(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010382
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】自動車用バイザー
(51)【国際特許分類】
B60J 3/00 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
B60J3/00 L
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-170101(P2012-170101)
(22)【出願日】2012年7月31日
(65)【公開番号】特開2014-28581(P2014-28581A)
(43)【公開日】2014年2月13日
【審査請求日】2015年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】314014184
【氏名又は名称】DNP田村プラスチック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 明人
(72)【発明者】
【氏名】松井 智弘
【審査官】
高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−125994(JP,A)
【文献】
特開平09−025692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺帯状の当着板の下端縁に沿って長尺帯状の庇体が外向きに膨出するように一体的に設けられており、かつ、庇体の内側面に複数のボスが突設されたバイザー本体と、
片端にボスを挿通させるためのボス挿通孔が穿設されているとともに他端に自動車に固着させるための固着部が設けられた複数の取付部材と、
ボスを挿入させるためのボス挿入孔が穿設されており、その挿入孔の周囲にボスに係合させるための複数の爪が設けられた係合体とからなり、
各取付部材のボス挿通孔に挿通させたバイザー本体のボスに係合体を外嵌して係合体の爪をボスと係合させて、各取付部材の片端を前記ボスに係合させるとともに、各取付部材の固着部を自動車の窓枠に固着させることによって自動車に取り付けられる自動車用バイザーであって、
前記係合体が、前記取付部材と別個に設けられたものであり、かつ、中央にボス挿入孔を穿設してその挿入孔の周囲に複数の爪を設けたワッシャーと、そのワッシャーの爪およびボス挿入孔以外の部分を覆う合成樹脂製の被覆体とからなるものであるとともに、その被覆体の庇体との対向側の表面が外向きに凸な曲面状に形成されていることを特徴とする自動車用バイザー。
【請求項2】
被覆体が、円柱状に形成されており、ボスを挿通させるための略円柱状の空洞部を中心に貫設したものであり、その略円柱状の空洞部に、ワッシャーのボス挿通孔が、同心状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車用バイザー。
【請求項3】
被覆体中に内蔵されたワッシャーの庇体との非対向側の表面から被覆体の庇体との非対向側の表面までの距離が、ボスの高さよりも長くなるように調整されていることを特徴とする請求項1、または請求項2に記載の自動車用バイザー。
【請求項4】
長尺帯状の当着板の下端縁に沿って長尺帯状の庇体が外向きに膨出するように一体的に設けられており、かつ、庇体の内側面に複数のボスが突設されたバイザー本体と、
片端にボスを挿通させるためのボス挿通孔が穿設されているとともに他端に自動車に固着させるための固着部が設けられた複数の取付部材と、
ボスを挿入して圧着させるためのボス挿入孔が穿設された合成樹脂製の係合体とからなり、
各取付部材のボス挿通孔に挿通させたバイザー本体のボスに係合体を外嵌して係合体をボスに圧着させて、各取付部材の片端を前記ボスに固着させるとともに、各取付部材の固着部を自動車の窓枠に固着させることによって自動車に取り付けられる自動車用バイザーであって、
前記係合体が、前記取付部材と別個に設けられたものであり、
その係合体の庇体との対向側の表面が外向きに凸な曲面状に形成されていることを特徴とする自動車用バイザー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日除けや雨除けとして自動車の窓枠に装着される自動車用バイザー、およびその取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日除けや雨除けとして機能する自動車用のバイザーとしては、外側に膨出した長尺な庇体の上端に沿って長尺な当着板が設けられており、その当着板を両面接着テープ等によって自動車の窓枠に当着するとともに、断面U字状に屈曲させた帯状の取付金具を利用して、当該取付金具の両端に、自動車の窓枠と、庇体の内面に突設した突起体とを係合させることによって、自動車に装着するものが知られている。
【0003】
また、取付金具の端縁を庇体に突設された突起体に係合させるための方法としては、特許文献1の如く、中央にボスを挿入させるための挿入孔を穿設して当該挿入孔の周囲に爪を設けた抜け止め部材(所謂、ワッシャー)を用い、庇体の内側面に突設した円柱状の突起体(ボス)を、取付金具であるブラケットの端縁に穿設した取付用の長孔に挿通させ、当該ボスを、さらに抜け止め部材の菊孔に挿入し、菊孔の周囲に設けられた複数の爪に係合させるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−012000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の取付金具の庇体への取付方法は、庇体内面が曲面(凹状の曲面)状に形成されているのに対し、抜け止め部材の先端(ボスとの対向側の端縁)が平面状になっているため、ボスに対して抜け止め部材を適正な位置(爪とボスとが十分に噛み合う位置)まで深く押し込むことが難しく、庇体の内側面に対する取付金具の取付強度が不十分なものとなり易い。また、ボスを抜け止め部材の挿入孔内にスムーズに挿入させることができないため、取付金具の庇体への取り付けに手間がかかる、という不具合もある。
【0006】
本発明の目的は、上記従来の自動車用バイザーの取付構造の問題点を解消し、短時間の内に容易に、かつ、強固に自動車へ取り付けることが可能で実用的な自動車用バイザーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の内、請求項1に記載された発明は、長尺帯状の当着板の下端縁に沿って長尺帯状の庇体が外向きに膨出するように一体的に設けられており、かつ、庇体の内側面に複数のボスが突設されたバイザー本体と、片端にボスを挿通させるためのボス挿通孔が穿設されているとともに他端に自動車に固着させるための固着部が設けられた複数の取付部材と、ボスを挿入させるためのボス挿入孔が穿設されており、その挿入孔の周囲にボスに係合させるための複数の爪が設けられた係合体とからなり、各取付部材のボス挿通孔に挿通させたバイザー本体のボスに係合体を外嵌して係合体の爪をボスと係合させて、各取付部材の片端を前記ボスに係合させるとともに、各取付部材の固着部を自動車の窓枠に固着させることによって自動車に取り付けられる自動車用バイザーであって、前記係合体が、
前記取付部材と別個に設けられたものであり、かつ、中央にボス挿入孔を穿設してその挿入孔の周囲に複数の爪を設けたワッシャーと、そのワッシャーの爪およびボス挿入孔以外の部分を覆う合成樹脂製の被覆体とからなるものであるとともに、その被覆体の庇体との対向側の表面が外向きに凸な曲面状に形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、被覆体が、円柱状に形成されており、ボスを挿通させるための略円柱状の空洞部を中心に貫設したものであり、その略円柱状の空洞部に、ワッシャーのボス挿通孔が、同心状に配置されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に記載された発明は、請求項1、または請求項2に記載された発明において、被覆体中に内蔵されたワッシャーの庇体との非対向側の表面から被覆体の庇体との非対向側の表面までの距離が、ボスの高さよりも長くなるように調整されていることを特徴とするものである
【0010】
請求項4に記載された発明は、長尺帯状の当着板の下端縁に沿って長尺帯状の庇体が外向きに膨出するように一体的に設けられており、かつ、庇体の内側面に複数のボスが突設されたバイザー本体と、片端にボスを挿通させるためのボス挿通孔が穿設されているとともに他端に自動車に固着させるための固着部が設けられた複数の取付部材と、ボスを挿入して圧着させるためのボス挿入孔が穿設された合成樹脂製の係合体とからなり、各取付部材のボス挿通孔に挿通させたバイザー本体のボスに係合体を外嵌して係合体をボスに圧着させて、各取付部材の片端を前記ボスに固着させるとともに、各取付部材の固着部を自動車の窓枠に固着させることによって自動車に取り付けられる自動車用バイザーであって、
前記係合体が、前記取付部材と別個に設けられたものであり、その係合体の庇体との対向側の表面が外向きに凸な曲面状に形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の自動車用バイザーは、
係合体が取付部材と別個に設けられたものであり、その係合体のワッシャーを覆った合成樹脂製の被覆体の庇体との対向側の表面が外向きに凸な曲面状に形成されているため、係合体をボスの根元の適正な位置まで容易に嵌入する(外嵌する)ことができ、取付部材を庇体内面に圧着させることができる。したがって、請求項1に記載の自動車用バイザーによれば、容易に、かつ、強固に自動車へ装着することが可能となる。
【0012】
請求項2に記載の自動車用バイザーは、合成樹脂製の被覆体が、略円柱状の空洞部を中心に貫設した円柱状に形成されており、略円柱状の空洞部に、ワッシャーのボス挿通孔が、同心状に配置されているので、係合体を把持し易い上、被覆体の空洞部に、ボスを挿入するだけで、ワッシャーをボスと直交する正しい位置に配置させることができる。また、略円柱状の空洞部に同心状に配置されたワッシャーのボス挿通孔の周囲に設けられた複数の爪が、空洞部の壁面から均等に露出した状態で、ボスと係合する。したがって、請求項2に記載の自動車用バイザーによれば、非常に容易に、かつ、きわめて強固に自動車に装着することが可能となる。
【0013】
請求項3に記載された自動車用バイザーは、係合体を逆向きに(被覆体の外向きに凸な曲面状の表面が庇体と対向しない向きに)ボスに外嵌させようとした場合に、ワッシャーの爪がボスと係合しないので、係合体を逆向きに設置してしまう事態の発生を防止することができる。
【0014】
請求項4に記載の自動車用バイザーは、合成樹脂製の
係合体が取付部材と別個に設けられたものであり、その係合体の庇体との対向側の表面が外向きに凸な曲面状に形成されているため、係合体をボスの根元の適正な位置まで容易に嵌入する(外嵌する)して、係合体をボスに圧着させることができる。したがって、請求項4に記載の自動車用バイザーによれば、容易に、かつ、強固に自動車へ装着することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】バイザー本体を示す説明図(正面図)である。
【
図2】バイザー本体を示す説明図である(
図1におけるA−A線端面図である)。
【
図3】取付部材および係合体を示す説明図である(aは取付部材および係合体の斜視図であり、bは取付部材の側面図であり、cは係合体の正面図であり、dは係合体の側面図である)。
【
図4】自動車用バイザーを自動車に取り付けた状態を示す説明図である(aは自動車用バイザーを取り付けた自動車の側面を示したものであり、bはaにおけるB−B線断面を示したものである)。
【
図5】係合体を柱状ボスに係合させることにより、取付部材を庇体の内面に係合させる様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の自動車用バイザーおよびその取付構造の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0017】
[自動車用バイザーの構造]
この実施形態に係る自動車用バイザーは、ボスを設けたバイザー本体、取付部材、係合体等によって構成されている。
図1は、自動車用バイザーを構成するバイザー本体の正面図であり、
図2は、
図1におけるA−A線断面を示したものである。バイザー本体1は、薄い黒色に着色された透明な合成樹脂(たとえば、アクリル樹脂)によって、帯状の庇体2の上端縁に沿って帯状の当着板3を設けた長尺な刀身状に一体的に成形されている。そして、適度な透光性と遮光性とを発現するようになっている。
【0018】
当着板3は、装着される自動車の窓枠に沿う一定幅で長尺な刀身状になっており、上端には、一定幅の凸部5が内向きに突出するように形成されている。また、庇体2は、当着板3と略同じ長さを有する略一定幅の刀身状になっており、上下方向において僅かに湾曲しており、中央部分(上下方向における中央部分)が外側に膨出した状態になっている(すなわち、庇体2の内面が凹状の曲面になっている)。
【0019】
そして、庇体2の前端際、後端際、略中央の3箇所の上端際(当着板3の下端より約10mm下方の部分)には、それぞれ、柱状ボス4,4・・が、庇体2の内側面から内側へ突出するように設けられている。かかる柱状ボス4,4・・は、直径約3.0mmで約4.5mmの高さを有する円柱状に形成されており、周囲に位置した庇体2の内側面と直交した状態になっている。また、柱状ボス4,4・・の基端には、三角形の平板状の4つのリブ(図示せず)が、柱状ボス4の軸中心から放射方向へ向くように一体的に設けられている。
【0020】
一方、
図3は、バイザー本体1を自動車に取り付ける際に用いる取付部材7および係合体14を示したものである。取付部材7は、黒色に着色されガラス繊維を混入させたナイロン66を射出成形することによって一体的に形成されている。そして、幅×厚さ×長さ(全長)=約11.0mm×約0.8mm×約85mmの屈曲した帯状になっており、中央(長手方向の中央)に、ヘアピンカーブ状の挿入部8が形成されている。さらに、その挿入部8と隣接した片方には、自動車に固着させる(係合させる)ための長さ約10mmの固着部9が設けられており、固着部9と反対側には、バイザー本体1の庇体2と接合させるための長さ約35mmの接合部11が設けられている。そして、当該接合部11の端縁際には、柱状ボス4に係合させるためのボス挿通孔10が穿設されている。加えて、挿入部8の接合部11と隣接した端縁には、車両の窓枠にフィットさせるための段部13が設けられている。
【0021】
一方、係合体14は、厚さ約0.25mmの金属板(ステンレス板)によって、外径約8.0mmで内径約4.0mmの扁平な円板状(ドーナッツ板状)に一体的に形成されたワッシャー27と、当該ワッシャー27を覆う合成樹脂(ポリアミド系樹脂)製の被覆体28とによって構成されている。当該係合体14は、予め金型内にワッシャー27を設置した状態で、被覆体28をインサート成形することによって形成されたものである。
【0022】
ワッシャー27の略中央には、バイザー本体1の柱状ボス4を係止させるための直径約4.0mmのボス挿入孔15が穿設されている。そして、そのボス挿入孔15の周囲には、扁平な台形状の先端を有する4つの係合爪17,17・・が、中心に向けて突出するように等間隔に設けられている。それらの係合爪17,17・・は、その他の部分に対して、所定の角度(約30°)傾斜した状態になっており、向かい合う2つの係合爪17,17同士の間隔が、2.5mm以上3.0mm以下になるように調整されている。
【0023】
また、被覆体28は、直径(先端面Fa側の直径)が約12mmで高さ(周端際の高さ)が約10mmの扁平な円柱状に形成されている。また、被覆体28の基端面側の直径(基端面Fb側の直径)は約11mmであり、外周面が僅かにテーパ状になっている。また、被覆体28の中央には、バイザー本体1の柱状ボス4を挿入させるための直径約5.0mmの円柱状の空洞部29が形成されている。そして、その空洞部29の中間位置にワッシャー27が嵌め込まれた状態になっており、ワッシャー27のボス挿入孔15が、空洞部29の軸中心に対して同心状に配置され、係合爪17,17・・およびボス挿入孔15の周囲の部分が、空洞部29の内側に露出した状態になっている。また、ワッシャー27の基端側の面から基端面Fbまでの長さ(
図3(d)のα)は、約5.0mmになっており、柱状ボス4の高さより長くなるように設計されている。加えて、被覆体28の先端面Fa側の表面は、曲率半径約18.5mmの球面状になっている。
【0024】
[自動車用バイザーの自動車への装着方法]
図4は、上記したバイザー本体1、取付部材7,7・・、および係合体14,14・・等からなる自動車用バイザー31を自動車21に取り付けた状態を示したものである。なお、自動車21の窓枠22には、窓ガラス24を閉じる場合の衝撃を低減するための図示しないガラスラン(合成ゴム製のパッキン)が設けられている。
【0025】
自動車用バイザー31を、自動車へ装着する際には、まず、当着板3の内側面を両面接着テープ6によって窓枠22に当着する。しかる後、庇体2の内側面に突設された各柱状ボス4,4・・に、取付部材7,7・・を固着させる。
図5は、柱状ボス4に取付部材7を固着させる様子を示したものであり、柱状ボス4に取付部材7を固着させる際には、まず、取付部材7のボス挿通孔10内に柱状ボス4を挿通させる。しかる後、そのようにボス挿通孔10内を挿通させた柱状ボス4を、さらに、被覆体28の空洞部29内に挿入し、当該空洞部29内で、ワッシャー27のボス挿入孔15に挿入して、係合爪17,17を柱状ボス4に係合させる(すなわち、金属製の係合爪17,17の先端を樹脂製の柱状ボス4に食い込ませる)。そのように係合爪17,17を柱状ボス4に係合させることによって、取付部材7を庇体2の内面と係合体14とで挟み込む(
図5(b)参照)。
【0026】
そして、取付部材7の固着部9によって窓枠22の突出片26の下端を把持させることによって、自動車用バイザー31の自動車21への取り付けを完了する。なお、各取付部材7,7・・は、柱状ボス4に対して回転させることができるため、各係合体14,14・・を柱状ボス4に係合させた後であっても、取付部材7の取付角度(すなわち、固着部9の傾斜角度)を窓枠22の突出片26の角度に合致するように修正することができる。
【0027】
上記の如く自動車に装着された自動車用バイザー31は、視界を遮らない日除けとして効果的に機能する。また、雨天時には、自動車21の車内へ雨を降り込ませることなく窓を開放することを可能とする。
【0028】
[実施形態の自動車用バイザーの効果]
自動車用バイザー31は、上記の如く、係合体14のワッシャー27のボス挿入孔15以外の部分が合成樹脂製の被覆体28によって覆われているとともに、その被覆体28の先端側の表面(バイザー本体1の庇体2との対向側の表面)が外向きに凸な曲面状に形成されているため、係合体14(ワッシャー27)を柱状ボス4の根元の適正な位置まで容易に嵌入する(外嵌する)ことができる。したがって、自動車用バイザー31によれば、容易に、かつ、強固に自動車21へ装着することができる。
【0029】
また、自動車用バイザー31は、上記の如く、被覆体28が、扁平な円柱状に形成されており、柱状ボス4を挿通させるための略円柱状の空洞部29を中心に貫設したものであり、その略円柱状の空洞部29に、ワッシャー27のボス挿通孔15が、同心状に配置されているため、係合体14を把持し易い上、被覆体28の空洞部29に、柱状ボス4を挿入するだけで、ワッシャー27を柱状ボス4と直交する正しい位置に配置させることができる。また、略円柱状の空洞部29に同心状に配置されたワッシャー27のボス挿通孔15の周囲に設けられた複数の係合爪17,17・・が、空洞部29の壁面から均等に露出した状態で、柱状ボス4と係合する。したがって、自動車用バイザー31によれば、きわめて容易に、かつ、強固に自動車21に装着することが可能となる。
【0030】
さらに、自動車用バイザー31は、上記の如く、被覆体28中に内蔵されたワッシャー27の基端側の表面(庇体2との非対向側の表面)から被覆体28の基端側の表面(庇体2との非対向側の表面)までの距離(
図3(d)のα)が、柱状ボス4の高さよりも長くなるように調整されているため、係合体14を逆向きに(外向きに凸な曲面状の表面が庇体2と対向しない向きに)柱状ボス4に外嵌させようとした場合に、ワッシャー27が柱状ボス4と係合しないので、係合体14を逆向きに設置してしまう事態の発生を防止することができる。
【0031】
[自動車用バイザーの変更例]
なお、本発明の自動車用バイザーの構成は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、バイザー本体、取付部材、係合体等の材質、形状・構造等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0032】
たとえば、バイザー本体は、上記実施形態の如く、合成樹脂によって一体成形したものに限定されず、合成樹脂製の庇体に金属製の当着板を貼り合わせたもの等に変更することも可能である。一方、取付部材は、上記実施形態の如く、ガラス繊維を混入させたナイロン66によって形成されたものに限定されず、ナイロン66以外の樹脂によって形成されたものや、ガラス繊維を充填していない合成樹脂によって形成されたもの、または、表面がナイロンコーティングやアクリルコーティングされたステンレス製の板金によって形成されたもの等に変更することも可能である。
【0033】
一方、係合体のワッシャーは、上記実施形態の如く、ステンレスによって形成されたものに限定されず、鉄やアルミニウム等のステンレス以外の金属によって形成されたもの等に変更することも可能である。また、係合体の被覆体は、上記実施形態の如く、ポリアミド系樹脂によって形成されたものに限定されず、ASA樹脂(アクリロニトリルスチレンアクリレート樹脂)、ポリアクリルやポリエステル等のポリアミド系樹脂以外の樹脂によって形成されたものに変更することも可能である。さらに、係合体の被覆体は、上記実施形態の如く、扁平な円柱状に形成したものに限定されず、直方体状に形成したものや扁平な角柱状に形成したもの等に変更することも可能である。加えて、被覆体は、庇体との対向側の表面(先端側の表面)の全体が外向きに凸な球面状になったものに限定されず、平面上の表面の空洞部際のみを外向きに凸な球面状としたもの等に変更することも可能である。さらに、被覆体は、上記実施形態の如く、貫通した空洞部を設けたものに限定されず、有底円柱状の空洞部を形成したもの(円柱状の窪みを形成したもの)でも良い。なお、上記実施形態の如く、貫通した空洞部を形成した場合には、内蔵されたワッシャーの爪とボスとの係合(噛合)状態を目視によって確認することができる、というメリットがある。
【0034】
加えて、係合体は、上記実施形態の如く、被覆体の内部に、ワッシャーを内蔵したものに限定されず、被覆体の中心にボスと圧着させるための円柱状の空洞部(あるいはテーパを設けた円柱状の空洞部)のみを設けたものでも良い。かかる構成を採用した場合でも、被覆体の先端側の表面を外向きに凸な曲面状に形成しておけば、係合体をボスの根元の適正な位置まで容易に嵌入する(外嵌する)ことが可能となるため、自動車への装着が非常に容易なものとなる。
【0035】
また、バイザー本体に設ける柱状ボスは、上記実施形態の如く、単純な円柱状のものに限定されず、円柱状の基端部の先端に当該基端部より径の小さな(外周の長さが基端部の外周よりも短い)小径部を形成したものに変更することもできる。かかる構成を採用した場合には、ボスへの係合体の外嵌が一層容易なものとなる、というメリットがある。
【0036】
一方、係合体のワッシャーは、扁平な台形状の係合爪(爪)を内向きに突出させたものに限定されず、先端を鋭角(たとえば、15度以上75度未満)に尖らせた係合爪17’,17’を内向きに突出させたもの等に変更することも可能である。なお、上記の如く、係合体を、先端を15度以上75度未満の鋭角に尖らせた係合爪を内向きに突出させたものとした場合には、バイザー本体のボスと係合爪との係合状態がきわめて強固なものとなるので、当着板が自動車の窓枠から剥がれた場合における自動車の窓枠からの脱離を高い精度で防止することが可能となる。加えて、係合体に設ける係合爪の個数は4個に限定されず、ワッシャーの強度や靭性等に応じて適宜変更することができる。
【0037】
また、本発明に係る自動車用バイザーは、上記実施形態の如く、取付部材の固着部をドアの窓枠に固着させる(係合させる)ものに限定されず、ドアに窓枠のないハードトップタイプの自動車等に装着できるように、取付部材の固着部を自動車のボディに固着させるもの(係合させる)に変更することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の自動車用バイザーは、上記の如く優れた効果を奏するものであるから、自動車の日除け、雨除け用の部材として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0039】
1・・バイザー本体
2・・庇体
3・・当着板
4・・柱状ボス(ボス)
7・・取付部材
9・・固着部
10・・ボス挿通孔
14・・係合体
15・・ボス挿入孔
17・・係合爪(爪)
21・・自動車
22・・窓枠
27・・ワッシャー
28・・被覆体
31・・自動車用バイザー