特許第6010298号(P6010298)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010298
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】葉肉含有炭酸飲料
(51)【国際特許分類】
   C12G 3/04 20060101AFI20161006BHJP
   A23L 2/00 20060101ALN20161006BHJP
【FI】
   C12G3/04
   !A23L2/00 A
   !A23L2/00 T
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-290139(P2011-290139)
(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-138639(P2013-138639A)
(43)【公開日】2013年7月18日
【審査請求日】2014年12月11日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】生木 大志
(72)【発明者】
【氏名】芦刈 匡子
【審査官】 田中 晴絵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−348652(JP,A)
【文献】 特開平08−298971(JP,A)
【文献】 特許第4699562(JP,B2)
【文献】 特開2011−036228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12G 1/00− 3/12
A23L 2/00− 2/84
C12C 1/00−13/06
B01D 3/00
C12F 3/00− 5/00
C12H 1/00− 1/22
C12J 1/00− 1/10
C12L 3/00−11/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/FSTA/FROSTI/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アロエである多肉植物の葉肉裁断物と、炭酸ガスとを含む容器詰め飲料であって、
(a)当該葉肉裁断物の長径が3〜10mmであり、葉肉裁断物が当該飲料中に1〜2w/v%含まれ、
(b)炭酸ガス圧が1.0〜2.0kg/cmであり、そして
アルコール度数が1〜9%である
ことを特徴とする、飲料。
【請求項2】
アロエである多肉植物の葉肉裁断物と、炭酸ガスとを含み、アルコール度数が1〜9%である容器詰め飲料において、
(a)当該葉肉裁断物の長径を3〜10mmとして飲料中に1〜2w/v%含有させ、
(b)当該飲料の炭酸ガス圧を1.0〜2.0kg/cmに調節する、
ことを特徴とする、当該多肉植物の葉肉裁断物の飲料中の分散安定性向上方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多肉植物の葉肉の裁断物を含有する飲料に関する。詳しくは、多肉植物の葉肉の特定の大きさの裁断物を含有する飲料に炭酸ガスを含有させ、飲用時における葉肉裁断物の分散安定性を向上させることによって、飲みやすさを向上させた飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料の新商品開発における取り組みは、新しい味覚の開発にとどまらず、種々の新しい食感を有する飲料の開発にまで広がっている。
例えば、ミカンのさのうや果肉のような、果実のパルプやゼリーなどの固形分によって、消費者の食感を楽しませる飲料が多数開発されている。
【0003】
また、食品における固形分として、アロエのような多肉植物の葉肉がある。多肉植物の葉肉は、通常の飲料に含まれる果実由来の不溶性固形分とは異なる、弾力性のある独特の食感を有することから、その裁断物がヨーグルトやゼリーなどの食品に添加され、人気を博している。
【0004】
固形分を含む飲料の場合、飲料中での安定性が問題となる。特に容器詰め飲料の形態で提供される商品の場合、製造後消費者の手に渡るまでの間に、長い保管期間を経る場合が多い。このような保管期間において固形分が沈降してしまい、飲用前に容器を振ったとしても十分固形分が分散せず、飲用時(特に飲み終わる前頃)に、固形分が容器飲み口に詰まって飲みにくくなる場合がある。逆に、固形分に飲料の水分が浸透しないで飲料表面に浮遊し、飲用開始時に固形分が容器飲み口に詰まってしまう場合もある。従って、固形分を含む飲料において、その固形分の長期間の分散安定性が問題となる。
【0005】
飲料に含まれる固形分に関する従来技術として、以下のような技術が開示されている。
特許文献1には、ジェランガムとLMペクチンとをそれぞれ特定量併用することにより、ミカンのさのうその他の果実・果肉等のパルプ様物質を安定に分散させ、かつ、飲用時の食感が果肉感を呈する飲料に関する技術が記載されている。
【0006】
特許文献2には、長径が1〜3mmの範囲に細断されたさのうの割合が35%以上であり、それより大きい長径のものが10%以下であることを特徴とする細断さのうと、これを利用するさのう含有飲食物の製造方法が記載されており、飲料に優れたのど越しを与えている。
【0007】
一方、多肉植物の一種であるアロエの葉肉に関して、以下の技術が開示されている。
特許文献3には、殺菌処理などの加工工程などにおいてアロエ葉肉が有する独特の食感が失われるのを防ぎ、喫食時の食感・のどごし感のよいアロエ葉肉含有加工品を製造するために、アロエ葉肉、甘味料、カルシウム塩、安定剤、ペクチンメチルエステラーゼおよび水を含有する混合物を、30〜50℃の範囲内の温度にて加熱処理することを特徴とするアロエ葉肉含有加工品の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−179103号公報
【特許文献2】特開平11−206349号公報
【特許文献3】特開2004−248607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1は、ミカンのさのうその他の果実・果肉等のパルプ様物質を安定に分散させることに関する技術である。さのうなどの果実のパルプ分の場合、皮膜によって区切られているためさのう内部の汁液と飲料液とが互いに流通せず、飲料液の粘性や比重をコントロールすることで分散安定性が向上できるのに対し、多肉植物の葉肉はゼリー質であるため、飲料に添加すると飲料液が葉肉内に浸透し、最終的には飲料の底部に沈むものも多い。従って、特許文献1の技術は多肉植物の葉肉に適用することができない。
【0010】
特許文献2に記載された細断されたさのうは、長径が1〜3mmの範囲という小さいものを35%以上もの量含む。しかしながら、多肉植物の葉肉は、一定以上の大きさでなければその独特の食感を楽しむことができないため、裁断物の大きさを大きくせざるを得ない。従って、特許文献2の技術は多肉植物の葉肉に適用することができない。
【0011】
特許文献3は、アロエ葉肉加工食品の製造工程での熱変性等によってアロエ独特の食感を維持するための技術であって、飲料中での多肉植物の葉肉の分散安定性及び飲用時の飲みやすさの向上を図るものではない。
【0012】
すなわち、多肉植物の葉肉を含む飲料において、飲用時の飲みごたえ(及び喉ごしの良さ)を保持しながら葉肉の分散安定性(及び飲みやすさ)を改善した先行技術は存在しない。
【0013】
本発明は、上記のような課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、かかる課題について鋭意検討した結果、多肉植物の葉肉を含有する飲料において、当該多肉植物の葉肉を特定範囲の大きさの裁断物となし、飲料に特定範囲の量を加えて容器に封入し、かつ、容器詰め時の炭酸ガス圧を特定範囲に調節することによって、多肉植物の葉肉裁断物による飲みごたえ(及び喉ごしの良さ)と、容器詰め飲料中での葉肉裁断物の分散安定性の良さ(及び飲みやすさ)とが両立しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明は以下の態様を含む。
1.多肉植物の葉肉裁断物と、炭酸ガスとを含む容器詰め飲料であって、
(a)葉肉裁断物の長径が3〜10mmであり、葉肉裁断物が当該飲料中に0.5〜2.5w/v%含まれ、
(b)炭酸ガス圧が1.0〜3.0kg/cmである、
ことを特徴とする、飲料。
2.多肉植物がアロエである、1に記載の飲料。
3.アルコールを含有する、1又は2に記載の飲料。
4.アルコール度数が1〜9%である、3に記載の飲料
5.多肉植物の葉肉裁断物と、炭酸ガスとを含む容器詰め飲料において、
(a)葉肉裁断物の長径を3〜10mmとして飲料中に0.5〜2.5w/v%含有させ、
(b)当該飲料の炭酸ガス圧を1.0〜3.0kg/cmに調節する、
ことを特徴とする、多肉植物の葉肉裁断物の飲料中の分散安定性向上方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、多肉植物の葉肉裁断物による飲みごたえと喉ごしの良さを保持しながら、容器詰め飲料中での葉肉裁断物の分散安定性と飲みやすさを改善又は向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の飲料は、食用の多肉植物の葉肉の特定範囲の大きさの裁断物を含んでなる。多肉植物とは、茎や葉が肥厚して多量の水分を蓄えることができる植物の総称である。多肉植物は、乾燥地や塩分の多い土地に生え、多くは表皮に発達したクチクラによって水分の蒸発を防いでいる。これは、系統的には全く異なった植物群の総称で、50科以上の植物が含まれ、サボテン、アッケシソウ、リュウゼツラン、ベンケイソウ、アロエ、アイスプラントなどがある。本発明で利用できる多肉植物は、食用に供されるものであれば何ら制限なく使用でき、具体的にはアロエ、アイスプラントなどを用いることができる。
【0018】
本発明の葉肉裁断物は、多肉植物の生葉から表皮を剥離して得られるゲル部分を特定の大きさに裁断することによって得られるものをいう。裁断の方法は特に制限されず、公知の方法を用いればよい。葉肉の裁断方法としては、回転刃で方形状に裁断するクラッシュ法、人力で葉肉を賽の目状に裁断するダイスカット法などがある。本発明においてはいずれも問題なく利用できるが、生産効率の点からクラッシュ法による裁断物を好ましく用いることができる。また、当該裁断物の形状は限定されず、例えば、直方体、立方体、球状、又は楕円状であってもよい。
【0019】
裁断物の大きさとしては、長径が3〜10mmのとき好ましい。裁断物の測定は、裁断物100個を無作為に抽出し、目視によって前記の長径を確認しながら電子ノギスを用いて測定する。ここでいう長径とは、葉肉裁断物が直方体である場合には、最も長い片の長さを意味し、立方体である場合には、一辺の長さを意味し、球状である場合にはその直径方向の長さを意味し、楕円状である場合には、その長軸を意味する。全ての裁断物の長径が上記の範囲であることが好ましいが、本発明の効果を失わない程度に、長径が上記の範囲に含まれない裁断物が含まれていてもよい。具体的には、裁断物のばらつきは、平均値+2σが3〜10mmとなることが好ましい。
【0020】
裁断物の長径が3mmを下回ると、弾力性のある独特の食感と飲用時に十分な飲みごたえを得ることができず、10mmを上回ると裁断物自身が大きいことに加えて容器底部に沈降した裁断物が飲用時(特に飲み終わる前頃)に、容器飲み口に詰まってしまい、飲みにくくなる。
【0021】
葉肉裁断物の飲料への配合割合は、飲料に対して0.5〜2.5w/v%、好ましくは1〜2w/v%の範囲内を例示することができる。
また、本発明の飲料は、後述する炭酸ガス圧測定方法で測定した場合に、1.0〜3.0kg/cm、より好ましくは1.2〜2.0kg/cm程度の炭酸ガスを含む。
【0022】
炭酸ガス圧が1.0kg/cmを下回ると葉肉裁断物が容器詰め飲料中で十分分散されないため、飲みにくく、3.0kg/cmを超えると飲用時に十分な飲みごたえや喉ごしを楽しむことができない。
【0023】
本発明の飲料には、炭酸ガスを添加してもよいし、発酵工程によって炭酸ガスを付与してもよい。これらの手段を適宜用いて炭酸ガス圧を調節する。
炭酸ガスの添加は、当業者に通常知られる方法を用いることができ、例えば、これらに限定されないが、二酸化炭素を加圧下で飲料に溶解させてもよいし、ツーヘンハーゲン社のカーボネーターなどのミキサーを用いて配管中で二酸化炭素と飲料とを混合してもよいし、また、二酸化炭素が充満したタンク中に飲料を噴霧することにより二酸化炭素を飲料に吸収させてもよいし、飲料と炭酸水とを混合してもよい。
【0024】
本発明において、炭酸ガス圧は、京都電子工業製ガスボリューム測定装置GVA−500Aを用いて測定する。試料温度を20℃にし、前記ガスボリューム測定装置において容器内空気中のガス抜き(スニフト)、振とう後、炭酸ガス圧を測定する。
【0025】
本発明の飲料には、アルコールを配合してアルコール飲料とすることができる。
本発明で使用できるアルコールの種類は、通常の酒類として飲用されるものであれば特に限定されない。ウイスキー、ウオッカ、ラム、焼酎、スピリッツ類などの蒸留酒、日本酒、ワイン、ビールなどの醸造酒、リキュールなどの混成酒などを使用することができる。飲料の品質や目的に応じて、単一種類のアルコールを用いてもよい。例えば、抽出液の香味特徴を変化させる目的で複数種類のアルコールを用いてもよい。
【0026】
本発明の飲料がアルコール飲料である場合には、そのアルコール度数は、1〜9v/v%が好ましい。なお、本発明におけるアルコール度数は、国税庁所定分析法(平19国税庁訓令第6号、平成19年6月22日改訂)に記載の方法によって測定することができる。具体的には、糖類を添加したものと添加していないもののそれぞれについて、以下の方法で測定することができる。
【0027】
対象のアルコールを含む試料がショ糖等の糖類を添加していない焦げ付きのおそれがないものの場合:試料100〜150mLを、メスフラスコを用いて15℃において正確に採取する。これを300〜500mL容のフラスコに移し、メスフラスコをそれぞれ15mLの水で2回洗浄し、洗浄液もフラスコ内に移す。試料の採取に用いたメスフラスコを受器として直火蒸留を行い、採取量の70%以上が留出した後、留液に水を加えて15℃において原容に戻し、よく振り混ぜて分析サンプルとする。
【0028】
ショ糖等の糖類を添加した焦げ付きのおそれのある試料の場合:水蒸気蒸留法によって分析サンプルを調製する。すなわち、試料100〜150mLをメスフラスコを用いて15℃において正確に採取する。これを500mL容二連フラスコに移し、メスフラスコをそれぞれ15mLの水で2回洗浄し、洗浄液もフラスコ内に移す。試料の採取に用いたメスフラスコを受器として水蒸気蒸留を行い、採取量の98%以上が留出した後、留液に水を加えて15℃において原容に戻し、よく振り混ぜて分析サンプルとする。
【0029】
以上のようにして調製した分析サンプルの15℃における密度を振動式密度計で測定し、前記国税庁所定分析法の付表である「第2表 アルコール分と密度(15℃)及び比重(15/15℃)換算表」を用いて換算することにより、アルコール度数を求めることができる。本明細書においては、振動式密度計として、(株)京都電子工業株式会社製の振動式密度計DA−310を用いた。
【0030】
本発明の飲料には、本発明の効果を妨げない範囲で、飲料に一般に用いられる種々の添加物を使用することができる。そのような添加物としては、例えば、甘味料、酸味料、保存料、色素類、酸化防止剤などが挙げられる。
【0031】
本発明では、上記により得られた葉肉含有飲料を容器に詰めて、容器詰め飲料とすることができる。容器の種類は特に限定されず、缶、ガラス瓶、PETボトル等の炭酸ガス含有飲料に一般に使用される容器を用いることができる。
【実施例】
【0032】
実施例を用いて具体的に本発明について説明するが、本発明はそれらの具体例に限定されるものではない。
実施例1 葉肉裁断物を含む飲料の飲みやすさに対する炭酸ガス圧の影響
(サンプル調製方法)
表1の配合の溶液250mLに、外皮をむいたアロエベラ葉肉を5mm角に裁断して調製したアロエ裁断物2.5gを添加し(飲料中で1w/v%となる)、炭酸ガス圧を、0、0.5、1.0、1.5、2.0、3.0、3.5kg/cmの7水準に調整して葉肉含有容器詰め飲料サンプルを作成した。
【0033】
【表1】
【0034】
(評価方法)
各水準の容器詰め飲料250mLを一度逆さにして飲料容液を震盪した後に開栓し、アロエ葉肉を含む飲料容液50mLを速やかにメスシリンダーに注いだ。この飲料溶液50mLの重量を測定し、アロエ葉肉を含まない飲料溶液50mLとの重量差を計算した。
また、アロエ葉肉を含む飲料溶液について、専門パネラー5名によって官能評価を実施した。このとき、コントロールとして、表1の飲料溶液50mLにアロエ葉肉裁断物1gが入った溶液を「3点:アロエ葉肉を適度に感じる」として相対評価を行った。
【0035】
5点:アロエ葉肉の食感を非常に感じるが、非常に飲みにくい。
4点:アロエ葉肉の食感をかなり感じるが、飲みにくい。
3点:アロエ葉肉の食感を適度に感じられ、飲みやすい。
2点:アロエ葉肉の食感をわずかで、飲みごたえがない。
1点:アロエ葉肉の食感を感じず、全く飲みごたえがない。
【0036】
炭酸ガス圧が1.0kg/cm未満のとき、葉肉裁断物は容器詰め飲料中にとどまってしまい、メスシリンダーに十分量移行せず、官能評価としてもアロエ葉肉の食感を十分感じることができなかった。一方、炭酸ガス圧が3.0kg/cmを超えると、葉肉裁断物は過度にメスシリンダーに移行し、アロエ葉肉が多すぎて飲みにくいとの評価となった。
【0037】
炭酸ガス圧が1.0〜3.0kg/cmのとき、葉肉裁断物のメスシリンダーへの移行量は適当になり、官能評価としてもアロエ葉肉の食感と飲みやすさを十分感じることができた。
炭酸ガス圧が1.0〜2.0kg/cmのとき、特に評価が高かった。
【0038】
実施例2 葉肉の食感(飲みごたえ)対する葉肉裁断物の大きさの影響
(サンプル調製方法)
表2の配合の溶液250mLに、外皮をむいたアロエベラ葉肉を2/3/6/10/12/17mmの6水準に裁断した葉肉裁断物5gを添加し(飲料中で2w/v%となる)、炭酸ガス圧を、1.5kg/cmに調整して葉肉含有容器詰め飲料サンプルを作成した。
【0039】
【表2】
【0040】
(評価方法)
各水準の容器詰め飲料250mLを一度逆さにして飲料容液を震盪した後に開栓し、アロエ葉肉を含む飲料容液50mLを速やかにメスシリンダーに注いだ。アロエ葉肉を含む飲料溶液について、専門パネラー5名によって官能評価を実施した。このとき、コントロールとして、表1の飲料溶液50mLにアロエ葉肉裁断物2gが入った溶液を「3点:アロエ葉肉を適度に感じる」として相対評価を行った。
【0041】
5点:アロエ葉肉の食感を非常に感じるが、非常に飲みにくい。
4点:アロエ葉肉の食感をかなり感じるが、飲みにくい。
3点:アロエ葉肉の食感を適度に感じられ、飲みやすい。
2点:アロエ葉肉の食感をわずかで、飲みごたえがない。
1点:アロエ葉肉の食感を感じず、全く飲みごたえがない。
【0042】
葉肉裁断物の大きさが2mmのとき葉肉の食感をほとんど感じることができず、逆に12mmのとき、食感を非常に強く感じるものの、飲みにくい飲料となった。葉肉裁断物の大きさが3〜10mmのとき、アロエ葉肉の食感と飲みやすさを十分感じることができた。
【0043】
実施例1及び2に示されている通り、本発明の飲料は、炭酸ガスを含むことにより、葉肉裁断物の分散安定性を高めて飲みやすさを改善することができる。好ましい炭酸ガス圧の範囲は、1.0〜3.0kg/cm、より好ましくは、1.0〜2.0kg/cmである。また、本発明の飲料は、含まれる葉肉裁断物の大きさを調節することにより、葉肉の飲みごたえと喉ごしを維持することができる。好ましい葉肉の大きさは、長径3〜10mmである。さらに、葉肉の含有量は、0.5〜2.5w/v%である。