特許第6010270号(P6010270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6010270
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】内視鏡リプロセッサ
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/12 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
   A61B1/12
【請求項の数】9
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2016-544637(P2016-544637)
(86)(22)【出願日】2016年3月22日
(86)【国際出願番号】JP2016059010
【審査請求日】2016年7月4日
(31)【優先権主張番号】特願2015-173178(P2015-173178)
(32)【優先日】2015年9月2日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】小杉 愛子
【審査官】 山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平4−17835(JP,A)
【文献】 特開平6−343607(JP,A)
【文献】 特開平7−8454(JP,A)
【文献】 特開2011−72665(JP,A)
【文献】 特開2014−76168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡から内視鏡情報を読み取る内視鏡情報読取部と、
内視鏡を配置する処理槽と、
前記処理槽に配置された内視鏡の本数を検知する本数検知部と、
前記内視鏡情報読取部が読み取った内視鏡の本数である第1本数と、前記本数検知部が検知した内視鏡の本数である第2本数とが同じか異なるかを判定する判定部と、
エラーを報知する報知部と、
前記判定部および前記報知部に接続されて、前記第1本数と、前記第2本数とが異なると前記判定部が判定した場合に、前記報知部を駆動する制御部と、
を含むことを特徴とする内視鏡リプロセッサ。
【請求項2】
前記処理槽に配置されて所定水位を検知する第1水位センサを含み、
前記本数検知部は、前記所定水位となるまで前記処理槽に導入された液体の量から、前記処理槽に配置された内視鏡の本数を検知する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡リプロセッサ。
【請求項3】
前記処理槽の前記所定水位まで液体を供給する液体供給部と、
前記液体供給部と前記処理槽とをつなぐ液体供給管路と、
前記液体供給部または前記液体供給管路に配置されて前記処理槽に導入される前記液体の量を測定する流量センサと、を含み、
前記制御部は、前記液体供給部および前記水位センサに接続されて、前記液体が前記所定水位に到達するまで前記液体供給部を駆動し、
前記本数検知部は前記流量センサに接続されて、前記処理槽の前記所定水位まで導入された前記液体の量から前記処理槽に配置された内視鏡の本数を割り出す第1算出部を、含むことを特徴とする請求項2に記載の内視鏡リプロセッサ。
【請求項4】
薬液を貯留する薬液タンクと、
前記処理槽の前記所定水位まで前記薬液を供給する液体供給部と、
前記薬液タンクと前記処理槽とをつなぐ液体供給管路と、
前記薬液タンクに配置されて前記薬液の減少量を測定する第2水位センサと、を含み、
前記制御部は、前記液体供給部および前記第1水位センサに接続されて、前記薬液の減少量から、前記処理槽に配置された内視鏡の本数を割り出す第1算出部を、含むことを特徴とする請求項2に記載の内視鏡リプロセッサ。
【請求項5】
前記処理槽に配置されて所定水位を検知する第1水位センサと、
前記処理槽の前記所定水位まで液体を供給する液体供給部と、
前記液体供給部および前記第1水位センサに接続されて、前記液体が前記所定水位に到達するまで前記液体供給部を駆動する制御部と、を含み、
前記本数検知部は前記制御部または前記液体供給部に接続されて、前記液体供給部が駆動されてから前記液体が前記所定水位に到達するまでの時間を計る計時部と、前記時間から前記処理槽に配置された内視鏡の本数を割り出す第2算出部を含むことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡リプロセッサ。
【請求項6】
前記処理槽に液体を供給する液体供給部と、
前記処理槽に配置され、内視鏡または洗浄チューブが接続されることで閉状態から開状態となる第1コネクタと、
前記処理槽に配置され、内視鏡または洗浄チューブが接続されることで閉状態から開状態となる第2コネクタと、
前記第1コネクタおよび前記第2コネクタと、前記液体供給部とをつなぐ液体供給管路と、
前記液体供給管路に配置された流量センサと、
前記本数検知部は、前記流量センサに接続されて、前記液体が導出された管路の本数を内視鏡の本数に換算する請求項1に記載の内視鏡リプロセッサ。
【請求項7】
前記処理槽に配置されて所定水位を検知する第1水位センサと、
前記処理槽に液体を供給する液体供給部と、
前記液体供給部および前記第1水位センサに接続されて、前記液体が前記所定水位に到達するまで前記液体供給部を駆動する制御部と、
前記処理槽に貯留された前記液体を前記液体供給部に戻す回収管路と、
前記回収管路に配置された流量センサと、
を含み、
前記本数検知部は前記流量センサに接続されて、前記回収管路を通過した前記液体の量から前記処理槽に配置された内視鏡の本数を割り出すことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡リプロセッサ。
【請求項8】
前記処理槽に液体を供給する液体供給部と、
前記処理槽に配置され、内視鏡または洗浄チューブが接続されることで閉状態から開状態となる第1コネクタと、
前記処理槽に配置され、内視鏡または洗浄チューブが接続されることで閉状態から開状態となる第2コネクタと、
前記液体供給部と前記第1コネクタとをつなぐ第1供給管路と、
前記液体供給部と前記第2コネクタとをつなぐ第2供給管路と、
前記第1供給管路に配置された第1流動センサと、
前記第2供給管路に配置された第2流動センサと、
を含み、
前記本数検知部は、前記第1流動センサおよび前記第2流動センサに接続されて、前記第1供給管路および前記第2供給管路のうち、前記液体の流動が検出された管路の本数を内視鏡の本数に換算する請求項1に記載の内視鏡リプロセッサ。
【請求項9】
前記処理槽に流体を供給して内視鏡を再生処理する流体供給部を含み、
前記制御部は、前記流体供給部、前記本数検知部、および前記内視鏡情報読取部に接続されて、
前記内視鏡情報読取部が読み取った内視鏡の本数と、前記本数検知部が検知した内視鏡の本数とが異なると前記判定部が判定した場合、再生処理の終了後に前記報知部を駆動し続け、前記本数検知部が検知した内視鏡の本数と同じ数だけ、前記内視鏡情報読取部が内視鏡情報を読み取ると前記報知部の駆動を停止することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡リプロセッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡情報を読み取る内視鏡情報読取部を備える内視鏡リプロセッサに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において使用される内視鏡は、使用後に洗浄処理及び消毒処理等の薬液を用いた再生処理が施される。また、内視鏡の再生処理を自動的に行う内視鏡洗浄装置が知られている。
【0003】
内視鏡洗浄装置には、例えば日本国特開2010−35689号公報に開示されているように、内視鏡に設けられたRFIDタグ等から内視鏡情報を読み取る内視鏡情報読取部を備え、当該内視鏡情報と再生処理の実施の履歴情報とを紐付ける構成を有するものが知られている。
【0004】
内視鏡情報読取部を備える内視鏡リプロセッサにおいて、内視鏡情報読取部による内視鏡情報の読み取りを行っていない内視鏡に対して再生処理を実行してしまった場合、内視鏡情報と再生処理の実施の履歴情報とを紐付けを人の手で行う必要が生じ、手間が増える。
【0005】
本発明は、内視鏡情報読取部による内視鏡情報の読み取り忘れを防止することができる内視鏡リプロセッサを提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による内視鏡リプロセッサは、内視鏡から内視鏡情報を読み取る内視鏡情報読取部と、内視鏡を配置する処理槽と、前記処理槽に配置された内視鏡の本数を検知する本数検知部と、前記内視鏡情報読取部が読み取った内視鏡の本数である第1本数と、前記本数検知部が検知した内視鏡の本数である第2本数とが同じか異なるかを判定する判定部と、エラーを報知する報知部と、前記判定部および前記報知部に接続されて、前記第1本数と、前記第2本数とが異なると前記判定部が判定した場合に、前記報知部を駆動する制御部と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態の内視鏡リプロセッサの構成を示す図である。
図2】第1の実施形態の本数検知部に関わる構成を示す図である。
図3】第1の実施形態の内視鏡リプロセッサの動作を示すフローチャートである。
図4】第1の実施形態の第2の変形例の内視鏡リプロセッサの本数検知部に関わる構成を示す図である。
図5】第1の実施形態の第3の変形例の内視鏡リプロセッサの本数検知部に関わる構成を示す図である。
図6】第2の実施形態の内視鏡リプロセッサの本数検知部に関わる構成を示す図である。
図7】第3の実施形態の内視鏡リプロセッサの本数検知部に関わる構成を示す図である。
図8】第3の実施形態の変形例の内視鏡リプロセッサの本数検知部に関わる構成を示す図である。
図9】第4の実施形態の内視鏡リプロセッサの、エラー解除操作入力判定処理のフローチャートである。
図10】第5の実施形態の内視鏡リプロセッサの、エラー解除操作入力判定処理のフローチャートである。
図11】第6の実施形態の内視鏡リプロセッサの本数検知部に関わる構成を示す図である。
図12】第6の実施形態の変形例の内視鏡リプロセッサの本数検知部に関わる構成を示す図である。
図13】第7の実施形態の内視鏡リプロセッサの本数検知部に関わる構成を示す図である。
図14】第8の実施形態の内視鏡リプロセッサの本数検知部に関わる構成を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明の好ましい形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、および各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。
【0009】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の実施形態の一例を説明する。図1に示す内視鏡リプロセッサ1は、内視鏡に対して、再生処理を施す装置である。ここでいう再生処理とは特に限定されるものではなく、水によるすすぎ処理、有機物等の汚れを落とす洗浄処理、所定の微生物を無効化する消毒処理、全ての微生物を排除もしくは死滅させる滅菌処理、またはこれらの組み合わせ、のいずれであってもよい。
【0010】
なお、以下の説明において、上方とは比較対象に対してより地面から遠ざかった位置のことを指し、下方とは比較対象に対してより地面に近づいた位置のことを指す。また、以下の説明における高低とは、重力方向に沿った高さ関係を示すものとする。
【0011】
内視鏡リプロセッサ1は、制御部5、電源部6、操作部7、報知部8、処理槽2、内視鏡情報読取部9、本数検知部80、および判定部10を備える。
【0012】
制御部5は、演算装置(CPU)、記憶装置(RAM)、補助記憶装置、入出力装置および電力制御装置等を具備して構成することができ、内視鏡リプロセッサ1を構成する各部位の動作を、所定のプログラムに基づいて制御する構成を有している。以下の説明における内視鏡リプロセッサ1に含まれる各構成の動作は、特に記載がない場合であっても制御部5によって制御される。
【0013】
電源部6は、内視鏡リプロセッサ1の各部位に電力を供給する。電源部6は、商用電源等の外部から得た電力を各部位に分配する。なお、電源部6は、発電装置やバッテリーを備えていてもよい。
【0014】
操作部7および報知部8は、使用者との間の情報の授受を行うユーザインターフェースを構成する。操作部7は、例えばプッシュスイッチやタッチセンサ等の、使用者からの動作指示を受け付ける操作部材を含む。使用者からの動作指示は、操作部7により電気信号に変換され、制御部5に入力される。使用者からの動作指示とは、例えば再生処理の開始指示等である。なお、操作部7は、制御部5との間で有線通信または無線通信を行う内視鏡リプロセッサ1の本体部1aと分離した電子機器に備えられる形態であってもよい。
【0015】
また、報知部8は、例えば画像や文字を表示する表示装置、光を発する発光装置、音を発するスピーカ、振動を発するバイブレータ、またはこれらの組み合わせ、を含む。報知部8は、制御部5から使用者に対して情報を出力する。なお、報知部8は、制御部5との間で有線通信または無線通信を行う内視鏡リプロセッサ1の本体部1aと分離した電子機器に備えられる形態であってもよい。
【0016】
制御部5は、内視鏡リプロセッサ1の動作において異常な状態(エラー)が発生した場合に、報知部8を駆動して、例えば音を発することにより当該エラーを報知する。また、エラーの報知時において、報知部8は、エラーの内容を示す文字情報を表示する構成を有していてもよい。
【0017】
処理槽2は、開口部を有する凹形状であり、内部に液体を貯留することが可能である。処理槽2内には、図示しない複数の内視鏡を配置することができる。本実施形態では一例として、処理槽2内には、2本の内視鏡を配置することができる。処理槽2の上部には、処理槽2の開口部を開閉する蓋3が設けられている。処理槽2内において内視鏡に再生処理を施す場合には、処理槽2の開口部は蓋3によって閉じられる。
【0018】
処理槽2には、薬液ノズル12、排液口11、循環口13、循環ノズル14、消毒液ノズル15、内視鏡接続部16、付属品ケース17および第1水位センサ60が設けられている。
【0019】
薬液ノズル12は、薬液管路26を介して薬液タンク20に連通する開口部である。薬液タンク20は、薬液を貯留する。薬液管路26には、薬液ポンプ27が設けられている。薬液ポンプ27を運転することにより、薬液タンク20内の薬液が、薬液管路26および薬液ノズル12を経由して、処理槽2内に移送される。薬液ポンプ27は制御部5に接続されており、薬液ポンプ27の動作は制御部5によって制御される。
【0020】
薬液タンク20が貯留する薬液の種類は特に限定されるものではないが、本実施形態では一例として、薬液は消毒処理に用いられる例えば消毒液、または滅菌処理に用いられる滅菌液である。消毒液または滅菌液として過酢酸が挙げられる。ただし、本発明はこれに限定されず、薬液として、洗浄処理に用いられる洗浄液、乾燥に用いられる高揮発性溶液等を目的に応じて適宜選択することができる。
【0021】
また、本実施形態では一例として、薬液は、薬液ボトル18から供給された薬液の原液を、水によって所定の比率で希釈したものである。本実施形態の薬液タンク20は、薬液ボトル18から供給された薬液の原液を薬液タンク20内に導入するボトル接続部19、および希釈用の水を薬液タンク20内に導入する希釈管路48に連通している。薬液ボトル18がボトル接続部19に接続されることにより、薬液の原液が薬液タンク20内に導入される。希釈管路48から薬液タンク20内に水を導入する構成については後述する。
【0022】
なお、内視鏡リプロセッサ1は、薬液を水等によって希釈する構成を有していなくともよい。また、薬液が複数種類の原液を混合して使用されるものである場合には、ボトル接続部19は複数の薬液ボトル18に接続可能である。
【0023】
また、本実施形態では一例として、薬液は、濃度が薬効を有する所定の範囲内である場合には、再使用可能である。薬液タンク20は、薬液タンク20内から処理槽2内に移送された薬液を回収して再び貯留する薬液回収部を兼ねる。
【0024】
また、薬液タンク20には、排液部28が配設されている。排液部28は、薬液タンク20内から薬液または水等の液体を排出する。排液部28は、重力によって薬液タンク20内から液体を排出する構成であってもよいし、ポンプによって強制的に薬液タンク20内から液体を排出する構成であってもよい。
【0025】
本実施形態では一例として、排液部28は、薬液タンク20の底面または底面付近に設けられた排液口20aに連通するドレーン管路28aと、ドレーン管路28aを開閉するドレーンバルブ28bと、を含む。ドレーンバルブ28bは、制御部5によって開閉の制御がなされる電磁開閉弁であってもよいし、使用者の手動操作によって開閉が行われるコックであってもよい。
【0026】
なお、薬液タンク20内から液体を排出する経路は、ドレーン管路のみに限られない。例えば、薬液ポンプ27の運転を開始することによって、薬液管路26および薬液ノズル12を経由して、薬液タンク20内から液体を処理槽2内に排出することも可能である。この場合、内視鏡リプロセッサ1は、図1に示される排液口20a、ドレーン管路28a、およびドレーンバルブ28bを含まない構成であってもよい。
【0027】
排液口11は、処理槽2内の最も低い箇所に設けられた開口部である。排液口11は、排出管路21に接続されている。排出管路21は、排液口11と切替バルブ22とを連通している。切替バルブ22には、回収管路23および廃棄管路25が接続されている。切替バルブ22は、排出管路21を閉塞した状態、排出管路21と回収管路23とを連通した状態、または排出管路21と廃棄管路25とを連通した状態、に切り替え可能である。切替バルブ22は制御部5に接続されており、切替バルブ22の動作は制御部5によって制御される。
【0028】
回収管路23は、薬液タンク20と切替バルブ22とを連通している。また、廃棄管路25には排出ポンプ24が設けられている。排出ポンプ24は制御部5に接続されており、排出ポンプ24の動作は制御部5によって制御される。廃棄管路25は、内視鏡リプロセッサ1から排出される液体を受け入れるための排液設備に接続される。
【0029】
切替バルブ22を閉状態とすれば、処理槽2内に液体を貯留することができる。また、処理槽2内に薬液が貯留されている時に、切替バルブ22を排出管路21と回収管路23とが連通した状態とすれば、薬液が処理槽2から薬液タンク20に移送される。また、切替バルブ22を排出管路21と廃棄管路25とが連通した状態とし、排出ポンプ24の運転を開始すれば、処理槽2内の液体が廃棄管路25を経由して排液設備に送出される。
【0030】
循環口13は、処理槽2の底面付近に設けられた開口部である。循環口13は、循環管路13aに連通している。循環管路13aは、内視鏡循環管路30および処理槽循環管路40の二つの管路に分岐している。
【0031】
内視鏡循環管路30は、循環管路13aと後述するチャンネルブロック32とを連通している。内視鏡循環管路30には、循環ポンプ33が設けられている。循環ポンプ33は、稼働することにより内視鏡循環管路30内の流体をチャンネルブロック32に向かって移送する。
【0032】
チャンネルブロック32には、前述の内視鏡循環管路30の他に、吸気管路34、アルコール管路38および送出管路31が接続されている。チャンネルブロック32は、送出管路31と、内視鏡循環管路30、吸気管路34およびアルコール管路38とを接続している。チャンネルブロック32は、内視鏡循環管路30、吸気管路34およびアルコール管路38のそれぞれから、チャンネルブロック32内へ向かう方向にのみ流体の流れを許容する逆止弁が設けられている。すなわち、チャンネルブロック32内から、内視鏡循環管路30、吸気管路34およびアルコール管路38に向かって流体が流れないようになっている。
【0033】
吸気管路34は、一方の端部が大気に開放されており、他方の端部がチャンネルブロック32に接続されている。なお、図示しないが、吸気管路34の一方の端部には、通過する気体を濾過するフィルタが設けられている。エアポンプ35は、吸気管路34に設けられており、稼働することにより吸気管路34内の気体をチャンネルブロック32に向かって移送する。
【0034】
アルコール管路38は、アルコールを貯留するアルコールタンク37とチャンネルブロック32とを連通している。アルコールタンク37内に貯留されるアルコールは、例えばエタノールが挙げられる。アルコール濃度については、適宜に選択することができる。アルコールポンプ39は、アルコール管路38に設けられており、稼働することによりアルコールタンク37内のアルコールをチャンネルブロック32に向かって移送する。
【0035】
循環ポンプ33、エアポンプ35およびアルコールポンプ39は、制御部5に接続されており、これらの動作は制御部5によって制御される。処理槽2内に液体が貯留されている場合に、循環ポンプ33の運転を開始すれば、処理槽2内の液体が、循環口13、循環管路13aおよび内視鏡循環管路30を経由して、送出管路31に送り込まれる。また、エアポンプ35の運転を開始すれば、空気が送出管路31に送り込まれる。また、アルコールポンプ39の運転を開始すれば、アルコールタンク37内のアルコールが送出管路31に送り込まれる。
【0036】
送出管路31は、内視鏡接続管路31bおよびケース接続管路31cに分岐している。内視鏡接続管路31bは、内視鏡接続部16に接続されている。また、ケース接続管路31cは、付属品ケース17に接続されている。
【0037】
また、送出管路31には、流路切替部31aが設けられている。流路切替部31aは、送出管路31と内視鏡接続管路31bとを常時接続するリリーフ弁であって、内視鏡接続管路31b内の圧力が所定の値を超えた場合に、送出管路31から流入する流体をケース接続管路31cに逃がす。すなわち、流路切替部31aは、内視鏡接続管路31b内の圧力を一定に保つ。
【0038】
内視鏡接続部16は、図示しない洗浄チューブを介して、内視鏡に設けられた口金に接続されてもよいし、内視鏡を直接接続してもよい。内視鏡接続部16は、処理槽2内に配置可能な内視鏡の本数に応じた数が設けられる。前述のように本実施形態では一例として2本の内視鏡が処理槽2内に配置可能であるから、内視鏡接続部16は、2本の内視鏡のそれぞれの口金に接続可能なように、少なくとも2つ設けられる。付属品ケース17は、内視鏡の図示しない付属品を収容するかご状の部材である。
【0039】
チャンネルブロック32から送出管路31に送出された流体は、内視鏡接続部16および洗浄チューブを介して、内視鏡の口金に連通する管路内に導入される。管路内に導入される流体の圧力が、リリーフ弁である流路切替部31aが作動する値を超えると、当該流体は、内視鏡の管路内の他に、ケース接続管路31cを経由して付属品ケース17内にも導入される。
【0040】
処理槽循環管路40は、循環管路13aと循環ノズル14とを連通している。循環ノズル14は、処理槽2内に設けられた開口部である。処理槽循環管路40には、流液ポンプ41が設けられている。流液ポンプ41は制御部5に接続されており、流液ポンプ41の動作は制御部5によって制御される。
【0041】
また、処理槽循環管路40の流液ポンプ41と循環ノズル14との間には、三方弁42が設けられている。三方弁42には、給水管路43が接続されている。三方弁42は、循環ノズル14と処理槽循環管路40とを連通した状態、または循環ノズル14と給水管路43とを連通した状態、に切り替え可能である。
【0042】
給水管路43は、三方弁42と水供給源接続部46とを連通している。給水管路43には、給水管路43を開閉する水導入バルブ45および水を濾過する水フィルタ44が設けられている。水供給源接続部46は、例えばホース等を介して、水を送出する水道設備等の水供給源49に接続される。
【0043】
給水管路43の、水フィルタ44と三方弁42との間の区間には、希釈バルブ47が設けられている。希釈バルブ47には、希釈バルブ47と薬液タンク20とを連通する希釈管路48が接続されている。希釈バルブ47は、水フィルタ44と三方弁42とを連通した状態、または水フィルタ44と希釈管路48とを連通した状態、に切り替え可能である。三方弁42、水導入バルブ45および希釈バルブ47は、制御部5に接続されており、これらの動作は制御部5によって制御される。
【0044】
処理槽2内に液体が貯留されている場合に、三方弁42を循環ノズル14と処理槽循環管路40とを連通した状態とし、希釈バルブ47を水フィルタ44と三方弁42とを連通した状態として、流液ポンプ41の運転を開始すれば、処理槽2内の液体が、循環口13、循環管路13aおよび処理槽循環管路40を経由して、循環ノズル14から吐出される。
【0045】
また、三方弁42を、循環ノズル14と給水管路43とを連通した状態とし、希釈バルブ47を水フィルタ44と三方弁42とを連通した状態として、水導入バルブ45を開状態とすれば、水供給源49から供給された水が循環ノズル14から吐出される。循環ノズル14から吐出された液体は、処理槽2内に導入される。
【0046】
また、希釈バルブ47を水フィルタ44と希釈管路48とを連通した状態とし、水導入バルブ45を開状態とすれば、水供給源49から供給された水が薬液タンク20内に導入される。
【0047】
洗浄液ノズル15は、洗浄液管路51を介して、洗浄液を貯留する洗浄液タンク50に連通する開口部である。洗浄液は、洗浄処理に用いられる。洗浄液管路51には、洗浄液ポンプ52が設けられている。洗浄液ポンプ52は制御部5に接続されており、洗浄液ポンプ52の動作は制御部5によって制御される。洗浄液ポンプ52を運転することにより、洗浄液タンク50内の洗浄液が、処理槽2内に移送される。
【0048】
第1水位センサ60は、処理槽2に配置されており、処理槽2内に貯留される液体の液面が、所定の水位L1以上の高さにあるか否かを検知する。水位センサ60は、制御部5に電気的に接続されており、検出結果の情報を制御部5に出力する。
【0049】
第1水位センサ60の構成は特に限定されるものではない。第1水位センサ60は、処理槽2に貯留される液体に浮くフロートの上下動に応じて開閉するスイッチの動作状態に基づいて、液体の液面が所定の水位L1以上の高さにあるか否かを検出する、いわゆるフロート式水位センサであってもよい。また例えば、第1水位センサ60は、離間して配設された複数の電極を備え、複数の電極が液体中に没しているか否かによって変化する複数の電極間の電気的な導通の有無に基づいて、液体の液面が所定の水位L1以上の高さにあるか否かを検出する、いわゆる電極式水位センサであってもよい。
【0050】
所定の水位L1は、処理槽2内に配置された複数本の内視鏡の最も高い部分よりも高い一に設定されている。すなわち、処理槽2内の所定の水位L1まで液体を貯留した場合には、処理槽2内に配置された全ての内視鏡の全体が、液体中に没する。
【0051】
内視鏡情報読取部9は、内視鏡から内視鏡情報を読み取り、当該内視鏡情報を制御部5に送信する。内視鏡情報は、個々の内視鏡に付された識別子の情報を含む。識別子は、内視鏡の製造者により定められるものであってもよいし、内視鏡の使用者が独自に定めたものであってもよい。
【0052】
内視鏡情報読取部9が内視鏡から内視鏡情報を読み取る方法は特に限定されるものではない。本実施形態では一例として、内視鏡情報は、内視鏡に内蔵または取り付けられたRFIDタグに記憶されており、内視鏡情報読取部9は、このRFIDタグから内視鏡情報を読み取るRFIDタグリーダである。
【0053】
なお、内視鏡情報は、文字、バーコード、または2次元コード等により内視鏡の外表面または内視鏡に取り付けられたタグに表示されており、内視鏡情報読取部9は、文字、バーコード、または2次元コードを認識して内視鏡情報を読み取る装置であってもよい。また、内視鏡情報読取部9は、制御部5との間で有線通信または無線通信を行う内視鏡リプロセッサ1の本体部1aと分離した電子機器に備えられる形態であってもよい。
【0054】
制御部5は、内視鏡情報読取部9により内視鏡から読み取った内視鏡情報を、記憶部5aに記憶する。なお、記憶部5aは、制御部5に含まれていてもよいし、制御部5とは別体であってもよい。内視鏡情報は、内視鏡リプロセッサ1により再生処理を施した日時等の情報を含む履歴情報と紐付けられて管理情報として記憶される。
【0055】
なお、内視鏡情報読取部9は、使用者に付された識別子の情報を読み取り可能であってもよい。この場合、制御部5は、使用者の識別子と、内視鏡情報と、履歴情報とを紐付けて記憶部5aに記憶する。
【0056】
判定部10は、内視鏡情報読取部9が前記内視鏡情報を読み取った内視鏡の本数である第1本数N1と、後述する本数検知部80によって検知された処理槽2内に配置されている内視鏡の本数である第2本数N2と、が同じであるか異なるかを判定する。判定部10の動作については後述する。なお、判定部10は、制御部5に含まれていてもよいし、制御部5とは別体であり判定結果の情報を制御部5に出力するものであってもよい。
【0057】
本数検知部80は、処理槽2内に配置されている内視鏡の本数である第2本数N2を検知し、第2本数N2の情報を制御部5に送信する。本数検知部80の詳細な構成については後述する。
【0058】
図2は、本実施形態の本数検知部80に関わる構成を示す図である。本数検知部80は、第1算出部80aを備える。第1算出部80aは、処理槽2内に液体を導入し、処理槽2内に液体が貯留されていない状態から、処理槽2内に貯留された液体の液面が所定の水位L1に達した時点までに、処理槽2へ導入した液体の体積である導入量Viに基づき、処理槽2内に配置されている内視鏡の本数である第2本数N2を算出する。なお、本数検知部80は、制御部5に含まれていてもよいし、制御部5とは別体であり第2本数N2の検知結果の情報を制御部5に出力するものであってもよい。
【0059】
導入量Viを測定する対象の液体は、液体供給部70により処理槽2内に供給される。導入量Viを測定する対象の液体の種類は特に限定されるものではなく、処理槽2内に所定の水位L1まで満たすことが可能な量を供給可能な液体であればよい。
【0060】
本実施形態では一例として、導入量Viを測定する対象の液体は、内視鏡リプロセッサ1の外部の水供給源49から供給される水である。すなわち、本実施形態の液体供給部70は、水供給源接続部46、水導入バルブ45および給水管路43を備える。
【0061】
なお、導入量Viを測定する対象の液体は、内視鏡リプロセッサ1内に貯留されている液体であってもよい。処理槽2内に所定の水位L1まで満たすことが可能な量が内視鏡リプロセッサ1内に貯留される液体としては、例えば薬液タンク20に貯留される薬液が挙げられる。
【0062】
処理槽2に導入される液体の導入量Viを測定するための構成は特に限定されるものではないが、本実施形態では一例として、内視鏡リプロセッサ1は、液体供給部70から処理槽2に供給される液体の流量を測定する流量センサ81を備え、流量センサ81により導入量Viを測定する。
【0063】
液体供給部70が水供給源49から供給される水を処理槽2内に導入する構成を有する本実施形態では、流量センサ81は、給水管路43に設けられており、給水管路43を流れる水の流量を測定する。なお、流量センサ81は、循環ノズル14または水供給源接続部46に設けられていてもよい。
【0064】
流量センサ81は、制御部5に電気的に接続されており、測定結果の情報を制御部5に送信する。なお、流量センサ81は、制御部5が導入量Viを取得するために必要な値を測定するものであればよい。例えば流量センサ81は、制御部5から指定された期間において処理槽2に導入された液体の体積を測定結果として出力する形態であってもよいし、また例えば流量センサ81は、単位時間あたりに処理槽2に導入された液体の体積の情報を測定結果として出力する形態であってもよい。また、例えば流量センサ81は、液体が流れる管路の所定の区間における流速または圧力の情報を測定結果として出力する形態であってもよい。どの例であっても、流量センサ81による測定結果に基づいて、制御部5が導入量Viを取得可能であることは、周知の通りである。
【0065】
制御部5は、流量センサ81による測定結果に基づいて取得した導入量Viの値を本数検知部80の第1算出部80aに出力する。
【0066】
一般的に処理槽2に配置された内視鏡の本数が増えるほど導入量Viは減るため、第1算出部80aは、導入量Viから処理槽2に配置された内視鏡の本数を算出することができる。
【0067】
例えば、導入量が所定の値Vi1未満であった場合には、処理槽2に配置された内視鏡の本数は2本、Vi1以上であった場合には処理槽2に配置された内視鏡の本数は1本と、内視鏡の本数を算出することができる。
【0068】
判定部10は、内視鏡情報読取部9が読み取った内視鏡の本数である第1本数と、第1算出部80aが算出した内視鏡の本数である第2本数とを比較し、一致するか異なるかを判定する。
【0069】
制御部5は、判定部10が第1本数と第2本数とが異なると判定した場合に報知部8を駆動し、ユーザーに報知する。
【0070】
例えば、第1本数が1本、第2本数が2本であった場合、内視鏡情報読取部9には1本分しか内視鏡情報を読み取らせていないにも関らず、処理槽2には内視鏡が2本配置されているということになる。
【0071】
なお、図2では、本数検知部80が制御部5を解して判定部10に接続されているが、本数検知部80と判定部10とは直接接続されていてもよい。
【0072】
本実施形態の第1の変形例として、下記の精密な判定方法もある。本数検知部80が備える第1算出部80aは、内視鏡情報読取部9により読み取られて記憶部5aに記憶されている内視鏡情報に対応した内視鏡の体積Ve(n)を取得する。ここで、nは、説明のために個々の内視鏡情報に付す番号であり、1以上の整数である。例えば、内視鏡情報読取部9により2本の内視鏡の内視鏡情報が読み取られて記憶されている場合には、1つめの内視鏡情報に対応する内視鏡の体積がVe(1)であり、2つめの内視鏡情報に対応する内視鏡の体積がVe(2)である。nの最大値は、第1本数N1と等しい。
【0073】
なお、体積Veの値は、個々の内視鏡の体積と完全に等しい値でなくともよく、近似した値であってもよい。
【0074】
第1算出部80aが、内視鏡情報に対応する内視鏡の体積を取得するための構成は特に限定されるものではない。例えば、体積Veの値の情報が直接的に内視鏡情報に含まれており、第1算出部80aは、内視鏡情報を読み取ることで内視鏡の体積Ve(n)を取得する形態であってもよい。
【0075】
また例えば、内視鏡情報には、体積Ve(n)の値を算出するために必要な情報が含まれており、第1算出部80aは、内視鏡情報に基づいて内視鏡の体積Ve(n)を算出する形態であってもよい。この場合、例えば内視鏡情報には、内視鏡の型式(機種名)を表す情報が含まれており、本数検知部80は、あらかじめ記憶している内視鏡の型式と体積Ve(n)との関係を表す参照テーブルを用いて、内視鏡情報から体積Ve(n)の値を算出する。なお、内視鏡情報に挿入部等の長さや外形の情報が含まれていれば、第1算出部80aがより正確に内視鏡の体積Ve(n)を算出することができるため、より好ましい。
【0076】
本実施形態では、前述のように、処理槽2内に最大2本の内視鏡を配置可能である。よって、例えば内視鏡情報読取部9により2本の内視鏡の内視鏡情報が読み取られて記憶されている場合(第1本数N1=2である場合)には、第1算出部80aは、2本の内視鏡のそれぞれの体積Ve(1)、Ve(2)を取得する。また例えば、1本の内視鏡の内視鏡情報が読み取られて記憶されている場合(第1本数N1=1である場合)には、第1算出部80aは、この内視鏡の体積Ve(1)を取得する。
【0077】
そして、第1算出部80aは、内視鏡情報読取部9により内視鏡情報が読み取られた全ての内視鏡の体積Ve(n)の合計である合計体積Veaを算出する。
【0078】
本実施形態においては、例えば第1本数N1=2である場合には、Vea=Ve(1)+Ve(2)である。また例えば、第1本数N1=1である場合には、Vea=Ve(1)である。
【0079】
また、第1算出部80aは、処理槽2の所定の水位L1までの容積Vtを記憶している。容積Vtは、あらかじめ設定された固定値である。容積Vtは、言い換えれば、処理槽2内に内視鏡を配置しない場合において、処理槽2の所定の水位L1まで液体で満たすのに必要となる液体の体積である。
【0080】
第1算出部80aは、処理槽Vtの容積から導入量Viを差し引いた値である体積差Vdを算出する。体積差Vdは、処理槽2内に配置されている全ての内視鏡の体積の実測値にほぼ等しい。ここで、ほぼ等しいとしたのは、処理槽2内には、内視鏡の他に内視鏡の付属品や洗浄チューブ等が配置されており、これらの体積も体積差Vdの値に含まれるからである。
【0081】
もし、内視鏡情報読取部9により内視鏡情報が読み取られた全ての内視鏡が処理槽2内に配置されているならば、内視鏡情報から予測される内視鏡の合計体積Veaの値と、実際に処理槽2内に導入した液体の導入量Viから算出した体積差Vdの値とが、近似する。
【0082】
よって、第1算出部80aは、体積差Vdが、合計体積Veaに対して所定の範囲内に収まる値である場合に、処理槽2内に実際に配置されている内視鏡の本数である第2本数N2を、内視鏡情報読取部9が前記内視鏡情報を読み取った内視鏡の本数である第1本数N1と同じ値として算出する。
【0083】
すなわち、合計体積Veaと体積差Vdの差の絶対値が、所定の値A以下であれば、第1算出部80a、第2本数N2を第1本数N1に等しくする。所定の値Aは、内視鏡リプロセッサ1により処理を行う内視鏡のうちの体積が最も小さいものの体積の値よりも小さく、かつ体積差Vdの測定誤差を許容する値である。
【0084】
また、もし内視鏡情報読取部9により内視鏡情報が読み取られた1本または複数本の内視鏡の数よりも多い本数の内視鏡が処理槽2内に配置されているならば、内視鏡情報から予測される内視鏡の合計体積Veaの値は、実際に処理槽2内に導入した液体の導入量Viから算出した体積差Vdの値よりも小さくなる。この場合の合計体積Veaと体積差Vdの差は、1本の内視鏡の体積に近い値か、これよりも大きい値となる。
【0085】
よって、第1算出部80aは、体積差Vdが、合計体積Veaに対して所定の範囲内に収まる値である場合に、処理槽2内に実際に配置されている内視鏡の本数である第2本数N2を、内視鏡情報読取部9が前記内視鏡情報を読み取った内視鏡の本数である第1本数N1よりも大きい値として算出する。
【0086】
本実施形態では、前述のように、処理槽2内に最大2本の内視鏡を配置可能である。したがって、例えば内視鏡情報読取部9により1本の内視鏡の内視鏡情報を読み取った後に、2本の内視鏡が処理槽2内に配置された場合、第1本数N1は1であり、第1算出部80aは、第2本数N2を第1本数よりも大きい値である2として算出する。
【0087】
また例えば、内視鏡情報読取部9により内視鏡の内視鏡情報を読み取らずに、1本の内視鏡が処理槽2内に配置された場合、第1本数N1は0であり、第1算出部80aは、第2本数N2を第1本数よりも大きい値である1または2として算出する。
【0088】
前述のように、判定部10は、内視鏡情報読取部9が内視鏡情報を読み取った内視鏡の本数である第1本数N1と、本数検知部80によって検知された処理槽2内に配置されている内視鏡の本数である第2本数N2と、が同じであるか異なるかを判定する。
【0089】
制御部5は、判定部10が、第1本数N1と第2本数N2とが異なると判定した場合に、報知部8を駆動する。第1本数N1と第2本数N2とが異なると判定部10が判定する場合とは、前述のように、内視鏡情報読取部9により内視鏡情報が読み取られた内視鏡の数(第1本数N1)と、本数検知部80が検知した処理槽2内に配置されている内視鏡の数(第2本数N2)とが異なる場合である。この場合、処理槽2内に配置されている1本または複数本の内視鏡の中に、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取りが行われていないものが存在することになる。
【0090】
制御部5は、この、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取りが行われていない内視鏡が、処理槽2内に配置されているというエラーが発生したとして報知部8を駆動して使用者に報知する。
【0091】
次に、前述の構成を有する内視鏡リプロセッサ1の動作を説明する。図3は、内視鏡リプロセッサ1の動作を示すフローチャートである。
【0092】
まず、ステップS110において、制御部5は、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取りが可能であるか否かを判定する。例えば、内視鏡に内蔵または取り付けられたRFIDタグが、内視鏡情報読取部9による読み取り可能範囲内に近づけられた場合に、内視鏡情報の読み取りが可能となる。
【0093】
ステップS110において、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取りが不可能である場合には、ステップS150に移行する。
【0094】
一方、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取りが可能である場合には、ステップS120に移行する。
【0095】
ステップS120では、制御部5は、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取りを実行する。次にステップS130において、制御部5は、内視鏡情報読取部9による読み取った内視鏡情報が、既に読み取り済みであり記憶部5aに一時記憶済みのものであるか否かを判定する。
【0096】
ステップS130において、内視鏡情報が読み取り済みではないと判定した場合には、制御部5は、ステップS140において当該内視鏡情報を記憶部5aに一時記憶する。ステップS130において、内視鏡情報が読み取り済みであると判定した場合には、制御部5は、ステップS140をスキップし、内視鏡情報を記憶しない。
【0097】
ステップS150では、制御部5は、使用者からの再生処理の開始指示が、操作部7を介して入力されたか否かを判定する。ステップS150において、再生処理の開始指示が入力されていないと判定した場合には、制御部5は、ステップS110に戻り、前述の動作を繰り返す。
【0098】
使用者は、内視鏡を処理槽2内に配置した後に、操作部7を操作し、再生処理の開始指示を入力する。ステップS150において、再生処理の開始指示が入力されたと判定した場合には、ステップS160に移行する。
【0099】
ステップS160においては、制御部5は、内視鏡情報読取部9が前記内視鏡情報を読み取った内視鏡の本数である第1本数N1を検知する。第1本数N1は、記憶部5aに一時記憶されている1つ又は複数の内視鏡情報に対応する内視鏡の本数である。
【0100】
次に、ステップS170において、制御部5は、処理槽2内に配置された内視鏡の再生処理および第2本数N2の検知処理を実行する。
【0101】
内視鏡リプロセッサ1の再生処理動作は公知であるため詳細な説明は省略するが、再生処理には、処理槽2内の第1水位L1まで水または薬液等の液体を導入して、当該液体中に内視鏡を浸漬させる工程が含まれている。
【0102】
制御部5は、この処理槽2内の第1水位L1まで液体を導入する工程を実行する際に、前述した本数検知部80による第2本数N2の検知を実行する。具体的に本実施形態では、処理槽2内に液体が貯留されていない状態から、液体供給部70により水を処理槽2内の第1水位L1まで導入する工程を実行する際に、制御部5は流量センサ81を駆動して、処理槽2内に導入した水の体積である導入量Viを取得する。
【0103】
そして、前述したように、本数検知部80は、記憶部5aに一時記憶されている全ての内視鏡情報に対応する1本または複数本の内視鏡の体積の合計である合計体積Veaを算出し、合計体積Vea、導入量Viおよび処理槽2の容積Vtの値に基づき、処理槽2内に実際に配置されている内視鏡の本数である第2本数N2を検知する。
【0104】
このように、本実施形態では、再生処理の実行中に、本数検知部80による第2本数N2の検知を実行可能である。
【0105】
そして、ステップS180において、制御部5は、判定部10により内視鏡情報読取部9が内視鏡情報を読み取った内視鏡の本数である第1本数N1と、本数検知部80によって検知された処理槽2内に配置されている内視鏡の本数である第2本数N2と、が同じであるか異なるかを判定する。なお、ステップS180は、再生処理の実行期間中に行われてもよいし、再生処理の終了後に行われてもよい。
【0106】
ステップS180において、第1本数N1と第2本数N2とが同じであると判定した場合には、再生処理の終了後にステップS190に移行する。ステップS190では、制御部5は、一時記憶している内視鏡情報と、再生処理を実行した日時等の情報を含む履歴情報とを紐付けて、新たに管理情報として記憶部5aに記憶する。そして、ステップS200において、制御部5は、一時記憶していた内視鏡情報を削除する。
【0107】
一方、ステップS180において、第1本数N1と第2本数N2とが異なると判定した場合には、ステップS210に移行する。ステップS210では、制御部5は、報知部8を駆動して、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取りが行われていない内視鏡が、処理槽2内に配置されているというエラーが発生したことを報知するエラー報知を開始する。例えばステップS210では、報知部8からの警告音の発生を開始する。ステップS210は、再生処理の実行期間中に行われてもよいし、再生処理の終了後に行われてもよい。
【0108】
そして、ステップS220において、制御部5は、使用者によるエラー解除操作が行われたか否かを判定する。制御部5は、使用者によるエラー解除操作が行われるまで待機、エラー解除操作が行われた場合に、ステップS230においてエラー報知を停止する。すなわち、エラー解除操作が行われるまで、制御部5は、報知部8を駆動してエラー報知を継続する。
【0109】
エラー解除操作とは、例えば使用者が操作部7を介してエラー報知を停止する指示を入力することである。なお、エラー解除操作は、内視鏡情報の読み取りが行われていない内視鏡の内視鏡情報を、使用者が内視鏡情報読取部9に読み取らせることであってもよい。
【0110】
エラー報知を停止した後は、ステップS190に移行し、制御部5は、一時記憶している内視鏡情報と、再生処理を実行した日時等の情報を含む履歴情報とを紐付けて、新たに管理情報として記憶部5aに記憶する。そして、ステップS200において、制御部5は、一時記憶していた内視鏡情報を削除する。
【0111】
以上に説明したように、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、内視鏡から内視鏡情報を読み取る内視鏡情報読取部9と、内視鏡を配置する処理槽2と、処理槽2に配置された内視鏡の本数を検知する本数検知部80と、内視鏡情報読取部9が読み取った内視鏡の本数である第1本数N1と、本数検知部80が検知した内視鏡の本数である第2本数N2とが同じか異なるかを判定する判定部10と、エラーを報知する報知部8と、判定部10および報知部8に接続されて、第1本数N1と、第2本数N2とが異なると判定部10が判定した場合に、報知部8を駆動する制御部5と、を備える。
【0112】
このような構成を有する本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、第1本数N1と第2本数N2とが異なる場合、すなわち内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取りが行われていない内視鏡が処理槽2内に配置されている場合に、報知部8によるエラーの報知を実行する。このため、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1では、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取り忘れを防止することができる。
【0113】
また、本実施形態では、本数検知部80は、再生処理において、処理槽2内の所定の水位L1までを液体で満たした場合の当該液体の処理槽2内への導入量Viに基づいて、第2本数N2を検知する。すなわち、本実施形態では、本数検知部80による第2本数N2の検知動作が、再生処理と同時に行われるため、第2本数N2の検知動作の実行に伴う待ち時間が発生しない。
【0114】
以上に説明した本実施形態の内視鏡リプロセッサ1では、液体供給部70は、処理槽2内に水を導入し、本数検知部80は、水の処理槽2内への導入量Viの測定結果に基づいて第2本数N2を検知する。しかしながら、導入量Viの測定対象となる液体は水に限られない。例えば、導入量Viの測定対象となる液体は薬液タンク20に貯留されている薬液であってもよい。
【0115】
図4は、本実施形態の第2の変形例を示す図である。図4に示す第2の変形例では、液体供給部70は薬液を処理槽2内に導入し、本数検知部80は、液体供給部70により処理槽2内に導入される薬液の導入量Viの測定結果に基づいて第2本数N2を検知する。
【0116】
図4に示すように、本変形例の液体供給部70は、薬液を貯留する薬液タンク20と処理槽2とを連通する薬液管路26と、薬液管路26に設けられた薬液ポンプ27と、を備える。薬液管路26には、流量センサ81が設けられている。制御部5は、流量センサ81による測定結果に基づいて導入量Viを取得し、導入量Viの値を本数検知部80に出力する。
【0117】
以上に説明した本変形例の内視鏡リプロセッサ1においても、第1本数N1と第2本数N2とが異なる場合に報知部8によるエラーの報知を実行することにより、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取り忘れを防止することができる。
【0118】
また、前述の実施形態と同様に、本数検知部80は、再生処理における、薬液を処理槽2内の所定の水位L1までを満たす工程を実行する際に、同時に第2本数N2を検知する。したがって、本変形例においても、本数検知部80による第2本数N2の検知動作が、再生処理と同時に行われるため、第2本数N2の検知動作の実行に伴う待ち時間が発生しない。
【0119】
また、以上に説明した本実施形態の内視鏡リプロセッサ1では、液体供給部70による液体の処理槽2内への導入量Viを、流量センサ81を用いて測定しているが、導入量Viの測定方法は流量センサ81を用いるものに限られない。
【0120】
図5は、本実施形態の第3の変形例を示す図である。図5に示す第3の変形例では、液体供給部70は薬液タンク20に貯留されている薬液を処理槽2内に導入する。そして本変形例の薬液タンク20には、薬液タンク20内の薬液の液面の高さの変化を測定する第2水位センサ61が設けられている。第2水位センサ61は、制御部5に電気的に接続されており、測定結果を制御部5に出力する。
【0121】
本変形例の制御部5は、第2水位センサ61による薬液タンク20中の薬液の液面の高さの変化量と、あらかじめ入力されている薬液タンク20の形状の情報とに基づいて、薬液タンク20から液体供給部70によって導出される薬液の体積である薬液の減少量を算出する。この減少量とは、すなわち液体供給部70により処理槽2内に導入される薬液の導入量Viである。
【0122】
制御部5は、薬液タンク20から液体供給部70によって導出される薬液の減少量の値を、本数検知部80に出力する。本数検知部80は、薬液タンク20から液体供給部70によって導出される薬液の減少量の測定結果に基づいて、第2本数N2を検知する。
【0123】
以上に説明した本変形例の内視鏡リプロセッサ1においても、第1本数N1と第2本数N2とが異なる場合に報知部8によるエラーの報知を実行することにより、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取り忘れを防止することができる。
【0124】
また、前述の実施形態と同様に、本数検知部80は、再生処理における、薬液を処理槽2内の所定の水位L1までを満たす工程を実行する際に、同時に第2本数N2を検知する。したがって、本変形例においても、本数検知部80による第2本数N2の検知動作が、再生処理と同時に行われるため、第2本数N2の検知動作の実行に伴う待ち時間が発生しない。
【0125】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0126】
図6は、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1の、本数検知部80に関わる構成を示す図である。
【0127】
本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、処理槽2内の所定水位L1まで液体を供給する液体供給部70を備える。液体供給部70は、本実施形態では一例として、薬液を貯留する薬液タンク20と処理槽2とを連通する薬液管路26と、薬液管路26に設けられた薬液ポンプ27と、を備える。薬液ポンプ27は、駆動時には一定の流量で液体である薬液を移送する。
【0128】
また、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、液体供給部70によって処理槽2内に液体を供給し、処理槽2内において液体が貯留されていない状態から液体の液面が所定の水位L1に到達するまでに要した時間Tを計る計時部5bと、を備える。計時部5bは、制御部5に含まれていてもよいし、制御部5とは別体であってもよい。計時部5bは、時間Tの測定結果を、本数検知部80の第2算出部80bに出力する。
【0129】
具体的に本実施形態では、計時部5bは、処理槽2内に液体が貯留されていない状態で薬液ポンプ27の駆動を開始した時点から、処理槽2内の薬液の液面が所定の水位L1に到達した時点までの時間Tを測定する。
【0130】
本数検知部80の第2算出部80bは、時間Tの値から、処理槽2内に配置されている内視鏡の本数である第2本数N2を算出する。
【0131】
薬液ポンプ27による単位時間あたりの薬液の移送量は一定であるから、液体供給部70により処理槽2内に導入した薬液の体積である導入量Viは、時間Tと比例関係にある。すなわち、時間Tの値は、処理槽2内に実際に配置されている内視鏡の体積の変化に応じて変化する。
【0132】
したがって、本実施形態の本数検知部80が備える第2算出部80bは、時間Tから導入量Viを算出し、第1の実施形態と同様に導入量Viに基づいて処理槽2内に配置されている内視鏡の本数である第2本数N2を算出する。
【0133】
以上に説明した本実施形態の内視鏡リプロセッサ1においても、第1の実施形態と同様に、第1本数N1と第2本数N2とが異なる場合に報知部8によるエラーの報知を実行することにより、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取り忘れを防止することができる。
【0134】
また、第1の実施形態の第2の変形例と同様に、本実施形態の本数検知部80は、再生処理における、薬液を処理槽2内の所定の水位L1までを満たす工程を実行する際に、同時に第2本数N2を検知する。したがって、本実施形態においても、本数検知部80による第2本数N2の検知動作が、再生処理と同時に行われるため、第2本数N2の検知動作の実行に伴う待ち時間が発生しない。
【0135】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。以下では第1の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0136】
図7は、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1の、本数検知部80に関わる構成を示す図である。
【0137】
前述のように、第1の実施形態では、本数検知部80の第1算出部80aは、液体供給部70による液体の処理槽2内への導入量Viに基づいて処理槽2内に配置されている内視鏡の本数である第2本数N2を算出する。
【0138】
一方、本実施形態の第1算出部80aは、処理槽2内の所定の水位L1まで液体が貯留されている状態から、処理槽2内に液体が貯留されていない状態となるまで処理槽2から排出した液体の体積である排出量Voの測定結果に基づいて処理槽2内に配置されている内視鏡の本数である第2本数N2を算出する。
【0139】
本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、処理槽2から排出される液体の流量を測定する流量センサ82を備える。流量センサ82は、制御部5に電気的に接続されており、測定結果を制御部5に出力する。
【0140】
流量センサ82は、本実施形態では一例として、処理槽2と薬液回収部である薬液タンク20とを連通する回収管路23に設けられている。第1の実施形態で述べたように、再生処理の実行時において薬液タンク20から処理槽2に移送された薬液は、再使用のために回収管路23を通って処理槽2から薬液タンク20に戻される。
【0141】
制御部5は、この再生処理中において実行される処理槽2から薬液タンク20に薬液を戻す工程において、流量センサ82の測定結果に基づき、処理槽2内の所定の水位L1から全ての薬液を排出した際の薬液の排出量Voを算出する。この排出量Voとは、すなわち処理槽2内の所定の水位L1までを薬液で満たすために液体供給部70により導入される薬液の導入量Viと等しい。
【0142】
制御部5は、排出量Voの値を、本数検知部80に出力する。本数検知部80の第1算出部80aは、排出量Voすなわち導入量Viに基づき、第1の実施形態と同様に、第2本数N2を検知する。
【0143】
以上に説明した本実施形態の内視鏡リプロセッサ1においても、第1の実施形態と同様に、第1本数N1と第2本数N2とが異なる場合に報知部8によるエラーの報知を実行することにより、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取り忘れを防止することができる。
【0144】
また、本実施形態の本数検知部80は、再生処理における、薬液を処理槽2内の所定の水位L1まで満たした状態から全て排出する工程を実行する際に、同時に第2本数N2を検知する。したがって、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、本数検知部80による第2本数N2の検知動作が、再生処理と同時に行われるため、第2本数N2の検知動作の実行に伴う待ち時間が発生しない。
【0145】
以上に説明した本実施形態の内視鏡リプロセッサ1では、処理槽2内から薬液タンク20へ排出される薬液の排出量Voの測定結果に基づいて処理槽2内に配置されている内視鏡の本数である第2本数N2を算出する。
【0146】
しかしながら、排出量Voの測定の対象は、処理槽2内から薬液タンク20へ排出される薬液に限られない。例えば、排出量Voの測定の対象は、処理槽2内から廃棄管路25を経由して内視鏡リプロセッサ1の装置外に排出される液体であってもよい。
【0147】
図8は、本実施形態の変形例を示す図である。図8に示す変形例では、流量センサ82は、廃棄管路25に設けられている。
【0148】
制御部5は、再生処理中において実行される処理槽2から廃棄管路25を経由して装置外に水等の液体を排出する工程において、流量センサ82の測定結果に基づき、処理槽2内の所定の水位L1から全ての液体を排出した際の液体の排出量Voを算出する。そして、本数検知部80の第1算出部80aは、排出量Voすなわち導入量Viに基づき、第1の実施形態と同様に、第2本数N2を検知する。
【0149】
以上に説明した本変形例の内視鏡リプロセッサ1においても、第1本数N1と第2本数N2とが異なる場合に報知部8によるエラーの報知を実行することにより、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取り忘れを防止することができる。
【0150】
また、前述の実施形態と同様に、本数検知部80は、再生処理における、液体を処理槽2内の所定の水位L1まで満たした状態から全て排出する工程を実行する際に、同時に第2本数N2を検知する。したがって、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、本数検知部80による第2本数N2の検知動作が、再生処理と同時に行われるため、第2本数N2の検知動作の実行に伴う待ち時間が発生しない。
【0151】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。以下では第1から第3の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1から第3の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0152】
本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、図3に示すフローチャートにおける、ステップS220のエラー解除操作入力判定の処理が、前述の実施形態と異なる。
【0153】
図9は、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1のエラー解除操作入力判定処理のフローチャートである。第1の実施形態で説明したように、制御部5は、図9に示すエラー解除操作入力判定処理を、報知部8によるエラー報知を開始した後に実行する。前述の第1から第3の実施形態で説明したように、制御部5は、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取りが行われていない内視鏡が処理槽2内に配置されている場合、すなわち第1本数N1と第2本数N2とが異なる場合に、報知部8によるエラー報知を開始する。
【0154】
図9に示すように、本実施形態のエラー解除操作入力判定処理では、まず、ステップS310において、制御部5は、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取りが可能であるか否かを判定する。例えば、内視鏡に内蔵または取り付けられたRFIDタグが、内視鏡情報読取部9による読み取り可能範囲内に近づけられた場合に、内視鏡情報の読み取りが可能となる。
【0155】
ステップS310において、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取りが不可能である場合には、ステップS350に移行する。
【0156】
一方、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取りが可能である場合には、ステップS320に移行する。ステップS320では、制御部5は、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取りを実行する。
【0157】
次にステップS330において、制御部5は、ステップS320で読み取った内視鏡情報が、再生処理前に既に読み取り済みであり記憶部5aに一時記憶済みのものであるか否かを判定する。すなわち、図3のステップS120からS140の処理において記憶部5aに一時記憶した内視鏡情報の中に、今回ステップS320読み取った内視鏡情報と一致するものが存在するか否かを判定する。
【0158】
ステップS330において、ステップS320で読み取った内視鏡情報が、再生処理前に既に読み取り済みであり記憶部5aに一時記憶済みのものではない、と判定した場合には、ステップS340に移行する。ステップS340では、制御部5は、ステップS320で読み取った内視鏡情報を記憶部5aに一時記憶する。
【0159】
すなわち、ステップS340の実行により、記憶部5aに一時記憶されている内視鏡情報が1つ増え、第1本数N1の値が増加する。ステップS340の実行後は、ステップS350に移行する。
【0160】
一方、ステップS330において、ステップS320で読み取った内視鏡情報が、再生処理前に既に読み取り済みであり記憶部5aに一時記憶済みのものである、と判定した場合には、ステップS340をスキップして、ステップS350に移行する。
【0161】
ステップS350では、制御部5は、内視鏡情報読取部9が前記内視鏡情報を読み取った内視鏡の本数である第1本数N1と、図3のステップS170で本数検知部80が検知した処理槽2内に配置されている内視鏡の本数である第2本数N2と、が同じであるか異なるかを判定する。
【0162】
ステップS350において、制御部5は、第1本数N1と第2本数N2とが同じ値であると判定した場合には、ステップS360に移行する。ステップS360では、制御部5は、使用者によるエラー解除操作が行われたと判定する。
【0163】
すなわち、ステップS360の実行により、図3のステップS220におけるYESの判定がなされ、ステップS230に移行する。ステップS230では、制御部5は、報知部8の駆動を停止し、エラー報知を停止する。
【0164】
ステップS230の実行後は、ステップS190に移行して、制御部5は、記憶部5aに一時記憶している内視鏡情報と、再生処理を実行した日時等の情報を含む履歴情報とを紐付けて、新たに管理情報として記憶部5aに記憶する。ここで、記憶部5aに一時記憶している内視鏡情報の数は、処理槽2内において再生処理を施した内視鏡の本数である第2本数N2と一致している。したがって、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、内視鏡情報と履歴情報との紐付けを抜けなく正確に実行することができる。そして、ステップS200において、制御部5は、一時記憶していた内視鏡情報を削除する。
【0165】
一方、ステップS350において、制御部5は、第1本数N1と第2本数N2と異なる値であると判定した場合には、ステップS310に戻り、前述のステップS310からステップS350までの処理を繰り返す。この、ステップS310からステップS350までの処理を繰り返す間は、図3のステップS220におけるNOの判定がなされ続けるため、報知部8のエラー報知が継続される。
【0166】
以上に説明したように、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、内視鏡情報読取部9が前記内視鏡情報を読み取った内視鏡の本数である第1本数N1と、本数検知部80が検知した処理槽2内に配置されている内視鏡の本数である第2本数N2と、が異なる場合には、報知部8の駆動を開始してエラー報知動作を開始する。その後、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、第2本数N2と同じ数の内視鏡の内視鏡情報が内視鏡情報読取部9により読み取られた場合(ステップS350のYES)に、報知部8の駆動を停止する。
【0167】
このように、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、記憶部5aに一時記憶している内視鏡情報の数が、処理槽2内において再生処理を施した内視鏡の本数である第2本数N2と一致するまでエラー報知を継続することにより、再生処理の開始前に内視鏡情報の読み取り操作を行わなかった内視鏡について、内視鏡情報の読み取りを実行するように使用者に促す。したがって本実施形態の内視鏡リプロセッサ1によれば、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取り忘れを防止し、内視鏡情報と履歴情報との紐付けを抜けなく正確に実行することができる。
【0168】
本実施形態の内視鏡リプロセッサ1の他の構成は、第1から第3の実施形態と同様である。したがって、本実施形態においても、本数検知部80による第2本数N2の検知動作が、再生処理と同時に行われるため、第2本数N2の検知動作の実行に伴う待ち時間が発生しない。
【0169】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。以下では第1から第3の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1から第3の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0170】
本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、図3に示すフローチャートにおける、ステップS220のエラー解除操作入力判定の処理が、前述の実施形態と異なる。
【0171】
図10は、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1のエラー解除操作入力判定処理のフローチャートである。第1の実施形態で説明したように、制御部5は、図10に示すエラー解除操作入力判定処理を、報知部8によるエラー報知を開始した後に実行する。前述の第1から第3の実施形態で説明したように、制御部5は、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取りが行われていない内視鏡が処理槽2内に配置されている場合、すなわち第1本数N1と第2本数N2とが異なる場合に、報知部8によるエラー報知を開始する。
【0172】
図10に示すように、本実施形態のエラー解除操作入力判定処理では、まず、ステップS410において、制御部5は、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取りが可能であるか否かを判定する。例えば、内視鏡に内蔵または取り付けられたRFIDタグが、内視鏡情報読取部9による読み取り可能範囲内に近づけられた場合に、内視鏡情報の読み取りが可能となる。
【0173】
ステップS410において、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取りが不可能である場合には、ステップS440に移行する。
【0174】
一方、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取りが可能である場合には、ステップS420に移行する。ステップS420では、制御部5は、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取りを実行する。次にステップS430において、制御部5は、ステップS420で読み取った内視鏡情報を記憶部5aに一時記憶する。
【0175】
すなわち、ステップS430の実行により、記憶部5aに一時記憶されている内視鏡情報が1つ増え、第1本数N1の値が増加する。ステップS430の実行後は、ステップS440に移行する。
【0176】
ステップS440では、制御部5は、内視鏡情報読取部9が前記内視鏡情報を読み取った内視鏡の本数である第1本数N1と、図3のステップS170で本数検知部80が検知した処理槽2内に配置されている内視鏡の本数である第2本数N2と、が同じであるか異なるかを判定する。
【0177】
ステップS440において、制御部5は、第1本数N1と第2本数N2と異なる値であると判定した場合には、ステップS410に戻り、前述のステップS410からステップS430までの処理を繰り返す。
【0178】
ステップS440において、制御部5は、第1本数N1と第2本数N2とが同じ値であると判定した場合には、ステップS450に移行する。
【0179】
ステップS450では、制御部5は、図3のステップS140で記憶部5aに一時記憶した内視鏡情報と、ステップS430で記憶部5aに一時記憶した内視鏡情報と、を比較する。
【0180】
そして、ステップS460において、制御部5は、ステップS450の比較において、ステップS140で記憶部5aに一時記憶した内視鏡情報と、ステップS430で記憶部5aに一時記憶した内視鏡情報と、の間で中身が一致した内視鏡情報の数が、第1本数N1と同じであるか異なるかを判定する。
【0181】
例えば、報知部8によるエラー報知が開始された後に、使用者が、処理槽2内に配置されている第2本数N2の内視鏡の全てについて、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取り動作を行った場合には、第1本数N1と第2本数N2とが同じ値となり(ステップS440のYES)、かつステップS140で記憶部5aに一時記憶した内視鏡情報と、ステップS430で記憶部5aに一時記憶した内視鏡情報と、の間で中身が一致した内視鏡情報の数が、第1本数N1と同じとなる(ステップS460のYES)。
【0182】
次に制御部5は、ステップS470に移行して、使用者によるエラー解除操作が行われたと判定する。すなわち、ステップS470の実行により、図3のステップS220におけるYESの判定がなされ、ステップS230に移行する。ステップS230では、制御部5は、報知部8の駆動を停止し、エラー報知を停止する。
【0183】
この時点において、記憶部5aに一時記憶している内視鏡情報は、処理槽2内に配置されている再生処理が施された全ての内視鏡について、エラー解除操作入力判定処理の実行中に改めて読み取りを行った結果のものである。また、このエラー解除操作入力判定処理の実行中に改めて読み取りを行った内視鏡情報の一部は、再生処理の実行前に読み取りを行った内視鏡情報と一致する。このことは、再生処理の実行後から、エラー解除操作入力判定処理の実行までの間に、処理槽2内の内視鏡の入れ替えが行われなかったことを示す。したがって、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、内視鏡情報と履歴情報との紐付けを抜けなく正確に実行することができる。
【0184】
ステップS230の実行後は、ステップS190に移行して、制御部5は、記憶部5aに一時記憶している内視鏡情報と、再生処理を実行した日時等の情報を含む履歴情報とを紐付けて、新たに管理情報として記憶部5aに記憶する。そして、ステップS200において、制御部5は、一時記憶していた内視鏡情報を削除する。
【0185】
これに対し、例えば、報知部8によるエラー報知が開始された後に、使用者が、処理槽2内に配置されていない内視鏡について内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取り動作を行った場合、履歴情報と紐付けるべきではない内視鏡情報を内視鏡情報読取部9により読み取ったこととなる。
【0186】
この場合には、ステップS140で記憶部5aに一時記憶した内視鏡情報と、ステップS430で記憶部5aに一時記憶した内視鏡情報と、の間で中身が一致した内視鏡情報の数が、第1本数N1と異なる値となる(ステップS460のNO)。
【0187】
次に制御部5は、ステップS480に移行して、使用者によるエラー解除操作が行われていないと判定する。すなわち、ステップS480の実行により、図3のステップS220におけるNOの判定がなされる。
【0188】
そして、制御部5は、ステップS490に移行して、エラー解除操作入力判定処理の実行中に内視鏡情報の読み取りを行った内視鏡は、再生処理を施したものと異なる可能性がある旨を、報知部8を駆動してエラーとして報知する。そして、ステップS500において、制御部500は、ステップS430で記憶部5aに一時記憶した内視鏡情報を削除し、ステップS410に戻る。
【0189】
以上に説明したように、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、内視鏡情報読取部9が前記内視鏡情報を読み取った内視鏡の本数である第1本数N1と、本数検知部80が検知した処理槽2内に配置されている内視鏡の本数である第2本数N2と、が異なる場合には、報知部8の駆動を開始してエラー報知動作を開始する。そして、本実施形態では、エラー報知動作の開始後に、処理槽2内に配置されている全ての内視鏡の内視鏡情報が内視鏡情報読取部9により読み取られるまで、エラー報知を継続する。
【0190】
このように、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、再生処理の開始前に内視鏡情報の読み取り操作を行わなかった内視鏡を含めて、処理槽2内に配置された全ての内視鏡の内視鏡情報の読み取りを実行するように使用者に促す。したがって本実施形態の内視鏡リプロセッサ1によれば、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取り忘れを防止し、また、再生処理を施さなかった内視鏡の内視鏡情報が混入することを防止するため、内視鏡情報と履歴情報との紐付けを抜けなく正確に実行することができる。
【0191】
本実施形態の内視鏡リプロセッサ1の他の構成は、第1から第3の実施形態と同様である。したがって、本実施形態においても、本数検知部80による第2本数N2の検知動作が、再生処理と同時に行われるため、第2本数N2の検知動作の実行に伴う待ち時間が発生しない。
【0192】
(第6の実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。以下では第1から第5の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1から第5の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0193】
図11に示す本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、前述した第1から第5の実施形態に比して、本数検知部80による第2本数N2の検知のための構成が異なる。図11は、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1の、本数検知部80に関わる構成を示す図である。
【0194】
本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、処理槽2に、第1コネクタ16aおよび第2コネクタ16bを備える。第1コネクタ16aおよび第2コネクタ16bは、内視鏡接続部16に含まれる。すなわち、第1コネクタ16aおよび第2コネクタ16bは、洗浄チューブを介して、内視鏡が有する口金に接続される。
【0195】
第1コネクタ16aおよび第2コネクタ16bは、それぞれ処理槽2内に配置された異なる内視鏡に、洗浄チューブを介して接続される。例えば、処理槽2内に内視鏡が1本だけ配置される場合には、第1コネクタ16aおよび第2コネクタ16bのいずれかが、洗浄チューブを介して内視鏡に接続される。
【0196】
なお、第1コネクタ16aおよび第2コネクタ16bは、洗浄チューブを介さずに直接内視鏡に接続される構成であってもよい。
【0197】
第1コネクタ16aおよび第2コネクタ16bは、後述する液体供給部71の第1供給管路31dおよび第2供給管路31eに接続されている。第1コネクタ16aおよび第2コネクタ16bは、バルブを有し、当該バルブは、洗浄チューブまたは内視鏡が接続されていない場合には閉状態であり、洗浄チューブまたは内視鏡が接続されると開状態となる。
【0198】
液体供給部71は、第1コネクタ16aおよび第2コネクタ16bに接続された第1供給管路31dおよび第2供給管路31eと、第1供給管路31dおよび第2供給管路31eに液体を供給する循環ポンプ33と、を備える。
【0199】
第1供給管路31dおよび第2供給管路31eは、第1の実施形態で説明した内視鏡接続管路31bと、第1コネクタ16aおよび第2コネクタ16bとを連通する。処理槽2内に液体が貯留されている場合に、循環ポンプ33の運転を開始すれば、処理槽2内の液体が、内視鏡循環管路30、送出管路31および内視鏡接続管路31bを経由して第1供給管路31dおよび第2供給管路31eに送り込まれる。
【0200】
第1供給管路31dおよび第2供給管路31eには、管路内を流体が流れているか否かを検知する第1流動センサ83aおよび第2流動センサ83bが設けられている。第1流動センサ83aおよび第2流動センサ83bは、制御部5に電気的に接続されており、測定結果の情報を制御部5に出力する。
【0201】
制御部5は、液体供給部71により第1コネクタ16aおよび第2コネクタ16bに液体を供給した場合における、第1コネクタ16aおよび第2コネクタ16bからの液体の吐出の有無を第1流動センサ83aおよび第2流動センサ83bの検知結果に基づいて取得する。
【0202】
具体的には、制御部5は、循環ポンプ33を駆動した状態において、第1流動センサ83aによって第1供給管路31d内の液体の流動が検出された場合に、第1コネクタ16aが開状態であり、第1コネクタ16aから液体が吐出されていると判定する。同様に、制御部5は、循環ポンプ33を駆動した状態において、第2流動センサ83bによって第2供給管路31e内の液体の流動が検出された場合に、第2コネクタ16bが開状態であり、第2コネクタ16bから液体が吐出されていると判定する。制御部5は、この判定の結果を本数検知部80に出力する。
【0203】
前述のように、第1コネクタ16aおよび第2コネクタ16bは、洗浄チューブまたは内視鏡が接続された場合に開状態となる構成を有していることから、液体の吐出が検知された場合には、洗浄チューブまたは内視鏡が接続されていることとなる。
【0204】
本実施形態の本数検知部80は、前記の制御部5による第1コネクタ16aおよび第2コネクタ16bの開閉状態の判定結果に基づき、処理槽2内に配置されて内視鏡接続部16に接続されている内視鏡の本数である第2本数N2を検知する。
【0205】
例えば本数検知部80は、第1コネクタ16aおよび第2コネクタ16bのうちのいずれか一方が開状態であり、他方が閉状態である場合には、第2本数N2は1であるとして検知する。また例えば、本数検知部80は、第1コネクタ16aおよび第2コネクタ16bの双方が開状態である場合には、第2本数N2は2であるとして検知する。
【0206】
本実施形態の内視鏡リプロセッサ1の他の構成は、前述した第1から第5の実施形態と同様である。よって、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1においても、第1本数N1と第2本数N2とが異なる場合に報知部8によるエラーの報知を実行することにより、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取り忘れを防止することができる。
【0207】
また、本数検知部80は、再生処理における、液体を内視鏡の管路内に送り込む工程を実行する際に、同時に第2本数N2を検知する。したがって、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、本数検知部80による第2本数N2の検知動作が、再生処理と同時に行われるため、第2本数N2の検知動作の実行に伴う待ち時間が発生しない。
【0208】
なお、以上に述べた本実施形態では、第1流動センサ83aおよび第2流動センサ83bによる第1供給管路31dおよび第2供給管路31eの流量の測定結果に基づいて、制御部5は第1コネクタ16aおよび第2コネクタ16bの開閉の状態を判定しているが、例えば第1流動センサ83aおよび第2流動センサ83がそれぞれ第1供給管路31dおよび第2供給管路31eの圧力を測定する圧力センサに置き換えられても、制御部5による第1コネクタ16aおよび第2コネクタ16bの開閉の状態の判定が可能である。
【0209】
また、第1コネクタ16aおよび第2コネクタ16bが、それぞれの開閉の状態を検出して制御部5に出力するセンサを備える場合には、第1流動センサ83aおよび第2流動センサ83bは不要である。
【0210】
図12は、本実施形態の変形例を示す図である。図12に示す変形例では、単一の流量センサ83が、内視鏡接続管路31bに設けられている点が、前述の本実施形態と異なる。
【0211】
本変形例においては、制御部5は、循環ポンプ33を駆動した状態において、流量センサ83による内視鏡接続管路31b内の液体の流量が、所定の第1閾値を超えた場合に、第1コネクタ16aおよび第2コネクタ16bの双方が開状態であると判定する。また、制御部5は、循環ポンプ33を駆動した状態において、流量センサ83による内視鏡接続管路31b内の液体の流量が、前記所定の第1閾値以下であり、かつ所定の閾値1よりも小さい値である所定の第2閾値を超えた場合に、第1コネクタ16aおよび第2コネクタ16bのうちのいずれか一方が開状態であり、他方が閉状態であると判定する。
【0212】
本数検知部80は、第1コネクタ16aおよび第2コネクタ16bのうちのいずれか一方が開状態であり、他方が閉状態である場合には、第2本数N2は1であるとして検知する。また、本数検知部80は、第1コネクタ16aおよび第2コネクタ16bの双方が開状態である場合には、第2本数N2は2であるとして検知する。
【0213】
なお、本変形例において、流量センサ83が内視鏡接続管路31b内の圧力を測定する圧力センサに置き換えられても、制御部5による第1コネクタ16aおよび第2コネクタ16bのうちの開状態であるものの個数の判定が可能である。
【0214】
(第7の実施形態)
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。以下では第1から第5の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1から第5の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0215】
図13に示す本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、前述した第1から第5の実施形態に比して、本数検知部80による第2本数N2の検知のための構成が異なる。図13は、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1の、本数検知部80に関わる構成を示す図である。
【0216】
本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、処理槽2内に配置された全ての内視鏡の質量の合計である合計質量Waを測定する質量測定部84を備える。質量測定部84は、例えば、処理槽2内に配置された載置部84aを備え、載置部84a上に配置された物体の質量を測定する。載置部84aは、例えば処理槽2内において複数本の内視鏡を保持する形状を有している。質量測定部84は、制御部5に電気的に接続されており、合計質量Waの測定結果を制御部5に出力する。なお、質量測定部84は、処理槽2自体を含めた質量を測定する形態であってもよい。
【0217】
本数検知部80は、合計質量Waの値から、処理槽2内に配置されている内視鏡の本数である第2本数N2を算出する。例えば、本数検知部80は、合計質量Waの値が、所定の第1閾値を超えていれば、第2本数N2は2であるとして算出する。また例えば、本数検知部80は、合計質量Waの値が、所定の第1閾値以下であり、かつ第1閾値よりも低い所定の第2閾値を超えていれば、第2本数N2は1であるとして算出する。
【0218】
本実施形態の内視鏡リプロセッサ1の他の構成は、前述した第1から第5の実施形態と同様である。よって、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1においても、第1本数N1と第2本数N2とが異なる場合に報知部8によるエラーの報知を実行することにより、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取り忘れを防止することができる。
【0219】
(第8の実施形態)
次に、本発明の第8の実施形態について説明する。以下では第1から第5の実施形態との相違点のみを説明するものとし、第1から第5の実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0220】
図14に示す本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、前述した第1から第5の実施形態に比して、本数検知部80による第2本数N2の検知のための構成が異なる。図14は、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1の、本数検知部80に関わる構成を示す図である。
【0221】
本実施形態の内視鏡リプロセッサ1は、処理槽2内に配置された全ての内視鏡を視野内に収めて撮像するカメラ85を備える。カメラ85は、制御部5に電気的に接続されており、撮像した画像を制御部に出力する。
【0222】
本数検知部80は、カメラ85によって撮像された画像から、処理槽2内に配置されている内視鏡の本数である第2本数N2を算出する画像処理部80cを備える。画像処理部80cは、例えば、内視鏡が備える操作ハンドル等の特徴的な形状の部位を、画像中からパターンマッチング等の画像処理により検出する。本数検知部80は、この画像処理部80cによって検出された部位の数から、第2本数N2を算出する。なお、本数検知部80は、画像中に占める内視鏡の面積の比率から、画像中に写っている内視鏡の数を算出し、これを第2本数N2としてもよい。
【0223】
本実施形態の内視鏡リプロセッサ1の他の構成は、前述した第1から第5の実施形態と同様である。よって、本実施形態の内視鏡リプロセッサ1においても、第1本数N1と第2本数N2とが異なる場合に報知部8によるエラーの報知を実行することにより、内視鏡情報読取部9による内視鏡情報の読み取り忘れを防止することができる。
【0224】
なお、本発明は、前述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内視鏡リプロセッサもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0225】
本出願は、2015年9月2日に日本国に出願された特願2015−173178号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものとする。
【要約】
内視鏡リプロセッサは、内視鏡から内視鏡情報を読み取る内視鏡情報読取部と、内視鏡を配置する処理槽と、前記処理槽に配置された内視鏡の本数を検知する本数検知部と、前記内視鏡情報読取部が読み取った内視鏡の本数である第1本数と、前記本数検知部が検知した内視鏡の本数である第2本数とが同じか異なるかを判定する判定部と、エラーを報知する報知部と、前記判定部および前記報知部に接続されて、前記第1本数と、前記第2本数とが異なると前記判定部が判定した場合に、前記報知部を駆動する制御部と、を含む。
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図14