(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態を図面に基づき説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態の保護リレーシステムの構成を示すブロック図である。
【0012】
第1の実施形態の保護リレーシステムは、
図1に示すようにアナログフィルタ1、A/D(アナログ/ディジタル)変換部2、データ変換部3、ディジタルフィルタ4、演算部5を有する。
【0013】
アナログフィルタ1は、図示しないVT(Voltage Transformer)やCT(Current Transformer)といった計器用変成器から取得した電気量のアナログデータに対してノイズを除去するノイズ除去手段である。
【0014】
A/D変換部2は、アナログフィルタ1によってノイズが除去された電気量のアナログデータを取得し、ディジタルデータに変換する変換部、変換手段である。
【0015】
データ変換部3は、A/D変換部2によって変換された電気量のディジタルデータを取得し、サンプリング間隔の変換を行う変換部、変換手段である。CPUなどのプロセッサがプログラムを実行することによって実現される。
【0016】
ディジタルフィルタ4は、データ変換部3によってサンプリング間隔の変換されたディジタルデータに対してノイズを除去するノイズ除去手段である。
【0017】
演算部5は、ディジタルフィルタ4によってノイズの除去されたディジタルデータを取得し、電力系統の事故等を検知する保護リレー演算を行う演算部、演算手段である。CPUなどのプロセッサがプログラムを実行することによって実現される。
【0018】
次に動作について
図2を用いて説明する。
図2は第1の実施形態の保護リレーシステムの動作を示すフローチャートである。
【0019】
アナログフィルタ1は、図示しないVTやCTといった計器用変成器から取得した電気量のアナログデータに対してノイズを除去する(ステップS101)。
【0020】
A/D変換部2は、アナログフィルタ1によってノイズが除去された電気量のアナログデータを取得し、ディジタルデータに変換する(ステップS102)。
【0021】
データ変換部3は、A/D変換部2によって変換された電気量のディジタルデータを取得し、サンプリング間隔の変換を行う(ステップS103)。
【0022】
ディジタルフィルタ4は、データ変換部3によってサンプリング間隔の変換されたディジタルデータに対してノイズを除去する(ステップS104)。
【0023】
演算部5は、ディジタルフィルタ4によってノイズの除去されたディジタルデータを取得し、電力系統の事故等を検知する保護リレー演算を行う。そして、図示しない遮断器を開放するか否かの判定を行う(ステップS105)。
【0024】
以下に、(ステップS103)におけるサンプリング間隔の変換方法について述べる。
【0025】
具体例として
図3に示すように、サンプリング間隔が電気角で4.5°のデータDをサンプリング間隔が電気角で7.5°のデータAに変換する場合を考える。
【0026】
A
0=D
0とすると、A
1の電気角は7.5°であるため、D
1(電気角4.5°)とD
2(電気角9°)の間に存在する。そのため、D
1とD
2を用いてA
1を得る。同様にA
2の電気角は15°であるため、D
3(電気角13.5°)とD
4(電気角18°)の間に存在する。そのため、D
3とD
4を用いてA
2を得る。A
3の電気角は22.5°であるため、A
3=D
5となり、A
1およびA
2と同様の求め方を行うことでA
4以降も算出することが可能である。
【0027】
ここでA
0=D
0であるため、A
0についてはD
0が到着したタイミングで使用可能であるが、A
1はD
1とD
2から計算されるため、計算時間を省略して考えるとA
1はD
2が到着したタイミングで使用可能となる。同様にA
2はD
4が到着したタイミングで使用可能となる。そのため、A
0とA
1の時間間隔は電気角で9°、A
1とA
2の時間間隔も電気角で9°であるが、A
2とA
3の時間間隔は電気角で4.5°となり、データの時間間隔が異なることになる。
【0028】
そこで、
図3に示すような時間間隔が電気角で7.5°となるタイミングパルスを用いる。tA
0をD
1が到着したタイミングに合せることで、tA
0のタイミングではA
0が使用可能であり、tA
1のタイミングではA
1が、tA
2のタイミングではA
2がそれぞれ使用可能である。このタイミングで変換後のデータA
0,A
1,A
2・・・を使用することで、時間間隔が電気角で7.5°の等間隔のデータを得ることができる。
【0029】
ただし、上記の方法は一例であり、tA
0をD
1が到着したタイミングに合せる代わりに、tA
2をD
4が到着したタイミングに合せてもよい。
【0030】
次にサンプリング間隔変換後のデータの算出方法を説明する。
【0031】
変換前のデータのサンプリング間隔をp、変換後のデータのサンプリング間隔をqとし、前提としてpとqは有理数であり、q>pを満たすものとする。
【0032】
また、q/pが自然数である場合は、q/p個ごとの変換前のデータと変換後のデータが一致するため、サンプリング間隔の変換は必要ない。そのため、q/pが帯分数で表されるものを対象とする。
【0033】
ここでは、
q/p=k
1+l
1/m (1)
とする。
【0034】
変換前のデータDを変換後のデータAに変換する場合を考え、A
0=D
0、a=k
1b=k
1+1とすると、A
1はD
aとD
bの間のサンプル値になる。そのため、D
aとD
bを用いて線形補間を行うことにより、
A
1=D
a×{(m−l
1)/m}+D
b×(l
1/m) (2)
を得る。
【0035】
次に
(k
1+l
1/m)+(k
1+l
1/m)=k
2+l
2/m (3)
とし、c=k
2、d=k
2+1とすると、A
2はD
cとD
dの間のサンプル値になる。そのため、D
cとD
dを用いて線形補間を行うことにより、
A
2=D
c×{(m−l
2)/m}+D
d×(l
2/m) (4)
を得る。
【0036】
同様に
(k
1+l
1/m)+(k
2+l
2/m)=k
3+l
3/m (5)
とし、e=k
3、f=k
3+1とすると、A
3はD
eとD
fの間のサンプル値になる。そのため、D
eとD
fを用いて線形補間を行うことにより、
A
3=D
e×{(m−l
3)/m}+D
f×(l
3/m) (6)
を得る。
【0038】
計算を行っていくと、A
m=D
g(g=k
1×m+l
1)となり、このときは、A
0=D
0の場合と同様に変換前のデータの時刻および値と変換後のデータの時刻および値が一致する。そのため、A
m+1以降も上述の変換方法を繰り返すことによって、変換後のデータAを求めていくことが可能である。
【0039】
具体例として、
図3に示したサンプリング間隔が電気角で4.5°のデータDをサンプリング間隔が電気角で7.5°のデータAに変換する場合を考える。
【0040】
この場合、p=4.5、q=7.5であり、q/p=1+2/3であるため、数式(1)よりk
1=1、l
1=2、m=3となる。
【0041】
数式(2)より
A
1=D
1×1/3+D
2×2/3 (7)
を得る。
【0042】
ここで、(k
1+l
1/m)+(k
1+l
1/m)=3+1/3であるため、数式(3)よりk
2=3、l
2=1、m=3となる。
【0043】
数式(4)より
A
2=D
3×2/3+D
4×1/3 (8)
を得る。
【0044】
m=3であるため、
A
3=D
5 (9)
となり、A
4以降についても同様に変換後のデータを算出することが可能である。
【0045】
しかし、一般的な保護リレーシステムで扱う波形の多くが商用周波の正弦波であり、2つのサンプル値の線形補間では、変換後の値の大きさは真値に比べて小さくなる。変換前のサンプリング間隔が比較的大きい場合には、変換前のサンプリング間隔が小さい場合に比べて、この誤差が大きくなる。そのため、変換後のデータの補正が必要となる。
【0046】
変換後のデータの補正について
図4を用いて説明する。
【0047】
数式(2)で示したように、D
a(a=k
1)とD
b(b=k
1+1)からA
1を算出する場合を考え、
図4中の三角形OD
aD
bは1つの頂点が半径1の単位円の中心にあり、残りの2点が単位円の円周上に存在する二等辺三角形である。
【0048】
D
a(a=k
1)とD
b(b=k
1+1)から線形補間によって得られるデータA
1は真値Xに対して、A
1Xの長さだけ小さくなる。
【0049】
ここで、角OD
aA
1および角OD
bA
1をα、角OA
1D
aをγ1
1、角OA
1D
bをγ2
2とする。
【0050】
また、角D
aOD
bをm×βとすると、D
aA
1:D
bA
1=l
1:m−l
1であるため、角D
aOA
1はβ×l
1、角D
bOA
1はβ×(m−l
1)となる。
【0051】
よって、
α=(180°−m×β)/2 (10)
γ1
1=(180°−α−β×l
1) (11)
γ2
1={180°−α−β×(m−l
1)} (12)
が得られる。
【0052】
三角形OD
aA
1に対して正弦法則を考えると、
OA
1/sinα=1/sinγ1
1 (13)
1=OA
1×(sinγ1
1/sinα) (14)
同様に、三角形OD
bA
1に対して正弦法則を考えると、
OA
1/sinα=1/sinγ2
1 (15)
1=OA
1×(sinγ2
1/sinα) (16)
OXの長さは1であるため、数式(14)、(16)より、線形補間したデータに対して補正係数(sinγ1
1/sinα)および(sinγ2
1/sinα)を掛け合わせることで、変換後のデータの精度を向上させることが可能となる。
【0053】
すなわち、数式(2)、(4)、(6)に補正係数を掛け合わせることで以下の式が得られる。
【0056】
ここで、a=k
1,b=k
1+1とし、数式(17)は以下の条件式を満たす。
【0057】
α=(180°−m×β)/2 (18)
γ1
1=(180°−α−β×l
1) (19)
γ2
1={180°−α−β×(m−l
1)} (20)
A
2は、
【数2】
【0059】
ここで、a=k
2,b=k
2+1とし、数式(21)は以下の条件式を満たす。
【0060】
α=(180°−m×β)/2 (22)
γ1
2=(180°−α−β×l
2) (23)
γ2
2={180°−α−β×(m−l
2)} (24)
A
3は、
【数3】
【0062】
ここで、a=k
3,b=k
3+1とし、数式(25)は以下の条件式を満たす。
【0063】
α=(180°−m×β)/2 (26)
γ1
3=(180°−α−β×l
3) (27)
γ2
3={180°−α−β×(m−l
3)} (28)
A
4以降も同様に求めることが可能であり、一般化すると以下のように表される。
【0065】
ここで、a=k
i,b=k
i+1とし、pを変換前のデータのサンプリング間隔、qを変換後のデータのサンプリング間隔、nは、pとqの最小公倍数とすると、数式(30)は以下の条件式を満たす。
【0066】
k
1+l
1/m=q/p (31)
【数5】
【0067】
α=(180°−m×β)/2 (33)
γ1
i=(180°−α−β×l
i) (34)
γ2
i={180°−α−β×(m−l
i)} (35)
t=n/q−1 (36)
β=p/m (37)
具体例として、上述したサンプリング間隔が電気角で4.5°のデータDをサンプリング間隔が電気角で7.5°のデータAに変換する場合を考える。
【0068】
m×β=4.5°、m=3であるため、β=1.5°である。
【0069】
また、数式(33)よりα=87.75°、l
1=2、l
2=1であるため、数式(34)、(35)よりγ1
1=89.25°、γ2
1=90.75°、γ1
2=90.75°、γ2
2=89.25°となる。
【0070】
よって、補正係数はそれぞれ、
(sinγ1
1/sinα)=(sin89.25°/sin87.75°) (38)
(sinγ2
1/sinα)=(sin90.75°/sin87.75°) (39)
(sinγ1
2/sinα)=(sin90.75°/sin87.75°) (40)
(sinγ2
2/sinα)=(sin89.25°/sin87.75°) (41)
となる。
【0071】
数式(7)、(8)にこれらの補正係数を掛け合わせて、
【数6】
【数7】
【0073】
以上説明したように、この第1の実施形態の保護リレーシステムでは、ディジタルデータのサンプリング間隔の変換が可能である。サンプリング間隔の変換方法として、線形補間を行い、補正係数を掛け合わせているため誤差を小さくすることができる。また、正弦波などの波形の式を求める必要がないため、事故等により波形が変化した場合でもサンプリング間隔の変換が可能である。
【0074】
<第1の実施形態の具体例1>
第1の実施形態の具体例として、
図5に示すようにサンプリング間隔が電気角で5.4°のデータDをサンプリング間隔が電気角で7.5°のデータAに変換する場合を考える。
【0075】
A
0=D
0とすると、A
1の電気角は7.5°であるため、D
1(電気角5.4°)とD
2(電気角10.8°)の間に存在する。そのため、D
1とD
2を用いてA
1を得る。同様にA
2の電気角は15°であるため、D
2(電気角10.8°)とD
3(電気角16.2°)の間に存在する。そのため、D
2とD
3を用いてA
2を得る。A
3以降についてもA
1およびA
2と同様の求め方を行うことで算出可能である。
【0076】
ここでA
0=D
0であるため、A
0についてはD
0が到着したタイミングで使用可能であるが、A
1はD
1とD
2から計算されるため、計算時間を省略して考えるとA
1はD
2が到着したタイミングで使用可能となる。同様にA
2はD
3が到着したタイミングで使用可能となる。そのため、A
0とA
1の時間間隔は電気角で10.8°、A
1とA
2の時間間隔は電気角で5.4°となり、データの時間間隔が異なることになる。
【0077】
そこで、
図5に示すような時間間隔が電気角で7.5°となるタイミングパルスを用いる。tA
0をD
1が到着したタイミングに合せることで、tA
0のタイミングではA
0が使用可能であり、tA
1のタイミングではA
1が、tA
2のタイミングではA
2がそれぞれ使用可能である。このタイミングで変換後のデータA
0,A
1,A
2・・・を使用することで、時間間隔が電気角で7.5°の等間隔のデータを得ることができる。
【0078】
本具体例の場合、p=5.4、q=7.5であり、q/p=1+7/18であるため、数式(1)よりk
1=1、l
1=7、m=18となる。
【0079】
数式(2)より
A
1=D
1×11/18+D
2×7/18 (44)
を得る。
【0080】
ここで、(k
1+l
1/m)+(k
1+l
1/m)=2+14/18であるため、数式(3)よりk
2=2、l
2=14、m=18となる。
【0081】
数式(4)より
A
2=D
2×4/18+D
3×14/18 (45)
を得る。
【0082】
ここで、(k
1+l
1/m)+(k
2+l
2/m)=4+3/18であるため、数式(5)よりk
3=4、l
3=3、m=18となる。
【0083】
数式(6)より
A
3=D
4×15/18+D
5×3/18 (46)
を得る。
【0084】
A
4以降も同様に算出可能である。m=18であるため、A
m=D
g(g=k
1×m+l
1)より、A
18=D
25となる。
【0086】
m×β=5.4°、m=18であるため、β=0.3°である。
【0087】
また、数式(33)よりα=87.3°、l
1=7、l
2=14、l
3=3であるため、数式(34)、(35)よりγ1
1=90.6°、γ2
1=89.4°、γ1
2=88.5°、γ2
2=91.5°、γ1
3=91.8°、γ2
3=88.2°となる。
【0088】
よって、補正係数はそれぞれ、
(sinγ1
1/sinα)=(sin90.6°/sin87.3°) (47)
(sinγ2
1/sinα)=(sin89.4°/sin87.3°) (48)
(sinγ1
2/sinα)=(sin88.5°/sin87.3°) (49)
(sinγ2
2/sinα)=(sin91.5°/sin87.3°) (50)
(sinγ1
3/sinα)=(sin91.8°/sin87.3°) (51)
(sinγ2
3/sinα)=(sin88.2°/sin87.3°) (52)
となる。
【0089】
数式(44)、(45)、(46)にこれらの補正係数を掛け合わせて、
【数8】
【数9】
【数10】
【0090】
を得る。A
4以降も同様に算出可能であり、一般式で表すと数式(29)、(30)のように表現される。
【0091】
<第1の実施形態の具体例2>
第1の実施形態の具体例として、
図6に示すようにサンプリング間隔が電気角で1.40625°のデータDをサンプリング間隔が電気角で3.75°のデータAに変換する場合を考える。
【0092】
A
0=D
0とすると、A
1の電気角は3.75°であるため、D
2(電気角2.8125°)とD
3(電気角4.21875°)の間に存在する。そのため、D
2とD
3を用いてA
1を得る。同様にA
2の電気角は7.5°であるため、D
5(電気角7.03125°)とD
6(電気角8.4375°)の間に存在する。そのため、D
5とD
6を用いてA
2を得る。A
3以降についてもA
1およびA
2と同様の求め方を行うことで算出可能である。
【0093】
ここでA
0=D
0であるため、A
0についてはD
0が到着したタイミングで使用可能であるが、A
1はD
2とD
3から計算されるため、計算時間を省略して考えるとA
1はD
3が到着したタイミングで使用可能となる。同様にA
2はD
6が到着したタイミングで使用可能となる。そのため、A
0とA
1の時間間隔は電気角で4.21875°、A
1とA
2の時間間隔も電気角で4.21875°であるが、A
2とA
3の時間間隔は電気角で2.8125°となり、データの時間間隔が異なることになる。
【0094】
そこで、
図6に示すような時間間隔が電気角で3.75°となるタイミングパルスを用いる。tA
0をD
1が到着したタイミングに合せることで、tA
0のタイミングではA
0が使用可能であり、tA
1のタイミングではA
1が、tA
2のタイミングではA
2がそれぞれ使用可能である。このタイミングで変換後のデータA
0,A
1,A
2・・・を使用することで、時間間隔が電気角で3.75°の等間隔のデータを得ることができる。
【0095】
ただし、上記の方法は一例であり、tA
0をD
1が到着したタイミングに合せる代わりに、tA
2をD
7が到着したタイミングに合せてもよい。
【0096】
本具体例の場合、p=1.40625、q=3.75であり、q/p=2+2/3であるため、数式(1)よりk
1=2、l
1=2、m=3となる。
【0097】
数式(2)より
A
1=D
2×1/3+D
3×2/3 (56)
を得る。
【0098】
ここで、(k
1+l
1/m)+(k
1+l
1/m)=5+1/3であるため、数式(3)よりk
2=5、l
2=1、m=3となる。
【0099】
数式(4)より
A
2=D
5×2/3+D
6×1/3 (57)
を得る。
【0100】
また、m=3であるため、A
m=D
g(g=k
1×m+l
1)より、A
3=D
8となる。
【0103】
m×β=1.40625°、m=3であるため、β=0.46875°である。
【0104】
また、数式(33)よりα=89.296875°、l
1=2、l
2=1であるため、数式(34)、(35)よりγ1
1=89.765625°、γ2
1=90.234375°、γ1
2=90.234375°、γ2
2=89.765625°となる。
【0105】
よって、補正係数はそれぞれ、
【数11】
【数12】
【数13】
【数14】
【0107】
数式(56)、(57)にこれらの補正係数を掛け合わせて、
【数15】
【数16】
【0108】
を得る。A
3以降も同様に算出可能であり、一般式で表すと数式(29)、(30)のように表現される。
【0109】
<第1の実施形態の具体例3>
第1の実施形態の具体例として、
図7に示すようにサンプリング間隔が電気角で1.40625°のデータDをサンプリング間隔が電気角で4.5°のデータAに変換する場合を考える。
【0110】
A
0=D
0とすると、A
1の電気角は4.5°であるため、D
3(電気角4.21875°)とD
4(電気角5.625°)の間に存在する。そのため、D
3とD
4を用いてA
1を得る。同様にA
2の電気角は9°であるため、D
6(電気角8.4375°)とD
7(電気角9.84375°)の間に存在する。そのため、D
6とD
7を用いてA
2を得る。A
3以降についてもA
1およびA
2と同様の求め方を行うことで算出可能である。
【0111】
ここでA
0=D
0であるため、A
0についてはD
0が到着したタイミングで使用可能であるが、A
1はD
3とD
4から計算されるため、計算時間を省略して考えるとA
1はD
4が到着したタイミングで使用可能となる。同様にA
2はD
7が到着したタイミングで使用可能となる。そのため、A
0とA
1の時間間隔は電気角で5.625°、A
1とA
2の時間間隔は電気角で4.21875°となり、データの時間間隔が異なることになる。
【0112】
そこで、
図7に示すような時間間隔が電気角で4.5°となるタイミングパルスを用いる。tA
0をD
1が到着したタイミングに合せることで、tA
0のタイミングではA
0が使用可能であり、tA
1のタイミングではA
1が、tA
2のタイミングではA
2がそれぞれ使用可能である。このタイミングで変換後のデータA
0,A
1,A
2・・・を使用することで、時間間隔が電気角で4.5°の等間隔のデータを得ることができる。
【0113】
ただし、上記の方法は一例であり、tA
0をD
1が到着したタイミングに合せる代わりに、tA
4をD
14が到着したタイミングに合せてもよい。
【0114】
本具体例の場合、p=1.40625、q=4.5であり、q/p=3+1/5であるため、数式(1)よりk
1=3、l
1=1、m=5となる。
【0115】
数式(2)より
A
1=D
3×4/5+D
4×1/5 (64)
を得る。
【0116】
ここで、(k
1+l
1/m)+(k
1+l
1/m)=6+2/5であるため、数式(3)よりk
2=6、l
2=2、m=5となる。
【0117】
数式(4)より
A
2=D
6×3/5+D
7×2/5 (65)
を得る。
【0118】
ここで、(k
1+l
1/m)+(k
2+l
2/m)=9+3/5であるため、数式(5)よりk
3=9、l
3=3、m=5となる。
【0119】
数式(6)より
A
3=D
9×2/5+D
10×3/5 (66)
を得る。
【0120】
また、(k
1+l
1/m)+(k
3+l
3/m)=9+3/5であるため、k
4=9、l
4=3、m=5となる。
【0121】
よって同様に
A
4=D
12×1/5+D
13×4/5 (67)
を得る。
【0122】
m=5であるため、A
m=D
g(g=k
1×m+l
1)より、A
5=D
16となる。A
6以降も同様に算出可能である。
【0124】
m×β=1.40625°、m=5であるため、β=0.28125°である。
【0125】
また、数式(33)よりα=89.296875°、l
1=1、l
2=2、l
3=3、l
4=4であるため、数式(34)、(35)よりγ1
1=90.421875°、γ2
1=89.578125°、γ1
2=90.140625°、γ2
2=89.859375°、γ1
3=89.859375°、γ2
3=90.140625°、γ1
4=89.578125°、γ2
4=90.421875°となる。
【0126】
よって、補正係数はそれぞれ、
【数17】
【数18】
【数19】
【数20】
【数21】
【数22】
【数23】
【数24】
【0128】
数式(64)乃至(67)にこれらの補正係数を掛け合わせて、
【数25】
【数26】
【数27】
【数28】
【0129】
を得る。A
5以降も同様に算出可能であり、一般式で表すと数式(29)、(30)のように表現される。
【0130】
なお、
図1におけるアナログフィルタ1およびA/D変換部2は必須の構成要素ではなく、A/D変換は保護リレーシステムの外部で行われてもよい。そして、本実施形態の保護リレーシステムは、伝送路を介して、外部でディジタル変換されたデータを取得してもよい。
【0131】
また、必要とされるサンプリング周波数よりも高い周波数でサンプリングを行う、いわゆるオーバーサンプリング手法を用いた場合でも本実施形態の保護リレーシステムは適用可能である。
【0132】
本発明の実施形態について説明したが、本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。本実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。