特許第6010440号(P6010440)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010440
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】フローセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/684 20060101AFI20161006BHJP
   G01F 1/692 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   G01F1/684 A
   G01F1/684 B
   G01F1/692 B
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-264194(P2012-264194)
(22)【出願日】2012年12月3日
(65)【公開番号】特開2014-109502(P2014-109502A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2015年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】池 信一
【審査官】 濱本 禎広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−002864(JP,A)
【文献】 特開2004−093180(JP,A)
【文献】 特開2000−146655(JP,A)
【文献】 特開2006−003260(JP,A)
【文献】 特開2012−202817(JP,A)
【文献】 特開2011−185869(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0073772(US,A1)
【文献】 特開2014−016238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/684
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定流体を流通させる流路を有する流路ボディと、円筒状の台座と、前記台座に接合された状態で前記流路内に配置されて被測定流体の流量を検出するセンサチップと、を備えるフローセンサであって、
前記流路ボディは、前記流路と外部とを連通する台座挿入用の貫通孔を有し、
前記貫通孔は、前記流路と連続する第一部分と、前記第一部分より大きい内径を有し外部と連続する第二部分と、前記第一部分及び前記第二部分からなり弾性シール部材を配置するための段部と、から構成され、
前記第二部分は、前記段部側から外部側になるに従って内径が漸次大きくなるように形成されており、
前記貫通孔の前記第二部分の内壁面と、前記台座の外壁面と、の間に外部から前記段部付近まで挿入されて前記弾性シール部材を押さえる押さえ部材を備える、フローセンサ。
【請求項2】
前記第二部分のうち前記段部から所定長の部分の内径が一定にされている、請求項1に記載のフローセンサ。
【請求項3】
被測定流体を流通させる流路を有する流路ボディと、円筒状の台座と、前記台座に接合された状態で前記流路内に配置されて被測定流体の流量を検出するセンサチップと、を備えるフローセンサであって、
前記流路ボディは、前記流路と外部とを連通する台座挿入用の貫通孔を有し、
前記貫通孔は、前記流路と連続する第一部分と、前記第一部分より大きい内径を有し外部と連続する第二部分と、前記第一部分及び前記第二部分からなり弾性シール部材を配置するための段部と、から構成され、
前記台座は、前記貫通孔に挿入される際に前記流路側に配置される部分から外部側に配置される部分になるに従って外径が漸次大きくなるように形成されており、
前記貫通孔の前記第二部分の内壁面と、前記台座の外壁面と、の間に外部から前記段部付近まで挿入されて前記弾性シール部材を押さえる押さえ部材を備える、フローセンサ。
【請求項4】
前記センサチップは、前記台座に接合される基体と、前記基体の前記流路側の面に形成され電気抵抗素子を含む流速検出部と、前記電気抵抗素子に電気的に接続され前記基体の内部を通って前記台座側の面まで配される電極と、を有し、
前記台座の内部に、前記センサチップの前記電極から外部に電気信号を取り出すための電導部材が配されている、請求項1からの何れか一項に記載のフローセンサ。
【請求項5】
前記台座と前記基体とは、接着剤により接合されている、請求項に記載のフローセンサ。
【請求項6】
前記接着剤は、フッ素樹脂系接着剤である、請求項に記載のフローセンサ。
【請求項7】
前記台座と前記基体とは、希フッ化水素酸接合、常温活性化接合又は拡散接合により接合されている、請求項に記載のフローセンサ。
【請求項8】
前記台座の熱膨張率と、前記センサチップの熱膨張率と、が同一に設定される、請求項1からの何れか一項に記載のフローセンサ。
【請求項9】
前記台座は、ガラス、シリコン又はセラミックから構成される、請求項1からの何れか一項に記載のフローセンサ。
【請求項10】
前記センサチップは、ガラス、シリコン又はセラミックから構成される、請求項1からの何れか一項に記載のフローセンサ。
【請求項11】
前記ガラスは、石英ガラス又は硼珪酸ガラスである、請求項9又は10に記載のフローセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フローセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
工業炉、ボイラ、空調熱源機器等の各種産業機器においては、気体や液体等の流体が適切な流量で供給されることが求められていることから、流体の流量を正確に計測するためのフローセンサが種々開発され、実用に供されている。かかるフローセンサは、硫黄酸化物(SOX)、窒素酸化物(NOX)、塩素分子(Cl2)、三塩化ホウ素(BCl3)等の腐食性ガスの流量を計測するために用いられる場合もある。そこで、現在においては、フローセンサを構成するセンサチップの基体を耐食性のあるガラスで作製し、センサチップからの電気信号を取り出すための電極を基体の裏面に設ける技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
近年においては、さらに耐食性を向上させる目的で、フローセンサを構成する台座及びセンサチップの双方をガラスで作製して両者を接合する技術の開発が進められている。このようなガラス製フローセンサと流路ボディの間のシーリングを行う際には、台座の脆弱性を勘案して、流路ボディに形成した貫通孔と、フローセンサの台座と、の間にOリング等の弾性シール部材を挟み込む方法(以下、「軸シール法」という)が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−185869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ガラス製フローセンサと流路ボディとの間のシーリングを行うために軸シール法を採用する際には、シール性を確保するためにOリングの内径を台座の外径よりも小さく設定する必要がある。そして、ガラス製フローセンサを流路ボディに取り付ける際には、流路ボディの貫通孔に形成した段部にOリングを配置した状態で、貫通孔に台座を挿入していた。
【0006】
しかし、上記のような方法でガラス製フローセンサを流路ボディに取り付けると、Oリングの内径が台座の外径よりも小さく設定されていることから、台座を流路ボディの貫通孔に挿入することが困難であり、場合によっては、Oリングから加えられる締付力によって台座が破損する虞があった。
【0007】
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、フローセンサにおいて、流路ボディの貫通孔への台座の挿入を容易にするとともに、流路ボディへの取付けの際に台座に作用する締付力を緩和して台座の破損を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る第一のフローセンサは、被測定流体を流通させる流路を有する流路ボディと、円筒状の台座と、台座に接合された状態で流路内に配置され被測定流体の流量を検出するセンサチップと、を備えるものであって、流路ボディは、流路と外部とを連通する台座挿入用の貫通孔を有し、貫通孔は、流路と連続する第一部分と、第一部分より大きい内径を有し外部と連続する第二部分と、第一部分及び第二部分からなり弾性シール部材を配置するための段部と、から構成され、第二部分は、段部側から外部側になるに従って内径が漸次大きくなるように形成されている。
【0009】
かかる構成を採用すると、流路ボディの貫通孔の第二部分の内径が、段部側から外部側になるに従って漸次大きくされているので、流路ボディの貫通孔の段部に弾性シール部材を配置した状態(又は台座に弾性シール部材を巻き付けた状態)で外部から台座を貫通孔に容易に挿入することができる。また、外部から台座を流路ボディの貫通孔に挿入する際に、弾性シール部材から台座に対して加えられる締付力を緩和することができるので、台座の破損を防ぐことができる。
【0010】
本発明に係る第一のフローセンサにおいて、流路ボディの貫通孔の第二部分のうち段部から所定長の部分の内径を一定にすることが好ましい。
【0011】
かかる構成を採用すると、流路ボディの貫通孔の第二部分のうち段部から所定長の部分の内径が一定にされているため、貫通孔の第二部分の段部付近の内壁面と台座の外壁面との間に、弾性シール部材を確実に挟み込むための一定のスペースを形成することができる。
【0012】
本発明に係る第二のフローセンサは、被測定流体を流通させる流路を有する流路ボディと、円筒状の台座と、台座に接合された状態で流路内に配置されて被測定流体の流量を検出するセンサチップと、を備えるものであって、流路ボディは、流路と外部とを連通する台座挿入用の貫通孔を有し、貫通孔は、流路と連続する第一部分と、第一部分より大きい内径を有し外部と連続する第二部分と、第一部分及び第二部分からなり弾性シール部材を配置するための段部と、から構成され、台座は、貫通孔に挿入される際に流路側に配置される部分から外部側に配置される部分になるに従って外径が漸次大きくなるように形成されている。
【0013】
かかる構成を採用すると、台座の外径が、流路ボディの貫通孔に挿入される際に流路側に配置される部分から外部側に配置される部分になるに従って漸次大きくされているので、流路ボディの貫通孔の段部に弾性シール部材を配置した状態(又は台座に弾性シール部材を巻き付けた状態)で外部から台座を貫通孔に容易に挿入することができる。また、外部から台座を流路ボディの貫通孔に挿入する際に、弾性シール部材から台座に対して加えられる締付力を緩和することができるので、台座の破損を防ぐことができる。
【0014】
本発明に係るフローセンサにおいて、貫通孔の第二部分の内壁面と、台座の外壁面と、の間に外部から段部付近まで挿入されて弾性シール部材を押さえる押さえ部材をさらに備えることができる。
【0015】
本発明に係るフローセンサにおいて、台座に接合される基体と、基体の流路側の面に形成され電気抵抗素子を含む流速検出部と、電気抵抗素子に電気的に接続され基体の内部を通って台座側の面まで配される電極と、を有するセンサチップを採用するとともに、センサチップの電極から外部に電気信号を取り出すための電導部材を台座の内部に配することができる。
【0016】
本発明に係るフローセンサにおいて、台座と基体とを、接着剤(例えばフッ素樹脂系接着剤)により接合することができる。また、台座と基体とを、希フッ化水素酸接合、常温活性化接合又は拡散接合により接合してもよい。
【0017】
本発明に係るフローセンサにおいて、台座及びセンサチップの双方を、ガラス(石英ガラスや硼珪酸ガラス)、シリコン又はセラミックから構成することができる。また、台座の熱膨張率と、センサチップの熱膨張率と、を同一に設定することが好ましい。
【0018】
かかる構成を採用すると、台座とセンサチップの熱膨張率が等しいため、両者の界面における歪みが生じ難くなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、フローセンサにおいて、流路ボディの貫通孔への台座の挿入を容易にするとともに、流路ボディへの取り付けの際に台座に作用する締付力を緩和して台座の破損を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第一実施形態に係るフローセンサの断面図である。
図2】本発明の第一実施形態に係るフローセンサの台座が挿入されていない流路ボディの断面図である。
図3】本発明の第一実施形態に係るフローセンサの台座が挿入されていない流路ボディと弾性ガスケットの断面図である。
図4】本発明の第一実施形態に係るフローセンサの台座が挿入されていない流路ボディ、弾性ガスケット及びガスケット押さえ部材の断面図である。
図5】本発明の第一実施形態に係るフローセンサのチップ及び台座の斜視図である。
図6図5のVI−VI部分の断面図である。
図7】本発明の第二実施形態に係るフローセンサの断面図である。
図8】本発明の第二実施形態に係るフローセンサの台座を流路ボディに挿入する前の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
<第一実施形態>
まず、図1図6を用いて、本発明の第一実施形態に係るフローセンサ1について説明する。
【0023】
本実施形態に係るフローセンサ1は、図1及び図2に示すように、気体又は液体等の被測定流体を流通させる流路2及び流路2と外部とを連通する台座挿入用の貫通孔3が設けられた流路ボディ4と、流路ボディ4の貫通孔3に挿入された円筒状の台座10と、貫通孔3と台座10の間に配置され、台座10を締め付ける弾性シール部材5と、台座10に接合された状態で流路2内に配置されて被測定流体の流量を検出するセンサチップ20と、を備える。
【0024】
図2に示すように、流路ボディ4の貫通孔3は、図1に示した台座10の外周と略同一の内周を有し流路2と連続する第一部分51と、第一部分51と連続し第一部分51の内周より大きい内周を有する第二部分52と、を有している。貫通孔3の第二部分52は、流路ボディ4の外面(外部)と連続している。貫通孔3の第一部分51及び第二部分52の断面形状は、円である。貫通孔3の内部には、第一部分51と第二部分52とからなり弾性シール部材5を配置するための段部53が形成されている。
【0025】
貫通孔3の第二部分52は、図2に示すように、段部53側から外部側になるに従って内径が漸次大きくなるように形成されている。さらに具体的に説明すると、第二部分52のうち段部53から所定長の部分52aの内径は一定にされており、この所定長の部分52aを除く部分52bは、外部側になるに従って内径が漸次大きくなるように形成されている。
【0026】
図1に示す弾性シール部材5は、例えば耐食性を有する弾性体から構成されている。弾性シール部材5としては、例えばOリングを使用することができる。図3に示すように、弾性シール部材5は、貫通孔3の内部の段部33に配置されている。貫通孔3に配置されていない状態における弾性シール部材5の外周は、弾性シール部材5が貫通孔3に配置された状態で充分な気密性を有するよう、貫通孔3の第二部分52の内周より大きく設定されている。また、弾性シール部材5の内周は、図1に示す台座10の外周より小さく設定されている。
【0027】
弾性シール部材5は、図1及び図4に示すように、押さえ部材6によって、貫通孔3の段部53に押しつけられている。押さえ部材6は、例えば金属等からなる筒状部材を採用することができる。押さえ部材6の外周は、貫通孔3の第二部分52の所定長部分52aの内周と同一に設定され、押さえ部材6の内周は、図1に示す台座10の外周と同一に設定される。押さえ部材6は、台座10の側壁と、貫通孔3の第二部分52の内壁と、の間に配置されることとなる。
【0028】
台座10及び押さえ部材6は、板状部材7によって、流路ボディ4に固定される。板状部材7は、ボルト8によって、流路ボディ4に固定される。なお、押さえ部材6と板状部材7とは、一体化していてもよい。流路2を流れる被測定流体の圧力が上昇しても、弾性シール部材5は押さえ部材6で固定されているため、弾性シール部材5の動きは拘束され、弾性シール部材5のシール性が保たれる。板状部材7は、例えば金属からなる。弾性シール部材5によって、流路2を流れる被測定流体が板状部材7に到達しないため、板状部材7の材料は、必ずしも耐食性を有していなくてもよい。
【0029】
斜視図である図5及びVI-VI部分における断面図である図6に示すように、台座10の上面に配置されたセンサチップ20は、基体21と、基体21の上面に配置され流路2の内部に位置する電気抵抗素子23を含む流速検出部22と、基体21を貫通し電気抵抗素子23と電気的に接続された電極24A、24Bと、を有する。
【0030】
台座10の上面に配置された基体21にはキャビティ25が設けられている。キャビティ25は、エッチング法やサンドブラスト法等により形成される。基体21の材料としては、例えば、ガラス(石英ガラスや硼珪酸ガラス)、シリコン、セラミック等を使用することができる。流速検出部22において、電気抵抗素子23は、例えばガラス部材に含まれている。流速検出部22は、基体21のキャビティ25を覆うように配置されている。また、流速検出部22の両端には、キャビティ25の開口26が設けられている。
【0031】
流速検出部22において、耐食性のあるガラス部材の内部に設けられた電気抵抗素子23は、平行に配置された第一測温素子32、発熱素子31及び第二測温素子33を含む。発熱素子31は、電力を与えられて発熱し、流速検出部22表面を流れる流体を加熱する。第一測温素子32及び第二測温素子33は、流速検出部22表面を流れる流体の温度に依存した電気信号を出力する。第一測温素子32は発熱素子31より例えば上流側の流体の温度を検出するために用いられ、第二測温素子33は発熱素子31より例えば下流側の流体の温度を検出するために用いられる。発熱素子31、第一測温素子32及び第二測温素子33のそれぞれの材料としては、白金(Pt)等の導電性材料を使用することができる。
【0032】
図6に示す電極24A、24Bは、流速検出部22内に設けられた回路を介して第一測温素子32、発熱素子31及び第二測温素子33の少なくとも一つと電気的に接続されている。なお、図6においては、基体21を貫通する2つの電極24A、24Bを示したが、基体21を貫通する電極の数はこれに限定されない。基体21の裏面には、電極24Aに電気的に接続された電導パッド35Aと、電極24Bに電気的に接続された電導パッド35Bと、が配置されている。電極24A、24Bは、基体21にエッチング法やドリルを用いる微細加工法を用いて孔を形成し、孔を電導物質で埋めることにより形成することができる。電導パッド35A、35Bの材料としては、金(Au)等を使用することができる。
【0033】
台座10の材料としては、例えば、ガラス(石英ガラスや硼珪酸ガラス)、シリコン、セラミック等を使用することができる。センサチップ20は、台座10の上面に配置されている。台座10の上面と基体21の裏面とを、耐食性のある接着剤により接着することができる。接着剤としては、フッ素樹脂系接着剤を使用することができる。あるいは、台座10の上面と基体21の裏面とを、希フッ化水素酸(HF)接合法、常温活性化接合法又は拡散接合法により接合してもよい。
【0034】
台座10の材料及び基体21の材料に同じ材料(例えば石英ガラス)を用いると、台座10の熱膨張率と基体21の熱膨張率とは同じになる。そのため、熱膨張率の異なる物同士の界面で生じ得る歪みが、本実施の形態に係るフローセンサ1では生じにくくなる。
【0035】
台座10の内部には、センサチップ20の裏面の電極24A、24Bから電気信号を外部に取り出すための電導部材45A、45Bが配置される。電極24A、24Bと電導部材45A、45Bとは、それぞれ電気的に接続されている。電導部材45A、45Bとしては、リードピン等を使用することができる。台座10は、図1に示す板状部材7によって、流路ボディ4に固定される。
【0036】
ここで、流速検出部22表面に接する流体が静止している場合、発熱素子31から流体に加えられた熱は、流路2の上流方向と下流方向へ対称的に伝播する。したがって、第一測温素子32及び第二測温素子33の温度は等しくなり、第一測温素子32及び第二測温素子33の電気抵抗は等しくなる。これに対し、第一測温素子32が配置された側から第二測温素子33が配置された側に向かって流体に流れている場合、発熱素子31から流体に加えられた熱は、第二測温素子33が配置された側に運ばれる。したがって、第一測温素子32の温度よりも、第二測温素子33の温度が高くなる。そのため、第一測温素子32の電気抵抗と、第二測温素子33の電気抵抗と、に差が生じる。第二測温素子33の電気抵抗と、第一測温素子32の電気抵抗と、の差は、流速検出部22表面に接する流体の速度と相関する。そのため、第二測温素子33の電気抵抗と、第一測温素子32の電気抵抗と、の差から、流路2を流れる流体の流量が求められる。
【0037】
以上説明した実施形態に係るフローセンサ1においては、流路ボディ4の貫通孔3の第二部分52の内径が、段部53側から外部側になるに従って漸次大きくされているので、流路ボディ4の貫通孔3の段部53に弾性シール部材5を配置した状態(又は台座10に弾性シール部材5を巻き付けた状態)で外部から台座10を貫通孔3に容易に挿入することができる。また、外部から台座10を流路ボディ4の貫通孔3に挿入する際に、弾性シール部材5から台座10に対して加えられる締付力を緩和することができるので、台座10の破損を防ぐことができる。
【0038】
また、以上説明した実施形態に係るフローセンサ1においては、流路ボディ4の貫通孔3の第二部分52のうち段部53から所定長部分52aの内径が一定にされているため、貫通孔3の第二部分52の段部53付近の内壁面と台座10の外壁面との間に、弾性シール部材5を確実に挟み込むための一定のスペースを形成することができる。
【0039】
<第二実施形態>
次に、図7及び図8を用いて、本発明の第二実施形態に係るフローセンサ1Aについて説明する。本実施形態に係るフローセンサ1Aは、第一実施形態に係るフローセンサ1の流路ボディ4の貫通孔3の形状及び台座10の形状を変更したものであり、その他の構成については実質的に第一実施形態と共通である。このため、異なる構成を中心に説明することとし、共通する構成については詳細な説明を省略することとする。
【0040】
本実施形態に係るフローセンサ1Aは、図7及び図8に示すように、流路2及び貫通孔3Aが設けられた流路ボディ4A、流路ボディ4Aの貫通孔3Aに挿入された円筒状の台座10A、台座10Aに接合された状態で流路2内に配置されて被測定流体の流量を検出するセンサチップ20、貫通孔3Aと台座10Aの間に配置され台座10Aを締め付ける弾性シール部材5、弾性シール部材5を押さえる押さえ部材6、板状部材7及びボルト8を備えている。
【0041】
センサチップ20、弾性シール部材5、押さえ部材6、板状部材7及びボルト8は、第一実施形態で説明したものと実質的に同一であるので、詳細な説明を省略する。また、台座10A及びセンサチップ20の材料や台座10Aとセンサチップ20との接合方法についても、第一実施形態で説明したものと実質的に同一であるので、詳細な説明を省略することとする。
【0042】
台座10Aは、図8に示すように、センサチップ20側の部分から流路ボディ4Aの貫通孔3Aに挿入される。台座10Aの一部は、貫通孔3Aに挿入される際に流路2側に配置されるセンサチップ20側の部分から反対側(外部側)の部分になるに従って、外径が漸次大きくなるように形成されている。すなわち、台座10Aのセンサチップ20側の端部(流路2側に配置される端部)から軸方向中央部付近までの部分は、外径が漸次大きくなるような変径部(先細部)11とされている。
【0043】
一方、台座10Aの軸方向略中央部付近からセンサチップ20の反対側の端部(外部側に配置される端部)までの部分は、外径が一定の定径部12とされている。なお、台座10Aの変径部11と定径部12との境界13は、図7に示すように、台座10Aが流路ボディ4Aの貫通孔3Aに挿入された際に、軸方向において貫通孔3Aの段部53と同じ位置になるように配置されている。
【0044】
本実施形態における流路ボディ4Aの貫通孔3Aは、台座10Aの定径部11の外周と略同一の内周を有し流路2と連続する第一部分51と、第一部分51と連続し第一部分51の内周より大きい内周を有する第二部分52Aと、を有している。貫通孔3Aの第二部分52Aは、流路ボディ4Aの外面(外部)と連続している。また、貫通孔3Aの内部には、第一部分51と第二部分52Aとからなり弾性シール部材5を配置するための段部53が形成されている。本実施形態における貫通孔3Aの第二部分52Aは、図8に示すように、一定の内径を有している。貫通孔3Aの第一部分51及び第二部分52Aの断面形状は、円である。
【0045】
以上説明した実施形態に係るフローセンサ1Aにおいては、台座10Aの変径部11の外径が、流路ボディ4Aの貫通孔3Aに挿入される際に流路2側に配置されるセンサチップ20側の部分から外部側に配置される部分になるに従って漸次大きくされているので、流路ボディ4Aの貫通孔3Aの段部53に弾性シール部材5を配置した状態(又は台座10Aに弾性シール部材5を巻き付けた状態)で外部から台座10Aを貫通孔3Aに容易に挿入することができる。また、外部から台座10Aを流路ボディ4Aの貫通孔3Aに挿入する際に、弾性シール部材5から台座10Aに対して加えられる締付力を緩和することができるので、台座10Aの破損を防ぐことができる。
【0046】
本発明は、以上の各実施形態に限定されるものではなく、これら実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。すなわち、上記各実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、上記各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0047】
1・1A…フローセンサ
2…流路
3・3A…貫通孔
4・4A…流路ボディ
5…弾性シール部材
6…押さえ部材
10・10A…台座
11…変径部
20…センサチップ
21…基体
22…流速検出部
23…電気抵抗素子
24A・24B…電極
45A・45B…電導部材
51…(貫通孔の)第一部分
52・52A…(貫通孔の)第二部分
52a…(第二部分のうち)段部から所定長の部分
53…(貫通孔の)段部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8