特許第6010316号(P6010316)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010316
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】コーティング用材料
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/32 20060101AFI20161006BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20161006BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20161006BHJP
   C08L 79/08 20060101ALI20161006BHJP
   C08L 75/02 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   C08G18/32 B
   C08G73/10
   C08K3/22
   C08L79/08
   C08L75/02
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-79934(P2012-79934)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-209490(P2013-209490A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2015年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(73)【特許権者】
【識別番号】504255685
【氏名又は名称】国立大学法人京都工芸繊維大学
(72)【発明者】
【氏名】山田 保治
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 尚秀
(72)【発明者】
【氏名】小出 茂弘
【審査官】 安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−019011(JP,A)
【文献】 特開昭62−116635(JP,A)
【文献】 特公昭48−002959(JP,B1)
【文献】 特開昭55−118914(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01172425(EP,A1)
【文献】 特開2012−082248(JP,A)
【文献】 特開平10−319204(JP,A)
【文献】 特開昭59−041320(JP,A)
【文献】 特開2008−231170(JP,A)
【文献】 特開2006−131706(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/025327(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0149759(US,A1)
【文献】 特開2008−256742(JP,A)
【文献】 鈴木みのり,三木真湖,山田保治,トリアジン骨格を有する多分岐ポリイミド−シリカハイブリッドの合成と気体輸送特性(2),高分子学会予稿集(CD−ROM),日本,高分子学会,2011年 5月10日,第60巻第1号Disk1,3J04
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
・調査した分野 IPC C08G 18/00 − 18/87
C08G 71/00 − 71/04
DB名 CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus
/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部材上にコーティング層を形成するためのコーティング用材料であって、下記式(1)で表されるトリアジン系トリアミン化合物,または下記式(4)で表されるイソシアヌレート系トリアミン化合物と、ジイソシアネート化合物,または芳香族酸二無水物との反応により得られた,1.6以上の屈折率を有する多分岐高屈折材料と、カップリング剤と、表面に水酸基を持つ金属酸化物微粒子と、が共有結合されてなる有機−無機複合物の多分岐高屈折材料を、含むことを特徴とするコーティング用材料。

【化1】

【化2】

〔ただし、式(1)中、R1,R2,R3は、式(2),または式(3)で表される基であり、式(2),式(3)中、R4及びR5は、2価の有機基を表す。〕
【化3】

【化4】

〔ただし、式(4)中、R6〜R8は、式(5)で表される基であり、式(5)中、R9は、2価の有機基を表す。〕」
【請求項2】
請求項1に記載のコーティング用材料において、前記ジイソシアネート化合物は芳香族ジイソシアネート、又は脂肪族のジイソシアネート並びに、脂環構造のジイソシアネート類であることを特徴とするコーティング用材料。
【請求項3】
請求項1または請求項2に何れか記載のコーティング用材料において、前記芳香族酸二無水物は、(4,4'-(ヘキサフルオライソプロピリデン)ジフタル酸無水物,無水ピロメリット酸,オキシジフタル酸無水物,3,3',4,4'―ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物,3,3',4,4'―ジフェニルテトラカルボン酸二無水物,2,2'―ビス[(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン無水物、から選ばれる化合物であることを特徴とするコーティング用材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多分岐高屈折材料,及び及び有機−無機複合物の多分岐高屈折材料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂バルク材やコーティング材料を高屈折率化させるために、低屈折率の有機材料に高屈折率の無機酸化物微粒子や金属アルコキシドを添加して屈折率を上げる技術が知られている。(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−270099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、有機材料の屈折率を上げるためには、無機酸化物微粒子等を大量に添加させる必要があった。このような無機酸化物微粒子は一般的に高価であり、材料費を高くする原因となっている。
【0005】
上記従来技術の問題点に鑑み、有機材料であって好適な屈折率を得ることのできる多分岐高屈折材料を提供することを技術課題とする。また、このような高い屈折率が得られる多分岐高屈折材料と無機酸化物微粒子を混合させる、好ましくは化学的に結合させることにより、無機酸化物微粒子の添加量を抑えながら好適な屈折率を得ることのできる有機−無機複合物の多分岐高屈折材料を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、トリアジン系,またはイソシアヌレート系トリアミン化合物と、ジイソシアネート化合物,または芳香族酸二無水物との反応により得られる多分岐高屈折率材料が、従来の有機材料に対して高い屈折率(屈折率1.6以上)を与え得ることを見出した。
【0007】
ここで本発明の多分岐高屈折材料において用いられるトリアジン系トリアミン化合物は、下記式(1)で表される化合物である。
【0008】
【化5】
【0009】
【化6】
ただし、式(1)中、R1,R2,R3は、式(2),または式(3)で表される基であり、式(2),式(3)中、R4及びR5は、2価の有機基を表す。なお、2価の有機基とは炭化水素の二個の水素原子を除去することにより生成し、遊離原子価が二重結合に関与しない二価基でヒドロカルビレン基のことを指し、例えば炭素数1〜10のアルキレン基、フェニレン基等、があげられる。ここで、炭素数1〜10のアルキレン基は、鎖状、分岐状、環状のいずれでも良い。このような、トリアジン系トリアミン化合物の具体例としては、以下の式(6)で表される1,3,5−トリス(4-アミノフェノキシ)トリアジンや、以下の式(7)で表される1,3,5−トリス[(3-アミノフェノキシ)アミノ]トリアジンを挙げることができる。
【0010】
【化7】
【化8】
また、本発明の多分岐高屈折材料において用いられるイソシアヌレート系トリアミン化合物は下記式(4)で表される化合物である。
【0011】
【化9】
【0012】
【化10】
ただし、式(4)中、R6〜R8は、式(5)で表される基であり、式(5)中、R9は、2価の有機基を表す。
【0013】
このような、イソシアヌレート系トリアミン化合物の具体例としては、以下の式(8)で表される1,3,5−トリス(4-アミノフェノキシ)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオンを挙げることができる。
【化11】
【0014】
また、本発明の多分岐高屈折材料において用いられるジイソシアネート化合物としては、例えば、メチレンジフェニル4,4'-ジイソシアネート(MDI),P―フェニレンジイソシアネート,m−フェニレンジイソシアネート,P−キシレンジイソシアネート,m―キシレンジイソシアネート,2,4―トリレンジイソシアネート,2,6―トリレンジイソシアネート,4,4'―ジフェニルメタンイソシアネート,ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート,ヘキサメチレンジイソシアネート,4,4'―ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート,水添キシレンジイソシアネート,ノルボネンジイソシアネート,リジンジイソシアネート等の脂肪族又は、脂環構造のジイソシアネート類、イソシアネートモノマーの一種類以上のビュレット体又は、上記イソシアネート化合物の3量化したイソシアネート体等のポリイソシアネート等を挙げることができる。
【0015】
また、本発明の多分岐高屈折率材料において用いられる芳香族酸二無水物としては、例えば、(4,4'-(ヘキサフルオライソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FAD),無水ピロメリット酸(PMDA),オキシジフタル酸無水物(ODPA),3,3',4,4'―ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA),3,3',4,4'―ジフェニルテトラカルボン酸二無水物(DSDA),2,2'―ビス[(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン無水物(BSAA)等、の化合物を挙げることができる。
【0016】
このようなトリアジン系,またはイソシアヌレート系トリアミン化合物と、ジイソシアネート化合物,または芳香族酸二無水物との反応は、反応温度0〜200℃、好ましくは、室温〜100℃、反応時間30分〜5時間、好ましくは、1〜3時間である。
【0017】
また、トリアジン系,またはイソシアヌレート系トリアミン化合物(モノマー)とジイソシアネート化合物(モノマー),または芳香族酸二無水物(モノマー)との反応モル比は、1.0:0.3乃至1.0:1.2、好ましくは、1.0:0.4乃至1.0:1.1の範囲で任意に変化させることができる。なお、モノマー添加順序は特に限定されるものではないが、ジイソシアネート化合物,または芳香族酸二無水物モノマー末端多分岐ポリマーを合成する場合は、ジイソシアネート化合物,または芳香族酸二無水物のモノマーにトリアジン系,またはイソシアヌレート系トリアミン化合物のモノマーを添加し、トリアジン系,またはイソシアヌレート系トリアミン化合物モノマー末端多分岐ポリマーを合成する場合は、トリアジン系,またはイソシアヌレート系トリアミン化合物のモノマーにジイソシアネート化合物,または芳香族酸二無水物のモノマーを添加することが望ましい。
【0018】
さらに、本発明に係る多分岐高屈折率材料を製造するに際しては、所定の溶媒内にて行うことが好ましい。このような溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、n-プロピルセロソルブ、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられ、これらを混合して使用することも可能である。使用することが可能である。
【0019】
トリアジン系,またはイソシアヌレート系トリアミン化合物と、ジイソシアネート化合物,または芳香族酸二無水物とを反応させ、本発明の多分岐高屈折率材料を得る場合には、トリアジン系,またはイソシアヌレート系トリアミン化合物を上述した溶媒に溶解させるとともに、ジイソシアネート化合物,または芳香族酸二無水物を上述した溶媒に溶解させ、両者を混合させ所定温度にて反応させた後、溶媒を取り除けばよい。
【0020】
さらに、本発明の多分岐高屈折材料と無機酸化物微粒子とを混合させ、有機−無機複合物の多分岐高屈折率材料を得たり、好ましくは多分岐高屈折材料と無機酸化物微粒子とを反応させ、共有結合させることによってハイブリッドの有機−無機複合物の多分岐高屈折材料を得ることができる。このような有機−無機複合物の多分岐高屈折材料は、従来に比べ屈折率調整のために必要な無機酸化物微粒子の添加量を少なくさせつつ、必要な屈折率を得ることができる。なお、このような本発明の有機−無機複合物の多分岐高屈折材料に用いることが可能な無機酸化物微粒子は、平均粒径がサブミクロンオーダのものが好適に使用可能である。好ましくは100nm以下であり、物理的な大きさを有していれば、その下限は特に限定されない。入手可能な無機酸化物微粒子の粒径によって定められることとなる。使用可能な無機酸化物微粒子としては、高屈折率であって表面修飾可能な金属酸化物ゾルを挙げることができる。例えば、アルミナ(Al23)、ジルコニア(ZrO2)、チタニア(TiO2)、ITO(スズドープ酸化インジウム)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アンチモン(Sb23、Sb25等)、及びこれらの複合微粒子等を挙げることができる。なお、このような金属酸化物微粒子は表面に水酸基を有するものである。また、無機成分としては、無機微粒子の添加以外にも、sol-gel法による無機成分の導入であってもよい。さらに、カップリング剤による修飾は、高分子鎖末端、無機粒子表面のいずれでもよい。カップリング剤としては、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン又はγ―クロロプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、テトラ(2、2−ジアリルオキシメチル―1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等のチタネートカップリング剤;アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系カップリング剤;アセチルアセトン・ジルコニウム錯体等のジルコニウム系カップリング剤、2-イソシアナトエチルメタクリレート、2-イソシアナトエチルアクリラート、1、1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートなどを挙げることができる。修飾の反応比、反応条件は温度は、0℃〜200℃、好ましくは10℃〜100℃。反応比は、高分子鎖末端では、高分子鎖と修飾カップリング剤の反応比は、1.0:0.3〜1.0:1.2、好ましくは1.0:0.4〜1.0:1.1。無機粒子表面の変性は、変性率は、1〜100mol%、好ましくは5〜70mol%、反応温度は0℃〜100℃、好ましくは室温〜50℃、反応時間は、1分〜24時間で範囲で任意に変化させることができる。無機成分の含有量は、1〜90wt%、好ましくは5〜70%で任意に変化させることができる。
【0021】
このようにして得られた多分岐高屈折率材料は、樹脂バルク材やコーティング材料等として利用することが可能であり、1.6以上の高い屈折率が得られるものである。本発明の多分岐高屈折率材料、または有機−無機複合物の多分岐高屈折材料を溶媒を用いて溶液としておき、この溶液を光学部材の表面にスピンコート、スプレーコート、ディップコート、バーコート、フローコート、キャップコート、ナイフコート、ダイコート、ロールコート、グラビアコート法等を用いて所定の厚みだけ塗布した後硬化させることにより、光学部材上に屈折率の高いコーティング層を形成することができる。また、射出成型機や押出成型機等を用いることにより、本発明の多分岐高屈折率材料または有機−無機複合物の多分岐高屈折材料を機械的物性が優れたフィルム状、シート状の樹脂成型物として得ることができる。特にこのような樹脂成形物は光学用途に好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の多分岐高屈折率材料によれば、有機材料であって好適な屈折率を得ることができる。また、このような高い屈折率が得られる多分岐高屈折率材料と無機酸化物微粒子を混合させる、或いは化学的に結合させることにより、無機酸化物微粒子の添加量を抑えながら好適な屈折率を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に関する実施例を挙げ、説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
トリアジン系トリアミン化合物であるTAPOTZ (1,3,5−tris(4-aminophenoxy)triazine)(和歌山精化工業株式会社 特注品)を三口フラスコに4.0mmolとり、DMAc (N,N-dimethylacetamide)10mlに溶解した。この溶液を攪拌しながら、DMAc 15mlに溶解したMDI(methylenediphenyl 4,4'-diisocyanate) (東京化成工業株式会社 D0897)4.0mmol をゆっくり滴下し、80℃のオイルバス中で3時間攪拌し反応させた。攪拌後、この混合溶液をメタノール中に滴下してポリマーを精製し、吸引ろ過によって白色の固体を回収した。これを85℃で一晩真空乾燥させ、目的の多分岐高屈折率材料(多分岐ポリ尿素)の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をOLYMPUS製反射率測定装置USPM―RUIIIに
よって屈折率を測定した。測定結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1で得られた多分岐高屈折率材料を再度DMAcで溶解し、その溶液にGTMS修飾コロイダルジルコニア(表面修飾率25mol%)(日産化学工業株式会社 )を多分岐高屈折率材料に対して10wt%となるように加え、室温にて15分間攪拌した。得られた溶液をPET(ポリエチレンテレフタラート)シート上にキャストし、85℃で3時間乾燥させることにより、目的の有機−無機複合物の多分岐高屈折材料をPETシート上に得た。得られた多分岐高屈折材料の屈折率を実施例1同様に測定した。測定結果を表1に示す。
(実施例3)
GTMS修飾コロイダルジルコニア(表面修飾率25mol%)を実施例1で得られた多分岐高屈折率材料に対して30wt%となるように加えたこと以外は、実施例2と同様の操作を行い、目的の有機−無機複合物の多分岐高屈折材料をPETシート上に得た。得られた多分岐高屈折材料の屈折率を実施例1同様に測定した。測定結果を表1に示す。
(実施例4)
GTMS修飾コロイダルジルコニア(表面修飾率50mol%)を実施例1で得られた多分岐高屈折率材料に対して10wt%となるように加えたこと以外は、実施例2と同様の操作を行い、目的の有機−無機複合物の多分岐高屈折材料をPETシート上に得た。得られた多分岐高屈折材料の屈折率を実施例1同様に測定した。測定結果を表1に示す。
(実施例5)
GTMS修飾コロイダルジルコニア(表面修飾率50mol%)を実施例1で得られた多分岐高屈折率材料に対して30wt%となるように加えたこと以外は、実施例2と同様の操作を行い、目的の有機−無機複合物の多分岐高屈折材料をPETシート上に得た。得られた多分岐高屈折材料の屈折率を実施例1同様に測定した。測定結果を表1に示す。
(実施例6)
GTMS修飾コロイダルジルコニア(表面修飾率50mol%)を実施例1で得られた多分岐高屈折率材料に対して50wt%となるように加えたこと以外は、実施例2と同様の操作を行い、目的の有機−無機複合物の多分岐高屈折材料をPETシート上に得た。得られた多分岐高屈折材料の屈折率を実施例1同様に測定した。測定結果を表1に示す。
(実施例7)
GTMS修飾コロイダルチタニア(日揮触媒化成工業 表面修飾タイプ市販品)を実施例1で得られた多分岐高屈折率材料に対して30wt%となるように加えたこと以外は、実施例2と同様の操作を行い、目的の有機−無機複合物の多分岐高屈折材料をPETシート上に得た。得られた多分岐高屈折材料の屈折率を実施例1同様に測定した。測定結果を表1に示す。
(実施例8)
GTMS修飾コロイダルチタニア(日揮触媒化成工業 表面修飾タイプ市販品)を実施例1で得られた多分岐高屈折率材料に対して50wt%となるように加えたこと以外は、実施例2と同様の操作を行い、目的の有機−無機複合物の多分岐高屈折材料をPETシート上に得た。得られた多分岐高屈折材料の屈折率を実施例1同様に測定した。測定結果を表1に示す。
(実施例9)
無水ピロメリット酸(PMDA)(東京化成工業株式会社:B0040)を三口フラスコに3.0mmolとり、DMAcに溶解した。この溶液を攪拌しながら、予めDMAcに溶解したTAPOTZ 1.6mmol をゆっくり滴下し、その後約3時間室温で攪拌した。攪拌後、この混合溶液をメタノール中に滴下してポリマーを精製し、吸引ろ過によって白色の固体を回収した。これを85℃で一晩真空乾燥させ、多分岐高屈折率材料の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を実施例1と同様にOLYMPUS製反射率測定装置USPM―RUIIIによって屈折率を測定
した。測定結果を表1に示す。
(実施例10)
オキシジフタル酸無水物(ODPA)(東京化成工業株式会社:O0237)を三口フラスコに3.0mmolとり、DMAcに溶解した。この溶液を攪拌しながら、予めDMAcに溶解したTAPOTZ 1.6mmol をゆっくり滴下し、その後約3時間室温で攪拌した。攪拌後、この混合溶液をメタノール中に滴下してポリマーを精製し、吸引ろ過によって白色の固体を回収した。これを85℃で一晩真空乾燥させ、多分岐高屈折率材料の樹脂組成物を得た。得られた多分岐高屈折率材料を再度DMAcで溶解し、その溶液にコロイダルチタニア(日揮触媒化成工業 市販品)を多分岐高屈折率材料に対して10wt%となるように加え、室温にて15分間攪拌した。得られた溶液をPET(ポリエチレンテレフタラート)シート上にキャストし、85℃で3時間乾燥させることにより、有機−無機複合物の多分岐高屈折材料をPETシート上に得た。その後、PETシート上からポリアミド酸‐チタニアハイブリッドフィルムを剥がし取り、金属枠に固定した後、100℃、200℃、300℃でそれぞれ1時間、窒素雰囲気下で加熱処理し、多分岐ポリイミド‐チタニアハイブリッドのフィルムを得た。得られた有機−無機複合材料の多分岐高屈折材料の屈折率を実施例1同様に測定した。測定結果を表1に示す。
(実施例11)
GTMS修飾コロイダルチタニア(日揮触媒化成工業 表面修飾タイプ市販品)を実施例10で得られた多分岐高屈折率材料に対して30wt%となるように加えたこと以外は、実施例10と同様の操作を行い、目的の有機−無機複合物の多分岐高屈折材料を得た。得られた多分岐高屈折材料の屈折率を実施例1同様に測定した。測定結果を表1に示す。
(実施例12)
イソシアヌレート系トリアミン化合物TAATZ(1,3,5−トリス(4-アミノフェノキシ)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン)(和歌山精化工業株式会社 特注品)を三口フラスコに4.0mmolとり、DMAc (N,N-dimethylacetamide)10mlに溶解した。この溶液を攪拌しながら、DMAc 15mlに溶解したMDI(methylenediphenyl 4,4'-diisocyanate) (東京化成工業株式会社 D0897)4.0mmol をゆっくり滴下し、80℃のオイルバス中で3時間攪拌し反応させた。攪拌後、この混合溶液をメタノール中に滴下してポリマーを精製し、吸引ろ過によって白色の固体を回収した。これを85℃で一晩真空乾燥させ、目的の多分岐高屈折率材料(多分岐ポリ尿素)の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をOLYMPUS製反射率測定装置USPM―RUIIIによって屈折率を測定した。測定結果を表1
に示す。
【0024】
【表1】
実施例1〜12で得られた多分岐高屈折材料の屈折率は何れも1.65を上回り、高い屈折率を有した材料が得られたことが示された。