(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態による半導体集積回路を備えた電子機器の概略的ブロック図である。
図1を参照して、電子機器101は、半導体集積回路1と、回路基板2とを備える。半導体集積回路1は回路基板2に実装される。電子機器101の種類は特に限定されない。
【0019】
図2は、
図1に示した半導体集積回路1のレイアウトを概略的に説明した、半導体チップの平面視図である。
図2に示されたレイアウトは、たとえば半導体集積回路を設計するための自動配置配線ツールの表示画面に表わされる。このレイアウトに従って、
図1に示された半導体集積回路1が形成される。
図2に示されたレイアウトに関するデータは、たとえば不揮発的に情報を記録する記録媒体に記憶される。
【0020】
図2を参照して、半導体集積回路1は、半導体基板(半導体チップ)10に形成された論理回路11を含む。論理回路11は信号S1を受けて、信号S2を出力する。論理回路11による信号処理は特に限定されるものではない。
【0021】
論理回路11は、複数のセル12によって構成される。複数のセル12は、論理素子を含む。論理素子は、たとえば論理ゲート、CMOS回路等からなる。
【0022】
X方向は、信号S1,S2が伝送される方向に対応する。Y方向はX方向に直交する方向である。以下の説明では、X方向を水平方向と呼び、Y方向を上下方向と呼ぶ場合もある。複数のセル12は、X方向およびY方向に沿って配置される。すなわち
図2に示した構成によれば、複数のセル12は行列状に配置されている。
【0023】
複数のセル12は、直列に接続される。信号経路がその途中で折り返されるように複数のセル12が配置されている。なお、論理回路11を構成するセル12の個数は、複数であれば特に限定されるものではない。
【0024】
図3は、
図2に示されたレイアウトの対比例を説明する図である。
図3を参照して、一般には、信号の伝送の向きに沿って複数のセル12が並べられる。したがって
図3に示されるように、複数のセル12がX方向に沿って一列に配置される。
【0025】
一般に、セルは、信号の伝達方向(
図3ではX方向)の長さが、その方向と直交する方向(
図3ではY方向)よりも長くなるように形成される。論理素子の多くは、PMOSトランジスタおよびNMOSトランジスタの組み合わせにより構成される。信号の伝達方向をX方向とすると、PMOSトランジスタおよびNMOSトランジスタはY方向に沿って配置される。論理回路は、一般に、複数の論理素子の組み合わせからなるため、信号の伝達経路が長くなる。このため、セルのX方向の長さがセルのY方向の長さよりも長い。
【0026】
さらに、セル面積の縮小のためにセルを構成するトランジスタのサイズを小さくした場合、Y方向の長さよりもX方向の長さがより一層長くなる。したがって
図3に示されるようにX方向に沿って複数のセル12を並べた場合、論理回路11のX方向の長さが論理回路11のY方向の長さに比べて著しく大きくなる。
【0027】
コスト等の観点から、半導体チップのX方向およびY方向の長さは予め決まっていることが多い。さらに、論理回路11以外の回路も半導体チップに形成しなければならない。したがって、
図3に示されたようにセル12を並べた場合、論理回路11を形成するための領域を半導体チップにおいて確保することが難しくなる。
【0028】
この実施の形態によれば複数のセル12をX方向およびY方向に沿って配置することにより、論理回路11のX方向の長さおよびY方向の長さの設計の自由度を高めることができる。
図2に示されるように、複数のセル12をX方向およびY方向に配置することにより、X方向に伸びる信号経路を、その途中でY方向へと折り曲げることができる。あるいは、X方向に伸びる信号経路を、その途中で折り返すことができる。これにより、論理回路11の機能が失われることがない。
【0029】
さらに、配線層ごとに決められたルールもできるだけ守ることができる。たとえば優先的な延在方向がX方向であるとする。
図2に示されるように信号配線の一部が折り返されるため、その部分の配線はY方向に延びる。しかし、残りの部分すなわち信号配線の大部分はX方向に延在する。
【0030】
さらに、複数のセル12をX方向およびY方向に沿って配置することにより論理回路11のレイアウトの自由度が高められる。これにより、半導体チップの面積の縮小化を図ることができる。なお、複数のセル12は、少なくともY方向に沿って配置されればよい。
【0031】
図4は、
図2に示されたセル12の配置の例を示した図である。
図4を参照して、段数は、Y方向に並べられたセル12の数を示す。セル12の段数は特に限定されるものではなく、たとえば10段あるいはそれ以上であってもよい。
【0032】
1つの実施形態では、論理回路11は、フリップフロップである。
図5は、本発明の実施の形態に係るセルによって構成されたフリップフロップの一例を示した図である。
図6は、
図5に示されたレイアウトの比較例を示した図である。
【0033】
図5および
図6を参照して、フリップフロップ11Aは、Dフリップフロップである。フリップフロップ11Aは、信号S1を受けて、信号S2を出力する。信号S2の出力は、クロックCLK,/CLK(「/」は反転を表わす)によって制御される。
【0034】
フリップフロップ11Aは、セル12A−1,12A−2を有する。セル12A−1,12A−2の各々は、Dラッチである。したがってセル12A−1,12A−2は互いに同じ構成を有する。具体的には、セル12A−1は、スイッチ21Aと、反転ゲート22A,23Aとを有する。セル12A−2は、スイッチ21Bと、反転ゲート22B,23Bとを有する。スイッチ21A,21Bは、トランスミッションゲートによって構成される。反転ゲート22A,23A,22B,23Bは、たとえばインバータ(NOTゲート)によって構成される。
【0035】
なお、反転ゲート22A,23AをNANDゲートにより構成して、それにより、リセット機能を有するDフリップフロップを構成してもよい。この構成によれば、NANDゲートの一方の入力は、スイッチ21Aの出力および対応する反転ゲート(23A,23B)の出力に接続される。NANDゲートの一方の入力は、リセット信号を受ける。
【0036】
また、
図5に示したフリップフロップの構成を、
図7に示されるように変えてもよい。
図7は、
図5に記載されたフリップフロップの変形例を示した図である。
図8は、
図7に示されたレイアウトの比較例を示した図である。
図7および
図8を参照して、フリップフロップ11A1は、セル12E−1,12E−2を有する。セル12E−1は、反転ゲート23Aの後段に接続されたスイッチ29Aをさらに備える点でセル12A−1と異なる。同じく、セル12E−2は、反転ゲート23Bの後段に接続されたスイッチ29Bをさらに備える点でセル12A−2と異なる。セル12E−1,12E−2の他の部分の構成は、セル12A−1,12A−2の対応する部分の構成と同じである。
【0037】
図5および
図6の対比から理解されるように、セル12A−1,12A−2をY方向に並べて配置することによって、フリップフロップ11AのX方向の長さを短くすることができる。同じく、
図7および
図8の対比から理解されるように、セル12E−1,12E−2をY方向に並べて配置することによって、フリップフロップ11A1のX方向の長さを短くすることができる。
【0038】
図9は、本発明の実施の形態に係るセルによって構成されたフリップフロップの他の例を示した図である。
図9を参照して、フリップフロップ11Bは、リセット機能を有するスキャンDフリップフロップである。フリップフロップ11Bは、セル12B−1,12B−2,12B−3,12C−1,12C−2と、インバータ31,34,35と、スイッチ32とを備える。セル12B−1,12B−2がY方向に並べられる。さらにセル12C−1,12C−2がY方向に並べられる。
【0039】
セル12B−1,12B−2,12B−3は、互いに同一の構成を有する。具体的には、セル12B−1,12B−2,12B−3の各々は、直列に接続された2つのPMOSトランジスタおよび2つのNMOSトランジスタにより構成される。なお2つのPMOSトランジスタはX方向に沿って配置される。同じく2つのNMOSトランジスタはX方向に沿って配置される。1対のPMOSトランジスタと1対のNMOSトランジスタとは、Y方向に沿って配置される。
【0040】
セル12B−1は、PMOSトランジスタTr11,Tr12と、NMOSトランジスタTr13,Tr14とを含む。PMOSトランジスタTr11のゲートはデータ信号Dを受ける。PMOSトランジスタTr12のゲートおよびNMOSトランジスタTr13のゲートは選択信号SCを受ける。NMOSトランジスタTr14のゲートはスキャン信号SDを受ける。
【0041】
セル12B−2は、PMOSトランジスタTr21,Tr22と、NMOSトランジスタTr23,Tr24とを含む。PMOSトランジスタTr21のゲートはスキャン信号SDを受ける。インバータ31は選択信号SCを反転させる。PMOSトランジスタTr22のゲートおよびNMOSトランジスタTr23のゲートは、選択信号SCの反転信号を受ける。NMOSトランジスタTr24のゲートはデータ信号Dを受ける。
【0042】
セル12C−1,12C−2の各々は、NAND回路と、そのNAND回路の出力に接続されたスイッチとを備える。具体的には、セル12C−1は、NAND回路25Aと、スイッチ26Aとを備える。セル12C−2は、NAND回路25Bと、スイッチ26Bとを備える。
【0043】
NAND回路25Aは、スイッチ32の出力およびセット信号(S)を受ける。インバータ34は、スイッチ26Aの出力およびスイッチ26Bの出力を受ける。インバータ35は、インバータ34の出力を受ける。NAND回路25Bは、インバータ34の出力およびセット信号(S)を受ける。
【0044】
セル12B−3は、PMOSトランジスタTr31,Tr32と、NMOSトランジスタTr33,Tr34とを含む。PMOSトランジスタTr31のゲートおよびNMOSトランジスタTr34のゲートは、NAND回路25Aの出力信号を受ける。PMOSトランジスタTr32のゲートは、クロック/CLKを受ける。NMOSトランジスタTr33のゲートは、クロックCLKを受ける。
【0045】
図10は、本発明の実施の形態に係るセルによって構成されたフリップフロップのさらに他の例を示した図である。
図10を参照して、フリップフロップ11Cは、セットおよびリセット機能を有するスキャンDフリップフロップである。フリップフロップ11Cは、セル12B−1,12B−2,12C−1,12C−2,12D−1,12D−2と、インバータ31,36とを備える。セル12B−1,12B−2がY方向に並べられる。さらにセル12D−1,12C−1がY方向に並べられる。さらにセル12D−2,12C−2がY方向に並べられる。
【0046】
セル12B−1,12B−2,12C−1,12C−2の構成は
図7に示した構成と同様であるので以後の説明は繰り返さない。セル12D−1,12D−2は、スイッチと、そのスイッチの出力に接続されたNAND回路とを備える。具体的には、セル12D−1は、スイッチ27Aと、NAND回路28Aとを備える。セル12D−2は、スイッチ27Bと、NAND回路28Bとを備える。NAND回路28Aの一方の入力は、セット(S)信号である。NAND回路28Bの一方の入力は、リセット(R)信号である。
【0047】
図11は、本発明の実施の形態に係るセルを構成する素子の概略的なレイアウトの一例を示した図である。
図11に示されたレイアウトは、たとえば
図9および
図10に示されたクロック/CLKを伝達するための配線に適用することができる。
図11を参照して、セル121は、電源ラインPLと接地ラインSL1との間に配置される。セル121は、PMOSトランジスタMP1と、NMOSトランジスタMN1とを備える。PMOSトランジスタMP1と、NMOSトランジスタMN1とはY方向に沿って配置される。
【0048】
セル122は、電源ラインPLと接地ラインSL2との間に配置される。セル122は、PMOSトランジスタMP2と、NMOSトランジスタMN2とを備える。PMOSトランジスタMP2と、NMOSトランジスタMN2とはY方向に沿って配置される。
【0049】
さらにPMOSトランジスタMP1,MP2は、電源ラインPLを挟んで対向する。したがってセル121,122が電源ラインPLに対して対称に配置される。
【0050】
電源ラインPLと、接地ラインSL1,SL2とは、X方向、すなわちセルが信号を伝送する方向に延在する。電源ラインPLにはセルに含まれる論理素子を動作させるための電源電圧VDDが与えられる。接地ラインSL1,SL2には、ソース電圧VSSが与えられる。
【0051】
PMOSトランジスタは、ゲート電極と、ソース領域およびドレイン領域に対応する拡散領域(P型領域)とを有する。具体的には、PMOSトランジスタMP1は、ゲート電極GP1と、拡散領域P11,P12とを有する。PMOSトランジスタMP2は、ゲート電極GP2と、拡散領域P21,P22とを有する。
【0052】
NMOSトランジスタは、ゲート電極と、ソース領域およびドレイン領域に対応する拡散領域(N型領域)とを有する。具体的には、NMOSトランジスタMN1は、ゲート電極GN1と、拡散領域N11,N12とを有する。NMOSトランジスタMN2は、ゲート電極GN2と、拡散領域N21,N22とを有する。
【0053】
たとえば半導体基板がP型基板である場合、PMOSトランジスタを形成するためにP型基板の表面にN型ウェルが形成され、次に、N型ウェルにP型領域が形成される。ただし図示が煩雑になるのを避けるために、
図11および以後説明する図においてN型ウェルは示されていない。
【0054】
配線L1,L2,L3が任意選択的に形成される。たとえばPMOSトランジスタMP1とNMOSトランジスタMN1とによってCMOS回路が構成される場合、ゲート電極GP1,GN1が、配線L1によって接続される。この場合、上記CMOS回路によって信号がX方向に伝送される。
【0055】
同様に、PMOSトランジスタMP2とNMOSトランジスタMN2とによってCMOS回路が構成される場合、ゲート電極GP2,GN2が配線L2によって接続される。この場合にも、CMOS回路は信号をX方向に伝送する。
【0056】
さらに、PMOSトランジスタMP1のゲート電極GP1とPMOSトランジスタMP2のゲート電極GP2とが接続される場合には、配線L3が用いられる。ゲート電極GP1,GP2が接続されることにより、PMOSトランジスタMP1,MP2が電気的に接続される。
【0057】
配線L3は、電源ラインPLと立体的に交差する。配線L3は、電源ラインPLが形成された配線層に対して上側の層および下側の層のいずれに形成されてもよい。
【0058】
電源ラインPLは、第1金属配線層に形成される。一方、ゲート電極GP1,GP2,GN1,GN2には、一般にポリシリコン配線が用いられる。ポリシリコン配線は、第1金属配線層よりも下の層に形成される。したがって配線L3をポリシリコン配線によって形成してもよい。この場合、ゲート電極GP1,GP2および配線L3は一体化される。また配線L3を第1金属配線層よりも上側の層の金属配線、たとえば第2配線層の金属配線によって実現してもよい。
【0059】
図12は、本発明の実施の形態に係るセルを構成する素子の概略的なレイアウトの他の例を示した図である。
図12を参照して、PMOSトランジスタMP1のゲート電極GP1と、PMOSトランジスタMP2の拡散領域P21(たとえばドレイン領域)とが配線L3およびL4を介して接続される。これにより、PMOSトランジスタMP1,MP2が電気的に接続される。なお、セル121,122の他の部分の構成については、
図11に示した構成と同様である。
【0060】
配線L3は、電源ラインPLと立体的に交差する配線であり、具体的にはポリシリコン配線である。配線L4がPMOSトランジスタMP2の拡散領域P21に接続されるため、配線L4は、第1金属配線層に形成された金属配線である。第1金属配線層に形成された金属配線(L4)とゲート電極GP1(ポリシリコン配線)とを接続し、かつ、電源ラインPLと接続されないために配線L3にポリシリコン配線が用いられる。
【0061】
図13は、本発明の実施の形態に係るセルを構成する素子の概略的なレイアウトのさらに別の例を示した図である。
図13を参照して、PMOSトランジスタMP1の拡散領域P12と、PMOSトランジスタMP2の拡散領域P21(たとえばともにドレイン領域)とが配線L5を介して接続される。これにより、PMOSトランジスタMP1,MP2が電気的に接続される。なお、セル121,122の他の部分の構成については、
図11に示した構成と同様である。
【0062】
配線L5は、拡散配線によって実現される。具体的には、拡散領域P12と拡散領域P21とをつなぐP型の拡散領域が形成される。なお、半導体基板には、PMOSトランジスタMP1,MP2のそれぞれのN型ウェルにつながるN型ウェルが予め形成され、当該N型ウェルに配線L5(P型の拡散配線)が形成される。
【0063】
セルの配置は、
図11〜
図13に示された例に限定されるものではない。
図14は、本発明の実施の形態に係るセルを構成する素子の概略的なレイアウトのさらに別の例を示した図である。
【0064】
図14を参照して、セル121は、電源ラインPL1と接地ラインSLとの間に配置される。セル122は、電源ラインPL2と接地ラインSLとの間に配置される。さらにNMOSトランジスタMN1,MN2は、接地ラインSLを挟んで対向する。したがってセル121,122が接地ラインSLに対して対称に配置される。この点において、
図14に示されたレイアウトは
図11に示されたレイアウトと異なる。セル121,122の構成および配線L1〜L3については、上述の通りであるので以後の説明は繰り返さない。配線L3によって、NMOSトランジスタMN1,MN2が電気的に接続される。
【0065】
図15は、本発明の実施の形態に係るセルを構成する素子の概略的なレイアウトのさらに別の例を示した図である。
図15を参照して、NMOSトランジスタMN1のゲート電極GN1と、NMOSトランジスタMN2の拡散領域N21(たとえばドレイン領域)とが配線L3およびL4を介して接続される。これにより、PMOSトランジスタMN1,MN2が電気的に接続される。この点で
図15に示されたレイアウトは
図14に示されたレイアウトと異なる。
【0066】
図16は、本発明の実施の形態に係るセルを構成する素子の概略的なレイアウトのさらに別の例を示した図である。
図16を参照して、NMOSトランジスタMN1の拡散領域N12と、NMOSトランジスタMN2の拡散領域N21(たとえばともにドレイン領域)とが配線L5を介して接続される。これにより、PMOSトランジスタMP1,MP2が電気的に接続される。この点で
図16に示されたレイアウトは
図16に示されたレイアウトと異なる。なお、
図16に示されたレイアウトの場合、配線L5(拡散配線)の導電型はN型である。
【0067】
セル121とセル122との間で信号が伝送される。セル121とセル122とをX方向に沿って配置した場合には、X方向に沿った信号経路が形成される。したがって、レイアウトの設計者にとっては信号の流れが分かりやすくなる一方で、半導体集積回路の面積を縮小するのが難しくなる可能性がある。
図11〜
図16に示されたレイアウトでは、セル121とセル122とがY方向に沿って配置される。したがって信号経路が、その途中で折り返される。このようなセルレイアウトによって半導体集積回路の面積の縮小を図ることができる。
【0068】
図17は、拡散配線、ポリシリコン配線および金属配線の配置を説明するための半導体装置の断面図である。
図17を参照して、拡散配線40は、半導体基板10の表面付近に形成される。半導体基板10の表面に絶縁膜44が形成され、絶縁膜44の上にポリシリコン配線41が形成される。ポリシリコン配線41は絶縁膜45により覆われる。絶縁膜45の上に第1配線層の金属配線42が形成される。金属配線42は絶縁膜46により覆われる。絶縁膜46の上に第2配線層の金属配線43が形成される。金属配線43は絶縁膜47により覆われる。なお、金属配線層の数は2つに限定されず、3つ以上であってもよい。
【0069】
図11および
図14に示されるように配線L3(ポリシリコン配線)を利用して2つのトランジスタを接続することによる効果について、
図18および
図19を参照しながら説明する。
図18に示されるように、少なくとも1つのPMOSトランジスタと少なくとも1つのNMOSトランジスタとを各々含む2つのセル121a,122aが、信号経路と直交する方向に折りたたまれるように配置される。2つのセル121a,122aの間には、信号経路の方向、すなわち2つのセル121a,122aの配置方向に直交する方向に延びるメタル配線70(以下「直交メタル配線70」と呼ぶ)配置される。なお、これまでに説明した図と同様に信号経路の方向をX方向とし、2つのセルの配置方向をY方向とする。
【0070】
外側に位置するPMOSトランジスタMP1,MP2のゲート電極(ポリシリコン電極)同士をポリシリコン配線によって接続すると、そのポリシリコン配線が、NMOSトランジスタMN1,MN2のゲート電極(ポリシリコン電極)とショートする。あるいはPMOSトランジスタMP1,MP2のゲート電極同士をメタル配線によって接続すると、そのメタル配線が、直交メタル配線70とショートする。
【0071】
この発明の実施の形態では、4つのトランジスタがY方向に沿って配置されていることに着目する。
図19を参照して、セル121,122は、それぞれ2つの論理素子に対応する。この構成は、たとえば
図14に示された構成に対応する。各論理素子は、ゲート同士が接続されたPMOSトランジスタおよびNMOSトランジスタの少なくとも1つの組を含む。各論理素子の内部においてPMOSトランジスタのゲートとNMOSトランジスタのゲートとはポリシリコン配線によって接続される。このポリシリコン配線は、
図14の配線L1,L2に対応する。したがって
図19においても、ポリシリコン配線を配線L1,L2と表す。さらに、内側に位置する2つのNMOSトランジスタ(MN1,MN2)のゲート同士もポリシリコン配線によって接続される。このポリシリコン配線は
図14の配線L3に対応する。
【0072】
配線L1〜L3はトランジスタのゲート電極を構成するポリシリコン電極と同一の層の配線であり、直交メタル配線が形成される層とは異なる層に形成される。したがって、2つのNMOSトランジスタ(MN1,MN2)のゲート同士を接続する配線が直交メタル配線とショートすることを防ぐことができる。さらに、配線領域を新たに設ける必要が無いので、面積を削減することができる。
【0073】
図11、
図14、
図19に示されたポリシリコン配線は、フリップフロップ回路のさまざまな箇所に適用可能である。たとえば
図9に示した構成において信号SEを伝達する配線、スイッチ32においてクロックCLK,/CLKを伝達する配線、NAND24A,25Bの各々において、信号Sを伝達する配線、スイッチ26A,26Bの各々において、クロックCLK,/CLKを伝達する配線、セル12B−3においてクロックCLK,/CLKを伝達する配線、インバータ34の出力信号をNAND回路25Bへと伝達するための配線に、上記のポリシリコン配線を適用することができる。同様に、
図10に示した構成において、信号SEを伝達する配線、スイッチ26A,26B,27A,27Bの各々においてクロックCLK,/CLKを伝達する配線、NAND回路25B,28Aの各々において、セット(S)信号を伝達する配線、NAND回路25A,28Bの各々において、リセット(R)信号を伝達する配線に上記のポリシリコン配線を適用することができる。
【0074】
次に、
図12、
図13、
図15および
図16に示されるように、配線L3(ポリシリコン配線)、配線L4(メタル配線)および配線L5(拡散配線)のうち少なくとも1つを利用して2つのトランジスタを接続することによる効果について、
図20および
図21を参照しながら説明する。
図20に示されるように、少なくともPMOSトランジスタとNMOSトランジスタとを含む2つのセル121a,122aが、信号経路と直交する方向に折りたたまれるように配置される。PMOSトランジスタMP1のゲートとNMOトランジスタMN2の拡散領域とを配線するために、ポリシリコン配線およびメタル配線が使用される。この場合、ポリシリコン配線はNMOトランジスタMN1のゲート電極とショートする。またメタル配線は直交メタル配線70にショートする。
【0075】
上記のとおり、この発明の実施の形態では、4つのトランジスタがY方向に配置されていることに着目する。
図23を参照して、セル121,122は、それぞれ2つの論理素子に対応する。2つの論理素子は、Y方向に配置される。各論理素子は、ゲートが接続されたPMOSトランジスタおよびNMOSトランジスタの少なくとも1つの組を含む。セル121の内部においてPMOSトランジスタのゲートとNMOSトランジスタのゲートとはポリシリコン配線によって接続される。このポリシリコン配線は、
図15および
図16に示された配線L1,L2に対応する。セル122の内部において、PMOSトランジスタMP2の拡散領域とNMOSトランジスタMN2の拡散領域とが接続される。
【0076】
NMOSトランジスタMN1のゲートとNMOSトランジスタMN2の拡散領域とは、たとえばポリシリコン配線およびメタル配線の組合わせ(
図15に示された配線L3および配線L4に対応)によって接続される。ポリシリコン配線が直交メタル配線70の下側を通るので、ポリシリコン配線は直交メタル配線70と衝突しない。さらに、配線領域を新たに設ける必要が無いので、面積を削減することができる。
【0077】
図12、
図13、
図15、
図16および
図21に示された配線は、フリップフロップ回路のさまざまな箇所に適用可能である。たとえば
図9に示した構成において、スイッチ32の出力信号をNAND回路25AおよびPMOSトランジスタTr32およびNMOSトランジスタTr33に伝達する配線、NAND25Aの出力信号をPMOSトランジスタTr31およびNMOSトランジスタTr34の各々のゲートへと伝達する配線、スイッチ26Aとインバータ34およびスイッチ26Bとを結ぶ配線、インバータ34の出力信号をNAND回路25Bへと導く配線に、
図12、
図13、
図15、
図16および
図21等に示された配線を適用することができる。同様に、
図10に示した構成において、スイッチ27AとNAND回路28Aおよびスイッチ26Aとを結ぶ配線、NAND回路28Aの出力信号をスイッチ27BおよびNAND回路25Aと導く配線、スイッチ27BとNAND回路28Bおよびスイッチ26Bとを結ぶ配線、NAND回路28Bの出力信号をインバータ36およびNAND回路25Aへと導く配線に、
図12、
図13、
図15、
図16および
図21等に示された配線を適用することができる。
【0078】
以上のように本発明の実施の形態によれば、論理回路を構成するためのセルをY方向すなわち信号の伝送される方向と直交する方向に配置することによって、半導体集積回路の面積の縮小化を図ることができる。
【0079】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。