(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
3cm角の試験片を、ビーカー内の水中で、スターラーで650rpmに攪拌しながら、当該試験片が2つ以上に千切れるフロック状水分散時間が30秒以内であることを特徴とする請求項1に記載の水分散紙。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、パルプを主原料とした水中での分散性に優れた水分散性紙である。本発明では、パルプとしてαセルロースを88重量%以上含有する精製パルプを全パルプの15〜95重量%、残りを精製パルプ以外のパルプを配合した紙であって、水分散性に優れた紙である。さらに、この水分散性紙を基材として塗工層を設けて、印刷特性を改善しかつ水分散性を発揮する水分散性塗工紙を提供する。
本発明が提供する水分散性紙は、30秒以内に細かく分散し、80秒以内に繊維状にほぐれる水中分散性を示す。本発明の水分散性紙は、紙力が強く印刷適性があるので、塗工層を形成することにより綺麗な印刷を行うことができ、中性であって黄変等の変色耐性も高い。
本発明では、精製パルプと無精製パルプを配合することが重要であり、一方のみでは十分な品質を確保できない。また、再生工程を経て精製されたαセルロース含有率の高いセルロース系繊維(例えばレーヨン短繊維)を用いることも紙力の低下等の問題が生じるので不適切である。天然パルプ繊維の形態を保持した状態のパルプ繊維の形態が本発明では使用形態として望ましい。
本発明の水分散性紙及びその塗工紙は、水中に投下して細かくする用途に適している。例えば、レストラン等で用いる食品トレイの消費期限表示ラベル、リサイクル容器用ラベル、リターナブル容器用表示シート等に利用すると容器やトレイと一緒に水中に投下して攪拌・洗浄中に本水分散紙は分離され細かくなって排水可能になる。播種シートや食品包材用のラベル用途では、アルカリ性による害が発生しない。播種シートはそのまま畑や苗甫に施行することができ、吸水性及び崩壊性があるので、播種作業の効率化と発芽率を向上させることができる。食品包材用のラベル用途では、ラベルを貼着したトレイの洗浄後にアルカリ分が残留する懸念がなく、洗浄作業を効率化することができる。
本発明の水分散性紙及びその塗工紙の別種の用途として、秘密情報の印刷用紙としての利用が挙げられる。例えば、銀行等の現金自動出納機の利用明細書、保険調剤明細書等個人情報を記載した文書や企業の紙媒体機密文書等はシュレッダーで処理されることが多いが、米国等ではこれらの断裁処理物を復元して取得した秘密情報を用いた犯罪の多発が問題となっている。本発明の水分散性紙及びその塗工紙は、感熱プリンター、インクジェットプリンター及び印刷等により秘密情報を容易に記載することができ、使用後に水分散させることで秘密情報を完全かつ容易に抹消することが可能である。
【0013】
<精製パルプ>
本発明に用いる精製パルプとは、針葉樹、広葉樹等の木材や亜麻、リンター等の非木材を原料としたマーセル化パルプ又は溶解パルプ等のように、パルプ製造時の蒸解条件の強化、蒸解前又は蒸解後の化学処理によってヘミセルロース等を除去し、セルロース純度を高めたパルプであって、αセルロース含有率を88重量%以上に精製したパルプを言う。
パルプのαセルロース含有率とヘミセルロース含有率の関係について、特表2010−504376号公報(特許文献8)には、パルプを精製度に応じて3グレードに分け、高度に精製されたパルプを「アセテートグレード」、精製パルプを「ビスコースグレード」、無精製パルプを「紙/フラッフグレード」として、各グレードの含有率を記載している。「アセテートグレード」のパルプはαセルロースが通常95重量%以上で、約1〜3%がヘミセルロースであり、「ビスコースグレード」のパルプはαセルロースが88〜95重量%で、約5〜12%がヘミセルロースである。また、「紙/フラッフグレード」のパルプはαセルロースが80〜88重量%で、約12〜20%がヘミセルロースであるとしている。
以上のことから、本発明に用いられる精製パルプに含まれるヘミセルロースは12重量%未満となっている。
なお、本発明では、パルプについて、一般的な定義である「木材その他の植物を機械的又は化学的処理によって抽出したセルロース繊維の集合体」(紙パルプ辞典 平成12年2月20日 紙パルプ協会編 金原出版)と定義する。
本願発明の精製パルプには、レーヨン等の再生セルロース繊維、繊維状カルボキシルメチルセルロース、繊維状カルボキシルメチルセルロースNa塩は含まれない。
【0014】
マーセル化パルプとは、クラフトパルプや亜硫酸塩パルプを強アルカリ溶液に浸漬処理した後、水洗してアルカリ分を除去して得られるパルプである。
溶解パルプは、亜硫酸塩蒸解や前加水分解クラフト蒸解で得られるセルロース純度の高いパルプで、蒸解後の漂白、精選処理を組み合わせることでさまざまなセルロース純度のパルプが得られる。
【0015】
本発明において、優れた分散性が得られる理由は次のように推測される。精製パルプは繊維の膨潤と繊維間の膠着に寄与するヘミセルロース分が極めて少ないため、未叩解の状態で強度が低く嵩高で水分散性の高いシートを形成する。また、精製パルプを叩解した場合は、ヘミセルロース分が少ないため、叩解作用による繊維の膨潤、フィブリル化が抑えられて保水度があまり増加せず、繊維は剛直で切断され易くなり、短繊維分が増す。その結果、叩解した精製パルプから形成されるシートは、未叩解時より強度が増し嵩高さがやや損なわれるものの、水分散性の向上に寄与する短繊維分が増加するため水分散性はあまり損なわれない。
【0016】
本発明において、精製パルプのセルロース純度の指標としてαセルロース含有率を用いる。精製パルプのαセルロース含有量は88重量%以上であることが必要であり、好ましくは92重量%以上であり、さらに好ましくは95重量%以上である。精製パルプのαセルロースが88重量%未満の場合、単繊維状に分散し難くなるため、水への分散性が低下する。なお、本発明において、αセルロース含有量は、TAPPIスタンダードT203om−83(JIS P8101−1994(現在廃盤))に規定されるαセルロースによって測定された値である。
本発明における精製パルプのセルロース純度の別種の指標としてヘミセルロース含有率を用いる。精製パルプのヘミセルロース含有量は12重量%未満であることが必要であり、好ましくは8重量%未満であり、さらに好ましくは5重量%未満である。精製パルプのヘミセルロース含有率が12重量%以上の場合、単繊維状に分散し難くなるため、水への分散性が低下する。なお、本発明において、ヘミセルロース含有量は、精製パルプ又は無精製パルプを酸加水分解して単糖に変え、単糖類の組成をアルジトールアセテート化法によって定量することにより測定できる。即ちパルプの加水分解により得られる単糖類を水素化ホウ素ナトリウムで還元し相当するアルジトールアセテートに変え、無水酢酸とピリジンでアセチル化し、アルジトールアセテート誘導体とした後、アルジトールアセテート誘導体をガスクロマトグラフィーにより分析して構成糖を同定、定量する。
なお、精製パルプと無精製パルプが配合された紙についても、各パルプ単独の場合と同様にして紙のαセルロース含有率とヘミセルロース含有率を測定することができる。さらに、パルプの繊維形態を観察して精製パルプと無精製パルプの配合割合を求めれば、精製パルプと無精製パルプのそれぞれについてαセルロース含有率とヘミセルロース含有率を算出することができる。
【0017】
本発明において、αセルロース含有量が88重量%以上の精製パルプ(以下、単に「精製パルプ」ということがある。)の保水度は、カナダ標準ろ水度(以下、「濾水度」という)で450mlCSFに叩解した精製パルプにおいて140%以下、好ましくは120%以下であることが、水分散性の点から好ましい。
【0018】
この範囲の保水度を有する精製パルプは、繊維が膨潤、フィブリル化し難いため、叩解エネルギーは繊維の切断に使用される割合が多くなる。その結果、叩解された精製パルプは繊維間結合能力が低くかつ短くなり、水分散性の高いシートが形成される。一方、濾水度450mlCSFにおける保水度が140%を超える精製パルプは、叩解した場合、繊維の膨潤、フィブリル化が進んで繊維間結合が増加し、単繊維状に分散するシートが得ら難くなる。なお、保水度とは、JAPAN TAPPI No.26に規定されているパルプの膨潤度の指標であり、膨潤繊維中に取り込まれて保持されている水分がパルプ全体の重量に対して占める割合を示すものである。
【0019】
本発明において、精製パルプの平均繊維長は0.1〜5mm、好ましくは0.5〜3mm、さらに好ましくは0.8〜2mmである。
【0020】
本発明の水分散紙は、精製処理の施されていない通常の木材パルプ及び又は非木材パルプ(以下、単に「パルプ」ということがある。)と、通常のパルプとは特性の異なるαセルロース含有率88重量%以上の精製パルプを配合使用することに着目してなされたものであり、優れた水分散性と高い強度を兼ね備えている。
【0021】
<無精製パルプ>
本発明の水分散紙において、αセルロース含有率88重量%以上の精製パルプ以外の木材パルプ及び又は非木材パルプとしては、針葉樹、広葉樹等の木材パルプ、亜麻、リンター、ケナフ、バガス、マニラ麻等の非木材パルプが挙げられる。上記精製パルプ以外の木材パルプ及び又は非木材パルプは、繊維間結合に形成に寄与するヘミセルロース含有率が高く、繊維が膨潤、フィブリル化し易いため緻密で強度が高く、水分散性の低い紙を形成する。この傾向はパルプの叩解を進めるとさらに顕著となるため、無精製のパルプのみでは水分散性が良好でかつ強度の高い紙は得られない。
繊維状カルボキシルメチルセルロースNa塩のパルプ及び再生セルロース繊維は、使用しない。繊維状カルボキシルメチルセルロースをアルカリ処理した前者は、用途によりアルカリが悪影響を及ぼすこと、及び変色し易いので不適切である。後者はシート強度や平滑性が不足して印刷適性が不良となるので不適切である。
【0022】
<パルプの配合、抄紙>
本発明の水分散紙は、水分散紙を構成する全パルプ量中の、αセルロース含有率88重量%以上の精製パルプが15〜95重量%であることが必要であり、好ましくは20〜80重量%、さらに好ましくは20〜60重量%である。精製パルプの配合率が15重量%未満の場合にはシートを形成する繊維同士の繊維間結合が強くなりすぎるため、充分な水分散性が得られない。また、精製パルプの配合率が95重量%を超えると、シートの強度が極度に低下し、実用面での取り扱い性が低下する。
【0023】
本発明において、精製パルプ及びパルプは、それぞれを別々に叩解した後に配合(以後、「単独叩解」という)して使用することも、これらを配合した後に叩解(以後、「混合叩解」という)して使用することも可能であるが、混合叩解して使用することが水分散性向上の点から好ましい。好ましい理由は明らかでないが、混合叩解した場合に精製パルプとパルプの間に何らかの相互作用が働き、予期せぬ効果が発現したと推測される。
【0024】
本発明において、精製パルプとパルプを配合した紙料の叩解の程度は、単独叩解の場合でも混合叩解の場合でもともに、濾水度で450〜700mlCSF、好ましくは550〜650mlCSFである。濾水度が450mlCSFより低いと繊維同士の繊維間結合が強くなり、良好な水分散性が低下する。一方、濾水度が700mlCSF以上では繊維間結合が小さくなり、シート強度が低下する。
【0025】
本発明において、精製パルプとパルプを上記濾水度まで混合叩解する場合、450mlCSFにおける保水度が140%以下の精製パルプを用いることが好ましい。450mlCSFにおける保水度が140%以下の精製パルプを用い場合、叩解エネルギーが精製パルプの切断に消費されるため、精製パルプ由来の膨潤、フィブリル化が少ない短繊維が生成するとともに、パルプの過度な叩解が抑えられるため、優れた水分散性が発現する。
【0026】
一方、濾水度450mlCSFにおける保水度が140%を超える精製パルプは、単独ないし混合叩解した場合、パルプと同様に繊維の膨潤、フィブリル化が進んで繊維間結合が増加するため、水分散性が大きく低下する。また、未叩解で使用すると、シートからパルプ繊維が脱落し易く、紙粉が多くなるという欠点が生ずる。
【0027】
本発明の水分散紙は、精製パルプとパルプからなる紙料から公知の製紙技術によって製造することができる。抄紙機は、円網式抄紙機、傾斜短網式抄紙機、長網式抄紙機、ツインワイヤー式抄紙機等何れでもよく、要求される強度、水分散性に応じて使い分けることができる。例えば、円網式抄紙機を用いた場合には、強度異方性が大きく、縦方向より横方向の強度が弱くなるため、水中で容易に横方向に千切れる基紙を製造することができる。
【0028】
基紙は、単層のシートとして抄紙するほか、同じ紙料から2基以上の抄網をもつ抄紙機で複数の湿紙を製造し抄き合わせることにより、坪量の大きいシートの製造も可能であり、異種の紙料のシートとの抄合わせ紙を製造することも可能である。
【0029】
<紙面pH>
本発明の水分散紙の紙面pHを6〜8(中性領域)、好ましくは6.2〜7.2に調整することが好ましい。紙面pHをこの範囲に調整することで、従来使用できなかった、植物、動物、医療、フィルム貼合等の用途へ展開が可能になる。
【0030】
本発明において、紙面pHを調整する方法は、特に限定されるものではなく、中性領域の材料を主成分として水分散紙を製造する。あるいは、アルカリ性、酸性の水分散紙を、酸性物質、アルカリ性物質で中和して製造することが可能である。なお、従来の製紙用繊維と繊維状カルボキシメチルセルロースを混抄し、アルカリ金属化合物を添加したアルカリ性の水分散紙を酸性物質で中和した場合、繊維状カルボキシメチルセルロースが不溶性となるため、水分散性が大きく低下する問題がある。
【0031】
<水分散性>
本発明において、水分散性はフロック状水分散時間、繊維状水分散時間によって評価することができる。フロック状水分散時間とは、脱イオン水300mlを300mlビーカーに入れ、スターラーで650rpmに攪拌しながら、3cm角の試験片を投入し、試験片が2つ以上に千切れる時間であり、30秒以内、より好ましくは20秒以内、さらに好ましくは10秒以内である。このフロック状水分散時間が長くなると、水分散紙を流した場合、排水口あるいは配管を詰まらす原因になる。
【0032】
一方、繊維状分散時間とは、脱イオン水300mlを300mlビーカーに入れ、スターラーで650rpmに攪拌しながら、3cm角の試験片を投入し、試験片が完全に繊維一本一本にほぐれる時間であり、80秒以内、より好ましくは40秒以内、さらに好ましくは20秒以内である。この繊維状分散時間が長くなると、水分散紙を流した場合、排水口のごみ受けの詰りの原因となる。
【0033】
<水分散紙の付加加工>
本発明の水分散紙は、平滑性を向上させて印刷用途等に供するため、マシンカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトニップカレンダー等の一般的な製紙用カレンダーを用いてカレンダー加工を施すことができる。
【0034】
また、平滑度や透気抵抗度を高めるため、水溶性樹脂フィルムをラミネート加工してもよい。水溶性樹脂フィルムとしては、水溶性ポリビニルアルコール、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド共重合物等の水溶性樹脂をフィルム化したものを使用する。
【0035】
本発明の水分散紙の水分散性(特に、繊維状分散時間)及び乾燥強度を向上させるために、水溶性重合体を含浸又は塗工することが好ましい。αセルロース含有率88重量%以上の精製パルプを15〜95重量%含有する木材パルプ及び又は非木材パルプからなる水分散紙(以下、「基紙」ということがある。)に、後述する水溶性重合体を含浸又は塗工することで、水溶性重合体で基紙の繊維間空隙が充填され、水分散紙の乾燥強度が高まるとともに、繊維間空隙に存在している水溶性重合体が水との接触により膨潤し、繊維間を押し広げるため、繊維が容易に分離する。
【0036】
本発明において、水溶性重合体としては、乾燥皮膜が水に再溶解し易いものが好ましく、カルボキシルアルキルセルロース塩、アルギン酸塩、ペクチン酸塩、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、カルボキシアルキル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、アニオン性ポリアクリルアミド等のアニオン性高分子電解質塩、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルエチルエーテル、ヒドロキシエチル化澱粉、酸化澱粉、アルファー化澱粉等の高分子無電解質、グアーガム、トラントガム、キサンタンガム、アラビアゴム、カラギーナン、ガラクトマンナン、プルラン、デキストラン、デキストリン等の水溶性多糖類、ゼラチン、カゼイン等の水溶性タンパク質等を例示することができ、これらを1種類あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。中でも、カルボキシメチルセルロース塩を使用することが水分散性向上、強度向上の点から好ましい。
【0037】
本発明において、水溶性重合体を基紙の繊維間空隙へ均一に浸透させることは、水分散性向上の点から好ましい。このため、基紙に含浸又は塗工させる水溶性重合体としては、20℃における2重量%水溶液の粘度が1〜20mPa・sのものが好ましい。
【0038】
本発明において、水溶性重合体の含浸又は塗工による添加量(乾燥重量)は基紙に対して2〜14重量%であり、好ましくは3〜12重量%、さらに好ましくは6〜10重量%である。水溶性重合体の添加量が基紙に対して2重量%に満たない場合は水分散性や強度に対して十分な効果が期待できない。また、添加量が14重量%より多い場合は、水分散性や強度の更なる向上効果が見られない。
【0039】
水溶性重合体の基紙への添加方法は、マングル、サイズプレス等による含浸加工、ゲートロールコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター等による表面塗工の中から適宜選択して用いることができる。
【0040】
本発明において、水分散紙の水分散性、乾燥強度を向上させるために、水溶性重合体を含浸又は塗工する場合、含浸又は塗工に耐える強度を基紙へ付与するために、基紙に水溶性高分子電解質塩を含有させることが好ましい。
【0041】
本発明において、水溶性高分子電解質塩の基紙への付与方法は、抄紙前の紙料(精製パルプ及びパルプ)スラリーに水溶液として加える方法、又は抄紙後の湿紙にロールコーター、カーテンコーター、スプレー塗布装置等で添加後、搾水、乾燥する方法等がある。
【0042】
本発明において、基紙に含有させる水溶性高分子電解質塩は、繊維間結合を高める接着力と、シートを濡らした際に容易に溶けて繊維同士が分離する水溶性が必要である。この要件を満たすものであれば、アニオン性、両性の何れの高分子電解質塩も使用でき、カルボキシルメチルセルロース塩等のカルボキシアルキルセルロース塩、アルギン酸塩、カルボキシメチル化デンプン、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩、アニオン性ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミド等が列挙され、好ましくはカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、カルボキシメチル化澱粉である。これらの水溶性高分子電解質塩は2種以上を添加しても良い。
【0043】
本発明において、精製パルプ及びパルプがアニオン性であるため、水溶性高分子電解質塩の定着率を向上させるため、カチオン性定着剤を併用することが好ましい。
【0044】
このカチオン性定着剤には、水分散性を損なわずに水溶性高分子電解質塩を基紙繊維に定着させる作用が必要であり、カチオン性定着剤として下記一般式(1)のポリアミン樹脂を用いることが好ましい。
【0045】
【化1】
一般式(1)中、R1は、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基等の置換基を有する場合も含む炭素数1〜10(但し、置換基の炭素数を含まない)のアルキル基を表し、R2は、水素原子又はヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基等の置換基を有する場合も含む炭素数1〜10(但し、置換基の炭素数を含まない)のアルキル基であり、nは正の整数である。
【0046】
カチオン性定着剤として用いるポリアミン樹脂は、カチオン当量がpH3〜9の範囲において0.1〜20ミリ当量/g、好ましくは1〜15ミリ当量/g、さらに好ましくは2〜10ミリ当量/gであり、数平均分子量は5000〜100000、好ましくは5000〜70000、さらに好ましくは5000〜20000である。
【0047】
本発明において、水溶性高分子電解質塩とカチオン性定着剤の基紙中の含有量は、求められる品質に応じて、適宜調整されるもので特に限定されるものではないが、抄紙前の紙料(精製パルプ及びパルプ)スラリーに水溶液として加える場合の水溶性高分子電解質塩とカチオン定着剤の添加量は次の範囲に調整することが好ましい。
【0048】
水溶性高分子電解質塩とカチオン性定着剤を併用する場合の水溶性高分子電解質塩の添加量(固形分換算)は、精製パルプとパルプの合計量に対して0.5〜10重量%が好ましく、より好ましくは2〜6重量%である。水溶性高分子電解質塩の添加量が0.5重量%よりも少ないと、強度向上が小さく、添加する効果がない。水溶性高分子電解質塩の添加量が10重量%より多い場合は、強度や水分散性の更なる向上効果が期待できない。
【0049】
カチオン性定着剤の添加量は、精製パルプとパルプの合計量に対して0.2〜4.0重量%が望ましく、より望ましくは0.5〜2.0重量%である。カチオン性定着剤の添加量が0.2重量%以下では水溶性高分子電解質塩の定着率が低下し、後工程の加工に必要な強度が得られない。カチオン性定着剤の添加量が4.0重量%以上では基紙の繊維間結合が強くなりすぎ、水分散性(特に、繊維状分散時間)が損なわれるため好ましくない。
【0050】
カチオン性定着剤は水溶性高分子電解質塩より先に紙料又は湿紙に添加し、繊維にカチオン性を付与してから水溶性高分子電解質塩を添加することが好ましい。
【0051】
本発明において、基材の地合、紙料歩留りを向上させるために、抄紙前の基材紙料(精製パルプ及びパルプ)スラリーに水溶性分散剤を添加することが望ましい。水溶性分散剤の添加量(固形分換算)は、精製パルプとパルプの合計量に対して0.01〜5.0重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0重量%である。水溶性分散剤の添加量が0.01重量%よりも少ないと、地合改善効果や紙料歩留り向上が小さく、添加する効果がない。水溶性分散剤の添加量が5.0重量%より多い場合は、地合や紙料歩留りの更なる向上効果が期待できない。水溶性分散剤としては、グアーガム、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、トロロアオイ粘質液等が列挙され、2種以上を添加しても良い。
【0052】
[水分散塗工紙]
本発明の水分散塗工紙は、上記した水分散紙上に少なくとも水系塗料を1層以上塗設して塗工層を形成したものである。本発明の塗工紙は、水分散紙の表面に塗工面を形成して印刷用の水分散塗工紙を構成する。塗工層と水分散紙の間に目止め層を形成することができる。さらに、裏面に粘着剤層を設けることにより、貼着と剥離性を備えた水分散塗工紙を提供する。これらの塗工層、目止め層、印刷、粘着剤は、水分散を妨げない材料や構成とすることが好ましい。
本発明の水分散塗工紙を構成する塗工層は、水系塗料を塗工・乾燥して形成された層であれば単層、多層でも良く、塗工方式等に制限はない。また、印刷方式(オフセット印刷、グラビア印刷等)あるいは印字方式(インクジェットプリンター、感熱プリンター、レーザービームプリンター等)に適した塗工層の構成材料を適宜選択することができる。
以下に、感熱プリンター、インクジェットプリンター、一般印刷に適応した塗工層の例を示す。
【0053】
<目止め層>
本発明の水分散塗工紙において、基材上と塗工層との間に目止め層を設けることが好ましい。目止め層は、顔料及びバインダーを主成分とする。即ち、感熱記録層やアンダーコート層、インクジェット記録層、一般印刷層等からなる塗工層との間に目止め層が設けられる。目止め層は、塗工層を塗設する際に基材中への過度の塗工液浸透による操業性低下を抑制するとともに、イオン又は粘着剤に含有されている可塑剤等が塗工層へマイグレーションすることを防止する機能を有する。また、上記基材は繊維間結合が弱いため、ポーラスな層であり、目止め層を設けることにより、基材発色感度、耐カス付着性、耐スティッキング性が良好な感熱記録体を得ることができる。
目止め層は、基材裏面に粘着剤層を設けた場合は、基材裏面と粘着剤層の間にも設けることができ、基材両面へ同時に設けても良い。
目止め層を塗設する基材表面の平滑性は特に限定されないが、一般的には高平滑な表面が好まれ、ヤンキードライヤー接触面、カレンダリング処理面が好適に用いられる。
【0054】
(目止め層の組成)
目止め層を構成する組成は、顔料、バインダー及び各種の添加剤が主成分である。
目止め層に用いる顔料を例示する。シリカ、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸亜鉛、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸ソーダ、アルミノケイ酸マグネシウム等の無機顔料;メラミン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂、ポリエチレンパウダー、ナイロンパウダー等の有機顔料;セルロースパウダー、置換度0.35以下のカルボキシメチルセルロース塩パウダー等の多糖類粉末が挙げられる。
【0055】
目止め層に用いるバインダーを例示する。完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、その他の変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩、デンプン類、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸塩/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性樹脂;ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸エステル、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリスチレン及びそれらの共重合体、ポリアミド樹脂、シリコン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂等の非水溶性樹脂を例示することができる。
これらの高分子物質は水、アルコール、ケトン、エステル、炭化水素等の溶剤に溶かして使用するほか、水又は他の媒体中に乳化又はペースト状に分散した状態で使用し、要求品質に応じて併用することもできる。
これらのうち、バインダーとしては、水分散性の観点から、水溶性樹脂又は水分散性樹脂が好ましい。デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンをバインダーの主成分として使用することが望ましい。
目止め層に用いるバインダーは、通常、充填剤100重量部に対して固形分で5〜100重量部である。
【0056】
目止め層には、顔料及びバインダーのほか、慣用的に使用される各種添加剤を併用できる。各種添加剤としては、顔料分散剤、消泡剤、潤滑剤、サイズ剤、防腐剤、湿潤剤等が挙げられる。
【0057】
(目止め層の塗工)
目止め層は、前記顔料及びバインダーにその他の添加剤を分散混合して得られる目止め剤を、塗工機によって塗工し、ドライヤーで加熱乾燥することによって得られる。目止め層の塗工量は、乾燥後の重量として通常0.5〜30g/m
2、好ましくは3〜15g/m
2である。塗工機としては、エアナイフコーター、バーコーター、ロールコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、チャンプレックスコーター、グラビアコーター等が挙げられる。
【0058】
<塗工層>
本発明の水分散塗工紙を構成する塗工層は、水系塗料を塗工・乾燥して形成された層であれば単層、多層でも良く、塗工方式等に制限はない。また、印刷方式(オフセット印刷、グラビア印刷等)あるいは印字方式(インクジェットプリンター、感熱プリンター、レーザービームプリンター等)に適した塗工層の構成材料を適宜選択することができる。
以下に、感熱プリンター、インクジェットプリンター、グラビア印刷に適応した塗工層の例を示す。
【0059】
(感熱記録体)
感熱プリンター用の塗工層は、水分散紙面上又は水分散紙面上に塗設された目止め層上にアンダーコート層、感熱記録層を順次形成して設けられる。さらに保護層を設けることができる。本発明の水分散塗工紙を感熱プリンターによる印字に適応させる場合、上記基材上に顔料及びバインダーを主成分として含有するアンダーコート層、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料及び電子受容性顕色剤とを主成分として含有する感熱記録層を順次塗設することが好ましい。
アンダーコート層を塗設する基材表面は、一般的には高平滑な表面が好まれ、ヤンキードライヤー接触面、カレンダリング処理面が好適に用いられる。
【0060】
感熱記録体において、アンダーコート層は、基材表面の平滑性を高めて画像のシャープネスと高感度を達成するために塗設されるもので、公知の顔料、バインダー、各種添加剤を組成とする。
【0061】
アンダーコート層の顔料成分としては、シリカ、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸亜鉛、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸ソーダ、アルミノケイ酸マグネシウム、等の無機填料又はメラミン樹脂填料、尿素−ホルマリン樹脂填料、ポリエチレンパウダー、ナイロンパウダー等の有機充填剤が挙げられる。
【0062】
アンダーコート層のバインダー成分としては、水溶性樹脂又は水分散性樹脂が好ましい。具体的にはデンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体及びそのアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体及びそのアルカリ塩、ポリアクリル酸ソーダ等が挙げられる。これらの中でも水分散性の観点から、水溶性樹脂であるデンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンがバインダーの主成分として望ましい。
アンダーコート層のバインダーは、通常、顔料100重量部に対して固形分で5〜100重量部である。
【0063】
アンダーコート層には、顔料及びバインダーのほか、慣用的に使用される各種添加剤を併用できる。各種添加剤としては、顔料分散剤、消泡剤、潤滑剤、紫外線吸収剤、サイズ剤、増感剤、蛍光染料、防腐剤等が挙げられる。
【0064】
アンダーコート層は、前記顔料及びバインダーにその他の添加剤を分散混合して得られる塗料を、塗工機によって一層あるいは多層に分けて塗工し、ドライヤーで加熱乾燥することによって得られる。アンダーコート層の塗工量は、乾燥後の重量として通常0.5〜50g/m
2、好ましくは3〜15g/m
2である。塗工機としては、エアナイフコーター、バーコーター、ロールコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、チャンプレックスコーター、グラビアコーター等が挙げられる。
【0065】
感熱記録層は、アンダーコート層上に塗設される。感熱記録層の組成成分には、染料、顕色剤、バインダー及び補助添加剤がある。
染料としては、公知のロイコ染料を単独又は2種以上混合して使用することができ、特にトリフェニルメタン系、フルオラン系、フエノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系、インドリノフタリド系等の染料のロイコ化合物が好ましく用いられる。
【0066】
染料の具体例として次の化合物が例示できる。3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロルフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロルフルオラン、3−ジメチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンズフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロルフルオラン、3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−{N−(3'−トリフルオルメチルフェニル)アミノ}−6−ジエチルアミノフルオラン、2−{3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9−(o−クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム}、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリクロロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−N−メチル−N,n−アミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)フルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、6'−クロロ−8'−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、6'−ブロモ−3'−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、3−(2'−ヒドロキシ−4'−ジメチルアミノフェニル)−3−(2'−メトキシ−5'−クロルフェニル)フタリド、3−(2'−ヒドロキシ−4'−ジメチルアミノフェニル)−3−(2'−メトキシ−5'−ニトロフェニル)フタリド、3−(2'−ヒドロキシ−4'−ジエチルアミノフェニル)−3−(2'−メトキシ−5'−メチルフェニル)フタリド、3−(2'−メトキシ−4'−ジメチルアミノフェニル)−3−(2'−ヒドロキシ−4'−クロル−5'−メチルフェニル)フタリド、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−(2−エトキシプロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−イソブチル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−モルホリノ−7−(N−プロピル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−m−トリフルオロメチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(N−ベンジル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−(ジ−p−クロルフェニル)メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピペリジノフルオラン、2−クロロ−3−(N−メチルトルイジノ)−7−(p−n−ブチルアニリノ)フルオラン、3−(N−メチル−N−イソプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ(9,3')−6'−ジメチルアミノフタリド、3−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4'−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4',5'−ベンゾフルオラン、3−N−メチル−N−イソプロピル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−イソアミル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2',4'−ジメチルアニリノ)フルオラン等である。
【0067】
本発明の水分散性塗工紙は、使用後に排水溝ヘ洗い流される用途として使用される可能性もあることから、環境面を考慮して安全性の高い染料が望ましい。安全性の高い染料として、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−4−メチルフェニルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3−メチルアニリノ)フルオラン、3,3’−ビス(ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、2−(N−フェニル−N−メチルアミノ)−6−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)フルオラン、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチル−インドール−3−イル)フタリド、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、3−ブロモ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン等が好ましく使用される。
【0068】
顕色剤は、感熱記録層にロイコ染料とともに含有される。顕色剤としては、フェノール類、有機酸又は無機酸あるいはそれらエステルや塩等を使用することができる。
【0069】
顕色剤の具体例として次の化合物がある。没食子酸、サリチル酸、3−イソプロピルサリチル酸、3−シクロヘキシルサリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸、3,5−ジ−α−メチルベンジルサリチル酸、4,4'−イソプロピリデンジフェノール、1,1'−イソプロピリデンビス(2−クロロフェノール)、4,4'−イソプロピリンビス(2,6−ジブロモフェノール)、4,4'−イソプロピリデンビス(2,6−ジクロロフェノール)、4,4'−イソプロピリデンビス(2−メチルフェノール)、4,4'−イソプロピリデンビス(2,6−ジメチルフェノール)、4,4−イソプロピリデンビス(2−tert−ブチルフェノール)、4,4'−sec−ブチリデンジフェノール、4,4'−シクロヘキシリデンビスフェノール、4,4'−シクロヘキシリデンビス(2−メチルフェノール)、4−tert−ブチルフェノール、4−フェニルフェノール、4−ヒドロキシジフェノキシド、α−ナフトール、β−ナフトール、3,5−キシレノール、チモール、メチル−4−ヒドエロキシベンゾエート、4−ヒドロキシアセトフェノン、ノボラック型フェノール樹脂、2,2'−チオビス(4,6−ジクロロフェノール)、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ピロガロール、フロログリシン、フロログリシンカルボン酸、4−tert−オクチルカテコール、2,2'−メチレンビス(4−クロロフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2'−ジヒドロキシジフェニル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−p−クロロベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−o−クロロベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−p−メチルベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−n−オクチル、安息香酸、サリチル酸亜鉛、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸亜鉛、4−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−クロロジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、2−ヒドロキシ−p−トルイル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸亜鉛、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸スズ、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、ステアリン酸、4−ヒドロキシフタル酸、ホウ酸、チオ尿素誘導体、4−ヒドロキシチオフェノール誘導体、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸エチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−プロピル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−ブチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸フェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸フェネチル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸n−プロピル、1,7−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)3,5−ジオキサヘプタン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)3−オキサペンタン、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、4−ヒドロキシ−4'−メトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−エトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−プロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−ブトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−イソブトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−sec−ブトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−tert−ブトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−ベンジロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−フェノキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−(m−メチルベンジロキシ)ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−(p−メチルベンジロキシ)ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−(o−メチルベンジロキシ)ジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−(p−クロロベンジロキシ)ジフェニルスルホン等である。
【0070】
本発明の水分散性塗工紙は、使用後に排水溝ヘ洗い流される用途として使用される可能性がある。環境面から安全性の高い顕色剤として、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、パラヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ−4’−プロポキシジフェニルスルホン、3−{[(フェニルアミノ)カルボニル]アミノ}ベンゼンスルホンアミド、N−(4’−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−2−ヒドロキシアニリン、N−(4’−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−4−ヒドロキシアニリンとN−(4’−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−2−ヒドロキシアニリンとの1:1混合物、4,4’−ビス(3−(フェノキシカルボニルアミノ)メチルフェニルウレイド)ジフェニルスルホン、2,2’−ビス〔4−(4−ヒドロキシフェニルスルホン)フェノキシ〕ジフェニルエーテルを含有する顕色剤組成物、2,2’−メチレンビス(4−t−ブチルフェノール)を55%含有する縮合組成物(即ち、2,2’−メチレンビス(4−t−ブチルフェノール)を55%含有し、残りがこれに対応する3核縮合物(29%)、4核縮合物(11%)及び5核縮合物(4%)からなる縮合組成物、その他1%)等が使用される。
【0071】
バインダーは、公知のバインダーを使用することができる。
バインダーの具体例としては、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、その他の変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン類、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン三元共重合体、エチルセルロース、アセチルセルロースのようなセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸エステル、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラールポリスチロール及びそれらの共重合体、ポリアミド樹脂、シリコン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂等の非水溶性樹脂を例示することができる。
これらの高分子物質は水、アルコール、ケトン、エステル、炭化水素等の溶剤に溶かして使用するほか、水又は他の媒体中に乳化又はペースト状に分散した状態で使用し、要求品質に応じて併用することもできる。
バインダーとしては、これらの中でも水分散性の観点から、水溶性樹脂であるデンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンが主成分として望ましい。
【0072】
感熱記録層には、前記ロイコ染料、顕色剤及びバインダーとともに、必要に応じ、補助添加成分を使用する。例えば、補助成分として、増感剤、顔料、p−ニトロ安息香酸金属塩(Ca、Zn)又はフタル酸モノベンジルエステル金属塩(Ca、Zn)等の安定剤、脂肪酸金属塩等の離型剤、ワックス類等の滑剤、圧力発色防止剤、ベンゾフェノン系やトリアゾール系の紫外線吸収剤、グリオキザール等の耐水化剤、分散剤、消泡剤等を併用することができる。
【0073】
熱応答性を向上させる増感剤としては、熱可融性物質が用いられ、50〜200℃程度の融点を持つ熱可融性有機化合物等を使用することができる。
【0074】
増感剤の具体例としては、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、N−ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、N−ステアリル尿素、ベンジル−2−ナフチルエーテル、m−ターフェニル、4−ベンジルビフェニル、2,2’−ビス(4−メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル、α,α’−ジフェノキシキシレン、ビス(4−メトキシフェニル)エーテル、アジピン酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(4−クロルベンジル)エステル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジベンジル、ベンゼンスルホン酸フェニルエステル、ビス(4−アリルオキシフェニル)スルホン、4−アセチルアセトフェノン、アセト酢酸アニリド類、脂肪酸アニリド類、モンタン系ワックス、ポリエチレンワックス、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−α−ナフチルカーボネート、1,4−ジエトキシナフタリン、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、1,2−ジ−(3−メチルフェノキシ)エタン、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)、β−ベンジルオキシナフタレン、4−ビフェニルp−トリルエーテル、o−キシレリン−ビス−(フェニルエーテル)、4−(m−メチルフェノキシメチル)ビフェニル等が列挙される。
【0075】
本発明の水分散塗工紙は、使用後に排水溝ヘ洗い流される用途として使用される可能性もある。環境面を考慮し、安全性の高い増感剤として、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、エチレンビスステアロアミド、パラベンジルオキシ安息香酸ベンジル、4−ビフェニルパラトリルエーテル、シュウ酸ビス(パラメチルベンジル)、シュウ酸ビス(パラクロロベンジル)、パラベンジルビフェニル、1,2−ビス(フェノキシメチル)ベンゼン、パラトルエンスルホンアミド、オルトトルエンスルホンアミド、ジフェニルスルホン、ベンジルオキシナフタレン、パラフェニルアセトフェノン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン等が望ましい。
【0076】
顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸亜鉛、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸ソーダ、アルミノケイ酸マグネシウム、等の無機填料;又はメラミン樹脂填料、尿素−ホルマリン樹脂填料、ポリエチレンパウダー、ナイロンパウダー等の有機充填剤が挙げられる。
【0077】
有機顕色剤及びロイコ染料の量、その他の各種成分の種類及び量は、要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではない。通常は、ロイコ染料1重量部に対して、有機顕色剤0.5〜10重量部、増感剤0.5〜10重量部を使用し、結合剤は全固形分中5〜50重量%が適当である。
【0078】
前述の有機顕色剤、ロイコ染料並びに必要に応じて添加する材料は、ボールミル、アトライター、サンドグラインダー等の粉砕機あるいは適当な乳化装置によって数ミクロン以下の粒子径になるまで微粒化し、バインダー及び目的に応じて各種の添加材料を加えて塗液とする。
【0079】
感熱記録層の形成方法については特に限定されない。例えば、感熱記録層は、平版等の各種印刷方式をはじめ、エアナイフ塗工、ロッドブレード塗工、バー塗工、ブレード塗工、グラビア塗工、カーテン塗工等の方法によって塗料を基材上に塗工乾燥する方法で形成される。また、塗液の塗工量については、通常2〜12g、好ましくは3〜10g程度の範囲である。
【0080】
保護層を感熱記録層上に設けることができる。保護層は、サーマルヘッド等のマッチング性や記録画像保存性を向上させることができる。保護層の組成成分は、バインダー、各種の添加剤等である。
【0081】
保護層に用いるバインダーは、前記感熱記録層のバインダーと同種のものを使用できる。
具体的には、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、その他の変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン類、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン三元共重合体、エチルセルロース、アセチルセルロースのようなセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸エステル、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリスチロール及びそれらの共重合体、ポリアミド樹脂、シリコン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂等の非水溶性樹脂を例示することができる。これらの高分子物質は、水、アルコール、ケトン、エステル、炭化水素等の溶剤に溶かして使用するほか、水又は他の媒体中に乳化又はペースト状に分散した状態で使用し、要求品質に応じて併用することも出来る。これらの中でも水分散性の観点から、水溶性樹脂であるデンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンが、バインダーの主成分として望ましい。
【0082】
保護層に用いられる各種添加剤としては、充填剤、界面活性剤、熱可融性物質(又は滑剤)、圧力発色防止剤等が挙げられる。
この場合、充填剤及び熱可融性物質の具体例としては、前記感熱発色層において例示されたものと同様のものが挙げられる。
保護層は、前記結合剤に各種添加剤を分散混合して得られる塗料を、塗工機によって一層あるいは多層に分けて塗工し、ドライヤーで加熱し、乾燥することによって得られる。塗料の塗工量は、乾燥後の重量として通常0.2〜10g/m
2、好ましくは0.5〜5g/m
2である。塗工機としては、特に限定されるものではなく、エアナイフコーター、バーコーター、ロールコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、チャンプレックスコーター、グラビアコーター等の公知の塗工機を使用することができ、特に制限されることはない。
【0083】
本発明において、画像のシャープネス及び感度の向上を目的に、カレンダー、スーパーカレンダー、ソフトニップカレンダー等の平滑化装置を用いて感熱記録層側の表面平滑性を高めることは好ましい。感熱記録層側表面のベック平滑度は50〜2000sにすることが好ましく、より好ましくは100〜2000sである。ベック平滑度が50sに満たない場合は、印字画質の向上効果が乏しく平滑処理の効果がない。また、ベック平滑度が2000sを越えると、基材の密度向上による水分散性の低下が目立つようになり好ましくない。
【0084】
(インクジェット記録媒体)
インクジェットプリンター用の塗工層は、本発明の水分散紙面上又は水分散紙面上に塗設された目止め層上に、ピグメントコート層あるいはクリアーコート層を形成することが適している。ピグメントコート層の組成は、顔料及び水系バインダーを主成分とする。クリアーコート層の組成は、カチオン性樹脂又は/及び水系バインダーを主成分とする。さらに、各種添加剤を適宜配合できる。配合量は、要求される品質により適宜調整することができる。
【0085】
ピグメントコート層の顔料としては、シリカ、コロイダルシリカ、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸亜鉛、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸ソーダ、アルミノケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム複合シリカ等の無機填料又はメラミン樹脂填料、尿素−ホルマリン樹脂填料、ポリエチレンパウダー、ナイロンパウダー、スチレン、スチレン−アクリル、アクリル等の有機充填剤が挙げられる。中でも、インク吸収性及び発色性の点から、シリカ、アルミナ、焼成カオリン、炭酸カルシウム等が好ましい。
【0086】
ピグメントコート層及び/又はクリアーコート層のバインダーとしては、水溶性樹脂又は水分散性樹脂が好ましく、具体的にはデンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体及びそのアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体及びそのアルカリ塩、スチレン/ブタジエン共重合体、ポリアクリル酸ソーダ、酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル、アクリル酸共重合体、メタクリル酸共重合体、アクリル酸/メタクリル酸共重合体等が挙げられる。中でもインク吸収性及び発色性の点から、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール等が好ましい。
各種添加剤としては、カチオン性樹脂(染料定着剤)、顔料分散剤、消泡剤、潤滑剤、紫外線吸収剤、サイズ剤、蛍光染料、防腐剤等が挙げられる。中でも、カチオン性樹脂は、画像部の耐水性及び発色性を著しく向上させるため、併用することは望ましい。
【0087】
塗工機としては、特に限定されるものではなく、エアナイフコーター、バーコーター、ロールコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、キャストコーター、チャンプレックスコーター、グラビアコーター、2ロールコーター、トランスファーロールコーター等が使用される。
【0088】
(一般印刷)
オフセット印刷やグラビア印刷に適した塗工層として、ピグメントコート層あるいはクリアーコート層を設けることが適している。ピグメントコート層の組成成分は、顔料及び水系バインダーを主成分とする。クリアーコート層の組成成分は、水系バインダーを主成分とする。さらに、各種添加剤を適宜配合できる。配合量は、要求される品質により適宜調整することができる。
【0089】
ピグメントコート層の顔料としては、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸亜鉛、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸ソーダ、アルミノケイ酸マグネシウム、シリカ、コロイダルシリカ、炭酸カルシウム複合シリカ等の無機填料又はメラミン樹脂填料、尿素−ホルマリン樹脂填料、ポリエチレンパウダー、ナイロンパウダー、スチレン、スチレン−アクリル、アクリル等の有機充填剤が挙げられる。
【0090】
ピグメントコート層及び/又はクリアーコート層のバインダーとしては、水溶性樹脂又は水分散性樹脂が好ましい。具体的にはデンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体及びそのアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体及びそのアルカリ塩、スチレン/ブタジエン共重合体、ポリアクリル酸ソーダ、酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル、アクリル酸共重合体、メタクリル酸共重合体、アクリル酸/メタクリル酸共重合体等が挙げられる。これらの中でも水分散性の観点から、水溶性樹脂であるデンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンをバインダーとして含有させることが望ましい。
【0091】
各種添加剤としては、カチオン性樹脂(印刷適性向上剤)、顔料分散剤、消泡剤、潤滑剤、紫外線吸収剤、サイズ剤、蛍光染料、防腐剤等が挙げられる。
【0092】
塗工機としては、特に限定されるものではなく、エアナイフコーター、バーコーター、ロールコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、キャストコーター、チャンプレックスコーター、グラビアコーター、2ロールコーター、トランスファーロールコーター等が使用される。
【0093】
<粘着剤層>
粘着剤層は、水分散紙の塗工層を設けた面の反対面に設ける。本発明の水分散性塗工紙は、塗工層(即ち、印刷面又は印字面)の反対面上又は反対面上に塗設された目止め層上に、粘着剤層を設けて粘着シートや粘着ラベルとして使用できる。この粘着剤層を構成する粘着剤としては、水溶性又は水再分散性を有する粘着剤、特にアクリル系粘着剤が適している。
【0094】
水溶性アクリル系粘着剤の例としては、アクリル酸アルコキシアルキルとスチレンスルホン酸塩と他の共重合性単量体とからなる共重合体や、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有ビニル系単量体と水酸基含有単量体と場合により用いられる共重合可能な他の単量体との共重合体をベースポリマーとして含有するもの等を挙げることができる。また、水再分散性アクリル系粘着剤の例としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとカルボキシル基含有ビニル系単量体とアルコキシ基を有するビニル系単量体と場合により用いられる共重合可能な他の単量体との共重合体や、カルボキシル化ロジンエステル含有ビニル系単量体とカルボキシル基含有ビニル系単量体と水溶性ビニル系単量体が共重合されてなる共重合体をベースポリマーとして含有するもの等を挙げることができる。なお、これらの共重合体のカルボキシル基は、必要に応じ一部又は全部がアルカリにより中和された塩型であってもよく、アルカリ金属塩、アミン塩、アルカノールアミン塩が適している。
【0095】
これらのアクリル系粘着剤には、粘着力や水溶性又は水分散性の調整のために架橋剤を配合することができる。このような架橋剤としては、特に制限はなく、従来アクリル系粘着剤において架橋剤として慣用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。
例えば1,2−エチレンジイソシアネートのようなイソシアネート系架橋剤、ジグリシジルエーテル類のようなエポキシ系架橋剤をはじめ、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマー、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩等がある。
また、前記アクリル系粘着剤には、必要に応じ性状を調整し、性能を高めるために、公知の可塑剤、粘着性付与剤、着色剤、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、可塑剤、防黴剤、酸化防止剤等を適宜配合することができる。
ここで、可塑剤、粘着性付与剤は水溶性又は水分散性のものが好ましい。可塑剤としては、例えば糖アルコール等の多価アルコール、ポリエーテルポリオール、酸化ロジンのアルカノールアミン塩等が挙げらる。粘着付与剤としては、例えばロジン、不均化ロジン、水添ロジン等のアルカリ金属塩や、アンモニウム塩、ポリエーテルエステル等が挙げられる。
【0096】
これらの粘着剤は、基材の非塗工面に直接塗布して粘着剤層を設けてもよい。あるいは、剥離シートの剥離剤表面上に粘着剤を塗布して粘着剤層を設けたのち、非塗工面に貼着し、該粘着剤層を転写してもよい。何れの場合も、粘着剤層は使用時以外での不要な粘着を防ぐために剥離シートを貼合し、所望により剥がして使用してもよい。
基材に設けられる粘着剤層の塗工量は固形分として3〜60g/m
2、好ましくは10〜50g/m
2程度である。粘着剤塗工量が5g/m
2未満では、得られる粘着シートの接着性能が不足し、一方、60g/m
2を越えると粘着シートの製造時や後加工工程で粘着剤がはみ出し易くなり好ましくない。
【実施例】
【0097】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。しかし、本発明は、これらに限定されるものではない。また、実施例において用いた評価方法を次に示す。これは各実施例において共通して用いた。
【0098】
1)水分散時間
3cm角の試験片5枚を用意した。次に300mlビーカーに脱イオン水300mlを入れてスターラーで650rpmに攪拌しながら上記試験片1枚を投入した。試験片が2つ以上に千切れる時間と試験片が完全に繊維一本一本にほぐれる時間をストップウオッチで測定し、5回の測定の平均値をそれぞれフロック状水分散時間、繊維状水分散時間とした。
【0099】
2)引張強さ
JIS P8113に準拠して測定した。
【0100】
3)印刷適性
フレキソ印刷機(Kプリンティングプルーファ、松尾産業社製)で全ベタ印刷した時の紙表面の毛羽立ちや繊維の脱落の状態を評価した。インキは溶剤系フレキソインキ(東洋インキ社製H151UPF、ザンカップNo.4で25℃、30秒)を使用した。
評価基準
◎:全ベタ印刷で印刷が良好な場合
○:印刷が実使用上において問題ない場合
△:紙表面に毛羽立ちが見られる場合、
×:印刷ゴムロールに繊維が付着する場合
【0101】
4)紙面pH
紙面pHの測定はJAPAN TAPPI No.49−1に準拠し、湿潤液は蒸留水を用い、蒸留水を滴下した紙の湿潤紙面を電極に接触させて2分後のpH値を読み取った。
【0102】
5)黄変度
JIS K7103に準拠し、25cm角の試験片を用意し、黄色度をスガ試験機製SMカラーコンピューターで測定後、23℃、50%RHで7日間暗所保管した。保管後の黄色度を測定し、保管前の黄色度を差し引いて黄変度を求めた。
評価基準
○:黄変度が1に満たない場合は黄変なしと評価して「○」で表示した
。
×:黄変度が1以上の場合、黄変ありと評価して「×」で表記した。
【0103】
6)印字性
6−1)感熱記録紙(感熱プリンターによる評価)
実施例13〜22、25及び比較例5〜9で作成した水分散性塗工紙について、Zebra社製「バーコードプリンター140XiII」を用いて印字した。
サーマルヘッドの発熱エネルギー0.2mJで印字した試料の印字部分及び未印字部分の地肌を「マクベスRD−918型」反射濃度計にて測定した。
評価基準
○:印字部分の測定値が大きく発色感度に優れ、未印字部分の地肌の測
定値が小さく地肌かぶりが少ないものを感熱印字性が優れていると
評価し、「○」で表示した。
×:印字部分の測定値が小さく、未印字部分の地肌の測定値が大きいも
のを感熱印字性劣位として「×」で表示した。
【0104】
6−2)インクジェット記録紙(インクジェットプリンターによる評価)
実施例23で作成した水分散性塗工紙について、エプソン社製「PM−970C」を用いてベタ印字(黒)し、「マクベスRD−918型」反射濃度計にて印字濃度を測定した。また、前記プリンターを用いて「電」の文字をフォント8の大きさで印字し、インクの滲みを下記の基準で目視評価した。
評価基準
○:印字部分へほとんどインクが滲まないか又は若干インクが滲んでい
るが文字の判別に支障がない場合をインクジェット印字性が優れて
いると評価し、「○」で表示した。
×:印字部分にインクが滲んでおり文字の判別に支障がある場合をイン
クジェット印字性劣位として「×」で表示した。
【0105】
6−3)印刷適性
フレキソ印刷機(Kプリンティングプルーファ、松尾産業社製)で全ベタ印刷した時の紙表面の毛羽立ちや繊維の脱落の状態を評価した。インキはアルコール性フレキソインキ(東洋インキ社製FBキングX)を使用した。
評価基準
○:全ベタ印刷で問題ない場合を「○」
△:紙表面に毛羽立ちが見られる場合を「△」
×:ゴムロールに繊維が付着する場合を「×」
【0106】
7)粘着力
基材の非印字側又は非印刷側に粘着剤を塗工し、粘着シート又は粘着ラベルに加工した場合の粘着力は、次のようにして評価した。
【0107】
7−1)試験片の作製
シリコン塗工剥離紙(リンテック株式会社製)のシリコン面に粘着剤(リキダイン、ビッグテクノス株式会社製)を乾燥重量30g/m
2となるようにアプリケーターバーを用いて塗工・乾燥させ粘着剤層を形成した。
剥離紙の粘着剤塗工面と基材の非印字面を合わせ、重量3kgのゴムローラーを2往復ころがして圧着し、23℃、50%RHの室内で60日間保管した。
【0108】
7−2)粘着力試験
JIS Z0237に準じ、粘着剤を塗工してから60日目に、幅25mm×長さ170mmの試験片を3本切り出し、剥離紙を剥がして粘着剤塗工面をステンレス板(100×150mm)の上に置き、重量3kgのゴムローラーを2往復ころがして圧着した。
ステンレス板を引張試験機の下部チャックに挟み、試料粘着加工品の一端を上部チャックに挟んで引張速度300mm/min.で180°引き剥がし試験を行い、粘着力を測定した。
評価基準
○:粘着力が200g/m
2以上の場合は、粘着力の経時的低下が小さく
、粘着シートとして使用可能と評価し、「○」で表記した。
×:粘着力が200g/m
2に満たない場合は、粘着力の経時的低下が大
きく、粘着シートとしての実用性がないと評価し、「×」で表示し
た。
【0109】
(実施例1)
針葉樹晒しクラフトパルプ(以下NBKP、αセルロース含有率 85.6%)60重量%と精製パルプとして針葉樹マーセル化パルプ(αセルロース含有率 97.5%、450mlCSFにおける保水度138%)40重量%とを配合し、濾水度641mlCSFに混合叩解した抄紙用原料に、カチオン性定着剤としてポリアミン樹脂(商品名アルコフィックス159、チバスペシャリティケミカルズ社製品)を固形分換算で原料に対して0.9重量%添加し、さらに水溶性高分子電解質塩としてカルボキシルメチルセルロースナトリウム塩(以下CMC、商品名サンローズ、日本製紙ケミカル社製品)の水溶液を固形分換算で2.0重量%添加した後、坪量60g/m
2の水分散紙を手抄きした。この水分散紙の水分散時間、引張強さ、印刷適性、紙面pHの測定結果を表1に示した。
【0110】
(実施例2)
NBKPとマーセル化パルプの配合量を表1に示すとおりに変えた以外は、実施例1と同様にして水分散紙を作製した。
【0111】
(実施例3)
NBKPとマーセル化パルプの配合量を表1に示すとおりに変えた以外は、実施例1と同様にして水分散紙を作製した。
【0112】
(実施例4)
NBKPとマーセル化パルプの配合量を表1に示すとおりに変えた以外は、実施例1と同様にして水分散紙を作製した。
【0113】
(実施例5)
精製パルプとして、マーセル化パルプに替えて亜硫酸塩蒸解で得られた広葉樹溶解パルプ(αセルロース含有率92.0%、450mlCSFにおける保水度58%)を配合したこと以外は実施例1と同様にして水分散紙を作製した。
【0114】
(実施例6)
精製パルプとして、マーセル化パルプに替えて亜硫酸塩蒸解で得られた広葉樹溶解パルプ(αセルロース含有率89.0%、450mlCSFにおける保水度120%)を配合したこと以外は実施例1と同様にして水分散紙を作製した。
【0115】
(実施例7)
抄紙用原料に添加するCMCの量を6.0重量%とした以外は、実施例1と同様にして水分散紙を作製した。
【0116】
(実施例8)
カチオン性定着剤の配合量を表1に示すとおりに変えた以外は、実施例1と同様にして水分散紙を作製した。
【0117】
(実施例9)
カチオン性定着剤の配合量を表1に示すとおりに変えた以外は、実施例1と同様にして水分散紙を作製した。
【0118】
(実施例10)
カチオン性定着剤の配合量を表1に示すとおりに変えた以外は、実施例1と同様にして水分散紙を作製した。
【0119】
(実施例11)
カチオン性定着剤及び高分子電解質塩の配合量を表1に示すとおりに変えた以外は、実施例2と同様にして水分散紙を作製した。
【0120】
(実施例12)
カチオン性定着剤及び高分子電解質塩の配合量を表1に示すとおりに変えた以外は、実施例2と同様にして水分散紙を作製した。
【0121】
(比較例1)
抄紙用原料に精製パルプを配合せず、NBKP(αセルロース含有率85.6%)のみを用いたこと以外は、実施例1と同様にして水分散紙を作製した。
精製パルプを配合しない場合は、紙料繊維同士の繊維間結合が強くなりすぎるため繊維状水分散時間が長く、水分散性の優れた水分散紙は得られなかった。
【0122】
(比較例2)
抄紙用原料に製紙用繊維を配合せず、針葉樹マーセル化パルプ(αセルロース含有率 97.5%、450mlCSFにおける保水度138%)のみを用いたこと以外は、実施例1と同様にして水分散紙を作製した。
抄紙用原料が精製パルプのみの場合は、紙料繊維同士の繊維間結合が弱いために充分な紙強度が得られず、印刷適性の低いものが得られた。
【0123】
(比較例3)
NBKP(αセルロース含有率 85.6%)40重量%と繊維状カルボキシルメチルセルロースNa塩のパルプ(置換度0.28)60重量%とを配合し、濾水度648mlCSFに混合叩解した抄紙用原料を用いて、坪量60g/m
2の基紙を手抄きした。
シートの紙面pHは6.9と中性であるが、フロック状水分散時間は、264秒を要し水解紙というレベルのものではなかった。
【0124】
(比較例4)
マーセル化パルプに替えて再生セルロース繊維(3.3dtex×5mm)を配合したこと以外は実施例1と同様にして水分散紙を作製した。
紙面pHは6.8と中性であり良好な水分散性を持つが、印刷適性を試験すると再生セルロース繊維の脱落により印刷適性に問題があった。再生セルロース繊維は、精製度が高くαセルロース含有率は高いが、繊維表面が平滑でフィブリル化し難く、繊維間結合が乏しいためパルプ繊維とは異なる挙動を示し、繊維の毛羽立ちや脱落が多いことが問題となっている。
【0125】
(実施例1A)
実施例1で作成した水分散紙(基紙)に、水溶性重合体として、CMC(商品名サンローズ、日本製紙ケミカル社製品、20℃における2重量%水溶液の粘度が5mPa・s)の4重量%液をサイズプレス方式で基紙に対して9.3重量%(5.6g/m
2)塗工し、実施例1Aの水分散紙を作製した。
この水分散紙の水分散時間、引張強さ、印刷適性、紙面pHの測定結果を表2に示した。
実施例1Aにより得られた水分散紙のフロック状水分散時間、繊維状水分散時間が非常に優れている。
【0126】
(実施例1B)
実施例1で作成した水分散紙を基紙に用い、水溶性重合体の添加率を表2に示すとおりに変えた以外は実施例1Aと同様にして水分散紙を作製した。
【0127】
(実施例2A)
実施例2で作成した水分散紙を基紙に用い、水溶性重合体の添加率を表2に示すとおりに変えた以外は実施例1Aと同様にして水分散紙を作製した。
【0128】
(実施例3A)
実施例3で作成した水分散紙を基紙に用いた以外は、実施例1Aと同様にして水分散紙を作製した。
【0129】
(実施例4A)
実施例4で作成した水分散紙を基紙に用い、水溶性重合体の添加率を表2に示すとおりに変えた以外は、実施例1Aと同様にして水分散紙を作製した。
【0130】
(実施例5A)
実施例5で作成した水分散紙を基紙に用い、水溶性重合体の添加率を表2に示すとおりに変えた以外は、実施例1Aと同様にして水分散紙を作製した。
【0131】
(実施例6A)
実施例6で作成した水分散紙を基紙に用い、水溶性重合体の添加率を表2に示すとおりに変えた以外は、実施例1Aと同様にして水分散紙を作製した。
【0132】
(実施例7A)
実施例7で作成した水分散紙を基紙に用いた以外は、実施例1Aと同様にして水分散紙を作製した。
【0133】
(実施例11A)
実施例11で作成した水分散紙を基紙に用い、水溶性重合体の添加率を表2に示すとおりに変えた以外は、実施例1Aと同様にして水分散紙を作製した。
【0134】
(実施例12A)
実施例12で作成した水分散紙を基紙に用い、水溶性重合体の添加率を表2に示すとおりに変えた以外は、実施例1Aと同様にして水分散紙を作製した。
【0135】
(比較例1A)
比較例1で作成した水分散紙を基紙に用い、水溶性重合体の添加率を表2に示すとおりに変えた以外は、実施例1Aと同様にして水分散紙を作製した。
【0136】
(比較例2A)
比較例2で作成した水分散紙に、実施例1Aと同様な塗工を試みたが、サイズプレス工程で、基紙が千切れてしまい、水分散紙が得られなかった。
【0137】
【表1】
【0138】
【表2】
【0139】
(実施例13)
針葉樹晒しクラフトパルプ(以下NBKP、αセルロース含有率 85.6%)60重量%と針葉樹マーセル化パルプ(αセルロース含有率 97.5%、450mlCSFにおける保水度138%)の40重量%とを配合し、濾水度641mlCSFに混合叩解して抄紙用原料とした。この抄紙用原料にカチオン性定着剤としてポリアミン樹脂(商品名アルコフィックス159、チバスペシャリティケミカルズ社製品)を固形分換算で原料に対して0.9重量%添加し、さらに水溶性高分子電解質塩としてカルボキシルメチルセルロースナトリウム塩(以下CMC、商品名サンローズ、日本製紙ケミカル社製品)の水溶液を固形分換算で2.0重量%添加した。その後、坪量60g/m
2の手抄き紙を作製した。この手抄き紙に、水溶性重合体としてCMC(商品名サンローズ、日本製紙ケミカル社製品、20℃における2重量%水溶液の粘度が5mPa・s)の4重量%液をサイズプレス方式で手抄き紙に対して9.3重量%(5.6g/m
2)塗工し、水分散性塗工紙の基材を作製した。
得られた基材上に目止め層を塗設した後、目止め層の上に塗工層を設けた。塗工層は、アンダー層、感熱記録層を塗工し、乾燥して実施例13の水分散性塗工紙を作製した。
【0140】
(目止め層の塗設)
基材の片面上に、目止め層を形成する。目止め層塗工液の組成は、シリカ粉末(カープレックス粉末、DSL.ジャパン株式会社製)53重量部、12%PVA水溶液433重量部からなる。この目止め層塗工液を乾燥重量7g/m
2となるようにマイヤーバーを用いて塗工し、乾燥させて目止め層を形成した。
【0141】
(アンダー層の塗設)
本実施例において、水分散性塗工紙の基材片面に塗設された目止め層の上に塗工するアンダー層の塗液は、焼成カオリン(XCI3OOFECC製、吸油量70ml/100g)100部、分散剤0.2部、10%PVA溶液80部、水50部からなる。このアンダー層塗液を乾燥重量6g/m
2となるようにマイヤーバーを用いて塗工し、乾燥させてアンダー層を形成した。
【0142】
(感熱記録層の塗設)
次に、上記アンダー層の上に感熱記録層を形成する。感熱記録層の塗液の組成は、顕色剤分散液36.0部、染料分散液9.2部、増感剤分散液12.0部、炭酸カルシウム(Brilliant−15白石工業製、平均粒子径0.20=50%分散液)12.0部からなる。この感熱記録層塗液を乾燥重量が5g/m
2になるようにマイヤーバーを用いて、塗工し、乾燥(50℃)させて感熱記録層を形成した。この際に使用した顕色剤分散液、染料分散液、増感剤分散液はそれぞれ次のようにして調製した。
(1)顕色剤分散液:10%PVA水溶液18.8部、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン6.0部、水11.2部を分散させサンドグラインダーを用いて平均粒子径lμmに粉砕した。
(2)染料分散液:3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン2.0部、10%PVA水溶液4.6部、水2.6部を分散させサンドグラインダーを用いて平均粒子径lμmに粉砕した。
(3)増感剤分散液:4−ビフェニルp−トリルエーテル4.0部、10%PVA水溶液5.0部、水3.0部を分散させサンドグラインダーを用いて平均粒子径lμmに粉砕した。
以上のようにして水分散性塗工紙(感熱記録紙)を得た。
【0143】
得られた水分散性塗工紙は、ミニスーパーカレンダー試験機(由利ロール機械株式会社製)を用い、線圧25kg/m、通紙速度5m/min.で塗工層をチルドロール(室温)側にして通紙し、王研式平滑度が200〜500秒となるように平滑化処理を行った。
この水分散性塗工紙の水分散時間、黄変度、印刷適性、紙面pHの測定結果を表3に示した。
【0144】
(実施例14)
水溶性重合体の添加率を表3に示すとおりに変えた以外は、実施例13と同様にして水分散性塗工紙を作製した。
【0145】
(実施例15)
NBKPとマーセル化パルプの配合量を表3に示すとおりに変えた以外は、実施例13と同様にして水分散性塗工紙を作製した。
【0146】
(実施例16)
NBKPとマーセル化パルプの配合量を表3に示すとおりに変えた以外は、実施例13と同様にして水分散性塗工紙を作製した。
【0147】
(実施例17)
NBKPとマーセル化パルプの配合量及び水溶性重合体の添加率を表3に示すとおりに変えた以外は、実施例13と同様にして水分散性塗工紙を作製した。
【0148】
(実施例18)
マーセル化パルプに替えて亜硫酸塩蒸解で得られた広葉樹溶解パルプ(αセルロース含有率92.0%、450mlCSFにおける保水度58%)を精製パルプとして配合し、水溶性重合体の添加率を表3に示すとおりに変えた以外は、実施例13と同様にして水分散性塗工紙を作製した。
【0149】
(実施例19)
マーセル化パルプに替えて亜硫酸塩蒸解で得られた広葉樹溶解パルプ(αセルロース含有率89.0%、450mlCSFにおける保水度120%)を精製パルプとして配合し、水溶性重合体の添加率を表4に示すとおりに変えた以外は、実施例13と同様にして水分散性塗工紙を作製した。
【0150】
(実施例20)
抄紙用原料に添加する水溶性高分子電解質塩の配合量を表4に示すとおりに変更した以外は、実施例13と同様にして水分散性塗工紙を作製した。
【0151】
(実施例21)
カチオン性定着剤及び高分子電解質塩の配合量、水溶性重合体の添加率を表4に示すとおりに変えた以外は、実施例15と同様にして水分散性塗工紙を作製した。
【0152】
(実施例22)
カチオン性定着剤及び高分子電解質塩の配合量、水溶性重合体の添加率を表4に示すとおりに変えた以外は、実施例15と同様にして水分散性塗工紙を作製した。
【0153】
(実施例23)
感熱記録層を表4のインクジェット記録層に変えた以外は、実施例13と同様にして水分散性塗工紙を作製した。
【0154】
(実施例24)
感熱記録層を表4の一般印刷用の塗工層に変えた以外は、実施例13と同様にして水分散性塗工紙を作製した。
【0155】
(実施例25)
基材のアンダー層、感熱記録層側に目止め層を設けずに、基材の反対面(非感熱記録層面)の上に目止め層を塗設した以外は、実施例13と同様にして水分散性塗工紙を作製した。
【0156】
(比較例5)
抄紙用原料に精製パルプを配合せず、NBKP(αセルロース含有率85.6%)のみに変更し、水溶性重合体の添加率を表4に示すとおりに変えた以外は、実施例13と同様にして水分散性塗工紙を作製した。
【0157】
(比較例6)
抄紙用原料に製紙用繊維を配合せず、針葉樹マーセル化パルプ(αセルロース含有率 97.5%、450mlCSFにおける保水度138%)のみを用いたこと以外は実施例13と同様にして水分散塗工紙を作製しようと試みたが、水溶性高分子を塗工の際、基材が千切れてしまい、水分散性塗工紙の基材を得ることができなかった。
【0158】
(比較例7)
NBKP40重量%と繊維状カルボキシルメチルセルロースNa塩のパルプ(置換度0.28)60重量%とを配合し、濾水度648mlCSFに混合叩解した抄紙用原料を用いたこと以外は、実施例13と同様にして水分散塗工紙を作製した。シートの紙面pHは6.9と中性であるが、フロック状水分散時間は300秒以上と長くて水分散性が悪く、水分散紙というレベルのものではなかった。
【0159】
(比較例8)
マーセル化パルプに替えて再生セルロース繊維(3.3dtex×5mm)を配合したこと以外は、実施例13と同様にして水分散塗工紙を作製した。紙面pHは、6.8と中性であり良好な水分散性を持つが、感熱印字適性を試験すると平滑性の不足により印字部分にかすれがあり、感熱印字用途に提供できるものではなかった。
【0160】
(比較例9)
濾水度600mlCSFのNBKP65重量%と繊維状カルボキシルメチルセルロースのパルプ(置換度0.43)35重量%とを配合した抄紙用原料を用いて坪量55g/m
2の手抄き紙を作製した。この手抄き紙は、酸型の水不溶性繊維状カルボキシルメチルセルロースを含むため、水分散性を有さないものである。
得られた手抄き紙の片面に実施例13と同様にして目止め層、アンダー層、感熱記録層を塗工・乾燥させた後に、アルカリ化剤として18重量%濃度の炭酸ナトリウム水溶液を乾燥重量が5.0g/m
2となるように非感熱記録層面から手抄き紙に塗工し、水不溶性の手抄き紙を水溶性に変えて水分散性塗工紙を作製した。得られた水分散性塗工紙は、ミニスーパーカレンダー試験機(由利ロール機械株式会社製)を用い、線圧25kg/m、通紙速度5m/min.で塗工層をチルドロール(室温)側にして通紙し、王研式平滑度が100〜200秒となるように平滑化処理を行った。
シートの紙面pHは、酸型の繊維状カルボキシルメチルセルロースの中和当量の約2倍の炭酸ナトリウムを塗工したため紙面pH10.5とアルカリ性を示し、フロック状水分散時間は27秒で適度な水分散性を有するが、経時的な黄変が大きく、感熱印字用途に提供できるものではなかった。
【0161】
【表3】
【0162】
【表4】