(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記弾性波フィルタチップのうち前記多層基板と対向する面は、前記弾性波フィルタチップと前記多層基板との間の空隙に露出していることを特徴とする請求項1に記載の弾性波デバイス。
前記多層基板における少なくとも1つ以上の配線層に形成され、磁束の向きが前記多層基板の積層方向に沿った第2インダクタを形成する第3配線を備えることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の弾性波デバイス。
前記第2インダクタは、前記第1インダクタが形成された配線層よりも前記弾性波フィルタチップに近い配線層に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の弾性波デバイス。
前記第1インダクタ及び前記第2インダクタは、前記多層基板の積層方向から見て互いに重なる位置に形成されていることを特徴とする請求項6または7に記載の弾性波デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0016】
最初に、比較例に係る弾性波デバイスについて説明する。
【0017】
図1は、比較例及び実施例1
および2に係る弾性波デバイスの構成を示す外観図である。
図1(a)は、弾性波デバイスの斜視図であり、多層基板の表面が樹脂により覆われた状態を示している。
図1(b)は、
図1(a)から上記樹脂を取り除いた図であり、多層基板の表面にフィルタチップが搭載された状態を示している。
図1(c)は、多層基板を更に大型基板に実装した状態を示す側面図である。
【0018】
図1(b)に示すように、多層基板10の表面には、送信フィルタが内蔵された送信フィルタチップ20と、受信フィルタが内蔵された受信フィルタチップ22が、フリップチップにより実装されている。これらのフィルタチップは、
図1(a)に示すように、表面が樹脂24により覆われることで、外部の衝撃等から保護されている。多層基板10の裏面には、外部と電気的接続を図るための電極パッド12が形成されている。
図1(c)に示すように、多層基板10は、電極パッド12を介して大型基板30の表面に実装されている。
【0019】
図2は、比較例に係る弾性波デバイスの詳細な構成を示す図であり、
図2(a)は断面模式図、
図2(b)はインダクタ部分の斜視模式図である。
図2(a)に示すように、多層基板10は、複数の基板10a〜10cが積層されて形成されている。多層基板10の表面及び裏面、並びに各基板10a〜10cの間は、配線パターンが形成可能な配線層となっている。以下の説明では、フィルタチップ(20、22)が搭載された面を配線層101、電極パッド12が形成された面を配線層104とし、中間の層をそれぞれ配線層102、103と称する。ただし、積層可能な基板の枚数及び配線層の数は、これに限定されるものではない。
【0020】
図2(a)に示すように、多層基板10の表面である配線層101には、表面配線パターン14が形成されている。受信フィルタチップ22及び送信フィルタチップ20は、バンプ26を介して表面配線パターン14にフリップチップ実装されている。受信フィルタチップ22及び送信フィルタチップ20の表面のうち、上面及び側面は樹脂24により覆われているが、多層基板10側の表面(下面)は樹脂24で覆われていない。すなわち、受信フィルタチップ22及び送信フィルタチップ20の表面は、フリップチップ実装により形成された多層基板10との間の空隙28に対し、露出した状態となっている。
【0021】
また、
図2(a)に示すように、多層基板10の内部配線層である配線層102及び103には、それぞれ内部配線パターン16が形成されている。これらの内部配線パターン16は、配線層101における表面配線パターン14を介して、受信フィルタチップ22及び送信フィルタチップ20のそれぞれと電気的に接続されると共に、配線層104における電極パッド12とも電気的に接続されている。比較例に係る弾性波デバイスでは、内部配線パターン16の一部がインダクタ80を形成している。インダクタ80における磁束の方向は、多層基板10の積層方向に沿った方向となっており、送信フィルタチップ20を貫く形となっている。
【0022】
図2(b)は、内部配線パターン16により形成されたインダクタ80の模式図である。インダクタ80は、配線層102に形成された渦巻状の配線パターン16aと、その下の配線層103に形成された渦巻状の配線パターン16bとを含み、両者が互いに多層基板10を貫通するビア配線18により接続された構成を有する。これにより、配線パターン16a及び16bのそれぞれが、多層基板10の表面(XY平面)に略垂直方向(Z軸方向)の磁束を生成し、互いに強め合う関係となっている。
【0023】
図3は、比較例に係る弾性波デバイスを多層基板10の上面側(フィルタチップが搭載された側)から透過して見た各配線層の平面図である。
図3(a)は配線層101、
図3(b)は配線層102、
図3(c)は配線層103、
図3(d)は配線層104の平面図であり、各図中のA−A’線に沿った断面が
図2(a)となっている。
図3(a)に示すように、配線層101には表面配線パターン14が形成され、
図3(d)に示すように、配線層104には電極パッド12が形成されている。また、配線層102及び103には、それぞれインダクタ80の一部である配線パターン16a及び16bが形成されている。これらの配線パターン16a及び16bと、配線パターン(16a、16b)同士を結合するビア配線18により、
図2(b)に示すインダクタ80が形成されている。その他の配線パターンについては黒塗りで図示するが、ここでは詳細な説明を省略する。
【0024】
図4は、多層基板10を大型基板30に搭載した状態を示す断面模式図である。大型基板30には、多層基板10と同様に金属パターン32が形成されている。このとき、インダクタ80の磁束の向きは、多層基板10及び大型基板30を貫く方向となっているため、当該磁束の一部は大型基板30の金属パターン32により遮蔽され、その結果インダクタ80のインダクタンスが変化する。
【0025】
比較例において、インダクタ80は、送信フィルタチップ20の下方に配置されており、インダクタ80の生成する磁束が送信フィルタチップ20を貫く形となっている。このため、送信フィルタチップ20に形成された送信フィルタの特性は、インダクタ80が生成する磁束による影響を受ける。例えば、上記のように弾性波デバイスを大型基板30に搭載することにより、インダクタ80の磁束が変化した場合、送信フィルタのフィルタ特性も変化してしまう。
【0026】
更に、弾性波デバイスにおいては、弾性振動を阻害しないようにするため、弾性波デバイスの機能部の表面は樹脂で覆われていない。このため、比較例においても、送信フィルタチップ20の多層基板10側の表面は樹脂で覆われておらず、空隙28に露出している。このため、インダクタ80からの磁束は、樹脂により弱められることなく送信フィルタチップ20の内部に侵入することができ、樹脂がある場合に比べてフィルタ特性に与える影響が大きくなってしまう。
【0027】
以下の実施例では、多層基板に形成されたインダクタから生じる磁束の影響を抑制し、フィルタ特性の劣化を抑制することが可能な弾性波デバイスについて説明する。
【実施例1】
【0028】
図5(a)は、送信フィルタチップ20に形成された送信フィルタの構成を示す回路図であり、
図5(b)は
図5(a)の具体的レイアウトを示す上面模式図である。
図5(a)に示すように、送信フィルタでは、入出力端子(a、b)の間に4つの直列共振器S11〜S14が順に接続されている。4つの直列共振器S11〜S14のうち、端子bに接続された直列共振器S14に対し、インダクタL1が並列に接続されている。各直列共振器S11〜S14の間には、並列共振器P11〜P13がそれぞれ接続されている。並列共振器P11の他端は単独で接地され、並列共振器P12及びP13の他端は、共通化された上で接地されている。
【0029】
図5(b)に示すように、直列共振器S11〜S14及び並列共振器P11〜P13は、それぞれ対向する1組の櫛形電極と、その両側に配置された1組の反射電極とを含む弾性表面波(SAW)共振器として構成されている。各共振器同士は、配線パターン25により電気的に接続されている。配線パターン25に設けられた電極パッド(a、b、e1〜e5)は、それぞれ
図5(a)のノード(a、b、e1〜e5)に対応している。
【0030】
図6(a)は、受信フィルタチップ22に形成された受信フィルタの構成を示す回路図であり、
図6(b)は
図6(a)の具体的レイアウトを示す上面模式図である。
図6(a)に示すように、受信フィルタでは、入出力端子(c、d)の間に4つの直列共振器S21〜S24が順に接続されている。各直列共振器S21〜S24の間には、並列共振器P21〜P23がそれぞれ接続されている。並列共振器P21の他端は単独で接地され、並列共振器P22及びP23の他端は、共通化された上で接地されている。
【0031】
図6(b)に示すように、直列共振器S21〜S24及び並列共振器P21〜P23は、
図5(b)と同様の弾性表面波(SAW)共振器として構成されている。各共振器同士は、配線パターン25により電気的に接続されている。配線パターン25に設けられた電極パッド(c、d、f1〜f3)は、それぞ
れ図6(a)のノード(c、d、f1〜f3)に対応している。
【0032】
図7(a)は、
図5(b)及び
図6(b)に示す弾性表面波共振器の断面模式図であり、
図7(b)は
図7(a)に対応する上面模式図である(
図7(b)のA−A’線に沿った断面が
図7(a)である)。
図7(a)及び
図7(b)に示すように、圧電基板60上には、櫛形電極62、反射電極64、及び櫛形電極62と接続された電極パッド66が設けられている。櫛形電極62及び反射電極64は、弾性表面波の伝搬方向(図中の矢印方向)に沿って配置されている。本実施例では、直列共振器S11〜S24及び並列共振器P21〜P23をSAW共振器とした例について説明するが、SAW共振器の代わりに、以下の
図8に示す圧電薄膜共振器(BAW共振器)を用いることも可能である。
【0033】
図8(a)は、圧電薄膜共振器の断面模式図であり、
図8(b)は
図8(a)に対応する上面模式図である(
図8(b)のA−A’線に沿った断面が
図8(a)である)。
図8(a)に示すように、表面に凹形状の空隙71が形成された支持基板70上に、下部電極72、圧電膜74、及び上部電極76が順に積層されている。下部電極72及び上部電極76が圧電膜74を挟んで対向する共振領域78は、空隙71の上部に位置し、圧電薄膜共振器における機能部となっている。
【0034】
なお、圧電薄膜共振器としては、
図8に示す形態の他にも、様々な形態を採用することができる。例えば、支持基板70の表面に凹形状の空隙71を設ける代わりに、平坦な支持基板の表面に一部が湾曲した下部電極を形成し、当該湾曲によりドーム状の空隙を形成することとしてもよい。また、空隙71の代わりに、所定の厚みを有する2種類の音響反射膜を、交互に積層した構成を採用してもよい。また、
図8における空隙71は、支持基板70を貫通していないが、空隙71が支持基板70を貫通し、下部電極72が支持基板70の裏面に露出する構成としてもよい。
【0035】
図9は、実施例1に係る弾性波デバイスの詳細な構成を示す図であり、
図9(a)断面模式図、
図9(b)はインダクタ部分の斜視模式図である。
図9(a)に示すように、実施例1に係る弾性波デバイスは、複数の基板10a〜10cが積層されて形成された多層基板10の表面に、送信フィルタチップ20及び受信フィルタチップ22がフリップチップにより実装された構成を有する。多層基板10は、比較例と同様に複数の配線層101〜104を有し、表面の配線層101には表面配線パターン14が、裏面の配線層104には電極パッド12がそれぞれ形成され、内部の配線層102及び103にも内部配線パターン16が形成されている。
【0036】
図9(a)に示すように、受信フィルタチップ22及び送信フィルタチップ20は、バンプ26を介して表面配線パターン14にフリップチップ実装され、多層基板10の内部配線パターン16及び電極パッド12と電気的に接続されている。受信フィルタチップ22及び送信フィルタチップ20の上面及び側面は樹脂24により覆われているが、下面は多層基板10との間の空隙28に対し露出した状態となっている。
【0037】
また、
図9(a)に示すように、実施例1に係る弾性波デバイスでは、比較例と同様に、内部配線パターン16の一部によりインダクタL1が形成されている。しかし、インダクタL1における磁束の方向は、比較例と異なり多層基板10の積層方向に交差する方向となっている。ここで、「磁束の方向」とは、インダクタL1の中を通過する磁束の向きを意味する。また、「(多層基板10の積層方向に)交差する方向」とは、例えば多層基板10を構成する基板10a〜10cに対して水平な方向を意味する。
図9(b)に示すように、基板の積層方向はZ軸方向であるが、インダクタL1の内部を通過する磁束の向きはY軸方向と略一致し、XY平面(基板の表面と平行な平面)に沿った方向となっている。
【0038】
図10(a)〜(d)は、実施例1に係る弾性波デバイスを多層基板10の上面側(フィルタチップが搭載された側)から透過して見た各配線層の平面図である。
図10(a)は配線層101、
図10(b)は配線層102、
図10(c)は配線層103、
図10(d)は配線層104の平面図であり、各図中のA−A’線に沿った断面が
図9(a)となっている。
図10(a)に示すように、配線層101には表面配線パターン14が形成され、
図10(d)に示すように、配線層104には電極パッド12が形成されている。また、配線層102及び103には、それぞれインダクタの配線パターン16a及び16bが形成されている。その他の配線パターンについては黒塗りで図示する。各配線パターンに付した符号(a、b、c、d、e1〜e5、f1〜f3)は、それぞれ
図5及び
図6における各ノード(a、b、c、d、e1〜e5、f1〜f3)に対応するものである。
【0039】
図10に示すように、配線層102には、棒状の配線パターン16a(第1配線)が複数平行に形成されている。また、配線層103においても同様に、棒状の配線パターン16b(第2配線)が複数平行に形成されている。配線パターン16a及び16bは、多層基板10の積層方向から見た場合に、互いの端部同士が重なる位置に形成されており、当該端部同士はビア配線18により接続されている。ビア配線18は、基板10bを貫通する貫通孔に金属を充填することにより形成されており、配線層102及び103の配線パターン同士を電気的に接続している。これらの配線パターン(16a、16b)及びビア配線18により、
図9(b)に示す多重ループ形状のインダクタが形成されている。
【0040】
図11は、実施例1に係る弾性波デバイスを大型基板30に搭載した状態を示す断面模式図である。大型基板30には、多層基板10と同様に金属パターン32が形成されている。このとき、多層基板10におけるインダクタL1の磁束の向きは、多層基板10及び大型基板30の表面に沿った方向となっているため、大型基板30の金属パターン32による影響を受けにくくなっている。その結果、フィルタ特性への劣化を抑制することができる。
【0041】
図12は、弾性波デバイス(多層基板、受信フィルタチップ、送信フィルタチップ)を大型基板に搭載した場合における、インダクタンス値の変化を示すシミュレーション結果である。
図12(a)は比較例の結果を、
図12(b)は実施例1の結果をそれぞれ示し、点線が搭載前のインダクタンス値、実線が搭載後のインダクタンス値である。
図12(a)に示すように、比較例(インダクタの磁束の向きが基板の積層方向と同一)の場合には、弾性波デバイスを大型基板に搭載する際に、インダクタンスの値が大幅に低下している。これに対し、
図12(b)に示すように、実施例1(上記磁束の向きが基板の積層方向に垂直)の場合には、弾性波デバイスを大型基板30に搭載する前後で、インダクタンスの値に大きな変化は生じていない。
【0042】
以上のように、実施例1に係る弾性波デバイスによれば、多層基板10の内部に形成されるインダクタL1の磁束の向きが、基板の積層方向と交差する方向となっている。本構成によれば、インダクタL1により生成される磁束のうち、フィルタチップ(20、22)貫通する磁束を大幅に低減することができるため、当該磁束によるフィルタ特性への影響を抑制することができる。また、本構成によれば、インダクタL1により生成される磁束のうち、弾性波デバイスが搭載される大型基板30の金属パターン32により遮蔽される磁束を大幅に低減することができる。このため、大型基板30における金属パターン32が、インダクタL1のインダクタンスに与える影響を低減することができる。
【0043】
実施例1に係る弾性波デバイスの構成は、多層基板10の表面に弾性波フィルタチップ(20、22)を搭載する場合で、チップにおける多層基板10側の表面を樹脂24で覆わない場合に特に好適である。前述のように、弾性波デバイスにおいては、弾性振動を阻害しないために、機能部の表面を樹脂24で覆うことが好ましくない。その結果、多層基板10に形成されたインダクタからの磁束は、樹脂24により弱められることなくフィルタチップ(20、22)の内部に侵入することが可能となり、樹脂24がある場合に比べてフィルタ特性に与える影響が大きくなってしまう。しかし、実施例1の構成によれば、インダクタL1の磁束の向きは多層基板10の積層方向と交差しており、フィルタチップ(20、22)への磁束の侵入は抑制されている。従って、上記のようにフィルタチップ(20、22)の表面を樹脂24で覆わない場合にも、多層基板に形成されたインダクタによるフィルタ特性への影響を抑制することができる。
【0044】
なお、実施例1において、インダクタL1は、多層基板10の内部の配線層(102、103)に形成された棒状の配線パターン(16a、16b)とビア配線18の組み合わせにより形成されている。しかし、インダクタL1の構成は、磁束の向きが多層基板10の積層方向と交差する方向となるものであれば、必ずしも実施例1の具体的構成に限定されるものではない。
【実施例2】
【0045】
実施例2は、異なるインダクタを2つ形成する場合の例である。
【0046】
図13(a)〜(d)は、実施例2に係る弾性波デバイスを多層基板10の上面側(フィルタチップが搭載された側)から透過して見た各配線層の平面図であり、実施例1における
図10(a)〜(d)に対応する。
図13(a)に示すように、配線層101には表面配線パターン14が形成され、
図13(d)に示すように、配線層104には電極パッド12が形成されている。また、配線層102及び103には、それぞれインダクタの配線パターン16a、16b、及び16cが形成されている。その他の配線パターンについては、詳細な説明を省略する。各配線パターンに付した符号(a、b、c、d、e1〜e5、f1〜f3)は、それぞれ
図5及び
図6における各ノード(a、b、c、d、e1〜e5、f1〜f3)に対応するものである。
【0047】
図13(b)及び(c)に示すように、実施例1と同様に、内部の異なる配線層(102、103)に形成された棒状の配線パターン(16a、16b)と、それらを結合するビア配線18により、インダクタL1が形成されている。当該インダクタL1は、
図5(a)に示す直列共振器S14に対し、並列に接続されたインダクタである(以下、「第1インダクタL1」と称する)。また、
図11(b)に示すように、渦巻状の配線パターン16c(第3配線)により、上記第1インダクタL1とは別の第2インダクタL2が形成されている。第2インダクタL2は、
図5(a)のノードe2に接続されたインダクタ(
図5(a)では不図示)であり、磁束の向きは比較例のインダクタと同じく、多層基板10の積層方向と同一となっている。
【0048】
実施例2に係る弾性波デバイスによれば、多層基板10の内部にインダクタを2つ形成する場合に、片方を第1インダクタL1(磁束の向きが多層基板の積層方向と交差)とすることで、磁束の変化に伴うフィルタ特性への影響を抑制することができる。また、もう一方の第2インダクタL2の磁束の向きを、多層基板10の積層方向と同一にすることで、第1インダクタL1と第2インダクタL2の磁束ベクトルが互いに略垂直に交わるため、2つのインダクタ間の干渉を抑制することができる。
【0049】
図14(a)〜(d)は、実施例2の変形例に係る弾性波デバイスの構成を示す図である。
図13と共通の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。変形例に係る弾性波デバイスは、多層基板10の内部の配線層102及び103に、第1インダクタL1が形成されている点は実施例2(
図13)と同様であるが、第2インダクタL2の配線パターン16cが表面の配線層101に形成されている点が異なる。
【0050】
実施例1の
図11に示すように、弾性波デバイスを大型基板30に実装する場合を考えると、磁束の向きが多層基板10の積層方向と同じ第2インダクタL2については、なるべく大型基板30から離れた位置に形成することが好ましい。これにより、大型基板30の金属パターン32が第2インダクタL2の磁束を遮蔽する度合いが低減され、磁束の変化に伴うフィルタ特性への影響を抑制することができる。従って、第2インダクタL2は、
図14に示すように、大型基板30から最も遠い表面の配線層101に形成することが好ましいが、第1インダクタL1よりも表面側(送信フィルタチップ20及び受信フィルタチップ22に近い側)に形成した場合でも、同様の効果を得ることが期待される。また、弾性波デバイスを実装する大型基板においては、第2インダクタL2の直下(多層基板10の積層方向から見た場合に第2インダクタL2と重複する領域)には、金属パターン32を形成しないことが好ましい。これにより、第2インダクタL2における磁束の変化を更に低減することができる。
【0051】
実施例2(
図13)のように、第1インダクタL1と第2インダクタL2を同じ配線層に形成する構成では、第1インダクタL1及び第2インダクタL2の間における磁束の干渉を抑制する効果が大きくなるという利点がある。これに対し、変形例(
図14)のように、第1インダクタL1と第2インダクタL2を異なる配線層に形成する構成では、上述した第2インダクタL2における磁束の変化を低減することができるという利点がある。更に、
図14に示すように、第1インダクタL1及び第2インダクタL2を、多層基板10の積層方向から見て重なる位置に配置することで、インダクタを形成するために必要な基板の面積を低減し、装置の小型化を図ることができる。
【0052】
実施例1〜2では、弾性波デバイスとして、弾性表面波(SAW)を用いる共振器(
図7)またはバルク波を用いる圧電薄膜共振器(FBAR、
図8)を例に説明を行った。これらは共に、振動部分を有する弾性波デバイスである。弾性波デバイスとしては、他にも、ラブ波、境界波、及びLamb波を用いる弾性波デバイスを採用することができる。
【0053】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。