(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光透過性を有する複数の測定室が設けられ、前記各測定室以外の場所で光が透過しないようにされている試験片について、複数の前記測定室における、体液中の分析対象物と試薬との呈色反応の吸光度を測定して、体液成分を分析する体液成分分析装置であって、
前記各測定室で起こる呈色反応の吸光帯に属する主波長の光を発する発光ダイオードからなる光源、前記光源及び前記試験片との間に配置された拡散板とを有し、前記試験片の複数の前記測定室を包含し、二次元的な広がりを有する照射範囲に主波長の光を照射する照射部と、
複数の受光素子が二次元平面に配列されてなる二次元撮像素子を有し、複数の前記測定室を含み二次元的な広がりを有する受光範囲から発せられる光を受ける受光部と、
前記受光素子ごとに得られた光強度を演算して前記測定室における吸光度を算出する演算手段と、
前記測定室のうち正常な領域を透過した光を受けた受光素子のみを選択する正常部選択規則を記憶する記憶部とを備え、
前記演算手段は、
前記受光範囲の光を受光した前記受光素子の光強度の中から、前記測定室を透過して前記受光部の前記二次元撮像素子に到達した光に基づく境界より外側の受光素子及び前記境界上に乗っている受光素子を判断し、
前記受光範囲から前記境界より外側及び前記境界上に乗っている前記各受光素子の光強度を除外して、前記境界で囲まれる内に完全に入る受光素子を選択し、
前記境界で囲まれる内に完全に入る受光素子の中から、前記正常部選択規則に基づき選択された一部における光強度の平均値により、前記測定室における吸光度を算出する
ことを特徴とする体液成分分析装置。
光透過性を有する複数の測定室が設けられ、前記各測定室以外の場所で光が透過しないようにされている試験片について、複数の前記測定室における、体液中の分析対象物と試薬との呈色反応の吸光度を測定して、体液成分を分析する体液成分分析方法であって、
前記試験片の複数の前記測定室を包含し、二次元的な広がりを有する照射範囲に、前記各測定室で起こる呈色反応の吸光帯に属する主波長の光を照射するステップと、
複数の前記測定室を含み二次元的な広がりを有する受光範囲から発せられる光を、複数の受光素子が二次元平面に配列されてなる二次元撮像素子を有する受光部で受光するステップと、
前記受光素子ごとに得られた光強度を演算して前記測定室における吸光度を算出するステップとを備え、
前記吸光度を算出するステップが、
前記受光範囲の光を受光した前記受光素子の光強度の中から、前記測定室を透過して前記受光部の前記二次元撮像素子に到達した光に基づく境界より外側の受光素子及び前記境界上に乗っている受光素子を判断し、
前記受光範囲から前記境界より外側及び前記境界上に乗っている前記各受光素子の光強度を除外して、前記境界で囲まれる内に完全に入る受光素子における光強度の平均値により、前記測定室における吸光度を算出する
ことを特徴とする体液成分分析方法。
【背景技術】
【0002】
従来の体液成分分析装置として、体液試料を測定室で試薬と反応するよう構成された試験片を用い、その測定室で起こる呈色反応を光学的に測定することにより、体液成分を分析する装置が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に係る体液成分分析装置は、試験片の測定室に光を照射する発光部と、測定室を透過した透過光を受光する受光部と、透過光に基づき吸光度を演算する演算手段とを備えている。
【0003】
特許文献1に係る体液成分分析装置は、測定室の複数点において吸光度を測定し、複数点において得られた吸光度を適宜に選択・平均化することによって、例えば測定室内に気泡などが存在した場合でも、測定室の適正な吸光度を演算し、体液成分が分析可能となるよう構成されている。そのため、試験片の測定室にピンポイントで光を照射する発光部と、測定室のピンポイントを透過した透過光を受光する受光部とが一体となり、測定室の領域内を、駆動手段により移動しつつ測定することによって、一つの測定室の複数点における吸光度を測定するよう構成されている。そして、試験片には複数の測定室が設けられており、各測定室について、複数点における吸光度を測定するよう構成されており、一つの試験片で複数の体液成分を分析することができる。
【0004】
しかし、上述の分析装置では、一つの測定室における分析結果を算出するために、駆動手段によるごく僅かな移動、および照射・受光・演算のサイクルを、複数回繰り返す必要があり、そのため、迅速に分析結果を得ることが困難となっていた。そして、複数の測定室を備える試験片については、一つの測定室での測定が終わるたびに、次の測定室まで発光部と受光部とを移動させ、その測定室で移動・照射・受光・演算のサイクルを繰り返す必要があり、分析が終了するまでに多くの時間を必要としていた。また、複数点において吸光度を測定可能に構成しようとすると、測定室をある程度大きくする必要が生じる。そして複数の測定室を有する試験片の場合、測定室を大きくすると試験片全体が大きくなりコストが増加するという問題があった。一方、測定室を小さくすると、駆動手段について、ごく僅かな移動距離の制御が必要となるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、迅速に分析結果が得られるとともに、試験片の大きさを抑え、分析に要するコストが低廉となるような、体液成分分析装置および体液成分分析方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、請求項1に係る発明は、光透過性を有する複数の測定室が設けられ、前記各測定室以外の場所で光が透過しないようにされている試験片について、複数の前記測定室における、体液中の分析対象物と試薬との呈色反応の吸光度を測定して、体液成分を分析する体液成分分析装置であって、前記各測定室で起こる呈色反応の吸光帯に属する主波長の光を発する発光ダイオードからなる光源、前記光源及び前記試験片との間に配置された拡散板とを有し、前記試験片の複数の前記測定室を包含し、二次元的な広がりを有する照射範囲に主波長の光を照射する照射部と、複数の受光素子が二次元平面に配列されてなる二次元撮像素子を有し、複数の前記測定室を含み二次元的な広がりを有する受光範囲から発せられる光を受ける受光部と、前記受光素子ごとに得られた光強度を演算して前記測定室における吸光度を算出する演算手段と、前記測定室のうち正常な領域を透過した光を受けた受光素子のみを選択する正常部選択規則を記憶する記憶部とを備え、前記演算手段
は、前記受光範囲の光を受光した前記受光素子の光強度の中から、前記測定室
を透過して前記受光部の前記二次元撮像素子に到達した光に基づく境界より外側の受光素子及び前記境界上に乗っている受光素子を判断し、前記受光範囲から前記境界より外側及び前記境界上に乗っている前記各受光素子の光強度を除外して、前記境界で囲まれる内に完全に入る受光素子を
選択し、前記境界で囲まれる内に完全に入る受光素子の中から、前記正常部選択規則に基づき
選択された一部における光強度の平均値により、前記測定室における吸光度を算出することを特徴とする体液成分分析装置である。
【0008】
請求項1に係る発明によれば、試験片に対して照射部および受光部を動かすことなく測定室の吸光度を測定することができ、迅速に分析結果が得られるような、体液成分の分析が可能な体液成分分析装置を提供することができる。
請求項1に係る発明によれば、低コストで所定の波長を有する光を照射することが可能となり、SN比が高く、高精度の体液成分分析装置を提供することができる。
請求項1に係る発明によれば、複数の測定室について同時に吸光度を算出することにより、同時に複数の成分を分析することが可能な体液成分分析装置を提供することができる。
請求項1に係る発明によれば、測定室における正常でない部分を除外した上で吸光度を算出することにより、適正な分析をすることが可能な体液成分分析装置を提供することができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記照射部は、呈色反応の吸光帯に属しない副波長の光を発する発光ダイオードからなる光源を有し、前記拡散板を前記各光源及び前記試験片との間に配置して、前記照射範囲に前記主波長の光及び前記副波長の光を別々に照射するように制御され、前記演算手段は、前記正常部選択規則に基づき、前記境界で囲まれる内に完全に入る受光素子について、前記主波長の光強度と前記副波長の光強度とで傾向が逆になる領域を、気泡が存在する領域として判断し、前記気泡の存在する領域の光強度を除外して、前記気泡が存在する領域以外の前記境界
で囲まれる内に完全に入る受光素子における光強度の平均値により、前記測定室における吸光度を算出することを特徴とする請求項1に記載の体液成分分析装置である。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記照射部は、呈色反応の吸光帯に属しない副波長の光を発する発光ダイオードからなる光源を有し、前記拡散板を前記各光源及び前記試験片との間に配置して、前記照射範囲に前記主波長の光及び前記副波長の光を別々に照射するように制御され、前記演算手段は、前記正常部選択規則に基づき、前記境界で囲まれる内に完全に入る受光素子について、前記主波長と前記副波長とで光強度が減少している領域を、異物が存在する領域として判断し、前記異物の存在する領域の光強度を除外して、前記異物が存在する領域以外の前記境界
で囲まれる内に完全に入る受光素子における光強度の平均値により、前記測定室における吸光度を算出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の体液成分分析装置である。
【0012】
請求項1乃至請求項3に係る発明によれば、測定室における正常でない部分を除外した上で吸光度を算出することにより、適正な分析をすることが可能な体液成分分析装置を提供することができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、
前記記憶部が、ダーク値を選択するダーク値選択規則を記憶し、前記演算手段が、前記受光範囲の光を受光した前記境界より外側の前記受光素子の光強度の中から、前記ダーク値選択規則に基づき、複数の前記測定室同士の中間点をダーク値たる光強度として選択し、前記受光範囲の光を受光した前記境界で囲まれる内に完全に入る受光素子の光強度から前記ダーク値たる光強度を一律に減算して補正することを特徴とする請求項
1〜3のいずれかに記載の体液成分分析装置である。
【0015】
請求項5に係る発明は、前記記憶部が、ダーク値を選択するダーク値選択
規則を記憶し、前記演算手段が、前記受光範囲の光を受光した前記境界より外側の前記受光素子の光強度の中から、前記ダーク値選択
規則に基づきダーク値たる光強度を選択し、前記受光範囲の光を受光した前記境界で囲まれる内に完全に入る受光素子の光強度から前記ダーク値たる光強度を一律に減算して補正することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の体液成分分析装置である。
【0016】
請求項4及び5に係る発明によれば、試験片を複数回撮像することなくダーク補正を行うことができ、迅速に適正な分析結果を得ることが可能な体液成分分析装置を提供することができる。
【0017】
請求項6に係る発明は、前記試験片にバーコードが設けられており、前記受光部が前記バーコードから発せられる光を受光して前記バーコードを読み取ることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の体液成分分析装置である。
【0018】
請求項6に係る発明によれば、試験片の個体を識別するとともに、試料を提供した被験者を識別するような管理が容易な体液成分分析装置を提供することができる。
【0019】
請求項7に係る発明は、光透過性を有する複数の測定室が設けられ、前記各測定室以外の場所で光が透過しないようにされている試験片について、複数の前記測定室における、体液中の分析対象物と試薬との呈色反応の吸光度を測定して、体液成分を分析する体液成分分析方法であって、前記試験片の複数の前記測定室を包含し、二次元的な広がりを有する照射範囲に、前記各測定室で起こる呈色反応の吸光帯に属する主波長の光を照射するステップと、複数の前記測定室を含み二次元的な広がりを有する受光範囲から発せられる光を、複数の受光素子が二次元平面に配列されてなる
二次元撮像素子を有する受光部で受光するステップと、前記受光素子ごとに得られた光強度を演算して前記測定室における吸光度を算出するステップとを備え、前記吸光度を算出するステップが、前記受光範囲の光を受光した前記受光素子の光強度の中から、前記測定室
を透過して前記受光部の前記二次元撮像素子に到達した光に基づく境界より外側の受光素子及び前記境界上に乗っている受光素子を判断し、前記受光範囲から前記境界より外側及び前記境界上に乗っている前記各受光素子の光強度を除外して、前記境界で囲まれる内に完全に入る受光素子における光強度の平均値により、前記測定室における吸光度を算出することを特徴とする体液成分分析方法である。
【0020】
請求項7に係る発明によれば、試験片に対して照射部および受光部を動かすことなく測定室の吸光度を測定することができ、迅速に分析結果が得られるような、体液成分の分析が可能な体液成分分析方法を提供することができる。
【0021】
請求項8に係る発明は、
前記光を照射するステップが、前記試験片の複数の前記測定室を包含し、二次元的な広がりを有する照射範囲に、前記主波長の光と呈色反応の吸光帯に属しない副波長の光を別々に照射し、前記吸光度を算出するステップが、
前記境界で囲まれる内に完全に入る受光素子について、前記主波長の光強度と前記副波長の光強度とで傾向が逆になる領域を、気泡が存在する領域として判断し、前記気泡の存在する領域の光強度を除外して、前記測定室の正常な領域を透過した光を受光した
前記境界で囲まれる内に完全に入る受光素子のみを選択するステップと、
前記気泡が存在する領域以外の前記境界で囲まれる内に完全に入る受光素子における光強度の平均値により、前記測定室における吸光度を算出するステップとを備えることを特徴とする請求項7に記載の体液成分分析方法である。
【0022】
請求項8に係る発明によれば、測定室における正常でない部分を除外した上で吸光度を算出することにより、適正な分析をすることが可能な体液成分分析方法を提供することができる。
【0023】
請求項9に係る発明は、前記吸光度を算出するステップが、前記受光範囲の光を受光した
前記境界より外側の前記受光素子の光強度の中から、
複数の前記測定室同士の中間点をダーク値たる光強度として選択するステップと、前記受光範囲の光を受光した
前記境界で囲まれる内に完全に入る受光素子の光強度から前記ダーク値
たる光強度を一律に減算して補正するステップとをさらに備えることを特徴とする請求項
7又は請求項8に記載の体液成分分析方法である。
【0024】
請求項9に係る発明によれば、試験片を複数回撮像することなくダーク補正を行うことができ、迅速に適正な分析結果を得ることが可能な体液成分分析方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、試験片に対して照射部および受光部を動かすことなく測定室の吸光度を測定することができ、迅速に分析結果が得られるような、体液成分の分析が可能な体液成分分析装置および方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の実施形態について図面に基づき説明する。なお、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な実施形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0028】
(試験片)
まず、本発明に係る体液成分分析装置とともに用いる試験片の構成について、
図1に基づき説明する。試験片10は、特許文献1に記載された試験片と同様に構成されており、供給された体液試料を測定室に移送して、試験片10に設けられた試薬とで呈色反応を起こし、その呈色反応が光学的に測定可能となるよう構成されている。
【0029】
したがって、試験片10は、体液試料を供給する供給口11、体液試料の移送経路となる流路12、および流路12を介して供給口11に連通し、体液試料が移送され呈色反応が起こる測定室13を備えている。体液試料は押圧や吸引など適宜の方法により、供給口11から測定室に移送される。なお、体液試料に含まれる成分と呈色反応を起こす試薬(図示省略)が、供給口11から測定室13までの間にいずれかの場所に設けられている。
【0030】
試験片10はプレート14およびプレート15が結合されて構成されており、供給口11はプレート14に設けられており、流路12および測定室13はプレート15の内部に設けられている。プレート15は、測定室13が光学的に測定可能となるよう、測定室13が設けられている場所においては光透過性を有するよう透明であり、測定室13以外の場所では光が透過しないよう、黒色に着色されている。
図1に示す試験片10には、略円形の透明な測定室13が12個設けられており、12の異なる成分を分析可能に構成されている。
【0031】
なお、試験片10のプレート14にはバーコード16が付されている。このバーコード16を用いて試験片10個体が識別され、また、このバーコード16により試料を提供した被験者が識別されるよう管理される。バーコード16として、一次元または二次元バーコードの、いずれも使用可能である。
【0032】
(体液成分分析装置)
次に、本発明に係る体液成分分析装置の実施形態について、
図2,3に基づき説明する。体液成分分析装置100は、試験片10の測定室13に向けて光を照射するとともに、測定室13を透過した透過光を受光し、この光強度に基づき、測定室13における吸光度を求めるよう構成されており、試験片10に光を照射する照射部20、および試験片10から発せられる光を受光する受光部30を備えている。また、
図3に示すように、光強度に基づき吸光度を演算する演算手段として機能するとともに、装置全体を制御するCPU50、吸光度を演算する際の規則などを記憶し、受光部30が受けた光強度の情報を記憶する記憶部60、および分析結果を表示する表示部70を備えている。また、この体液成分分析装置100は、試験片10を加温するヒータ90を備えており、これにより反応に適切な温度条件が保たれる。
【0033】
照射部20は、筐体21を有し、その内部には、密集して配置された砲弾型LED(発光ダイオード)からなる光源22,23,24と、互いに離隔して設けられた拡散板25,26とを備える。光源22,23,24から発せられる光は、拡散板25,26を介して試験片10に到達するよう構成されており、これによりほぼ平行光を試験片10に照射することが可能となる。そして照射される範囲は、二次元的な広がりを有する。また、砲弾型LEDを使用することにより、低コストで所定の波長の光を照射可能な照射部20を構成することが可能となる。なお、照射部20は、少なくとも二波長の光を照射可能に構成されており、光源22,23が主波長λmの光を、光源24が副波長λsの光を発するよう選択されている。そして、光源22,23と光源24とは、別々に点灯するよう制御される。なお、主波長λmおよび副波長λsの説明については後述する。
【0034】
受光部30は、試験片10を挟み照射部20に対向して配置されている。受光部30は、二次元撮像素子31とレンズ32とを有し、二次元的な受光範囲Jから発せられる光を受光(撮像)するよう構成されている。二次元撮像素子31は、レンズ32を介して試験片10の片面を撮像することにより、受光範囲J内に入っている試験片10の部分から発せられる光を受光する。なお、二次元撮像素子31が撮像する受光範囲Jは、照射部20が照射する面の反対側の面であり、照射部20から発せられ測定室13を透過する光も補足するよう構成されている。二次元撮像素子31は、複数の受光素子が二次元平面に配列されてなり、受光素子ごとに光強度を検知する。なお、二次元撮像素子31としては、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサなどが好適に用いられる。
【0035】
なお、
図2に示す受光範囲Jは、測定室13が配置されている領域の面積より狭く設定されており、一度の撮像で試験片10の測定室13の全てをカバーすることはできない。そこで、駆動手段(
図2においては図示省略)を用いて、受光範囲Jに対して試験片10を相対的に動かすことにより(
図2における左右方向)、測定室13が配置されている領域を分割して撮像することが可能になり、これによって測定室13の全てをカバーできるよう構成されている。駆動手段は、ラックアンドピニオンなど、適宜の装置により構成することができる。
【0036】
また、試験片10にはバーコード16が付されているが、二次元撮像素子31により読み取るよう構成することが可能である。その場合、バーコード16が受光範囲Jに入るように、受光範囲Jに対して試験片10を相対的に移動させる上述の駆動手段を用いることが可能である。なお、試験片10の測定室13の全ておよびバーコード16が両方とも受光範囲Jに入る場合には、駆動手段は必要としない。
【0037】
また、上述の実施形態では、照射部20の光源が複数の砲弾型LEDから構成されているが、これに代えて複数波長の光を照射するチップLEDを採用することも可能である。このように構成すれば、装置のサイズを小さくすることができ、また光の向きについて細かく調整する必要がない。
【0038】
さらに、上述の実施形態では、照射部20は、拡散板25,26を用いることにより、ほぼ平行光を試験片10に照射するよう構成されている。この理由は、照射部20の照射領域に一様な光強度の光を照射することにより、照射領域内に存在する各測定室13について一様にSN比を高めて、高精度な測定結果を得ることができるという点にある。したがって、拡散板25,26を用いることは、好適ではあるが必須ではない。拡散板25,26を用いない場合、ブランク補正を行うことにより精度を補償することが可能である。ブランク補正は、測定室13の形状を模擬したダミーの試験片からの光を受光することにより、または試験片を全く使用することなく照射部20からの光を受光することにより、補正情報を取得し、この補正情報に基づいて分析結果を補正することにより行われる。
【0039】
次に、本実施形態に係る体液成分分析装置100内における情報のやり取りについて、
図3に示すブロック図に基づき説明する。体液成分分析装置100は、既に説明した照射部20、受光部30、試験片10に対して受光部30を相対的に移動させる駆動部40、受光部30の受けた光強度に基づき吸光度を演算するとともに、装置全体を制御するCPU50、吸光度を演算する際の規則などを記憶し、受光部が受けた光強度の情報を記憶する記憶部60、および分析結果を表示する表示部70を主たる構成要素とする。そしてこれらの要素はバス80を介して情報を伝達する。
【0040】
(吸光度の算出)
ここで受光部30が受光した光強度に基づき、測定室13の吸光度を算出する手順について、
図4に基づき説明する。
図4は、
図3における矢視A−Aで撮像素子を見た矢視図であって、試験片10の一つの測定室13を透過して受光部30の二次元撮像素子31に到達した光を表す模式図である。境界
Eで囲まれる円が、測定室13を透過して受光部30の二次元撮像素子31に到達した光を表す。境界
Eで囲まれる円内に完全に入っている受光素子Pi(濃いハッチングで示す)は、測定室13の透過光を検知することになる。
図4に示すように、多数の受光素子Piが透過光を受けるため、一度の照射で測定室13の複数
箇所における光強度を検知し、吸光度を得ることが可能となる。そしてこの複数箇所における光強度を使用して、測定室の適正な吸光度を算出することが可能となる。
【0041】
なお、境界
E上に乗っている受光素子Pe(薄いハッチングで示す)は、受光素子の一部にのみ光が照射されるため、その光強度は受光素子P
iの光強度より低い。境界
Eより外側の受光素子Poについては、光を受けない(ただし後述のようにダーク値が検知される場合がある)。そのため、測定室13の適正な吸光度を算出するためには、受光素子Pe,Poが受光した光を除外した上で演算を行う必要がある。
【0042】
受光素子Pe,Poが受光した光を除外して、受光素子Piが受光した光を選択する方法について、
図5を用いて説明する。
図5は、
図4の断面B−Bで示す一列の受光素子における光強度を表すグラフである。
図5に示すように、受光素子Piでは透過光を受光するため、高い光強度が検知される。受光素子Poでは測定室13の透過光は検出されないものの、ダーク値が検知される。そして、受光素子Peでは、その光強度はPiとPoとの間の値となる。したがって、あらかじめ設定しておいた数値範囲から外れるような光強度を検知した受光素子を、受光素子Peまたは受光素子Poと判断して、測定室13の吸光度の算出から除外する。そして、受光素子Piが受光した光強度を平均することにより、測定室13の吸光度を算出することが可能となる。
【0043】
この時、受光素子Piが受光した光強度から、受光素子Poが受光した、ダーク値たる光強度を減算する「ダーク補正」を施してから、測定室13の吸光度を算出することができる。これにより、試験片を照射した場合と遮光した場合の二回の撮像を必要とすることなく、一回の撮像で適正な吸光度を測定することが可能となる。ダーク値たる光強度は、複数の測定室13同士の中間点を選択するなど、適宜な方法で、光を透過しない場所における光強度を用いることができる。
【0044】
なお、吸光度の算出から除外する受光素子Pe,Poを選定するために設定しておく数値範囲は、絶対値として規定することも可能であり、最も高レベルの光強度(Li)を基準に規定することも可能である。この数値範囲は、記憶部60に記憶されており、CPU50により読み出され、演算される。また、ダーク補正を行うためのダーク値を選定する規則もまた、記憶部60に記憶されており、CPU50により読み出され、ダーク補正がなされる。
【0045】
なお、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサのような二次元撮像素子において、暗電流に起因するノイズが発生する場合がある。そのノイズをキャンセルするため、試験片を照射した場合の試験片の画像を撮像した後、遮光した場合の試験片の画像を撮像し、照射した場合の画像から遮光した場合の画像を減算することにより、ダーク補正することも可能である。
【0046】
また、本実施形態に係る体液成分分析器具を用いれば、測定室13内に気泡が存在する場合でも、気泡の部分を除外して、測定室13の正常な領域を透過した光のみを用いて吸光度を算出することが可能である。その方法を
図6に基づき説明する。
図6は、
図4の断面B−Bで示す一列の受光素子における光強度を表すグラフであって、(a)が主波長λmの光を照射した場合、(b)が副波長λsの光を照射した場合である。なお、主波長λmは、測定室13で起こる呈色反応の吸光帯に属する波長であり、副波長λsは、呈色反応の吸光帯に属さない波長である。
図6の領域Vにおいて、主波長λmの光強度は、その周辺の光強度Limより高くなっており、その一方で、副波長λsの光強度は、その周辺の光強度Lisより低くなっている。この傾向は、領域Vにおいて大きな気泡が存在することを示唆している。すなわち、主波長λmについては大きな気泡において色抜けの状態のために透過量が増加し、副波長λsについては大きな気泡の内側界面による光の反射が起こり、透過量が減少する。このように、大きな気泡が存在する領域においては、主波長λmと副波長λsとでは、透過光の光強度が逆の傾向を示す。
【0047】
そこで、気泡が存在する領域Vの光強度は除外して、測定室13の吸光度を算出する。そのためには、あらかじめ設定しておいた数値範囲から外れるような光強度を検知した受光素子の領域であって、主波長λmと副波長λsとで傾向が逆になる領域を、気泡が存在する領域Vとして判断し、測定室13の吸光度の算出から除外する。そして領域V以外の受光素子Piが受光した光強度を平均することにより、測定室13の吸光度を算出することが可能となる。なお、領域Vを決めるための数値範囲は、絶対値として規定することも可能であり、また最も高レベルの光強度(Lim,Lis)を基準に規定することも可能である。上述の数値範囲は、正常部選択規則として記憶部60に記憶されており、CPU50により読み出され、この正常部選択規則に沿って演算される。
【0048】
また、大きな気泡が存在する場合とは対照的に、主波長λmと副波長λsとで光強度分布の傾向が合致する場合、すなわち、ある領域において主波長λmと副波長λsとでともに光強度が減少している場合には、その領域に異物が存在して光の透過が阻害されていることが示唆される。そのため、その領域については、大きな気泡が存在する領域Vと同様の方法で、測定室13の吸光度の算出から除外する。
【0049】
なお、副波長λsは、測定室の呈色反応の色素に吸光されないため、本来測定室13の吸光度はゼロになるはずであるが、実際は小さな気泡による反射により透過する光が減少し、吸光度が増加する。そして小さな気泡による吸光度の増加は、主波長λmについても発生している。したがって、主波長λmの吸光度から副波長λsの吸光度を減算することにより、小さな気泡による吸光度の増加分を除外した吸光度を算出することができる。
【0050】
本発明に係る体液成分分析装置を用いて気泡の部分を除外して吸光度を算出する方法は、特許文献1に記載の方法とは異なり、照射部および受光部をごく僅かに移動させて照射・受光するサイクルを繰り返す必要がなく、迅速に測定結果を得ることができる。
【0051】
なお、上述の説明においては、測定室における適正な吸光度を求める方法について説明した。ここで、受光部は二次元撮像素子を用いているため、一度に複数の測定室を撮像することができる。そのため、同時に複数の測定室の吸光度を測定する、すなわち、体液試料に含まれる複数の成分について同時に分析することが可能となる。勿論、各々の測定室について適正な吸光度を算出するため適宜な補正を行うことも可能である。
【0052】
各測定室において分析対象となる体液成分が異なれば、発生する呈色反応も異なる。そして主波長λmおよび副波長λsは、呈色反応に応じて選定される。そのため、各測定室の呈色反応についてカバーできるよう、複数の砲弾型LEDを用いて、光源が複数の波長の光を照射できるよう構成することが好適である。例えば、λ=450nm,570nm,630nm,810nmの四波長を、それぞれの測定室について主波長および副波長として適宜に選択して照射するよう構成することができる。
【0053】
また、本実施形態についての説明では、吸光度算出の際に除外する受光素子を選択するための規則を説明するために、
図5,6に示したように一列に並んだ受光素子を取り上げたが、実際には受光素子が二次元的に配列されているため、二次元平面における光強度を比較することにより、吸光度算出の際に除外する受光素子を選択する。
【0054】
(試験片の他の例)
なお、先の説明における、
図1に示した試験片10は、積層されて構成されたプレート15の内部に、予め試薬が配置された測定室13を有するよう構成されたものであった。しかし、本発明に係る体液成分分析装置100で使用できる試験片はこれに限られず、例えば、
図7に示すように構成された試験片110を使用することも可能である。この試験片110は、測定室に導入した体液試料に液体の試薬を加えて呈色反応を生じさせ、その呈色反応を光学的に測定可能となるよう構成されている。
【0055】
図7に示す試験片110は、全体が光透過性を有する樹脂により構成され、その内部に測定室113が設けられている。そして、体液試料が供給される供給口111、試薬を導入する試薬導入口117、および測定室の空気を抜く空気孔118が設けられている。供給口111は流路112を介して測定室113に連通しており、試薬導入口117および空気孔118も、それぞれ測定室113に連通している。
【0056】
測定室113において呈色反応を起こすには、まず供給口111に体液試料を供給し、測定室113に体液試料を導く。その次に、液体の試薬を試薬流入口から液体の試薬を導入する。そして、体液試料と液体の試薬とを混合して、測定室113にて呈色反応を起こさせる。なお、測定室113内の空気は空気孔118から排出されるため、体液試料および液体の試薬は抵抗なく測定室113に導入される。また、体液試料および液体の試薬を測定室113に導入する順序は、逆でもよい。
【0057】
測定室113における呈色反応を、本発明に係る体液成分分析装置100で光学的に測定する方法は、試験片10を用いた場合と同様である。すなわち、
図2に示す試験片10に代えて、試験片110を体液成分分析装置100に配置して、これを用いて測定室113の吸光度を測定すればよい。
【0058】
なお、
図7に示す試験片110は測定室113を二つ備えており、体液成分の二つの異なる項目について測定することが可能である。供給口111に供給された体液試料は、流路112で分岐して二つの測定室113に流入するように構成されているが、試薬については、それぞれの測定室113に連通する試薬導入口117から、それぞれ異なる液体の試薬が導入されるよう構成されている。なお、測定室113の数は適宜に変更可能である。