(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支持部材は、前記落下防止壁よりも下方に配置された回転シャフトを中心として、当該支持部材が前記搬器または前記パレットを支持するとともに前記落下防止壁が水平となる支持位置と、当該支持部材が前記デッキ部の下方に退避するとともに前記落下防止壁が傾斜する退避位置との間で揺動するように構成されており、
前記支持部材は、前記落下防止壁の前記搬器と反対側の端部から立ち上がる側壁をさらに含む、請求項1に記載の駐車装置。
前記支持部材は、前記落下防止壁よりも下方に配置された回転シャフトを中心として、当該支持部材が前記搬器または前記パレットを支持するとともに前記落下防止壁が水平となる支持位置と、当該支持部材が前記デッキ部の下方に退避するとともに前記落下防止壁が傾斜する退避位置との間で揺動するように構成されており、
前記支持部材は、前記落下防止壁に対して前記搬器と反対側に配置された、前記落下防止壁に隣接する溝を形成する受け部材を含む、請求項1に記載の駐車装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0019】
図1〜
図3に、本発明の一実施形態に係る駐車装置1を示す。この駐車装置1は、乗入階3を挟んで上下に複数の駐車棚11が配列された中間乗入方式のエレベータ式駐車装置である。ただし、本発明は、乗入階の下方に複数の駐車棚が配列された上部乗入方式のエレベータ式駐車装置にも適用可能である。あるいは、本発明は、エレベータ式以外の例えば地下式や平面往復式などの駐車装置にも適用可能である。すなわち、本発明は、後述する昇降路10が乗入階3から少なくとも下方に延びている限り、どのような駐車装置にも適用可能である。
【0020】
具体的に、駐車装置1は、地表面4から窪むピット5内に立設された四角柱状の駐車塔2を有している。駐車塔2は、鉄骨構造体と鉄骨構造体の地上に露出する部分を覆う外装材とからなり、駐車塔2における地表面4から所定高さまでの部分が乗入階3となっている。乗入階3の床面は地表面4とほぼ同じレベルに位置し、乗入階3には入出庫口6が設けられている。また、駐車塔2には、入出庫口6を開閉する昇降式の入出庫口扉7が設けられ、入出庫口扉7の側方には、運転操作盤8が設けられている。
【0021】
本実施形態では、鉄骨構造体が
図2に示すように四隅に配置された主柱を有しているが、鉄骨構造体は、主柱の代わりに後述する棚柱12を骨格として構成されていてもよい。また、駐車塔2は、必ずしも自立したものである必要はなく、例えばビルなどの建造物に組み込まれていてもよい。
【0022】
乗入階3においては、後述する旋回装置26により、車両Vを搭載するためのパレット20が、当該パレット20の延在方向が入出庫方向(入出庫口6を車両Vが通過する方向)と合致する第1状態と、当該パレット20の延在方向が入出庫方向と異なる格納方向と合致する第2状態との間で旋回させられる。本実施形態では、格納方向が入出庫方向と直交している。ただし、入出庫方向と格納方向とがなす角度(旋回角度)は必ずしも90度である必要はなく、例えば45〜135度の範囲内であってもよい。あるいは、格納時のパレット20の延在方向が入出庫方向と一致する場合は、パレット20は180度旋回させられてもよい。以下では説明の便宜のために、
図2に示すように、入出庫方向をX方向、格納方向をY方向というとともに、X方向のうちの入出庫口6側を前方、その反対側を後方といい、Y方向のうち
図2の上側を左方、下側を右方という。
【0023】
駐車塔2のX方向の中央部には、Y方向に引き延ばされた断面形状の昇降路10が乗入階3から下方および上方に延びるように形成され、上述した駐車棚11は、昇降路10の両側に二列で鉛直方向に配列されている。各駐車棚11は、当該駐車棚11のY方向の両側に配置された鉛直方向に延びる棚柱12に支持されている。
【0024】
昇降路10内には、第2状態のパレット2を当該昇降路10に沿って昇降させる搬器13が配置されている。搬器13は、駐車塔2の上部に設けられたエレベータ昇降駆動部14によって巻かれる昇降用ワイヤロープ15によって昇降させられる本体部17を有している。この昇降用ワイヤロープ15の反エレベータ側には、カウンタウエイト16が設けられている。また、本体部17には、パレット20を当該搬器13と駐車棚11との間で移載するパレット移載機構25が設けられている。
【0025】
搬器13の本体部17には、当該搬器13が
図1に二点鎖線で示す入出庫位置に位置するときに、パレット20を持上げて旋回させる、持ち上げ機能付きの旋回装置26が設けられている。本体部17は、
図2および
図3に示すように、昇降路10の四隅近傍に位置する棚柱12によってガイドされる枠体30を有している。
図4に示すように、枠体30の中央部には、下方に向けて突出する突出部38が設けられており、この突出部38に旋回装置26が組み付けられている。なお、
図4では、旋回装置26の構成を明らかにするために、枠体30および突出部38を二点鎖線で描いている。
【0026】
具体的に、旋回装置26は、パレット20を支える旋回台27と、旋回台27を旋回させる旋回機構24と、旋回機構24が取り付けられた昇降体62と、昇降体62を昇降させる昇降機構63と、を含む。突出部38には固定側ガイド60が設けられている一方、昇降体62には固定側ガイド60と摺動可能に嵌合する昇降側ガイド61が設けられている。本実施形態では、昇降機構63は、昇降用モータ64で駆動する昇降用チェーン65で昇降体62を固定側ガイド60に沿って昇降させるチェーン・スプロケット機構である。ただし、昇降機構63は、油圧シリンダなどを用いた他の機構であってもよい。
【0027】
旋回台27を旋回させる旋回機構24は、昇降体62に設けられた旋回用モータ66と、旋回用モータ66に固定された駆動歯車67と噛合する、旋回台27に固定された被動歯車68を有する。旋回台27の上面には載置板69が設けられており、この載置板69にパレット20が載置されるようになっている。
【0028】
このような構成の旋回装置26は、入庫時に、旋回台27を上昇させることにより、車両Vが搭載されたパレット20を、当該パレット20の車輪走行面86が乗入階3の床面と面一となる乗入レベルからこれよりも上方の持上げ旋回レベルまで持ち上げる。ついで、旋回台27をパレット20と共に旋回させた後に、旋回台27を下降させることにより、パレット20を搬器13の本体部17上(正確には、後述するパレット載置横行支持機構55上)に載置する。
【0029】
図2に戻って、乗入階3には、当該乗入階3のフラットな床面を構成する前側デッキ部3Aおよび後側デッキ部3Bが配置されている。これらのデッキ部3A,3Bは、パレット20および搬器13が通過可能な開口37によってX方向に隔てられている。前側デッキ部3Aおよび後側デッキ部3Bのそれぞれは、Y方向に互いに離間し、それらの間に第1状態のパレット20を沈み込ませるためのスペース39を形成する一対の固定デッキ(32または33)を有している。また、前側デッキ部3Aは、固定デッキ32と入出庫口6の間で固定デッキ32同士に跨って延びる第1繋ぎデッキ31を有し、後側デッキ部3Bは、固定デッキ33の後方で固定デッキ33同士に跨って延びる第2繋ぎデッキ34を有している。
【0030】
搬器13の本体部17には、第1状態のパレット20の傍らで開口37(正確には、前側デッキ部3Aの固定デッキ32と後側デッキ部3Bの固定デッキ33の間の領域)を塞ぐための可動デッキとして、パレット20に隣接する内側可動デッキ35と、内側可動デッキ35に対してパレット20と反対側に位置する外側可動デッキ81が設けられている。これらの可動デッキ35,81は、昇降路10に対して進退可能な後述する支持部材90によって支持され、これにより内側可動デッキ35および外側可動デッキ81が前側デッキ部3Aおよび後側デッキ部3Bと同一レベルに保持される。本実施形態では、内側可動デッキ35および外側可動デッキ81の双方が搬器13に上下動自在に取り付けられている。ここで、「上下動自在」とは、搬器に可動デッキを昇降させる駆動源が設けられておらず、可動デッキが外力によって自由に上下動できることをいう。なお、搬器13は基本的に左右対称に構成されているため、以下では特記する場合を除いて搬器13の片側部分(1つの内側可動デッキ35および1つの外側可動デッキ81)に着目して説明する。
【0031】
内側可動デッキ35および外側可動デッキ81のそれぞれは、
図8に示すように、平面視で矩形枠状のフレームと、このフレームの上面に固定されたプレートとからなる。
【0032】
図3に示すように、内側可動デッキ35の下方には、クランクアーム43およびこのクランクアーム43を旋回させるアーム旋回機構40が配置されている。これらのクランクアーム43およびアーム旋回機構40は、上述したパレット移載機構25を構成する。すなわち、本実施形態におけるパレット移載機構25は、旋回台27の左右に2本のクランクアーム43を有するツインクランクアーム方式である。なお、パレット移載機構25は、クランクアーム43の回転中心を搬器13の幅方向中心と一致させることで構造を簡単にしている。
【0033】
クランクアーム43の先端には鉛直支持体42が上向きに突設されており、この鉛直支持体42の上端には係合ローラ41が設けられている(詳しくは、
図5参照)。一方、パレット20における駐車棚11に格納されたときに昇降路10に臨む側の長辺には、Y方向の中央に、下方に開口して係合ローラ41と係合し得る横行移載用溝部材21が設けられている。クランクアーム43の基部44は、水平回転可能に支承されている。本実施形態では、パレット20の駐車棚11から搬器13への移載時にクランクアーム43を内回りに旋回させることによって、係合ローラ41がパレット20の溝部材21内を転動しながらパレット20を横行させるようになっている。
図3中の一点鎖線の円は、クランクアーム43で右側のパレット20を搬器13に移載する時の係合ローラ41の軌跡を示している。上述した旋回台27は、
図13に示すように、通常(すなわち、パレット20を持ち上げないとき)はクランクアーム43よりも下方に位置している。なお、パレット20の長辺の両端部に一対の溝部材21を設ければ、駐車棚11から搬器13へのパレット20の移載時にクランクアーム43を外回りで旋回させることも可能である。
【0034】
より詳しくは、
図5に示すように、アーム旋回機構40は、搬器13の枠体30から鉛直上向きに立ち上がる固定筒体70と、この固定筒体70の外周面に軸受を介して回転可能に取り付けられた回転筒体71とを有している。回転筒体71には被動歯車72が設けられ、この被動歯車72が駆動モータ73(
図3参照)によって回転駆動されるようになっている。被動歯車72が回転駆動されると、回転筒体71に結合されたクランクアーム43が一体的に回転させられる。この回転筒体71がクランクアーム43の基部44である。
【0035】
上述した内側可動デッキ35の下面の中央には、鉛直方向に延びる内筒74が支持板77を介して設けられている。この内筒74は、固定筒体70内に摺動自在に挿入されている。内筒74には、固定筒体70の内周面に設けられた縦溝75に沿って摺動する縦突起76が設けられており、この縦突起76が縦溝75に嵌合することで、内筒74が回転することなく鉛直方向に摺動するようになっている。すなわち、内側可動デッキ35は、固定筒体70によって上下動自在に支持されている。
【0036】
一方、外側可動デッキ81の下面の四隅近傍には、
図9に示すように、鉛直方向に延びるガイド棒83が設けられている。これらのガイド棒83は、搬器13の枠体30に設けられたガイド筒体82内に摺動自在に挿入されている。すなわち、外側可動デッキ81は、ガイド筒体82によって上下動自在に支持されている。外側可動デッキ81は、通常は自重によりクランクアーム43よりも下方に位置している。このため、搬器13が入出庫位置に位置しているとき(すなわち、内側可動デッキ35および外側可動デッキ81が支持部材90に支持されたとき)以外は、内側可動デッキ35と外側可動デッキ81との間に段差が形成されている。
【0037】
なお、内側可動デッキ35および外側可動デッキ81を上下動自在に支持する構造は上述したものに限らず、リンク機構、リニアガイド、ローラとガイド板、シューとガイド板などを採用することも可能である。また、これらの構造は任意に組み合わせ可能であり、内側可動デッキ35と外側可動デッキ81のそれぞれで適切な構造を採用し得る。
【0038】
図3に示すように、搬器13の外側可動デッキ81の左右両側と、上述した駐車棚11の左右両端部とには、搬器13と駐車棚11との間で横行するパレット20を支持するパレット載置横行支持機構55が設けられている。
図6に示すように、第2状態のパレット20の下面におけるY方向の両端部には、X方向に延びる載置横材22が設けられている。パレット載置横行支持機構55は、載置横材22を案内するローラとして、パレット載置横行支持ローラ56とサイド規制用ローラ57を有している。そして、パレット20は、これらのローラ56,57にガイドされながら搬器13と駐車棚11との間で移載されるようになっている。
【0039】
さらに、本実施形態では、
図2に示すように、搬器13に上下動自在に取り付けられた内側可動デッキ35および外側可動デッキ81を用いて、前側デッキ部3Aおよび後側デッキ部3Bと連続した床面を形成するための構成として、前側デッキ部3Aの固定デッキ32および後側デッキ部3Bの固定デッキ33のそれぞれの下方に支持機構9が配置されている。これらの支持機構9は全て同様の構成であるため、以下では
図7(a)および(b)ならびに
図8を参照して、右後の支持機構9の構成を詳細に説明する。
【0040】
支持機構9は、昇降路10内に進出して内側可動デッキ35および外側可動デッキ81を支持する支持位置と、固定デッキ33の下方に後退する後退位置との間で移動する支持部材90を備えている。内側可動デッキ35および外側可動デッキ81が支持部材90に支持されると、内側可動デッキ35および外側可動デッキ81の上面が固定デッキ32および固定デッキ33の上面と同一平面上に位置し、内側可動デッキ35および外側可動デッキ81が前側デッキ部3Aおよび後側デッキ部3Bと同一レベルに保持される。
【0041】
本実施形態では、支持部材90がY方向に延びる回転シャフト92を含み、この回転シャフト92を中心として揺動するように構成されている。ただし、支持部材90は、支持位置と後退位置との間で例えば水平方向に進退可能に構成されていてもよい。
【0042】
回転シャフト92の両端部は、軸受99に回転可能に支持されている。軸受99は、後側固定デッキ33を支持する図略の梁に吊り下げられた、一対の断面L字状の柱98に取り付けられている。
【0043】
支持機構9は、支持部材90を駆動させる駆動源としてリニアアクチュエータ47を備えている。回転シャフト92には、当該回転シャフト92に貫通されるとともに回転シャフト92から下向きに尖るブラケット48が取り付けられている。リニアアクチュエータ47の一端は、このブラケット48の尖った部分にピン結合されている。一方、リニアアクチュエータ47の他端は、断面コ字状の柱45に取り付けられたブラケット46にピン結合されている。柱45は、例えば、上述した柱98が吊り下げられた梁と同じ梁に吊り下げられる。そして、リニアアクチュエータ47が伸長すると、支持部材90が
図8中に二点鎖線で示す退避位置に揺動し、リニアアクチュエータ47が短縮すると、支持部材90が
図8中に実線で示す支持位置に揺動する。
【0044】
ただし、支持部材90を揺動させる手段は、リニアアクチュエータ47に限らず、回転シャフト92に固定されたスプロケットとこれにチェーンを巻き掛けた機構や、ラックアンドピニオン機構などであってもよい。
【0045】
支持部材90は、回転シャフト92の他に、回転シャフト92よりも上方で回転シャフト92と平行に延びる連結部材91と、連結部材91と回転シャフト92とを結合する複数(図例では3つ)のアーム93とを有する。連結部材91は、内側可動デッキ35と外側可動デッキ81の合計幅と同程度の長さを有している。本実施形態では、連結部材91が、支持位置で上面および下面が水平となる角パイプからなる。連結部材91の上面には、可動デッキ35,81のコーナー近傍部分を受けるためのゴム板95が座を介して取り付けられている。なお、中央のゴム板95は、内側可動デッキ35と外側可動デッキ81とに共通に使用される。アーム93は、ゴム板95と対応する位置に配置されている。
【0046】
軸受99近くに位置する外側の各アーム93には、回転シャフト92からゴム板95と反対側に突出するステイ94が一体的に設けられている。ステイ94の先端には、支持部材90が支持位置に揺動したときに鉛直方向と平行となるゴム板96が座を介して取り付けられている。一方、柱98には、ゴム板96に面接触し得るように断面L字状のストッパー51が設けられている。すなわち、ストッパー51は、支持部材90が支持位置に揺動したときに、ゴム板96を介してステイ94に当接する。
【0047】
上述した一対の柱98には断面L字状の繋ぎ部材52が架け渡されている(
図7(a)では作図を省略)。この繋ぎ部材52には、内側可動デッキ35側のアーム93と対応する位置に、支持部材90が退避位置に揺動したときにアーム93に当接するストッパー53が設けられている。このストッパー53は、頭部にゴムが貼り付けられたボルト式のものである。
【0048】
さらに、本実施形態では、可動デッキ35,81と後側デッキ部3Bの間の隙間Gに小物が落下してもそれを回収可能にする構成が採用されている。具体的には、支持部材90が、回転シャフト92よりも上方に配置された、後側デッキ部3Bにおける開口37に臨む縁に沿って延びる落下防止部材97を含む。この落下防止部材97は、隙間Gのほぼ全長を担うように、連結部材91と同様に内側可動デッキ35と外側可動デッキ81の合計幅と同程度の長さを有している。
【0049】
より詳しくは、落下防止部材97は、支持部材90が昇降路10内に進出したときに隙間Gを下方から塞ぐ落下防止壁97aと、落下防止壁97aの搬器13と反対側の端部から垂直に立ち上がる側壁97bとを有し、断面L字状をなしている。落下防止壁97aは、連結部材91の上面に接合されている。このため、落下防止壁97aは、支持部材90が支持位置に揺動したときには水平となり、支持部材90が退避位置に揺動したときには開口37から遠ざかる方向に向かって先下がりに傾斜した状態となる。なお、落下防止壁97aには、ゴム板95用の座との干渉を回避するように切欠きが形成されている。
【0050】
支持部材90(回転シャフト92、アーム93、連結部材91および落下防止部材97)を構成する材料は特に限定されるものではないが、支持部材90は非磁性材料からなることが望ましい。これは、隙間Gに落下した小物が磁性材料からなる場合は、磁石を利用して小物を容易に拾い上げることができるからである。
【0051】
次に、
図9〜
図13を参照して、本実施形態の駐車装置1における入庫時の動作を説明する。
【0052】
図9に示すように、地上または地下の駐車棚11上の空パレット20を、搬器13が、クランクアーム43の内回り旋回により搬器13上に移載した上で、乗入階3に向けて下降または上昇する。このとき、支持部材90は退避位置に位置する。
【0053】
次に、搬器13が入出庫位置よりも僅かに上方に位置したときに、リニアアクチュエータ47が支持部材90を支持位置に揺動させる。その後、搬器13が下降することにより、
図10に示すように、まず外側可動デッキ81が支持部材90上に載置される。ついで、搬器13がさらに下降することにより、外側可動デッキ81と内側可動デッキ35の間の段差が徐々に小さくなり、内側可動デッキ35が支持部材90上に載置される。これにより、可動デッキ35,81が前側デッキ部3Aおよび後側デッキ部3Bと連続する床面を形成する。
【0054】
その後、搬器13がさらに下降することにより、パレット20が内側可動デッキ35および外側可動デッキ81に預けられて下降を停止し、クランクアーム43の係合ローラ41がパレット20の溝部材21から下方に離脱し始める。
【0055】
次に、
図11に示すように、搬器13に設けられた持上げ機能付きの旋回装置26が旋回台27を上昇させることにより、パレット20が係合ローラ41の上端がパレット20の溝部材21から完全に離脱するまで上昇させられる。その状態で、
図12に示すように、旋回台27が90度旋回し、パレット20が第2状態から第1状態まで90度方向転換されてその延在方向が入出庫口6(
図1参照)に差し向けられる。このパレット旋回中に、第1状態のパレット20が旋回後に下降したときに溝部材21に係合ローラ41が納まるように、クランクアーム43を僅かに外方に旋回させる(溝部材21が設けられていない側のクランクアーム43も同様)。
【0056】
次に、
図13に示すように、旋回装置26の下降動作により、旋回台27および第1状態のパレット20が一体的に下降し、パレット20の車輪走行面86が乗入階3の床面に整合したところでパレット20が前側デッキ部3Aおよび後側デッキ部3Bのスペース39に設けられた他の部材(図示せず)に預けられる。その後、旋回台27はさらに下降して元の位置に戻る。
【0057】
以上のような動作が行われることにより、パレット20の車輪走行面86、内側可動デッキ35、外側エレベータデッキ81、前側デッキ部3Aおよび後側デッキ部3Bが、全て乗入階3の床面と面一に整合し、乗入階3の全体を、段差の無い平坦な(パレット20の両長辺および中央の立ち上がり部等を除く)広々とした入出庫スペースに形成することができる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態の駐車装置1では、搬器13の可動デッキ35,81とデッキ部(3Aまたは3B)の間の隙間Gに小物が落下しても、その小物が落下防止壁97aで受け止められる。従って、落下した小物を隙間Gから回収することができる。また、落下防止壁97aは、可動デッキ35,81を支持するために進退可能に構成された支持部材90に設けられているので、落下物を回収するための専用のアクチュエータが不要である。
【0059】
また、落下防止壁97aの搬器13と反対側の端部からは側壁97bが立ち上がっているので、落下した小物が落下防止壁97a上で搬器13と反対側にバウンドしても側壁97bによりその小物を落下防止壁97a上に保持することができる。しかも、側壁97bは、支持部材90が退避位置に揺動して落下防止壁97aが傾斜したときには、小物が落下防止壁97a上から滑り落ちることを防止することができる。
【0060】
(変形例)
本発明は上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0061】
例えば、
図14に示す第1変形例の支持部材90Aのように、落下防止部材97に、落下防止壁97aの搬器13側の端部から立ち上がる第2の側壁97cが一体的に設けられていてもよい。この構成によれば、落下した小物が落下防止壁97a上で搬器13側にバウンドしても第2の側壁97cによりその小物を落下防止壁97a上に保持することができる。
【0062】
また、落下防止壁97aは、必ずしも連結部材91と別部材で構成されている必要はなく、連結部材91の一部であってもよい。例えば、
図15に示す第2変形例の支持部材90Bのように、第1連結部材91を隙間Gよりも大きな幅で上向きに開口する断面コ字状の溝部材で構成し、ゴム板95と対応する位置にはプレート91aを橋架してもよい。この場合、第1連結部材91の底部が落下防止壁97aとなり、両縦壁が側壁97bおよび第2の側壁97cとなる。この構成によれば、落下防止壁97aを含む落下防止部材97を連結部材91に接合する場合に比べて、部材を削減することができる。
【0063】
あるいは、
図16に示す第3変形例の支持部材90Cのように、支持部材90が支持位置に揺動したときに各パイプからなる連結部材91の上面が上下方向において隙間Gと重なり合うように連結部材91の位置を変更してもよい。この場合、連結部材91の互いに直交する4つの面部のうちの上面を構成する面部が落下防止壁97aとなる。また、この場合には、連結部材91に対して搬器13と反対側に受け部材97Aを配置してもよい。受け部材97Aは、落下防止壁97aよりも低い位置で上向きに開口する、連結部材91と同程度の長さの溝部材である。すなわち、受け部材97Aは、落下防止壁97aに隣接する溝を形成する。この構成によれば、支持部材90Cが退避位置に揺動して落下防止壁97aが傾斜したときに、小物が落下防止壁97a上から滑り落ちても、その小物を受け部材97Aで受け止めることができる。
【0064】
前記実施形態では内側可動デッキ35と外側可動デッキ81の双方が搬器13の本体部17に上下動自在に取り付けられていたが、内側可動デッキ35と外側可動デッキ81の一方のみが本体部17に上下動自在に取り付けられていてもよい。この場合、内側可動デッキ35と外側可動デッキ81の他方は、可動デッキを昇降させる昇降機構を介して本体部17に取り付けられていてもよいし、本体部17に固定されていてもよい。ただし、内側可動デッキ35と外側可動デッキ81は、双方が上下動自在であるか、一方が上下動自在であり、他方が昇降機構により昇降させられるかの、互いに独立して上下動可能であることが望ましい。あるいは、搬器13の本体部17には、内側可動デッキ35と外側可動デッキ81が一体となった可動デッキが上下動自在に取り付けられていてもよい。
【0065】
さらに、支持部材90は、必ずしも可動デッキを支持する必要はなく、支持位置では搬器13の本体部17またはパレット20を支持してもよい。支持部材90が搬器13の本体部17を支持する場合は、落下防止壁97aが本体部17とデッキ部(3Aまたは3B)の間の隙間を下方から塞げばよく、支持部材90がパレット20を支持する場合は、落下防止壁97aがパレット20とデッキ部(3Aまたは3B)の間の隙間を下方から塞げばよい。
【0066】
また、搬器13の本体部17には必ずしも旋回装置26が設けられている必要はなく、例えば
図2においてY方向の両側に入庫口および出庫口が別々に設けられていてもよい。