特許第6010247号(P6010247)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6010247
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】包装シート及び包装飯塊
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/50 20060101AFI20161006BHJP
   A23L 7/10 20160101ALI20161006BHJP
【FI】
   B65D85/50 E
   A23L7/10 F
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-104219(P2016-104219)
(22)【出願日】2016年5月25日
【審査請求日】2016年5月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591033490
【氏名又は名称】株式会社ザ鈴木
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 栄一
【審査官】 種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5977402(JP,B1)
【文献】 特開2011−245639(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3182993(JP,U)
【文献】 特開2014−037251(JP,A)
【文献】 特開2006−076638(JP,A)
【文献】 特開2004−089130(JP,A)
【文献】 特開2015−192600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/50
A23L 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1フィルムと、第2フィルムと、前記第1フィルムと前記第2フィルムの対向する一端縁どうしを気密に接合する帯状のカバー片と、を含むフィルム基体であって、前記カバー片の長手方向の略中央の位置で前記カバー片と直交する折り曲げ部を有するフィルム基体と、
前記折り曲げ部にて折り曲げられている前記フィルム基体の間に挟み込まれているシート状食品と、
前記フィルム基体の前記折り曲げ部以外の三辺を気密に接合する熱溶着部と、
を有し、
前記第1フィルム及び前記第2フィルムは、飯塊を包装したときに内側に位置する前記カバー片との接合部分に、前記第1フィルム及び前記第2フィルムを容易に破断させる易破断部が形成されている、
包装シート。
【請求項2】
前記易破断部は、前記接合部分に形成された複数の切込みである、
請求項1に記載の包装シート。
【請求項3】
前記切込みは、前記第1フィルム及び前記第2フィルムの前記端縁に達するよう形成されてなる、
請求項2に記載の包装シート。
【請求項4】
前記切込みは、前記第1フィルム及び前記第2フィルムの前記端縁に沿って間隔を存して形成されている、
請求項2に記載の包装シート。
【請求項5】
前記フィルム基体は、前記カバー片が前記シート状食品と対向する内面側になるように折り曲げてなる折り曲げ部を有する、
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の包装シート。
【請求項6】
前記第1フィルム及び前記第2フィルムの対向する前記一端縁どうしの間に、間隔を空けて前記カバー片で接合してなる、
請求項1乃至請求項5の何れかに記載の包装シート。
【請求項7】
前記第2フィルムには、飯塊を包装したときに内側となる部分に、前記カバー片と平行且つ前記第2フィルムから両側がはみ出す被せフィルムを接合してなる、
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の包装シート。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の包装シートによって、扁平形状の飯塊を包装してなる、
包装飯塊。
【請求項9】
請求項7に記載の包装シートによって、棒状の飯塊を包装してなる、
包装飯塊。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム間にシート状食品を挟んで形成した包装シート、及び、包装シートによって飯塊を包装した包装飯塊に関するものであり、より具体的には、シート状食品の乾燥状態を維持できる包装シート及び包装食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
三角おにぎり等の扁平状の飯塊や棒状の飯塊をシート状海苔が内装された包装シートで包装した所謂包装飯塊がコンビニエンスストア等で販売されている。
【0003】
包装シートとして、外フィルムと内フィルムとの間にシート状海苔を挟んで形成した、三重構造の包装シートが広く知られている。例えば、特許文献1では、包装シートは、幅方向の中央部に長手方向に分断するための分断可能部を有する外フィルムの内面にシート状食品に載せ、2枚の縦長の内フィルム片からなる内フィルムが内端側で重なるように配置し、外フィルムと内フィルムを熱溶着して一体化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−159271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の包装シートは、飯塊と対向する内フィルムを分断可能とするために、2枚の内フィルム片は、内端どうしを単に重ねただけの構成である。従って、その重なり部から水分や湿気等が侵入して、乾燥状態にあったシート状海苔が湿気ってしまう。特に飯塊を包装した状態では、飯塊から出る水分や湿気によって、シート状海苔が極短時間で湿気ってしまう。湿気ったシート状海苔は食感が悪いだけでなく、見た目も悪い。また、湿気ったシート状食品は、包装を解く際に包装シートに貼り付いて破れてしまうこともある。
【0006】
本発明は、シート状食品が湿気ることのない包装シート及びこの包装シートにより飯塊を包装してなる包装飯塊を明らかにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の包装シートは、
第1フィルムと、第2フィルムと、前記第1フィルムと前記第2フィルムの対向する一端縁どうしを気密に接合する帯状のカバー片と、を含むフィルム基体であって、前記カバー片の長手方向の略中央の位置で前記カバー片と直交する折り曲げ部を有するフィルム基体と、
前記折り曲げ部にて折り曲げられている前記フィルム基体の間に挟み込まれているシート状食品と、
前記フィルム基体の前記折り曲げ部以外の三辺を気密に接合する熱溶着部と、
を有し、
前記第1フィルム及び前記第2フィルムは、飯塊を包装したときに内側に位置する前記カバー片との接合部分に、前記第1フィルム及び前記第2フィルムを容易に破断させる易破断部が形成されている。
【0008】
前記易破断部は、前記接合部分に形成される複数の切込みとすることができる。
【0009】
前記切込みは、前記第1フィルム及び前記第2フィルムの前記端縁に達していることが望ましい。
【0010】
前記切込みは、前記第1フィルム及び前記第2フィルムの前記端縁に沿って間隔を存して形成することができる。
【0011】
前記フィルム基体は、前記カバー片が前記シート状食品と対向する内面側に折り曲げてなる折り曲げ部を有することが望ましい。
【0012】
前記第1フィルム及び前記第2フィルムの対向する前記一端縁どうしの間に、間隔を空けて前記カバー片で接合することができる。
【0013】
また、本発明の包装飯塊は、
上記に記載の包装シートによって、扁平形状の飯塊を包装してなる。
【0014】
上記包装シートにおいて、
前記第2フィルムには、飯塊を包装したときに内側となる部分に、前記カバー片と平行且つ前記第2フィルムから両側がはみ出す被せフィルムを接合することができる。
【0015】
また、本発明の棒状の包装飯塊は、
上記に記載の包装シートによって、棒状の飯塊を包装してなる。
【発明の効果】
【0016】
フィルム基体は、第1フィルムと第2フィルムの繋ぎ合わせ部分をカバー片によって気密に接合されている。従って、第1フィルムと第2フィルムの繋ぎ合わせ部分からの水分や湿気の侵入を阻止することができる。
【0017】
また、上記フィルム基体にシート状食品を挟んで折り曲げた包装シートは、折り曲げられた一辺は第1フィルム、第2フィルムが連続しているため気密であり、残りの三辺は、気密に熱溶着されているから水分や湿気の侵入は阻止される。従って、包装シートの製造、搬送過程だけの水分や湿気の侵入がなくなることは勿論、飯塊を包装した状態でも、飯塊と当接する包装シートの内面は、第1フィルムと第2フィルムの繋ぎ合わせ部分がカバー片によって気密に維持されている。このため、本発明の包装シートで扁平形状の飯塊又は棒状の飯塊を包装した包装飯塊は、飯塊から出る水分や湿気の侵入を阻止でき、シート状食品の乾燥状態を維持することができる。
【0018】
包装飯塊の包装を解くには、カバー片を取り除くことで、カバー片によって接合されていた第1フィルムと第2フィルムを分断すればよい。具体的には、まず、シート状食品よりも外側に位置するカバー片を引っ張る。これにより、カバー片は、外側に位置する第1フィルムと第2フィルムとの接合部分が剥がれて、第1フィルムと第2フィルムの接合が解かれる。カバー片をフィルム基体の折り曲げ部まで引っ張って、外側の第1フィルムと第2フィルムの接合を解いた後、カバー片をフィルム基体から離れる方向に略平行に引っ張る。内側のカバー片と第1フィルム及び第2フィルムの接合部分には、易破断部が形成されているから、カバー片は、易破断部から第1フィルム及び第2フィルムを引き裂きながら第1フィルムと第2フィルムの接合を解きつつ引き抜くことができる。これにより、内側の第1フィルムと第2フィルムの接合も解かれる。
【0019】
扁平形状の飯塊を包装した包装飯塊の場合、分断された第1フィルムと第2フィルムとの間に形成された切り口を下向きとすることで、扁平形状の飯塊がシート状食品を第1フィルムと第2フィルムの間から引き出し、シート状食品に包まれた状態の飯塊を取り出すことができる。なお、飯塊は、自重により、または、切り口と対向する包装シートの端部を摘んで軽く揺らすことで、上手くシート状食品に包まれた飯塊を取り出すことができる。ある程度、シート状食品に包まれた飯塊が露出すると、その露出部分を掴んで引っ張れば、より上手くシート状食品に包まれた飯塊を取り出すことができる。取り出された飯塊は、乾燥状態にあるシート状食品に包まれているから、そのまま食せばよい。
【0020】
棒状の飯塊を包装した包装飯塊の場合、包装シートを展開し、第1フィルムを引っ張ることによりシート状食品を露出させることができる。その後、露出したシート状食品を棒状の飯塊に巻き付けることで、シート状食品が巻き付けられた棒状の飯塊を食することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る扁平形状の飯塊を包装するフィルム基体の展開図(内面側)である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係るフィルム基体の展開図(外面側)である。
図3図3は、図2の丸囲み部Bの拡大図である。
図4図4は、図1の線A−Aに沿うフィルム基体の断面図である。
図5図5は、フィルム基体を折り曲げてシート状食品を挟んだ包装シートを飯塊側から見た図である。
図6図6は、図5の線C−Cに沿う包装シートの断面図である。
図7図7は、図5の線D−Dに沿う包装シートの断面図である。
図8図8は、本発明の一実施形態に係る包装シートで飯塊を包装した包装飯塊の斜視図である。
図9図9は、図8の線E−Eに沿う包装飯塊の断面図である。
図10図10は、本発明の一実施形態に係る包装飯塊の底面図である。
図11図11は、包装飯塊の底面図であって、包装を解く過程を示している。
図12図12は、包装飯塊の底面図であって、包装を解く過程を示している。
図13図13は、包装飯塊の底面図であって、包装を解く過程を示している。
図14図14は、図13の丸囲み部Iの拡大図であって、飯側領域の第1フィルム及び第2フィルムが易破断部にて破断途上の状態をシート状食品側から見た図である。
図15図15は、図13の丸囲み部Iの拡大図であって、飯側領域の第1フィルム及び第2フィルムが易破断部にて破断された状態をシート状食品側から見た図である。
図16図16は、包装飯塊の底面図であって、カバー片が剥がされた状態を示している。
図17図17は、図16の丸囲み部Kの拡大図であって、飯側領域の破断された第1フィルム及び第2フィルムをシート状食品側から見た図である。
図18図18は、引き抜かれたカバー片の飯側領域の拡大図であって、(a)は第1フィルム及び第2フィルム側、(b)はカバー片側から見た図である。
図19図19は、包装シートからシート状食品に包まれた飯塊が落下している状態を示す斜視図である。
図20図20は、包装シートからシート状食品に包まれた飯塊が完全に露出した状態を示す斜視図である。
図21図21は、本発明の第1実施形態に係る包装シートを用いて、飯塊を袋状に包装した包装飯塊の斜視図である。
図22図22は、本発明の第2実施形態に係る棒状の飯塊を包装する包装シートを飯塊側から見た図である。
図23図23は、本発明の第2実施形態に係る包装シートで棒状の飯塊を包装した棒状包装飯塊の斜視図である。
図24図24は、棒状包装飯塊の包装を解く過程を示す斜視図である。
図25図25は、図24に続く棒状包装飯塊の包装を解く過程を示す斜視図である。
図26図26は、図25に続く棒状包装飯塊の包装を解く過程を示す斜視図である。
図27図27は、分断された包装シートを展開した状態を示す斜視図である。
図28図28は、分断された第2フィルムを引っ張ってシート状食品を露出させた状態を示す斜視図である。
図29図29は、易破断部の異なる実施形態(a)、(b)を示す拡大図である。
図30図30は、第1フィルムと第2フィルムとの間に間隔を空けた実施形態を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
本発明の包装シート10の概略構成について説明する。図1及び図2に示すように、略矩形形状の第1フィルム20及び第2フィルム30をカバー片40で気密に繋いだフィルム基体11を構成する。フィルム基体11には、シート状食品50を載せ、フィルム基体11を、カバー片40に略垂直な線L1(図1)で折り曲げて折り曲げ部L3を構成し、折り曲げ部L3以外のフィルム基体11の開放している三辺を熱溶着することによって熱溶着部13を形成し、気密に封止することで包装シート10を作成している。
【0023】
そして、得られた包装シート10の飯側領域18に飯塊60を載せて飯塊60を包装し、包装飯塊80が得られる。なお、以下の説明では、図1の谷折り線L1よりも左側、図2の山折り線L2よりも右側に位置する包装シート10、フィルム基体11、第1フィルム20、第2フィルム30及びカバー片40を飯側領域18(飯塊60と対向する側)と称し、図1の谷折り線L1よりも右側、図2の山折り線L2よりも左側を外側領域19(飯塊60とは逆側)と称する。
【0024】
本発明は、第1フィルム20と第2フィルム30がカバー片40に接合される接合部分32,42について、飯側領域18の接合部分22a,32aに易破断部24,34を形成したことを特徴とするものである。易破断部24,34は、たとえば図3に示すような切込みであって、包装飯塊80の包装を解く際にカバー片40を引っ張ると、外側領域19はカバー片40によって第1フィルム20と第2フィルム30が分断され、さらに、飯側領域18の接合部分22a,32aは、カバー片40によって引っ張られて易破断部24,34を起点に容易に破断される構成としたものである。
【0025】
以下、本発明について、図面を参照しながら説明を行なう。なお、図面、特に断面図は、説明を判り易くするために、フィルム等の幅、長さ、厚さ、溶着形状を誇張、省略又は模式的に示している。
【0026】
図1及び図2に示すように、第1フィルム20及び第2フィルム30は、夫々略矩形形状であり、図示の実施形態では、上側の第1フィルム20と下側の第2フィルム30の夫々対向する一辺を近接させて配置している。第1フィルム20及び第2フィルム30は、透明、半透明又は不透明なフィルムを採用できる。この種のフィルムとして、ポリプロピレン(PP)、ポリプロピレンを原料とする二軸延伸フィルム(OP)、ポリプロピレンで和紙等をラミネートしたフィルムなど、水の透過性の低い材料を例示することができる。
【0027】
図示の実施形態では、第1フィルム20及び第2フィルム30は、幅(図1の上下方向)が13cm、長さ(図1の左右方向)が32cmの矩形形状であるが、大きさ、形状はこれに限定されるものではない。
【0028】
フィルム基体11は、開封の際にユーザがカバー片40を容易に掴むことができるように、図1図2に示すように、外側領域19のカバー片40の一方の端縁を挟むように、第1フィルム20と第2フィルム30に開封用切込み12,12を形成しておくことが望ましい。これにより、包装を解く際にユーザが分断開始端となる開封用切込み12,12間のカバー片40を掴んでフィルム基体11を容易に分断させることができる。
【0029】
第1フィルム20と第2フィルム30には、飯側領域18の接合部分22a,32aに夫々易破断部24,34が形成されている。易破断部24,34は図1及び図2に示すように、両フィルム20,30がカバー片40と接合される接合部分22,32の飯側領域18に形成される。なお、易破断部24,34は、接合部分22,32の全長に亘って設けることもできる。
【0030】
易破断部24,34は、カバー片40を引っ張ったときに、カバー片40と共に接合部分22a,32aで破断し、第1フィルム20、第2フィルム30を容易に分断できるように案内又は破断の起点となるものである。たとえば、易破断部24,34は、拡大図3に示すようにフィルム20,30の対向する端縁に形成された切込みである。切込みは、フィルム20,30が裂けやすいように、図に示すように、第1フィルム20と第2フィルム30の対向する端縁に達するよう形成することが望ましい。易破断部24,34は、1mm〜10mmとすることが好適であり、3mm〜5mmとすることがより望ましい。なお、易破断部24,34は等間隔とすることもできるし、間隔を変えて設けても構わない。
【0031】
カバー片40は、第1フィルム20と第2フィルム30の接合部分22,32を繋ぎ合わせる。カバー片40は、たとえばカットテープとして用いられるフィルムとすることができる。カバー片40を接着や熱溶着によって第1フィルム20と第2フィルム30の接合部分22,32に接合することで、これらフィルム20,30の繋ぎ合わせ部分17が気密に封止されたフィルム基体11が得られる。
【0032】
図示の実施形態では、カバー片40は、幅が5mm、長さは32cmである。カバー片40として、第1フィルム20及び第2フィルム30との接合部分22,32に感熱接着剤を塗布したパートコート加工を施したフィルムを例示できる。なお、本発明では、飯側領域18の接合部分22a,32aに易破断部24,34を形成しているから、後述するとおり、飯側領域18の第1フィルム20と第2フィルム30の分断を容易に行なうことができる。このため、パートコート加工による接合強度を高めることができる。これにより、フィルム基体11の気密性を可及的に向上させることができる。
【0033】
上記したフィルム基体11は、たとえば、ロール上に巻かれたフィルムを第1フィルム20と第2フィルム30に連続的に切断し、その下流側で飯側領域18の接合部分22a、32aに易破断部24,34となる切込み、また、開封用切込み12,12を入れる。そして、さらにその下流側で、カバー片40を第1フィルム20と第2フィルム30を接合部分22,32に接合し、必要長さに切断することで製造することができる。もちろん、フィルム基体11の製造方法はこれに限定されるものではない。
【0034】
得られたフィルム基体11は、図1図2及び図4に示すように、第1フィルム20と第2フィルム30がカバー片40によって、その接合部分22,32が気密に閉じられて接合されたものとなる。
【0035】
得られたフィルム基体11は、次に説明するように、折り曲げられてシート状食品50を包装する。シート状食品50は、たとえば、シート状海苔である。シート状食品50は、略長方形のものを図示しているが、長方形の角部が面取りされた形状のものを用いたり、長手方向の端部が丸く面取りされた形状のものを用いることもできる。図示の実施形態では、シート状食品50は、長手方向の長さは約18cm、幅方向の長さが約9cmである。シート状食品50は、シート状海苔に限らず、薄手の食品であれば、鯣を薄く伸ばしたものや、おぼろ昆布をシート状に形成したもの、大豆をシート状に加工したもの等を採用することができる。
【0036】
フィルム基体11は、カバー片40に対して略直交する長手方向中央(図1の谷折り線L1、図2の山折り線L2)で折り曲げて折り曲げ部L3を形成し、間にシート状食品50を包装する。なお、シート状食品50をフィルム基体11に載せてからフィルム基体11を折り曲げても構わない。ここで、フィルム基体11は、カバー片40に対して略直交する図1の谷折り線L1、図2の山折り線L2で、カバー片40がシート状食品50と対向するように折り曲げている。この理由については、包装を解く手順において説明するが、本発明は、カバー片40が内側に位置するものに限定されず、外側に位置するように折り曲げるものも含む。
【0037】
折り曲げられたフィルム基体11にシート状食品50を挟んだ状態で、フィルム基体11は、折り曲げ部L3と開放している三辺が存在する。この開放している三辺に、図5乃至図7に示すように、線状の熱溶着を施した熱溶着部を形成することで、シート状食品50を気密に包んだ包装シート10が得られる。
【0038】
なお、フィルム基体11に上述した開封用切込み12,12を形成している場合には、開封用切込み12,12からの水分等の侵入を防止するために、熱溶着部13は、開封用切込み12,12よりも内側に施すことが望ましい。
【0039】
包装シート10には、シート状食品50を位置決めして、ずれを抑えるために、図5に示すように、シート状食品50を囲む1又は複数箇所に点状又は短い線状の熱溶着を施した熱溶着部14を形成することが望ましい。
【0040】
得られた包装シート10は、内面側も外面側も第1フィルム20と第2フィルム30の繋ぎ合わせ部分17がカバー片40によって気密に塞がれており、周縁は、折り曲げ部L3と熱溶着部13によって気密に塞がれた三辺によりシート状食品50を収容している。従って、包装シート10の内部への水分や湿気等の侵入をほぼ完全に防ぐことができ、収容されたシート状食品50の乾燥状態を長期に亘って好適に維持できる。
【0041】
上記包装シート10によって飯塊60が包装される。飯塊60は、白米やかやくご飯などを固めて、扁平形状や球形状にした塊とすることができる。飯塊60には、部分的あるいは全体的に胡麻等の振り掛け食品を振り掛けたり、具材を載せたり、具材を内部に挟むようにしてもよい。本実施形態では、飯塊60は三角扁平形状のおにぎりであるが、丸形扁平形状、四角形扁平形状、丸形、四角型、俵形のおにぎりとすることもできる。
【0042】
飯塊60は、図5に示すように、包装シート10の飯側領域18に載置され、包装される。飯塊60の位置は、包装シート10の飯側領域18の幅方向略中央であって、カバー片40よりもやや上側とし、包装したときに飯塊60の周面(底面)がカバー片40と対向する位置とする。そして、飯塊の周面に沿うように包装シート10で飯塊60を包み、包装シート10の重なり部分をテープなどの止着手段90により止めることで、図8(シート状食品50は示さず)及び断面図9に示すように、包装飯塊80を得ることができる。図8は、包装飯塊80をカバー片40が位置する底面側から見た図である。
【0043】
本実施形態の止着手段90はテープであるが、製造年月日や内容物等を記載したラベルを用いたり、熱溶着により止着することもできる。
【0044】
包装シート10は、上記したとおり、気密にシート状食品50を収容している。従って、この包装シート10にて飯塊60を包装した包装飯塊80は、外部からの水分や湿気の侵入を防止できる。また、フィルム基体11の飯塊60と対向する飯側領域18も従来のように単に内フィルムどうしを重ね合わせただけではなく、第1フィルム20と第2フィルム30をカバー片40によって気密に接合しているから、飯塊60からの水分や湿気の侵入を防止できる。このため、シート状食品50の乾燥状態を好適に維持できる。
【0045】
上記包装飯塊80は、以下の手順でその包装を解くことができる。
図10は、包装飯塊80を底面側から見た図である。まず、図10に示す開封用切込み12,12間をカバー片40と共に摘み、図11に示すように、包装飯塊80の底面から離れる矢印F方向に引っ張る。これにより、フィルム基体11の外側領域19は、カバー片40によって開封用切込み12,12から分断される。カバー片40は、フィルム基体11に対して、シート状食品50側となる内面側に配置しているから、カットテープと同様に、カバー片40は、図11図12に示すように、フィルム基体11の第1フィルム20と第2フィルム30を引き裂きながら、幅広の切り口15が形成される。幅広の切り口15が形成されることで、後の飯塊60及びシート状食品50を取り出す工程において、フィルムの抵抗を小さくすることができる。
【0046】
そして、開封用切込み12,12とは逆側の端部となるフィルム基体11の折り曲げ部L3までカバー片40を引っ張ることで(図12の矢印G)、外側領域19に位置する第1フィルム20と第2フィルム30が分断される。
【0047】
続いて、カバー片40を、図13の矢印Hに示すように、包装飯塊80の底面に対して、略平行な方向Hに引っ張る。これにより、飯側領域18のカバー片40は、飯側領域18の第1フィルム20と第2フィルム30の接合部分22a,32aに形成された易破断部24,34を起点として破断されていく。図13の丸囲み部Iにおける第1フィルム20と第2フィルム30が破断途上の状態を図14に示す。図14は、飯側領域18をシート状食品50側から見た図である。図14に示すように、第1フィルム20及び第2フィルム30は、カバー片40が矢印H方向に引っ張られることで、カバー片40に接合されている接合部分22a,32aが引っ張られて、易破断部24,34を起点として亀裂25,35が延び、これら亀裂25,35が繋がることでカバー片40の近傍で第1フィルム20及び第2フィルム30は破断される。
【0048】
そして、さらにカバー片40を引っ張ることで、図15に示すように亀裂25,35は完全に繋がって、第1フィルム20及び第2フィルム30は完全に破断される。
【0049】
なお、図14図15、次に説明する図16乃至図18では、亀裂25,35は略同一形状としているが、実際には亀裂25,35は易破断部24,34を起点としてランダムな状態で繋がっている。
【0050】
そして、図16に矢印Jで示すように、カバー片40を完全に引き抜くことで、カバー片40により繋ぎ合わされていた飯側領域18の第1フィルム20と第2フィルム30は完全に分断されて、切り口16が形成される。
【0051】
図17は、図16の丸囲み部Kの飯側領域18をシート状食品50側から見た図である。図17を参照すると、第1フィルム20及び第2フィルム30は亀裂25,35によって完全に破断されていることがわかる。
【0052】
図18は、飯側領域18側の引き抜かれたカバー片40を示している。図18(a)は第1フィルム20及び第2フィルム30側から見た図、図18(b)はカバー片40側から見た図である。図に示すように、カバー片40には、破断された第1フィルム20及び第2フィルム30の欠片が残る。
【0053】
上記によって、第1フィルム20と第2フィルム30は完全に分断されて、分断された部分に切り口15,16が形成される。そして、この切り口15,16を下に向けることで、図19及び図20に示すように、飯塊60は、自重により、または、切り口15,16と対向する包装シート10の端部を摘んで軽く揺らすことで、上手くシート状食品50に包まれた状態で取り出すことができる。このとき、飯塊60が引き出されることで、フィルム基体11は、切り口15,16がより幅広に開いて開口し、乾燥状態にあるシート状食品50に包まれた飯塊60を得ることができる。
【0054】
なお、ある程度、シート状食品50に包まれた飯塊60が露出すると、その露出部分を掴んで引っ張れば、より上手くシート状食品50に包まれた飯塊60を取り出すことができる。
【0055】
取り出された飯塊は、乾燥状態にあるシート状食品50に包まれているから、そのまま食せばよい。
【0056】
なお、上記実施形態では、包装シート10によって飯塊60を包み込むように包装しているが、図21に示すように、飯塊60を袋状の包装シート10で包装することもできる。この場合、包装シート10は、予め袋状に形成して飯塊60を投入するようにしてもよいし、飯塊60を載せた後、袋状に形成してもよい。
【0057】
<第2実施形態>
本実施形態では、扁平形状の飯塊60に代えて、棒状の飯塊60aを包装した包装飯塊80aについて説明する。なお、第1実施形態と同じ又は実質的に同一である構成については同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
【0058】
図22に第2実施形態の包装シート10を示す。フィルム基体11は、第1実施形態と同様であって、飯側領域18の接合部分22a,32aに夫々易破断部24,34が形成されている。第1実施形態と異なる点は、第2フィルム30には、棒状の飯塊60aの端面を覆う被せフィルム70が装着されていることにある。
【0059】
被せフィルム70は、包装状態において、棒状の飯塊60aの端面を十分に覆うことのできる大きさであり、包装シート10の側面からはみ出るように第2フィルム30に熱溶着した熱溶着部72を有する。
【0060】
上記構成の包装シート10により棒状の飯塊60aが包装される。棒状の飯塊60aは、飯を円柱状又は四角柱状に構成したものである。
【0061】
具体的には、棒状の飯塊60aを被せフィルム70の上に載せて、棒状の飯塊60aの端面を夫々被せフィルム70で覆い、図23に示すように包装シート10を棒状の飯塊60aに巻き付けることで包装される。得られた棒状包装飯塊80aは、包装シート10の端縁をシールやテープ、熱溶着などの止着手段90によって止着される。
【0062】
包装シート10は、上記したとおり、第1フィルム20と第2フィルム30が飯側領域18の接合部分22a,32aを含む接合部分22,32の全体をカバー片40によって気密に接合して構成されている。従って、シート状食品50は、外部からの水分や湿気の侵入はもちろん、棒状の飯塊60aからの水分や湿気の侵入を防止でき、シート状食品50の乾燥状態を好適に維持できる。
【0063】
上記棒状包装飯塊80aは、以下の手順でその包装を解くことができる。
まず、包装状態にある図23の棒状包装飯塊80aについて、図24に示すように止着手段90を剥がさない状態で、切込み12,12間をカバー片40と共に摘み、棒状包装飯塊80aから離れる図25の矢印L方向に引っ張る。これにより、フィルム基体11は、カバー片40によって切込み12,12から分断される。カバー片40は、フィルム基体11に対して、シート状食品50側となる内面側に配置しているから、カットテープと同様に、カバー片40は、図24に示すように、フィルム基体11の第1フィルム20と第2フィルム30を引き裂きながら、幅広の切り口15が形成される。
【0064】
そして、そのまま、図25の矢印Mで示すように、切込み12,12とは逆側の端部となるフィルム基体11の折り曲げ部L3までカバー片40を引っ張って、外側に位置するフィルム基体11を分断する。
【0065】
続いて、図26の矢印Nで示すように、カバー片40を棒状包装飯塊80aの長手方向と平行に引っ張る。カバー片40を引っ張ることで、飯側領域18のカバー片40は、第1実施形態の図14図15と同様に、飯側領域18の第1フィルム20と第2フィルム30の接合部分22a,32aに形成された易破断部24,34を起点として亀裂25,35が延び、これら亀裂25,35が繋がることでカバー片40の近傍で第1フィルム20及び第2フィルム30は破断される。
【0066】
そして、カバー片40を完全に引き抜くことで、カバー片40により繋ぎ合わされていた飯側領域18の第1フィルム20と第2フィルム30は完全に分断されて、切り口16が形成される(図17参照)。
【0067】
上記によって、第1フィルム20と第2フィルム30は完全に分断されて、分断された部分に切り口15,16が形成される。この状態から止着手段90を剥がして、図27に示すように、包装シート10を展開し、分断された第1フィルム20を図28の矢印Oに示すように引っ張ることで、第1フィルム20により覆われていたシート状食品50が露出する。その後、被せフィルム70を開いて、露出したシート状食品50に棒状の飯塊60aを巻き付けつつ、シート状食品50を第2フィルム30から引き出すことで、シート状食品50の巻き付けられた棒状の飯塊60aを得ることができる。
【0068】
取り出された飯塊は、乾燥状態にあるシート状食品50に包まれているから、そのまま食せばよい。
【0069】
上記実施形態は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮するように解すべきものではない。又、本発明の各部構成は上記一実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【0070】
上記説明において、説明のため、適宜寸法や望ましい形状を例示しているが、本発明は上記寸法や形状に限定されるものではないことは明らかである。例えば、包装シート10の大きさは、包装される飯塊60,60aの大きさに合わせて作製すればよい。
【0071】
図29は、易破断部24,34の異なる実施形態を示している。前述した図3では切込みを斜め向きに形成しているが、図29(a)では、易破断部24,34として、フィルム20,30の対向する端縁に略垂直に切込みを形成している。また、図29(b)は、易破断部24,34として、フィルム20,30の端縁近傍に微小な孔を形成した実施形態である。
【0072】
また、上記実施形態では、第1フィルム20と第2フィルム30の対向する一辺どうしを近接させてカバー片40によって接合しているが、図30に示すように、これら対向する一辺どうしに間隔Sを空けても構わない。この場合、カバー片40は、その間隔に応じた幅の広いものを用いればよい。第1フィルム20と第2フィルム30との間に間隔Sを設けることで、カバー片40を取り去った後に形成される切り口15,16の幅をより大きく採ることができる。従って、第1実施形態においては飯塊60の取り出しも容易になる。間隔Sは、2mm〜10mm程度とすることが好適であり、最大は、飯塊60の幅である。
【0073】
さらに、第1フィルム20と第2フィルム30の対向する一辺どうしは、端縁どうしが重なるように配置しても構わない。この場合、カバー片40は、一方のフィルムの端縁に沿って、両フィルムどうしを気密に接合するよう配置すればよい。
【符号の説明】
【0074】
10 包装シート
11 フィルム基体
20 第1フィルム
22a 第1フィルムの飯側領域の接合部分
24 第1フィルムの易破断部
30 第2フィルム
32a 第2フィルムの飯側領域の接合部分
34 第2フィルムの易破断部
40 カバー片
50 シート状食品
60 飯塊
70 被せフィルム
80 包装飯塊
80a 棒状包装飯塊
【要約】
【課題】本発明は、シート状食品が湿気ることのない包装シート及びこの包装シートにより飯塊を包装してなる包装飯塊を明らかにする。
【解決手段】本発明の包装シート10は、第1フィルム20と、第2フィルム30と、第1フィルムと第2フィルムの対向する一端縁どうしを気密に接合する帯状のカバー片と、を含むフィルム基体であって、前記カバー片の長手方向の略中央の位置で前記カバー片と直交する折り曲げ部L3を有するフィルム基体11と、前記折り曲げ部にて折り曲げられている前記フィルム基体の間に挟み込まれているシート状食品50と、前記フィルム基体の前記折り曲げ部以外の三辺を気密に接合する熱溶着部13と、を有し、前記第1フィルム及び前記第2フィルムは、飯塊を包装したときに内側に位置する前記カバー片との接合部分22a,32aに、前記第1フィルム及び前記第2フィルムを容易に破断させる易破断部24,34が形成されている。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30