(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る発光装置の実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されないものである。
【0010】
<発光装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る発光装置1の概観斜視図であって、その一部を断面視している。
図2は、
図1に示す発光装置の断面図である。
図3は、
図2に示す発光装置の一部Aを拡大した拡大断面図である。
図4は、発光装置の透過平面図であって、波長変換部材、透光性樹脂および封止部材を取り除いた状態を示している。
図5は、発光装置の透過平面図であって、波長変換部材と枠体との位置関係を示している。なお、
図5では、透光性樹脂および封止部材は取り除いた状態である。
【0011】
発光装置1は、基板2と、基板2上に設けられた発光素子3と、基板2上に設けられた、発光素子3を取り囲む枠体4と、枠体4上に発光素子3を覆うように発光素子3と間を空けて設けられた、蛍光体5を含有するシート状の波長変換部材6と、枠体4上から波長変換部材6上にかけて設けられ、波長変換部材6を枠体4に固定した透光性樹脂7と、を備えている。さらに、波長変換部材6は、上面のうち外縁よりも内側に外縁に沿って連続して設けられた凹部Pを有し、透光性樹脂7の一部が凹部P内に入り込んでいる。なお、発光素子3は、例えば、発光ダイオードであって、半導体を用いたpn接合中の電子と正孔が再結合することによって発光する。
【0012】
基板2は、絶縁性の基板であって、例えば、アルミナまたはムライト等のセラミック材料、あるいはガラスセラミック材料等から成る。または、これらの材料のうち複数の材料を混合した複合系材料から成る。また、基板2は、基板2の熱膨張を調整することが可能な金属酸化物微粒子を分散させた高分子樹脂を用いることができる。
【0013】
基板2は、基板2の内外を電気的に導通する配線導体が形成されている。配線導体は、例えば、タングステン、モリブデン、マンガンまたは銅等の導電材料からなる。配線導体は、例えば、タングステン等の粉末に有機溶剤を添加して得た金属ペーストを、基板2となるセラミックグリーンシートに所定パターンで印刷し、複数のセラミックグリーンシートを積層して、焼成することにより得られる。なお、配線導体の表面には、酸化防止のために、例えば、ニッケルまたは金等の鍍金層が形成されている。また、基板2の上面には、基板2上方に効率良く光を反射させるために、配線導体および鍍金層と間を空けて、例えば、アルミニウム、銀、金、銅またはプラチナ等の金属反射層を形成してもよい。
【0014】
発光素子3は、基板2上に実装される。発光素子3は、基板2上に形成される配線導体の表面に被着する鍍金層上に、例えば、ろう材または半田を介して電気的に接続される。
【0015】
発光素子3は、透光性基体と、透光性基体上に形成される光半導体層とを有している。透光性基体は、有機金属気相成長法または分子線エピタキシャル成長法等の化学気相成長法を用いて、光半導体層を成長させることが可能なものであればよい。透光性基体に用いられる材料としては、例えば、サファイア、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、セレン化亜鉛、シリコンカーバイド、シリコンまたは二ホウ化ジルコニウム等を用いることができる。なお、透光性基体の厚みは、例えば50μm以上1000μm以下である。
【0016】
光半導体層は、透光性基体上に形成される第1半導体層と、第1半導体層上に形成される発光層と、発光層上に形成される第2半導体層とから構成されている。第1半導体層、発光層および第2半導体層は、例えば、III族窒化物半導体、ガリウム燐またはガリウム
ヒ素等のIII−V族半導体、あるいは、窒化ガリウム、窒化アルミニウムまたは窒化イン
ジウム等のIII族窒化物半導体などを用いることができる。なお、第1半導体層の厚みは
、例えば1μm以上5μm以下であって、発光層の厚みは、例えば25nm以上150nm以下であって、第2半導体層の厚みは、例えば50nm以上600nm以下である。また、このように構成された発光素子3では、例えば370nm以上430nm以下の紫外光から青色光の波長範囲の励起光を発する素子を用いることができる。
【0017】
枠体4は、基板2と同様にセラミック材料から成り、基板2上面に積層されて、例えば樹脂等を介して接続されている。枠体4は、基板2上の発光素子3を取り囲むように設けられている。なお、平面視して、枠体4の内壁面の形状を円形とすると、発光素子3が発光する光を全方向に反射させて外部に放出することができる。また、枠体4は、基板2の上面に基板2と一体となるように、両者を同時焼成して一体化してもよい。
【0018】
また、枠体4は、例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化イットリウム等のセラミック材料を所望の形状に形成して焼結された多孔質材料から構成してもよい。枠体4を多孔質材料から構成した場合は、枠体4は、発光素子3から発せられる光エネルギーによる反射率の低下や、機械的な強度劣化が抑制される。さらに、発光素子3からの光が、多孔質材料から成る枠体4の表面で拡散して反射される。よって、発光素子3から発せられる光は、波長変換部材6の一部に集中することなく、波長変換部材6に入射される。その結果、波長変換部材6は、波長変換部材6の一部が温度上昇することによる波長変換効率の低下や、波長変換部材6の一部が温度上昇することによる透過率や機械的強度の劣化が抑制される。
【0019】
また、枠体4で囲まれる領域は、下部から上部に向かって幅広に傾斜するとともに、枠体4の上端内側には段差4aが設けられている。なお、枠体4の傾斜する内壁面には、例えば、タングステン、モリブデン、銅または銀等から成る金属層と、金属層を被覆するニッケルまたは金等から成る鍍金金属層が形成されてもよい。この鍍金金属層は、発光素子3の発する光を反射させる機能を有する。
【0020】
また、枠体4の内壁面の傾斜角度は、基板2の上面に対して例えば55度以上70度以下の角度に設定されている。また、枠体4の内壁面の表面粗さは、算術平均粗さRaが例えば、1μm以上3μm以下に設定されている。
【0021】
枠体4の段差4aは、波長変換部材6を支持する機能を有している。段差4aは、枠体4の上部の一部を内側に向けて切欠いたものであって、枠体4の内周面を一周するように連続して設けられており、波長変換部材6の端部を支持することができる。
【0022】
段差4a個所における枠体4の内面は、波長変換部材6の下面と当接する支持面4x、および波長変換部材6の側面と間をあけて設けられた内壁面4yを有している。そして、波長変換部材6の側面と枠体4の内壁面4yとの間には、波長変換部材6と枠体4を接続する透光性樹脂7が波長変換部材6の上面よりも低い位置まで充填されている。
【0023】
段差4a個所における枠体4の内面は、
図3に示すように、枠体4に波長変換部材6を支持した状態では、波長変換部材6の下面の端部と対向する個所が支持面4xに相当する。そして、支持面4xは、平面方向の長さが、例えば0.2mm以上2mm以下に設定されている。また、枠体4に波長変換部材6を支持した状態では、波長変換部材6の側面と対向する個所が内壁面4yに相当する。そして、内壁面4yの上下方向の長さが、例えば0.2mm以上2mm以下に設定されている。
【0024】
枠体4で囲まれる領域に、光透過性の封止部材8が充填されている。封止部材8は、発光素子3を封止するとともに、発光素子3から発せられる光が透過する機能を備えている。封止部材8は、枠体4の内方に発光素子3を収容した状態で、枠体4で囲まれる領域であって、波長変換部材6が封止部材8の熱膨張によって枠体4に傾いて接合されたり、変形したりしないよう、段差4aの高さ位置よりも低い位置まで充填される。なお、封止部材8は、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂等の透光性の絶縁樹脂が用いられる。なお、封止部材8の熱伝導率は、例えば、0.14W/(m・K)以上
0.21W/(m・K)以下に設定されている。
【0025】
波長変換部材6は、発光素子3の発する光の波長を変換する機能を有している。波長変換部材6は、発光素子3から発せられる光が内部に入射して、内部に含有される蛍光体5が励起されて、光を発するものである。
【0026】
波長変換部材6は、例えば、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂等の透光性の絶縁樹脂、透光性のガラスからなり、その絶縁樹脂、ガラス中に、例えば460nm以上485nm以下の蛍光を発する青色蛍光体、例えば495nm以上550nm以下の蛍光を発する緑色蛍光体、例えば570nm以上585nm以下の蛍光を発する黄色蛍光体、例えば610nm以上700nm以下の蛍光を発する赤色蛍光体が含有されている。波長変換部材6として透光性ガラスが用いられる場合には、発光装置1の気密性を向上させることができる。
【0027】
また、蛍光体5は、波長変換部材6中に均一に分散するようにしている。なお、波長変換部材6の熱伝導率は、例えば0.1W/(m・K)以上0.8W/(m・K)以下に設定されている。波長変換部材6の熱膨張率は、例えば0.8×10
−5/K以上8×10
−5/K以下に設定されている。波長変換部材6の屈折率は、例えば、1.3以上1.6以下に設定されている。例えば、波長変換部材6の材料の組成比を調整することで、波長変換部材6の屈折率を調整することができる。
【0028】
波長変換部材6は、シート状であって、枠体4上に支持されるとともに、発光素子3と間を空けて設けられている。また、波長変換部材6の端部は、枠体4の支持面4x上に位置しており、波長変換部5の側面が枠体4の内壁面4yに取り囲まれている。
【0029】
波長変換部材6は、
図5に示すように円形状であって、平面透視してその中心部分に発行素子3が位置するように調整されている。波長変換部財6の外径は、例えば5mm以上19mm以下に設定されている。また、波長変換部材6の全体の厚みは、例えば0.3mm以上3mm以下に設定されており、且つ厚みが一定に設定されている。ここで、厚みが一定とは、厚みの誤差が0.5μm以下のものを含む。波長変換部材6の厚みを一定にすることにより、波長変換部材6内で励起される光の量を一様になるように調整することができ、波長変換部材6における輝度ムラを抑制することができる。
【0030】
波長変換部材6は、波長変換部材6の上面のうち、波長変換部材6の外縁よりも内側に波長変換部材6の外縁に沿って連続した凹部Pが形成されている。凹部Pは、透光性樹脂7の一部を流し込むものである。そして、凹部P内に透光性樹脂7の一部が充填されている。凹部Pは、
図5に示すように、平面視して円形状の波長変換部財6の端部に沿って形成された輪状に形成されている。凹部Pの外縁は、枠体4の段差4aよりも内側に位置している。ここで、
図5に示すように、凹部Pの位置を段差4aよりも内側に位置するように設けたことで、発光素子3からの光が凹部Pより外側の波長変換部材6に入射されやすく、凹部Pより外側の波長変換部材6で波長変換される光が増加し、発光装置1の光出力が増加する。
【0031】
凹部Pは、
図3に示すように、波長変換部材6の上面に沿った平面方向の幅が、例えば0.5mm以上2mm以下であって、上下方向の長さが、例えば0.1mm以上2.8mm以下に設定されている。また、凹部Pは、
図5に示すように、外径の長さが、例えば4mm以上19mm以下であって、内径の長さが、例えば3mm以上18mm以下に設定されている。
【0032】
枠体4の段差4a上に、波長変換部材6の端部が透光性樹脂7を介して固定されている
。透光性樹脂7は、波長変換部材6を枠体4に固着するものである。透光性樹脂7は、波長変換部材6の端部上から枠体4の段差4a個所にかけて設けられている。また、透光性樹脂7は、波長変換部材6の凹部P内にまで設けられ、透光性樹脂7の一部が凹部P内に充填されている。
【0033】
透光性樹脂7は、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂等の透光性の絶縁樹脂、透光性のガラスが用いられる。なお、透光性樹脂7の熱伝導率は、例えば0.1W/(m・K)以上0.8W/(m・K)以下に設定されている。透光性樹脂7の熱膨張率な、例えば0.8×10
−5/K以上8×10
−5/K以下に設定されている。透光性樹脂7の屈折率は、例えば1.41以上1.55以下であって、波長変換部材6を構成する材料よりも屈折率が小さくなるものが用いられてもよい。
【0034】
また、透光性樹脂7の熱伝導率は、波長変換部材6の熱伝導率よりも大きく設定した場合は、波長変換部材6から枠体4に伝わる熱を透光性樹脂7を介して伝達しやすくすることができる。波長変換部材6には、発光素子3が発する光を蛍光体5によって波長変換する際の変換損失に起因した熱が発生し、この熱によって波長変換部材6の温度が上昇する。その熱を波長変換部材6から透光性樹脂7に伝達しやすくすることで、波長変換部材6が高温になるのを抑制することができ、波長変換部材6の透過率の低下や機械特性の劣化、熱膨張やそれに起因して生じる応力によって波長変換部材6が枠体4から剥離しようとするのを抑制することができる。また、波長変換部材6が高温になると、発光素子3の発する励起光によって励起される光の波長が変化し、所望する波長の光色になりにくくなるが、波長変換部材6の温度が高温になるのを抑制することで、所望する波長の光を取り出すことができる。そして、波長変換部材6を接続個所に対して良好に固着し続けることが可能な発光装置1を提供することができる。
【0035】
また、透光性樹脂7の熱膨張率が、波長変換部材6の熱膨張率よりも小さく設定されている場合は、波長変換部材6が熱膨張を起こそうとするが、波長変換部材6の側面に熱膨張しにくい透光性樹脂7が形成されているため、透光性樹脂7の熱膨張によって透光性樹脂7から波長変換部材6に加えられる応力を抑制することができる。そして、波長変換部材6に必要以上に応力が加えられることが効果的に抑制することができることから、それらの応力に起因して生じる波長変換部材6の変形や透光性樹脂7からの剥がれを抑制できる。
【0036】
透光性樹脂7は、平面視して波長変換部材6の外周に沿って連続して形成されている。そして、透光性樹脂7は、断面視して、波長変換部材6の側面から枠体4の支持面4xおよび内壁面4yにまで被着することで、透光性樹脂7が被着する面積を大きくし、透光性樹脂7を介して波長変換部材6と枠体4を強固に接続することができる。その結果、波長変換部材6と枠体4の接続強度を向上させることができ、波長変換部材6の撓みが抑制される。そして、発光素子3と波長変換部材6との間の光学距離が変動するのを効果的に抑制することができる。
【0037】
透光性樹脂7は、波長変換部材6の側面から波長変換部材6の上面にかけて設けられている。また、透光性樹脂7は、波長変換部材6の側面の上端を被覆している。さらに、透光性樹脂7の一部は、波長変換部材6の凹部P内に充填されている。そして、波長変換部材6の上面に被着している透光性樹脂7は、上方に突出して膨らむ樹脂だまりを設け、周囲よりも厚みを大きくすることで、波長変換部材6と透光性樹脂7との熱膨張差に起因にして生じる応力が透光性樹脂7による樹脂だまりで吸収、緩和されるとともに、波長変換部材6の上面に被着している透光性樹脂7による樹脂だまりによって透光性樹脂7の表面積が増加することにより、波長変換部材6から透光性樹脂7の表面を介して発光装置1の外部に取り出される光が増加し、発光装置1の光出力を向上させることができる。
【0038】
発光素子3の発する光は、指向性が強く、特定の方向に輝度が強くなる性質がある。即ち、発光素子3の直上、所謂光軸上では輝度が大きく、光軸から離れるに従って輝度が小さくなる。そのため、発光素子3の光軸上で発光素子3からの距離が短い、波長変換部材6の箇所は、波長変換部材6を透過する発光素子3からの光の量が多くなり、発光素子3の光軸から離れる位置で発光素子3からの距離が長い、波長変換部材6の箇所は、波長変換部材6を透過する発光素子3からの光の量が少なくなりやすい。これに対し、発光素子3の光で励起され、発光素子3とは異なる波長で発光する蛍光体5は、波長変換部材6の内部で全方向に対して光を放射するとともに拡散しながら、波長変換部材6の外部に取り出される。
【0039】
仮に、凹部Pが存在しない波長変換部材6の中心部分と重なる箇所に、発光素子3を単に配置した場合は、波長変換部材6の中心部分から外部に取り出される、発光素子3からの光と波長変換部材6で波長変換される光との混合比と、波長変換部材6の端部から外部に取り出される、発光素子3からの光と波長変換部材6で波長変換される光との混合比が異なるようになる。即ち、発光素子3からの青色の光が波長変換部材6の端部にまで届きにくいため、波長変換部材6の端部から外部に取り出される発光素子3からの光は、波長変換部材6から取り出される蛍光体5からの光に対して小さくなり、発光装置1の照射面では、中央部から外周部にわたって照射光の色にムラが生じたり、リング状のにじみ等の色の差異が生じたりする。例えば、発光素子3からの青色の光と、発光素子3からの光で励起される蛍光体5からの黄色の光を混合して白色光とする発光装置1の場合には、照射面の光軸上では白色光に見えるが、光軸上から離れるに従って黄色の光に見えるようになる。
【0040】
そこで、波長変換部材6の端部に凹部Pを設けることで、波長変換部材6の中心部分の蛍光体5によって波長変換される光が、凹部Pで反射されたり、波長変換部材6の外周部に向かって伝搬しながら拡散することを遮断したりすることで、波長変換部材6の端部から外部に取り出される蛍光体5によって波長変換された光を小さくすることができる。これは、発光素子3の光で励起されて発光する蛍光体5の光は、一方向に発光せずに全方向に向かって発光するという特性があり、発光素子3から放射される光に比べて、波長変換部材6の中心部分から波長変換部材6の端部に進行しやすいためである。よって、波長変換部材6の中心部分から端部に進行する蛍光体5の光を凹部Pによって抑制できることから、波長変換部材6の端部から取り出される蛍光体5の光は、光軸から離れるに従って小さくなる、波長変換部材6の端部から取り出される発光素子3からの光に応じて小さくなる。その結果、波長変換部材6の中心部分から外部に取り出される光の色と、波長変換部材6の端部から外部に取り出される光の色を同じような色にすることができ、発光装置1から対象物に照射された光にリング状のにじみ等の色の差異が強調される現象を抑制することができる。
【0041】
また、透光性樹脂7は、波長変換部材6の側面と枠体4の内壁面4yとの間には、波長変換部材6の上面よりも低い位置まで充填されている。波長変換部材6は、発光素子3の発光する光に起因して発生する熱や、波長変換部材6で蛍光体5によって波長変換時に発生する熱によって、波長変換部材6が熱膨張を起こすことがある。波長変換部材6の側面が枠体4の内壁面4yと当接せずに、両者の間に距離を設けることで、波長変換部材6の側面が斜め上方に変形しやすくすることができ、波長変換部材6に加わる熱応力を緩和することができる。その結果、波長変換部材6が熱膨張を起こし、波長変換部材6がそれの接続個所である枠体4から剥離する虞を低減することができ、波長変換部材6を枠体4に対して良好に固着し続けることができる。
【0042】
また、枠体4の内壁面4yの上端の高さ位置が、波長変換部材6の側面の上端の高さ位
置よりも低い個所に位置している。内壁面4yの上端の高さ位置が、波長変換部材6の側面の上端の高さ位置よりも低く設定されているので、波長変換部材6の側面の上端から透光性樹脂7を介して放射される光が枠体4の内壁面4yで遮られ難くなり、波長変換部材6から発光装置1の外部に光が取り出されやすくなるという作用効果を奏する。なお、内壁面4yの上端の高さ位置と、波長変換部材6の側面の上端の高さ位置との差は、例えば0.1mm以上2.8mm以下に設定されている。なお、枠体4の内壁面4yの上端の高さ位置が、波長変換部材6の側面の上端の高さ位置よりも高い個所に位置してもよい。内壁面4yの上端の高さ位置が、波長変換部材6の側面の上端の高さ位置よりも高く設定されているので、透光性樹脂7が枠体4の内壁面4yから段差4aの外部に漏れだし難くなることから、所望の量の透光性樹脂7を波長変換部材6と段差4aとの間に設けることが容易になる。
【0043】
なお、本発明は上述の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
【0044】
<発光装置の製造方法>
ここで、
図1に示す発光装置1の製造方法を説明する。まず、基板2を準備する。基板2が、例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムおよび酸化カルシウム等の原料粉末に、有機バインダー、可塑剤または溶剤等を添加混合して混合物を得る。そして、混合物から複数のグリーンシートを作製する。
【0045】
また、タングステンまたはモリブデン等の高融点金属粉末を準備し、この粉末に有機バインダー、可塑剤または溶剤等を添加混合して金属ペーストを得る。そして、基板2となるセラミックグリーンシートに配線導体となるメタライズパターンおよび必要に応じて枠体4を接合するためのメタライズパターンをそれぞれ所定パターンで印刷し、複数のセラミックグリーンシートを積層した状態で焼成することで、基板2を準備することができる。
【0046】
枠体4を準備する。枠体4は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化イットリウム等のセラミック材料を準備する。そして、枠体4の型枠内に、セラミック材料を充填して乾燥させた後に、焼成することで段差4aを有する枠体4を準備することができる。この枠体4にも、基板2を接合する面に必要に応じてメタライズパターンを形成しておく。
【0047】
次に、基板2の上面であって枠体4で囲まれる領域に、Au−Sn半田を介して発光素子3が配線導体に実装された後に、基板2上に、発光素子3を取り囲むように枠体4をシリコーン樹脂で接合することによって設ける。
【0048】
そして、基板2上の枠体4で囲まれた領域に、例えば封止部材8としてのシリコーン樹脂を充填する。そして、シリコーン樹脂を熱して、シリコーン樹脂を硬化させることで、封止部材8を形成して発光素子3を封止する。
【0049】
次に、波長変換部材6を準備する。波長変換部材6は、未硬化の樹脂に蛍光体を混合して、例えばドクターブレード法、ダイコーター法、押し出し法、スピンコート法またはディップ法等のシート成形技術を用いて作製することができる。また、波長変換部材6は、未硬化の波長変換部材6を型枠に充填し、硬化して取り出すことによっても得ることができる。なお、型枠には、凹部Pを形成するための凸部が形成されている。
【0050】
そして、準備した波長変換部材6を枠体4の段差4a上に位置合わせして、透光性樹脂
7としてのシリコーン樹脂を介して接着する。そして、シリコーン樹脂が波長変換部材6の凹部Pよりも内側方向に流れようとするのを、凹部Pで止めることができる。そして、凹部P内にシリコーン樹脂の一部を充填させた後、シリコーン樹脂を硬化させて、波長変換部材7を枠体4に固定することができる。このようにして、発光装置1を製造することができる。