特許第6010300号(P6010300)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼネラル・エレクトリック・カンパニイの特許一覧

特許6010300化学量論的排出ガス再循環及び関連する燃焼制御装置
<>
  • 特許6010300-化学量論的排出ガス再循環及び関連する燃焼制御装置 図000002
  • 特許6010300-化学量論的排出ガス再循環及び関連する燃焼制御装置 図000003
  • 特許6010300-化学量論的排出ガス再循環及び関連する燃焼制御装置 図000004
  • 特許6010300-化学量論的排出ガス再循環及び関連する燃焼制御装置 図000005
  • 特許6010300-化学量論的排出ガス再循環及び関連する燃焼制御装置 図000006
  • 特許6010300-化学量論的排出ガス再循環及び関連する燃焼制御装置 図000007
  • 特許6010300-化学量論的排出ガス再循環及び関連する燃焼制御装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010300
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】化学量論的排出ガス再循環及び関連する燃焼制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02C 9/28 20060101AFI20161006BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20161006BHJP
   F02C 7/228 20060101ALI20161006BHJP
   F02C 9/00 20060101ALI20161006BHJP
   F23R 3/00 20060101ALI20161006BHJP
   F23R 3/28 20060101ALI20161006BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   F02C9/28 CZAB
   F02C7/00 A
   F02C7/228
   F02C9/00 B
   F02C7/00 B
   F23R3/00 B
   F23R3/28 A
   B01D53/86 100
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-2794(P2012-2794)
(22)【出願日】2012年1月11日
(65)【公開番号】特開2012-145111(P2012-145111A)
(43)【公開日】2012年8月2日
【審査請求日】2014年12月26日
(31)【優先権主張番号】12/973,976
(32)【優先日】2011年1月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・デイヴィッド・ドレイパー
【審査官】 佐藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/141777(WO,A1)
【文献】 特開2003−232230(JP,A)
【文献】 特開2006−144796(JP,A)
【文献】 米国特許第06598402(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 3/10
F02C 7/00、228、232
F02C 9/00、16、18、28
F23R 3/00、28
B01D 53/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジン(13)用の燃料制御システムであって、
1次燃料回路(201)と、
数の燃焼器(12)と、
前記複数の燃焼器(12)のための燃料調整回路(250)であって、前記燃料調整回路(250)が、排気ガス流中のNOxを低減する化学量論的再循環を達成するために複数の調整可能制御バルブ(202〜208)を含んでいて、前記複数の調整可能制御バルブ(202〜208)の各々が、前記複数の燃焼器(12)のうちの対応する1つの燃焼器に接続されており、前記燃料調整回路が、前記調整可能制御バルブ(202〜208)の各々から前記複数の燃焼器(12)のうちの対応する1つの燃焼器への燃料の流れを順次制御するように動作する燃料調整回路(250)と
前記ガスタービンエンジン(13)の排出ガス流(15)中に配置された酸素センサ(223)と、
前記ガスタービンエンジン(13)の排出ガス流(15)中に配置された一酸化炭素センサ(225)と、
前記燃焼器の下流のNOx除去触媒と、
前記燃料調整回路(250)及び前記酸素センサ(223)と一酸化炭素センサ(225)に動作可能に接続されたフィードバック制御ループ(228)であって、始動運転の後でガスタービンエンジン(13)が燃料過濃レベルで運転される際に、前記酸素センサ(223)及び一酸化炭素センサ(225)を用いて排出ガス流中の酸素含有量及び一酸化炭素含有量を監視して、NOx除去触媒が最大効率値に近づく排出ガス流(15)中の酸素含有量及び一酸化炭素含有量が達成されるように個々の燃焼器に供給される燃料の量を燃料調整回路(250)で個別に調節するように構成されたフィードバック制御ループ(228)
を備える、燃料制御システム。
【請求項2】
前記ガスタービンの排出ガス流(15)から酸素(43)及び一酸化炭素(44)を除去するための触媒(221)を更に備える、請求項1記載の燃料制御システム。
【請求項3】
圧縮機(11)と複数の燃焼器(12)とタービン(13)とを備えるガスタービンエンジンからの排出ガス中のNOxを低減する化学量論的排出ガス再循環を達成するためにガスタービンエンジン(13)からの排出ガスの組成を分析及び制御する方法であって、
始動運転の後で、各々の燃焼器(12)に制御された量の燃料及び空気(71)送給して、各々の燃焼器において燃料と空気の混合物を燃料過濃レベルで燃焼させるステップと、
前記排出ガス中の酸素含有量(43)を測定するステップと、
前記排出ガス中の一酸化炭素含有量(44)を測定するステップと、
前記複数の燃焼器(12)の各々に供給される燃料の量を、燃料調整回路(250)を用いて個別に調整するステップであって、NOx除去触媒が最大効率値に近づく排出ガス流中の酸素含有量及び一酸化炭素含有量が達成されるように個々の燃焼器に供給される燃料の量を個別に調節するステップと、
前記タービン(13)から排出された排出ガスの一部を前記圧縮機(11)に再循環するステップと
を含む方法。
【請求項4】
記排出ガス流中に残存する前記酸素(43)及び前記一酸化炭素(44)の実質的に全てを触媒によって除去するステップを更に含む、請求項記載の方法。
【請求項5】
前記燃焼器(12)に制御された量の燃料及び空気(71)送給する前記ステップが、フィードバック制御データ(228)を前記燃焼器(12)の各々に順次的に送り、各燃焼器に送給される燃料の量を制御するステップを含む、請求項記載の方法。
【請求項6】
前記燃焼器(12)に制御された量の燃料及び空気(71)送給する前記ステップが、前記排出ガス中に検出されたCO(228)の量に基づいて前記燃焼器(12)のうちの選択された燃焼器に送給される燃料の量を順次的に調整する、請求項記載の方法。
【請求項7】
ガスタービンエンジン(13)であって、
複数の燃焼器(12)と、
ガス圧縮機(74)と、
タービン(13)と、
1次燃料回路(201)と、
前記複数の燃焼器(12)のための燃料調整回路(250であって、前記燃料調整回路(250)が、排気ガス流中のNOxを低減する化学量論的再循環を達成するために複数の調整可能制御バルブ(202〜208)を含んでいて、前記複数の調整可能制御バルブ(202〜208)の各々が、前記複数の燃焼器(12)のうちの対応する1つの燃焼器に接続されており、前記燃料調整回路が、前記調整可能制御バルブ(202〜208)の各々から前記複数の燃焼器(12)のうちの対応する1つの燃焼器への燃料の流れを順次制御するように動作する燃料調整回路(250)と、
前記燃焼器(12)の排出ガス流(15)中に配置された酸素センサ(223)と、
前記燃焼器(12)の排出ガス流(15)中に配置された一酸化炭素センサ(225)と、
前記燃焼器の下流のNOx除去触媒と、
センサ(223)と一酸化炭素センサ(225)に動作可能に接続されたフィードバック制御ループ(228)であって、始動運転の後でガスタービンエンジン(13)が燃料過濃レベルで運転される際に、前記酸素センサ(223)及び一酸化炭素センサ(225)を用いて排出ガス流中の酸素含有量及び一酸化炭素含有量を監視して、NOx除去触媒が最大効率値に近づく排出ガス流(15)中の酸素含有量及び一酸化炭素含有量が達成されるように個々の燃焼器に供給される燃料の量を燃料調整回路(250)で個別に調節するように構成されたフィードバック制御ループ(228)
を備える、ガスタービンエンジン(13)。
【請求項8】
前記排出ガスからび一酸化炭素(44)を除去するための触媒床(79)を更に備える、請求項記載のガスタービンエンジン(13)。
【請求項9】
前記排出ガスを前記ガスタービン圧縮機(74)に戻すための再循環ループ(78)を更に備える、請求項記載のガスタービンエンジン(13)。
【請求項10】
前記ガスタービンエンジンが更に低圧排熱回収ボイラ及び/又は高圧排熱回収ボイラを備える、請求項8記載のガスタービンエンジン(13)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンエンジンシステム及び関連する制御装置に関し、より詳細には、複数の燃焼器を有し、その各々が、触媒を用いて不要なNOxエミッションを排出ガスから除去すること確実に可能にしながら、フィードバック制御ループを用いて検出された排出ガス中の酸素及び一酸化炭素の量に基づいて燃空比を調整するよう別個に制御することができるガスタービンエンジンに関する。本発明は、本明細書において「化学量論的排出ガス再循環(SEGR)」と呼ばれるものを提供する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンは通常、圧縮機セクション、燃焼器セクション、及び電力を発生させるために回転する少なくとも1つのタービンを含む。圧縮機の排出ガスは、燃焼セクションに直接送給され、ここで炭化水素燃料が噴射され、混合されて燃焼する。次いで、燃焼ガスは、タービンの1以上の段に送られて通過し、該タービンが燃焼ガスから回転エネルギーを抽出する。最大の運転効率を達成するために、ガスタービン燃焼システムは、異なる燃料組成、圧力、温度、及び燃空比状態の幅広い範囲にわたって運転し、好ましくは、液体燃料又はガス燃料の何れか、もしくはその両方の組み合わせ(「二元燃焼」システムとして知られている)を使用する能力を有する。しかしながら、ガスタービン燃焼器で使用する炭化水素燃料の候補の多くは、燃焼を阻害し及び/又はシステムの能力及び効率を低下させる傾向がある不要な汚染物質及び/又は他のプロセスの副生成物を含有している。
【0003】
近年、連邦政府によって厳しいエミッション制限及び環境汚染管理規制が課せられていることにより、米国ではエミッション、特にNOxの低減が大きな注目を集めている。炭化水素燃料の燃焼では、窒素酸化物は、空気中の窒素の高温酸化、並びに炭化水素ベース燃料における窒素化合物(ピリジンなど)の酸化により生じる。
【0004】
燃焼器入口の酸素濃度を低減し、CO2濃度及び水分含量を非再循環システムと比べて増大させるようにする「無効化作用」により、排出ガス再循環を用いたガスタービンエンジンのNOxエミッション低減において幾らかの進展がみられた。NOx形成率はピーク火炎温度に強く依存するので、火炎温度の僅かな低下もNOxエミッションの削減につながる。1つの公知の技術は、ガスタービンエンジンに排出ガスを再循環することを含み、結果として追加のCO2が形成されるが、O2及びCO濃度は漸次的な減少に過ぎない。残念ながら、排出ガス再循環を用いた排出ガス中には、常に約2%か又はそれ以上の酸素量が残ったままであり、この過剰量の酸素がほとんどのNOx除去触媒の効率に悪影響を及ぼす可能性があることが分かっている。従って、再循環を用いた排出ガス流中のNOxの低減及び/又は排除に対する上記の取り組みは、限定的な成功しか達成されなかった。
【0005】
定置ガスタービンエンジンに排出ガス再循環を適用する別の懸念点は、入口流が再循環と組み合わされたときに排出ガス温度を低下させること、並びに燃焼器入口温度又は圧縮機負荷の増大を避けることが必要となる点である。同一出願人の米国特許第4313300号では、発電プラントが、ガスタービン燃焼器に空気を供給する単一空気圧縮機内に再利用ガスを導入するようにした複合ガスタービン−蒸気タービンシステムを含む場合、異常高温の問題を実質的に克服することができることを教示している。しかしながら、米国特許第4313300号では、排出ガス中に存在する一酸化炭素に関するデータを用いて、単独で又は他の燃焼器と縦一列の形態で作動する燃焼に送給される燃料の量を調整することは、教示又は示唆されていない。
【0006】
従来、ガスタービンエンジンにおける個々の選択した燃焼器の燃空比を制御するための一酸化炭素エミッションの監視は、特に本明細書に記載されるようなフィードバック制御又は調整回路を使用することによって用いられていない。既知の従来技術のガスタービンシステムもまた、排出ガス中に存在するCO及び酸素の量を低減するために、個々の燃焼器それぞれに基づいて燃空比を微細に調整する許容可能な方法を提供していない。既知のガスタービンエンジンシステムの実施例には、圧縮機の吸気口に排出ガスの一部を再利用する排出ガス再循環型のガスタービン、及びガスタービンの負荷変化に一致するよう再循環されるガスの量を調整するための再循環制御ユニットを開示している、Kataoka他らに付与された米国特許第6598402号が含まれる。米国特許第6598402号は、選択された燃焼ユニットへの燃料対空気フィードを調整するための手段として排出ガス流において検出された一酸化炭素の量に依存していない。また、この米国特許第6598402号は、化学量論的排出ガス再循環制御を提供する方法も教示していない。
【0007】
Utamura他に付与された米国特許第6202400号及び同第5794431号は、ガスタービン排出ガスの一部を圧縮機に再循環させることによりガスタービン及び蒸気タービンの組み合わせの熱効率を向上させ、圧縮機フィード温度をより均一且つ一定に維持し、システム全体の熱効率を向上させるようにする2つの関連した異なる方法を記載している。何れの特許も、燃料調整回路又はフィードバック回路を用いて排出ガス流中の検出した一酸化炭素量に基づいて排出ガスのCO又は酸素含有量を効率的に低減することを教示していない。加えて、単なるCOの検出は、化学量論的排出ガス再循環制御の必要性に対処したものではない。
【0008】
国際公開WO99/30079号は、NOx及びCOを含む排出ガスエミッションの量を低減するための選択的触媒還元触媒を備えた、空気汚染制御組立体を含むガスタービンエンジンの排出ガスと共に使用する排熱回収ボイラを記載している。この場合も同様に、WO99/30079出願は、燃焼器への選択燃料入力を制御する手段として排出ガス中のCOの検出量を用いること、或いは、化学量論的排出ガス再循環を提供する方法を教示又は示唆してはいない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6598402号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、1次燃料回路と、燃料調整回路と、燃料調整回路に動作可能に結合された複数の燃焼器と、排出ガス流中に配置された酸素センサ及び一酸化炭素センサと、燃料調整回路に動作可能に接続されたフィードバック制御ループと、を含むガスタービンエンジン用の燃料制御システムを提供する。酸素センサ及び一酸化炭素センサは、制御バルブを用いて複数の燃焼器の各々に送給される燃料の量を制御し、これにより、複数燃焼器のガスタービンエンジンにおける単一燃焼器(「缶」)に対応する各バルブを用いて燃料調整回路を形成する。燃料制御システムは、フィードバック制御ループを通して提供される排出ガス中の検出された酸素及び一酸化炭素濃度に関するデータを用いて、各燃焼に送給される燃料の量を「微調整」する。
【0011】
本発明はまた、本明細書で説明される新規のフィードバック制御装置を用いて、ガスタービンエンジンからの排出ガスの組成を分析及び制御する方法を含み、ここでガスタービンエンジンは、複数の燃焼器、対応するフィードバック制御ループ及び燃料調整回路を備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ガスタービンエンジンと、ガスタービン排出ガスを監視してフィードバック制御ループを用いて個々の燃焼器缶の燃空比を制御して最大熱効率及びCO除去を達成するための燃料制御システムと、を有する本発明の例示的な実施形態のプロセスフロー図。
図2】本発明による化学量論的排出ガス再循環(「SEGR」)及び燃焼制御を達成し、これにより従来オンガスタービンエンジンにおいて本来的な性能上のペナルティを低減するための主なプロセスステップを示すブロックフロー図。
図3】ガスタービン排出ガス流中に存在する酸素及び一酸化炭素の相対量を複数燃焼器のガスタービンエンジンの1以上の燃焼器に送給されたときの種々の燃料/空気混合気と比較したグラフ表示。
図4】本発明の第1の実施形態による化学量論的再循環を用いてガスタービンエンジンの個々の燃焼器に対する燃料空気フィードを制御する例示的なプロセスの概略図(装置及び制御システムの主要素を描いている)。
図5】特に、例示的なNOx触媒の有効レベルを基準とした、本発明による化学量論的制御装置を用いて排出ガス中に存在する酸素の相対量のグラフ表現。
図6】本発明による燃料調整回路及びフィードバック制御を用いた可能性のある利点を示す、異なる動作条件下での化学量論的排出ガス再循環エミッションのグラフ表現。
図7】本発明による個々の燃焼器の燃空比を制御するための主燃料回路、燃料調整回路、及びフィードバック制御装置をより詳細に描いたブロックフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明による化学量論的排出ガス再循環(SEGR)ガスタービンエンジンは、NOx汚染物質のない排出ガス流を提供するためにNOx低減触媒でより効果的に処理することができるゼロ酸素含有排出ガスを提供することを目的としている。強化された油回収用途に適用される場合、本発明は、炭素捕捉及び貯蔵プロセスに理想的であり、酸素なしで希釈剤を必要とするあらゆるプロセスにおいて有用である。
【0014】
上述のように、従来のSEGRガスタービンシステムにおいて、公称燃焼温度での化学平衡に起因して燃焼生成物には常に過剰酸素が含有されており、CO2燃焼生成物の一部はCOとO2解離される。加えて、燃料空気の完全な混合は達成することができず、フィード中に存在する酸素の一部は炭化水素燃料と反応しない結果となる。従って、得られる排出ガス流は、主成分としてN2とCO2から構成され、依然として少量のCO及びO2を含有する。通常、燃焼生成物は、ガスタービンエンジンのタービンセクションを通過し、酸化触媒を有する排熱回収ボイラ(HRSG)に流入し、該酸化触媒は、HRSGの低温時には、CO及びO2とCO2との間の平衡を変化させ、微量のCO及びO2を強制的にCO2に転化させ、低酸素含量の排出ガス流を生成する。
【0015】
CO触媒ゼロ酸素含有量に近づけるには、排出ガス中の全てのO2を消費するのに十分なCOが存在しなければならない。ガスタービンの実用的な運転のためには、過剰な量のCOが確実に存在するように、過剰量の燃料燃焼システム使用する必要がある。しかしながら、排出ガス中COが多すぎると、過剰COのエネルギー含有量をガスタービンで捕捉できなくなって、システム効率に不利な結果となるので、ガスタービン運転全体に悪影響を及ぼす可能性がある。これらの理由から、排出ガス流中過剰COの量を最小限にして且つ慎重に制御することが重要である。
【0016】
また、燃焼プロセスにおける2つの公知の実用性により、排出ガス中の過剰COの量を制御することが必要となる。第1に、全ガスタービンの燃空比は、制御上の制限を受けやすい。すなわち、ガスタービンに送給される燃料量を制御する能力には限界がある。第2に、ガスタービン燃焼システムは、多くの場合、複数の燃焼缶からなり、その各々僅かに異なる燃空比で運転され、缶毎エミッションのバラツキを生じ。これらの2つの影響の結果、過剰燃料でガスタービンを運転して、排出ガス中の酸素がすべて確実に消費されるように適正量の過剰COを生成させる必要があるこの目的を達成することは、設計目標値を参照して本明細書で説明され、図6の実施例により図示されている。
【0017】
本発明によれば、閉ループエミッション制御を用いて、排出ガス中のガスタービンからのエミッションを監視することによって、ガスタービン燃焼器の全体の燃空比が遙かに正確に制御され、図6に同様に示すように、過剰CO要件を低減することができる。缶それぞれの燃空比の変動は、依然としてこの手法によって排除されない。しかしながら、各燃焼缶に燃料調整回路を付加することにより、各缶の燃空比は、ガスタービン運転においてこれまで利用されていない又は企図すらされていない精度のレベルまで制御することができる。燃料は、各缶に対して調整することができ、正確に制御されるCO生成特性が化学量論的動作に近づくことにより、排出ガス中の総CO濃度として排出ガスにおいてフィードバックを測定することができる。以下で詳細に検討する図3を参照されたい。
【0018】
SEGRを利用した改良ガスタービンエンジン設計では燃焼器から排出される最終排出ガス流は、未使用酸素を含まなくなり、三元触媒又はれに相当する触媒を用いて流中の一酸化炭素及びNOxエミッションを許容可能なレベル好ましくはゼロ付近)まで低減する処理のための特定の位置に配置される。上述のように、低NOx及び一酸化炭素エミッションを達成する上での問題は、大半のガスタービンエンジンシステムが複数の燃焼器を利用しており、多くの場合、異なる燃料/空気比率及び対応する異なる排出ガス組成で単一の一酸化炭素測定及び処理システムに送給されることに起因して、近年ではますます複雑になっている。排出ガスに対する単一フィードバック制御ループを用いて最終排出ガスにおいて検出される一酸化炭素の量に応じて燃焼器の上流側の主燃料/空気混合気を調整することができるが、このようなシステムは、排出ガス(又は再利用)中に残存する酸素の使用の可能性を最も高くすることはできない。その結果、異なる燃焼器缶の変動し且つ異なる燃料/空気比を監視及び制御することの予測のつかない変化に起因して、このようなシステムからのNOx及びCOエミッションを効果的にゼロにすることは、不可能に近いとまではいかなくとも困難なことである。
【0019】
従って、本発明は、燃焼器のうちの選択されたものに対する個々の燃料/空気フィードを極めて正確に監視及び制御することにより、改善された燃焼器動作を提供する。結果として得られる改善されたエンジン性能は、排出ガス流中に存在する検知された一酸化炭素及び酸素に基づいて長い時間期間の間維持することができる。加えて、異なる燃焼器により生成されるCOの指数関係は、個々の燃焼器燃料/空気比に直接的に対応させるよう利用することができ、正味の結果として、従来技術のガスタービン設計と比較して燃焼排出ガス中のNOxの量が実質的に減少する結果となる。この新規の設計はまた、NOx及びCO成分が本来的に減少することに起因して、タービン排出ガスの下流側処理中にCO2捕捉が可能になる。
【0020】
例示的な実施形態において、主燃料/空気回路をできる限り化学量論的理想に近づける正味の目的で、すなわち、再利用中に存在する全ての酸素が燃焼中に消費され、結果として全体のNOx及びCO生成を有意に低減するように、個々の燃焼器(缶)は各々、極めて小さい増分で燃料/空気比を引き上げ又は引き下げることができる流れ制御手段と共に燃料調整回路に動作可能に接続される。
【0021】
始動運転中、希薄状態且つ低一酸化炭素生成で運転している缶全てに関して、CO排出ガス測定値が取得される。排出ガス流中の監視されるCO含有量は、ほぼ直ぐに増大し始める。結果として得られる検出されたCO量により、制御信号がフィードバック制御閉ループを介して並列接続の燃料回路に送られる。次いで、各缶に送給される燃料の割合が検出されたCO量に応じて修正される。燃料調整回路が実施され、各連続する缶に対して燃料が増分的に調整されると対応する一酸化炭素レベルが急激に増大し、その結果、特定の缶への燃料付加を中断するよう制御ループからの信号を発生させる。このプロセスは、最適な所望燃料/空気比がシステム全体に対して達成されるまで、連続した各缶が監視され調整されるように繰り返される。長期の連続運転にわたって最適なSEGR性能を確保するために、通常エンジン運転中に必要に応じて、同じ調整/フィードバック制御運転を定期的に用いることができる。
【0022】
更に、SEGR技術を利用した従来の燃焼器制御システムと比較して、タービン排出ガス中に遙かに低いCO及び酸素レベルを達成することができる。各燃焼器缶を連続して且つ独立して「微調整」して、化学量論的運転を達成できるので、本システムは、過剰COの存在を保証するために「過濃」運転を必要とする従来の複数燃焼器制御設計に優る、多大な利点を提供する。上述のように、燃焼器が標準的技法によって設計されている場合、個々の燃焼器の動特性は、異なる燃空比及び変化する燃料スプリットの結果として1つ1つ異なる可能性がある。燃空比の差違は、ガスタービンの全体性能にほとんど影響を与えない可能性が高いので、排出ガス中の酸素量もまた必然的に缶毎に変化し、酸素レベルが高いままである場合には受け入れられない結果を生じる。高い酸素レベルによって触媒の有効性レベルが低下し、多くの場合、触媒は、ゼロに近い酸素レベルでの有効性が99%であるのと比べて僅か50%の有効性になる。従って、本発明は、最終排出ガスの酸素レベルを化学量論的上のゼロ近くに保持することによって、高いレベルの有効性を維持するのを保証する。
【0023】
図を参照すると、図1は、本発明のフィードバック制御による利点の可能性を有する、SEGRガスタービンエンジン及び排熱回収ボイラ(「HRSG」)を利用するシステムの例示的なプロセスフロー図を示す。図1は、ガスタービン排出ガスを監視して、フィードバック制御ループを用いて個々の燃焼器缶の燃空比を制御して最大熱効率及びCO除去を達成するために上述のように修正可能な既知のシステムを示している。図1はまた、燃焼段階中に燃焼器が酸素及び一酸化炭素の全てを消費できないときに必然的に遭遇する性能上の可能性のあるペナルティを示している。一酸化炭素触媒は、二酸化炭素を形成し且つ排出ガス中に残存する酸素を消費するために常に利用しなければならない(高圧の排熱回収ボイラに熱を提供する副次的利点を有する)。
【0024】
図1に示すように、空気71は、主空気圧縮機(「MAC」)72に送給され、空気配管76を通じて高圧でガスタービン燃焼器に直接送られる。ガスタービン燃焼器からの排出ガスは、低圧排熱回収ボイラ77を通って流れ、再循環ループ78は、ガスタービン圧縮機74へのフィードとして再利用される。本システムは、酸素を含有しないタービン冷却空気及び漏洩空気を含む全てがガスタービン内で流れるのを保証する。
【0025】
図1はまた、ガスタービン排出ガスを処理してできる限り多くの残留CO及び酸素を除去しなければならない点で、従来のシステムに関連する本来的な性能上のペナルティを示している。すなわち、燃焼運転は完全ではなく、残留する未燃酸素及びCOを別個に処理することが必要となる。ここで、符号84のガスタービン排出ガスは、COを除去し、排出ガス中に存在する未燃酸素を消費するCO触媒床79を通過する。結果として得られるCO及び酸素は、結合して発熱反応で二酸化炭素を形成する。高圧HRSGは、熱を用いて、蒸気タービンを介してエネルギーを抽出することにより追加の蒸気を発生する。化学量論的には、システム中の残留一酸化炭素の量は、全体効率を犠牲にすることなくできる限り低減される。触媒による処理に続いて、処理済み排出ガス流は、COセンサを通過して、高圧排熱回収ボイラ82に入り、該排熱回収ボイラが触媒処理により発生する追加の熱を利用する。次いで、高圧酸素の無い排出ガス(ライン83で示される)は、最終処理を受けた後、周囲環境に放出される。
【0026】
図2は、本発明によるフィードバック制御を用いた化学量論的排出ガス再循環及び燃焼制御を達成する主なプロセスステップを示すブロックフロー図である。例示的なシステムは、複数の燃料燃焼器12に加圧空気を送給する空気圧縮機11を含み、該燃焼器12は、膨張した高温排出ガスをガスタービン13に送給する。作動中、空気圧縮機11は、加圧空気を燃焼器12の後ろに送給し、主燃料源(ガス又は液体炭化水素)21が燃焼器に1次燃料流を提供する。空気及び燃料が混合されて燃焼し、高温の燃焼ガスが、燃焼器12からガスタービン13に直接流れ、ここでエネルギーが高温燃焼ガスから抽出されて仕事を生成する。
【0027】
本発明の第1の実施形態によれば、CO分析ステーション19において、ガスタービン13から出る排出ガスが分析されて、排出ガス中に存在する二酸化炭素の量を求め、分析の結果がフィーバックループの一部として燃料調整回路に送られて、参照符号21で示されるようにシステムに送給される空気及び燃料(ガス又は液体)の量を定期的に監視し調整するようにする。各燃焼器に送給される燃料と空気の比を微調整すると共に、排出ガス流中のNOx濃度を低減する目的で、排出ガス流中で検出される酸素及び一酸化炭素の量に応じて、各燃焼器に送給される燃料及び空気の量を変えることができる。調整された燃焼器への燃料流は、参照符号22で全体的に図示される。個々の燃焼器の各々は、連続的に収集され評価されるデータに基づいてフィードバックループを用いて監視し調整することができる。すなわち、各燃焼器缶は、以下でより詳細に説明するような最適な定常状態条件に達するまで、個別ベースである期間にわたって定期的にチェック及び調整される。
【0028】
図2はまた、システム全体の熱効率を高めるために、ガスタービン13と組み合わせた従来の排熱回収ボイラ(「HRSG」)の使用を示している。発熱量が低下した結果として得られる排出ガス流15は通常、通気孔16を通って大気に放出される前に、例えば三元触媒を用いて排出ガス処理段17において処理され、残留するNOx化合物及び他の環境的に望ましくない汚染物質並びに燃焼副生成物を除去するようにする。
【0029】
図3は、例示的なガスタービン排出ガス流中に存在する酸素43及び一酸化炭素44の相対量をガスタービンエンジンの1以上の燃焼器に送給される種々の燃料/空気混合気と比較したグラフ表示(全体的に参照符号40で示される)である。図3は、燃焼器排出ガスにおいて検出された酸素及び一酸化炭素の濃度に対する燃空比(「F/A」42)をプロットしている。燃空比が増大すると酸素レベルが低下し、CO含有量が増大する。例示的な実施形態において、個々の燃焼器缶への燃料及び空気フィードは、酸素含有量を低下させるが、一酸化炭素の量が下流側触媒の能力を超えない程度まで低下することはないように1つずつ調整される。酸素及びCOの量は、燃空比に対するフィードバック制御ループを用いて連続的に監視及び制御され、酸素/CO比を最適化し、下流側触媒によるCO除去効率が最大になるのを保証するようにする。化学量論的には、触媒から出る残留COの量は、最大システム効率でゼロに近づく。
【0030】
図4は、本発明の第1の実施形態による化学量論的再循環及びフィードバック制御を用いてガスタービンエンジンの燃焼に対するフィードを制御するプロセスの概略図(また、装置及び制御システムの主要要素を描いている)である。図4に示すように、参照符号35及び36で示される個々の燃焼器は各々、対応する排出ガス流37及び38を有し、該排出ガス流が、各缶に対してのCOレベルを決定できる一酸化炭素測定ステーション26内に直接送給される。一酸化炭素測定ステーション26は、複数の異なるフィードバック制御信号27及び28を生成し、次いで、これらの信号は、全体的に符号28及び30で描かれる対応する燃料調整回路制御装置に伝送される。燃料調整回路制御装置の出力31及び34は、例示として参照符号32及び33で示される個々の燃焼器缶に対応する燃料回路への増分的微調整を生じさせる。
【0031】
図5は、例示的なNOx触媒の有効レベルと比較したときの、本発明による化学量論的制御装置を用いて排出ガス中に存在する酸素の相対量のグラフ表現である。図4と同様にして、本発明は、燃焼器からの排出ガス中に存在する酸素及び一酸化炭素の量を平衡化すると同時に、最終排出ガス流を処理するのに用いられるNOx触媒の高い効率を確保するよう努めている。図5のプロット63は、排出ガス中に存在する酸素量(Y軸61)が減少するにつれて、NOx触媒の有効性(X軸62)が増大する傾向があることを示している。
【0032】
図6は、様々な動作条件下での化学量論的排出ガス再循環エミッションのグラフ表現(全体的に符号90で示される)であり、本発明による燃料調整回路及びフィードバック制御を用いた潜在的利点を示している。図6は、ガスタービンエンジン排出ガス中に残存する酸素及び一酸化炭素の量(「エミッションO2、CO」と記載された左軸を参照)、従来技術のシステム及び本発明を含む種々の候補排出ガス処理システムを用いた後段の触媒処理システムでの一酸化炭素と酸素の反応で得られる予測効率(「CO/O2、効率」)とを対比したものである
【0033】
上述のように、フィードバック制御及び個々の燃焼器の微調整を利用した例示的なシステムは、未反応一酸化炭素の量を低減し、下流側触媒操作においてCOを全て二酸化炭素に化学量論的に転化するのに十分な量の酸素が燃焼器排出ガス中に残存するのを保証する。従って、図6における「Phi」の記載は、システムからのCO及び酸素除去における効率の対応するレベルと比較して、異なるCO及び酸素エミッションレベルに対して1.0の上及び下の予測値を示している。目標Phi値1.0は、中心軸95で識別され、理論上の「変動のない望ましい動作」とみなされる。
【0034】
例証の目的で、本発明によるフィードバック制御ループに関連する調整バルブの相対位置は、この場合、Phi=1.0の僅かに右にある線100で指定される。1.0よりも僅かに大きいPhi値を有することは、ガスタービンエンジンが幾分「過濃」で稼働しており、フィードバック制御を用いて一酸化炭素及び酸素の除去が最大となっていることを意味する。システムにおいて過剰な量の残留酸素を有すると、NOx触媒の有効性が低下する傾向があり、従って、実際には、ガスタービンは、1.0の右側のPhi値を有した僅かに過濃な方式で稼働する必要がある。
【0035】
図6の曲線91は、Phi値1.0の上及び下の点でのシステムにおける一酸化炭素と酸素の量の比を表し、曲線92は一酸化炭素の量を表し、曲線93は酸素レベルを表し、曲線94は燃焼排出ガスからの一酸化炭素除去の予測効率のレベルを示し、直線96は、例示的な設計目標Phi値を表し(1.0の右側に示され、全ての利用可能なCOを除去するタメに僅かに過剰な量の酸素を示している)、垂直線98は、調整バルブ及び本発明のフィードバック制御機構を用いていない従来の閉ループエミッション制御システム(「CLEC」)のPhiの位置を示しており、垂直線99は、同様に調整バルブなしで「開ループ」設計を用いた従来技術の設計を表しており、垂直線97は、排出ガス中に残存し、本発明に関して上述されたように化学量論的に平衡にされていない一酸化炭素及び酸素の異なる量によって生じる相対的な「効率上のペナルティ」を表している。図6に示すように、理想設計は、図のようにPhi値1.0を有する。しかしながら、この場合も同様に、実際には、1.0を僅かに上回るある値が、NOx除去触媒の下流側性能に悪影響を及ぼすことなく、COの最低予測量を除去するのに十分な酸素を保証する。
【0036】
図6で識別された「効率上のペナルティ」97は、触媒処理ステップ中に二酸化炭素を形成する上で1つの酸素分子につき2つのCO分子が必要となることを表している。図6においてPhi=1.0の垂直線の右側に対するCOデータは、燃焼後のシステム中に依然としてCOが存在することによって生じる効率上のペナルティの大きさを示している。その結果、この残留COは、下流側触媒操作を用いて処理されなくてならず、触媒処理中に排出ガスCOのほとんどを可能な限り消費するために特定の量の過剰酸素が必要となることが認められる。
【0037】
例示的な実施形態において、Phiの目標値は、図示され且つ「設計目標Phi」で識別されるように、およそ1.025であることが分かっている。上述のような個々の燃焼器についてフィードバック制御ループ設計を用いることにより、垂直制御ラインが左側に移動し、すなわち、1.0に近づいた値に戻る。相対的に、従来のガスタービンエンジンについての動作条件及びPhi値が、図6において効率が極めて低く、「開ループ設計」で表記されて示されており、当該システムは通常、どのような連続した排出ガス流又は1以上の個々の燃焼器缶に基づくどのようなフィードバック制御ループも備えずに排出ガス温度読取り値にのみ依存する。開ループ設計は、燃空比に対するグロスの「調整」変更を行う前に排出ガス流全体の断続的な実験室試験にのみ依存するはずである。
【0038】
図6における「閉ループ」システム98はまた、本発明によって利用される特定のフィードバック制御調整基準なしで、缶毎ベースではなく連続ベースで排出ガスの限定的な分析によるフィードバック制御に限定的な範囲まで依存している。加えて、従来のシステムとは異なり、システムにおいて検出された酸素量を用いたフィードバック制御ループは、燃焼器の各々を独立して正確に制御し、性能全体を改善するようにする。すなわち、各缶に対する燃料流の極めて小さい増分的変化は、従来の「開ループ設計」と比べて、全体の性能レベルに大きな差違をもたらすことが分かっている。従って、図6は、調整バルブを開放することで、効率上のペナルティラインが右側に移動し、調整バルブを閉鎖することで、効率上のペナルティラインが左側に移動する(望ましいPhi値1.0に近づく)。
【0039】
図6はまた、燃料調整回路がどのように動作するかを示している。調整バルブを開放すると、効率上のペナルティラインが右側に移動し、調整バルブを閉鎖すると、効率上のペナルティラインが左側に移動し望ましいPhi値1.0に近づく。作動中に検出されたPhiが1.0を下回ると、システムは「酸素過濃」とみなされる。従って、始動動作中、ガスタービンエンジンは、最初に1.0を下回るPhi値で「希薄」条件下で稼働することができる。その後、各燃焼器の各調整バルブを順次調整して燃料量を増大させるが、その際に、酸素及びCOレベルを連続的に監視し、フィードバック制御ループを介して燃焼器に制御信号を送る。COの増大と共に酸素レベルが低下し、調整バルブはできるだけ1.0に近Phi値られるよう調整される。このプロセスでは、各燃焼器は連続的にチェックされ、NOx触媒最大効率値に近づくように排出ガス中のCO及び酸素の量が調整される。
【0040】
図7は、本発明による個々の燃焼器の燃空比を制御するための主燃料回路、燃料調整回路、及びフィードバック制御装置をより詳細に描いた別のブロックフロー図である。フィードバック制御システム200は、主燃料フィード240を燃焼器に提供する1次燃料回路201と、参照符号202から208で識別され且つ並列接続された複数の別個の制御バルブを備えた燃料調整回路250とを含む。従って、対応する燃焼器缶(図7で参照符号211から217で識別される)の各々に流れる燃料の量は、燃焼器の下流側で検出される排出ガス状態に応じて別個に且つ独立して制御することができる。通常、システムが始動しているときには、燃焼器の各々の燃空比は、可能性のある最も低い酸素及びCO割合が下流側で検出される定常状態条件が得られるまで、順次的に別個に調整される。図7は、燃焼器群からの組み合わされた排出ガス220が触媒床221に入り、次いで、酸素センサ223及びCOセンサ225を通過し、これらのセンサがデータライン226を介してフィードバックコントローラ227にデータを提供し、該コントローラは、燃料調整回路を介して別個の制御信号を送信して、個々の燃焼器に送給される燃料の量を調整する(又は調整しない)。酸素及びCOが遙かに少ないはずのシステムからの最終排出ガス流が、参照符号230で図示されている。
【0041】
現時点で最も実用的且つ好ましい実施形態であると考えられるものに関して本発明を説明してきたが、本発明は、開示した実施形態に限定されるものではなく、逆に添付の請求項の技術的思想及び範囲内に含まれる様々な修正形態及び均等な構成を保護するものであることを理解されたい。
【符号の説明】
【0042】
11 空気圧縮機
12 燃料燃焼器
13 ガスタービン
14 HRSG
15 排出ガス流
16 通気孔
17 排出ガス処理段
19 CO分析ステーション
21 主燃料源
22 燃焼器への調整燃料流れ
26 一酸化炭素測定ステーション
27、28 フィードバック制御信号
29、30 燃料調整回路制御装置
31、34 燃料調整回路装置の出力
32、33 個々の燃焼器缶
35、36 燃焼器
37、38 排出ガス流
43 酸素フィード
44 二酸化炭素
42 燃空比
61 Y軸
62 X軸
63 効率プロット
70 例示的なプロセスフロー図
71 空気
72 主空気圧縮機(「MAC」)
74 ガスタービン圧縮機
76 空気piping
77 低圧排熱回収ボイラ(HRSG)
78 再循環ループ
79 触媒床
82 高圧排熱回収ボイラ
83 高圧酸素なし排出ガス
84 ガスタービン排出ガス
91、92 曲線
93 酸素レベル
94、96 曲線
95 中心軸
97 垂直ライン
97 「効率上のペナルティ」
98、99 垂直ライン
98 「クローズループ」システム
200 フィードバック制御装置
201 1次燃料回路
202〜208 制御バルブ
211〜217 燃焼器缶
220 複合排出ガス
221 触媒床
223 酸素センサ
225 COセンサ
226 データライン
227 フィードバックコントローラ
230 排出ガス流
240 主燃料フィード
250 燃料調整回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7