特許第6010354号(P6010354)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010354
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】ポジショナ
(51)【国際特許分類】
   F15B 5/00 20060101AFI20161006BHJP
   G05D 3/12 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   F15B5/00 A
   G05D3/12 305L
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-131256(P2012-131256)
(22)【出願日】2012年6月8日
(65)【公開番号】特開2013-254448(P2013-254448A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2015年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】野見山 隆
(72)【発明者】
【氏名】並河 将樹
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 特許第3595554(JP,B2)
【文献】 特開平08−016249(JP,A)
【文献】 特開昭49−128176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 5/00
G05D 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位装置から送られてくるバルブに対する開度設定信号と前記バルブの現在の開度を示す実開度信号とを入力とし、この開度設定信号と実開度信号とから制御信号を生成する制御演算部と、この制御演算部からの制御信号を空気圧に変換する電空変換器と、この電空変換器が変換した空気圧を入力空気圧とし、この入力空気圧を増幅して出力空気圧を生成し、前記バルブを駆動する駆動手段へ出力するパイロットリレーとを備えたポジショナにおいて、
前記電空変換器をモデル化した入出力特性を持ち、前記制御演算部からの制御信号を入力して前記電空変換器から前記パイロットリレーへ入力される入力空気圧の推定値を求めるモデル部と、
前記モデル部の求めた入力空気圧の推定値と前記パイロットリレーから出力される出力空気圧とから前記パイロットリレーの平衡状態からのずれ量を求めるずれ量演算部とを備え、
前記制御演算部は、
前記実開度信号、前記開度設定信号、及び、前記パイロットリレーの平衡状態からのずれ量とから前記電空変換器への制御出力を決定する
ことを特徴とするポジショナ。
【請求項2】
請求項1に記載されたポジショナにおいて、
前記ずれ量演算部は、
前記パイロットリレーの平衡状態からのずれ量をPo−(K・Pn−F)として求める
ことを特徴とするポジショナ。
但し、Pnはモデル部の求めたパイロットリレーへ入力される入力空気圧Pnの推定値、Poはパイロットリレーから出力される出力空気圧、FはPoが変化を始めるまでに必要な圧力、KはdPo/dPn。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたポジショナにおいて、
前記モデル部で求められたパイロットリレーへ入力される入力空気圧の推定値と前記電空変換器からパイロットリレーへ入力される入力空気圧の実際値とに基づいて前記モデル部で求められるパイロットリレーへ入力される入力空気圧の推定値を補償する推定値補償部
を備えることを特徴とするポジショナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バルブの開度を制御するポジショナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、バルブの開度を制御するポジショナとして、例えば図4にその要部の構成を示すようなものがある。同図において、200(200A)はポジショナ、300はバルブであり、バルブ300にはそのバルブの開度を示す位置を検出する位置センサ10が設けられている。
【0003】
ポジショナ200Aは、電流SP変換部1と、制御演算部2と、電空変換器3と、パイロットリレー4と、弁開度計算部5とを備えている。
【0004】
このポジショナ200Aにおいて、電流SP変換部1は、上位装置から4〜20mAの信号として送られてくる入力信号を開度設定信号SPに変換する。弁開度計算部5は、位置センサ10が検出するバルブの開度を示す位置からバルブ300の現在の弁開度を計算し、その計算した弁開度に応じた信号を実開度信号PVとして出力する。制御演算部2は、電流SP変換部1からの開度設定信号SPと弁開度計算部5からの実開度信号PVとの偏差を求め、この偏差にPID制御演算を施して得られる電気信号を制御信号MVとして出力する。
【0005】
電空変換器3は、制御演算部2からの制御信号MVを空気圧(ノズル背圧)Pnに変換する。パイロットリレー4は、電空変換器3からの空気圧Pnを入力空気圧とし、この入力空気圧Pnを増幅して出力空気圧Poを生成し、バルブ300の操作器11へ出力する。これにより、操作器11内のダイアフラム室に空気圧Poの空気が流入し、バルブ部12の開度が調整される。
【0006】
このポジショナ200Aにおいて、制御演算部2にとっての制御対象は、バルブ300に空気流量および空気圧力を加える電空変換器3およびパイロットリレー4も含まれる。電空変換器3とパイロットリレー4の特性が線形であり、素直な特性であれば、このような制御方式でも十分であるが、実際は電空変換器3およびパイロットリレー4ともヒステリシスや不感帯等の非線形要素を持ち、制御を複雑にしている。そして、このポジショナ200Aはフィードバック情報がバルブ300の実開度信号PVのみであるため、実開度信号PVに変化が現れないと制御出力(制御信号MV)が変化しない。そのため制御性が課題となっていた。そこで、制御性を改善したポジショナが特許文献1に提案されている。
【0007】
図5は特許文献1に示されたポジショナの概略を示す図である。このポジショナ200(200B)では、バルブ300の現在の開度を示す実開度信号PVに加え、パイロットリレー4から出力される出力空気圧Poの微分値dPo/dtを圧力微分値として制御演算部2にフィードバックするようにしている。出力空気圧Poは実開度信号PVよりも早く変化する。そのため、出力空気圧Poの変化量をフィードバックすることで実開度信号PVに変化が生じる前に予測することができる。これによって開度情報のみのフィードバックに比べて優れた制御が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3595554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、この特許文献1に示されたポジショナ200Bでは、バルブ300の実開度に比べて応答が速いパイロットリレー4の出力空気圧Po(操作器11のダイアフラム部の制御圧力)の微分情報をフィードバックしているが、微分情報はノイズなどが加わったとき、出力が極めて大きくなる。このため制御が不安定になりやすいという問題があった。
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、制御において整定性を損なうことなく速応性を格段に改善することができるポジショナを提供することにある。また、速応性の改善に加え、発振など好ましくない制御が生じる虞のないポジショナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するために本発明は、上位装置から送られてくるバルブに対する開度設定信号とバルブの現在の開度を示す実開度信号とを入力とし、この開度設定信号と実開度信号とから制御信号を生成する制御演算部と、この制御演算部からの制御信号を空気圧に変換する電空変換器と、この電空変換器が変換した空気圧を入力空気圧とし、この入力空気圧を増幅して出力空気圧を生成し、バルブを駆動する駆動手段へ出力するパイロットリレーとを備えたポジショナにおいて、電空変換器をモデル化した入出力特性を持ち、制御演算部からの制御信号を入力して電空変換器からパイロットリレーへ入力される入力空気圧の推定値を求めるモデル部と、モデル部の求めた入力空気圧の推定値とパイロットリレーから出力される出力空気圧とからパイロットリレーの平衡状態からのずれ量を求めるずれ量演算部とを備え、制御演算部は、実開度信号、開度設定信号、及び、パイロットリレーの平衡状態からのずれ量とから電空変換器への制御出力を決定することを特徴とする。
【0012】
パイロットリレーの出力空気圧は入力空気圧に応じて決まるが、平衡状態から入力空気圧が変化したときに、出力空気圧が応答するまでには遅れがある。また、パイロットリレーへの入力空気圧は制御出力に対して非線形要素やむだ時間を持つ。そのため、これを制御に用いると発振など好ましくない制御につながる虞がある。
【0013】
そこで、本発明では、電空変換器をモデル化した入出力特性を持ち、制御演算部からの制御信号を入力して電空変換器からパイロットリレーへ入力される入力空気圧の推定値を求めるモデル部を設け、このモデル部の求めた入力空気圧の推定値とパイロットリレーから出力される出力空気圧とからパイロットリレーの平衡状態からのずれ量を求め、このパイロットリレーの平衡状態からのずれ量も考慮して電空変換器への制御出力を決定することで、すなわちパイロットリレーへの入力空気圧の変化に応じて変化する出力空気圧の変化量を実際に変化する前に予測することで、制御において整定性を損なうことなく速応性を改善する。また、発振など好ましくない制御が生じる虞がないようにする。
【0014】
例えば、本発明では、パイロットリレーの平衡状態からのずれ量をPo−(K・Pn−F)として求める。ここで、Pnはモデル部の求めたパイロットリレーへ入力される入力空気圧Pnの推定値、Poは出力空気圧、FはPoが変化を始めるまでに必要な圧力、KはdPo/dPnとする。
【0015】
また、例えば、本発明では、モデル部で求められたパイロットリレーへ入力される入力空気圧の推定値と電空変換器からパイロットリレーへ入力される入力空気圧の実際値とに基づいて、モデル部で求められるパイロットリレーへ入力される入力空気圧の推定値を補償するようにする。電空変換器の特性は温度や空気回路の詰まりで変化し易い。すると、モデル部の求めた入力空気圧Pnの推定値Pnと実際の入力空気圧Pnとの間に偏差が生じる。このような偏差が生じると、入力空気圧Pnと出力空気圧Poとが釣り合っていても、釣り合っていないと判断してしまい、制御信号へのフィードバックを行ってしまう。そこで、モデル部の求めた入力空気圧Pnの推定値Pnと実際の入力空気圧Pnとに基づいて、例えばその差を積分した値を与えるなどして、モデル部で求められる入力空気圧Pnの推定値Pnを補償するようにする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電空変換器をモデル化した入出力特性を持ち、制御演算部からの制御信号を入力して電空変換器からパイロットリレーへ入力される入力空気圧の推定値を求めるモデル部を設け、モデル部の求めた入力空気圧の推定値とパイロットリレーから出力される出力空気圧とからパイロットリレーの平衡状態からのずれ量を求め、制御演算部は、実開度信号、開度設定信号、及び、パイロットリレーの平衡状態からのずれ量とから制御出力を決定し、電空変換器への制御信号として出力するようにしたので、パイロットリレーへ入力される入力空気圧の変化に応じて変化する出力空気圧の変化量を実際に変化する前に予測するようにして、整定性を損なうことなく速応性を格段に改善することが可能となる。また、モデル部の求めた入力空気圧の推定値を使用するので、パイロットリレーへ入力される入力空気圧が制御出力に対して有する非線形要素やむだ時間による悪影響を抑えることができ、発振など好ましくない制御が生じる虞もなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るポジショナの一実施の形態(実施の形態1)の要部の構成を示す図である。
図2】このポジショナのずれ量演算部で求められるパイロットリレーの平衡状態からのずれ量を説明する図である。
図3】本発明に係るポジショナの他の実施の形態(実施の形態2)の要部の構成を示す図である。
図4】従来のポジショナの要部の構成を示す図である。
図5】特許文献1に示されたポジショナの要部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〔実施の形態1〕
図1はこの発明に係るポジショナの一実施の形態(実施の形態1)の要部の構成を示す図である。同図において、図4と同一符号は図4を参照して説明した構成要素と同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。本発明に係るポジショナを従来のポジショナと区別するために符号100で示す。
【0019】
この実施の形態において、ポジショナ100(100A)は、電空変換器3をモデル化した入出力特性を持ち、制御演算部2からの制御信号MVを入力して電空変換器3からパイロットリレー4へ入力される入力空気圧Pnの推定値Pnを求めるモデル部6と、モデル部6の求めた入力空気圧の推定値Pnとパイロットリレー4から出力される出力空気圧Poとからパイロットリレー4の平衡状態からのずれ量dを求めるずれ量演算部7とを備えている。また、制御演算部2は、実開度信号PV、開度設定信号SP、及び、ずれ量演算部6が求めたパイロットリレー4の平衡状態からのずれ量dとから制御信号MVを決定し、電空変換器3へ出力する機能を備えている。
【0020】
ずれ量演算部7は、モデル部6の求めたパイロットリレー4へ入力される入力空気圧Pnの推定値Pnとパイロットリレー4から出力される出力空気圧Poとから、パイロットリレー4の平衡状態からのずれ量dを下記の(1)式で示される演算式より求める。
【0021】
d=Po−(K・Pn−F) ・・・・(1)
但し、Pnはモデル部6の求めたパイロットリレー4へ入力される入力空気圧Pnの推定値、Poはパイロットリレー4から出力される出力空気圧、FはPoが変化を始めるまでに必要な圧力、KはdPo/dPn。
【0022】
このずれ量演算部7で求められるパイロットリレー4の平衡状態からのずれ量dは、パイロットリレー4へ入力される入力空気圧Pnの変化に応じて変化する出力空気圧Poの変化量を実際に変化する前に予測したものである。図2にパイロットリレー4の入出力特性を示す。パイロットリレー4の出力空気圧Poは、この入出力特性Iで示されるように、Po=K・Pn−Fで示される式に従って変化する。入力空気圧Pnと出力空気圧Poとの関係がこの入出力特性I上にある時がパイロットリレー4の平衡状態である。
【0023】
パイロットリレー4の平衡状態では出力空気圧Poは入力空気圧Pnに応じた値をとる。しかし、出力空気圧Poの応答は入力空気圧Pnに比べて遅れがあるため、入力空気圧Pnの変化後しばらくはこの入出力特性Iから外れる。この場合、現在の出力空気圧PoがK・Pn−F>Poである場合と、K・Pn−F<Poである場合とが考えられる。現在の出力空気圧PoがK・Pn−F>Poである場合には(図2に示す(1)の状態)、平衡状態からずれた量dだけ出力空気圧Poの増加が予想される。現在の出力空気圧PoがK・Pn−F<Poである場合には(図2に示す(2)の状態)、平衡状態からずれた量dだけ出力空気圧Poの減少が予想される。
【0024】
したがって、パイロットリレー4の平衡状態からのずれ量dは、パイロットリレー4へ入力される入力空気圧Pnの変化に応じて変化する出力空気圧Poの変化量を実際に変化する前に予測したものであると言える。ずれ量演算部7では、このパイロットリレー4の平衡状態からのずれ量dをPo−(K・Pn−F)として求め、この求めたずれ量dを制御演算部2へ送る。このずれ量dは出力空気圧Poの変化量の予測であり、これをフィードバックすることで、出力空気圧Poの変化量をフィードバックするよりも早い段階で開度変化を予測することができる。そのために、制御性が格段に改善されるものとなる。
【0025】
制御演算部2は、実開度信号PV、開度設定信号SP、及び、ずれ量演算部7が求めたパイロットリレー4の平衡状態からのずれ量dとから制御信号MVを決定し、電空変換器3へ出力する。なお、制御信号MVは下記の(2)式により決定される。
MV=Kp・(SP−PV)+∫Ki・(SP−PV)dt+Kd・(dPV/dt)
+Km・d ・・・・(2)
但し、Kpは比例ゲイン、Kiは積分ゲイン、Kdは微分ゲイン、Kmはずれ量ゲイン。
【0026】
この場合、制御演算部2は、実開度信号PV、開度設定信号SP、及び、パイロットリレー4の平衡状態からのずれ量とから制御出力を決定し、電空変換器3へ制御信号MVとして出力するようにしたので、パイロットリレー4へ入力される入力空気圧Pnの変化に応じて変化する出力空気圧Poの変化量を実際に変化する前に予測するようにしたので、整定性を損なうことなく速応性を格段に改善することが可能となる。
【0027】
また、本実施の形態では、モデル部6の求めたパイロットリレー4へ入力される入力空気圧Pnの推定値Pnを使用しているので、パイロットリレー4へ入力される入力空気圧Pnが制御出力に対して有する非線形要素やむだ時間による悪影響を抑えることができ、発振など好ましくない制御が生じる虞もない。
【0028】
〔実施の形態2〕
図3に本発明に係るポジショナの他の実施の形態(実施の形態2)の要部の構成を示す。同図において、図1と同一符号は図1を参照して説明した構成要素と同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。
【0029】
この実施の形態2のポジショナ100Bでは、推定値補償部8を設け、モデル部6で求められたパイロットリレー4の入力空気圧Pnの推定値Pnと電空変換器3からパイロットリレー4へ入力される入力空気圧の実際値Pnとの差を積分した値をモデル6へ与え、モデル部6で求められるパイロットリレー4へ入力される入力空気圧Pnの推定値Pnを補償するようにしている。
【0030】
このような推定値補償部8を設けることにより、モデル部6からの入力空気圧Pnの推定値Pnが実際の入力空気圧Pnと違っていても、支障のない制御を行わせることが可能となる。
【0031】
すなわち、電空変換器3の特性は温度や空気回路の詰まりで変化し易い。すると、モデル部6からの入力空気圧Pnの推定値Pnと実際の入力空気圧Pnとの間に偏差が生じる。このような偏差が生じると、Po−(K・Pn−F)=0となっても、Po−(K・Pn−F)≠0となり、定常偏差が生じてしまう。本実施の形態では、入力空気圧Pnの推定値Pnと実際の入力空気圧Pnとの差を積分した値で入力空気圧Pnの推定値Pnを補償することで、モデル部6の特性と電空変換器3の実際の特性とを一致させるので、入力空気圧Pnの推定値Pnが実際の入力空気圧Pnと違っていても、支障のない制御を行わせるようにする。
【0032】
なお、上述した実施の形態1では、パイロットリレー4の平衡状態からのずれ量dを上記(1)式を用いて求めるようにしたが、このような式に限られるものではない。例えば、上記(1)式の関係をデータとして記憶したテーブルから、パイロットリレー4の平衡状態からのずれ量dを読み出すようにしてもよい。また、上述した実施の形態では、位置センサ10はポジショナ100の外側に設けられているものとしているが、ポジショナ100の内部に設けられていてもよい。
【0033】
また、上述した実施の形態2では、入力空気圧の推定値Pnと入力空気圧の実際値Pnとの差を積分した値をモデル6へ与えるようにしたが、入力空気圧の推定値Pnと入力空気圧の実際値Pnとを比較して、所定量を補償量に足し込んで行くなどしてもよい。
【0034】
また、上述した実施の形態1,2において、ポジショナ100における制御演算部2、モデル部6、ずれ量演算部7、推定値補償部8などの機能は、プロセッサや記憶装置からなるハードウェアと、これらのハードウェアと協働して制御装置としての各種機能を実現させるプログラムとによって実現される。
【0035】
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0036】
1…電流SP変換部、2…制御演算部、3…電空変換器、4…パイロットリレー、5…弁開度計算部、6…モデル部、7…ずれ量演算部、8…推定値補償部、10…位置センサ、11…操作器、12…バルブ部、100(100A,100B)…ポジショナ、300…バルブ。
図1
図2
図3
図4
図5