(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010439
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】差圧センサ
(51)【国際特許分類】
G01L 13/02 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
G01L13/02 A
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-260914(P2012-260914)
(22)【出願日】2012年11月29日
(65)【公開番号】特開2014-106182(P2014-106182A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】石倉 義之
(72)【発明者】
【氏名】田中 達夫
【審査官】
公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−314431(JP,A)
【文献】
実開昭62−153547(JP,U)
【文献】
特開平05−018838(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0257054(US,A1)
【文献】
特開2013−181949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00 − 23/32
G01L 27/00 − 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面および他方の面に受ける圧力差に応じた信号を出力するセンサダイアフラムと、
前記センサダイアフラムを内部に有し、前記センサダイアフラムの一方の面および他方の面を受圧面とし、このセンサダイアフラムの受圧面に平行な面がセンサ室の壁面に接合されたセンサチップと、
第1の測定圧を受ける第1の受圧ダイアフラムと、
第2の測定圧を受ける第2の受圧ダイアフラムと、
前記第1の受圧ダイアフラムが受けた第1の測定圧を前記センサダイアフラムの一方の面に伝達する第1の圧力伝達媒体と、
前記第2の受圧ダイアフラムが受けた第2の測定圧を前記センサダイアフラムの他方の面に伝達する第2の圧力伝達媒体と、
前記センサ室を封入室の一部として充填され、前記第1の測定圧および前記第2の測定圧のうち相対的に高圧の測定圧を、前記センサダイアフラムが前記センサチップのセンサダイアフラムの受圧面に平行な面と前記センサ室の壁面との接合部に向かう方向に押圧されるように、前記センサチップに働かせる第3の圧力伝達媒体と、
前記第1の測定圧を分岐して受ける第3の受圧ダイアフラムと、
前記第2の測定圧を分岐して受ける第4の受圧ダイアフラムと、
前記センサ室、前記封入室、前記第1および第2の受圧ダイアフラム、前記第3および第4の受圧ダイアフラムが設けられたメータボディとを備え、
前記メータボディには、
前記第1および第2の圧力伝達媒体が封止された第1および第2の導圧路と、
前記第1および第2の測定圧を前記第3および第4の受圧ダイアフラムに導く第3および第4の導圧路と、
前記第3の受圧ダイアフラムの背面側の空間と前記センサ室とを連通させる第1の連通路と、
前記第4の受圧ダイアフラムの背面側の空間と前記センサ室とを連通させる第2の連通路とが形成され、
前記第3および第4の受圧ダイアフラムの背面側の空間と前記第1および第2の連通路と前記センサ室とを合わせた空間を前記封入室として前記第3の圧力伝達媒体が充填されている
ことを特徴とする差圧センサ。
【請求項2】
請求項1に記載された差圧センサにおいて、
前記メータボディは、4つの側面を有する六面体とされ、
前記第1〜第4の受圧ダイアフラムは、
前記メータボディの4つの側面に1つずつ配設されている
ことを特徴とする差圧センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧力差に応じた信号を出力するセンサダイアフラムを用いた差圧センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、工業用の差圧センサとして、圧力差に応じた信号を出力するセンサダイアフラムを用いた差圧センサが用いられている。この差圧センサは、高圧側および低圧側の受圧ダイアフラムに加えられる各測定圧を、圧力伝達媒体としての封入液によってセンサダイアフラムの一方の面および他方の面に導き、そのセンサダイアフラムの歪みを例えば歪抵抗ゲージの抵抗値変化として検出し、この抵抗値変化を電気信号に変換して取り出すように構成されている。
【0003】
このような差圧センサは、例えば石油精製プラントにおける高温反応塔等の被測定流体を貯蔵する密閉タンク内の上下2位置の差圧を検出することにより、液面高さを測定するときなどに用いられる。
【0004】
図5に従来の差圧センサの概略構成を示す。この差圧センサ100は、センサダイアフラム(図示せず)を有するセンサチップ1をメータボディ2に組み込んで構成される。センサチップ1におけるセンサダイアフラムは、シリコンやガラス等からなり、薄板状に形成されたダイアフラムの表面に歪抵抗ゲージが形成されている。メータボディ2は、金属製の本体部3とセンサ部4とからなり、本体部3の側面に一対の受圧部をなすバリアダイアフラム(受圧ダイアフラム)5a,5bが設けられ、センサ部4のセンサ室4a内にセンサチップ1が設けられている。
【0005】
メータボディ2において、センサ室4a内に設けられたセンサチップ1と本体部3に設けられたバリアダイアフラム5a,5bとの間は、大径のセンタダイアフラム6により隔離された圧力緩衝室7a,7bを介してそれぞれ連通され、センサチップ1とバリアダイアフラム5a,5bとを結ぶ連通路8a,8bにシリコーンオイル等の圧力伝達媒体9a,9bが封入されている。
【0006】
なお、シリコーンオイル等の圧力媒体が必要となるのは、センサダイアフラムに対する計測媒体中の異物付着を防ぐこと、センサダイアフラムを腐食させないため、耐食性を持つ受圧ダイアフラムと応力(圧力)感度を持つセンサダイアフラムとを分離する必要があるためである。
【0007】
この差圧センサ100では、
図6(a)に定常状態時の動作態様を模式的に示すように、プロセスからの測定圧P1がバリアダイアフラム5aに印加され、プロセスからの測定圧P2がバリアダイアフラム5bに印加される。これにより、バリアダイアフラム5a,5bが変位し、その加えられた圧力P1,P2がセンタダイアフラム6により隔離された圧力緩衝室7a,7bを介し、圧力伝達媒体9a,9bを通して、センサチップ1のセンサダイアフラムの一方の面および他方の面にそれぞれ導かれる。この結果、センサチップ1のセンサダイアフラムは、その導かれた圧力P1,P2の差圧ΔPに相当する変位を呈することになる。
【0008】
これに対して、例えば、バリアダイアフラム5bに過大圧Poverが加わると、
図6(b)に示すようにバリアダイアフラム5bが大きく変位し、これに伴ってセンタダイアフラム6が過大圧Poverを吸収するように変位する。そして、バリアダイアフラム5bがメータボディ2の凹部10bの底面(過大圧保護面)に着底し、その変位が規制されると、バリアダイアフラム5bを介するセンサダイアフラムへのそれ以上の差圧ΔPの伝達が阻止される。バリアダイアフラム5aに過大圧Poverが加わった場合も、バリアダイアフラム5bに過大圧Poverが加わった場合と同様にして、バリアダイアフラム5aがメータボディ2の凹部10aの底面(過大圧保護面)に着底し、その変位が規制されると、バリアダイアフラム5aを介するセンサダイアフラムへのそれ以上の差圧ΔPの伝達が阻止される。この結果、過大圧Poverの印加によるセンサチップ1の破損、すなわちセンサチップ1におけるセンサダイアフラムの破損が未然に防止される。
【0009】
この差圧センサ100では、メータボディ2にセンサチップ1を内包させているので、プロセス流体など外部腐食環境からセンサチップ1を保護することができる。しかしながら、センタダイアフラム6やバリアダイアフラム5a,5bの変位を規制するための凹部10a,10bを備え、これらによってセンサチップ1を過大圧Poverから保護する構造をとっているので、その形状が大型化することが避けられない。
【0010】
そこで、センサチップに第1のストッパ部材および第2のストッパ部材を設け、この第1のストッパ部材および第2のストッパ部材の凹部をセンサダイアフラムの一方の面および他方の面に対峙させることによって、過大圧が印加された時のセンサダイアフラムの過度な変位を阻止し、これによってセンサダイアフラムの破損・破壊を防止する構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
図7に特許文献1に示された構造を採用したセンサチップの概略を示す。同図において、11−1はセンサダイアフラム、11−2および11−3はセンサダイアフラム11−1を挟んで接合された第1および第2のストッパ部材、11−4および11−5はストッパ部材11−2および11−3に接合された台座である。ストッパ部材11−2,11−3や台座11−4,11−5はシリコンやガラスなどにより構成されている。
【0012】
このセンサチップ11において、ストッパ部材11−2,11−3には凹部11−2a,11−3aが形成されており、ストッパ部材11−2の凹部11−2aをセンサダイアフラム11−1の一方の面に対峙させ、ストッパ部材11−3の凹部11−3aをセンサダイアフラム11−1の他方の面に対峙させている。凹部11−2a,11−3aは、センサダイアフラム11−1の変位に沿った曲面(非球面)とされており、その頂部に圧力導入孔(導圧孔)11−2b,11−3bが形成されている。また、台座11−4,11−5にも、ストッパ部材11−2,11−3の導圧孔11−2b,11−3bに対応する位置に、圧力導入孔(導圧孔)11−4a,11−5aが形成されている。
【0013】
このようなセンサチップ11を用いると、センサダイアフラム11−1の一方の面に過大圧が印加されてセンサダイアフラム11−1が変位したとき、その変位面の全体がストッパ部材11−3の凹部11−3aの曲面によって受け止められる。また、センサダイアフラム11−1の他方の面に過大圧が印加されてセンサダイアフラム11−1が変位したとき、その変位面の全体がストッパ部材11−2の凹部11−2aの曲面によって受け止められる。
【0014】
これにより、センサダイアフラム11−1に過大圧が印加された時の過度な変位が阻止され、過大圧の印加によるセンサダイアフラム11−1の不本意な破壊を効果的に防ぎ、その過大圧保護動作圧力(耐圧)を高めることが可能となる。また、
図5に示された構造において、センタダイアフラム6や圧力緩衝室7a,7bをなくし、バリアダイアフラム5a,5bからセンサダイアフラム11−1に対して直接的に測定圧P1,P2を導くようにして、メータボディ2の小型化を図ることが可能となる。
【0015】
このメータボディ2の小型化を図った構造において、センサチップ11は、
図8に示すように、センサ室4aに収容され、そのセンサ室4aの底面(壁面)4bに台座11−5を接合することによって固定される。この場合、測定圧P1,P2を受けて、その測定圧P1,P2の差圧ΔPに応じてセンサダイアフラム11−1が低圧側に撓む。この撓みは、センサチップ11のセンサ室4aの壁面4bとの接合部に向かうことが望ましい。逆の方向に撓みが生じる場合には、センサ室4aの壁面4bとの接合部からセンサチップ11を剥離する場合が生じる。センサ室4aの壁面4bとの接合部外周から形成される面積Sと測定圧P1との積(S・P1)に応じた力F1で接合部は押し付けられる。一方、センサ室4aの壁面4bとの接合部に内包され、かつ、測定圧P2に連結された未接合面積Xと測定圧P2との積(X・P2)に応じた力F2で接合部は引き離される。接合部が単独で接合を維持する力F3とF1の合計が、F2により常に大きくなければ、接合は剥離される。面積Sは面積Xよりその定義上大きく、P1がP2より大きければ、接合部は剥離されることが無い。またセンサチップ11内のセンサダイアフラム11−1とストッパ部材11−3との接合部等でも同様な関係となる。このため、通常、圧力P1を受ける側を高圧側、圧力P2を受ける側を低圧側として定めて使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2005−69736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、このようなセンサチップ11の構造において、圧力P1と圧力P2との高低関係が逆転しうるような場合や、圧力P1と圧力P2との高低関係は逆転しないが、差圧センサを現場に設置する際に作業者が誤って、圧力P1側を低圧側、圧力P2側を高圧側として選択してしまうこともあり、高圧側・低圧側を定めただけでは、センサチップ11の接合部(センサチップ11のセンサ室4aの壁面4bとの接合部、センサチップ11内の多層構造の接合部)の剥離を完全には防止することができない。
【0018】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、センサチップの接合部の剥離を完全に防止するとともに、単純な構造とし、小型化を図ることも可能な差圧センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
このような目的を達成するために、本発明は、
一方の面および他方の面に受ける圧力差に応じた信号を出力するセンサダイアフラムと、センサダイアフラムを内部に有し、センサダイアフラムの一方の面および他方の面を受圧面とし、このセンサダイアフラムの受圧面に平行な面がセンサ室の壁面に接合されたセンサチップと、第1の測定圧を受ける第1の受圧ダイアフラムと、第2の測定圧を受ける第2の受圧ダイアフラムと、第1の受圧ダイアフラムが受けた第1の測定圧をセンサダイアフラムの一方の面に伝達する第1の圧力伝達媒体と、第2の受圧ダイアフラムが受けた第2の測定圧をセンサダイアフラムの他方の面に伝達する第2の圧力伝達媒体と、センサ室を封入室の一部として充填され、第1の測定圧および第2の測定圧のうち相対的に高圧の測定圧を、
センサダイアフラムがセンサチップのセンサダイアフラムの受圧面に平行な面とセンサ室の壁面との接合部に向かう方向に押圧されるように、センサチップに働かせる第3の圧力伝達媒体と、第1の測定圧を分岐して受ける第3の受圧ダイアフラムと、第2の測定圧を分岐して受ける第4の受圧ダイアフラムと、前記センサ室、前記封入室、前記第1および第2の受圧ダイアフラム、前記第3および第4の受圧ダイアフラムが設けられたメータボディとを備え、メータボディには、第1および第2の圧力伝達媒体が封止された第1および第2の導圧路と、第1および第2の測定圧を第3および第4の受圧ダイアフラムに導く第3および第4の導圧路と、第3の受圧ダイアフラムの背面側の空間とセンサ室とを連通させる第1の連通路と、第4の受圧ダイアフラムの背面側の空間とセンサ室とを連通させる第2の連通路とが形成され、第3および第4の受圧ダイアフラムの背面側の空間と第1および第2の連通路とセンサ室とを合わせた空間を封入室として第3の圧力伝達媒体が充填されていることを特徴とする。
【0020】
この発明において、センサ室には、このセンサ室を封入室の一部として、第3の圧力伝達媒体が充填される。このセンサ室において、第3の圧力伝達媒体は、第1の測定圧および第2の測定圧のうち相対的に高圧の測定圧を、
センサダイアフラムがセンサチップのセンサダイアフラムの受圧面に平行な面とセンサ室の壁面との接合部に向かう方向に押圧されるように、センサチップに働かせる。
【0021】
すなわち、本発明では、第2の測定圧が第1の測定圧よりも高い場合には、第4の受圧ダイアフラムが背面側に撓み、第3の受圧ダイアフラムが背面側とは反対の側(前面側)に撓む。ここで、第3の受圧ダイアフラムの前面側への撓みが規制されるものとすると、センサ室に充填されている第3の圧力伝達媒体の圧力が高まり、第1の測定圧よりも高い第2の測定圧が
センサチップのセンサダイアフラムの受圧面に平行な面とセンサ室の壁面との接合部に向かう方向に働くものとなる。また、第1の測定圧が第2の測定圧よりも高い場合には、第3の受圧ダイアフラムが背面側に撓み、第4の受圧ダイアフラムが背面側とは反対の側(前面側)に撓む。ここで、第4の受圧ダイアフラムの前面側への撓みが規制されるものとすると、センサ室に充填されている第3の圧力伝達媒体の圧力が高まり、第2の測定圧よりも高い第1の測定圧が
センサチップのセンサダイアフラムの受圧面に平行な面とセンサ室の壁面との接合部に向かう方向に働くものとなる。
【0022】
これにより、第1の測定圧と第2の測定圧との高低関係が逆転しうるような場合や、第1の測定圧と第2の測定圧との高低関係は逆転しないが、現場に設置する際に作業者が高圧側と低圧側とを誤って選択してしまったような場合でも、常にセンサチップに対して、
センサチップのセンサダイアフラムの受圧面に平行な面とセンサ室の壁面との接合部に向かう方向への力を加えるようにして、センサチップの接合部(センサチップのセンサ室の壁面との接合部、センサチップ内の多層構造の接合部)の剥離を防止することが可能となる。
【0023】
本発明では、第1の圧力伝達媒体と第2の圧力伝達媒体はセンサダイアフラムの一方の面および他方の面に測定圧を伝えるため、差圧の検出精度に影響を与える。このため、第1の圧力伝達媒体と第2の圧力伝達媒体は測定目的のみに利用し、第3の圧力伝達媒体をセンサ室を含む封入室に充填することにより、差圧の測定には影響を与えずに測定圧を利用して、センサチップの接合部の剥離を防止するようにする。
【0024】
また、本発明では、第1および第2の測定圧を第3および第4の受圧ダイアフラムに導く第3および第4の導圧路をメータボディに形成することにより、第1および第2の測定圧をメータボディの外側から第3および第4の受圧ダイアフラムに直接導く必要がなく、そのために要する導圧管を削減し、単純な構造とすることができる。
【0025】
また、本発明では、第1および第2の測定圧はメータボディの内部の第3および第4の導圧路を介して第3および第4の受圧ダイアフラムに導かれるので、第1および第2の測定圧を第1および第2の受圧ダイアフラムが存在する側面のみに外部より供給すればよく、例えば、メータボディを4つの側面を有する六面体とし、第1〜第4の受圧ダイアフラムをメータボディの4つの側面に1つずつ配設するようにして、メータボディ側面の長さを縮小し、小型化を図ることも可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、センサ室を封入室の一部として第3の圧力伝達媒体を充填し、第1の測定圧および第2の測定圧のうち相対的に高圧の測定圧を
、センサダイアフラムがセンサチップのセンサダイアフラムの受圧面に平行な面とセンサ室の壁面との接合部に向かう方向に押圧されるように、センサチップに働かせるようにしたので、第1の測定圧と第2の測定圧との高低関係が逆転しうるような場合や、第1の測定圧と第2の測定圧との高低関係は逆転しないが、現場に設置する際に作業者が高圧側と低圧側とを誤って選択してしまったような場合でも、常にセンサチップに対して、
センサチップのセンサダイアフラムの受圧面に平行な面とセンサ室の壁面との接合部に向かう方向への力を加えるようにして、センサチップの接合部(センサチップのセンサ室の壁面との接合部、センサチップ内の多層構造の接合部)の剥離を完全に防止することが可能となる。
【0027】
また、本発明によれば、第1および第2の測定圧を第3および第4の受圧ダイアフラムに導く第3および第4の導圧路をメータボディに形成するようにしたので、第1および第2の測定圧を第3および第4の受圧ダイアフラムに導く導圧管をメーターボディの外側に設ける必要をなくし、単純な構造とし、小型化を図ることも可能となる。例えば、メータボディを4つの側面を有する六面体とし、第1〜第4の受圧ダイアフラムをメータボディの4つの側面に1つずつ配設するようにして、メータボディ側面の長さを縮小し、小型化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明に係る差圧センサの一実施の形態の外観を示す図である。
【
図2】この差圧センサをメータボディの左前面側(側面12D側)から見た縦断面図である。
【
図3】この差圧センサをメータボディの前面側(側面12A側)から見た縦断面図である。
【
図4】この差圧センサの横断面図(平面断面図)である。
【
図5】従来の差圧センサの概略構成を示す図である。
【
図6】この差圧センサの動作態様を模式的に示す図である。
【
図7】特許文献1に示された構造を採用したセンサチップの概略を示す図である。
【
図8】このセンサチップをメータボディのセンサ室の壁面に接合した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0030】
図1はこの発明に係る差圧センサの一実施の形態の外観を示す図である。同図において、12は金属製のメータボディであり、4つの側面12A〜12Dと上面12Eと底面12Fとを有する六面体とされている。この例において、メータボディ12は正六面体(立方体)としているが、六面体であればよく、その形状はどのようなものであってもよい。
【0031】
図2にこの差圧センサ200をメータボディ12の左側面側(側面12D側)から見た縦断面図を示す。
図3にこの差圧センサ200をメータボディ12の前面側(側面12A側)から見た縦断面図を示す。
図4にこの差圧センサ200の横断面図(平面断面図)を示す。
【0032】
この差圧センサ200において、メータボディ12にはその上部にセンサ室12aが設けられている。このセンサ室12aには、センサチップ11が収容されており、センサチップ11はその台座11−5をセンサ室12aの底面(壁面)12bに接合することによって固定されている。
すなわち、センサチップ11は、内部にセンサダイアフラム11−1を有し、このセンサダイアフラム11−1の一方の面および他方の面を受圧面とし、このセンサダイアフラム11−1の受圧面に平行な面(台座11−5の底面)がセンサ室12aの底面(壁面)12bに接合されている。
【0033】
メータボディ12の側面12A,12Bには一対の受圧ダイアフラム13a,13bが設けられている。受圧ダイアフラム13aは、測定圧P1を受けるP1側センシング用受圧ダイアフラムとされ、受圧ダイアフラム13bは、測定圧P2を受けるP2側センシング用受圧ダイアフラムとされている。メータボディ12には、P1側センシング用受圧ダイアフラム13aの背面側に凹部12cが形成されており、P2側センシング用受圧ダイアフラム13bの背面側に凹部12dが形成されている。
【0034】
メータボディ12の側面12C,12Dには一対の受圧ダイアフラム14a,14bが設けられている。受圧ダイアフラム14aは、測定圧P1を分岐して受けるP1側保護用受圧ダイアフラムとされ、受圧ダイアフラム14bは、測定圧P2を分岐して受けるP2側保護用受圧ダイアフラムとされている。
【0035】
なお、受圧ダイアフラム14a、14bの剛性は極力低いことが望ましい。メータボディ12には、P1側保護用受圧ダイアフラム14aの背面側に凹部12eが形成されており、P2側保護用受圧ダイアフラム14bの背面側に凹部12fが形成されている。
【0036】
P1側保護用受圧ダイアフラム14aは、このP1側保護用受圧ダイアフラム14aの前面側に設けられたP1側保護用受圧ダイアフラムストッパ15aと一体化されており、このP1側保護用受圧ダイアフラム14aとP1側保護用受圧ダイアフラムストッパ15aとを一体化した部品(円形の部品)をP1側保護用受圧ダイアフラム体16aとしてメータボディ12の側面12Cに形成されたP1側保護用受圧ダイアフラム体格納室(円形の段差穴)17aに嵌め込み、このP1側保護用受圧ダイアフラム体16aが嵌め込まれたP1側保護用受圧ダイアフラム体格納室17aの開口面をP1側保護用受圧ダイアフラム体押さえ18aで塞いでいる。P1側保護用受圧ダイアフラム体押さえ18aはP1側保護用受圧ダイアフラム体16aよりも大径とされ、P1側保護用受圧ダイアフラム体格納室17a内のP1側保護用受圧ダイアフラム体16aの周囲には空間19aが形成されている。
【0037】
P1側保護用受圧ダイアフラムストッパ15aは、P1側保護用受圧ダイアフラム14aの前面に面する凹部15a1と、この凹部15a1とP1側保護用受圧ダイアフラム14aとの間の空間16a1に測定圧P1の測定媒体を導く圧力導入路(導圧路)15a2とが形成されている。この導圧路15a2は、P1側保護用受圧ダイアフラムストッパ15aの面上に、その外周縁から中心部に向かう一条の溝として形成されている。
【0038】
メータボディ12の内部には連通路12g(
図4参照)が形成されており、この連通路12gを介してP1側保護用受圧ダイアフラム体格納室17a内のP1側保護用受圧ダイアフラム体16aの周囲の空間19aに流入した測定圧P1の測定媒体が、P1側保護用受圧ダイアフラムストッパ15aの面上に形成されている導圧路15a2を通して、P1側保護用受圧ダイアフラムストッパ15aの凹部15a1とP1側保護用受圧ダイアフラム14aとの間の空間16a1に導かれる。
【0039】
メータボディ12の内部に形成された連通路12gは、その一端がメータボディ12の側面12Aに設けられているP1側センシング用受圧ダイアフラム13aのすぐ脇(メータボディ12に測定媒体を導くフランジを取り付ける際の気密シール部以内)に開口し、その他端がP1側保護用受圧ダイアフラム体16aが嵌め込まれたP1側保護用受圧ダイアフラム体格納室17a内の周囲の空間19aに開口している。
【0040】
P2側保護用受圧ダイアフラム14bは、このP2側保護用受圧ダイアフラム14bの前面側に設けられたP2側保護用受圧ダイアフラムストッパ15bと一体化されており、このP2側保護用受圧ダイアフラム14bとP2側保護用受圧ダイアフラムストッパ15bとを一体化した部品(円形の部品)をP2側保護用受圧ダイアフラム体16bとしてメータボディ12の側面12Dに形成されたP2側保護用受圧ダイアフラム体格納室(円形の段差穴)17bに嵌め込み、このP2側保護用受圧ダイアフラム体16bが嵌め込まれたP2側保護用受圧ダイアフラム体格納室17bの開口面をP2側保護用受圧ダイアフラム体押さえ18bで塞いでいる。P2側保護用受圧ダイアフラム体押さえ18bはP2側保護用受圧ダイアフラム体16bよりも大径とされ、P2側保護用受圧ダイアフラム体格納室17b内のP2側保護用受圧ダイアフラム体16bの周囲には空間19bが形成されている。
【0041】
P2側保護用受圧ダイアフラムストッパ15bは、P2側保護用受圧ダイアフラム14bの前面に面する凹部15b1と、この凹部15b1とP2側保護用受圧ダイアフラム14bとの間の空間16b1に測定圧P2の測定媒体を導く圧力導入路(導圧路)15b2とが形成されている。この導圧路15b2は、P2側保護用受圧ダイアフラムストッパ15bの面上に、その外周縁から中心部に向かう一条の溝として形成されている。
【0042】
メータボディ12の内部には連通路12h(
図4参照)が形成されており、この連通路12hを介してP2側保護用受圧ダイアフラム体格納室17b内のP2側保護用受圧ダイアフラム体16bの周囲の空間19bに流入した測定圧P2の測定媒体が、P2側保護用受圧ダイアフラムストッパ15bの面上に形成されている導圧路15b2を通して、P2側保護用受圧ダイアフラムストッパ15bの凹部15b1とP2側保護用受圧ダイアフラム14bとの間の空間16b1に導かれる。
【0043】
メータボディ12の内部に形成された連通路12hは、その一端がメータボディ12の側面12Bに設けられているP2側センシング用受圧ダイアフラム13bのすぐ脇(メータボディ12に測定媒体を導くフランジを取り付ける際の気密シール部以内)に開口し、その他端がP2側保護用受圧ダイアフラム体16bが嵌め込まれたP2側保護用受圧ダイアフラム体格納室17b内の周囲の空間19bに開口している。
【0044】
メータボディ12には、P1側センシング用受圧ダイアフラム13aの背面側に形成された凹部12cとセンサ室12aとの間に連通路12iが形成されており、この連通路12iはセンサ室12aの壁面12bに接合されたセンサチップ11の内部を通して、このセンサチップ11の中央部に位置するセンサダイアフラム11−1の一方側の面(上面)に連通している。この凹部12cを含む連通路12iには圧力伝達媒体20aが第1の圧力伝達媒体として封入されている。すなわち、凹部12cを含む連通路12iを第1の導圧路として、第1の圧力伝達媒体20aが封止されている。
【0045】
また、メータボディ12には、P2側センシング用受圧ダイアフラム13bの背面側に形成された凹部12dとセンサ室12aとの間に連通路12jが形成されており、この連通路12jはセンサ室12aの壁面12bに接合されたセンサチップ11の内部を通して、このセンサチップ11の中央部に位置するセンサダイアフラム11−1の他方側の面(下面)に連通している。この凹部12dを含む連通路12jには圧力伝達媒体20bが第2の圧力伝達媒体として封入されている。すなわち、凹部12dを含む連通路12jを第2の導圧路として、第2の圧力伝達媒体20bが封止されている。
【0046】
また、メータボディ12には、P1側保護用受圧ダイアフラム14aの背面側に形成された凹部12eとセンサ室12aとの間に連通路12kが形成され、P2側保護用受圧ダイアフラム14bの背面側に形成された凹部12fとセンサ室12aとの間に連通路12lが形成されている。この凹部12eを含む連通路12kと、凹部12fを含む連通路12lと、センサ室12aとを合わせた空間は、センサ室12の上面の開口を上蓋21により塞ぐことによって1つの封入室とされ、この封入室に圧力伝達媒体20cが第3の圧力伝達媒体(保護用の圧力伝達媒体)として充填されている。
【0047】
この差圧センサ200では、プロセスからの測定圧P1がP1側センシング用受圧ダイアフラム13aに印加され、プロセスからの測定圧P2がP2側センシング用受圧ダイアフラム13bに印加される。これにより、P1側センシング用受圧ダイアフラム13aが変位し、連通路12i内の圧力伝達媒体20aを通して、測定圧P1がセンサチップ11のセンサダイアフラム11−1の一方の面に導かれる。また、P2側センシング用受圧ダイアフラム13bが変位し、連通路12j内の圧力伝達媒体20bを通して、測定圧P2がセンサチップ11のセンサダイアフラム11−1の他方の面に導かれる。この結果、センサチップ1のセンサダイアフラム11−1が、その導かれた測定圧P1,P2の差圧ΔPに相当する変位を呈することになる。
【0048】
一方、P1側センシング用受圧ダイアフラム13aへの測定圧P1は、メータボディ12の内部に形成されている連通路12gを介してP1側保護用受圧ダイアフラム体格納室17a内のP1側保護用受圧ダイアフラム体16aの周囲の空間19aに流入し、P1側保護用受圧ダイアフラムストッパ15aの面上に形成されている導圧路15a2を通して、P1側保護用受圧ダイアフラムストッパ15aの凹部15a1とP1側保護用受圧ダイアフラム14aとの間の空間16a1に導かれ、P1側保護用受圧ダイアフラム14aに印加される。
【0049】
また、P2側センシング用受圧ダイアフラム13bへの測定圧P2は、メータボディ12の内部に形成されている連通路12hを介してP2側保護用受圧ダイアフラム体格納室17b内のP2側保護用受圧ダイアフラム体16bの周囲の空間19bに流入し、P2側保護用受圧ダイアフラムストッパ15bの面上に形成されている導圧路15b2を通して、P2側保護用受圧ダイアフラムストッパ15bの凹部15b1とP2側保護用受圧ダイアフラム14bとの間の空間16b1に導かれ、P2側保護用受圧ダイアフラム14bに印加される。
【0050】
この差圧センサ200でも、従来の差圧センサと同様、センサチップ11の接合部(センサチップ11のセンサ室12aの壁面12bとの接合部、センサチップ11内の多層構造の接合部)の剥離の観点より、通常、圧力P1を受ける側を高圧側、圧力P2を受ける側を低圧側として使用する。
【0051】
したがって、通常は、測定圧P1が測定圧P2よりも高い。この場合、P1側保護用受圧ダイアフラム14aが背面側に撓み、P2側保護用受圧ダイアフラム14bが背面側とは反対の側(前面側)に撓む。この際、P2側保護用受圧ダイアフラム14bは、P2側保護用受圧ダイアフラムストッパ15bの凹部15b1の底面によって、撓み過ぎることが防がれる。これにより、センサ室12aに充填されている圧力伝達媒体20cの圧力が高まり、測定圧P2よりも高い測定圧P1がセンサチップ11のセンサ室12aの壁面12bとの接合部に向かう方向に働くものとなる。
【0052】
これに対して、測定圧P1と測定圧P2との高低関係が逆転しうるような場合や、測定圧P1と測定圧P2との高低関係は逆転しないが、現場に設置する際に作業者が高圧側と低圧側とを誤って選択してしまうことがある。この場合、差圧センサ200への測定圧P2が測定圧P1よりも高くなり、P2側保護用受圧ダイアフラム14bが背面側に撓み、P1側保護用受圧ダイアフラム14aが背面側とは反対の側(前面側)に撓む。この際、P1側保護用受圧ダイアフラム14aは、P1側保護用受圧ダイアフラムストッパ15aの凹部15a1の底面によって、撓み過ぎることが防がれる。これにより、センサ室12aに充填されている圧力伝達媒体20cの圧力が高まり、測定圧P1よりも高い測定圧P2がセンサチップ11のセンサ室12aの壁面12bとの接合部に向かう方向に働くものとなる。
【0053】
なお、P1側保護用受圧ダイアフラムストッパ15aの凹部15a1の底面は、測定圧P2が測定圧P1に対して過大に高圧となった場合のP1側保護用受圧ダイアフラム14aの過大圧保護面ともなり、P2側保護用受圧ダイアフラムストッパ15bの凹部15b1の底面は、測定圧P1が測定圧P2に対して過大に高圧となった場合のP2側保護用受圧ダイアフラム14bの過大圧保護面ともなる。
【0054】
このようにして、本実施の形態の差圧センサ200では、センサ室12aを封入室の一部として圧力伝達媒体20cを充填し、測定圧P1および測定圧P2のうち相対的に高圧の測定圧をセンサチップ11のセンサ室12aの壁面12bとの接合部に向かう方向に働かせるようにしているので、測定圧P1と測定圧P2との高低関係が逆転しうるような場合や、測定圧P1と測定圧P2との高低関係は逆転しないが、現場に設置する際に作業者が高圧側と低圧側とを誤って選択してしまったような場合でも、常にセンサチップ11に対して、センサ室12aの壁面12bとの接合部に向かう方向への力が加わるようになり、センサチップ11の接合部(センサチップ11のセンサ室12aの壁面12bとの接合部、センサチップ11内の多層構造の接合部)の剥離が完全に防止されるものとなる。
【0055】
また、この差圧センサ200では、測定圧P1をP1側保護用受圧ダイアフラム14aに導く連通路12gおよび測定圧P2をP2側保護用受圧ダイアフラム14bに導く連通路12hを測定圧P1およびP2の導圧路としてメータボディ12に形成しているので、測定圧P1およびP2をメータボディ12の外側からP1側保護用受圧ダイアフラム14aおよびP2側保護用受圧ダイアフラム14bに直接導く必要がなく、そのために要する導圧管を削減し、単純な構造とすることができている。
【0056】
また、この差圧センサ200では、測定圧P1およびP2はメータボディ12の内部の連通路(導圧路)12gおよび12hを介してP1側保護用受圧ダイアフラム14aおよびP2側保護用受圧ダイアフラム14bに導かれるので、プロセスからの流体の測定圧P1およびP2はP1側センシング用受圧ダイアフラム13aおよびP2側センシング用受圧ダイアフラム13bが存在する側面12Aおよび12Bのみに供給すればよい。
【0057】
これにより、この差圧センサ200では、メータボディ12を4つの側面を有する六面体とし、メータボディ12の側面12AにP1側センシング用受圧ダイアフラム13aを、メータボディ12の側面12BにP2側センシング用受圧ダイアフラム13bを、メータボディ12の側面12CにP1側保護用受圧ダイアフラム14aを、メータボディ12の側面12DにP2側保護用受圧ダイアフラム14bを配置するというように、4つの側面に受圧ダイアフラムを1つずつ配置することで、メータボディ12の側面の長さを縮小し、小型化を図ることができている。
【0058】
また、この差圧センサ200では、P1側保護用受圧ダイアフラム14aとP1側保護用受圧ダイアフラムストッパ15aとを一体化してP1側保護用受圧ダイアフラム体16aとし、このP1側保護用受圧ダイアフラム体16aをP1側保護用受圧ダイアフラム体格納室17aにセットし、P1側保護用受圧ダイアフラム体押さえ18aでP1側保護用受圧ダイアフラム体格納室17a内に封止するという構造を取っている。また、P2側保護用受圧ダイアフラム14bとP2側保護用受圧ダイアフラムストッパ15bとを一体化してP2側保護用受圧ダイアフラム体16bとし、このP2側保護用受圧ダイアフラム体16bをP2側保護用受圧ダイアフラム体格納室17bにセットし、P2側保護用受圧ダイアフラム体押さえ18bでP2側保護用受圧ダイアフラム体格納室17b内に封止するという構造を取っている。このような封止構造をとることにより、P1側保護用受圧ダイアフラム体16aおよびP2側保護用受圧ダイアフラム体16bにおけるP1側保護用受圧ダイアフラムストッパ15aの凹部15a1およびP2側保護用受圧ダイアフラムストッパ15bの凹部15b1の深さの管理のみで、P1側保護用受圧ダイアフラム14aおよびP2側保護用受圧ダイアフラム14bの着底距離を制御することができ、所望の耐圧を確実に得るようにすることが可能となる。
【0059】
なお、この差圧センサ200において、P1側保護用受圧ダイアフラムストッパ15aの凹部15a1は、温度変化時の圧力伝達媒体20cの膨張によるP1側保護用受圧ダイアフラム14aの撓み代を確保する役割を果たし、P2側保護用受圧ダイアフラムストッパ15bの凹部15b1は、温度変化時の圧力伝達媒体20cの膨張によるP2側保護用受圧ダイアフラム14bの撓み代を確保する役割を果たす。
【0060】
また、上述した実施の形態では、センサダイアフラム11−1を圧力変化に応じて抵抗値が変化する歪抵抗ゲージを形成したタイプとしているが、静電容量式のセンサチップとしてもよい。静電容量式のセンサチップは、所定の空間(容量室)を備えた基板と、その基板の空間上に配置されたダイアフラムと、基板に形成された固定電極と、ダイアフラムに形成された可動電極とを備えている。ダイアフラムが圧力を受けて変形することで、可動電極と固定電極との間隔が変化してその間の静電容量が変化する。
【0061】
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0062】
11−1…センサダイアフラム、11−2…第1のストッパ部材、11−3…第2のストッパ部材、11−4,11−5…台座、12…メータボディ、12a…センサ室、12b…底面(壁面)、12c〜12f…凹部、12g〜12l…連通路、13a…P1側センシング用受圧ダイアフラム、13b…P2側センシング用受圧ダイアフラム、14a…P1側保護用受圧ダイアフラム、14b…P2側保護用受圧ダイアフラム、15a…P1側保護用受圧ダイアフラムストッパ、15a1…凹部、15a2…圧力導入路(導圧路)、15b…P2側保護用受圧ダイアフラムストッパ、15b1…凹部、15b2…圧力導入路(導圧路)、16a…P1側保護用受圧ダイアフラム体、16b…P2側保護用受圧ダイアフラム体、17a…P1側保護用受圧ダイアフラム体格納室、17b…P2側保護用受圧ダイアフラム体格納室、18a…P1側保護用受圧ダイアフラム体押さえ、18b…P2側保護用受圧ダイアフラム体押さえ、20a…圧力伝達媒体(第1の圧力伝達媒体)、20b…圧力伝達媒体(第2の圧力伝達媒体)、20c…圧力伝達媒体(第3の圧力伝達媒体)、21…上蓋、200…差圧センサ。