(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010283
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】ガスタービンを運転するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
F02C 9/00 20060101AFI20161006BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20161006BHJP
F02C 9/54 20060101ALI20161006BHJP
F02C 9/22 20060101ALI20161006BHJP
F02C 9/28 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
F02C9/00 B
F02C7/00 A
F02C9/54
F02C9/22 A
F02C9/28 Z
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-171431(P2011-171431)
(22)【出願日】2011年8月5日
(65)【公開番号】特開2012-36895(P2012-36895A)
(43)【公開日】2012年2月23日
【審査請求日】2014年8月1日
(31)【優先権主張番号】12/854,361
(32)【優先日】2010年8月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】シャイアー・ラビエイ
(72)【発明者】
【氏名】ギルバート・オットー・クレイマー
(72)【発明者】
【氏名】ジョフリー・デイヴィッド・マイヤーズ
【審査官】
齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−337067(JP,A)
【文献】
特開2000−205563(JP,A)
【文献】
米国特許第05544478(US,A)
【文献】
米国特許第06338240(US,B1)
【文献】
特開平10−205754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/00
F02C 9/00
F23R 3/00−60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン(12)を運転するためのシステムであって、
圧縮機(14)と、
前記圧縮機(14)の下流にあり、高温ガス流路を画成するライナ(34)及び尾筒(46)を備える燃焼器(16)と、
前記燃焼器(16)の下流にあるタービン(18)であって、該タービン(18)が前記高温ガス流路を更に画成している、当該タービン(18)と、
前記高温ガス流路の完全に外側に配置されており、前記ライナ及び前記尾筒の少なくとも1つを囲う流れスリーブ(38)の外面の方に向けられて直接視するセンサ(54)であって、
該センサは、前記ライナ及び前記尾筒の少なくとも一方の外面の外部熱放射を測定して、該外部熱放射を反映する信号(60)を発生し、前記外部熱放射が赤外線又は紫外線放射の内の少なくとも一方を有している、当該センサ(54)と、
前記センサ(54)と前記外面との間に配置されたアクセス・ポート(64)と、
前記信号(60)を受け取るように前記センサ(54)に接続されていて、前記センサ(54)からの前記信号(60)に応答して、前記圧縮機(14)、前記燃焼器(16)又は前記タービン(18)の内の少なくとも1つを調節する制御装置(56)と、
を有し、
前記アクセス・ポート(64)は、前記センサ(54)への赤外線又は紫外線放射を増大させる、
システム。
【請求項2】
前記圧縮機(14)は、調節可能な位置を持つ入口案内翼(24)を含んでおり、また前記制御装置(56)は前記センサ(54)からの前記第1の信号(60)に応答して前記入口案内翼(24)の前記調節可能な位置を調節する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記燃焼器(16)は可変の燃料供給装置(44)を含んでおり、また前記制御装置(56)は前記センサ(54)からの前記第1の信号(60)に応答して前記可変の燃料供給装置(44)を調節する、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記アクセス・ポート(64)は、焼戻し抵抗性材料を含んでいる請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記システムは更に、前記制御装置(56)に接続された通信装置(58)を含んでおり、この場合、前記制御装置(56)は前記センサ(54)からの前記第1の信号(60)に応答して前記通信装置(58)を作動する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
圧縮機(14)、燃焼器(16)及びタービン(18)を持つガスタービン(12)であって前記燃焼器(16)が該燃焼器(16)を通る高温ガス流路を画成するライナ(34)及び尾筒(46)を備え、前記タービン(18)により前記高温ガス流路が更に画成されているガスタービン(12)を運転するための方法であって、
前記高温ガス流路の完全に外側に配置され、前記ライナ及び前記尾筒の少なくとも1つを囲う流れスリーブ(38)の外面の方に向けられて直接視するセンサ(54)を使用して、該外面からの外部熱放射を前記センサ(54)と前記外面との間にあるアクセス・ポート(64)を介して測定する段階であって、該外部熱放射が赤外線又は紫外線放射の内の少なくとも一方を有し、前記アクセス・ポート(64)は、前記センサ(54)への赤外線又は紫外線放射を増大させる、当該段階と、
前記外部熱放射を反映する信号(60)を発生する段階と、
前記センサ(54)からの前記信号(60)に応答して、前記圧縮機(14)、前記燃焼器(16)又は前記タービン(18)の内の少なくとも1つの動作を調節する段階と、
有する方法。
【請求項7】
更に、前記センサ(54)からの前記第1の信号(60)に応答して、前記圧縮機内の入口案内翼を調節する段階を有している請求項6に記載の方法。
【請求項8】
更に、前記センサ(54)からの前記第1の信号(60)に応答して、前記燃焼器(16)に対する可変の燃料供給装置(44)を調節する段階を有している請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記アクセス・ポート(64)は、焼戻し抵抗性材料を含んでいる請求項6乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
更に、前記センサ(54)からの前記第1の信号(60)に応答して通信装置(58)を作動する段階を有している請求項6乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に云えば、ガスタービンを運転するためのシステム及び方法に関するものである。具体的に述べると、本発明の実施形態では、ガスタービンの運転を調節するために燃焼器及び/又はタービンの内部及び/又は外部熱放射を監視する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは工業用及び発電用運転を広く使用されている。典型的なガスタービンは、前部に軸流圧縮機、中間部の周りに1台以上の燃焼器、及び後部にタービンを含む。周囲空気が圧縮機を入り、次いで圧縮内の動翼及び静翼により作動流体(空気)に次第に運動エネルギを与えて、該流体を高エネルギ状態にする。作動流体は圧縮機を出て燃焼器に入り、そこで燃料と混合して点火されて、高い温度、圧力及び速度を持つ燃焼ガスを発生する。燃焼ガスは燃焼器から高温ガス流路に沿ってタービンを通る。タービン内では、燃焼ガスは膨張して仕事を行う。例えば、タービン内での燃焼ガスの膨張により、電気を発生するために発電機に接続されたシャフトを回転させることができる。
【0003】
ガスタービンの熱力学的効率は、動作温度すなわち燃焼ガス温度が高くなるにつれて増大することが広く知られている。燃焼ガスは温度がより高くなると、それに含まれるエネルギがより大きくなるので、該燃焼ガスがタービン内で膨張するとき、より大きい仕事を生じる。しかしながら、燃焼ガスの温度がより高くなると、高温ガス流路に沿った様々な構成部品の耐用限界温度に近づき又はそれを越える虞のある過大な温度が燃焼器又はタービン内に生じることがある。更に、周囲温度、燃料組成及びガスタービンの運転レベルなどの変化のような運転条件の変化により、様々な構成部品を損傷させるような過大な温度が生じることがある。その結果、工業用及び発電用ガスタービンには、該ガスタービンの運転を監視し且つ制御する制御システムが設けられることが多い。例えば、制御システムは、圧縮機、燃焼器又はタービン内の様々な温度を監視すると共に、且つガスタービンの所望の運転パラメータを達成し及び/又は様々な動作限界を確実に越えないように1つ以上の構成部品の動作を調節することができる。
【0004】
制御システムは、ガスタービンの様々なパラメータを完全に監視するために多数の場所に取り付けられた多数のセンサを使用することができる。例えば、燃焼器内の状態、タービン内の状態、又は高温ガス流路に沿った状態を監視するために、カメラ、ガス分析器、熱電対、及びその他の当該技術分野で知られたセンサを取り付けることができる。しかしながら、燃焼器、タービン及び高温ガス流路内の高い温度及び圧力の状態は、センサにとって不利な環境を生成して、センサの感度、精度、寿命及び全体の性能に悪影響を及ぼす。従って、これらの部品又は場所の内部にセンサを取り付けることを必要とせずに、燃焼器、タービン及び/又は高温ガス流路の内部のパラメータを監視することのできる制御システムがあれば、望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6796709号
【発明の概要】
【0006】
本発明の様々な面及び利点は、以下に記載し、又は以下の記載から明らかであり、或いは本発明の実施を通じて習得することができよう。
【0007】
本発明の一実施形態は、ガスタービンを運転するためのシステムである。本システムは、圧縮機と、圧縮機の下流にある燃焼器と、燃焼器の下流にあるタービンとを含む。燃焼器及びタービンは高温ガス流路を画成する。センサが高温ガス流路の外側に配置され、該センサは、燃焼器又はタービンの内の少なくとも一方の内部からの内部熱放射を測定して、該内部熱放射を反映する第1の信号を発生する。内部熱放射は赤外線又は紫外線放射の内の少なくとも一方を有する。制御装置が前記センサに接続され、該制御装置は、前記第1の信号を受け取り、且つ前記センサからの前記第1の信号に応答して、圧縮機、燃焼器又はタービンの内の少なくとも1つを調節する。
【0008】
別の実施形態では、ガスタービンを運転するためのシステムが、圧縮機と、圧縮機の下流にある燃焼器と、燃焼器の下流にあるタービンとを含む。燃焼器及びタービンは高温ガス流路を画成する。センサが高温ガス流路の外側に配置され、該センサは、燃焼器又はタービンの内の少なくとも一方の内部からの内部熱放射を測定して、該内部熱放射を反映する第1の信号を発生する。該センサはまた、燃焼器又はタービンの内の少なくとも一方の外部からの外部熱放射も測定して、該外部熱放射を反映する第2の信号を発生する。内部及び外部熱放射は、赤外線又は紫外線放射の内の少なくとも一方を有する。制御装置が前記センサに接続され、該制御装置は、第1及び第2の信号を受け取り、且つ前記センサからの前記第1又は第2の信号の内の少なくとも一方に応答して、圧縮機、燃焼器又はタービンの内の少なくとも1つを調節する。
【0009】
本発明の別の実施形態は、圧縮機、燃焼器及びタービンを持つガスタービンを運転するための方法である。該ガスタービンでは、燃焼器及びタービンにより高温ガス流路が画成されている。本方法は、高温ガス流路の外側に配置されたセンサを使用して、燃焼器又はタービンの内の少なくとも一方の内部からの内部熱放射を測定する段階を含み、該内部熱放射は赤外線又は紫外線放射の内の少なくとも一方を有する。本方法は更に、内部熱放射を反映する第1の信号を発生する段階、及びセンサからの該第1の信号に応答して、圧縮機、燃焼器又はタービンの内の少なくとも1つの動作を調節する段階を含む。
【0010】
当業者には、本明細書を読めば、このような実施形態の様々な特徴及び側面などがより良く理解されよう。
【0011】
以下の説明では、当業者を対象として、最良の実施形態を含む本発明の完全で実現可能な開示を、添付の図面を参照して行う。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に従ったシステムの簡略断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に従った燃焼器の簡略断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の別の実施形態に従った燃焼器の簡略断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の更に別の実施形態に従った燃焼器の簡略断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に従った制御装置用のアルゴリズムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明の様々な実施形態について詳しく説明するが、その内の1つ以上の例を図面に示す。詳しい説明では、図面中の特徴部分を表すために英数字表示を用いている。図面及び明細書中の同様な英数字表示は、本発明の同様な部品を表すために用いている。
【0014】
各々の例は本発明を説明するためのものであり、本発明を制限するものではない。実際に、当業者には、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく本発明に様々な修正及び変更を為し得ることが明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として例示し説明した特徴を別の実施形態に用いて、更に別の実施形態を作成することが可能である。従って、本発明は、このような修正及び変更を「特許請求の範囲」の記載及びその等価な内容の範囲内に入るものとして包含するものとする。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に従ったシステム10の簡略断面図を示す。図示のように、システム10は、一般的に、前部に圧縮機14、中間部に半径方向に配置の1台以上の燃焼器16、及び後部にタービン18を持つガスタービン12を含む。圧縮機14及びタービン18は、典型的には、電気を発生するために発電機22に接続された共通のロータ20を共用する。
【0016】
圧縮機14は軸流圧縮機で構成することができ、軸流圧縮機では、周囲空気のような作動流体が流入して入口案内翼24を通り、次いで複数段の翼形部(図示せず)を通る。入口案内翼24は、ガスタービン12の運転レベルに応じて、圧縮機14に流入させる作動流体の量を調整又は調節するために、調節可能な位置を持つことができる。複数段の翼形部は作動流体を加速し再方向付けして、圧縮された作動流体の連続した流れを生じさせる。圧縮された作動流体の一部分は、バイパス接続部26を介して燃焼器16を迂回して、タービン18に対する冷却を行うことができ、また、圧縮された作動流体の残りの部分は、圧縮機14を出て、圧縮機吐出プレナム28を通って燃焼器16へ流れる。
【0017】
燃焼器16は公知の任意の種類の燃焼器で構成することができる。例えば、
図2、3及び4に示されているように、圧縮機14を出た圧縮された作動流体を閉じ込めるようにケーシング30が燃焼器16を取り囲むことができる。端蓋32及びライナ34により燃焼室36を画成することができ、また流れスリーブ38によりライナ34を取り囲んで、流れスリーブ38とライナ34との間に環状通路40を画成することができる。圧縮された作動流体は吐出プレナム28から環状通路40を通って端蓋32の方へ流れることができ、端蓋で作動流体は方向を反転して、複数のノズル42を通って燃焼室36の中へ流れる。可変の燃料供給装置44が複数のノズル42へ燃料混合物を供給することができ、その結果、複数のノズル42は燃焼に先立って燃料混合物を圧縮された作動流体と混合することができる。用い得る燃料としては、高炉ガス、コークス炉ガス、天延ガス、気化させた液化天然ガス(LNG)、水素及びプロパンの内の一種以上が挙げられる。燃料と作動流体との混合物は燃焼室36へ流れ、そこで点火されて、高い温度及び圧力を持つ燃焼ガスを発生する。燃焼ガスは燃焼器尾筒46を通ってタービン18へ流れ、そこで膨張して仕事を行う。
【0018】
図1に戻って説明すると、タービン18は静翼50とタービン動翼52との交互の列を含むことができる。第1段の静翼50は燃焼ガスを再方向付けして第1段のタービン動翼52へ集束させる。燃焼ガスが第1段のタービン動翼52を通り過ぎるとき、燃焼ガスは膨張して、タービン動翼52及びロータ20を回転させる。次いで、燃焼ガスは次の段の静翼50へ流れ、そこで静翼50は燃焼ガスを次の列のタービン動翼52へ再方向付けし、そしてこのようなプロセスを以後の段について繰り返す。
【0019】
以上のようにして、燃焼器16及びタービン18は組み合わさって、燃焼ガスが燃焼器16からタービン18を通って流れるための高温ガス流路を画成する。本明細書で用いられる「高温ガス流路」とは、燃焼ガスが燃焼器16からタービン18を通って流れるときに燃焼ガスが辿る流路として定義する。燃焼ガスが高温ガス流路を通って流れるとき、燃焼ガスは対流加熱及び伝導加熱により様々な構成部品を加熱する。周囲温度、ガスタービン12の運転レベル、使用される燃料などのような様々な因子に依存して、高温ガス流路の内部及び外部の構成部品は赤外線及び/又は紫外線スペクトルの熱放射を生じる。
【0020】
図1に示されているように、システム10は更に、センサ54、制御装置56及び通信装置58を含むことができる。センサ54は、高温ガス流路の外側に配置された赤外線及び/又は紫外線検出器で構成することができる。この態様では、センサ54は、高温ガス流路の中への貫入又は孔を必要とすることなく、高温ガス流路の内部及び/又は外部からの熱放射を反映する1つ以上の信号60を発生することができる。例えば、センサ54は、高温ガス流路の内部からの熱放射を反映する第1の信号、及び高温ガス流路の外部からの熱放射を反映する第2の信号を発生することができる。
【0021】
制御装置56は、様々な構成部品、例えば、マイクロプロセッサ、コプロセッサ、並びに/又はデータを記憶し、ソフトウエア命令を記憶し及び/又はソフトウエア命令を実行するメモリ/媒体素子を含むことができる。様々なメモリ/媒体素子は、1つ以上の多様なコンピュータ読取り可能な媒体、例えば、限定するものではないが、揮発性メモリ(例えば、RAM、DRAM、SRAMなど)、非揮発性メモリ(例えば、フラッシュ・メモリ・ドライブ、ハードディスク・ドライブ、磁気テープ、CD−ROM、DVD−ROMなど)及びその他のメモリ装置(例えば、フレキシブル・ディスク、磁気記憶媒体、光学式記憶媒体など)の任意の組合せである。当業者には直ぐに理解されるように、制御装置56は任意の考えられ得る多様なデータ記憶及び処理構成を有することができる。
【0022】
制御装置56はセンサ54に接続されていて、センサ54から、高温ガス流路の内部及び/又は外部からの熱放射を反映する1つ以上の信号60を受け取る。次いで、制御装置56は、センサ54からの信号60に応答して、圧縮機14、燃焼器16及び/又はタービン18内の1つ以上の構成部品を調節して、ガスタービン12内の所望の温度又は温度分布を達成することができる。例えば、
図1に破線で示されているように、制御装置56は入口案内翼24の位置又は可変の燃料供給装置44を調節して、燃料対空気比、従って燃焼ガスの温度を変更することができる。同様に、制御装置56はバイパス接続部26を通って流れる圧縮された作動流体の量を調節して、タービン18に供給される冷却空気の量を変更することができ、或いは、制御装置56はセンサ54からの信号60に応答して発電機22に掛かる負荷を調節することができる。
【0023】
それに加えて又はその代わりに、制御装置56はセンサ54からの信号60に応答して通信装置58を作動することができる。通信装置58は情報を記録又は伝送するための公知の任意の装置を含むことができる。例えば、通信装置58は警報回路、プリンタ、記録システム、又は公表回路を含むことができる。オペレータにより、センサ54によって検出された実際の状態に応じて、通信装置58に応答することができる。例えば、オペレータは、制御装置56によって適切に制御することのできない異様な状態を軽減するために、ガスタービン12を手動制御することができる。別の例として、オペレータは、通信装置58によって伝送された情報に応答して、予防保守又は修理保守スケジュールを変更することができる。
【0024】
図2は、本発明の一実施形態に従ったセンサ54の考えられる1つの取付け方を例示する。図示のように、センサ54はケーシング30に取り付けて、全体的に燃焼室36の方へ向けることができる。ライナ34及び流れスリーブ38が一般的に赤外線及び紫外線放射を通すので、センサ54は高温ガス流路の内部及び外部の両方からの熱放射を検出し測定することができる。例えば、センサ54は高温ガス流路の内部の燃焼ガス及び/又ライナ34の内面の温度を検出し測定することができる。これにより、システム10は燃焼器16の全体の健全性を監視して、ライナ34に高温縞又は熔融金属堆積を生じさせる虞のあるライナ34上の断熱被覆の劣化やノズル42内での燃料と空気との不適切な混合を早期に検出することが可能になる。その上又はその代わりに、センサ54は、高温ガス流路の外側の環状通路40及び/又は流れスリーブ38の外面に流れる圧縮された作動流体の温度を検出し測定することができる。次いで、制御装置56は、センサ54からの信号60に応答して入口案内翼24の位置又は可変の燃料供給装置44を調節して、所望の燃焼器吐出温度、ライナ温度などを達成することができる。その上又はその代わりに、制御装置56は通信装置58を作動して、センサ54によって検出された温度の異常な傾向又は過大な温度についてオペレータに警告することができる。
【0025】
図3は、本発明の別の実施形態に従ったセンサ54の考えられる別の取付け方を例示する。この実施形態では、センサ54は圧縮機吐出プレナム28に取り付けて、全体的に端蓋32及びノズル42の方へ向けることができる。この態様では、センサ54は、端蓋32、各ノズル42及び/又は高温ガス流路内部のライナ34の内面の温度を検出し測定して、例えば、火炎保持事象、又は前に述べたようなノズル42内での燃料と空気との不適切な混合を検出することができる。前に述べたように、制御装置56は入口案内翼24の位置及び/又は可変の燃料供給装置44を調節して、ノズル42内の燃料対空気の混合比を調節し且つ所与の運転レベルのための複数のノズル42における所望の温度分布を達成することができる。
【0026】
図4は、本発明の更に別の実施形態に従ったセンサ54の考えられる別の取付け方を例示する。図示のように、センサ54は燃焼器16の支持構体62に取り付けて、全体的に燃焼器尾筒46及びタービン18の第1段の静翼50の方へ向けることができる。
図4に示されているように、観察ポート64をセンサ54と高温ガス流路との間に設けて、センサ54の感度及び/又は精度を増大させることができる。観察ポートは、燃焼器16の温度及び圧力に耐えることができると共に、センサ54への赤外線及び紫外線放射の透過を増大させることのできる適当な材料で構成することができる。例えば、観察ポートは、ガラス、ガラス繊維、又は同様な焼戻し抵抗性材料で作ることができる。この態様では、センサ54は、高温ガス流路の内部の燃焼器尾筒46及び/又は第1段の静翼50の内面の温度を検出し測定することができる。これにより、制御装置は、排出ガス温度の代わりに又はそれに加えて第1段の静翼50の温度に基づいてガスタービン12の様々な運転パラメータを調節することが可能になる。制御装置56は、圧縮機14からバイパス接続部26を介して静翼50へ供給される冷却空気を調節して、所望の温度分布を達成することができる。
【0027】
図1〜
図4に関して示し且つ説明した実施形態は、ガスタービンを運転するための方法を提供するために用いることができる。例えば、その方法は、高温ガス流路の内部及び/又は外部からの熱放射を検出し、測定し、及び/又は監視する段階を含むことができ、これは、
図5にブロック70で表されている。熱放射を検出し、測定し、及び/又は監視するために使用されるセンサ54によって、熱放射を反映する1つ以上の信号60を発生することができる。本方法は次いで、熱放射を反映するデータをプロットすることができ、これは
図5にブロック72で表されている。例えば、ナショナル・インスツルメンツ(National Instruments)社から商品名「LabVIEW」として市販されているソフトウエアを用いることにより、収集されたデータを活用して、高温ガス流路の内部及び/又は外部の熱放射の場所及び大きさを示す実時間プロットを作成することができる。
図5のブロック74で、本方法は、耐用期間及び運転履歴における所与の時点の構成部品について測定された熱放射と予想熱放射と比較することができる。この比較に基づいて、
図5のブロック76で、制御装置56により、圧縮機14、燃焼器16及び/又はタービン18の運転を調節して、前に述べたように、所望の熱放射又は温度分布を達成させることができる。その上又はその代わりに、制御装置56により、計画された修理保守及び/又は予防保守の間隔を調節することができる。
図5にブロック78で表すように、制御装置56はまた、通信装置58を作動して、測定された熱放射をオペレータに通知することができる。
【0028】
前述したようなガスタービン12を運転するためのシステム10及び方法は、高温ガス流路の中への貫入又は孔を必要とすることなく、既存の手法に対して幾つかの技術的及び商業的利点をもたらす筈である。例えば、異常な状態の早期検出、及び/又は高温ガス流路の内部及び外部の熱放射の改善された監視、追跡及びプロットにより、ガスタービン12の信頼性及び効率が改善され、以前では消耗品であった構成部品の耐用期間が長くなり、また燃焼温度が高くなったことに伴う望ましくない放射が低減されよう。更に、ノズル42及び燃焼器16の温度分布を、始動運転のような過渡的な運転中に一層厳密に監視して、ガスタービン12の信頼性及び性能を更に改善することができる。最後に、これらの改善は、燃焼器、タービン及び高温ガス流路の過酷な環境に耐える必要のない比較的廉価な赤外線及び紫外線センサを使用することにより、達成することができる。
【0029】
本明細書は、最良の実施形態を含めて、本発明を開示するために、また当業者が任意の装置又はシステムを作成し使用し、任意の採用した方法を遂行すること含めて、本発明を実施することができるようにするために、幾つかの例を使用した。本発明の特許可能な範囲は「特許請求の範囲」の記載に定めており、また当業者に考えられる他の例を含み得る。このような他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの記載から実質的に差異のない構造的要素を含んでいる場合、或いはそれらが「特許請求の範囲」の文字通りの記載から実質的に差異のない等価な構造的要素を含んでいる場合、特許請求の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0030】
10 システム
12 ガスタービン
14 圧縮機
16 燃焼器
18 タービン
20 ロータ
22 発電機
24 入口案内翼
26 バイパス接続部
28 圧縮機吐出プレナム
30 ケーシング
32 端蓋
34 ライナ
36 燃焼室
38 流れスリーブ
40 環状通路
42 ノズル
44 可変の燃料供給装置
46 燃焼器尾筒
48 高温ガス流路
50 静翼
52 動翼
54 センサ
56 制御装置
58 通信装置
60 信号
62 支持構体
64 観察ポート
70 検出、測定、監視
72 プロット
74 比較
76 調節
78 通知