(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010414
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】PTP包装用蓋材
(51)【国際特許分類】
B65D 83/04 20060101AFI20161006BHJP
B65D 77/20 20060101ALI20161006BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20161006BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
B65D83/04 D
B65D77/20 M
B65D65/40 D
B32B15/08 F
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-216128(P2012-216128)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-69825(P2014-69825A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231626
【氏名又は名称】株式会社UACJ製箔
(74)【代理人】
【識別番号】100098682
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 賢次
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 成人
(72)【発明者】
【氏名】田中 徹
【審査官】
植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭62−006350(JP,U)
【文献】
特開2006−036310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/04
B32B 15/08
B65D 65/40
B65D 77/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム箔の片面または両面に印刷層を設け、さらにその一方の側に耐熱被覆剤層、他方の側に熱封緘接着剤層を設けてなるPTP包装用の蓋材であって、他方の側に樹脂アンカー層が0.3〜2.0g/m2の塗布量(乾燥後塗布量)で塗工され、該樹脂アンカー層を介してその上にポリウレタン樹脂を5〜15%(重量%、以下同じ)含有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体からなる熱封緘接着剤層が2.4〜5.0g/m2の塗布量(乾燥後塗布量、以下同じ)で塗工されてなることを特徴とするPTP包装用蓋材。
【請求項2】
アルミニウム箔の片面または両面に印刷層を設け、さらにその一方の側に耐熱被覆剤層、他方の側に熱封緘接着剤層を設けてなるPTP包装用の蓋材であって、他方の側に樹脂アンカー層が0.3〜2.0g/m2の塗布量(乾燥後塗布量)で塗工され、該樹脂アンカー層を介してその上にポリエステル樹脂を5〜15%含有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体からなる熱封緘接着剤層が2.4〜5.0g/m2の塗布量で塗工されてなることを特徴とするPTP包装用蓋材。
【請求項3】
アルミニウム箔の片面または両面に印刷層を設け、さらにその一方の側に耐熱被覆剤層、他方の側に熱封緘接着剤層を設けてなるPTP包装用の蓋材であって、他方の側に樹脂アンカー層が0.3〜2.0g/m2の塗布量(乾燥後塗布量)で塗工され、該樹脂アンカー層を介してその上にポリウレタン樹脂およびポリエステル樹脂を合計で5〜15%含有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体からなる熱封緘接着剤層が2.4〜5.0g/m2の塗布量で塗工されてなることを特徴とするPTP包装用蓋材。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のPTP包装用蓋材であって、PTP包装用蓋材と熱封緘される容器内面側が塩化ビニル樹脂よりなる容器と熱封緘するために用いられることを特徴とするPTP包装用蓋材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTP包装用蓋材、すなわち、医薬品等の包装に使用されるPTP(Press Through Pack)包装用の熱封緘性蓋材に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品等の包装用として多用されているPTP包装体は、内容物を格納するための容器部分と、その容器部分を密封するための蓋材の二つの部分からなる。容器部分は、ポケットを成形したプラスチックシート等の加工成形体によって構成される。蓋材は、金属箔、特にアルミニウム箔の片面もしくは両面に印刷層を設け、さらにその上のそれぞれの面に、耐熱被覆剤層と、熱封緘接着剤層を設けて構成される。
【0003】
容器本体を形成するプラスチックシートとしては塩化ビニル樹脂シートやポリプロピレンシートが多用されているが、近年、高い防湿性が要求される場合にはアルミニウム箔等の金属箔がラミネートされた複合シートが用いられるようになってきている。
【0004】
一方、蓋材の基材としては、蓋材を破裂させて内容物を取り出すという、PTP包装の使用方法から、通常アルミニウム箔が使用されている。蓋材は、通常アルミニウム箔の両面または片面に文字やデザインを印刷し、さらにその上に、一方の面(外側になる面)には、熱封緘時に文字やデザインなどの印刷層を保護するための、無色または着色した透明な耐熱被覆剤層を設け、反対の面(接着される面)には容器に加熱圧着によって熱封緘させるために、無色または着色した熱封緘接着剤層を形成させることにより製造される。
【0005】
包装作業における内容物の充填、封緘操作は、前記の容器となるポケットを設けたシートの加工成形体に内容物を格納した後、その開口面側に前記のアルミニウム箔の蓋材を、その熱封緘接着剤層が接触するように積層し、蓋材の耐熱被覆剤層を設けた面から熱封緘用ロールにより加熱及び加圧して、容器の非ポケット部分に熱融着させることによって遂行される。熱封緘用ロールの表面は、通常、碁盤目状のエンボス加工が施されており、加熱加圧条件は積層材料の種類によって異なるが、熱封緘温度は140〜280℃で行われており、熱封緘圧力は0.1〜0.6MPaに設定されていることが多い。
【0006】
前記蓋材の熱封緘接着剤層は、通常、熱可塑性樹脂からなり、加工成形体の材質により、それぞれ塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリプロピレン、酸変性ポリプロピレン等の樹脂を主成分とする樹脂組成物が使用されている。容器の熱融着面が塩化ビニル樹脂よりなる場合には、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、等を合計で20〜70%含有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等が使用されている。
【0007】
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体にポリウレタン樹脂やポリエステル樹脂を添加することにより、熱封緘接着剤層として、低温での熱封緘性やアルミニウム箔との接着性を向上させているが、内容物がイブプロフェンを含有する場合には、このイブプロフェンにより熱封緘接着剤層が浸食され、内容物に浸食された熱封緘接着剤層が内容物に付着したり、熱封緘接着剤層がアルミニウム箔から剥離したり、さらには変色する等、様々な不具合が生じる。
【0008】
熱封緘接着剤にポリウレタン樹脂やポリエステル樹脂を添加せずに、熱封緘接着剤層を塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体のみで形成した場合には、熱封緘接着剤層の浸食は見られないものの、低温での熱封緘性やアルミニウム箔との接着性、特に長期間使用した場合の接着安定性に劣るという難点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−313938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、熱封緘接着剤層を形成するために使用する樹脂成分や熱封緘性蓋材の層構成について種々検討した結果としてなされたものであり、その目的は、内容物がイブプロフェンを含有した場合においても、熱封緘接着剤層が浸食されることがなく、且つ、低温でも十分な熱封緘性を有すると共にアルミニウム箔と接着安定性にも優れたPTP包装用の熱封緘性蓋材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するための請求項1によるPTP包装用蓋材は、アルミニウム箔の片面または両面に印刷層を設け、さらにその一方の側に耐熱被覆剤層、他方の側に熱封緘接着剤層を設けてなるPTP包装用の蓋材であって、他方の側に樹脂アンカー層が0.3〜2.0g/m
2の塗布量(乾燥後塗布量、以下同じ)で塗工され、該樹脂アンカー層を介してその上にポリウレタン樹脂を5〜15%(重量%、以下同じ)含有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体からなる熱封緘接着剤層が2.4〜5.0g/m
2の塗布量(乾燥後塗布量、以下同じ)で塗工されてなることを特徴とする。
【0012】
請求項2によるPTP包装用蓋材は、
アルミニウム箔の片面または両面に印刷層を設け、さらにその一方の側に耐熱被覆剤層、他方の側に熱封緘接着剤層を設けてなるPTP包装用の蓋材であって、他方の側に樹脂アンカー層が0.3〜2.0g/m2の塗布量(乾燥後塗布量)で塗工され、該樹脂アンカー層を介してその上にポリエステル樹脂を5〜15%含有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体からなる熱封緘接着剤層が2.4〜5.0g/m2の塗布量で塗工されてなることを特徴とする。
【0013】
請求項3によるPTP包装用蓋材は、
アルミニウム箔の片面または両面に印刷層を設け、さらにその一方の側に耐熱被覆剤層、他方の側に熱封緘接着剤層を設けてなるPTP包装用の蓋材であって、他方の側に樹脂アンカー層が0.3〜2.0g/m2の塗布量(乾燥後塗布量)で塗工され、該樹脂アンカー層を介してその上にポリウレタン樹脂およびポリエステル樹脂を合計で5〜15%含有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体からなる熱封緘接着剤層が2.4〜5.0g/m2の塗布量で塗工されてなることを特徴とする。
【0014】
請求項4によるPTP包装用蓋材は、請求項1〜3のいずれかに記載のPTP包装用蓋材であって、PTP包装用蓋材と熱封緘される容器内面側が塩化ビニル樹脂よりなる容器と熱封緘するために用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、内容物がイブプロフェンを含有した場合においても、熱封緘接着剤層が浸食されることがなく、且つ、低温でも十分な熱封緘性を有すると共にアルミニウム箔との接着安定性にも優れており、浸食された熱封緘接着剤層が内容物に付着したり、熱封緘接着剤層がアルミニウム箔から剥離したり、変色する等の不具合が発生しないPTP包装用蓋材が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明によるPTP包装用蓋材の構成の一実施例を示す断面図である。
【
図2】従来のPTP包装用蓋材の構成の例を示す断面図である。
【
図3】医薬品などの内容物を包装したPTP包装体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面により、本発明のPTP包装用蓋材(以下、単に蓋材という)の実施の形態について説明する。
図1は本発明の蓋材の実施形態を示す断面図、
図2は従来の蓋材の実施形態を示す断面図、
図3はその蓋材を用いたPTP包装体の実施形態を示す断面図である。
【0018】
従来の蓋材10は、
図2に示すように、アルミニウム箔11の両面にインキで文字や模様、デザインなどを印刷した印刷層12が設けられ、一方の側に耐熱被覆剤層13、他方の側に熱封緘接着剤層14が設けられるが、本発明の蓋材は、
図1に示すように、アルミニウム箔11の両面に前記印刷層12が設けられ、一方の側に耐熱被覆剤層13、他方の側に樹脂アンカー層15を介して樹脂アンカー層15の上に熱封緘接着剤層14が設けられる。アルミニウム箔は厚さ10〜30μmのものが用いられる。
【0019】
印刷層12は耐熱被覆剤層側(上面)だけ、あるいは熱封緘接着剤層側(下面)だけに設けてもよく、印刷層を上面に設ける場合は、
図3に示すように、PTP包装透明の耐熱被覆剤層13を通して印刷インキ層12の文字や模様が見えることになる。他方、印刷層を下面側に設ける場合は、容器30および熱封緘接着剤層14を通して文字などが見えることになる。
【0020】
本発明のPTP包装用蓋材において最外層の熱封緘接着剤層を形成するために使用する樹脂成分としては、ポリウレタン樹脂を5〜15%含有するビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂を5〜15%含有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂とポリエステル樹脂を合計で5〜15%含有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が最も好適に使用できる。
【0021】
熱封緘接着剤層の下側の樹脂アンカー層を形成するために使用する樹脂成分としては特に限定されないが、アルミニウム箔との接着性、特に中長期に渡って安定して接着性を有するものであると共に、上記熱封緘接着剤層との安定した接着性を有するものであれば良く、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂の1種または2種を合計で20〜70%含有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が好適に使用できる。
【0022】
本発明の蓋材は、一般的に使用されている容器に用いることができるが、特に蓋材との接着面が塩化ビニル樹脂よりなる容器に好適に使用できる。
【0023】
以下、本発明において最も好適な熱封緘接着剤層について説明すると、本発明のPTP包装用蓋材において、熱封緘接着剤層を形成するために用いられる樹脂成分としては、ポリウレタン樹脂を5〜15%含有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂を5〜15%含有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂とポリエステル樹脂を合計で5〜15%含有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が好適に使用できる。
【0024】
ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂の1種または2種の含有量が5%未満では、140℃未満の低温における接着強度が不十分で、熱封緘不良が発生する場合がある。ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂の1種または2種の含有量が15%を超えると、内容物がイブプロフェンを含有する場合には、熱封緘接着剤層が浸食され、内容物に浸食された熱封緘接着剤層が付着したり、熱封緘接着剤層がアルミニウム箔から剥離したり、さらには変色する等の不具合が生じる。ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂の1種または2種の含有量のさらに好ましい範囲は7〜13%である。
【0025】
熱封緘接着剤層の塗布量は2.4〜5.0g/m
2が好適である。塗布量が2.4g/m
2未満では、内容物がイブプロフェンを含有する場合に、熱封緘接着剤層がイブプロフェンの侵入を防ぐことができず、熱封緘接着剤層がアルミニウム箔から剥離する不具合が生じる。また、十分に熱封緘できないこともある。塗布量が5.0g/m
2を超えても耐イブプロフェン性は変わらずコスト増になるだけである。熱封緘接着剤層の塗布量のさらに好ましい範囲は、2.7〜4.0g/m
2である。
【0026】
熱封緘接着剤層の下層に設けられる樹脂アンカー層を形成するために使用する樹脂成分としては特に限定されないが、アルミニウム箔との接着性、特に中長期に渡って安定して接着性を有するものであると共に、熱封緘接着剤層との安定した接着性を有するものであればよく、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂の1種または2種を合計で20〜70%含有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体が好適に使用できる。
【0027】
ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂の1種または2種の合計含有量が20%未満では、アルミとの接着性、特に中長期に渡って安定して接着性を確保するのが困難となり、長期間保管した場合にアルミニウム箔から剥離するおそれがある。ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂の1種または2種の合計含有量が70%を超えると、ベースとなる塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の含有量が30%以下となり、熱封緘接着剤層との安定した接着性が確保し難くなる。ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂の1種または2種の合計含有量のさらに好ましい範囲は30〜50%である。
【0028】
樹脂アンカー層の塗布量は、0.3〜2.0g/m
2が好適である。塗布量が0.3g/m
2未満では、アルミとの接着性、特に中長期に渡って安定して接着性を確保するのが困難となり、長期間保管した場合にアルミ箔から剥離する恐れがある。塗布量が2.0g/m
2を超えてもアルミニウム箔との接着性は変わらずコスト増になるだけである。アンカー層の塗布量のさらに好ましい範囲は0.4〜1.5g/m
2である。樹脂アンカー層は熱封緘接着剤層側の印刷層の上に形成するが、アルミニウム箔に樹脂アンカー層を形成した後、印刷層を形成し、その上に熱封緘接着剤層を形成してもよい。また、樹脂アンカー層は着色してもよい。
【0029】
本発明によるPTP包装用蓋材の製造について説明すると、耐熱被覆剤塗料、印刷インキ、熱封緘接着剤、アンカー層用樹脂を有機溶剤で希釈して適度な粘度に調整し、グラビア印刷によって基材であるアルミニウム箔に塗工する。耐熱被覆剤層13を形成するための耐熱被覆剤塗料の塗工量は、通常0.5〜3.0g/m
2程度が望ましい。また、耐熱被覆剤塗料および印刷インキの塗工時の乾燥条件としては150〜300℃で5〜20秒が好ましい。
【0030】
次に耐熱被覆剤層13の反対面に、必要に応じて文字やデザインの印刷層12を形成した後、アンカー層用樹脂を有機溶剤で希釈して適度な粘度に調整し、グラビア印刷によって塗工する。塗工後、熱風もしくは加熱ドラム上で乾燥処理を施すことによって樹脂アンカー層を形成する。次に前記樹脂アンカー層を形成した面に熱封緘接着剤を有機溶剤で希釈して適度な粘度に調整し、グラビア印刷によって塗工する。塗工後、熱風もしくは加熱ドラム上で乾燥処理を施すことによって熱封緘接着剤層を形成する。アンカー層用樹脂の塗工時の乾燥条件としては150〜300℃で5〜20秒が好ましい。また、熱封緘接着剤の塗工時の乾燥条件としては150〜300℃で5〜20秒が好ましい。反転式多色グラビア印刷機を使用すると、前記一連の塗工作業を全て同時に行うことができる。
【0031】
上記のようにして得られた蓋材10は、
図3に示すように、ポケットを備えた容器30に薬剤などの内容物40を入れた後、熱封緘接着剤層14を開口部側のフランジ面に熱封緘してPTP包装体20となる。
【0032】
なお、本発明において使用するアルミニウム箔は、純アルミニウム箔、アルミニウム合金箔のいずれでもよく、含有される不純物は、JISで規定される範囲内であれば許容される。アルミニウム箔の厚さは10〜100μm程度が好ましい。
【実施例】
【0033】
以下、本発明の実施例を比較例と対比して説明し、その効果を実証する。なお、これらの実施例は本発明の一実施態様を示すものであり、本発明はこれに限定されない。
【0034】
実施例1、比較例1
アルミニウム箔として、JIS 1N30の硬質箔(厚さ17μm)を使用し、耐熱被覆剤塗料、印刷インキ、熱封緘接着剤用塗料、樹脂アンカー層用塗料を用いて塗工して、以下の積層形態の蓋材材(試験材1〜20)を作製した。
積層形態:耐熱被覆剤層/印刷層/アルミニウム箔/印刷層/樹脂アンカー層/熱封緘接着剤層
【0035】
樹脂アンカー層は、以下のA〜Dの4種類の樹脂組成を有する塗料を用いて形成した。
A:ポリエステル20%、ポリウレタン20%、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体60%
B:ポリウレタン10%、アクリル30%、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体60%
C:ポリウレタン30%、アクリル10%、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体60%
D:ポリプロピレン
【0036】
得られたPTP包装用蓋材について、熱封緘性および耐イブプロフェン性を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。なお、表1において、本発明の条件を外れたものには下線を付した。
【0037】
熱封緘性の評価:得られた蓋材を15mm幅の短冊状に切り出したのち、厚さ0.2mmの塩化ビニルシートと120℃の温度で0.2MPaの圧力で1秒間保持して熱融着し、蓋材と塩化ビニルシートそれぞれの端部を引張試験機を用いて150mm/分の速度で180°方向に引張り、その時の剥離強度を接合強度として、接合強度が8N/15mmを超えるものは優秀(◎)、接合強度が4〜8N/15mmのものは良好(○)、接合強度が4N/15mm未満のものは不良(×)と評価した。また、同様に作成した試験材を80℃の温水に5日間浸漬後、上記と同じ方法で接合強度を測定して、中長期に渡る熱融着部の接着安定性を評価し、接合強度が浸漬前の接合強度の80%以上のものは優秀(◎)、接合強度が浸漬前の接合強度の60%以上80%未満のものは良好(○)、接合強度が浸漬前の接合強度の60%未満のものは不良(×)と評価した。
【0038】
耐イブプロフェン性の評価:蓋材を熱封緘接着剤層が対向するように折り曲げ、その間にエスエス製薬(株)製イブA錠を挟んだ後、ポリエチレンフィルムで前記蓋材全体を包み評価サンプルとした。さらに、そのサンプルの上に硝子板と100gの錘りを乗せて荷重をかけ、60℃、湿度90%の環境下で7日間保持した後、サンプルを開封してイブA錠への熱封緘接着剤層の付着の有無、熱封緘接着剤層の剥離の有無、熱封緘接着剤層の変色の有無を観察し評価した。
【0039】
【表1】
【0040】
表1にみられるように、本発明に従う試験材(蓋材)1〜8はいずれも、優れた熱封緘性と耐イブプロフェン性を示した。
【0041】
これに対して、試験材9は樹脂アンカー層が形成されなかったものであるため、接着安定性に劣っていた。試験材10は熱封緘接着剤層の塗装量が少ないため、耐イブプロフェン性の評価において熱封緘接着剤層がアルミニウム箔から剥離し、耐イブプロフェン性に劣っていた。試験材11は樹脂アンカー層の塗装量が少ないため、接着安定性に劣っていた。
【0042】
試験材12は熱封緘接着剤層のポリウレタン樹脂の含有量が5%未満であったため、接着強度が小さく、熱封緘不良が生じるおそれがある。試験材13は熱封緘接着剤層のポリウレタン樹脂の含有量が15%を超えているため、耐イブプロフェン性に劣っていた。試験材14は熱封緘接着剤層のポリエステル樹脂の含有量が5%未満であったため、接着強度が小さく、熱封緘不良が生じるおそれがある。試験材15は熱封緘接着剤層のポリエステル樹脂の含有量が15%を超えているため、耐イブプロフェン性に劣っていた。
【0043】
試験材16は、熱封緘接着剤層のポリウレタン樹脂とポリエステル樹脂の合計含有量が15%を超えているため、耐イブプロフェン性に劣っていた。試験材17は、熱封緘接着剤層のポリエステル樹脂の含有量が15%を超えており、さらに熱封緘接着
剤層にアクリルを含有し、樹脂アンカー層が形成されなかったものであり、耐イブプロフェン性に劣っていた。試験材18は、熱封緘接着剤層のポリウレタン樹脂とポリエステル樹脂の合計含有量が15%を超え、樹脂アンカー層が形成されなかったものであり、耐イブプロフェン性に劣っていた。
【0044】
試験材19は、熱封緘接着剤層にポリウレタン樹脂もポリエステル樹脂も含まず、また、樹脂アンカー層が形成されなかったものであり、熱封緘性に劣っていた。試験材20は樹脂アンカー層をポリプロピレンで形成したものであるため、熱封緘性に劣っていた。
【符号の説明】
【0045】
10 PTP包装用蓋材
11 アルミニウム箔
12 印刷層
13 耐熱被覆剤層
14 熱封緘接着剤層
15 樹脂アンカー層
20 PTP包装体
30 容器
40 内容物