(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010295
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】タービンロータブレードのプラットフォーム領域を冷却するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
F01D 5/18 20060101AFI20161006BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20161006BHJP
F02C 7/18 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
F01D5/18
F02C7/00 D
F02C7/18 A
【請求項の数】22
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2011-267427(P2011-267427)
(22)【出願日】2011年12月7日
(65)【公開番号】特開2012-132438(P2012-132438A)
(43)【公開日】2012年7月12日
【審査請求日】2014年11月26日
(31)【優先権主張番号】12/972,835
(32)【優先日】2010年12月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ウェズリー・ハリス,ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ・アレン・ビエレック
(72)【発明者】
【氏名】スコット・エドモンド・エリス
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・アラン・ハイナム
(72)【発明者】
【氏名】メリッサ・アン・シーリー
(72)【発明者】
【氏名】ジアオヨン・フ
【審査官】
米澤 篤
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−214703(JP,A)
【文献】
特開2007−224919(JP,A)
【文献】
特開平11−166401(JP,A)
【文献】
特開2006−083859(JP,A)
【文献】
特開平10−252406(JP,A)
【文献】
米国特許第05813835(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/18
F01D 25/12
F02C 7/00 − 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
翼形部と根元との間の接合部にプラットフォームを含むタービンロータブレードの内部を通る冷却チャンネル構成であって、
前記根元における冷却媒体源との接続部から前記翼形部の内部に延びるよう構成された内部冷却通路と、
前記プラットフォームの少なくとも一部を横断するプラットフォーム冷却チャンネルと、
前記プラットフォーム冷却チャンネルとの接続部を有する第1のセクションと、半径方向に配向した冷却チャンネルを有する第2のセクションとを含むターンダウン延長部と、
前記根元の外側面を通って形成されたコネクタ開口から前記内部冷却通路との接続部まで延びるコネクタであって、前記コネクタの長手方向軸線と前記ターンダウン延長部の第2のセクションの長手方向軸線との間に形成される鋭角が30°〜60°の角度を含むように、前記ターンダウン延長部の第2のセクションを二分するコネクタと
を備える冷却チャンネル構成。
【請求項2】
前記根元が、接続手段と、該接続手段及び前記プラットフォーム間にシャンクとを有し、前記コネクタ開口が前記シャンクの外側面を通って形成される、請求項1記載のタービンロータブレードの内部を通る冷却チャンネル構成。
【請求項3】
前記コネクタ開口がプラグを有し、前記ターンダウン延長部の第2のセクションの内側半径方向端部において前記ターンダウン延長部が行止り部を有している、請求項1または2に記載のタービンロータブレードの内部を通る冷却チャンネル構成。
【請求項4】
前記プラットフォームが平面構成を有し、前記プラットフォーム冷却チャンネルの長手方向軸線が、前記プラットフォームの平面とほぼ平行の関係を有し、前記コネクタ開口が、前記シャンク内に形成される、請求項1乃至3のいずれかに記載のタービンロータブレードの内部を通る冷却チャンネル構成。
【請求項5】
前記ターンダウン延長部の第1のセクションが軸方向/円周方向に配向した冷却チャンネルを有し、前記ターンダウン延長部が、前記第1のセクションと前記第2のセクションとの間にほぼ90°の肘状移行部を有する、請求項1乃至4のいずれかに記載のタービンロータブレードの内部を通る冷却チャンネル構成。
【請求項6】
前記コネクタが、前記ターンダウン延長部の第2のセクションを斜めに二分する、請求項1乃至5のいずれかに記載のタービンロータブレードの内部を通る冷却チャンネル構成。
【請求項7】
前記コネクタの断面形状がほぼ円形形状であり、斜めに二分することによって、前記第2のセクション内に楕円形状を有する壁開口が形成されるように構成され、前記楕円形状が半径方向にほぼ整列した主軸を有する、請求項6記載のタービンロータブレードの内部を通る冷却チャンネル構成。
【請求項8】
前記コネクタが直線状で且つ長手方向軸線を有し、前記ターンダウン延長部の第2のセクションが直線状で且つ長手方向軸線を有し、前記ターンダウン延長部の第2のセクションが、二分したときに、前記コネクタの長手方向軸線と前記ターンダウン延長部の第2のセクションの長手方向軸線との間に形成される鋭角が15°〜75°の角度を含むように構成される、請求項1乃至7のいずれかに記載のタービンロータブレードの内部を通る冷却チャンネル構成。
【請求項9】
前記第2のセクションは、該第2のセクションの長手方向軸線が半径方向に配向した基準線と30°〜−30°の鋭角を形成するように構成される、請求項8記載のタービンロータブレードの内部を通る冷却チャンネル構成。
【請求項10】
前記内部冷却通路が、作動中に高圧冷却媒体領域と低圧冷却媒体領域とを含み、前記プラットフォーム冷却チャンネルが上流側端部と下流側端部とを有し、前記冷却チャンネル構成が、前記プラットフォーム冷却チャンネルの各端部にターンダウン延長部を含み、該ターンダウン延長部は、その第1のセクションが前記プラットフォーム冷却チャンネルの上流側端部と接続部を形成する上流側ターンダウン延長部と、その第1のセクションが前記プラットフォーム冷却チャンネルの下流側端部と接続部を形成する下流側ターンダウン延長部とを有し、前記冷却チャンネル構成が、前記ターンダウン延長部の各々にコネクタを有し、該コネクタは高圧コネクタ及び低圧コネクタであり、前記高圧コネクタが、前記シャンクの外側面を貫通して形成されたコネクタ開口から前記内部冷却通路の高圧冷却媒体領域との接続部まで延びて、これらの間で前記上流側ターンダウン延長部の第2のセクションを二分し、前記低圧コネクタが、前記シャンクの外側面を貫通して形成されたコネクタ開口から前記内部冷却通路の低圧冷却媒体領域との接続部まで延びて、これらの間で前記下流側ターンダウン延長部の第2のセクションを二分する、請求項2記載のタービンロータブレードの内部を通る冷却チャンネル構成。
【請求項11】
前記プラットフォーム冷却チャンネルが蛇行形態を有し、前記翼形部が正圧側面及び負圧側面を有し、前記プラットフォームの正圧側面が、前記翼形部の正圧側面と一致するする前記プラットフォームの側面を有し、前記正圧側面スラッシュ面が、前記プラットフォームの正圧側面の直線状縁部を有し、前記プラットフォーム冷却チャンネルが、主として前記プラットフォームの正圧側面の内部を通って位置付けられる、請求項10記載のタービンロータブレードの内部を通る冷却チャンネル構成。
【請求項12】
前記タービンロータブレードの前方及び後方の方向に対して、前記プラットフォーム冷却チャンネルの上流側端部が前方位置を有し、前記プラットフォーム冷却チャンネルの下流側端部が後方位置を有し、前記プラットフォーム冷却チャンネルがスラッシュ面セクションを有し、該スラッシュ面セクションが、正圧側スラッシュ面の長さの大部分に沿って前記正圧側スラッシュ面に近接し且つ平行に位置するプラットフォーム冷却チャンネルのセクションを有し、前記スラッシュ面セクションの上流側端部が、前記プラットフォーム冷却チャンネルの上流側端部に近接して位置する、請求項11記載のタービンロータブレードの内部を通る冷却チャンネル構成。
【請求項13】
前記プラットフォーム冷却チャンネルが、前記スラッシュ面セクションから第1のスイッチバック部と、該第1のスイッチバック部の下流側で前記プラットフォームの中央区域正圧側面内に位置する内部セクションとを有し、前記内部セクションが、前記第1のスイッチバック部のすぐ下流側の直線状セクションと、該直線状セクションの下流側の第2のスイッチバック部とを含み、前記第2のスイッチバック部が、前記プラットフォーム冷却チャンネルの下流側端部に近接して位置する、請求項12記載のタービンロータブレードの内部を通る冷却チャンネル構成。
【請求項14】
前記上流側ターンダウン延長部が、前記プラットフォームと前記シャンクとの間で前記正圧側面に沿った前方位置を有し、前記下流側ターンダウン延長部が、前記プラットフォームと前記シャンクとの間で前記正圧側面に沿った後方位置を有する、請求項11乃至13のいずれかに記載のタービンロータブレードの内部を通る冷却チャンネル構成。
【請求項15】
前記プラットフォーム冷却チャンネルが高さと幅を有し、該高さが前記プラットフォーム冷却チャンネルの半径方向高さを有し、前記幅が前記プラットフォーム冷却チャンネルにわたる軸方向/円周方向幅を有し、前記プラットフォーム冷却チャンネルの大部分が、前記幅が前記高さよりも大きいように構成される、請求項10記載のタービンロータブレードの内部を通る冷却チャンネル構成。
【請求項16】
前記プラットフォーム冷却チャンネルの実質的に全ては、前記幅が前記高さよりも少なくとも2倍大きいように構成される、請求項15記載のタービンロータブレードの内部を通る冷却チャンネル構成。
【請求項17】
翼形部と根元との間の接合部にプラットフォームを含むタービンロータブレードの内部を通る冷却チャンネル構成を製造する方法であって、
前記根元において冷却媒体源との接続部から前記翼形部の内部まで延びるように構成された内部冷却通路を形成するステップと、
前記プラットフォームの少なくとも一部を横断するプラットフォーム冷却チャンネルを形成するステップと、
前記プラットフォーム冷却チャンネルとの接続部を形成する第1のセクション及び半径方向に配向した冷却チャンネルを含む第2のセクションを備えたターンダウン延長部を形成するステップと、
前記根元の外側面を通って形成される開口から内部冷却通路との接続部まで延び且つコネクタの長手方向軸線と前記ターンダウン延長部の第2のセクションの長手方向軸線との間に形成される鋭角が30°〜60°の角度を含むように、前記ターンダウン延長部の第2のセクションを二分する前記コネクタを形成するステップと
を含む方法。
【請求項18】
翼形部と根元との間の接合部にプラットフォームを含むタービンロータブレードの内部を通る冷却チャンネル構成を製造する方法であって、
前記根元において冷却媒体源との接続部から前記翼形部の内部まで延びるように構成された内部冷却通路を形成するステップと、
前記プラットフォームの少なくとも一部を横断するプラットフォーム冷却チャンネルを形成するステップと、
前記プラットフォーム冷却チャンネルとの接続部を形成する第1のセクション及び半径方向に配向した冷却チャンネルを含む第2のセクションを備えたターンダウン延長部を形成するステップと、
前記根元の外側面を通って形成される開口から内部冷却通路との接続部まで延び且つこれらの間で前記ターンダウン延長部の第2のセクションを二分するコネクタを形成するステップとを含み、
前記ターンダウン延長部を形成するステップが、前記コネクタの形成における目的とする機械加工の経路に一致する所定位置にてガイドロッドを位置付けることを含み、前記コネクタを形成するステップが、前記ガイドロッドを用いて前記機械加工のプロセスを誘導することを含む、方法。
【請求項19】
翼形部と根元との間の接合部にプラットフォームを含むタービンロータブレードの内部を通る冷却チャンネル構成を製造する方法であって、
前記根元において冷却媒体源との接続部から前記翼形部の内部まで延びるように構成された内部冷却通路を形成するステップと、
前記プラットフォームの少なくとも一部を横断するプラットフォーム冷却チャンネルを形成するステップと、
前記プラットフォーム冷却チャンネルとの接続部を形成する第1のセクション及び半径方向に配向した冷却チャンネルを含む第2のセクションを備えたターンダウン延長部を形成するステップと、
前記根元の外側面を通って形成される開口から内部冷却通路との接続部まで延び且つこれらの間で前記ターンダウン延長部の第2のセクションを二分するコネクタを形成するステップとを含み、
前記根元が、接続手段と、該接続手段と前記プラットフォームとの間にシャンクとを有し、
前記内部冷却通路が、作動中に高圧冷却媒体領域と低圧冷却媒体領域とを有するように形成され、前記プラットフォーム冷却チャンネルが、上流側端部及び下流側端部を含むように形成され、前記ターンダウン延長部が、前記プラットフォーム冷却チャンネルの各端部において形成され、該ターンダウン延長部は、その第1のセクションが前記プラットフォーム冷却チャンネルの上流側端部と接続部を形成する上流側ターンダウン延長部と、その第1のセクションが前記プラットフォーム冷却チャンネルの下流側端部と接続部を形成する下流側ターンダウン延長部とを有し、前記コネクタが、前記ターンダウン延長部の各々にて形成された、高圧コネクタ及び低圧コネクタを有し、前記高圧コネクタが、前記シャンクの外側面を貫通して形成された開口から前記内部冷却通路の高圧冷却媒体領域との接続部まで延びて、これらの間で前記上流側ターンダウン延長部の第2のセクションを二分し、前記低圧コネクタが、前記シャンクの外側面を貫通して形成された開口から前記内部冷却通路の低圧冷却媒体領域との接続部まで延びて、これらの間で前記下流側ターンダウン延長部の第2のセクションを二分する、方法。
【請求項20】
前記ターンダウン延長部を形成するステップが鋳造プロセスを含み、前記コネクタが前記ターンダウン延長部の後に形成される、請求項17乃至19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記根元が、接続手段と、該接続手段と前記プラットフォームとの間にシャンクとを有し、前記コネクタが、前記シャンクの外側面上に位置付けられたスタート位置から機械加工され、前記方法が更に、プラグが前記シャンクの外面に近接して位置するように前記プラグを用いて前記コネクタを塞ぐステップを含む、請求項17乃至20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記コネクタが直線状で、前記ターンダウン延長部の第2のセクションが直線状である、請求項17乃至21のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、総括的には、本明細書で使用する場合及び特に記載のない限り、発電及び航空機エンジンで使用するもののようなあらゆるタイプの燃焼タービンエンジンを含む燃焼タービンエンジンに関する。より具体的には、限定ではないが、本出願は、タービンロータブレードのプラットフォーム領域を冷却するための装置、システム及び/又は方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンは通常、圧縮機、燃焼器及びタービンを含む。圧縮機及びタービンは一般的に、多段で軸方向にスタックされた翼形部又はブレードの列を含む。各段は通常、固定された円周方向に間隔を置いて配置されるステータブレードの列と、中心軸線又はシャフトの周りで回転する円周方向に間隔を置いて配置されるロータブレードのセットとを含む。作動中に圧縮機内のロータブレードは、シャフトの周りで回転して空気の流れを加圧する。加圧した空気は次に、燃焼器内で使用されて供給燃料を燃焼させる。燃焼プロセスにより結果として生じた高温ガスの流れは、タービンを通って膨張し、これによりロータブレードが当該ブレードを取り付けたシャフトを回転させる。このようにして、燃料内に含有されるエネルギーが回転シャフトの機械的エネルギーに変換され、次いで、この回転シャフトの機械エネルギーは、例えば、発電のため発電機のコイルを回転させるのに使用することができる。
【0003】
図1及び
図2を参照すると、タービンロータブレード100は一般的に、翼形部分又は翼形部102と、根元部分又は根元104とを含む。翼形部102は、凸面形負圧面105及び凹面形正圧面106を有するものとして説明することができる。翼形部102は更に、前方端縁部である前縁107と、後方端縁部である後縁108とを有するものとして説明することができる。根元104は、ブレード100をロータシャフトに固定するための構造体(図示するように、通常はダブテール109を含む)と、そこから翼形部102が延びるプラットフォーム110と、ダブテール109及びプラットフォーム110間に構造体を含むシャンク112とを有するものとして説明することができる。
【0004】
図示するように、プラットフォーム110は、ほぼ平面とすることができる。(本明細書で使用する場合の「平面」とは、ほぼ又は実質的に平面形状であることを意味する点に留意されたい。例えば、プラットフォームは、ロータブレードの半径方向位置におけるタービンの外周に相当する曲率を有する状態で僅かに湾曲し且つ凸面形になった外側表面を有するように構成することができる点は当業者には分かるであろう。本明細書で使用する場合には、このタイプのプラットフォーム形状は、曲率の半径がそのプラットフォームを平坦な外観にするのに十分なほど大きいので平面と見なされる。)より具体的には、プラットフォーム110は、平面上側面113を有することができ、この平面上側面113は、
図1に示すように軸方向及び円周方向に延びる平坦面を含むことができる。
図2に示すように、プラットフォーム110は、平面下側面114を有することができ、この平面下側面114もまた、軸方向及び円周方向に延びる平坦面を含むことができる。プラットフォーム110の上側面113及び底側面(下側面)114は、その各々が他方に対してほぼ平行になるように形成することができる。図示するように、プラットフォーム110は通常、薄い半径方向輪郭を有し、すなわち該プラットフォーム110の上側面113及び底側面114間に比較的短い半径方向距離が存在することは当業者には理解されるであろう。
【0005】
一般的に、プラットフォーム110は、タービンブレード100上で使用して、ガスタービンの高温ガス通路セクションの内側流路境界を形成する。プラットフォーム110は更に、翼形部102に対して構造的支持を与える。作動中に、タービンの回転速度は、プラットフォーム110に沿って高応力領域を発生させる機械的荷重を誘起し、該高応力領域は、高温と相まって最終的には酸化、クリープ、低サイクル疲労割れ及びその他のような作動上の欠陥部の形成を引き起こす。言うまでもなく、これらの欠陥は、ロータブレードの有効寿命に悪影響を与える。これらの過酷な作動条件、すなわち高温ガス通路の極度な温度への露出、及び回転ブレードに関連する機械的荷重は、良好に作動し且つ製造上の費用効果があり、耐久性があり長持ちするロータブレードプラットフォーム110の設計において大きな課題を生じさせることは理解されるであろう。
【0006】
プラットフォーム領域110の耐久性を向上させる1つの一般的な解決法は、作動時に該プラットフォーム領域110を加圧空気又は他の冷却媒体の流れにより冷却することであり、また種々のこれらのタイプのプラットフォーム設計は公知である。しかしながら、当業者には理解されるように、プラットフォーム領域110は、このようにする冷却を困難にさせる特定の設計課題を提示する。大部分において、このことは、上述のようにプラットフォーム110がロータブレードの中心コア部から離れて存在する周辺構成要素であり且つ典型的には構造的に安定しているが薄い半径方向厚さを有するように設計されているので、この領域の扱い難い幾何形状に起因している。
【0007】
冷却媒体を循環させるために、ロータブレード100は通常、根元104及び翼形部102を貫通することを含む、ブレード100の内部を貫通して半径方向に延びる1以上の中空冷却通路116(
図3、
図4、及び
図5を参照)を含む。以下でより詳細に説明するように、熱交換を増大させるために、このような冷却通路116は、ブレード100の中心領域を通って曲がりくねった蛇行通路を有する状態で形成することができるが、他の構成も実施可能である。作動中、冷却媒体は、根元104の内寄り面内に形成された1以上の入口117を介して内部冷却通路に流入することができる。冷却媒体は、ブレード100を通って循環し、翼形部上に形成された出口(図示せず)を通って及び/又は根元104内に形成された1以上の出口(図示せず)を介して流出することができる。冷却媒体は、加圧することができ、また例えば、加圧空気、水と混合した加圧空気、蒸気及び同様のものを含むことができる。多くのケースでは、冷却媒体は、エンジンの圧縮機から分流された加圧空気であるが、他の供給源も実施可能である。以下により詳細に説明するように、これらの内部冷却通路は通常、高圧冷却媒体領域及び低圧冷却媒体領域を含む。高圧冷却媒体領域は通常、より高い冷却媒体圧力を有する冷却通路の上流部分に対応し、一方、低圧冷却媒体領域は、比較的より低い冷却媒体圧力を有する下流部分に対応する。
【0008】
幾つかのケースでは、冷却媒体は、内部冷却通路116から隣り合うロータブレード100のシャンク112及びプラットフォーム110間に形成されたキャビティ119内に導くことができる。ここから、冷却媒体を使用して、ブレードのプラットフォーム領域110を冷却することができ、この従来型の設計を
図3に提示している。このタイプの設計は通常、内部冷却通路116の1つから空気を取り出して、当該空気を使用してシャンク112/プラットフォーム110間に形成されたキャビティ119を加圧する。加圧されると、このキャビティ119は次に、プラットフォーム110を貫通して延びる冷却チャンネルに冷却媒体を供給する。プラットフォーム110を横断した後に、冷却空気は該プラットフォーム110の上側面113内に形成されたフィルム冷却孔を通してキャビティから流出することができる。
【0009】
しかしながら、このタイプの従来型の設計は、幾つかの欠点を有することが分かるであろう。第1に、冷却回路は2つの隣り合うロータブレード100が組み立てられた後にのみ形成されるので、冷却回路は1つの部品内に内蔵されるものではない。このことにより、据え付け及び据え付け前の流れテストが極めて困難で複雑なものになる。第2の欠点は、隣り合うロータブレード100間に形成されたキャビティ119の一体性が、該キャビティの周囲を如何に良好にシールするかに依存していることである。不適切なシールにより、不十分なプラットフォーム冷却及び/又は冷却空気の浪費が生じる可能性がある。第3の欠点は、高温ガス通路ガスがキャビティ119又はプラットフォーム110自体内に吸込まれる可能性があるという内在するリスクである。これは、キャビティ119が作動中に十分高い圧力に維持されていない場合に発生する可能性がある。キャビティ119の圧力が高温ガス通路内の圧力を下回った場合には、高温ガスがシャンクキャビティ119又はプラットフォーム110自体内に吸込まれることになり、これにより、典型的には、これらの構成要素が高温ガス通路条件への露出に耐えるように設計されていなかった場合には、これら構成要素が損傷を受けることになる。
【0010】
図4及び
図5は、プラットフォーム冷却用の別のタイプの従来型の設計を示している。このケースでは、冷却回路は、図示するように、ロータブレード100内に内蔵され且つシャンクキャビティ119を含まない。冷却空気は、ブレード100のコア部を貫通して延びる内部冷却通路116の1つから取り出され、且つプラットフォーム110内に形成された冷却チャンネル120(すなわち、「プラットフォーム冷却チャンネル120」)を通って後方に導かれる。幾つかの矢印で示すように、冷却空気は、プラットフォーム冷却チャンネル120を通って流れて、プラットフォーム110の後方端縁部121内の出口を通して又は負圧側面端縁部に沿って配置された出口から流出する。(矩形プラットフォーム110の端縁部又は面を説明する又は言及する上で、これら端縁部又は面の各々は、翼形部102の負圧面105及び正圧面106に対するその位置に基づいて、及び/又はブレード100を据え付けた場合にはエンジンの前方及び後方方向に基づいて図に表現することができる点に留意されたい。従って、当業者には理解されるように、プラットフォームは、
図3及び
図4に示すように、後方端縁部121、負圧側面端縁部122、前方端縁部124及び正圧側面端縁部126を含むことができる。加えて、負圧側面端縁部122及び正圧側面端縁部126はまた、一般的には「スラッシュ面」と呼ばれ、また隣り合うロータブレード100が据え付けた場合にこれらの間に形成された狭いキャビティは、「スラッシュ面キャビティ」と呼ぶことができる。)
図4及び
図5の従来型の設計は、これらが組み立て又は据え付け状態における変動によって影響を受けない点において、
図3の設計に勝る利点を有することが分かるであろう。しかしながら、この種の従来型の設計は、幾つかの限界又は欠点を有する。第1に、図示するように、翼形部102の各側面上には単一の回路のみが設けられ、従って、プラットフォーム110内の異なる位置で使用される冷却空気の量の制御には限界があるという欠点が存在する。第2に、このタイプの従来型の設計は、一般的に限られたカバレッジ範囲を有する。
図5の蛇行通路は、
図4に勝るカバレッジ範囲に関する改良であるが、プラットフォーム110内には非冷却状態のままのデッド区域が依然として存在する。第3に、複雑に形成したプラットフォーム冷却チャンネル120によって良好なカバレッジ範囲を得るために、特に冷却チャンネルが形成するのに鋳造プロセスを必要とする形状を有する場合には、製造コストが大幅に増加する。第4に、これらの従来型の設計は通常、使用後で且つ冷却媒体が完全に排出される前に冷却媒体を高温ガス通路内に放出し、このことは、エンジンの性能に悪影響を与える。第5に、この種の従来型の設計は一般的に自由度が殆どない。すなわち、チャンネル120は、プラットフォーム110の一体形部分として形成され、作動条件が変化したときにこれらの機能又は構成を変更する機会を殆ど又は全く提供しない。これらのタイプの従来型の設計は、補修又は改修するのが困難である。
【0011】
加えて、当業者であれば理解されるように、これらのタイプの冷却構成に関連する別の問題は、プラットフォーム冷却回路すなわちプラットフォームの内部を通して形成される内部冷却通路を、主冷却回路すなわち根元及び翼形部の内部を通って形成される内部冷却通路に接続していることである。このことの1つの理由は、通常必要とされる接続がブレードの高応力領域を介して形成しなければならないことである。別の理由は、プラットフォーム冷却回路のコアを鋳造プロセス中に主冷却回路のコアに接続されていないままにさせることに伴う利点に関連している。例えば、通常、プラットフォーム冷却回路は、プラットフォームの外面に対する内部冷却通路の配置に伴う厳しい公差要件を有する。その長さに起因して、主冷却回路のコアは、鋳造プロセス中に鋳物が充填されたときに移動する傾向がある。この移動は、主冷却回路の配置に対しては許容されるが、主コアの移動がプラットフォームコアに対して並進する場合にプラットフォーム冷却回路の厳しい配置公差を満足することは困難である。鋳造プロセスを通じて2つのコアが接続されていないままにすることは、主コアの移動がプラットフォーム冷却回路の最終配置に影響を与えないことを意味する。勿論、これには、鋳造後に接続することが必要である。高応力の領域が存在すると、この接続は、構造的一体性が維持されるように形成されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第7,416,391号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来型のプラットフォーム冷却設計は、これらの重要な要件を満たすことはできない。タービンロータブレードのプラットフォーム領域を効果的且つ効率的に冷却すると同時に、構成するのに費用効果があり、適用の自由度があり、構造的に安定し、且つ耐久性のある改良された装置、システム及び方法に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、本出願は、翼形部と根元との接合部にプラットフォームを含むタービンロータブレードの内部を通る冷却チャンネル構成を記載する。一実施形態では、冷却チャンネル構成は、根元における冷却媒体源との接続部から翼形部の内部に延びるよう構成された内部冷却通路と、プラットフォームの少なくとも一部を横断するプラットフォーム冷却チャンネルと、プラットフォーム冷却チャンネルとの接続部を有する第1のセクションと、半径方向に配向した冷却チャンネルを有する第2のセクションとを含むターンダウン延長部と、根元の外側面を通って形成されたコネクタ開口から内部冷却通路との接続部まで延びて、これらの間でターンダウン延長部の第2のセクションを二分するコネクタとを含む。
【0015】
翼形部と根元との接合部にプラットフォームを含むタービンロータブレードの内部を通る冷却チャンネル構成を製造する方法が提供される。一実施形態では、本方法は、根元において冷却媒体源との接続部から翼形部の内部まで延びるように構成された内部冷却通路を形成するステップと、プラットフォームの少なくとも一部を横断するプラットフォーム冷却チャンネルを形成するステップと、プラットフォーム冷却チャンネルとの接続部を形成する第1のセクション及び半径方向に配向した冷却チャンネルを含む第2のセクションを備えたターンダウン延長部を形成するステップと、根元の外側面を通って形成される開口から内部冷却通路との接続部まで延び且つこれらの間でターンダウン延長部の第2のセクションを二分するコネクタを形成するステップとを含む。
【0016】
本出願のこれらの及び他の特徴は、図面及び特許請求の範囲を参照しながら好ましい実施形態の以下の詳細な説明を精査することにより明らかになるであろう。
【0017】
本発明のこれらの及び他の特徴は、添付図面を参照しながら、本発明の例示的な実施形態の以下の詳細な説明を注意深く検討することによって完全に理解され且つ認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】その中で本発明の実施形態を使用することができる例示的なタービンロータブレードの斜視図。
【
図2】その中で本発明の実施形態を使用することができるタービンロータブレードの下側面図。
【
図3】従来型の設計による、冷却システムを有する隣り合うタービンロータブレードの断面図。
【
図4】従来型の設計による、内部冷却チャンネルを備えたプラットフォームを有するタービンロータブレードの上面図。
【
図5】別の従来型の設計による、内部冷却チャンネルを備えたプラットフォームを有するタービンロータブレードの上面図。
【
図6】本出願の一実施形態による、冷却チャンネルの構成を有するタービンロータブレードの部分断面上面図。
【
図7】本出願の一実施形態による、冷却チャンネルの構成を有するタービンロータブレードの断面図。
【
図8】本出願の一実施形態による、プラットフォーム冷却チャンネルの断面図。
【
図9】本出願の一実施形態による、冷却チャンネルの構成を有するタービンロータブレードの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
複数の従来の冷却設計に関連して上記で説明されたように、冷却媒体の内部循環により冷却されるタービンブレードは通常、根元から半径方向外向きにプラットフォーム領域を貫通して翼形部内に延びる主又は内部冷却通路を含むことが分かるであろう。本発明の一部の実施形態は、従来型の内部冷却通路と組み合わせて使用して、効率的な能動プラットフォーム冷却を強化又は可能にすることができ、また本発明は、共通の設計すなわち曲がりくねった又は蛇行した構成を有する内部冷却通路116に関して検討することが分かるであろう。
図6に図示するように、蛇行通路は通常、冷却媒体の一方向流れを可能にするように構成され、且つ冷却媒体と周囲のロータブレード100との間の熱交換を促進する特徴要素を含む。作動中、通常は圧縮機から抽気した加圧空気である加圧冷却媒体(本発明の実施形態では、蒸気のような他のタイプの冷却媒体を使用してもよいが)は、根元104を貫通して形成された接続部を通して内部冷却通路116に供給される。圧力により内部冷却通路116を通って冷却媒体が押し進められ、該冷却媒体は周囲の壁から対流により熱を移動させる。
【0020】
冷却媒体が内部冷却通路116を通って移動すると、冷却媒体は圧力を喪失して、内部冷却通路116の上流部分内の冷却媒体が、下流部分内の冷却媒体よりも高い圧力を有するようになることが分かるであろう。以下でより詳細に説明するように、本発明の幾つかの実施形態では、この圧力差を使用して、プラットフォーム内に形成された内部冷却通路にわたって又は該内部冷却通路を通して冷却媒体を押し進めることができる。本発明は、異なる構成の内部冷却通路を有するロータブレード100で使用することができ、蛇行形態を有する内部冷却通路に限定されるものではないことは分かるであろう。従って、本明細書で使用する場合の用語「内部冷却通路」又は「冷却通路」とは、冷却媒体が通ってロータブレード内を循環できるあらゆる通路又は中空チャンネルを含むことを意図している。本明細書で示すように、本発明の内部冷却通路116は、少なくともプラットフォーム110のほぼ半径方向高さまで延びており、比較的より高い冷却媒体圧力の少なくとも1つの領域(この領域は今後、「高圧領域」と呼び、幾つかのケースでは蛇行通路内の上流セクションとすることができる。)と、比較的より低い冷却媒体圧力の少なくとも1つの領域(この領域は今後、「低圧領域」と呼び、高圧の領域に対して蛇行通路内の下流セクションとすることができる。)とを含むことができる。
【0021】
一般に、従来の内部冷却通路116の様々な設計は、ロータブレード100内の特定の領域に対して能動冷却を行うのに有効である。しかしながら、当業者には理解されるように、プラットフォーム領域は、より困難な課題を提示している。この課題は、少なくともその一部は、プラットフォーム領域の扱い難い幾何形状、すなわち、その狭い半径方向高さ並びに該プラットフォームがロータブレード100のコア部又は主本体から少し離れた状態であることに起因している。しかしながら、高温ガス通路の過度な温度への露出及び高い機械的荷重がある場合には、プラットフォームの冷却要求量は大きくなる。上記のように、従来型のプラットフォーム冷却設計は、このような領域の特定の課題に対処できない理由から効果的ではなく、これらの冷却媒体の使用が非効率的で、及び/又は製作するのに費用がかかる。
【0022】
再度図面を参照すると、
図6から
図9は、本発明の例示的な実施形態の幾つかの図を示している。図示のように、本発明は、一般に、タービンロータブレード100の内部を通る冷却チャンネルの構成を含む。タービンロータブレードは、翼形部102と根元104との接合部にプラットフォーム110を含むことができる。この構成は、根元104を通って翼形部102の内部にまで形成された、冷却媒体源との接続部から延びるよう構成される内部冷却通路116と、プラットフォームの少なくとも一部を横断するプラットフォーム冷却チャンネル132とを含むことができる。図示のように、プラットフォーム冷却チャンネル132は、蛇行形態を有することができるが、他の構成も実施可能である。本発明は、更に、ターンダウン延長部134を含むことができ、該ターンダウン延長部134は、プラットフォーム冷却チャンネル132との接続部を備えた第1のセクション136と、半径方向に配向した冷却チャンネルを備えた第2のセクション138とを含む。本発明は、更に、根元104の外側面を通って形成されたコネクタ開口142から内部冷却通路116との接続部まで延びて、図示のようにターンダウン延長部134の第2のセクション138を二分するコネクタ140を含むことができる。
【0023】
上述のように、根元104は、ロータホイールに根元を接続する手段を含むことができ、通常はダブテール109及びシャンク112を含む。コネクタ開口142は、シャンクの外側面を通って形成することができる。コネクタ開口142は、プラットフォーム110のすぐ内寄りに位置付けることができる。幾つかの実施形態では、コネクタ開口142は、プラットフォームのすぐ内寄りに位置するシャンク内に形成されたフィレット領域内に位置付けられる。図示のように、コネクタ開口142は、プラグ144を含むことができる。プラグ144は、コネクタ開口142を完全に塞ぐために形成することができる。コネクタ140は、コネクタ開口142から、外寄り方向で対角線上に延びることができる。ターンダウン延長部134の第2のセクション138の内側半径方向端部では、ターンダウン延長部134は行止り部146を有することができる。
【0024】
プラットフォーム110は、平面構成を有することができる。プラットフォーム冷却チャンネル132の長手方向軸線は、プラットフォーム110の平面とほぼ平行の関係を有することができる。ターンダウン延長部134の第1のセクション136は、軸方向/円周方向に配向した冷却チャンネル(すなわち、半径方向に配向した基準線にほぼ垂直)を有することができる。第1のセクション136は、接続されるプラットフォーム冷却チャンネル132にほぼ平行とすることができる。ターンダウン延長部134は、第1のセクション136から、第1のセクション136と第2のセクション138との間でほぼ90℃の肘状移行部を有することができる。
【0025】
コネクタ140は、ターンダウン延長部134の第2のセクション138を斜めに二分するように構成することができ、コネクタ140の断面形状は円形とすることができる。このようにして、斜め二分コネクタ140は、第2のセクション138内に楕円形の壁開口を形成する。この交差部は、通常は高い半径方向応力を生じる傾向がある領域内に位置付けられる。半径方向に配向した主軸を備えると、楕円入口幾何形状により、このようなコア間の機械加工による接続部を作成したときに生じるこれらの典型的な応力集中が軽減される。
図7に示すように、コネクタ140は、直線状であり、長手方向軸線152を有することができる。ターンダウン延長部134の第2のセクション138もまた、直線状の形状であり、長手方向軸線154を有することができる。
【0026】
上述のように、コネクタ140は、第2のセクション138を斜めに二分し、図示のように鋭角156を形成することができる。鋭角156が特定の寸法範囲内にある場合、性能上の利点が実現されることが分かっている。好ましい実施形態では、コネクタ140の長手方向軸線152とターンダウン延長部134の第2のセクション138の長手方向軸線154との間に形成される鋭角は、15°〜75°の範囲内に入る。更に好ましくは、コネクタ140の長手方向軸線152とターンダウン延長部134の第2のセクション138の長手方向軸線154との間に形成される鋭角は、30°〜60°である。更により好ましくは、コネクタ140の長手方向軸線152とターンダウン延長部134の第2のセクション138の長手方向軸線154との間に形成される鋭角は、およそ45°である。
【0027】
上述のように、第2のセクション138は、ほぼ半径方向の向きを有するように構成することができる。好ましい実施形態では、第2のセクション138の長手方向軸線154は、半径方向に配向した基準線と30°〜−30°の鋭角を形成する。より好ましくは、第2のセクション138は、該第2のセクション138の長手方向軸線154が半径方向に配向した基準線と10°〜−10°の鋭角を形成するように構成される。
【0028】
1つの好ましい実施形態では、
図6に示すように、内部冷却通路116は、作動中に高圧冷却媒体領域(又は相対的に高い圧力の区域)と低圧冷却媒体領域(又は相対的に低い圧力の区域)とを含むように構成することができる。このケースでは、プラットフォーム冷却チャンネル132は、上流側端部160及び下流側端部162を含むことができ、その各々が、近接して位置付けられるターンダウン延長部134を含む。従って、上流側ターンダウン延長部134は、プラットフォーム冷却チャンネル132の上流側端部160との接続部を形成する第1のセクション136を含むことができ、下流側ターンダウン延長部134は、プラットフォーム冷却チャンネル132の下流側端部162との接続部を形成する第1のセクション136を含むことができる。コネクタ140は、ターンダウン延長部134の各々において形成され、すなわち高圧コネクタ140及び低圧コネクタ140を形成することができる。高圧コネクタ140は、シャンク112の外側面を貫通して形成されたコネクタ開口142から内部冷却通路116の高圧冷却媒体領域との接続部まで延びることができ、これらの間で高圧コネクタ140は、上流側ターンダウン延長部134の第2のセクション138を二分することができる。低圧コネクタ140は、シャンク112の外側面を貫通して形成されたコネクタ開口142から内部冷却通路116の低圧冷却媒体領域との接続部まで延びることができ、これらの間で低圧コネクタ140は、下流側ターンダウン延長部134の第2のセクション138を二分することができる。コネクタ開口142は、冷却媒体が当該位置にて流出できないようにプラグで塞ぐことができる。使用時には、プラットフォーム冷却チャンネル132がどのような熱交換構造を含むにしても、高圧コネクタ140と低圧コネクタ140との間の圧力差が、プラットフォーム冷却チャンネル132にわたって冷却媒体を通過させることができることが分かるであろう。
【0029】
一実施形態では、プラットフォーム冷却チャンネル132は、
図6に示すように蛇行形態をとる。上述のように、翼形部102は、正圧面106及び負圧面105を含む。プラットフォームの正圧面は、翼形部102の正圧側面106に対応するプラットフォーム110の側面であり、正圧側スラッシュ面126は、プラットフォーム110の正圧側面の直線状縁部とすることができる。好ましい実施形態では、プラットフォーム冷却チャンネル132は、主として、
図6に示すように、プラットフォームの正圧側面の内部を通して位置付けることができる。加えて、タービンロータブレード100の前方及び後方の方向に対して、プラットフォーム冷却チャンネル132の上流側端部160は前方位置を有することができ、チャンネル132の下流側端部162は後方位置を有することができる。
【0030】
好ましい実施形態では、
図6に示すように、プラットフォーム冷却チャンネル132は、スラッシュ面セクション164を有することができる。スラッシュ面セクション164は、正圧側スラッシュ面126の長さの大部分に沿って該正圧側スラッシュ面126に近接し且つ平行に位置するプラットフォーム冷却チャンネル132のセクションとすることができる。スラッシュ面セクション164の上流側端部は、プラットフォーム冷却チャンネル132の上流側端部に近接して位置することができる。この構成、すなわちプラットフォーム冷却チャンネル132の上流側端部に近接してスラッシュ面セクション164を位置付けることにより、最も低温(プラットフォーム冷却チャンネル132の他のセクションに対して)の冷却媒体をこのセクションが受けることが可能になることが分かるであろう。正圧側スラッシュ面126は特に高い冷却要件を有する区域であるので、この構成は性能上の利点がある。スラッシュ面セクション164から、プラットフォーム冷却チャンネル132は、第1のスイッチバック部166と、該第1のスイッチバック部166の下流側にあり、プラットフォームの中央区域に位置する内部セクション168とを備える。図示のように、内部セクション168は、第1のスイッチバック部166のすぐ下流側にある直線状セクション170と、該直線状セクション170の下流側の第2のスイッチバック部とを含むことができる。第2のスイッチバック部は、プラットフォーム冷却チャンネル132の下流側端部162に近接して位置することができる。
【0031】
幾つかの実施形態では、上流側ターンダウン延長部134は、プラットフォーム110とシャンク112との間で正圧側接合部に沿った前方位置を有することができる。上流側ターンダウン延長部134に対して、下流側ターンダウン延長部134は、プラットフォーム110とシャンク112との間で正圧側接合部に沿った後方位置を有することができる。プラットフォーム110とシャンク112の接合部に沿って位置付けることにより、ターンダウン延長部134の第2のセクション138と内部冷却通路116との接続部を比較的短い長さのコネクタ140により形成できることが分かるであろう。
【0032】
図8に示すように、本発明によれば、プラットフォーム冷却チャンネル132は、プラットフォームとそこを流れる冷却媒体との間の熱伝達を向上させる特定の断面形状及び寸法を有するように構成することができる。好ましい実施形態では、プラットフォーム冷却チャンネル132は、
図8に示すように実質的に矩形形状とすることができる。応力集中を低減するために、断面矩形形状のコーナにはフィレット領域が存在し、ほぼ長円の外観をもたらすことができる。矩形形状は、半径方向に高さ176と、軸方向/円周方向に幅178とを有するよう構成することができる。好ましい実施形態では、プラットフォーム冷却チャンネル132は、幅178が高さ176よりも大きいように構成することができる。これは、プラットフォーム冷却チャンネル132の全長に対して当てはめることができ、或いは、長さの大部分に適用することができる。別の好ましい実施形態では、プラットフォーム冷却チャンネル132は、幅178が高さ176よりも少なくとも2倍大きいように構成することができる。これはまた、プラットフォーム冷却チャンネル132の全長に対して当てはめることができ、或いは、長さの大部分に適用することができる。プラットフォーム領域の形状が平面である場合、より大きな幅178を有する構成であるほど、プラットフォーム冷却チャンネル132全体にわたり利用可能な表面積が増大し、周囲のプラットフォーム110と冷却チャンネル132を流れる冷却媒体との間の熱交換が増大することが分かるであろう。
【0033】
図6は、本発明の別の態様を示している。幾つかの好ましい実施形態では、1以上の冷却アパーチャ179を設けることができる。図示の冷却アパーチャ179は、プラットフォーム冷却チャンネル132を通って流れる冷却媒体の所望の部分を作動中にプラットフォーム110上に形成された出口又は冷却アパーチャ179から放出する小チャンネルを含むことができる。図示のように、冷却アパーチャ179は、好ましい実施形態では、プラットフォーム110の正圧側スラッシュ面126又は上側面113上に位置付けられる。正圧側スラッシュ面126上に位置付けられた冷却アパーチャ179に関して、冷却アパーチャ179は、放出した冷却媒体が隣接するタービンブレード100のスラッシュ面に対抗する速度で衝突されて配向されるように狭くすることができ、これにより一般的に冷却効果が向上するようになる。スラッシュ面キャビティ及びこれらを定めるスラッシュ面は、冷却するのが難しいプラットフォーム110の領域であり、冷却アパーチャ179がこれを実施する効果的な方法とすることができることは分かるであろう。冷却アパーチャ179は、所望の流量及び/又は調整流量が達成されるようなサイズにすることができる。
【0034】
本発明は更に、タービンロータブレードのプラットフォーム領域内に効果的な内部冷却チャンネルを効率的に形成する新規の方法を含む。より具体的には、本発明は、タービンロータブレードの内部を通る冷却チャンネルの構成を製造する方法を含む。タービンロータブレード100は、翼形部102とロータ104との間の接合部においてプラットフォーム110を有することができる。1つの好ましい実施形態では、本方法は、根元104において冷却媒体源との接続部から翼形部102の内部まで延びるように構成された内部冷却通路116を形成するステップと、プラットフォーム110の少なくとも一部を横断するプラットフォーム冷却チャンネル132を形成するステップと、プラットフォーム冷却チャンネル132との接続部を形成する第1のセクション136及び半径方向に配向した冷却チャンネルを含む第2のセクション138を備えたターンダウン延長部134を形成するステップと、根元104の外側面を通って形成されるコネクタ開口142から内部冷却通路116との接続部まで延び且つこれらの間でターンダウン延長部134の第2のセクション138を二分するコネクタ140を形成するステップとを含むことができる。ターンダウン延長部134の形成は、鋳造プロセスを含むことができる。鋳造プロセスはまた、内部冷却通路116及びプラットフォーム冷却チャンネル132を形成するのに用いることができる。内部冷却通路116を形成するのに使用されるコアと、プラットフォーム冷却チャンネル132を形成するのに使用されるコアは、鋳造プロセスにより形成されている間は接続されないようにすることができ、これは上述のように有利とすることができる。コネクタ140は、ターンダウン延長部134及び内部冷却通路116が形成された後に形成することができる。
【0035】
検討した実施可能な構成を仮定すると、コネクタの形成は、比較的複雑ではなく且つ費用効果のあるラインオブサイト機械加工プロセスで完成させることができる。1つの好ましい実施形態では、
図8に示すように、ガイドロッド180は、鋳造プロセス中に位置付けることができ、機械的孔加工プロセスとすることができる、コネクタ140の鋳造後機械加工を誘導する役割を果たす。
図8の破線は、機械加工プロセスが完了したときのコネクタ140の最終構成を表していることが分かるであろう。この幾何形状を仮定すると、コネクタ140は、単引きの面加工工程で効率的に形成することができる。プラグ144は、冷却チャンネル構成を完成するよう設置することができる。プラグ144は、機械的干渉、溶接、ろう付け、その他など、従来の方法を用いてコネクタ開口142内に設置することができる。これらの複数のステップを用いて、上記で検討した幾つかの代替の実施形態を生成できることは分かるであろう。
【0036】
作動中、本出願の例示的な実施形態によれば、冷却媒体は、ダブテール109の前方区域を通って内部冷却通路116に流入し、翼形部102内に配向された後に、冷却媒体が後方に蛇行して流れるように蛇行構成の内部冷却通路116を通って半径方向外向き/内向きに流れることができる。図示のように、高圧コネクタ140は、内部冷却通路116の上流側(及び高圧)部分が上流側ターンダウン延長部134と流体連通し、その結果、プラットフォーム冷却チャンネル132の上流側端部160に冷却媒体を配向するように構成することができる。低圧コネクタ140は、内部冷却通路116の下流側(及び低圧)部分が下流側ターンダウン延長部134と流体連通するように構成することができる。下流側ターンダウン延長部134は、プラットフォーム冷却チャンネル132から流出する冷却媒体を集めて該冷却媒体を内部冷却通路116に戻すことができ、ここで冷却媒体は、他の下流側冷却用途に使用され、及び/又はロータブレード上の他の場所に位置する冷却アパーチャを通って排出することができる。
【0037】
このようにして、本発明のプラットフォーム冷却構成は、内部冷却通路116から冷却媒体の一部を抽出し、該冷却媒体を用いてプラットフォーム110から熱を取り除き、次いで、内部冷却通路116に冷却媒体を戻すことができ、ここで冷却媒体を更に用いることができる。本発明は、製造が効率的で且つ費用効果あり、更にロータブレードの構造上の一体性を維持しながらこのことを達成することが分かるであろう。上述の特定の好ましい実施形態による、鋳造プロセス中のプラットフォームコアとメインコアの分離は、鋳造プロセス中の他の性能上の利点と効率性を提供する。
【0038】
当業者には理解されるように、幾つかの例示的な実施形態に関して上述した多くの様々な特徴及び構成は、本発明の他の実施可能な実施形態を形成するように更に選択的に適用することができる。簡潔にするため及び当業者の能力を考慮して、実施可能な反復形態の全てを示し又は詳細に論じていないが、幾つかの特許請求項又は他に包含される全ての組み合わせ及び実施可能な実施形態は、本出願の一部であることを意図している。加えて、本発明の幾つかの例示的な実施形態の上記の説明から、当業者は、その改良、変更及び修正に気付くであろう。当技術の範囲内のこのような改善、変更及び修正もまた、特許請求の範囲によって保護されることを意図している。更に、上述の説明は本出願の記載した実施形態のみに関するものであること、並びに提出した特許請求の範囲及びその均等物によって定まる本出願の技術思想及び技術的範囲から逸脱することなく、本明細書において多くの変更及び修正を行うことができることは明らかであろう。
【符号の説明】
【0039】
102 翼形部
104 根元
105 負圧面
106 正圧面
110 プラットフォーム
116 内部冷却通路
121 後方端縁部
122 負圧側面端縁部
124 前方端縁部
126 正圧側面端縁部
132 プラットフォーム冷却チャンネル
134 ターンダウン延長部
160 上流側端部
162 下流側端部
164 スラッシュ面セクション
166 第1のスイッチバック部
168 内部セクション
170 直線状セクション
172 第2のスイッチバック部
179 冷却アパーチャ