特許第6010419号(P6010419)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010419
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】光ファイバ伝送特性測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 11/00 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
   G01M11/00 R
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-228038(P2012-228038)
(22)【出願日】2012年10月15日
(65)【公開番号】特開2014-81237(P2014-81237A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2015年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596157780
【氏名又は名称】横河メータ&インスツルメンツ株式会社
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】林 康二
【審査官】 奥田 雄介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−116598(JP,A)
【文献】 AQ1200 MFT-OTDR OPTICAL TIME DOMAIN REFLECTOMETER,2012年10月 6日,[online], [平成28年2月22日検索],インターネット,URL,http://web.archive.org/web/20121006071806/http://tmi.yokogawa.com/us/products/optical-measuring-instruments/optical-time-domain-reflectometer/aq1200-mft-otdr-optical-time-domain-reflectometer/
【文献】 吉田寛美 他,高性能・多機能な小型OTDRの開発,横河技報,2012年 9月30日,pp.19-22
【文献】 AQ1200 OTDR マルチフィールドテスタ ユーザーズマニュアル,2013年 7月,4版,表紙, i, 2-1, 3-1〜3-2, 10-2〜10-4,[online], [平成28年2月22日検索],インターネット,,URL,http://www.kawamitu.co.jp/it/o-comm/03/data/aq1200manual.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバに入力される光信号と光ファイバの内部で反射される反射光に基づき光ファイバの伝送特性を測定するように構成された光ファイバ伝送特性測定装置において、
少なくともPONモードを選択する測定モード選択部と、
前記PONモードで測定する経路を選択する測定経路選択部と、
前記測定経路選択部で選択された前記PONモードで測定する経路に最適な初期値を選択する最適初期値選択部と、
前記PONモードで測定する経路をグラフィカルに表示するとともに前記最適初期値選択部によって選択された前記初期値を表示する表示部と、
を設けたことを特徴とする光ファイバ伝送特性測定装置。
【請求項2】
前記測定モード選択部は、さらに簡易モードと詳細モードと多波長測定モードの少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ伝送特性測定装置。
【請求項3】
前記測定経路選択部で選択された経路に最適なイベントサーチ用のアルゴリズムを選択するアルゴリズム選択部、
を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバ伝送特性測定装置。
【請求項4】
前記各部の選択操作の少なくともいずれかは、前記表示部の表示画面上のタッチ操作で行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の光ファイバ伝送特性測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ伝送特性測定装置に関し、詳しくは、光ファイバ伝送特性測定に伴う測定条件設定などの操作性の改善に関するものである。
【0002】
近年のFTTH(Fiber To The Home)化による一般家庭までの光ファイバ網の敷設拡大に伴い、光ファイバの伝送特性を測定する光ファイバ伝送特性測定装置についても、携帯可能な小型でありながら測定機能として比較的長距離の基幹系光ファイバ網から比較的短距離のFTTH系光ファイバ網まで高精度の距離測定分解能や光伝送に影響を与えない活線測定機能などが求められるとともに、測定作業者も熟練者から初心者まで拡大しつつある。
【0003】
図7は、従来の光ファイバ伝送特性測定装置の概略構成例を示すブロック図である。図7において、測定装置全体は、大きく操作制御部10とシーケンス制御部20と測定部30とで構成されている。
【0004】
操作制御部10は、測定作業者が各種の測定条件などを設定入力するためのスイッチやキーなどで構成されている。
【0005】
シーケンス制御部20は、操作制御部10を介して設定入力される測定条件などに基づいて、測定部30が測定目的に応じた所定の動作をするように、各部を制御する。
【0006】
測定部30は、OTDR(Optical Time Domain Reflectometer)測定が行えるように構成されている。すなわち、クロック発生部31は、パルス発生器32およびA/D変換器36にタイミング信号としてクロックを出力する。レーザダイオード33は、パルス発生器32の出力パルスにより駆動されて所定のパルス光を発光し、このパルス光は光カプラ34およびポートP1を介して被測定光ファイバFBの一端に入射される。
【0007】
光ファイバFBの内部ではレイリー散乱が発生し、その一部はパルス光の進行とは逆の方向に進む後方散乱光となり、光カプラ34に戻る。また、接続点で発生するフレネル反射光も光カプラ32に戻る。
【0008】
これら光カプラ34に戻った反射光は受光部35に入射されて電気信号に変換され、A/D変換器36に入力される。A/D変換器36は、受光部35の出力信号をクロック発生部31の出力パルスのタイミングでデジタル信号に変換する。なお、反射光の信号レベルは非常に微弱なため、複数回の測定を繰り返して平均化部37で測定値の平均を求めてノイズを低減する。これらの測定結果は、表示部38に表示される。
【0009】
このように構成される測定部30によれば、光ファイバFBの接続損失、反射減衰量、反射地点までの距離などを測定できる。
【0010】
なお、測定部30には、たとえば以下の測定モードが設けられている。
a)簡易モード:できるだけ測定作業者の設定を少なくして測定を簡単に実行できる。
b)詳細モード:距離レンジやパルス幅などファイバ情報を詳細に設定することで、想定した経路をより正しく測定できる。
c)多波長測定モード:複数波長を同時に測定する。
【0011】
図8および図9はそれぞれ測定装置の正面例図であり、図8は詳細モードが選択されて表示領域DSに詳細設定画面DTLがポップアップ表示された状態を示し、図9は簡易モードが選択されて表示領域DSに簡易設定画面SPLがポップアップ表示された状態を示している。図8および図9において、正面には測定データや測定波形が表示される表示領域DSと、測定作業者が設定操作する複数のハードキーが配列されたハードキー領域HKが設けられている。
【0012】
非特許文献1には、製品化された光ファイバ伝送特性測定装置に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】「光ファイバの敷設・保守用新型OTDR AQ7260シリーズ」、 横河技報、横河電機株式会社、2005年4月20日、 Vol.49 No.2、p.55〜58
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、光ファイバを用いたネットワークの一種に、近年注目されているPON(Passive Optical Network)がある。PONは、光−電気変換を行わない光ネットワークであって、比較的コストの安価な受動(Passive)光素子であるスプリッタを用いて光信号を複数系統に分岐し、1本の光ファイバを複数ユーザで共有する経済的なネットワークを構築している。
【0015】
このようなPON経路の測定にあたっては、スプリッタの段数や分岐数および測定方向(局側(OLT[Optical Line Terminal])から加入者側(ONU[Optical Network Unit])か、加入者側(ONU)から局側(OLT)か)によって測定に最適なパルス幅などが異なることから、測定作業者は測定対象とするPONの構成を意識しながら、複数の設定項目を設定する必要がある。したがって、図7に示す従来の測定装置を用いてPON経路を測定する場合には、測定モードとしては図8に示すような詳細設定画面DTLが表示される詳細モードが想定される。
【0016】
すなわち、測定作業者は、PONの特性を熟知していないと、種々の設定項目を最適に設定できない。
【0017】
これに対し、図9に示す簡易設定画面SPL上で測定条件を設定する簡易モードもあるが、測定経路の自動特定はできないため、パルス幅などの経路に依存する設定を細かく調整することはできない。
【0018】
また、測定現場でOTDRを使う測定作業者に着目すると、従来よりも非熟練者の比率が高くなってきており、最適な設定を行えないことが少なからずある。
【0019】
さらに、測定対象経路の増加に伴い、経路ごとに測定したいイベントの性質が異なるようになってきたことから、従来の一様なイベント検出では、測定作業者が期待するイベントのみを検出することが困難になりつつある。
【0020】
図10はOLT(局側)→ONU(加入者側)のPON経路についての測定結果画面例図である。測定波形は破線で示すスプリッタSPLが分岐したすべての経路のイベントを表示するため、たとえば図11(A)に楕円AおよびBで示すように、分岐後の融着点FSやコネクタCNなどの接合部ロスイベントを検出しても、どの分岐線のイベントかを的確に判断できない。一方、図11(B)に楕円Cで示すように、なんらかの理由で分岐路が破断した場合には、図10に示す正常な状態に比べて、反射位置が異なる。
【0021】
そこで、これらの場合は、分岐後の終端を示す反射のみに特化してイベント検出を行うことになる。
【0022】
図12は、通常経路についての測定結果画面例図である。測定波形には、破線で示す光ファイバOFの各融着点FS1、FS2およびコネクタCN部分におけるイベントが現れている。
【0023】
本発明は、このような従来の問題点に着目したものであり、その目的は、測定対象経路を視覚的に明示できるとともに測定対象経路に最適な設定値を自動的に選択設定できて測定対象経路の波形特性を考慮したイベントサーチが可能な、PONの特性を熟知していない測定作業者であっても効率よくPONの測定が行える光ファイバ伝送特性測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
このような課題を達成する請求項1の発明は、
光ファイバに入力される光信号と光ファイバの内部で反射される反射光に基づき光ファイバの伝送特性を測定するように構成された光ファイバ伝送特性測定装置において、
少なくともPONモードを選択する測定モード選択部と、
前記PONモードで測定する経路を選択する測定経路選択部と、
前記測定経路選択部で選択された前記PONモードで測定する経路に最適な初期値を選択する最適初期値選択部と、
前記PONモードで測定する経路をグラフィカルに表示するとともに前記最適初期値選択部によって選択された前記初期値を表示する表示部と、
を設けたことを特徴とする。
【0025】
請求項2の発明は、請求項1に記載の光ファイバ伝送特性測定装置において、
前記測定モード選択部は、さらに簡易モードと詳細モードと多波長測定モードの少なくともいずれかを含む
ことを特徴とする。
【0026】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の光ファイバ伝送特性測定装置において、
前記測定経路選択部で選択された経路に最適なイベントサーチ用のアルゴリズムを選択するアルゴリズム選択部、
を設けたことを特徴とする。
【0027】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の光ファイバ伝送特性測定装置において、
前記各部の選択操作の少なくともいずれかは、前記表示部の表示画面上のタッチ操作で行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
これらにより、PONの特性を熟知していない測定作業者であっても、効率よくPONの経路測定が行える光ファイバ伝送特性測定装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施例を示すブロック図である。
図2】本発明に基づく測定装置の正面例図である。
図3】本発明に基づくPON経路設定画面例図の上部領域UPの説明図である。
図4】本発明のPONモードにおける選択操作説明図である。
図5】本発明のPONモードにおける詳細設定画面例図である。
図6】本発明のPONモードにおける各パラメータの設定とそれらの設定に伴う表示状態の説明図である。
図7】従来の光ファイバ伝送特性測定装置の概略構成例を示すブロック図である。
図8】従来の測定装置の正面例図で、詳細設定画面DTLのポップアップ表示例図である。
図9】従来の測定装置の正面例図で、簡易設定画面SPLのポップアップ表示例図である。
図10】従来のPON経路の測定結果画面例図である。
図11】従来のPON経路の他の測定結果画面例図である。
図12】従来の通常経路の測定結果画面例図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明について、図面を用いて説明する。図1は本発明の一実施例を示すブロック図であり、図7と共通する部分には同一の符号を付けている。図1図7の相違点は、操作制御部10と測定部30の構成にある。
【0031】
図1において、操作制御部10には、少なくとも、測定モード選択部11と、測定経路選択部12と、最適初期値選択部13と、アルゴリズム選択部14と、測定条件設定部15と、表示画面生成部16が設けられている。
【0032】
測定モード選択部11は、少なくともPONモードを選択する機能を有するものであって、本実施例では従来の「簡易」と「詳細」の測定モードに加えて経路選択を可能にするPONを測定する「PON」モードを設けている。
【0033】
測定経路選択部12は、PONモードにおいて、測定作業者が表示部38に表示されるグラフィック画面を見ながら操作入力する選択信号に基づき、測定対象とする所望の測定経路を設定する。
【0034】
最適初期値選択部13は、測定経路選択部12により設定された測定対象の測定経路に従って、最適な初期設定値を選択して表示部38に表示する。
【0035】
アルゴリズム選択部14は、測定経路選択部12により設定された測定対象の測定経路に従って、イベントサーチなどにおける最適なアルゴリズムを選択する。
【0036】
測定条件設定部15は、測定作業者が各種の測定条件を設定入力するために操作するスイッチやボタンなどの操作部と、これら操作部から出力される操作信号に基づき所望の測定条件を設定する信号処理部とで構成される。
【0037】
表示画面生成部16は、測定モード選択部11で選択される所望の測定モードにおける測定作業者の設定操作に応じて、必要な情報を表示部38に表示するための所定の表示画面を生成する。
【0038】
このように構成される操作制御部10は、シーケンス制御部20を介して、測定部30との間で必要な信号やデータなどの情報の授受を行う。
【0039】
測定部30の演算部39は、アルゴリズム選択部14で選択された最適なアルゴリズムに基づき、所望の測定結果を算出するための演算処理を行う。
【0040】
図2は本発明に基づく測定装置の正面例図であり、図8および図9と共通する部分には同一の符号を付けている。図2において、PONモードが選択されることにより、表示領域DSにはPON経路設定画面PONがポップアップ表示される。PON経路設定画面PONには、上部領域UPと下部領域LAが設けられている。上部領域UPには測定対象の経路図が表示され、下部領域LAには複数の測定条件パラメータを詳しく設定するための詳細パラメータ設定図が表示されている。
【0041】
また、上部領域UAには、スプリッタSPL1と本測定装置OTMとの接続が表示されるとともに、測定モード表示部a、スプリッタの段数設定表示部b、経路方向設定表示部c、スプリッタの分岐数設定表示部d、測定波長表示部e、下部領域LAの詳細パラメータ設定図を閉じるためのボタンfなどが設けられている。
【0042】
測定モード表示部aには「PONモード」が表示され、スプリッタの段数設定表示部bにはスプリッタSPL1のみの段数「1」が表示され、経路方向設定表示部cには「ONU→OLT」が表示され、分岐数設定表示部dにはスプリッタSPL1の分岐数「32」が表示され、測定波長表示部eには「SM 1310nm」が表示されている。
【0043】
図3は、図2におけるスプリッタ段数設定表示部bの段数をスプリッタSPL1のみの段数「1」からスプリッタSPL1とスプリッタSPL2が直列接続された段数「2」に変更した状態を示すPON経路設定画面例図の上部領域UPの説明図である。図3において、スプリッタSPL1の前段には追加されたスプリッタSPL2が接続されている。このスプリッタSPL2の分岐数設定表示部gには分岐数「4」が表示されている。
【0044】
図4は、PONモードにおける選択操作説明図である。ハードキー領域HKのセットアップキーSUKを選択操作することにより、表示領域DSには(A)に示すようにセットアップ画面SUがポップアップ表示される。セットアップ画面SUには、測定モードとして、簡易モード、詳細モード、多波長測定モードおよびPONモードのいずれかを選択的に設定入力する測定モード設定入力領域MMが設けられている。
【0045】
測定モード設定入力領域MMで破線で囲まれたPONモードを選択して破線で囲まれたエンターキーを操作し、ハードキー領域HKの測定セットアップキーMSKを選択操作すると、セットアップ画面SUは(B)に示すようにPONモードの簡易設定画面SPLに切り替わる。
【0046】
このPONモードの簡易設定画面SPLにおいて、破線で囲まれた詳細オープンボタンODを操作することにより、簡易設定画面SPLは図5に示すような詳細設定画面DTLに切り替わる。
【0047】
図5はPONモードにおける詳細設定画面例図であり、(A)は測定設定画面MSUを示し、(B)は解析設定画面ANSUを示している。PONモードにおいて、ハードキー領域HKの測定セットアップキーMSKを選択操作することにより(A)に示すような詳細測定設定画面MSUが表示され、ハードキー領域HKの測定セットアップキーMSKを選択操作することにより(B)に示すような詳細解析設定画面ANSUが表示される。
【0048】
図5(A)の測定詳細設定画面MSUにおいて、破線で囲まれた詳細クローズボタンCDを操作することにより、図4(B)に示すような簡易設定画面SPLに切り替わる。同様に、図5(B)に示す解析詳細設定画面ANSUにおいて、破線で囲まれた詳細クローズボタンCDを操作することにより、図4(B)に示すような簡易設定画面SPLに切り替わる。
【0049】
図6はPONモードにおける各パラメータの設定とそれらの設定に伴う表示状態の説明図であり、解析設定画面の例を示している。(A)は全体画面であり、図2と同様に、上部領域UPと下部領域LAが設けられている。上部領域UPには測定対象の経路図が表示され、下部領域LAには解析に関連した複数のパラメータが表示されている。なお、上部領域UPの図3と共通する部分には同一の符号を付けている。
【0050】
(B)〜(D)は、それぞれ上部領域UPに表示される測定対象の経路図において選択設定可能なパラメータを変更した場合の経路例図である。
【0051】
(B)は、スプリッタの段数設定表示部bで「1」が選択された例を示している。スプリッタの段数設定表示部bは、スプリッタの段数としてたとえば「1」または「2」を設定表示する。
【0052】
(C)は、経路方向設定表示部cで「OLT→ONU」が選択された例を示している。経路方向設定表示部cは、経路方向として「ONU→OLT」または「OLT→ONU」を設定表示する。
【0053】
(D)は、2個のスプリッタが直列接続されて、前段のスプリッタは分岐数設定表示部dで分岐数が「4」として設定表示され、後段のスプリッタは分岐数設定表示部gで分岐数が「32」として設定表示された例を示している。分岐数設定表示部d、gは、経路に直列接続されるスプリッタの分岐数を設定表示する。なお、分岐数は、(E)に示すようにたとえば2、4、8、16、32、64、128のいずれかを選択設定できるが、接続されるスプリッタの分岐数の最大値はたとえば128に制限される。
【0054】
このような構成によれば、測定装置の表示画面上でスプリッタ段数や測定経路の方向などを設定できるとともに設定内容が表示画面に反映して表示されるので、測定作業者は設定内容における設定ミスの有無を目視により直観的に確認できる。非常に高いスキルが必要なPON測定の条件設定を、構成を設定することで測定条件を一意に決定して測定作業者の負担を軽減でき、非熟練者にも間違いを起こさずに設定させることができる。
【0055】
また、設定される経路に従って最適な初期設定値が自動的に選択表示されるので、測定作業者は常に最適なパルス幅での測定が行える。たとえば、距離レンジが10km、分岐数が8、パルス幅を100nsに設定している状態で分岐数を16に変更すると、最適なパルス幅として200nsが自動的に選択される。
【0056】
さらに、設定された経路に従って、イベントサーチなどにおける最適なアルゴリズムを選択できる。すなわち、測定経路がわかれば、たとえばイベントサーチ時にどのイベントに注目すれば良いかが明らかになる。したがって、イベントサーチのアルゴリズムを変えることで、無関係なイベントを検出する問題を解消でき、測定作業者に適切なイベントのみを測定表示することが可能になる。
【0057】
以上説明したように、本発明によれば、PONの特性を熟知していない測定作業者であっても、効率よくPONの経路測定が行える光ファイバ伝送特性測定装置を実現でき、光ファイバ敷設現場での測定に好適である。
【符号の説明】
【0058】
10 操作制御部
11 測定モード選択部
12 測定経路選択部
13 最適初期値選択部
14 アルゴリズム選択部
15 測定条件設定部
16 表示画面生成部
20 シーケンス制御部
30 測定部
39 演算部
図1
図7
図10
図11
図12
図2
図3
図4
図5
図6
図8
図9