(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010415
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】管端キャップの装着構造
(51)【国際特許分類】
B65D 59/06 20060101AFI20161006BHJP
F16L 57/00 20060101ALI20161006BHJP
F16L 55/00 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
B65D59/06
F16L57/00 C
F16L55/00 S
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-216849(P2012-216849)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-69845(P2014-69845A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100119091
【弁理士】
【氏名又は名称】豊山 おぎ
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼見 安孝
【審査官】
秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−068912(JP,A)
【文献】
特開昭59−065691(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3089729(JP,U)
【文献】
特開昭59−062463(JP,A)
【文献】
特開2000−002392(JP,A)
【文献】
特開昭50−132350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 59/06
F16L 55/00、57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング継手によって接続される管材に装着される管端キャップの装着構造であって、
前記管端キャップは、
前記管材の内周部に嵌入される嵌入部と、
前記嵌入部の嵌入方向と反対側の端部に接続して設けられ、前記管材の一端側に設けられているフランジ部の端面を覆うように形成された鍔部と、
前記鍔部の外周縁に接続され、前記嵌入部の嵌入方向側に向けて延びる外周壁部と、を一体的に設けてなり、
前記外周壁部における前記管材の軸心方向に沿う長さは、前記外周壁部の先端部が前記フランジ部の外周面のうち前記軸心方向の他端側の縁部に一致する長さ、又は該縁部より前記軸心方向の一端側に位置する長さであり、
前記鍔部の前記嵌入部側の裏側の外周縁近くには、互いに周方向に所定の間隔を保って複数の突部が設けられ、
前記複数の突部は、前記鍔部及び前記外周壁部と一体的に設けられていることを特徴とする管端キャップの装着構造。
【請求項2】
前記外周壁部の先端部側には、その先端部側に向かうに従って漸次そのフランジ部の外周面に近づくように形成されたテーパが付されていることを特徴とする請求項1に記載の管端キャップの装着構造。
【請求項3】
前記外周壁部は、前記フランジ部の外周面全域を覆うように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の管端キャップの装着構造。
【請求項4】
前記鍔部の外周縁と前記外周壁部との接続箇所の外表面は、R加工が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の管端キャップの装着構造。
【請求項5】
前記外周壁部の内側には、前記フランジ部の外周面に周方向に沿って設けられている凹条溝に嵌合する突起を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の管端キャップの装着構造。
【請求項6】
前記鍔部の前記嵌入部側とその反対側の表面には、その嵌入部の中心位置を中心とした円の線上に沿って窪みを設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の管端キャップの装着構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は管端キャップの装着構造に係り、特に、ハウジング継手によって接続される管材に装着されるものに関する。
【背景技術】
【0002】
水等の流体の移送に使用される鋳鉄製や合成樹脂製等からなる剛性の管材は、所定の長さに構成されている。そして、その管材は、トラック等の輸送手段により使用現場に搬送され、現場において複数本の管材を所望の長さに接続して使用される。この管材は、現場において使用されるまでに管内へ雨水や異物が入り込むのを防止するために、特許文献1に示されるように、管材の両端側には合成樹脂製の管端キャップがそれぞれ取り付けられている。
【0003】
従来の管端キャップについて、
図5を用いてさらに説明すると、この
図5に示される合成樹脂製の管端キャップ20は、ハウジング継手によって接続される管材Pに装着されるように構成されている。この管材Pの図示しない他の管材との接続は、周知のハウジング継手によって接続される管材と同様に、管材Pの一端側に設けられているフランジ部P1の端面(
図5においてフランジ部P1の右側面)と、
図5では示されていない他の管材Pの一端側に設けられているフランジ部P1の端面とを当接させた状態で、両フランジ部P1、P1の外周をハウジング部材で挟持して行われる。
【0004】
上述のハウジング継手によって接続される管材Pに装着される管端キャップ20は、管材Pの内周部P2に嵌入される嵌入部21と、その嵌入部21の軸心方向の一端側(
図5において右端側)に接続され、フランジ部P1の端面を覆うように形成されている鍔部22と、その鍔部22の外周縁に接続され、フランジ部P1の外周面を覆うように形成されている外周壁部23とから構成されている。
【0005】
上記構成からなる管端キャップ20を管材Pに装着するには、管端キャップ20の嵌入部21を管材Pの内周部P2に挿入して行われる。そして、この管端キャップ20が装着された状態の管材Pは、製造工場から又は資材置場等の所定の場所から使用現場にトラック等の輸送手段により搬送され、その使用現場においては、管材Pの管端キャップ20が外され、複数本の管材Pが所望の長さにハウジング継手部材を用いて接続される。なお、取り外された管端キャップ20は、回収されて再使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−261166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記
図5に示されるハウジング継手によって接続される管材に装着される管端キャップの装着構造では、管材が搬送される途中、管材から脱落するという欠点があった。
図5を用いてさらに説明すると、管材Pの搬送は、通常、トラック等の荷台に複数本の管材Pが積層されて行われるので、その搬送の途中、他の管材Pと接触する等の何らかの原因により、管端キャップ20の外周壁部23に対して管材Pから抜き出す方向(
図5の矢印a参照)の力が作用し、管端キャップ20が管材Pから脱落することがあった。
【0008】
そして、管材Pから管端キャップ20が脱落すると、管材Pのフランジ部P1の端面だけでなく、ハウジング継手において重要な役割を担うフランジ部P1の外周面が損傷を受ける可能性が高くなり、ハウジング継手における水密性ないし気密性に悪影響を与えるおそれがあった。
【0009】
そこで、本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、管材の搬送時においても管材から容易に脱落することがなく、ハウジング継手における水密性ないし気密性を確保することができる管端キャップの装着構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る管端キャップの装着構造は、上記目的を達成するために、ハウジング継手によって接続される管材に装着される管端キャップの装着構造であって、前記管端キャップは、前記管材の内周部に嵌入される嵌入部と、前記嵌入部の嵌入方向と反対側の端部に接続して設けられ、前記管材の一端側に設けられているフランジ部の端面を覆うように形成された鍔部と、前記鍔部の外周縁に接続され、前記嵌入部の嵌入方向側に向けて延びる外周壁部と、を一体的に設けてなり、前記外周壁部における前記管材の軸心方向に沿う長さは、前記外周壁部の先端部が前記フランジ部の外周面のうち前記軸心方向の他端側の縁部に一致する長さ、又は該縁部より前記軸心方向の一端側に位置する長さであ
り、前記鍔部の前記嵌入部側の裏側の外周縁近くには、互いに周方向に所定の間隔を保って複数の突部が設けられ、前記複数の突部は、前記鍔部及び前記外周壁部と一体的に設けられていることを特徴としている。
【0011】
上記構成からなる管端キャップの装着構造は、外周壁部の先端部がフランジ部の縁部から突出していないので、管端キャップに対して管材から外す方向の力が作用してもその力が外周壁部の先端部に接触しにくくなり、前記力を効果的にそらすことができることから、管材がトラック等で輸送する場合においても管材から管端キャップが脱落するのを効果的に防止することができる。そのため、ハウジング継手における水密性ないし気密性を確保することができる。
また、上記構成からなる管端キャップの装着構造は、鍔部の嵌入部側における裏面の外周縁近くに複数の突部が設けられているので、フランジ部の端面にパッキンが設けられている場合でも、そのパッキン位置を外して鍔部をフランジ部の端面に安定して当接させることができる。
【0012】
本発明に係る管端キャップの装着構造は、外周壁部の先端部側には、その先端部側に向かうに従って漸次そのフランジ部の外周面に近づくように形成されたテーパが付されていることが好ましい。
【0013】
上記構成からなる管端キャップの装着構造は、外周壁部にテーパが付されているので、管端キャップに対して管材からを外す方向の力が作用してもその力をより効果的にそらすことができる。
【0014】
本発明に係る管端キャップの装着構造は、外周壁部は、フランジ部の外周面全域を覆うように形成されていることを特徴としている。
【0015】
上記構成からなる管端キャップの装着構造は、外周壁部はフランジ部の外周面全域を覆っているので、管材がハウジング継手によって接続される際のフランジ部の外周面を的確に保護することができる。
【0016】
本発明に係る管端キャップの装着構造は、鍔部の外周縁と外周壁部との接続箇所の外表面は、R加工が形成されていることが好ましい。
【0017】
上記構成からなる管端キャップの装着構造は、鍔部と外周壁部との接続する箇所の外表面が「R」に加工されているので、その接続箇所に加わる外力を効果的に逃がすことができるから、管材の輸送中における管端キャップの脱落を効果的に防止することができる。
【0020】
本発明に係る管端キャップの装着構造は、外周壁部の内側には、フランジ部の外周面に周方向に沿って設けられている凹条溝に嵌合する突起を設けたことを特徴としている。
【0021】
上記構成からなる管端キャップの装着構造は、管端キャップ側に突起が設けられ、フランジ部側にその突起が嵌合される凹条溝が設けられているので、管端キャップ対して管材から抜き出す方向に大きな力が作用しても管端キャップはフランジ部に強固に保持されているから、管端キャップの脱落を確実に防止することができる。
【0022】
本発明に係る管端キャップの装着構造は、鍔部の嵌入部側とその反対側の表面には、その嵌入部の中心位置を中心とした円の線上に沿って窪みを設けるようにしてもよい。
【0023】
上記構成からなる管端キャップの装着構造は、鍔部の嵌入部側とその反対側の表面に設けられた窪みによって鍔部の変形が容易になり、作業員による管端キャップの管材からの取り外しを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る管端キャップの装着構造は、管端キャップに対して管材から外す方向の力が作用してもその力を効果的にそらすことができ、管材がトラック等で輸送する場合においても管材から管端キャップが脱落するのを効果的に防止し、管材のフランジ部を保護することができ、ハウジング継手における水密性ないし気密性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る管端キャップを装着した状態の管材のフランジ部分の上半分を断面で示した正面図である。
【
図2】本発明の一実施の形態に係る管端キャップの右側面図であって、
図1に示すA−A線矢視図である。
【
図3】本発明の一実施の形態に係る管端キャップの左側面図である。
【
図4】本発明の他の実施の形態に係る管端キャップを装着した状態の管材のフランジ部分の上半分を断面で示した正面図である。
【
図5】従来の管端キャップを装着した状態の管材のフランジ部分の上半分を断面で示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る管端キャップの装着構造の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、この実施の形態により限定されるものではなく、また、下記の実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一ものも含まれる。
【0027】
図1は、本発明の一実施の形態に係る管端キャップ1Aを装着した状態の管材Pのフランジ部P1の部分の上半分を断面で示した正面図、
図2は、その管端キャップ1Aの右側面図、
図3は、その管端キャップ1Aの左側面図である。
【0028】
管端キャップ1Aについて説明する前に、この管端キャップ1Aをより理解し易いようにするために、この管端キャップ1Aが装着される管材Pについて説明する。
【0029】
管材Pは、ポリエチレン等の合成樹脂製で剛性を有し、所定の内径及び所定の長さを有して構成されている。そして、その管材Pの長手方向の両端部には、フランジ部P1がそれぞれ管材Pの管部分と一体的に設けられている。なお、
図1においては、左端部側のフランジ部P1は省略されている。この省略されている左端部側のフランジ部P1は、
図1に示される右端部側のフランジ部P1と対称に示されるだけであるので、以下、
図1に示されるフランジ部P1を例に説明する。
【0030】
フランジ部P1は、周知のハウジング継手によって接続される管材のフランジ部と同様に構成されている。すなわち、このフランジ部P1の一端面(
図5においてフランジ部P1の右側面)は平滑に形成されていて、そのフランジ部P1の一端面の中心には、管材Pの内周部P2が開口し、その外形は管材Pの内周部P2よりも十分に大きい所定の直径を有する円に形成されている。
【0031】
このフランジ部P1の直径の端部位置における厚さ、すなわち、フランジ部P1の直径の端部位置における管材Pの軸心方向Oの長さは、図示しないハウジング継手部材でフランジ部P1の周囲が挟持されたときに、十分な水密ないし気密が確保できる外周面積が得られるように決められている。なお、図示のフランジ部P1の一端面Paと反対側の側面Pb(
図1において左側の側面)は、フランジ部P1に対して所定の強度を付与するために、管材Pの外周面Pcに近づくに従って徐々に肉厚になるように形成されている。
【0032】
上記構成からなるフランジ部P1を備えた管材P同士を図示しないハウジング部材を用いて接続するには、両管材Pのフランジ部P1、P1の端面を当接させた状態でそれらフランジ部P1、P1の外周をハウジング部材で挟持して行われる。
【0033】
次に、管端キャップ1Aについて説明する。この管端キャップ1Aは、嵌入部2、鍔部3及び外周壁部4が一体的に構成されていて、ポリエチレン等の合成樹脂製からなり、射出成型法により作られている。すなわち、この管端キャップ1Aは、管材Pに装着するとき、又はその管材Pから外すときに管材Pのフランジ部P1に損傷を与えない材質から作られるとともに、脱着が容易になるように可撓性を付して作られる。
【0034】
嵌入部2は、嵌入方向と反対側の一端側(
図1の例では右端側)が開口し、他端側が閉止された筒状を呈していて、その他端側を先頭にして管材Pの内周部P2に所定長さ嵌入できるように構成されている。そして、この嵌入部2における筒状の外壁には、筒状の軸心方向(管材Pの軸心方向Oと同軸)に延びる複数本(図示の例では8本)の突条片2aが互いに周方向に所定の間隔を保って一体的に設けられている。したがって、嵌入部2は、管材Pの内周部P2に挿入されたときに、安定した嵌入状態を維持することができる。
【0035】
鍔部3は、嵌入部2の一端側、すなわち、筒状体を呈する嵌入部2の開口周囲に接続して設けられ、管材Pの一端側に設けられているフランジ部P1の一端面Pa全域を覆うように形成されている。
【0036】
この鍔部3の裏側、すなわち、フランジ部P1の端面に対向する側(鍔部3の嵌入部2側)には、複数(図示の例では8個)突部3aが設けられている。すなわち、この突部3aは、鍔部3の裏側の外周縁近くで、かつ、互いに周方向に所定の間隔を保って、鍔部3及び外周壁部4と一体的に設けられている。このように突部3aが設けられていると、フランジ部P1の一端面Paにパッキンが設けられている場合でも、そのパッキン位置を外して鍔部3をフランジ部P1の一端面Paに安定して当接させることができる。
【0037】
外周壁部4は、鍔部3の外周縁に接続され、嵌入部2の他端方向側(
図1の例では左端方向側)に向けて延び、フランジ部P1の外周面Pc全域を覆い、かつ、その先端部4bがフランジ部P1の外周面Pcのうち軸心方向Oの他端側の縁部Pdに一致する長さ、又は縁部Pdより軸心方向Oの一端側に位置するように、外周壁部4における軸心方向Oに沿う長さが決められている。つまり、この外周壁部4は、筒状を呈する嵌入部1の外周側に所定の距離を保ってもう一つの筒状を呈するように設けられるとともに、その外周壁部4の先端部4bがフランジ部P1の外周面Pcから突出しないように決められている。
【0038】
なお、
図1及び後述する
図4の例では、外周壁部4の先端部4bと、フランジ部P1の外周面Pcの先端位置(前述の内縁端Pd)とを合わせて、その外周壁部4でフランジ部P1の外周面Pc全域を覆うようにしている。しかし、外周壁部4の形状は、フランジ部P1の外周面Pcを保護できる範囲であれば、外周壁部4を複数個に分割することもできるし、また、外周壁部4の先端部4bを少しフランジ部P1の一端面Pa寄りとすることもできる。
【0039】
この外周壁部4のうち、鍔部3と接する接続箇所の外表面は、「R」に加工されている。
図1及び後述する
図4中の「R」は、接続箇所が「R」に形成されていることを表わしている。このように接続箇所が「R」に形成されていると、その接続箇所に外力が加わったときにその外力を効果的に逃がすことができる。
【0040】
また、この外周壁部4には、テーパ4aが付されている。すなわち、外周壁部4に設けられるテーパ4aは、外周壁部4の先端部4b側(
図1の例では左端側)に設けられていて、その先端部4b側に向かうに従って漸次、フランジ部P1の外周面Pcに近づくようにして傾斜が付されて形成されている。このように外周壁部4にテーパ4aが付されていると、上述した
図5の矢印aで示される方向の力、すなわち、管材Pから管端キャップ1Aを外す方向の力が作用しても、その力を効果的にそらして管材Pからの管端キャップ1Aの脱落を防止すことができる。そのため、ハウジング継手における水密性ないし気密性を確保することができる。
【0041】
上記構成からなる管端キャップ1Aは、外周壁部4の先端部4bがフランジ部P1の縁部Pdから突出していないので、管端キャップ1Aに対して管材Pから外す方向の力が作用してもその力が外周壁部4の先端に接触しにくくなり、且つ外周壁部4にテーパ4aが付されているので、前記力を効果的にそらすことができ、また、鍔部3と外周壁部4との接続箇所の外表面が「R」に加工されているので、その接続箇所に加わる外力を効果的に逃がすことができるから、管材Pの輸送中における管端キャップ1Aの脱落を効果的に防止し、管材Pのフランジ部P1を保護することができる。さらに、鍔部3の裏側に突部3aが設けられているので、フランジ部P1の一端面Paにパッキンが設けられている場合でも、そのパッキン位置を外して鍔部3をフランジ部P1の一端面Paに安定して当接させることができる。
【0042】
図4は、本発明の他の実施の形態に係る管端キャップ1Bを装着した状態の管材Pのフランジ部P1の部分の上半分を断面で示した正面図である。
【0043】
この管端キャップ1Bが上述した管端キャップ1A(
図1参照)と異なる点は、外周壁部4の内側、すなわちフランジ部P1の外周面Pcに対向する面に、そのフランジ部P1の外周面側に突出する突起4cが設けられているとともに、フランジ部P1の外周面Pcに、その突起4cの嵌合される凹条溝P3が設けられていることである。
【0044】
上述のように、管端キャップ1B側に突起4cが設けられ、フランジ部P側にその突起4cの嵌合される凹条溝P3が設けられていると、管端キャップ1B対して管材Pから抜き出す方向に大きな力が作用しても、管端キャップ1Bはフランジ部P1に強固に保持されているので、管端キャップ1Bの脱落を確実に防止することができる。
【0045】
また、管端キャップ1Bには、 鍔部3の嵌入部2側とその反対側の表面3cに、その嵌入部2の中心位置を中心とする円の線上に沿って窪み3bが設けられている。このように、鍔部3に窪み3bが設けられていると鍔部3の変形が容易になり、作業員による管端キャップ1Bの管材Pからの取り外しを容易に行うことができる。
【0046】
上記構成からなる管端キャップ1Bは、管端キャップ1B側に突起4cが設けられ、フランジ部P側にその突起4cが嵌合される凹条溝P3が設けられているので、管端キャップ1Bの脱落を確実に防止することができる。また、鍔部3に窪み3bが設けられているので、作業員による管端キャップ1Bの管材Pからの取り外しを容易に行うことができる。
【0047】
以上、本発明による管端キャップの装着構造の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0048】
上述した実施の形態では外周壁部4にテーパ4aを設けているが、このテーパ4aを設けることに限定されることはなく、省略することも可能である。
【0049】
また、上述の例では、管材Pはポリエチレン等の合成樹脂製としたが、鋳鉄管等の他の材料からなる管材としてもよい。
【0050】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0051】
1A、1B 管端キャップ
2 嵌入部
2a 突条片
3 鍔部
3a 突部
3b 窪み
4 外周壁部
4a テーパ
4b 先端部
4c 突起
O 管材Pの軸心方向
P 管材
P1 フランジ部
P2 内周部
P3 凹条溝
Pa 一端面
Pb 他端面
Pc 外周面