特許第6010237号(P6010237)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6010237改善された照明の均一性を有する照明装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010237
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】改善された照明の均一性を有する照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20161006BHJP
   F21V 3/04 20060101ALI20161006BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20161006BHJP
   F21V 7/04 20060101ALI20161006BHJP
   F21V 7/22 20060101ALI20161006BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20161006BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20161006BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20161006BHJP
【FI】
   F21S2/00 230
   F21V3/04 500
   F21V7/00 320
   F21V7/04 300
   F21V7/22 240
   H01L33/00 L
   F21Y103:10
   F21Y115:10
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-558510(P2015-558510)
(86)(22)【出願日】2014年11月13日
(65)【公表番号】特表2016-509352(P2016-509352A)
(43)【公表日】2016年3月24日
(86)【国際出願番号】EP2014074422
(87)【国際公開番号】WO2015074934
(87)【国際公開日】20150528
【審査請求日】2015年8月25日
(31)【優先権主張番号】13194208.8
(32)【優先日】2013年11月25日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100087789
【弁理士】
【氏名又は名称】津軽 進
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(72)【発明者】
【氏名】ヘームストラ テーウェ ヒープケ
【審査官】 丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−219340(JP,A)
【文献】 特表2008−547173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 3/04
F21V 7/00 − 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の軸に沿ってパターン状に配されていると共に第1の波長範囲の光を発する少なくとも2つの光源と、
前記少なくとも2つの光源から離間されて配されている波長変換層と、
を有する照明装置であって、
前記波長変換層は、前記少なくとも2つの光源から発される光を受け取ると共に、前記第1の波長範囲の光を第2の波長範囲の光に変換し、
前記少なくとも2つの光源と前記波長変換層との間に配されるスペクトル選択層であって、所定の角度より小さい入射角を有する前記第1の波長範囲の光を反射すると共に前記所定の角度より大きい入射角を有する前記第1の波長範囲の光を透過するスペクトル選択層において、前記スペクトル選択層の前記長手方向の軸に対して垂直な平面における断面が円の弧の形状を実質的に有する、前記スペクトル選択層を特徴とする、照明装置
【請求項2】
前記所定の角度は、前記少なくとも2つの光源の2つの光源間の距離、及び前記少なくとも2つの光源の光源と前記スペクトル選択層との間の距離に依存する、請求項1に記載の照明装置
【請求項3】
前記スペクトル選択層は、前記波長変換層と接触して配される、請求項1又は2に記載の照明装置
【請求項4】
前記スペクトル選択層は、前記波長変換層及び前記少なくとも2つの光源から離間されて配されている、請求項1に記載の照明装置
【請求項5】
前記スペクトル選択層は、柱筒の一部の形状を有する、請求項1乃至4の何れか一項に記載の照明装置
【請求項6】
前記スペクトル選択層は、入射光を前記長手方向の軸に対して垂直な方向に拡散する、請求項1乃至5の何れか一項に記載の照明装置
【請求項7】
前記スペクトル選択層は干渉フィルタである、請求項1乃至6の何れか一項に記載の照明装置
【請求項8】
光を前記波長変換層に向かって反射する少なくとも1つのリフレクタを更に有する、請求項1乃至7の何れか一項に記載の照明装置
【請求項9】
前記少なくとも1つのリフレクタは拡散リフレクタである、請求項8に記載の照明装置
【請求項10】
前記波長変換層は1つ以上の蛍光体を有する、請求項1乃至9の何れか一項に記載の照明装置
【請求項11】
前記少なくとも2つの光源は固体状態照明デバイスである、請求項1乃至10の何れか一項に記載の照明装置
【請求項12】
支持構造と前記支持構造に沿って配される管状のカバーと、
を更に有する請求項1乃至11の何れか一項に記載の照明装置であって、 前記少なくとも2つの光源は前記支持構造上に配され、前記管状のカバーは前記波長変換層を備えている、照明装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、波長変換層(例えば遠隔蛍光体層)を有する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の照明装置において、波長変換材料は、特定の色(典型的には白色光)の光を生成する狭帯域幅光源と共に使用される。このような技術の基本的な原理は、波長変換材料を光励起するために前記光源を使用することにあり、前記波長変換材料は、当該光と変換されなかった前記光源からの光との組み合わせが白く見えるような波長範囲内の光を発する。
【0003】
この技術に基づく照明装置の共通の例は、いわゆる前記波長変換材料が前記光源(通常は発光ダイオード(LED))から少し離れて配置される、いわゆる、遠隔蛍光体システムである。このような照明装置に青色LEDを設け、白色光が形成されるように前記LEDの光を前記蛍光体により発される主に黄色の光と混合させることは共通である。
【0004】
遠隔蛍光体システムの実施例は、米国登録特許第7618157号に開示される遠隔蛍光体を備える管状の青色LEDランプである。このランプは、線形に延在しているヒートシンク上に配され、蛍光体を備えるプラスチックカバーによって囲まれているLEDを備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多くの家庭的、商業的な、産業的な及び他のアプリケーションにおいて、前記照明装置が一様な照明を届けることが望ましい。この点において、既存の照明装置を改善する必要がある。
【0006】
全体的な目的は、波長変換材料を有する改善された又は代替的な照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
特に興味がある見地は、前記照明装置からの照明の均一性の程度である。
【0008】
本発明は、添付独立請求項により規定される。実施例は、添付請求項、本明細書及び添付図面に記載される。
【0009】
第1の見地によれば、長手方向の軸に沿ってパターン状に配されていると共に第1の波長範囲の光を発する少なくとも2つの光源を備える照明装置が、提供される。前記照明装置は、前記少なくとも2つの光源から離れて配されている波長変換層を有する。前記波長変換層は、前記少なくとも2つの光源から発された光を受け取り、前記第1の波長範囲の光を第2の波長範囲の光に変換する。スペクトル選択(spectrally selective)層は、前記少なくとも2つの光源と前記波長変換層との間に配される。前記スペクトル選択層は、所定の角度より小さい入射角を有する前記第1の波長範囲の光を反射すると共に、前記所定の角度より大きい入射角を有する前記第1の波長範囲の光を透過する。
【0010】
「スペクトル選択層」とは、幾らかの波長に対して実質的に透明であると共に他の波長に対しては透明でない層を意味している。前記スペクトル選択層は、前記照明装置内部の、光混合チャンバを作るのを助けることもでき、ここから特定の種類の光は漏出する可能性が低い。「入射角」とは、表面上に入射する光線と入射の位置における前記表面に対する方向とにより形成される角度を意味している。
【0011】
前記スペクトル選択層は、前記照明装置からの前記照明がより一様になるように前記光源からの光を拡散するのを助けることができる。前記第1の波長範囲の垂直な入射光が前記スペクトル選択層により反射されるという事実は、前記光源の近くで前記波長変換層に当たる特定の光源からの光の強度を減少させることができる。従って、個々の光源は、観察者に対して、より拡散され、より点光源でないように見えることができる。このことは、前記照明装置からの照明の均一性を改善することができる。
【0012】
更に、前記スペクトル選択層は、前記第1の波長範囲の光(即ち前記光源からの光)に影響を与えるように適応化されており、この結果、前記最も高い輝度を有する光が最も拡散される光であり得る。このことは、前記均一性を増大させるための特に効率的な仕方であっても良く、強度及び色の両方の観点において、前記照明装置からの照明の均一性を増大させる。この種類のスペクトル選択層を備える照明装置における光学損失は、全ての波長の光をおおよそ等しく拡散させる拡散器を備える照明装置における光学損失よりも小さいものであり得る。
【0013】
前記第1の波長範囲は、青色光の波長の全て又は一部を含むことができる。前記第2の波長範囲は、緑色光、黄色光及び/又は赤色光の前記波長の全て又は一部を含んでもよい。前記第2の波長範囲の前記光の最も高い強度は、黄色光の波長範囲内にあっても良い。
【0014】
前記所定の角度は、2つの光源間の距離及び光源と前記スペクトル選択層との間の距離に依存することができる。例えば、前記長手方向において、長手方向に等距離に光源を備える照明装置は、光の入射の位置が前記長手方向において、発光している光源から離れている長手方向の距離の約半分よりも小さい前記光を反射する。このことの効果は、1つの光源からの光が前記光源のすぐ上方に発されないことにある。更に大きな広がりが望まれる場合、前記発光している光源からの必要な距離は光源間の距離の2、3又は4倍でさえある。
【0015】
前記スペクトル選択層は、前記波長変換層と接触して配されることができる。例えば、前記スペクトル選択層は、前記波長変換層の前記光源に向かって指向される側に設けられても良い。前記スペクトル選択層は、完全に又は部分的に前記波長変換層を覆う。前記スペクトル選択層及び前記波長変換層を、これら2つの層間に1つの境界のみが存在するように、一体化することは、望ましくないフレネル反射を減少し、前記照明装置により生成される照明の焦点を改善することができる。
【0016】
代替的には、前記スペクトル選択層は、前記波長変換層及び前記光源から距離を置いて配されることができる。互いから離間して前記波長変換層及び前記スペクトル選択層を配することは、費用的な観点から有利であり得る。
【0017】
前記スペクトル選択層は、柱筒(cylinder)の一部の形状を有していても良い。このような形状を有するスペクトル選択層は、作成するのに単純であり、本発明に特に適している。柱筒の底部は如何なる形状を有することもできることに留意されたい。例えば、前記柱筒は、実質的に円形の柱筒又は実質的に楕円形の柱筒であっても良い。「実質的に円形の柱筒」とは、完全な円形柱筒の形状からの如何なる偏差の大きさも、前記柱筒の半径及び長さに対して小さいことを意味している。「実質的に楕円形の柱筒」の意味も、同様に規定される。前記柱筒は、前記長手方向の軸に実質的に中心を合わせられていても良い。「実質的に中心を合わせられる」とは、前記柱筒の中心軸と前記長手方向の軸との間の如何なる距離も、前記柱筒の長さ及び前記柱筒の底部の最大幅に対して小さいことを意味している。
【0018】
前記スペクトル選択層は、入射光を前記長手方向の軸に対して垂直な方向に拡散するように適応化されていても良い。「入射光を前記長手方向に拡散する」とは、前記スペクトル選択層に当たる光の長手方向における方向成分が、反射により変化することを意味している。例えば、反射前に前記長手方向の方向成分を有さない光が、反射後にこのような方向成分を有することもできる。この構造は、前記光源により発される光の拡散を増大させるように機能し、前記照明装置からの照明をより一様にすることができる。光を拡散するために、前記スペクトル選択層は、前記スペクトル選択層により反射される又は透過される光の方向を、拡散させる及び/又はランダム化するように適応化された形状を有していても良い。例えば、前記スペクトル選択層は、規則的又は不規則なパターンにおける突起及び/又は窪みを有することができる。前記スペクトル選択層は、前記長手方向において僅かに波形の形状、僅かに湾曲された形状、僅かに曲げられた形状及び/又は僅かに指向された形状を有していても良い。前記スペクトル選択層の前記光源に面する表面は、光を拡散するのに適している規則的又は不規則な三次元構造を有していても良い。
【0019】
例えば、円形柱筒状形状の場合、前記長手方向の軸に垂直な平面における前記スペクトル選択層の断面が、実質的に円の弧の形状を有する。「実質的に円の弧の形状」を有することによって、完全な円の弧の形状からの如何なる偏差の大きさも、前記円の半径に対して小さいことを意味している。このような断面を有するスペクトル選択層は、特に本発明に適している。前記円は、前記長手方向の軸に実質的に中心を合わせられることが可能である。「前記長手方向の軸に実質的に中心を合わせられ」ている円とは、前記円の中心と前記長手方向の軸との間の如何なる距離も前記円の半径に対して小さいことを意味する。前記半径は、「波形」層を提供するように、前記長手方向の軸に沿って変化することができる。変形の程度は、好ましくは1〜3である。
【0020】
前記照明装置は、前記波長変換層及び/又は前記スペクトル選択層に向かって光を反射するための少なくとも1つのリフレクタを有することができる。少なくとも1つのこのようなリフレクタを設けることは、結果として、光学損失の減少及び前記照明装置の向上された効率をもたらす。例えば、前記スペクトル選択層により反射される光は、前記リフレクタに反射し、場合によると透過を許容している入射角において、再び前記スペクトル選択層に当たっても良い。更に、前記照明装置の内側に向かって前記波長変換層により発される光は、前記リフレクタによって、前記照明装置の外側に向かって再指向されることができる。
【0021】
前記少なくとも1つのリフレクタは、拡散リフレクタであっても良い。拡散リフレクタを設けることは、結果として、前記リフレクタに反射する光が効率的に広げられることをもたらし、従って、前記照明装置からの照明の増大された均一性をもたらす。代替的には、前記リフレクタは、鏡面リフレクタであっても良い。
【0022】
前記波長変換層は、1つ以上の蛍光体を有していても良い。共通に利用可能な異なる励起及び発光特性を有する多くの蛍光体が存在し、アプリケーションの異なる種類に適している照明装置の提供を容易にする何かしらが存在する。前記1つ以上の蛍光体により発される光は、高輝度の黄色スペクトルを有していても良い。
【0023】
前記光源は、固体状態照明(SSL)装置であっても良い。SSL装置は、長い寿命を有しエネルギー効率的である。更に、SSL装置は、水銀を含まず、SSL装置の堅牢性及び小型さは、SSL装置を多用途なものにすると共に多くのアプリケーションに適したものとする。前記光源は、同じ種類又は異なる種類のものであり得る。前記光源は青色光を発するのに適応化されることができる。光源は、例えば、青色LEDであっても良い。特に青色光を発する光源と組み合わせて使用されるのに適したものとする励起及び発光特性を備える波長変換層を形成することが可能であり、高品質の青色LEDは低コストで商業的に入手可能である。
【0024】
前記照明装置は、支持構造と、前記支持構造に沿って配される管状のカバーとを有することができ、前記少なくとも2つの光源は前記支持構造上に配され、前記管状のカバーは前記波長変換層を備えている。前記波長変換層は、例えば、コーティングの形態において、例えば、前記管状のカバー上に設けられることができ、又は前記管状のカバー内に分散されることができる。このようにして形成される管状照明装置は、多くの家庭的な、商業的な又は産業的な用途を有することができる。
【0025】
本発明は、添付の請求項において詳述されている特徴の全てのあり得る組合せに関するものであることに留意されたい。
【0026】
本発明のこれら及び他の見地は、ここで、本発明の実施例を示している添付図面を参照して以下で詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】遠隔蛍光体層上に配されたスペクトル選択層を有する管状照明装置の斜視図を模式的に示している。
図2】遠隔蛍光体層から離間して配されているスペクトル選択層を備える管状照明装置の斜視図を模式的に示している。
図3】管状照明装置の長手方向における断面図を模式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
添付図面に示されているように、層及び領域の大きさは、説明の便宜上誇張されており、従って本発明の実施例の全体的な構造を例示するために提供されている。類似の符号は、全体にわたって類似の要素を表している。
【0029】
本発明は、添付図面を参照して以下で十分に詳細に記載され、本発明の現在好ましい実施例が示される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態において実施されることができ、本願明細書に記載される実施例に限定されるものであると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施例は、徹底及び完全さのために提供されているものであり、当業者に本発明の範囲を十分に伝える。
【0030】
図1は、管状照明装置の形態における照明装置1を模式的に示している。管状照明装置1は、図1におけるように、真っ直ぐでなければならないわけではなく、湾曲されていても良いことに留意されたい。管状照明装置1は、円柱又は球体の形状を有することができる。管状照明装置1は、長方形であっても良い。
【0031】
管状照明装置1は、半導体LED、有機発光ダイオード及びポリマLEDから成るグループから選択されることができるLEDの形態における光源2を有する。他の種類の光源2も考えられ、例えば、レーザダイオードも考えられる。LED2は、電気回路構成を含むことができる支持構造3上に配される。例えば、支持構造3は、電気的接点及び集積されたプリント回路基板を有することができ(例えば、メアタルコア・プリント回路基板)を有することができる。LED2は、長手方向の軸Lに沿って支持構造3上に配される。図1において、LED2は、長手方向の軸Lと実質的に一致する直線に沿って配されるが、何らかのパターン(例えば、ジグザクのパターン)において、配されることができる。LED2間の長手方向の距離dは、通常、約10cmより小さい。単位面積当たりのLED2の適切な数は、各LED2の電力及び照明装置1の冷却の効率のような、要因に依存する。高出力LED2は、典型的には低出力LED2から遥かに離されて位置決めされている。支持構造3は、管状照明装置1の他の構成要素と同様にLED2を冷却するためのヒートシンクとして機能することができる。支持構造3は、熱を拡散させる材料(例えば、金属)を有することができる。前記金属は、アルミニウムであり得る。
【0032】
光透過性のカバー4が、支持構造3に沿って配される。カバー4は、プラスチック又はガラスにより形成されていても良い。カバー4は、ポリカーボネートにより形成されていても良い。カバー4の形状は、例えば、実質的に円形の柱筒の一部のものであっても良く、前記柱筒の中心軸は、前記柱筒の前記中心軸がLED2が位置決めされている直線と一致するように、長手方向の軸Lと実質的に一致している。図1において、カバー4は、円形の柱筒の半分の形状を有する。
【0033】
管状照明装置1は、LED2から離間されて配されている波長変換層5を有する。波長変換層5は、少なくとも1つの蛍光体を有しても良く、以下、遠隔蛍光体層と称される。前記少なくとも1つの蛍光体とは、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット(LuAG)及びECASから成るグループから選択されても良い。図1におけるように、遠隔蛍光体層5は、カバー4の内側に配されても良い。
【0034】
遠隔蛍光体層5は、カバー4の内側全体又は前記カバーの内側の一部を覆っていても良い。遠隔蛍光体層5の厚さtは、2、3個の蛍光体粒子の大きさから数ミリメートルまでの大きさであり得る。
【0035】
遠隔蛍光体層5は、光の拡散を向上させるのに適応化されている形状及び/又は構成要素を有することができる。例えば、前記遠隔蛍光体層は、光を拡散させるのを助ける微細構造を有していても良い。拡散を向上させる材料が、遠隔蛍光体層5の一部を形成していても良い。このような材料の例は、二酸化チタンである。
【0036】
遠隔蛍光体層5は、蛍光体を有するキャリアの形態で設けられることができる。前記キャリアは、典型的には、前記第1の波長範囲の光への暴露に対する高い耐久性を有する。前記キャリアは、ガラス又はプラスチック(例えばポリカーボネート)により形成されることができる。前記キャリアは、フォイルであり得る。遠隔蛍光体層5は、透明材料(例えばシリコーン)の層内に分散された蛍光体の形態において設けられても良い。前記蛍光体はカバー4内に分散されても良く、これによりカバー4はキャリアとして作用する。
【0037】
図1において、スペクトル選択層6は、スペクトル選択層6が遠隔蛍光体層5とLED2との間に配されるように遠隔蛍光体層5上に配される。スペクトル選択層6は、前記遠隔蛍光体層5の全て又は一部を覆うことができる。スペクトル選択層6の厚さtは、典型的には、LED2により発される光の波長の1/4と波長の2、3個との間にある。スペクトル選択層6は、長手方向の方向Lに入射光を拡散するのに適応化されることもできる。例えば、スペクトル選択層6のLED2に面している表面は、特に、このために適応化される構造を有していても良い。このような構造は、典型的には、カバー4の外側から可視的でないように十分小さい。
【0038】
スペクトル選択層6は、例えば、コーティング又はフィルム等の形態において、スペクトル選択材料を備えているキャリアにより形成されることができる。前記キャリアは、典型的には、第1の波長範囲内の光に暴露に対する高い耐久性を有する。前記キャリアは、ガラス又はプラスチック(例えばポリカーボネート)により形成されることができる。前記キャリアは、フォイルであっても良い。
【0039】
管状照明装置1は、遠隔蛍光体層5及び/又はスペクトル選択層6に向かって光を反射するリフレクタ7を含むことができる。リフレクタ7は、支持構造3、カバー4の内側、又はこれらの両方上に配されることができる。リフレクタ7は、鏡面反射性であっても良い。代替的には、前記リフレクタは、拡散反射性であっても良い。例えば、リフレクタ7は、ミクロ細胞ポリエチレン・テレフタル酸塩(MCPET)のシート又は層であっても良い。
【0040】
図2は、図1に示したものと類似している管状照明装置1を示している。しかしながら、図2の管状照明装置1は、遠隔蛍光体層5から及びLED2から離間されて配されているスペクトル選択層6を有する。スペクトル選択層6は、支持構造3に取り付けられることができる。スペクトル選択層6は、自身の中心軸が長手方向の軸Lと実質的に一致する実質的に円形の柱筒の一部の形状を有することができる。図2において、スペクトル選択層6は、半分の円形柱筒の形状を有する。このことは、長手方向の軸Lに対して垂直なスペクトル選択層6の断面が半円の前記形状を有することを意味する。前記円形柱筒の前記中心の軸が、LED2が配置される直線と実質的に一致していることに注意されたい。
【0041】
図3は、長手方向の軸Lに沿った断面において管状照明装置1を示している。LED2は、典型的には、即ち約450ナノメートルから約495ナノメートルまでの青色光の波長の一部又は全てを含む第1の波長範囲の光を発する。しかしながら、前記第1の波長範囲は、他の波長範囲を含んでいても良く、例えば、赤色光の波長(即ち約620ナノメートルから約750ナノメートルまで)の一部若しくは全てを含んでいても良く、及び/又は緑色光の波長(即ち約495ナノメートルから約570ナノメートルまで)の一部又は全てを含んでいても良い。LED2により発されスペクトル選択層6に当たる光は、透過される又は反射される。前記第1の波長の光の反射された光線8及び前記第1の波長範囲の光の透過された光線9が、図3に示されている。反射された光線8は、所定の角度よりも小さい入射角θにおいてスペクトル選択層6に当たる。透過された光線9は、前記所定の角度より大きい入射角θにおいて、前記スペクトル選択層6に当たる。
【0042】
前記所望の透過及び反射特性を有するスペクトル選択層をどのように形成するかは、当業者に知られているものと考えられる。例えば、所定の角度より小さい入射角を有する光を反射し前記所定の角度より大きい入射角を有する光を透過する層は、異なる屈折率を有する交互している層を有する干渉フィルタにより達成されることができる。関連する参考文献は、A.セレンによる『光学インターフェースコーティングの設計』(マグロウヒル社、1989年)及びH.A.マクラウドによる『薄膜光学フィルタ』(テイラー及びフランシス社、2001年)を含む。
【0043】
所定の角度は、同様に光源2間の距離d及び前記光源とスペクトル選択層6との間の距離に依存して選択されることができる。例えば、スペクトル選択層6が、中心軸が長手方向Lと一致している円形柱筒の一部の形状を有する場合、所定の角度は、arctan(d/(2h))に実質的に等しくあることができるが、等しくなくても良い。このようなスペクトル選択層6は、図面に示されているように各LED2のすぐ上方における光の透過を減少することができる。個々のLED2から十分遠くに離れているスペクトル選択層6に当たる場合、個々のLED2により発される光のみが透過されるからである。このことは、結果として、管状照明装置1からの照明の強度をより均一にする。特に、前記照明の強度は、LED2の位置に従ってあまり変化し得ない。
【0044】
スペクトル選択層6により反射される光は、リフレクタ7に当たり、スペクトル選択層6に向かって再指向されることができる。前記反射は、スペクトル選択層6により透過されることができるように前記光の方向を変化させるかもしれない。スペクトル選択層6により透過される光は、遠隔蛍光体層5により吸収されても良い。遠隔蛍光体層5の厚さtは、前記入射光がどれくらい吸収されるかに影響を与え得る1つのパラメータである。光の吸収は、結果として、光励起状態である遠隔蛍光体層5をもたらし、第2の波長範囲における光が発されることをもたらす。典型的には、遠隔蛍光体層5は、LED2により発される光と組み合される場合に白色光を形成する光を発するのに適応化されている。例えば、LED2により発される光は青色であることができ、遠隔蛍光体層5により発される光は黄色である又は主に黄色であることができる。遠隔蛍光体層5により発される光は、管状照明装置1の内側に向かって指向されることができる。このような光は、リフレクタ7の反射の後に管状照明装置1の外側に向かって再指向されることができる。管状照明装置1を出る光は、管状照明装置1により生成される照明を形成する。
【0045】
当業者であれば、本発明が上述の好ましい実施例に決して限定されるものではないと理解するであろう。逆に、多くの変形及び変化は、添付の請求項の範囲内で可能である。例えば、前記照明装置は、液晶表示装置のバックライトを形成することもできる。
【0046】
更に、開示された実施例に対する変更は、添付の図面、開示及び添付の請求項の研究から、添付の請求項に係る本発明を実施する当業者により理解され達成されることができる。添付の請求項において、「有する」なる語は他の要素又はステップを排除するものではなく、単数形は複数形を排除するものではない。特定の手段が、相互に異なる従属請求項において、引用されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利になるように使用されることができないと示すものではない。
図1
図2
図3