、本発明で使用した情報支持体の斜視図である。
図4a】本発明で使用した収容箱の断面図であり、情報支持体の1つを前記収容箱から取り除いた図である。
図4b】本発明で使用した収容箱の断面図であり、情報支持体すべてが非作動位置にある図である。
図5】第1の作動手段の部分斜視図である。
図6】情報支持体の第1の移動手段およびその制御手段の斜視図である。
図7】情報支持体が上に設置されているプラットフォームの断面図である。
図8】連結手段の斜視図である。
図9】制御ユニットおよび第1の移動手段をしかるべき位置に確実に保持するための第1の安全装置の斜視図である。
図10】第1の移動手段をしかるべき位置に確実に保持するための第1の安全装置の上面図である。
図11】第1の移動手段をしかるべき位置に確実に保持するための第1の安全装置の下面図である。
図12】情報支持体が非作動位置にあるときの前記第1の安全装置の図である。
図13】情報支持体が作動位置にあるときの前記第1の安全装置の図である。
図14】表示機構を始動させるための始動手段の斜視図である。
図15】表示機構の始動の第2の安全装置の斜視図である。
図16】表示機構の始動の第2の安全装置の図であり、前記機構が正常な動作位置にある図である。
図17】表示機構の始動の第2の安全装置の図であり、前記機構が非連結位置にある図である。
図18】第1の移動手段が収容箱の正面に構成されなくなったときに、収容箱が動くのを防止する第3の安全装置の斜視図である。
図19】第1の移動手段が収容箱の正面に構成されなくなったときに、収容箱が動くのを防止する第3の安全装置の下面図である。
図20】第1の移動手段が収容箱の正面に構成されたときの第3の安全装置の斜視図である。
図21】第1の移動手段が収容箱の正面に構成されたときの第3の安全装置の下面図である。
図22】第3の安全装置のレバーに接続された第1の安全装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1および図2を参照すると、本発明による表示機構と、レトログラード針2および分のメモリを有する円弧部4による分表示とを備える時計ムーブメント1が示されている。
【0027】
本発明によれば、表示機構は、収容箱6が上に構成されているフレームであって、収容箱の中に前記情報支持体8が格納用非作動位置で格納されているフレームと、表示される情報の測時情報項目に応じて可動式に、選択した情報支持体8を動作用作動位置で受け入れるように構成されたプラットフォーム10と、収容箱6内の前記格納用非作動位置とプラットフォーム10上の前記動作用作動位置との間で、選択した情報支持体8を動かすための第1の移動手段12であって、収容箱6とプラットフォーム10との間に取り付けられる前記第1の移動手段12と、前記第1の移動手段を制御するための制御手段14とを備える。
【0028】
さらに詳細には、図3a、図3b、図3cを参照すると、各情報支持体8は、測時情報項目を有するディスク16を備えている。測時情報項目は、目盛りや数字の形態、またはその他の任意の適切な形態で表されてよく、例えば、タイムゾーン内の時刻、日付、月相などに相当してよい。表示される測時情報項目を特定する指標は、情報支持体のガラスに設けられる。測時情報項目をディスク16上に針などの指標の形態で表し、目盛りを情報支持体のガラス上に設けるという逆の構成が可能であることは明らかである。さらに、ディスク16は、中実のディスクの形態であってもよいし、他の情報支持体と同軸のリングを形成する中央の開口を有するディスクであってもよい。いくつかの同心リングの形態である情報支持体は、例えば、十の位の数字と一の位の数字が2つの異なるリングに配置されている大きな日付を表示するのに使用できる。そのため、プラットフォームは、リングどうしを同時にそれぞれの速度で回転させるように構成される。プラットフォームによるリングのそれぞれの駆動が動きを形成するように、リングはどのような適切な模様を有していてもよい。
【0029】
測時情報項目を有するディスクは地板17と一体化し、地板は、その外側を向いた底面に、測時情報項目を有する前記ディスク16をプラットフォーム10上に配置するための第1の配置手段を備える。前記測時情報項目を有するディスク16をプラットフォーム10上に配置するための前記第1の配置手段は、有利には、楕円形の開口および円形の孔で形成され、それぞれの開口が、プラットフォーム10上に構成された駆動ピンおよびポイントピンを受け入れることができ、これについては以下で見ていく。地板17は、もう1つの情報支持体に対応する駆動ピンおよびポイントピンを自由に動かすように構成された円形溝18も備えている。
【0030】
地板17は外周歯20も備え、この機能については以下に説明していく。
【0031】
情報支持体8はリング22も備え、このリングの内部に、測時情報項目を有するディスク16およびその地板17が構成される。アセンブリは、ガラス24によって閉鎖され、このガラス上には、表示される測時情報項目を特定するための指標26が示される。
【0032】
測時情報項目を有するディスク16およびその地板17は、ボールベアリング25を介してガラス24と一体化した軸28周りにリング22の中で自由回転するように取り付けられる。
【0033】
リング22は、情報支持体8を収容箱6内に配置するための第2の配置手段30を形成するハウジングを備えている。
【0034】
リング22はさらに、選択した情報支持体8を動かすための第1の移動手段12を受け入れるように構成されたハウジング32を備えている。
【0035】
ガラス24には、対応する切り込み部が設けられる。
【0036】
リング22は、ディスク16を連結するための連結手段を通すように構成された切り込み部34も備え、これについては以下に説明していく。
【0037】
図4aおよび図4bを参照すると、収容箱6はプレート36を備え、このプレートには様々なハウジング38が積層され、それぞれのハウジングが情報支持体8を受け入れるように構成される。プレート36の下には第1の作動手段40が構成され、同手段は、選択した情報支持体8を第1の移動手段の高さに持って行くように収容箱6を動かすように構成される。前記第1の作動手段40については以下に説明していく。
【0038】
ムーブメントは固定フレーム42を備え、この固定フレームの内部には、ムーブメントの全体平面に対して垂直に並進運動するように前記収容箱6が取り付けられ、選択した情報支持体8を動かして第1の移動手段の高さまで持って行くことができるようになっている。収容箱は、ムーブメントの全体平面に対して傾斜した面で可動式になるように構成されてよいことは明らかである。
【0039】
さらに詳細には、固定フレーム42は、下ブリッジ44、中間ブリッジ(図示せず)および上ブリッジ46を備え、これらのブリッジはフレームと一体化している。
【0040】
固定フレーム42は、下ブリッジ44と中間ブリッジとの間に取り付けられた第1セットのピン48も備え、このピンに沿って収容箱6のプレート36がムーブメントの全体平面に対して垂直にスライドする。固定フレーム42は、下ブリッジ44と上ブリッジ46との間に取り付けられた第2セットのピン50も備えている。収容箱6のプレート36および情報支持体8は、ムーブメントの全体平面に対して垂直に、前記第2セットのピン50に沿ってスライドするように構成され、前記ピン50は、特に、情報支持体8のリング22に設けられたハウジング30の中に挿入される。さらに、各ピン50は、図4aにさらに詳細に示したように、通路を形成し、選択した情報支持体8を収容箱6から抜き出せるように途切れている。
【0041】
収容箱6の最上部には、収容箱6の上ハウジングに取り付けられた軸54周りに回転運動するように取り付けられた情報支持体52がある。この情報支持体52は、例えばディスクであり、このディスクは、前記ディスクを保護しているガラスに設けられた指標を用いて現地時間を表示するための目盛りを備えている。前記情報支持体52は、収容箱6に格納されている他の情報支持体8とともに並進運動するが、情報支持体のハウジング内にとどまっている。
【0042】
前記情報支持体52は、外歯58を有するクラウン車56と一体化している。固定フレーム42には軸59も設けられ(図1および図2に見られる)、この軸は、回転式に取り付けられて、軸の上端には、クラウン車56の外歯58と噛み合うピニオン60を備え、下端には、時間の速度で情報支持体52を回転させるための時間歯車に運動学的に接続している一連の中間車からなる第1の要素を備えている。ピニオン60は、情報支持体52が収容箱6と共にスライドするときにクラウン車56の外歯58が前記ピニオン60と噛み合ったままになるように十分に長い。
【0043】
図5を参照すると、収容箱6を動かすように構成された第1の作動手段40は、選択アーム62を備え、この選択アームは、使用者がアクセスでき、プレート240と一体化し、このプレートは、固定フレーム42上で回転するように取り付けられ、その結果、選択アーム62の角度のある動きにより、収容箱6のプレート36が並進運動する。このようにするために、プレート240上で回転するように取り付けられたピニオン64を備える減速輪列が設けられる。前記ピニオン64は、フレームに構成された固定歯車68の内歯66と噛み合い、内ねじ山75のあるナット74と一体化した歯車72と協働する歯車70とも一体化している。ナット74の内ねじ山75と協働するように構成された外ねじ山を有するねじ76も、プレート36と一体化して設けられる。
【0044】
このように、選択アーム62の角度のある動きにより、ピニオン64の角度のある動きが起こり、このピニオンが歯66と協働してピニオンの軸で回転し、歯車70を回転駆動させ、これが今度は歯車72およびナット74を回転駆動させる。ナット74の回転によりねじ76が並進運動し、これによってプレート36および収容箱6が並進運動する。
【0045】
図2および図5を参照すると、選択した情報支持体8を動かすための第1の移動手段12は、アーム80を備え、このアームは、収容箱6とプラットフォーム10との間に回転式に取り付けられ、前記アーム80は、選択した情報支持体8を把持するための把持手段を有し、選択した情報支持体を収容箱6内にあるそのハウジング38から抜き出すように構成される。さらに詳細には、アーム80は、2つの分枝を有するフォークの形状で、その端部には、情報支持体8のリング22に設けられたハウジング32に収容されるように構成された突出部81がある。アーム80の分枝は、選択した情報支持体8のリング22の周囲に配置されるようなサイズである。有利には、ピン50を用いて情報支持体8を収容箱6内に配置するのに使用する1つまたは2のハウジング30を、アーム80の1つまたは2つの突出部81を収容するためのハウジング32として使用してもよい。
【0046】
アーム80は、独立した香箱234によって駆動され(図14を参照)、押圧部品248(図1および図14を参照)、またはその他の任意の適切な手段によって作動する。アーム80の中心には、アーム80の香箱の保有量を示すように構成されたサイクル保有材82がある。1サイクルは、1つの情報支持体8が出てそれが収容箱6の内部に戻るまでに相当する。サイクル保有材82の表示は、引っ張るような表示である。
【0047】
アーム80は、作動歯車84に一体的に取り付けられ、アセンブリは、フレームに取り付けられた軸86周りに自由回転するように取り付けられ、前記軸86は、中心に置かれた制御ユニット88が回転する中心となる軸である。この中心に置かれた制御ユニット88は、特に、時計回り方向にアームを制御するための歯車90と、反時計回り方向にアームを制御するための歯車92と、図1に見られるピニオン95を介してアーム80を駆動する独立した香箱に運動学的に接続している動力車94とを一体的に連結した形で備えている。
【0048】
時計回り方向にアームを制御する歯車90および反時計回り方向にアームを制御する歯車92はそれぞれ、アーム80の動きが前記制御歯車の60°の回転に一致するように、60°に構成された歯付部分を備えている。
【0049】
アーム80の作動歯車84を時計回り方向または反時計回り方向に回転させる逆ピニオンセットも設けられている。このセットは、フレーム上で自由回転するように取り付けられた2つの一体化したピニオン、すなわち、アームを時計回りに制御する歯車90の歯付き部分と協働するように構成されたピニオン96と、アーム80の作動歯車84と協働するように構成されたピニオン98とからなるセットを備える。フレーム上で自由回転するように取り付けられたピニオン100も設けられ、このピニオンは、一方では、アームを反時計回りに制御する歯車92の歯付き部分と協働し、もう一方では、フレーム上で自由回転するように取り付けられてアーム80の作動歯車84と協働するように構成されるもう1つのピニオン102と協働する。アームを時計回りに制御する歯車90と、アームを反時計回りに制御する歯車92との歯付き部分は、歯付き部分の一方が逆のセットの対応するピニオンの正面に到達したときに、もう一方の歯付き部分が逆のセットの対応するピニオンと協働しないように構成される。
【0050】
ピニオン96〜98の軸およびピニオン100の軸には、フレーム上で自由回転するように取り付けられ配置レバー101(図1に見られる)とそれぞれが協働するように構成された平坦部97が設けられている。配置レバーは、平坦な側面のエッジを有し、このエッジは、平坦部97と協働してピニオン96〜98および100を回転させ、サイクルが終了したときにこれらのピニオンを再び完全に配置するように構成される。
【0051】
中心に置かれた制御ユニット88は、脱進機による調節器の類の(図1に見られる)調節機構104を用いて調節され、この調節機構は、中間車の輪列を備え、この輪列の最初の要素は動力車94と噛み合い、最後の要素は、アンクルと協働するガンギ車106と噛み合う。この種の機構は当業者に公知のものであり、これ以上の詳細は必要ない。
【0052】
中央に置かれた制御ユニット88は、2つの歯を備える安全車108も備え、この安全車は、カムのように作用してジャンパー(図示せず)を作動させ、安全車が動いている間にアーム80にかかる全圧力を解放するとともに、アーム80を押圧しながら安全車を再配置して、情報支持体8が作動位置または非作動位置にあるときに、アーム80を正確に配置するようにする。
【0053】
図9から図13に示したもう1つの変形実施形態によれば、情報支持体8が作動位置または非作動位置にあるときに、第1の移動手段12、さらに詳細にはアーム80の位置を確実に保持するための第1の安全装置が設けられる。このようにするために、安全装置は安全レバー200を備え、この安全レバーは、アーム80が情報支持体8を作動位置または非作動位置に設置した時点で前記アーム80に圧力をかけてこのアームをその場に保持する作動位置と、アーム80を自由に動かして情報支持体8を作動位置または非作動位置に設置する作動解除位置との間を操作するように構成される。安全装置は、安全装置を作動位置に配置するように構成された前記安全レバー200を作動させる手段、および前記安全レバーを作動解除して安全装置を作動解除位置に配置する手段も備えている。さらに詳細には、図10を参照すると、安全装置はブリッジ202を備え、このブリッジの片側には安全レバー200が回転式に取り付けられる。レバーは、その各端部に突出部200a、200bを備え、この突出部の形状は、アーム80に設けられたピン204、206とそれぞれが可能な限り最良な形で接触できるように決定される(図9図12および図13を参照)。さらに、安全レバーは、ラックの形状をした補足的な横方向の枝片200cを備え、この機能については以下に説明していく。安全レバー200にはジャンパー208も備わっている。
【0054】
安全レバー200を作動させる手段は、安全レバー200の反対側でブリッジ202に回転式に取り付けられた歯付き部分を備える作動ピニオン210と、安全レバーと同じ側でブリッジに回転式に取り付けられた2つのピニオン212、214とを備え、第1のピニオン212は、作動ピニオン210と一体化し、第2のピニオン214は、一方では第1のピニオン212と協働し、もう一方では安全レバー200の補足的な枝片200cのラックと協働する。図11に示したように、作動手段は、作動ピニオン210と同じ側でブリッジ202上で回転するように取り付けられた作動カム216も備え、前記作動カム216は、第2のピニオン214と一体化している。
【0055】
図11を参照すると、作動解除手段は、作動ピニオン210と同じ側でブリッジ202に回転式に取り付けられた作動解除レバー218を備えている。作動解除レバー218は作動解除フィンガ220を備え、この機能については以下に説明していく。作動解除レバー218は、作動カム216と協働してこのカムをロックするように構成された突起部222も備えている。作動解除レバー218にはジャンパー224が設けられる。
【0056】
さらに、図10に示したように、中央に置かれた制御ユニット88は、作動ピニオン210の歯付き部分と協働するように構成された歯付き部分227、228と、作動解除レバー218の作動解除フィンガ220と協働するように構成された2つの歯229、230とを有する安全車226を備えている。歯付き部分227、228および歯229、230は、安全装置を適切な時間に始動させるように、安全車226全体にわたって分散されている。
【0057】
安全装置の動作は以下の通りである。図12を参照すると、アーム80が収容箱6の正面に来たとき、情報支持体は非作動位置にあり、安全レバー200は作動位置にあり、突出部200aは、アーム80をこの位置に保持するようにピン204を押圧している。作動カム216は、作動機構全体がロックされるように、これによってラック200cもロックされるように、突起部222によってロックされる。したがって、安全レバー200は、アーム80に対して動かなくなる。使用者がサイクルを始動させると、安全車226が回転するため、歯229、230のうちの一方が作動解除フィンガ220と協働して作動解除レバー218を持ち上げ、これによって作動カム216を解放する。そのため、作動機構はロックされなくなるため、ラック200c、およびそれに伴い安全レバー200は、その作動解除位置になる。そのため、アーム80は解放されることができ、回転できる。アーム80がプラットフォーム10の正面に配置されて情報支持体を作動位置に置くと、安全車226が回転するため、歯付き部分227、228の一方が作動ピニオン210と協働してこのピニオンを回転させる。作動ピニオン210の回転により、第1のピニオン212およびこれに伴い第2のピニオン214が回転し、さらにそれによって作動カム216が回転するとともに、安全レバー200のラック200cも回転する。安全レバー200は、持ち上げられ、その突出部200bをピン206に対して再配置し、図13に示したように、安全レバー200を押圧してこのレバーをその場に保持する。これと同時に、作動カム216は、作動解除レバー218の突起部222と協働してこのレバーをロックするまで回転し、その結果、安全装置が作動してロックされる。その後、同じ作動と作動解除のサイクルが再び始まる。
【0058】
中央に置かれた制御ユニット88の他の要素について以下に説明していく。
【0059】
図2および図7を参照すると、プラットフォーム10は、同心のクラウン車112を、プラットフォーム10上に表示される測時情報項目と同じ数だけ備え、各々の前記クラウン車112は、関連する情報支持体8を受け入れるように構成される。さらに、各クラウン車112は、関連する情報支持体8に表示されている測時情報項目に応じて選択された速度で常に回転運動が可能である。これを達成するため、各クラウン車112は、環状プレート114と一体化し、一方このプレートは駆動車と一体化し、この駆動車は、選択された情報項目に対応する機構に運動学的に接続し、環状プレート114、およびこれに伴いクラウン車112を適切な速度で駆動させることができる。例えば、クラウン車112aは、日付を表示する情報支持体を運搬するのに使用されるクラウン車であり、環状プレート114aと一体化し、一方この環状プレートは、ムーブメントの日付用の車と運動学的に接続している駆動クラウン車116と一体化している。クラウン車112bは、現地時間とは異なるタイムゾーンでの時間を表示する情報支持体を運搬するのに使用されるクラウン車であり、環状プレート114bと一体化し、一方この環状プレートは、タイムゾーンの時間用の車に運動学的に接続している駆動クラウン車118と一体化している。この時間を修正するための機構を設けることができ、その機構は、特に、修正用のクラウン車120を備えている。
【0060】
さらに、各クラウン車112は、測時情報項目を有するディスクを配置するための第1の配置手段と協働するように構成された第3の配置手段を備え、第1の配置手段および第3の配置手段は、測時情報項目を有するディスク16が関連するクラウン車112に配置されて、関連する測時情報項目を正しく表示するように構成される。
【0061】
上記で見たように、クラウン車112a、112bに設けられた前記第3の配置手段は、有利には、ディスク16の地板17に設けられた楕円形の開口と協働するように構成された駆動ピン115a、115bと、ディスク16の地板17に設けられた円形孔と協働するように構成されたポイントピン117a、117bとで形成される。
【0062】
クラウン車112a、112bに構成された第3の配置手段は、選択した情報支持体8をプラットフォーム10上のしかるべき場所に設定するための低位置と、選択した情報支持体8とそれに関連するクラウン車112a、112bとの間で協働させる高位置との間を並進運動できる。
【0063】
さらに詳細には、各クラウン車112a、112bとそれに関連する環状プレート114a、114bとの間には、クラウン車112a、112bおよび関連するプレート114a、114bと回転式に一体化した中間リング119a、119bが設けられるが、このリングは、前記クラウン車112a、112bと前記関連する環状プレート114a、114bとの間で、ムーブメントの全体平面に対して垂直に自由に並進運動する。
【0064】
同じように、駆動ピン115a、115bおよびポイントピン117a、117bは、前記クラウン車112a、112bと前記関連する環状プレート114a、114bとの間で、前記低位置と前記高位置との間を、ムーブメントの全体平面に対して垂直に自由に並進運動する。
【0065】
駆動ピン115a、115bおよびポイントピン117a、117bは、このピンのそれぞれの中間リング119a、119bを貫通するように取り付けられ、関連する中間リング119a、119bと一体化させるための環状リムを備えている。
【0066】
これらの様々なクラウン車ならびに関連する環状プレートおよび中間リングは、フレームと一体化した軸122周りに、かつ同軸の軸124周りに回転式に取り付けられ、軸124自体は、ムーブメントの全体平面に対して垂直に並進運動できる。
【0067】
軸124は、一体化した中央プレート138を有し、このプレートは、上方肩部139を備え、この肩部には、ディスク16の軸28が配置され、この軸のボールベアリング25は、前記上方肩部139の周りに配置される。駆動ピン115a、115bおよびポイントピン117a、117bは、関連するディスク16の地板17に構成された楕円形の開口および円形の孔に係合するか、あるいはそれには関連していないディスクの円形溝18に係合するかのいずれかであり、この円形溝内で、前記駆動ピン115a、115bおよびポイントピン117a、117bは自由に動くことができる。
【0068】
中央プレート138は、中間リング119bの内周の上に広がっている。中間リング119bの外周は、中間リング119aの内周に構成された肩部の上に広がっている。プレート119a、119bおよび138は、互いに対して自由である。そのため、軸124が下向きに並進運動すると、中央プレート138は中間リング119bを押圧し、この中間リングはリング119aを押圧するため、駆動ピン115a、115bおよびポイントピン117a、117bは低位置に下がる。
【0069】
中央プレート138が圧力をかけなくなったときに各々の中間リング119a、119bを持ち上げるために、板ばね121がそれぞれに設けられ、その結果、駆動ピン115a、115bおよびポイントピン117a、117bは、再び高位置に上がる。
【0070】
駆動ピン115a、115bおよびポイントピン117a117bがその低位置と高位置との間でムーブメントの全体平面に対して垂直に並進運動するのは、プラットフォーム10に設けられた第2の移動手段によって達成される。
【0071】
前記第2の移動手段126は、中間リング119a、119b、軸124およびその中央プレート138を備えるほか、必要な中間車を介してプラットフォーム10の制御車130と協働するように構成された歯の付いたクラウン車128を備え、プラットフォームは、中央に置かれた制御ユニット88の他の制御車と一体化している。プラットフォーム10の制御車130は、プラットフォーム10の前記制御車130全体にわたって30°に分散された4つの歯付き部分を備えているため、プラットフォーム10の制御車130が30°回転することで、歯の付いたクラウン車128がプラットフォーム10の制御車130の歯付き部分に運動学的に接続しているときに、駆動ピン115a、115bおよびポイントピン117a、117bが高位置に上がるか、あるいは低位置に下がる。
【0072】
歯の付いたクラウン車128はチューブ132と一体化し、このチューブは、フレームに固定された軸134周りに回転式に取り付けられ、この軸は、軸122および軸124と同軸であり、チューブはこの軸周りに取り付けられる。チューブ132は、その内周に螺旋形カム136を備え、このカムは、軸124の外周に設けられた螺旋形カムと協働するように構成されている。そのため、歯の付いたクラウン車128が回転することで、軸134にスライド式に取り付けられた軸124が、ムーブメントの全体平面に対して垂直に、上向きと下向きとの両方に並進運動し、これによって中央プレート138がムーブメントの全体平面に対して垂直に並進運動する。
【0073】
選択した情報支持体8をプラットフォーム10に配置するのを補助するため、本発明による機構はさらに、プラットフォーム10に配置されている選択した情報支持体8を、前記選択した情報支持体8が関連するクラウン車112a、112bと協働するまで回転させるように構成された連結手段を備えている。
【0074】
図8を参照すると、前記連結手段は、ムーブメントのフレームと一体化している連結構造150と、連結構造150に軸154周りに回転式取り付けられたレバー152とを備えている。レバー152には、連結ピニオン156と、摩擦システム158によって連結ピニオン156に接続している中間車の輪列の第1の要素とが回転式に取り付けられている。連結ピニオン156は、情報支持体8のリング22に構成された切り込み部34に係合するように構成されるとともに、ディスク16の地板に設けられた外周歯20と係合するように構成される。レバー152は連結ピニオン156を軽く傾けて離れ、選択した情報支持体8をプラットフォーム10に配置できるようにする。
【0075】
連結構造150に設けられたジャンパー160は、レバー152に設けられたピン162と協働して連結ピニオン156の配置を確実にする。
【0076】
中間車の輪列は車164も備え、この車は、連結構造150に取り付けられ、連結手段を作動させるための第2の作動手段に運動学的に接続している。連結手段を作動させるための前記第2の作動手段は、有利には連結制御車166で形成され、この連結制御車は、中央に置かれた制御ユニット88の他の制御車と一体化している。連結制御車166は、120°に歯の付いた部分を備えているため、連結制御車166が120°回転すると、ディスク16が最大で400°回転し、このディスクがそれに関連するクラウン車112a、112bと協働するように、駆動ピン115a、115bおよびポイントピン117a、117bが関連するディスクに正しく配置されるまで回転する。
【0077】
図示していない変形例によれば、ディスクは、その下面に、1つの旋律を表すピンを備えることができ、プラットフォームは、オルゴールと同じように、ピンと協働して旋律を形成するように構成された櫛部を備えることができる。様々な旋律を提供するために様々なディスクを設けてよい。そのような場合、プラットフォームは、ディスクが連結手段のみによって駆動されるように適応される。
【0078】
制御車の様々な歯付き部分は、選択した情報支持体8が収容箱から出て戻るサイクルの進行に応じて互いに対して構成される。
【0079】
このサイクルは以下のように起こる。使用者は、選択アーム62を作動させて収容箱6を並進運動させ、選択した情報支持体8をアーム80の高さまで持って行き、アームの突出部81が情報支持体のリング22に設けられたハウジング32に係合するようにする。サイクル保有材が十分な場合、使用者が押圧部品248などの機構を始動させるための始動手段を作動させるとサイクルが始まり、押圧部品は、香箱234の巻き解きを開始し、動力車94によって中央に置かれた制御ユニット88への動力供給を開始する。
【0080】
図14に示した表示機構を始動させるための始動手段の好適な実施形態によれば、本発明による表示機構を始動させるための前記始動手段は、一方のアームが第1の突起部262を備えているレバー260と一体化している押圧部品248と、突起部262と協働するように構成された突出部266を有するロックレバー264と、ロックレバー264と協働するように構成された香箱234のロックカム268とを備えている。使用者が押圧部品248を押圧すると、突起部262は、上がっているロックレバー264の突出部266と協働するため、ロックカム268が解放され、香箱234を回転させる。
【0081】
表示機構の始動手段も動力保有材269と協働するように構成される。このようにするために、レバー260のアームは、動力保有材のレバー272の一方のアームの端部に設けられたピン271と協働するように構成された第2の突起部270を備えている。前記動力保有材のレバー272のもう1つのアーム274は、動力保有材のカム276と協働する。動力保有材が使い果たされると、動力保有材のカム276は、動力保有材のレバー272が回転してそのピン271を第2の突起部270の行程上に配置するように配置される。そのため、使用者が押圧部品248を押圧すると、第2の突起部270はピン271と接触し、このピンは、第1の突起部262がロックレバー264まで動くのを防ぎ、このようにして機構始動手段を外す。
【0082】
さらに、動力保有材のレバー272は第2のピン254と一体化し、このピンの機能については以下に説明していく。
【0083】
図15から図17を参照すると、本発明の表示機構を始動させる第2の安全装置も設けられ、この安全装置は、収容箱6が移動後に正しく配置されているときに前記機構を正常な動作位置に置くように構成されるとともに、収容箱6が正しく配置されていないとき、さらに詳細には移動後に正しく配置されていないときに、第1の移動手段12のどのような動きも防止してアーム80の動きも防止する非連結位置に前記始動手段を置くように構成される。図15および図16を参照すると、表示機構を始動させるこの第2の安全装置は、情報支持体8と同数の配置部材を備えている。つまりこの場合は、プレート240に取り付けられた3つの配置部材242を備えている。各配置部材242は扇形であり、外周のエッジはノッチ243を含み、このノッチの機能については以下に説明していく。各配置部材242は、その中心に楕円形の開口244を備え、この開口に配置部材242の固定ねじ245が挿入される。これによって、各配置部材242の位置を正確に調整することが可能になる。表示機構を始動させる安全装置は、第1のレバー246も備え、この第1のレバーは、フレームに回転式に取り付けられ、ノッチ243に対応する配置突起部247を備えている。レバー246は、その配置突起部247が、収容箱6が移動後に正常な動作位置に来たときに一方のノッチ243に係合するように構成されるとともに、収容箱6が移動後に正しく再配置されなかったとき、かつ、図17に示したように、配置突起部247が一方のノッチ243に係合しなくなったときに、表示機構始動手段と協働する、さらに詳細には押圧部品248を外すように構成される。このようにするために、表示機構を始動させる安全装置は、第2のレバー250も備え、この第2のレバーは、フレームに回転式に取り付けられ、第1のレバー246と協働するように構成された第1のピン252を有する第1のアーム251を備えるとともに、配置突起部247が一方のノッチ243に係合していないときに、動力保有材のレバー272と一体化した第2のピン254を押圧するように構成された第2のアーム253を備える。そのため、配置用突起部247が一方のノッチ243に係合していないとき、第1のレバー246は、第1のピン252を押すことによって第2のレバー250を傾け、それによって第2のレバーの第2のアーム253は第2のピン254を動かし、それによって動力保有材のレバー272を動かす。動力保有材のレバーは回転し、前述したように、動力保有材が使い果たされたときと同じ位置になる。そのため、配置突起部247が一方のノッチ243に係合していないとき、香箱234はロックされたままになるため、アーム80は動くことができない。使用者が選択アーム62を作動させて、配置用突起部247が一方のノッチ243に係合するように収容箱6を正しく配置するまで、サイクルは停止する。第2のピン254およびそれに伴い動力保有材のレバー272は、押圧部品248を作動させることによって香箱234を解放できる配置にするように戻る。
【0084】
中央に置かれた制御ユニット88の制御車の様々な歯付き部分の構成は、第2の移動手段126、および特に歯の付いたクラウン車128が最初に作動して軸124を下げ、それから駆動ピン115a、115bおよびポイントピン117a、117bを低位置まで下げるというものである。
【0085】
中央に置かれた制御ユニット88の制御車の様々な歯付き部分の構成は、次にアーム80が、ピニオン96と協働してアームを時計回りに制御する車90によって時計回りに作動して、選択した情報支持体8をプラットフォーム10の上に持って行き、駆動ピン115a、115bおよびポイントピン117a、117bが低位置も戻るというものである。
【0086】
本発明のもう1つの変形実施形態では、アーム80が収容箱6の正面に配置されなくなったときに選択アームが作動した場合に、収容箱6が移動するのを防止するように構成される第3の安全装置を設けてよい。この変形例では、図18から図22を参照すると、図5に示した選択アーム62に相当する選択アームが今度は符号277で示され、ここではリング278と一体化し、アセンブリは、プレート240の下でフレームに回転式に取り付けられている。ピニオン64、内歯66、歯車70およびナット74と一体化した歯車72を備える作動手段40は、前述した内容と同じ状態のままである。
【0087】
前記第3の安全装置は、フレームに回転式に取り付けられて2つの一体化した枝片280a、280bを有するレバー280と、プレート240に回転式に取り付けられたカム281とを備えている。レバー280は、アーム80が収容箱6の正面に配置されたときに、このアームに設けられた枝片280bがピン207と協働できるように配置される(図9図12図13および図22を参照)。カム281は、ナット74の軸から中心がずれている全体的に円形の部分282を備え、この部分は、レバー280の枝片280aの端部に設けられたピン284と協働するように構成されたリム283を有する。カム281は、円形部分282と実質的に同心で楕円形の開口288を有するアーム286も備え、このアームの機能については以下に説明していく。第3の安全装置は、2つのクランプ290および292も備え、クランプ292は、プレート240を介して回転式に取り付けられた軸294(図20を参照)と一体化し、クランプ290は、クランプ292に設けられクランプ290のノッチ295と係合するフィンガ293によってクランプ292に接続している。軸294はアーム296を有し、このアームにはピン298が設けられ、このピンは、カム281の楕円形の開口288の中で動くように構成される。第3の安全装置はリング278も備え、このリングの周囲には2つのノッチ302があり、それぞれがクランプ290、292を受け入れるように構成される。そのため、アーム80が収容箱6とプラットフォーム10との間を動くとき、そのアームのピン207は離れ、レバー280の枝片280bを解放する。レバー280は、その戻りばね304の作用で回転するため、そのピン284は、カム281のリム283を押圧し、カムを回転させる。カム281の回転によってピン298が楕円形の開口288内で動き、軸294を回転させてこれによってクランプ292を回転させる。クランプ292は開き、そのノッチ302から解放される。もう一方のクランプ290も同じ動きをしてそのノッチから解放されるため、図18および図19に示したようにリング278がプレート240から離脱してはずれる。その結果、選択アーム277が角度をなして動けば、リング278はクランプ290および292の正面で回転し、クランプと協働できない。プレート240は回転駆動しないため、収容箱6を動かすための第1の作動手段は作動しない。したがって、収容箱6は、アーム80が再び収容箱6の正面に配置されない限り動けない。アーム80が収容箱6の正面に戻ると、そのピン207は再びレバー280の枝片280bを押圧してカム281を動かし、それによってピン298を動かし、これによって軸294が回転し、図20および図21に示したように、クランプ290および292は、リング278に設けられたクランプのノッチ302で閉じる。そのため、リング278は再びプレート240と一体的に接続し、前述したように選択アーム277の作動によって収容箱6が動かされる。
【0088】
中央に置かれた制御ユニット88の制御車の様々な歯付き部分の構成は、第2の移動手段126、および特に歯の付いたクラウン車128が、その後再び作動して、軸124を持ち上げ、それによって駆動ピン115a、115bおよびポイントピン117a、117bを高位置まで持ち上げるというものである。
【0089】
中央に置かれた制御ユニット88の制御車の様々な歯付き部分の構成は、ディスク16と噛み合っている連結ピニオン156が次に、関連する駆動ピン115a、115bおよび関連するポイントピン117a、117bがディスク16の地板17に正しく配置されるまで作動し、これによって連結ピニオン156を外すというものである。するとサイクルは停止し、中央に置かれた制御ユニット88の回転が停止する。
【0090】
ディスク16は、これ以降、それに関連するクラウン車112a、112bと一体化して作製され、表示された情報に応じて適切な速度でプラットフォーム上で回転する。プラットフォーム10の正面に配置されたアーム80に保持されたリング22は、ガラス24と同じように静止したままであり、これによって、ガラス24に構成された指標26を介して情報を読み取ることができる。クラウン車112a、112bは恒久的に回転するため、それに関連するディスク16がプラットフォーム10に配置されていないときでも、情報記憶が保持され、関連するディスク16がプラットフォーム10に置かれると、そのディスクは自動的に更新される。
【0091】
使用者がプラットフォーム10上のしかるべき場所にある情報支持体を再び修正したい場合、使用者は、押圧部品を作動させて香箱を再始動させ、中央に置かれた制御ユニット88を回転させる。
【0092】
中央に置かれた制御ユニット88の制御車の様々な歯付き部分の構成は、第2の移動手段126、および特に歯の付いたクラウン車128を再び作動させて軸124を下げ、それによって駆動ピン115a、115bおよびポイントピン117a、177bを低位置まで下げるというものである。
【0093】
中央に置かれた制御ユニット88の制御車の様々な歯付き部分の構成は、ピニオン100と協働しているアームを反時計回りに制御する車92によって、次にアーム80を反時計回りに作動させて、選択した情報支持体8を収容箱6の中に持って行くというものである。
【0094】
中央に置かれた制御ユニット88の制御車の様々な歯付き部分の構成は、次に、第2の移動手段126、および特に歯の付いたクラウン車128を再び作動させて、軸124を上げ、それによって駆動ピン115a、115bおよびポイントピン117a、177bを高位置まで上げるというものである。その後、サイクルは停止する。図4bに示したように、アーム80は、収容箱6の正面にとどまり、ストッパーとして作用して、その高さに置かれた情報支持体8が不注意で収容箱6から出るのを防止する。
【0095】
そのため、使用者は、プラットフォームに配置された情報支持体8を所望通りに修正して、同じ場所に別の測時情報項目を表示させることができる。
【0096】
本発明は、記載した実施形態に限定されないことは明らかである。特に、クラウン車の数は変化してよい。
【0097】
さらに、様々な安全装置およびプラットフォームまたは制御ユニットなどのその他の装置は、本発明の表示機構以外の機構で独立して使用してよい。例えば、第1の安全装置を使用して、クロノグラフのアームの位置を固定できる。第2の安全装置をベル機構内で使用して、その機構が時刻設定位置にあればベルが鳴らないようにできる。第3の安全装置をベル機構内で使用して、使用者がベル機構をすでに鳴らしていれば時刻設定されないようにできる。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図5
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図22