特許第6010346号(P6010346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6010346生産管理システム、生産管理装置及び生産管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010346
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】生産管理システム、生産管理装置及び生産管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   D05B 25/00 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
   D05B25/00
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-121484(P2012-121484)
(22)【出願日】2012年5月29日
(65)【公開番号】特開2013-244308(P2013-244308A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2015年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003399
【氏名又は名称】JUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】戌亥 優
【審査官】 田中 尋
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−062489(JP,A)
【文献】 特開昭64−037989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D05B 1/00−97/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫い開始から終了までの針数に基づく針数データを毎回の縫製時に生成するミシンと、前記ミシンから取得した複数の前記針数データを集計する生産管理装置とを備える生産管理システムにおいて、
前記ミシンは、縫い開始から終了までの総針数とその中に含まれる逆送りの針数とを計測し、その計測結果を前記針数データとして生成し、
前記生産管理装置は、
取得したそれぞれの前記針数データについて、前記総針数から前記逆送りの針数の二倍の数値を減算して修正針数を算出する算出部と、
前記複数の針数データから求められた修正針数について、その数値が同一又は一定の範囲で近似するものを同一の縫製作業種別であるものとして分類すると共に当該分類に従った場合に、前記各縫製作業種別に分類される修正針数の頻度を集計することにより、前記縫製作業種別毎の生産数量を求める集計処理部とを備えることを特徴とする生産管理システム。
【請求項2】
縫い開始から終了までの針数に基づく針数データを毎回の縫製時に生成するミシンと、前記ミシンから取得した複数の前記針数データを集計する生産管理装置とを備える生産管理システムにおいて、
前記ミシンは、縫い開始から終了までの総針数とその中に含まれる逆送りの針数とを計測すると共に、前記総針数から前記逆送りの針数の二倍の数値を減算して修正針数を算出して前記針数データとして生成し、
前記生産管理装置は、
前記複数の針数データに含まれる修正針数について、その数値が同一又は一定の範囲で近似するものを同一の縫製作業種別であるものとして分類すると共に当該分類に従った場合に、前記各縫製作業種別に分類される修正針数の頻度を集計することにより、前記縫製作業種別毎の生産数量を求める集計処理部とを備えることを特徴とする生産管理システム。
【請求項3】
縫い開始から終了までの針数に基づく針数データを毎回の縫製時に生成するミシンから取得した複数の前記針数データを集計する生産管理装置において、
前記ミシンは、縫い開始から終了までの総針数とその中に含まれる逆送りの針数とを計測し、その計測結果を前記針数データとして生成し、
取得したそれぞれの前記針数データについて、前記総針数から前記逆送りの針数の二倍の数値を減算して修正針数を算出する算出部と、
前記複数の針数データから求められた修正針数について、その数値が同一又は一定の範囲で近似するものを同一の縫製作業種別であるものとして分類すると共に当該分類に従った場合に、前記各縫製作業種別に分類される修正針数の頻度を集計することにより、前記縫製作業種別毎の生産数量を求める集計処理部とを備えることを特徴とする生産管理装置。
【請求項4】
縫い開始から終了までの針数に基づく針数データを毎回の縫製時に生成するミシンから取得した複数の前記針数データをコンピューターに集計させる生産管理プログラムにおいて、
前記ミシンは、縫い開始から終了までの総針数とその中に含まれる逆送りの針数とを計測し、その計測結果を前記針数データとして生成し、
前記コンピューターに、
取得したそれぞれの前記針数データについて、前記総針数から前記逆送りの針数の二倍の数値を減算して修正針数を算出する算出部と、
前記複数の針数データから求められた修正針数について、その数値が同一又は一定の範囲で近似するものを同一の縫製作業種別であるものとして分類すると共に当該分類に従った場合に、前記各縫製作業種別に分類される修正針数の頻度を集計することにより、前記縫製作業種別毎の生産数量を求める集計処理部として機能させることを特徴とする生産管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシンの生産管理システム、生産管理装置及び生産管理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
縫製工場等では、多くの縫製作業種別について生産数量等を管理する必要がある。このため、ミシンにオペレーターが縫製作業種別を示す縫製工程IDを入力する機能を設け、縫製が行われた縫製作業種別をミシンの制御部に記録して、その記録を収集することで縫製作業種別について生産数量等の集計管理を行っていた(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、近年は、毎回の縫製時に縫製工程IDなどの入力を行うことが作業効率の低減となる、作業者の負担となる、或いは、入力忘れや入力ミス等の問題を生じることから、システム側で自動的に縫製作業種別を識別する機能が求められていた。
そこで、同じ縫製作業種別について縫製を行った場合、作業者が異なっている場合でも作業に要する針数がだいたい一定の範囲内に収まることに着目し、縫製時に毎回の縫製の針数をミシンが記録し、その針数から縫製作業種別の判定を行い、縫製作業種別毎の生産数量を集計することができないか検討されていた。
図6は上記集計結果の度数分布を示すグラフである。この集計結果は、三種類の縫製作業種別について縫製が行われたときの理想的な針数毎の度数分布を示すものである。それぞれの縫製作業種別毎に一定の針数の範囲に収まっていることが分かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−318365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、縫製の中には、補強のために縫いの途中で一定距離の逆送り縫いを行い、再び、元の方向に戻して縫いを行うというタッチバックという手法がある(図5の符号T参照)。縫製の内容は縫製作業種別毎に予め定められており、このタッチバック縫いを行う場合にも被縫製物のいずれの箇所に行うかということについては予め定められているが、タッチバック縫いを何針行うかという点については、一般に作業者にゆだねられている場合が多い。このため、縫製の途中にタッチバック縫いが行われる縫製作業種別の場合には、その針数が作業者毎にバラツキを生じる傾向にあった。
このため、上述したように、タッチバック縫いを行う縫製作業種別による針数の記録が含まれていると、縫製時の針数毎の度数分布が図8のF1やF2に示すように、広くバラついてしまい、針数の分布から縫製作業種別の生産数を特定することが困難となるという問題があった。
【0006】
本発明は、タッチバック縫いを行う縫製作業が含まれている場合でもより正確に生産数を求めることをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、縫い開始から終了までの針数に基づく針数データを毎回の縫製時に生成するミシンと、前記ミシンから取得した複数の前記針数データを集計する生産管理装置とを備える生産管理システムにおいて、前記ミシンは、縫い開始から終了までの総針数とその中に含まれる逆送りの針数とを計測し、その計測結果を前記針数データとして生成し、前記生産管理装置は、取得したそれぞれの前記針数データについて、前記総針数から前記逆送りの針数の二倍の数値を減算して修正針数を算出する算出部と、前記複数の針数データから求められた修正針数について、その数値が同一又は一定の範囲で近似するものを同一の縫製作業種別であるものとして分類すると共に当該分類に従った場合に、前記各縫製作業種別に分類される修正針数の頻度を集計することにより、前記縫製作業種別毎の生産数量を求める集計処理部とを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、縫い開始から終了までの針数に基づく針数データを毎回の縫製時に生成するミシンと、前記ミシンから取得した複数の前記針数データを集計する生産管理装置とを備える生産管理システムにおいて、前記ミシンは、縫い開始から終了までの総針数とその中に含まれる逆送りの針数とを計測すると共に、前記総針数から前記逆送りの針数の二倍の数値を減算して修正針数を算出して前記針数データとして生成し、前記生産管理装置は、前記複数の針数データに含まれる修正針数について、その数値が同一又は一定の範囲で近似するものを同一の縫製作業種別であるものとして分類すると共に当該分類に従った場合に、前記各縫製作業種別に分類される修正針数の頻度を集計することにより、前記縫製作業種別毎の生産数量を求める集計処理部とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、縫い開始から終了までの針数に基づく針数データを毎回の縫製時に生成するミシンから取得した複数の前記針数データを集計する生産管理装置において、前記ミシンは、縫い開始から終了までの総針数とその中に含まれる逆送りの針数とを計測し、その計測結果を前記針数データとして生成し、取得したそれぞれの前記針数データについて、前記総針数から前記逆送りの針数の二倍の数値を減算して修正針数を算出する算出部と、前記複数の針数データから求められた修正針数について、その数値が同一又は一定の範囲で近似するものを同一の縫製作業種別であるものとして分類すると共に当該分類に従った場合に、前記各縫製作業種別に分類される修正針数の頻度を集計することにより、前記縫製作業種別毎の生産数量を求める集計処理部とを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、縫い開始から終了までの針数に基づく針数データを毎回の縫製時に生成するミシンから取得した複数の前記針数データをコンピューターに集計させる生産管理プログラムにおいて、前記ミシンは、縫い開始から終了までの総針数とその中に含まれる逆送りの針数とを計測し、その計測結果を前記針数データとして生成し、前記コンピューターに、取得したそれぞれの前記針数データについて、前記総針数から前記逆送りの針数の二倍の数値を減算して修正針数を算出する算出部と、前記複数の針数データから求められた修正針数について、その数値が同一又は一定の範囲で近似するものを同一の縫製作業種別であるものとして分類すると共に当該分類に従った場合に、前記各縫製作業種別に分類される修正針数の頻度を集計することにより、前記縫製作業種別毎の生産数量を求める集計処理部として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、ミシンにおいて総針数及び逆送りの針数が求められ、総針数から逆送りの針数の二倍の数値を減算して逆送りが行われなかった場合の針数に相当する修正針数を求めるので、縫製時に取得される総針数がいわゆるタッチバック縫いの針数によってバラつきを生じる場合でも、これを修正することができる。
従って、複数の針数データに基づく修正針数について、数値が同一又は一定の同一範囲となるものを同一の縫製作業種別と分類する場合に、タッチバック縫いを原因とする分布のバラつきを抑制し、的確に同一範囲を特定することができ、各縫製作業種別毎の生産数をより正確に求めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】生産管理システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】ミシンを含む生産管理システムの概略構成を示すブロック図である。
図3】ミシンのROMに格納されたプログラムによりCPUが実行する縫製時の処理を示したフローチャートである。
図4】生産管理装置のCPUが行う処理内容を示したフローチャートである。
図5】タッチバック縫いを行った場合の縫い目の形成例である。
図6】針数と頻度の関係を示す度数分布図である。
図7】針数とその頻度との度数分布から各針数データを分類した結果を示す一覧表である。
図8】タッチバック縫製による針数ばらつきの影響を受けた針数と頻度の関係を示す度数分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[生産管理システムの概略構成]
以下、本発明の実施の形態である生産管理システム100について図1乃至図8に基づいて説明する。図1は生産管理システム100の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、生産管理システム100は、縫い開始から終了までの針数に基づく針数データを毎回の縫製時に生成する管理対象となる複数のミシン10と、これら各ミシン10から取得した複数の針数データを集計する生産管理装置101とを備えている。
上記生産管理装置101は、実際上はパーソナルコンピュータ又はワークステーションが生産管理プログラムを実行することで生産管理装置101として機能するものである。
そして、生産管理装置101は、LANを介して各ミシン10から針数データの収集を行っている。
【0014】
[ミシン]
図2はミシン10を含む生産管理システム100の概略構成を示すブロック図である。
各ミシン10は、縫い針を保持する針棒の上下動駆動源であるミシンモーター11と、ミシンモーター11の回転駆動力を上軸を介して上下動に変換して針棒に伝える図示しない上下動機構と、所定の送りピッチで布送りを行う図示しない布送り機構と、送り調節ダイヤルの操作に従って送りピッチを設定する図示しない送り調節機構と、逆送りスイッチ21の押下により送り調節機構を通じて布送り機構の布送り方向を逆方向に切り換える逆送りソレノイド12と、縫いの完了後に縫い糸の切断を行う糸切りメスを駆動させるメス駆動ソレノイド14と、前踏みの踏み込み量に応じてミシンモーター11の回転速度を調節し、後踏みでメス駆動ソレノイド14の駆動指令を入力可能な操作ペダル13と、所定の画面表示と各種の入力が可能な操作パネル22と、後述する針数記録処理を実行するためのプログラム及び初期データが記憶されたROM32と、当該プログラムを実行するCPU31と、CPU31の処理に関する各種データをワークエリアに格納するRAM33と、生産管理装置101と接続されたLANとCPU31とを接続するインターフェイス34と、針数を記録するためにミシンモーターによる上軸回転数を検出するエンコーダー35と、ミシン10から生産管理装置101に針数データを提供するための不揮発性メモリカード36と、その読み取り書き込み装置37とを備えている。
なお、LANは無線でも有線でも良い。
【0015】
上記ミシン10の布送り機構は、ミシンモーター11からトルクを得て往復回動を行う上下送り軸と水平送り軸とを備え、それぞれの送り軸から付与される上下の往復動作と水平方向の往復動作が合成されて送り歯に長円に沿った周回運動を付与する。そして、当該長円の軌跡の上の部分に沿って送り歯が移動する際に針板から出現し、被縫製物に接触して所定の送り方向に布送りを行うようになっている。
送り調節機構は、上記水平送り軸から送り歯に水平方向の往復動作を伝達する伝達部材の往復動作方向を傾斜させて変更することを可能としている。そして、当該傾斜角度に応じて水平方向の往復動作成分が増減して送り量を調節することを可能としている。また、この送り調節機構では、送り歯に水平方向の往復動作を伝達する部材の往復動作方向がほぼ鉛直上下方向になると送り歯への水平方向の往復動作成分が0となり、送り量も0になる。そして、この送り量0となる傾斜方向からさらに傾斜させると、送り歯に伝達される往復動作の位相が反転して逆方向への送りが行われるようになる。
逆送りソレノイド12は、送り調節機構における送り歯に水平方向の往復動作を伝達する部材の往復動作方向を逆送りとなる角度まで強制的に傾斜させる機能を有し、逆送りスイッチ21の押下により作動するようになっている。
【0016】
図3はミシン10のROM32に格納されたプログラムによりCPU31が実行する縫製時の処理を示したフローチャートである。
図示のように、ミシン10のCPU31は、縫製時にその針数をカウントし記録する。具体的には、操作ペダル13の前踏みを検出すると(ステップS1)、ミシンモーター11の駆動を開始し(ステップS3)、同時に、CPU31はエンコーダー35の出力から総針数のカウントを開始する(ステップS5)。
次いで、CPU31は、逆送りスイッチ21の押下の有無を判定する(ステップS7)。そして、逆送りスイッチ21が押されたときには逆送りソレノイド12を作動させて布送り方向を反転する(ステップS9)。そして、布送り方向を反転した状態でミシンモーター11を駆動し(ステップS10)、それと同時に、逆送りの針数のカウントを開始する(ステップS11)。
そして、CPU31は、逆送りスイッチ21の押下が解除されたか否かを判定し(ステップS13)、解除された場合には、逆送りソレノイド12を元の位置に復帰させ(ステップS15)、逆送りの針数のカウントを終了する(ステップS17)。
さらに、逆送りカウントが終了した後、又は、ステップS7で逆送りスイッチ21の押下が検出されなかったときには、操作ペダル13の後踏みによる糸切り指示入力の有無が判定される(ステップS19)。
糸切りの指示入力がなければステップS1に処理を戻し、糸切りの指示入力が行われたときには、糸切りソレノイド14が作動して糸切りが行われ(ステップS21)、ミシンモーター11の停止と共に総針数のカウントが終了される(ステップS23)。
そして、得られた総針数と逆送りの針数とが一つの針数データとして不揮発性メモリカード36に記録されると共にインターフェイス34からLANを通じて生産管理装置101側に送信される。
【0017】
[生産管理装置]
生産管理装置101は、後述する各種の入力を行うキーボード102と、所定の画面表示が行われるモニタ103と、後述する各種の処理を実行するための各種のプログラム及び初期データが記憶されたROM104と、各種のプログラムを実行するCPU105と、CPU105の処理に関する各種データをワークエリアに格納するRAM106と、CPU105と各ミシン10と接続されたLANとを接続するインターフェイス107と、LANを介して各ミシン10から受信した針数データを格納する記憶手段としてのHD(ハードディスク)装置108と、ミシン10の間でデータの受け渡しを行うための不揮発性メモリカード36と、その読み取り書き込み装置109とを備えている。
【0018】
図4は生産管理装置101のCPU105が行う処理内容を示したフローチャートである。
この生産管理装置101は、各ミシン10からLAN或いは不揮発性メモリカード36を通じて針数データを収集すると、CPU105が、ROM104に格納された修正針数算出プログラム104aにより、それぞれの針数データに含まれる総針数を示す値から逆送りの針数の2倍の値を減算し、修正針数の算出を行う(ステップS41)。これによりCPU105は「算出部」として機能する。
【0019】
図5はタッチバック縫いを行った場合の縫い目の形成例である。符号Tはタッチバック縫いによる縫い目である。このように、縫製の途中で縫製の進行方向を反転するタッチバック縫いが行われると、タッチバック縫いの開始位置まで縫い目の形成位置が戻るのに、タッチバック縫いの二倍の縫い目の形成が行われることとなる。
従って、総針数から逆送りの針数の2倍を減算して求められた修正針数は、タッチバック縫いを行わなかった場合の針数に相当する。
【0020】
次いで、CPU105は、ROM104に格納された集計処理プログラム104bにより、個々のミシンごとに、針数データについて、修正針数が同一又は数値が近似するものを集計して、各針数毎の頻度(度数)を算出する(ステップS43)。即ち、これにより、図6に示すような、針数と頻度の度数分布を求めることができる。
【0021】
さらに、CPU105は、一定の針数の範囲内で頻度が集合を形成している場合(図6における一つ一つの山)について、その集合の頻度の合計値が一定の閾値を超える場合に、一つの山につき同じ縫製作業種別による縫製であるものと分類する(ステップS45)。また、各山の頻度の合計値をその縫製作業種別に生産数量と認定する。
これによりCPU105は「集計処理部」として機能する。
【0022】
さらに、CPU105は、モニタ103により上記度数分布(図6)と分類結果の一覧表とを表示する。
図7は針数とその頻度との度数分布から各針数データを分類した結果を示す一覧表である。この一覧表において「針数」は修正針数であり、「発生回数」は度数を示している。例えば、針数が120針で発生回数が303回である場合には、度数が集中しているので縫製作業種別である「針数分類工程ID」としてAUTO0072が割り当てられていることが分かる。
なお、この一覧表では、針数を10針単位でまとめると共に当該10針分の度数を合計しているが、これに限られるものではない。例えば、1針ずつの度数で分類しても良い。また、収集された針数データが少ない間は、より多くの針数単位でまとめても良い。
【0023】
[生産管理システムにおける技術的効果]
上記生産管理システム100では、生産管理装置101が、ミシン10から得られた針数データに含まれる総針数から逆送りの針数の二倍の数値を減算して逆送りが行われなかった場合の修正針数を求めるので、針数データに含まれる総針数がいわゆるタッチバック縫いの針数によってバラつきを生じる場合でも、これを修正することができる。
即ち、同一の縫製作業種別の縫製の針数でも、タッチバック縫いによる総針数のバラつきを生じている場合には、図8のF1,F2のように分布もバラつきを生じるが、修正針数の場合には、図6に示すように、総針数のバラつきの影響を除去し、頻度の分布を集中させることが可能である。
従って、生産管理装置101において、複数の針数データに基づく修正針数について、数値が同一又は一定の範囲で近似するものを同一の縫製作業種別と分類する場合に、同一又は近似範囲に分布を集中させることができ、各縫製作業種別毎の生産数をより正確に求めることが可能となる。
【0024】
[その他]
なお、上記生産管理システム100のミシン10としては、予め決められた縫製パターンを縫うための縫製データに従って全体を制御するタイプのミシン(例えば、プログラムミシン、電子サイクル縫いミシン等)のように一定の針数通りに縫製が行われるものは対象外であり、作業者の操縦に従って縫製の針数が確定するタイプのミシンであることが望ましい。
但し、当該生産管理システム100が、針数による縫製作業種別の分類以外のデータ収集やデータ管理をも目的としている場合には、生産管理システム100に属するミシンの一部として、縫製データに従って全体を制御するタイプのミシンが含まれていても良い。
【0025】
また、上記生産管理システム100では、生産管理装置101において、針数データの総針数と逆送りの針数から修正針数の算出を行っているが、ミシン10側で、修正針数を算出し、これを針数データとして生産管理装置101に送信する構成としても良い。
【0026】
また、個々のミシンごとに、針数により縫製作業種別の分類を行い、生産数量の集計を行う場合を例示したが、ミシンを区別することなく、複数のミシンのグループの中で縫製作業種別を分類し、生産数量を集計しても良い。
【符号の説明】
【0027】
10 ミシン
100 生産管理システム
101 生産管理装置
104a 修正針数算出プログラム
104b 集計処理プログラム
105 CPU(算出部、集計処理部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8