(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010469
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】発熱体の放熱構造及びこれを具える電子機器
(51)【国際特許分類】
H04N 5/225 20060101AFI20161006BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20161006BHJP
H01L 27/14 20060101ALI20161006BHJP
G02B 7/02 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
H04N5/225 E
H05K7/20 F
H01L27/14 D
G02B7/02 Z
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-11795(P2013-11795)
(22)【出願日】2013年1月25日
(65)【公開番号】特開2014-143626(P2014-143626A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2015年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】313003417
【氏名又は名称】株式会社ザクティ
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 和弥
(72)【発明者】
【氏名】橋本 剛一
【審査官】
鹿野 博嗣
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−147700(JP,A)
【文献】
特開2011−040861(JP,A)
【文献】
特開2006−251058(JP,A)
【文献】
特開2000−209474(JP,A)
【文献】
特開2013−223164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/225
G02B 7/02
H01L 27/14
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体と、
該発熱体が間隔を存して嵌まる開口を有する第1の放熱板と、
を具え、
前記第1の放熱板の開口の周縁には、溝が凹設されており、該溝が前記発熱体と対向する溝端部は、前記開口の内縁よりも凹んだ凹部を具え、前記溝と前記凹部に熱伝導性にすぐれる樹脂を充填することで、前記発熱体と前記第1の放熱板を熱的に接続する、ことを特徴とする発熱体の放熱構造。
【請求項2】
前記発熱体は、撮像素子である、請求項1に記載の発熱体の放熱構造。
【請求項3】
前記撮像素子の背面には、第2の放熱板が取り付けられており、前記熱伝導性にすぐれる樹脂は、前記第2の放熱板に当接し、熱的に接続されている、請求項2に記載の発熱体の放熱構造。
【請求項4】
請求項1に記載の発熱体の放熱構造を具える電子機器。
【請求項5】
請求項2又は請求項3に記載の発熱体の放熱構造を有する撮像素子ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像素子ユニットを、レンズを収容したレンズ鏡筒に取り付けてなる、レンズユニット。
【請求項7】
請求項6に記載のレンズユニットを搭載した、撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子等の発熱体の放熱構造及びこれを具える撮像装置等の電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラや携帯電話機、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)等の撮像機能を有する機器(以下、適宜「撮像装置」と称する)には、レンズを収容したレンズ鏡筒に撮像素子ユニットを装着したレンズユニットが搭載されている。
【0003】
撮像素子ユニットは、レンズを通過した光線が入射する撮像素子を素子取付プレートに取り付けて構成され、撮像素子は、リジッド基板とフレキシブル基板を介して撮像装置の制御基板に電気的に接続される。
【0004】
上記撮像素子ユニットは、素子取付プレートをレンズ鏡筒にネジ止め等することにより装着され、撮像装置に組み込まれる。
【0005】
撮像装置の小型化及び薄型化に伴いレンズユニットにも小型化及び薄型化の要請がある。特に携帯電話機やスマートフォン、PDAなどの薄型の機器に搭載されるレンズユニットは、薄型化の要請が強い。
【0006】
このため、撮像素子ユニットも小型化や薄型化、幅狭化が求められている。
【0007】
撮像素子ユニットの小型化等を図るために、リジッド基板を撮像素子とほぼ同じ大きさとしたものも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−18954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
撮像素子として、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)が知られているが、これら撮像素子は、撮像、動画の撮像の際に、発熱する発熱体である。特に、動画撮像に用いられるCMOSは、消費電力が大きく、CMOS自身の発熱によって、撮像画質が劣化したり、動作保証温度外まで熱が上がると、動作不良を生じる虞がある。
【0010】
撮像素子から発せられた熱は、一部がリジッド基板から放熱されるが、上記のとおり、撮像素子ユニットの小型化等を図るために、リジッド基板も小型化、幅狭化する必要があり、十分な放熱を図ることができない。
【0011】
本発明の目的は、放熱特性にすぐれる発熱体の放熱構造及びこれを具えた電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る発熱体の放熱構造は、
発熱体と、
該発熱体が間隔を存して嵌まる開口を有する第1の放熱板と、
を具え、
前記第1の放熱板の開口の周縁には、溝が凹設されており、該溝が前記発熱体と対向する溝端部は、前記開口の内縁よりも凹んだ凹部を具え、前記溝と前記凹部に熱伝導性にすぐれる樹脂を充填することで、前記発熱体と前記第1の放熱板を熱的に接続する。
【0013】
上記発熱体の放熱構造は、電子機器に配備することができる。
【0014】
前記発熱体は、撮像素子とすることができる。
【0015】
前記撮像素子は、撮像素子ユニットに組み込まれる。
【0016】
前記撮像素子ユニットは、レンズを収容したレンズ鏡筒に取り付けてレンズユニットを構成する。
【0017】
前記レンズユニットは、撮像装置に組み込まれる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る発熱体の放熱構造によれば、熱伝導性にすぐれる樹脂は、第1の放熱板の開口に発熱体を嵌めた状態で、溝と凹部に充填されることで、発熱体と第1の放熱板を熱的に接続する。この熱的な接続により、発熱体から発せられた熱は、熱伝導性にすぐれる樹脂を介して、第1の放熱板に伝導し、発熱体の温度上昇を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】
図2は、熱伝導性にすぐれる樹脂充填前の撮像素子ユニットの正面図である。
【
図5】
図5は、熱伝導性にすぐれる樹脂充填後の撮像素子ユニットの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の発熱体の放熱構造について、発熱体として撮像素子(20)、電子機器として、画像や動画を撮像するデジタルカメラ、携帯電話機、スマートフォン、PDA等の撮像装置に適用した実施形態につき、図面に沿って説明する。
【0021】
図1は、撮像素子(20)を具える撮像素子ユニット(10)の分解斜視図である。図に示すように、撮像素子ユニット(10)は、撮像素子(20)の撮像面(21)の裏面側にリジッド基板(22)及びフレキシブル基板(23)を半田付け等により電気的に接続し、撮像素子(20)の周囲に素子取付プレート(30)、フレキシブル基板(23)の背面に放熱プレート(24)(第2の放熱板)を装着して構成することができる。
【0022】
撮像素子(20)として、CCDやCMOSなどのイメージセンサを例示することができる。撮像素子(20)は、
図1に示すように、一方の面に撮像面(21)が形成され、背面側には図示省略する電気接点が配置される。
【0023】
撮像素子(20)の背面の電気接点には、
図3及び
図4に示すように、リジッド基板(22)が半田付け(28)等により電気的に接続される。リジッド基板(22)は、撮像素子ユニット(10)の大型化、幅広化を防ぐために、撮像素子(20)と略同じ大きさとすることが望ましい。
【0024】
リジッド基板(22)には、
図1、
図3及び
図4に示すように、リジッド基板(22)の背面にフレキシブル基板(23)が半田付け等により電気的に接続される。フレキシブル基板(23)は、撮像装置の制御系に電気的に接続される。なお、
図1等では、フレキシブル基板(23)は、矩形で示しているが、実際は、制御系まで届く長さを有している。
【0025】
撮像素子(20)には、上記要領にてリジッド基板(22)及びフレキシブル基板(23)が電気的に接続され、
図1乃至
図4に示すように、フレキシブル基板(23)の背面に第2の放熱板となる放熱プレート(24)が接着剤等を用いて装着される。放熱プレート(24)は、撮像素子(20)の撮像面(21)に対して、平行に取り付けられるように調整することが望ましい。この放熱プレート(24)には、撮像素子(20)から発せられる熱の一部が、リジッド基板(22)から、又は、リジッド基板(22)、フレキシブル基板(23)を介して伝導され、放熱されることとなるが、リジッド基板(22)、フレキシブル基板(23)は熱伝導性に劣るため、放熱プレート(24)による放熱効果は十分には期待できない。
【0026】
撮像素子(20)に、基板(22)(23)を介して放熱プレート(24)を取り付けた撮像素子組立体(26)に対し、撮像素子(20)の側面を囲むように素子取付プレート(30)が装着される。この素子取付プレート(30)が、本発明における第1の放熱板となる。
【0027】
素子取付プレート(第1の放熱板)(30)は、金属板から構成することができ、中央に撮像素子(20)の外形よりも大きい開口(31)が開設されている。撮像素子(20)は、素子取付プレート(30)の開口(31)の内縁から間隔を存して嵌められる。開口(31)を撮像素子(20)よりも大きくすることで、撮像素子(20)を素子取付プレート(30)に取り付ける際に、撮像素子(20)と素子取付プレート(30)の平行度、回転角度を調整することができる。
【0028】
素子取付プレート(30)は、
図1乃至
図3に示すように、開口(31)の周縁に、背面側に向けて凹んだ溝(32)(32)が形成されている。図示の例では、溝(32)(32)は、開口(31)の内縁4辺のうち、一方の向かい合う内縁に対向するように夫々1つずつ形成しているが、溝(32)の数は限定されるものではなく、また、溝(32)は、4辺すべてに設けてもよいし、隣り合う内縁に形成することもできる。溝(32)(32)は、プレス加工や切削などにより形成することができる。
【0029】
溝(32)(32)は、開口(31)の内縁側、即ち、撮像素子(20)と対向する溝端部は、開口(31)の内縁よりも凹んだ凹部(33)(33)が形成されている。凹部(33)(33)は、プレス加工や切削などにより形成することができる。
【0030】
凹部(33)(33)は、後述する熱伝導性にすぐれる樹脂(50)を注入する際に、樹脂注入用のノズルの先端が、凹部(33)(33)と撮像素子(20)との間に形成される空隙(40)(40)に挿入できる程度の深さとすることが望ましい。少なくとも、熱伝導性にすぐれる樹脂(50)が前記空隙(40)(40)に流れ込むことができる深さとする。
【0031】
後述するとおり、撮像素子(20)と素子取付プレート(30)は、接着剤(51)により固定される。接着剤(51)は、撮像素子(20)と開口(31)との間に注入することができ、本実施例では、
図1、
図2及び
図4に符号(41)(41)で示す接着剤注入部に注入する。この場合、接着剤(51)の流出を防止するために、図に示すように、接着剤注入部(41)(41)と対向する開口(31)の周縁に突条(34)(34)を形成し、接着剤溜まり(35)となるようにすることが望ましい。図示の実施例では、開口(31)の溝(32)(32)の形成されていない内縁の残りの2辺に、突条(34)(34)が、開口(31)の内縁から間隔を存し、素子取付プレート(30)の正面側に向けて突出するよう形成されており、突条(34)(34)の両端は、
図1及び
図2に示すように、開口(31)の角又はその近傍と交差するよう屈曲している。
【0032】
また、開口(31)の周囲には、レンズユニットのレンズ鏡筒への位置決め、取付けのための孔(36)が複数開設されている。
【0033】
上述した撮像素子組立体(26)は、
図2乃至
図4に示すように、撮像素子(20)が、上記構成の素子取付プレート(30)の開口(31)に嵌められ、撮像素子(20)と開口(31)との間に間隔を存した状態で、撮像面(21)と素子取付プレート(30)の平行度及び回転角度を調整する。
【0034】
次に、接着剤(51)を接着剤注入部(41)(41)に注入する。接着剤(51)として、紫外線硬化型、熱硬化型、湿気硬化型のものを例示することができる。
なお、接着剤(51)は、
図5及び
図7に示すように、突条(34)により形成される接着剤溜まり(35)がほぼ満たされる状態まで充填することが望ましい。
【0035】
接着剤(51)が硬化し、撮像素子(20)が素子取付プレート(30)に固定されると、凹部(33)(33)と撮像素子(20)が対向する空隙(40)(40)に熱伝導性にすぐれる樹脂(50)を注入する。熱伝導性にすぐれる樹脂(50)として、アルミナを含有する樹脂を例示することができる。勿論、熱伝導性にすぐれる樹脂(50)は、これに限定されるものではない。
【0036】
熱伝導性にすぐれる樹脂(50)は、樹脂注入用のノズルから送出することが望ましく、この場合、熱伝導性にすぐれる樹脂(50)の充填度を高めるために、凹部(33)(33)により広く形成された空隙(40)(40)にノズルの先端を挿入した状態から熱伝導性にすぐれる樹脂(50)の注入を開始することができる。
【0037】
熱伝導性にすぐれる樹脂(50)が、空隙(40)(40)に充填された後、
図5及び
図6に示すように、溝(32)(32)を埋める程度までさらに熱伝導性にすぐれる樹脂(50)を充填することで、熱伝導性にすぐれる樹脂(50)と素子取付プレート(30)との接触面積を大きくすることができ、放熱効果を高めることができる。
【0038】
上記により、撮像素子(20)と素子取付プレート(30)は、熱伝導性にすぐれる樹脂(50)により、熱的に接続することができる。
【0039】
なお、第2の放熱板である放熱プレート(24)も放熱性を有するから、熱伝導性にすぐれる樹脂(50)は、
図5及び
図6に示すように、放熱プレート(24)にまで到達し、放熱プレート(24)と当接するように注入することが望ましい。本発明の実施例では、撮像素子(20)とリジッド基板(22)を略同じ大きさとしており、素子取付プレート(30)に凹部(33)(33)を形成しているから空隙(40)(40)を広く採ることができ、熱伝導性にすぐれる樹脂(50)の粘性が高くても放熱プレート(24)まで熱伝導性にすぐれる樹脂(50)を到達させることができる。
【0040】
熱伝導性にすぐれる樹脂(50)を硬化させることで、上記により構成された放熱構造を有する撮像素子ユニット(10)の組立てが完了する。
【0041】
撮像素子ユニット(10)を、レンズ鏡筒の取付面に位置決め及びネジ止め等することで、レンズユニットを作製することができる。また、作製されたレンズユニットは、撮像装置に組み込んで使用することができる。
【0042】
本発明の撮像素子ユニット(10)によれば、撮像素子(20)と放熱性の高い素子取付プレート(30)とを、熱伝導性にすぐれる樹脂(50)により熱的に接続することができるから、撮像素子(20)の放熱効率を高め、撮像素子(20)の発熱による画質劣化を抑えることができる。また、撮像素子(20)の放熱効率が高いから、動作保証温度外まで撮像素子(20)の熱が上がってしまうことも抑制でき、これを原因とする動作不良の発生を低減できる。
【0043】
本発明の放熱構造を採用した撮像素子ユニット(10)は、撮像素子(20)から発せられた熱が、リジッド基板(22)から、又は、リジッド基板(22)、フレキシブル基板(23)を介して放熱プレート(24)から十分に放熱されなくても、熱伝導にすぐれる樹脂(50)を介して素子取付プレート(30)から効率的に放熱することができる。また、リジッド基板(22)の幅狭化、小型化を図ることで、撮像素子(20)と放熱プレート(24)を熱伝導性にすぐれる樹脂(50)により熱的に接続することができるから、放熱特性を可及的に高めることができる。リジッド基板(22)の幅狭化、小型化が達成できるから、撮像素子ユニット(10)の小型化、薄型化も達成することができる。これにより、レンズユニットや撮像装置の小型化、薄型化も達成できる。
【0044】
本発明は、撮像素子(20)として、動画撮像に用いられるCMOSを採用することが特に好適である。比較のために、上記構成の放熱構造を具えた撮像素子ユニット(10)(CMOSを使用:発明例)と、上記構成から熱伝導性にすぐれる樹脂を注入していない撮像素子ユニット(CMOSを使用:比較例)を作製し、動画撮像時間と温度との関係を測定した。その結果、CMOSの温度が30℃上昇するまでに要する時間は、発明例が20分、比較例が13分であり、発明例は、比較例に比して1.5倍以上長くすることができた。
【0045】
なお、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0046】
例えば、発熱体は、上記撮像素子(20)に限定されるものではなく、CPU、バッテリ、抵抗素子、その他の発熱体であってもよい。
【0047】
また、電子機器も、本発明の放熱構造が採用されるものであれば、撮像装置に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、放熱特性にすぐれる発熱体の放熱構造及びこれを具えた電子機器として有用である。
【符号の説明】
【0049】
(10) 撮像素子ユニット
(20) 撮像素子(発熱体)
(22) リジッド基板
(23) フレキシブル基板
(24) 放熱プレート(第2の放熱板)
(30) 素子取付プレート(第1の放熱板)
(31) 開口
(32) 溝
(33) 凹部
(40) 空隙
(50) 熱伝導性にすぐれる樹脂