【実施例】
【0040】
本実施例の燃焼装置は、
図5に示した燃焼装置のシステム構成に、給湯側フレームロッド電極5を加えた構成を有している。また、本実施例では、
図2(a)、
図3に示すようなバーナ構成と、
図2(b)の平面図に示すパイロットバーナ構成を有しており、以下、パイロットバーナ38に設けたフレームロッド電極は、パイロット側フレームロッド電極という。
【0041】
図2、
図3に示すように、本実施例では、パイロットバーナ38が第一、第二、第三の炎口1,2,3を有し、熱電対を用いる場合には、第一の炎口1には、該第一の炎口1から出る炎の熱を検出する熱電対44が設けられ、第二の炎口2には、該第二の炎口2から出る炎を検出するパイロット側フレームロッド電極4が設けられ、第三の炎口3には、パイロットバーナ38に点火するイグナイタ電極43が設けられている。給湯メインバーナ10の炎口には、パイロットバーナ38の近傍側に、給湯メインバーナ10の炎口から出る炎を検出する給湯側フレームロッド電極5が設けられている。
【0042】
なお、給湯側フレームロッド電極5の配設場所は、必ずしもパイロットバーナ38の近傍側とは限らない。また、本実施例で熱電対を用いない場合には、例えば、第一の炎口1と第三の炎口3から出る炎を検出するパイロット側フレームロッド電極4を設け(電極4を2つの炎口1,3をまたがるように設け)、第二の炎口2には、パイロットバーナ38に点火するイグナイタ電極43を設けてもよい。
【0043】
また、本実施例では、器具栓34を消火位置から点火位置に移動させてパイロットバーナ38への点火操作を1回行う毎に、器具栓34を前記点火位置から前記消火位置に戻してからでないと(つまり、器具栓つまみ48を「口火」の位置から「止」の位置に戻してからでないと)、パイロットバーナ38の再点火操作を行えない構成を成している。
【0044】
さらに、本実施例では、
図1に示すように、制御装置55内に、回数検出手段61、メモリ部62、燃焼強制禁止制御手段63、弁閉制御手段64、時計機構65、通電手段66を設けた制御構成を有している。
【0045】
回数検出手段61は、パイロットバーナ38への点火操作が行われたにもかかわらず、パイロットバーナ38に点火が行われなかった点火不良回数と、給湯メインバーナ10への着火操作が行われたにもかかわらず、給湯メインバーナ10に着火が行われなかった着火不良回数および、風呂メインバーナ39への着火操作が行われたにもかかわらず、風呂メインバーナ39に着火が行われなかった着火不良回数と、給湯メインバーナ10と風呂メインバーナ39の少なくとも一方の燃焼中に炎が消えた炎立ち消え回数とをそれぞれ検出する。
【0046】
具体的には、回数検出手段61は、器具栓スイッチ52(52a,52b,52c)のオン信号とオフ信号を受けて、器具栓34の手動操作によるパイロットバーナ38の点火操作や給湯メインバーナ10の着火操作や風呂メインバーナ39の着火操作が行われたことを検知する。
【0047】
例えば、回数検出手段61は、器具栓スイッチ52aがオンとなった後に、器具栓スイッチ52cがオンとなったとき(器具栓スイッチ52bはオフ)には、表1、表2、
図8、
図9に示したように、器具栓つまみ48が「口火」の位置に操作されてパイロットバーナ38への点火操作が行われたことを検出する。この場合、回数検出手段61は、パイロットバーナ38にイグナイタ電極43からの放電による点火動作が行われたか否かをパイロット側フレームロッド電極4により検出し(
図7のステップS8、参照)、パイロット側フレームロッド電極4による炎検出が行われなかったとき(炎が検出されずに、
図7のステップS12に示すように、例えば5秒たったとき)には、パイロットバーナ38に点火が行われなかったと判断し(
図7のステップS13、参照)、点火不良回数として数える。なお、回数検出手段61は、パイロットバーナ38に点火動作が行われたか否かを熱電対44の起電力に基づいて判断してもよい。
【0048】
また、パイロットバーナ38の点火操作後、器具栓スイッチ52aがオフとなり、器具栓つまみ48が「給湯・シャワー」の位置に操作されて器具栓スイッチ52cのオンに加えて器具栓スイッチ52bもオンになり(表1、表2、参照)、かつ、水自弁スイッチ51がオンになった場合に、回数検出手段61は、給湯メインバーナ10への着火操作が行われたことを検出する。この場合、回数検出手段61は、給湯メインバーナ10に着火動作が正常に行われたか否かを給湯側フレームロッド電極5により検出し(
図10のステップS9、参照)、
図10のステップS10で、3秒経過しても、給湯側フレームロッド電極5による炎検出が行われなかったときには、給湯メインバーナ10に着火が行われなかったと判断し(
図10のステップS11、参照)、給湯メインバーナ10の着火不良回数として数える(
図10のステップS12、参照)。
【0049】
さらに、給湯メインバーナ10への着火後、給湯側フレームロッド電極5によって、給湯メインバーナ10の炎立ち消え状態が検出されたとき、つまり、器具栓スイッチ52aがオフ、器具栓スイッチ52b,52cがオンであり、水自弁スイッチ51がオンのときに、給湯メインバーナ10が燃焼しているはずであるにもかかわらず、給湯側フレームロッド電極5による炎検出信号が出力されなくなったときには(
図10のステップ15、参照)、給湯メインバーナ10の炎立ち消えが生じたと判断し(
図10のステップS16、参照)、給湯メインバーナ10の炎立ち消え回数として数える。
【0050】
そして、回数検出手段61は、以上のようにしてそれぞれ検出した(数えた)点火不良回数、着火不良回数、立ち消え回数を、燃焼強制禁止制御手段63に加える。
【0051】
また、本実施例において、全バーナ10,38,39の燃焼強制停止およびパイロットバーナ38への再点火動作の禁止を判断するための条件として、前記点火不良回数と前記着火不良回数と前記炎立ち消え回数のそれぞれについて判断基準回数を予め設定してもよい。例えば判断基準回数の例として、点火不良回数の判断基準回数は10回、着火不良回数の判断基準回数は3回、炎立ち消え回数の判断基準回数は1回と設定し、これらの値をメモリ部62に予め格納してもよい。
【0052】
燃焼強制禁止制御手段63は、回数検出手段61により検出される点火不良回数の検出値と着火不良回数の検出値と炎立ち消え回数の検出値とをそれぞれ区別して、それぞれの検出値を対応する前記判断基準回数(例えば、点火不良回数の判断基準回数は10回、着火不良回数の判断基準回数は3回、炎立ち消え回数の判断基準回数は1回)と比較し、前記検出値の少なくとも一つが対応する判断基準回数に達したときには(
図7のステップS15、
図10のステップS13、参照)、弁閉制御手段64に指令を加え、弁閉制御手段64によって電磁弁54を強制的に閉じ、全てのバーナ10,38,39の燃焼を強制的に停止する(
図7のステップS16、参照)。なお、前記炎立ち消え回数の判断基準回数は1回と設定されているので、
図10のステップS16で炎立ち消えが生じたと判断されたときには、直接、
図7のステップS16に進む。
【0053】
また、燃焼強制禁止制御手段63は、このバーナ10,38,39の強制停止動作と共に、その後、パイロットバーナ38の再点火操作が行われても、予め定められた設定禁止期間(例えば5分間)は、点火手段であるイグナイタへの通電を強制的に禁止してパイロットバーナ38の点火動作を強制的に禁止する。つまり、燃焼強制禁止制御手段63は、時計機構65により検出される時間を取り込み、前記設定禁止期間中は、通電手段66による図示されないイグナイタ(点火トランス)への通電を強制的に禁止し、イグナイタ電極43により火花を飛ばす動作を禁止することによって、パイロットバーナ38の点火動作を強制的に禁止する。このように、例えば5分間といった設定禁止期間を設けてパイロットバーナ38の点火動作を強制的に禁止することにより(
図7のステップS21、参照)、この間にケースの底に溜まった燃料ガスの換気を確実とする。
【0054】
なお、前記のような点火不良回数と着火不良回数と炎立ち消え回数のそれぞれについての判断基準回数は、以下の事項に基づいて設定されているものであり、この判断基準回数の設定によって、本実施例では、大きな着火音の発生等が生じる量の燃料ガス(生ガス)がバーナの炎口の下側に溜まった状態で、その生ガスに一気に火が着くことによる大きな着火音の発生や、入浴中に停電となり、暗い中で足を滑らす等の不具合を確実に防ぐことができる。
【0055】
まず、点火不良回数についての判断基準回数の設定について述べる。プロパンガスの発熱量は23680kcal/Nm
3であり、それに対し、例えば、底面積が540mm×230mmで、底面から炎口までの高さが70mmの位置のパイロットバーナ38の場合、パイロットバーナ38の炎口よりも下に形成されている空間の(ガスの流入可能な)体積は、540×230×70=0.008694m
3である。そして、パイロットバーナ38の発熱により生じるカロリーが250kcal/h(hは時間)の場合、燃焼限界(爆発限界とも言う)を例えば1.8%とすると(プロパンガスの燃焼限界は、通常9.5〜2.1%だが、ブタン等が混ざると1.8%位となる場合もある)、器具底面に溜まる燃焼可能な生ガスは、250[kcal/h]÷60[min(分)/h]÷23680[kcal/Nm
3]÷1.8%(0.018)=0.009775Nm
3/minとなる。
【0056】
パイロットバーナ38の点火不良によって生ガスが発生することにより、パイロットバーナ38の着火時に大きな音がするといった支障が生じる(以下、異常着火が生じるともいう)のに要する時間は、例えばパイロットバーナ38から放出された濃い生ガスが薄く(時間をかけて放出されるので、例えば燃焼限界下限値の1.8%に)なったような場合を、器具底面積、パイロットバーナ38の炎口と器具底面との距離、パイロットバーナ38の消費ガス量、燃焼限界、に基づいて想定した場合、異常着火が生じると想定される時間は、最短で53秒(0.008694m
2÷0.009775m
2×60秒=53秒)と想定される。
【0057】
本実施例において、パイロットバーナ38の点火不良を判断するために必要な判断時間(点火不良の検出時間)は1回につき5秒であるので、パイロットバーナ38の点火不良が連続10回生じた場合、50秒となり、パイロットバーナ38の点火不良による生ガスの発生によりパイロットバーナ38の異常着火が生じると想定される時間(53秒)より短い。したがって、パイロットバーナ38の点火不良が連続10回生じた後にパイロットバーナ38への点火が行われても、前記異常着火は生じない。
【0058】
なお、パイロットバーナ38の点火不良を判断するために必要な判断時間は1回に付き5秒あるが、例えば2秒間で手を離してしまう使用者もいる。このような場合には、トータル時間(52a、52bがONしている時間)50秒(2秒+5秒+・・・)でロックさせるようにしてもよい。すなわち、点火不良回数と着火不良回数と炎立ち消え回数のそれぞれについての判断基準回数に変えて、異常着火が生じると想定される時間より短い判断基準時間を用いるようにしてもよい。
【0059】
また、本実施例では、前記の如く、パイロットバーナ38への点火操作を1回行う毎に、器具栓つまみ48を「口火」の位置から「止」の位置に戻してからでないと、パイロットバーナ38の再点火操作を行えないので、この器具栓つまみ48を「口火」の位置から「止」の位置に戻す作業中に自然換気され、さらに安全性が高められ、確実にパイロットバーナ38の異常着火を防ぐことができる。
【0060】
なお、本実施例において、この器具栓つまみ48を「口火」の位置から「止」の位置に戻す操作によって制御装置55の電源がオフする構成とすると、回数検出手段61による検出回数がリセットされてしまうので、例えば電源がオフしても例えば1分間といった設定記憶時間は回数検出手段61がその検出回数を記憶しておくように構成されている。つまり、設定記憶時間内に再度、パイロットバーナ38の点火操作を繰り返し行えば、回数検出手段61によって検出される点火不良回数は連続して記憶される。また、設定記憶時間内にはパイロットバーナ38の点火操作が行われなかった場合(設定記憶時間を超えるだけの長い時間の後に再点火操作を行うような利用者の場合)は、再点火操作までの間に燃料ガスの換気が進むことになり、再点火操作が連続して繰り返し行われる場合のように、燃料ガスがバーナの底部に溜まって着火時に大きな音がするといった支障は生じないと考えられる。
【0061】
さらに、前記設定記憶時間は、回数検出手段61の記憶回数に応じて可変してもよい。すなわち、パイロットバーナ38の点火不良が連続9回生じた後、1分間といった設定記憶時間経過後に再度パイロットバーナ38の点火不良が連続9回生じた場合には、換気時間(点火不良1回当たり例えば0.5分=設定禁止期間の初期値(例えば5分)÷判断基準回数(例えば10回))が不足する。そこで、点火不良が連続して生じた回数をY回として(Yは正の整数)、連続Y回生じた後の前記設定記憶時間を予め定められた設定禁止期間に応じて(すなわち換気時間に応じて)、設定記憶時間を、例えば前記のような、1分といった固定の値から可変することが好ましい。例えば点火不良が連続9回生じた場合の設定記憶時間は、設定禁止期間の初期値(例えば5分)×設定記憶時間(例えば1分)×Y回÷判断基準回数(例えば10回)=4.5分とすることが好ましい。なお、単純に設定禁止期間(例えば5分)と設定記憶時間を同じにして、監視を強化してもかまわない。
【0062】
次に、着火不良回数についての判断基準回数の設定について述べる。給湯メインバーナ10の発熱により生じるカロリーは、能力切替つまみ49の手動設定値の最大値である15000kcal/h(hは時間)の場合、燃焼限界は通常9.5〜2.1%だが、濃い生ガスは瞬時に出るような場合、ケース下部に溜まるガスのうち下側は濃く、上側が薄く燃焼限界の通常9.5%となる場合が想定され、平均を例えば20.4%とすると、器具底面に溜まる燃焼可能な生ガスは、15000[kcal/h]÷60[min(分)/h]÷23680[kcal/Nm
3]÷20.4%(0.204)=0.586524Nm
3/minとなる。
【0063】
つまり、給湯メインバーナ10の着火(火移り)不良によって生ガスが発生すると、この濃い生ガスは瞬時に大量に出るので、パイロットバーナ38から放出された濃い生ガスのように薄く(例えば1.8%に)なる時間的余裕はない。また着火(火移り)不良が生じる条件としては、ある程度強い風が吸気口からケース内に流れ込んでいると考えられる。つまり、
図6(a)に示したような燃焼装置内を流れる風が強いため、燃料ガスの揺らぎが
図6(b)に示すように大きく、その揺らぎによって溜まった燃料ガスの表面が希釈されやすい状態である。すなわち、燃焼限界である通常9.5〜2.1%より濃い生ガスが溜まっても、表面の一部は燃焼限界範囲に入ると考えられるので、給湯メインバーナ10の炎口から出る濃度が若干下がる値(例えば20.4%)を想定した場合、給湯メインバーナ10の炎口から出る生ガスに一気に火がついて、着火時に大きな音がするといった支障が生じると想定される時間は、器具底面積、パイロットバーナ38の炎口と器具底面との距離、給湯メインバーナ10の最大消費ガス量、給湯メインバーナ10の炎口から出るガス濃度、に基づいて、最短で10秒と想定される。
【0064】
本実施例において、給湯メインバーナ10の着火不良を判断するために必要な判断時間(着火不良の検出時間)は1回につき3秒であるので、給湯メインバーナ10の着火不良が連続3回生じた場合、9秒となり、前記異常着火が生じると想定される時間(10秒)より短い。そのため、給湯メインバーナ10の着火不良が連続3回生じたときには電磁弁54を閉じることにより、給湯メインバーナ10の着火不良により発生してバーナ10,39の底に溜まった生ガスに一気に火が着いて、大きな音がするといったことを防ぐことができる。
【0065】
なお、給湯メインバーナ10の着火不良時において、前記設定記憶時間を回数検出手段61の記憶回数に応じて可変してもよく、このことは、パイロットバーナ38の点火不良の時と同じである。すなわち、給湯メインバーナ10の着火不良が連続2回生じた後、1分間といった設定記憶時間経過後に、再度給湯メインバーナ10の着火不良が連続2回生じた場合には、換気時間が、着火不良1回当たり例えば1.7分が不足する。(設定禁止期間の初期値(例えば5分)÷判断基準回数(例えば3回)=1.7分)そこで、着火不良が連続Y回生じた後の前記設定時間を予め定められた設定禁止期間に応じて(すなわち掃気時間に応じて)、以下の計算で求める等して、設定記憶時間を可変することが好ましい。つまり、例えば着火不良が連続2回生じた場合の設定記憶時間は、設定禁止期間の初期値(例えば5分)×設定記憶時間(例えば1分)×Y回÷判断基準回数(例えば3回)=3.3分とすることが好ましい。
【0066】
また、単純に設定禁止期間(例えば5分)と設定記憶時間を同じにして監視を強化してもかまわない。さらに、給湯メインバーナ10の着火不良を判断するために必要な判断時間は1回に付き3秒あるが、例えば2秒間で給湯栓9を閉じてしまう使用者もいる。このような場合には、トータル時間(マイクロスイッチ52b、52c、水自弁スイッチ51が共にONしている時間)10秒(2秒+5秒+・・・)でロックさせるようにしてもよい。
【0067】
さらに、例えばパイロットバーナ38の点火不良が連続7回(点火不良判断基準回数の70%)生じた後、パイロットバーナ38への点火が成功した直後に、給湯メインバーナ10の着火不良が生じた場合には、例えば着火不良判断基準回数の設定を3回から1回に変更してもよい。つまり、パイロットバーナ38の点火不良が連続7回生じると、この点火不良判断基準回数の70%となった時点で、器具の底面に燃焼可能な生ガスが、ある程度(この場合、例えば70%位のように)溜まるので、その後に着火不良が生じたときに、着火不良判断基準回数の100%に達するように、着火不良判断基準回数を3回としてしまうと、パイロットバーナ38の炎口よりも下に形成されている空間以上の体積の燃焼可能なガスが蓄積されてしまうことになる。
【0068】
そこで、このような場合には、着火不良判断基準回数の設定を3回から1回にしてもよい。なお、このように1回着火不良判断基準回数の設定を3回から1回にすると、器具の底面に燃焼可能な生ガスの量は、点火不良判断基準回数の70%+着火不良判断基準回数の33%=103%となる。同様に、例えばパイロットバーナ38の点火不良が連続4回(点火不良判断基準回数の40%)生じた後にパイロットバーナ38への点火が成功した直後に、給湯メインバーナ10の着火不良が生じた場合には、例えば着火不良判断基準回数の設定を3回から2回に変更してもよく、この場合、器具の底面に燃焼可能な生ガスの量は、点火不良判断基準回数の40%+着火不良判断基準回数の66%=106%となる。
【0069】
これらのように、点火不良が連続して生じた後にパイロットバーナ38への点火が成功した直後に、給湯メインバーナ10の着火不良が生じた場合には、点火不良判断基準回数と着火不良判断基準回数とを総合的に考慮し、点火不良と着火不良で器具底面に溜まる燃焼可能な生ガス量が、トータルで、103%や106%等、例えば100%以上、かつ、100%近傍の値となるように、器具底面に溜まる燃焼可能な生ガス量に基づいた判断をするようにして、判断基準回数を可変してもよい。また、このように、点火不良と着火不良で器具底面に溜まる燃焼可能な生ガス量が、トータルで、前記のように、103%や106%等、多いと判断した場合には、設定禁止期間を可変してもよい。さらに、燃焼装置の設置条件(ウインドサッシ設置、ダクト設置等)に応じて、前記判断基準回数を可変できるようにしてもよい。
【0070】
次に、炎立ち消え回数についての判断基準回数の設定について述べる。給湯メインバーナ10の炎立ち消えが生じる条件として、装置内における風による揺らぎが一因として考えられる。つまり、
図6(a)に示したような燃焼装置内を流れる風が強いため、炎立ち消え回数の判断基準回数は1回と設定し、炎立ち消えが検出されたときには、即座にバーナ10,38,39の燃焼停止が行えるようにしている。
【0071】
それは、例えば、前記揺らぎは台風等が原因と考えられる為であり、入浴中に停電等が発生すると、浴室で転倒しやすい等、入浴に適さない条件と考えられるからである。通常の商用電源を用いる機器では、停電と同時に使用不可となるため前記入浴に適さない条件では即座に使用できなくなるが、本願のように電池を用いて入浴に際して使用する機器においては、前記入浴に適さない条件でも使用できてしまっていた。そこで、不適切な状況での使用を回避ためにも、炎立ち消えが検出されたならば即座に使用出来ない状態とし、かつ、例えば5分間といった風が弱まったか否かを再判断する期間としての設定禁止期間を設け、給湯の再使用をも強制的に禁止する。なお、点火不良、着火不良での設定禁止期間と異なるのは、炎立ち消えでの設定禁止期間がケースの底に溜まった燃料ガスの換気として設けられていない点である。
【0072】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。例えば、前記実施例では、点火手段をイグナイタとし、燃焼強制禁止制御手段63は、設定禁止期間中は通電手段66によるイグナイタへの通電を強制的に禁止し、イグナイタ電極43により火花を飛ばす動作を禁止することによって、パイロットバーナ38の点火動作を強制的に禁止するようにしたが、別の方法によって、パイロットバーナ39の点火動作を強制的に禁止するようにしてもよい。
【0073】
また、前記実施例では、パイロットバーナ38への点火操作を1回行う毎に、器具栓つまみ48を「口火」の位置から「止」の位置に戻してからでないと、パイロットバーナ38の再点火操作を行えない構成としたが、この構成は設けなくてもよい。その場合は、点火不良回数について設定する判断基準回数を10回よりも少ない回数とすることが好ましい。
【0074】
さらに、本発明の燃焼装置に適用されるバーナの構成は
図2、
図3に示した構成とは限らず、適宜設定されるものであり、回数検出手段61によって、点火不良、着火不良、炎立ち消えの検出ができるような構成とすればよい。
【0075】
さらに、前記実施例では回数検出手段61は点火不良回数、着火不良回数、立ち消え回数それぞれを検出する構成としたが、いずれか1つ以上を検出する構成としてもよい。
【0076】
さらに、前記実施例では、燃焼室60内に、給湯メインバーナ10と風呂メインバーナ39の両方を設けたが、給湯メインバーナ10と風呂メインバーナ39のうち、いずれか一方とパイロットバーナ38とを金属製の燃焼室60内に設けた構成の燃焼装置であってもよい。
【0077】
さらに、本発明の燃焼装置は、給排気トップが器具に直接取り付けられるバランス型風呂釜(BF−W)に限定されるものではなく、ファンのない密閉燃焼型機器であればよく、例えば乾電池を電源としたチャンバー式ダクト式の燃焼装置であっても構わず、また、DP(ダブルパイプ)型の燃焼装置(BF−DP)であってもよい。また、給湯メインバーナ10の着火不良のみについて述べたが、風呂メインバーナ39に対応するフレームロッド電極を設けて、給湯と風呂の両方の着火不良や炎立ち消えについて対応するようにしてもよいし、風呂メインバーナ39にのみフレームロッド電極を設けて、風呂のみ着火不良や炎立ち消えについて対応するようにしてもよい。