特許第6010487号(P6010487)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6010487エアバッグ付き袋への気体封入方法及び気体封入装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010487
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】エアバッグ付き袋への気体封入方法及び気体封入装置
(51)【国際特許分類】
   B31B 31/74 20060101AFI20161006BHJP
   B65D 30/16 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   B31B31/74
   B65D30/16 K
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-42780(P2013-42780)
(22)【出願日】2013年3月5日
(65)【公開番号】特開2014-169117(P2014-169117A)
(43)【公開日】2014年9月18日
【審査請求日】2015年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222727
【氏名又は名称】東洋自動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100974
【弁理士】
【氏名又は名称】香本 薫
(72)【発明者】
【氏名】吉兼 徹
(72)【発明者】
【氏名】須内 紀和
(72)【発明者】
【氏名】河村 健治
【審査官】 吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−25394(JP,A)
【文献】 特開2007−191187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 31/74
B65D 30/16
B65D 75/00
B31B 49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋の側縁のシール部に縦方向に延びるエアバッグ部が一体的に形成され、該エアバッグ部を構成するフィルム面にエアバッグ部内と袋外を連通させる切り込み又は穴が形成されたエアバッグ付き袋を、所定の移送経路に沿って移送し、前記移送経路上で、圧力気体供給源に接続された気体吹き込みノズルの吹き出し口を前記切り込み又は穴にあてがい、前記気体吹き込みノズルから前記切り込み又は穴を通して前記エアバッグ部内に気体を吹き込み、吹き込み継続中に前記切り込み又は穴の近傍に設定された遮断部位を袋の両面から遮断用グリッパーで挟持し、前記切り込み又は穴と前記エアバッグ部内との気体の流通を遮断する気体充填工程を行い、続いて前記遮断用グリッパーで前記遮断部位を挟持したまま、前記移送経路上で、前記切り込み又は穴の箇所若しくは前記切り込み又は穴の近傍箇所で袋を両面から熱板で挟圧し、前記切り込み又は穴若しくは前記切り込み又は穴の近傍をシールして気体をエアバッグ部内に封入する気体封入工程を行うエアバッグ付き袋への気体封入方法において、前記気体充填工程の前に、前記移送経路上で、圧力気体供給源に接続された別の気体吹き込みノズルの吹き出し口を前記切り込み又は穴にあてがい、前記別の気体吹き込みノズルから前記切り込み又は穴を通して前記エアバッグ部内に気体を吹き込む予備気体吹き込み工程を行うことを特徴とするエアバッグ付き袋への気体封入方法。
【請求項2】
袋の側縁のシール部に縦方向に延びるエアバッグ部が一体的に形成され、該エアバッグ部を構成するフィルム面にエアバッグ部内と袋外を連通させる切り込み又は穴が形成されたエアバッグ付き袋を、所定の移送経路に沿って間欠的に移送し、前記移送経路上の所定の停止位置で、圧力気体供給源に接続された気体吹き込みノズルの吹き出し口を前記切り込み又は穴にあてがい、前記気体吹き込みノズルから前記切り込み又は穴を通して前記エアバッグ部内に気体を吹き込み、吹き込み継続中に前記切り込み又は穴の近傍に設定された遮断部位を袋の両面から遮断用グリッパーで挟持し、前記切り込み又は穴と前記エアバッグ部内との気体の流通を遮断する気体充填工程を行い、前記遮断用グリッパーで前記遮断部位を挟持したまま前記エアバッグ付き袋を前記移送経路に沿って下流側の停止位置に移送し、同停止位置で前記切り込み又は穴の箇所若しくは前記切り込み又は穴の近傍箇所で袋を両面から熱板で挟圧し、前記切り込み又は穴若しくは前記切り込み又は穴の近傍をシールして気体をエアバッグ部内に封入する気体封入工程を行うエアバッグ付き袋への気体封入方法において、前記気体充填工程の停止位置より上流側の停止位置で、圧力気体供給源に接続された別の気体吹き込みノズルの吹き出し口を前記切り込み又は穴にあてがい、前記別の気体吹き込みノズルから前記切り込み又は穴を通して前記エアバッグ部内に気体を吹き込む予備気体吹き込み工程を行うことを特徴とするエアバッグ付き袋への気体封入方法。
【請求項3】
前記予備気体吹き込み工程を行う前に、前記移送経路上のエアバッグ付き袋のエアバッグ部に加熱気体を吹き付ける予備加熱工程を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載されたエアバッグ付き袋への気体封入方法。
【請求項4】
袋の側縁のシール部に縦方向に延びるエアバッグ部が一体的に形成され、該エアバッグ部を構成するフィルム面にエアバッグ部内と袋外を連通させる切り込み又は穴が形成されたエアバッグ付き袋を、所定の移送経路に沿って間欠的に移送し、その移送の過程で前記エアバッグ部に気体を封入するエアバッグ付き袋への気体封入装置において、前記エアバッグ付き袋の両側縁を挟持して間欠的に移動し、前記エアバッグ付き袋を前記移送経路に沿って間欠的に移送する左右一対の袋移送用グリッパーを複数組と、圧力気体供給源に接続されて前記移送経路上の所定の停止位置近傍に配置され、前記エアバッグ付き袋に向けて進退し、前進位置において先端の吹き出し開口が前記切り込み又は穴にあてがわれ、前記切り込み又は穴を通して前記エアバッグ部内に気体を吹き込む気体吹き込みノズルと、各袋移送用グリッパーに対応して設置され、各袋移送用グリッパーと共に移動し、前記気体吹き込みノズルによる気体の吹き込み継続中に、前記切り込み又は穴の近傍に設定された遮断部位を袋の両面から挟持して、前記切り込み又は穴と前記エアバッグ部内との気体の流通を遮断する遮断用グリッパーと、前記移送経路上の前記気体吹き込みノズルより下流側の停止位置近傍に配置され、前記切り込み又は穴の箇所若しくは前記切り込み又は穴の近傍箇所で袋を両面から挟持し、前記切り込み又は穴若しくは前記切り込み又は穴の近傍をシールして気体を前記エアバッグ部内に封入する一対の熱板を備え、さらに、圧力気体供給源に接続されて前記移送経路上の前記気体吹き込みノズルより上流側の停止位置近傍に配置され、前記エアバッグ付き袋に向けて進退し、前進位置において先端の吹き出し開口が前記切り込み又は穴にあてがわれ、前記切り込み又は穴を通して前記エアバッグ部内に気体を吹き込む予備気体吹き込みノズルを備えることを特徴とするエアバッグ付き袋への気体封入装置。
【請求項5】
さらに、前記移送経路上の前記予備気体吹き込みノズルより上流側の停止位置近傍に配置され、前記エアバッグ付き袋のエアバッグ部に加熱気体を吹き付ける加熱気体吹き付けノズルを備えることを特徴とする請求項4に記載されたエアバッグ付き袋への気体封入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側縁のシール部にエアバッグ部を備えたエアバッグ付き袋の前記エアバッグ部に気体を封入する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、袋の側縁のシール部に縦方向に延びるエアバッグ部が一体的に形成されたエアバッグ付き袋を、所定の移送経路に沿って間欠的に移送し、その移送の過程で、前記エアバッグ部に気体を封入する方法が記載されている。より具体的には、前記エアバッグ部を構成するフィルム面にエアバッグ部内と袋外を連通させる切り込み又は穴が形成されており、前記移送経路上の所定の停止位置で、圧力気体供給源に接続された気体吹き込みノズルの吹き出し口を前記切り込み又は穴にあてがい、前記ノズルから前記切り込み又は穴を通して前記エアバッグ部内に気体を吹き込み、吹き込み継続中に前記切り込み又は穴の近傍の遮断部位を袋の両面から遮断用グリッパーで挟持し、これにより前記切り込み又は穴と前記エアバッグ部内との気体の流通を遮断し(気体充填工程)、前記遮断用グリッパーで前記遮断部位を挟持したまま前記エアバッグ付き袋を前記移送経路に沿って下流側の停止位置に移送し、同停止位置で前記切り込み又は穴の箇所で袋を両面から熱板で挟圧し、前記切り込み又は穴をシールして気体をエアバッグ部内に封入する(気体封入工程)、というものである。
【0003】
特許文献1によれば、エアバッグ部への気体封入は、袋の包装処理工程の一部として行うことができる。具体的には、エアバッグ付き袋の両側縁を左右一対のグリッパーで把持し吊り下げて間欠的に移送し、その移送の過程で袋口の開口、被包装物の充填、袋口のシール等の各包装工程を順次行う場合に、エアバッグ部への気体充填工程及び封入工程が被包装物の充填工程の後に置かれている。エアバッグ部が袋の上端近傍から下方に延び、切り込み又は穴がエアバッグ部の上端近傍に形成されている場合、前記熱板で前記切り込み又は穴をシールすると同時に、袋口全体を両面からシールすることができる。
【0004】
特許文献2には、袋の側縁のシール部に形成したエアバッグ部の上端に切り込み又は穴を形成し、前記切り込み又は穴が形成された部位の近傍(直下位置)に、細くくびれた(挟幅の)封入経路を形成し、前記切り込み又は穴を通して前記エアバッグ部内に気体を吹き込み、吹き込み継続中に前記封入経路の箇所を熱シールし、気体をエアバッグ部に封入することが記載されている。なお、特許文献2の気体封入方法は、エアバッグ部への気体充填工程と気体封入工程を分離することができないから、これを例えば間欠回転型のロータリー式包装装置に適用した場合、同一の停止位置で行わざるを得ず、特許文献1の気体封入方法に比べて生産性を向上させることが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4771785号公報
【特許文献2】特許第5104073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された気体封入方法では、前記移送経路上の所定の停止位置において、吹き込みノズルの吹き出し口をエアバッグ部の切り込み又は穴にあてがい、前記切り込み又は穴を通してエアバッグ部内に加圧気体を吹き込む。エアバッグ部内に吹き込まれた気体は、該エアバッグ部に充填され、該エアバッグ部を膨張させる。
しかし、エアバッグ付き袋の中には、エアバッグ部を構成する表裏のフィルム同士が、静電気等により強固に密着している場合がある。このような場合、エアバッグ部内への気体の充填がスムーズに行えず、その結果、エアバッグ部への気体の充填量が少なくエアバッグ部の膨張が不足して、袋の保形性や自立性を十分高めることができないという問題が生じ得る。この問題は、特にエアバッグ部の気体封入経路が細くくびれているような場合(特許文献2参照)に顕著に生じやすい。
【0007】
一方、発明者らの知見によれば、エアバッグ部の表裏のフィルム同士が静電気等により密着している場合でも、吹き込みノズルからエアバッグ部内に加圧気体を吹き込むと、加圧気体が密着した表裏のフィルムを剥がして押し広げ、しだいにエアバッグ部内深くに流通し、いずれはエアバッグ部全体に充填される。従って、上記の問題は、吹き込みノズルによるエアバッグ部内への気体の吹き込みに充てる時間(充填時間)を長くとることで解消される。しかし、そのためには当然エアバッグ付き袋の間欠移送の停止時間を増加させる必要があり、生産性の低下が避けられない。
【0008】
本発明は、エアバッグ部を構成する表裏のフィルム同士が、静電気等により強固に密着している場合でも、生産性を低下させることなく、前記エアバッグ部への気体の充填がスムーズに行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るエアバッグ付き袋への気体封入方法は、袋の側縁のシール部に縦方向に延びるエアバッグ部が一体的に形成され、該エアバッグ部を構成するフィルム面にエアバッグ部内と袋外を連通させる切り込み又は穴が形成されたエアバッグ付き袋を、所定の移送経路に沿って移送し、前記移送経路上で、圧力気体供給源に接続された気体吹き込みノズルの吹き出し口を前記切り込み又は穴にあてがい、前記気体吹き込みノズルから前記切り込み又は穴を通して前記エアバッグ部内に気体を吹き込み、吹き込み継続中に前記切り込み又は穴の近傍に設定された遮断部位を袋の両面から遮断用グリッパーで挟持し、前記切り込み又は穴と前記エアバッグ部内との気体の流通を遮断する気体充填工程を行い、続いて前記遮断用グリッパーで前記遮断部位を挟持したまま、前記移送経路上で、前記切り込み又は穴の箇所若しくは前記切り込み又は穴の近傍箇所で袋を両面から熱板で挟圧し、前記切り込み又は穴若しくは前記切り込み又は穴の近傍をシールして気体をエアバッグ部内に封入する気体封入工程を行うエアバッグ付き袋への気体封入方法において、前記気体充填工程の前に、前記移送経路上で、圧力気体供給源に接続された別の気体吹き込みノズルの吹き出し口を前記切り込み又は穴にあてがい、前記別の気体吹き込みノズルから前記切り込み又は穴を通して前記エアバッグ部内に気体を吹き込む予備気体吹き込み工程を行うことを特徴とするエアバッグ付き袋への気体封入方法。
【0010】
上記気体封入方法は、エアバッグ付き袋が所定の移送経路に沿って間欠移送される場合(特許文献1に記載された実施の形態参照)だけでなく、エアバッグ付き袋が所定の移送経路に沿って一定速度で連続移送される場合にも適用される。エアバッグ付き袋が間欠移送される場合、前記気体充填工程を前記移送経路上の所定の停止位置で行い、前記遮断用グリッパーで前記遮断部位を挟持したまま前記エアバッグ付き袋を前記移送経路に沿って下流側の停止位置に移送し、同停止位置で気体封入工程を行い、前記予備吹き込み工程を、前記気体充填工程の停止位置より上流側の停止位置で行うようにすればよい。
【0011】
上記気体封入方法において、必要に応じて、前記予備吹き込み工程を行う前に、前記移送経路上のエアバッグ付き袋のエアバッグ部に加熱気体を吹き付ける予備加熱工程を行うことができる。
また、前記気体充填工程及び予備吹き込み工程における気体の吹き込み手段として、特許文献1に記載されているように、エアバッグ付き袋を挟んで気体吹き込みノズルの反対側に受け部材を配置し、気体吹き込みノズルによる気体の吹き込み中、前記受け部材により袋の背面を支持することが考えられる。また、エアバッグ部の表裏両面のフィルムに切り込み又は穴が形成されている場合、エアバッグ付き袋を挟んで両側に気体吹き込みノズルを対向配置し、両気体吹き込みノズルをそれぞれ表裏面の切り込み又は穴にあてがい、エアバッグ部に気体を吹き込むことも考えられる。
【0012】
上記気体封入方法は、特許文献1にも記載されたように、袋の包装処理工程の一部として行うことができる。具体的には、エアバッグ付き袋の両側縁を左右一対のグリッパーで把持し吊り下げて間欠的に移送し、その移送の過程で袋口の開口、被包装物の充填、袋口のシール等の各包装工程を順次行う場合に、例えば被包装物の充填工程の後に、上記気体封入方法の各工程(特に予備吹き込み工程、気体充填工程及び気体封入工程)を付加する。この場合、エアバッグ部が袋の上端近傍から下方に延び、切り込み又は穴がエアバッグ部の上端近傍に形成されているのであれば、前記切り込み又は穴若しくは前記切り込み又は穴の近傍を熱板でシールして気体をエアバッグ部内に封入するとき、同時に前記熱板で袋口全体を両面からシールすることができる。
また、上記気体封入方法の各工程を被包装物の充填工程の前(望ましくは袋口の開口工程の前)に実施することもでき、あるいは、包装処理工程の一部としてでなく単独の気体封入方法として実施することもできる。これらの場合、前記切り込み又は穴若しくは前記切り込み又は穴の近傍を熱板でシールして気体をエアバッグ部内に封入するとき、袋口のシールは行わない。
【0013】
本発明に係るエアバッグ付き袋への気体封入装置は、袋の側縁のシール部に縦方向に延びるエアバッグ部が一体的に形成され、該エアバッグ部を構成するフィルム面にエアバッグ部内と袋外を連通させる切り込み又は穴が形成されたエアバッグ付き袋を、所定の移送経路に沿って間欠的に移送し、その移送の過程で前記エアバッグ部に気体を封入するもので、前記エアバッグ付き袋の両側縁を挟持して間欠的に移動し、前記エアバッグ付き袋を前記移送経路に沿って間欠的に移送する左右一対の袋移送用グリッパーを複数組と、圧力気体供給源に接続されて前記移送経路上の所定の停止位置近傍に配置され、前記エアバッグ付き袋に向けて進退し、前進位置において先端の吹き出し開口が前記切り込み又は穴にあてがわれ、前記切り込み又は穴を通して前記エアバッグ部内に気体を吹き込む気体吹き込みノズルと、各袋移送用グリッパーに対応して設置され、各袋移送用グリッパーと共に移動し、前記気体吹き込みノズルによる気体の吹き込み継続中に、前記切り込み又は穴の近傍に設定された遮断部位を袋の両面から挟持して、前記切り込み又は穴と前記エアバッグ部内との気体の流通を遮断する遮断用グリッパーと、前記移送経路上の前記気体吹き込みノズルより下流側の停止位置近傍に配置され、前記切り込み又は穴の箇所若しくは前記切り込み又は穴の近傍箇所で袋を両面から挟持し、前記切り込み又は穴若しくは前記切り込み又は穴の近傍をシールして気体を前記エアバッグ部内に封入する一対の熱板を備え、さらに、圧力気体供給源に接続されて前記移送経路上の前記気体吹き込みノズルより上流側の停止位置近傍に配置され、前記エアバッグ付き袋に向けて進退し、前進位置において先端の吹き出し開口が前記切り込み又は穴にあてがわれ、前記切り込み又は穴を通して前記エアバッグ部内に気体を吹き込む予備気体吹き込みノズルを備えることを特徴とする。
【0014】
上記気体封入装置において、必要に応じて、さらに、前記移送経路上の前記予備気体吹き込みノズルより上流側の停止位置近傍に、前記エアバッグ付き袋のエアバッグ部に加熱気体を吹き付ける気体吹き付けノズルを配置することができる。
また、上記気体封入装置において、気体の吹き込み手段として、特許文献1に記載されているように、エアバッグ付き袋を挟んで気体吹き込みノズルの反対側に受け部材を配置し、気体吹き込みノズルによる気体の吹き込み中、前記受け部材により袋の背面を支持することが考えられる。また、エアバッグ部の表裏両面のフィルムに切り込み又は穴が形成されている場合、エアバッグ付き袋を挟んで両側に気体吹き込みノズルを対向配置し、両気体吹き込みノズルをそれぞれ表裏面の切り込み又は穴にあてがい、エアバッグ部に気体を吹き込むことも考えられる。
【0015】
上記気体封入装置は、特許文献1にも記載されたように、袋の包装処理装置の一部として構成することができる。この場合、前記移送経路上においてエアバッグ付き袋の袋口の開口、被包装物の充填、袋口のシール等の各包装工程を順次行う通常の包装処理装置に対し、前記移送経路の近傍の適宜位置に、前記気体吹き込みノズル等の気体封入方法の各工程を実施するための部材、装置が付加される。むろん、上記気体封入装置を包装処理装置の一部としてではなく、単独の気体封入装置として構成することもできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、気体充填工程を行う前に、予めエアバッグ部に加圧気体を吹き込む予備吹き込み工程を行う。この予備吹き込み工程を行うことで、エアバッグ部の表裏のフィルム同士が静電気等により密着している場合でも、その密着状態が解される(エアバッグ部に吹き込まれる加圧気体により密着したフィルム同士が剥がされ、押し広げられる)。予備吹き込み工程が終わると、エアバッグ部内に吹き込まれた気体は切り込み又は穴から直ちに流出し、膨張していたエアバッグ部は収縮し、元のように平らとなる。しかし、フィルム同士の密着状態が一度解されているため、気体充填工程において改めてエアバッグ部への気体の吹き込みを行ったとき、気体の充填がスムーズに行えるようになる。これにより、エアバッグ付き袋が間欠移送される場合に、間欠移送の停止時間を長くとる必要がなく、生産性を低下させることなく、前記エアバッグ部に加圧気体を封入できるようになる。一方、エアバッグ付き袋が連続移送される場合、エアバッグ付き袋に追従して移動する気体吹き込みノズルの追従移動距離を長くとる必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る気体封入装置を含むロータリー式包装処理装置の模式的斜視図である。
図2】そのロータリー式包装装置により実施する気体封入方法を工程順に説明する側面図(a)〜(d)である。
図3】その続きの工程を工程順に説明する側面図(a)〜(d)である。
図4】さらにその続きの工程を工程順に説明する側面図(a)〜(c)である。
図5】前記ロータリー式包装装置により実施する気体封入方法を工程順に説明する正面図(a),(b)である。
図6】その続きの工程を工程順に説明する正面図(a),(b)である。
図7】気体吹き込み工程を説明する要部拡大平面図(a)、及び要部拡大正面図(b)である。
図8】袋移送用グリッパーの機能を説明する要部拡大断面図である。
図9】同じくその機能を工程順に説明する要部拡大断面図(a),(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1図9を参照して、本発明に係る気体封入方法及び装置について具体的に説明する。
図5にエアバッグ付き袋1を示す。袋1は底ガセット方式の自立袋であり、表裏両面のフィルムと折りたたまれた底部のフィルムからなる。袋1の上部領域Xでは、両側縁において袋1の表裏両面のフィルム同士が接着し、シール部2,3が形成されている。上縁は表裏両面のフィルムが接着されておらず、開口した袋口4となっている。袋1の下部領域Yでは、両側縁において表裏両面のフィルムが底部のフィルムを挟んで接着し、かつ底部のフィルム自体も折り込まれた内側で接着し、中央部において表裏両面のフィルムがそれぞれ底部のフィルムと接着し(底部のフィルム同士は接着していない)、シール部5が形成されている。シール部2,3,5を図5に斜線で示す。
【0019】
シール部2の一部に表裏両面のフィルム同士が接着していない非接着部(エアバッグ部)6が形成されている。
エアバッグ部6は、表裏両面のフィルム7,8(図9(a)参照)を熱シールする際に加圧せずシールし残した箇所であり、袋口4(シール部2の上端)近傍から下方に細長く延びて閉じた輪郭を有し、その上端近傍の表裏両面のフィルムにエアバッグ部6内と袋外を連通させる十字の切り込み9が形成されている。エアバッグ部6には、切り込み9が形成された円形の導入部6aに続いて所定長さにわたり、くびれた挟幅部6bが形成され、その下方が幅広の本体部6cとなっている。
【0020】
次に、エアバッグ付き袋1を用い、ロータリー式包装装置によってエアバッグ付き袋製品を製造する包装方法及び装置(気体封入方法及び装置を含む)について、図1〜9を参照して説明する。
図1に示すロータリー式包装装置は、特許文献1の図5に記載されたロータリー式包装装置と同様に、間欠回転するテーブルの周囲に左右一対の袋移送用グリッパー11,12が複数対、等間隔で設置されていて、供給されたエアバッグ付き袋1の両側縁を挟持して吊り下げ、円形の移送経路に沿って間欠的に移送する。グリッパー11,12が停止する各停止位置(停止位置I〜VIII)では、グリッパー11,12に対するエアバッグ付き袋1の供給に続き、グリッパー11,12に挟持されたエアバッグ付き袋1に対し、袋口の開口、被包装物の充填及び袋口のシール等の各包装工程が順次行われ、併せて、エアバッグ部6に対する気体充填工程及びエアバッグ部6の切り込み9をシールする気体封入工程を含む気体封入方法の各工程が実施される。
【0021】
一対のグリッパー11,12のうち一方のグリッパー11は、一対のグリップ片13,14を有し、外側のグリップ片13は正面視略コの字形状をなし(図5参照)、一方、内側のグリップ片14は正面視略四角形状をなし(図1参照)、その輪郭がグリップ片13の外形とほぼ一致する。グリッパー11は、グリップ片13の上下の横行部13a,13bとグリップ片14により、エアバッグ部6が形成された側縁のシール部2を表裏両面から挟持する。グリップ片13の上下の横行部13a,13bの挟持面13A側には、上下方向に連なる浅い溝15が形成され(図7(b),図8参照)、グリップ片14の挟持面14A側は、溝等はなく実質的に平坦である。袋移送用グリッパー11(グリップ片13,14)が挟持する部位は、シール部2のエアバッグ部6に挟幅部6bが形成された箇所であり、グリップ片13の上下の横行部13a,13bとグリップ片14が、切り込み9の近傍において挟幅部16bを水平に横断する形で挟持する。ただし、袋移送用グリッパー11は、閉じたとき、前記溝15が挟幅部6bを挟む位置にあり、挟幅部6bにおいてグリップ片13,14の対向面同士の間隔Jは、エアバッグ部6のフィルム7,8(図8参照)の厚みより溝15の深さの分だけ広くなっている。つまり、袋移送用グリッパー11が閉じたときも、グリップ片13,14は挟幅部6bを互いに所定間隔Jを置いて挟むだけで、該挟幅部6bのみは挟持していない。
袋1の他方の側縁のシール部3は、通常の袋移送用グリッパー12(特許文献1のグリッパー8と同じ)により挟持される。
【0022】
各対のグリッパー11,12に対応して1つずつ、遮断用グリッパー16がグリップ片14に対向して設置され、グリッパー11,12と共に移動し、所定のタイミングで開閉する。遮断用グリッパー16が閉じたとき、該遮断用グリッパー16はグリップ片13の上下の横行部13a,13bの間に入り、グリップ片14との間でエアバッグ部6の挟幅部6bを表裏両面から挟持する。遮断用グリッパー16が挟持する挟幅部6bのこの部位を本発明では遮断部位という。
【0023】
上記ロータリー式包装装置において、前記移送経路の停止位置Iにコンベアマガジン式給袋装置17が配置され、停止位置IIに印字装置(ヘッド部18のみ示す)が配置され、停止位置IIIに開口装置(吸盤19及び開口ヘッド21のみ示す)が配置され、停止位置IVに充填装置(ノズル部22のみ示す)が配置され、停止位置VIに気体吹き込み装置(一対の気体吹き込み用ノズル23,24のみ示す)が配置され、停止位置VIIにシール装置(一対の熱板25,25のみ示す)が配置され、停止位置VIIIに冷却装置(一対の冷却板26,26のみ示す)が配置されている。さらに、停止位置IVに予備加熱装置(加熱気体吹き付け用ノズル27のみ示す)が配置され、停止位置Vに予備気体吹き込み装置(予備気体吹き込み用ノズル28と受け部材29のみ示す)が配置されている。
【0024】
図1に示すロータリー式包装装置を用いた包装方法は次のように行われる。
(1)停止位置I(給袋工程位置)において、コンベアマガジン式給袋装置17からエアバッグ付き袋1がグリッパー11,12に供給され、グリッパー11,12がシール部2,3の所定位置を表裏両面から挟持する。このときエアバッグ部6は、その挟幅部6bがグリッパー11により挟持される。その状態を図2(a)、図5(a)及び図8に示す。このとき遮断用グリッパー16は開いている。図8に示すように、エアバッグ部6の挟幅部6bを挟むグリップ片13,14の挟持面同士の間に、溝15に対応して間隔Jが形成されている。
【0025】
(2)停止位置II(印字工程位置)において、印字装置により袋面への印字が行われる。
(3)停止位置III(開口工程位置)において、開口装置により袋の開口が行われる。開口装置の一対の吸盤19はエアバッグ付き袋1に向けて進退し、前進してエアバッグ付き袋1の両面を吸着し、そのまま後退して袋口を開口する。開口ヘッド21はエアバッグ付き袋1の上方で昇降し、下降したとき下端が開口した袋口から袋内に入り、エアを袋内に吹き出す。
【0026】
(4)停止位置IV(被包装物充填工程位置)において、充填装置により液状物の充填が行われる(図5(b)の充填物31参照)。充填装置のノズル部22はエアバッグ付き袋1の上方で昇降し、下降したとき袋口から袋内に挿入され、液状物を袋内に充填する。
また、この停止位置IVには、エアバッグ付き袋1の移送経路の近傍に、予備加熱装置の一部である加熱気体吹き付け用ノズル27が設置され、エアバッグ付き袋1のエアバッグ部6を加熱する予備加熱工程が行われる。加熱気体吹き付け用ノズル27は、ファンと加熱源に接続され、吹き付け開口が停止位置IVに停止するエアバッグ付き袋1のエアバッグ部6に向けられている。加熱気体吹き付け用ノズル27は、前記吹き付け開口からホットエア(加熱気体)を吹き出してエアバッグ部6に吹き付け、主として(又は全部が)熱可塑性樹脂フイルムからなるエアバッグ付き袋1のエアバッグ部6を加熱し、エアバッグ部6を構成するフィルムを軟化させる。これにより、後述する予備気体吹き込み工程でエアバッグ部6内に加圧気体を吹き込んだとき、エアバッグ部6のフィルム同士の密着状態を安定して解すことができるようになる。本発明において、予備加熱工程は必要に応じて実施すればよい。
【0027】
(5)停止位置V(予備気体吹き込み工程位置)には、エアバッグ付き袋1の移送経路の近傍に、予備気体吹き込み装置の一部である予備気体吹き込み用ノズル28及び受け部材29が設置され、エアバッグ付き袋1のエアバッグ部6に気体を吹き込む予備気体吹き込み工程が行われる。予備気体吹き込み用ノズル28は、図示しない切換弁等を介して圧力気体供給源に接続され、エアバッグ付き袋1に向けて進退し、前進位置において先端の吹き出し開口28aが切り込み9にあてがわれる。受け部材29は、エアバッグ付き袋1を挟んでノズル28の反対側に配置され、エアバッグ付き袋1に向けて進退し、前進位置においてノズル28の吹き出し開口28aに対向する位置で、エアバッグ付き袋1の背面側を支持する。受け部材29の先端に凹部29aが形成されている。ノズル28は圧縮ばね32により前方に付勢されている。なお、予備気体吹き込み装置として、予備気体吹き込み用ノズル28及び受け部材29を含めて、特許文献1に記載された気体充填装置と同じものが使用できる。
【0028】
図2(b)に示すように、袋1がこの気体予備吹き込み工程位置に停止したとき、予備気体吹き込み用ノズル28及び受け部材29は後退して待機位置にある。続いて図2(c)及び図5(b)に示すように、予備気体吹き込み用ノズル28及び受け部材29が共に前進して、予備気体吹き込み用ノズル28の先端の吹き出し開口28aが切り込み9の周囲の袋面に当接し、その背面を受け部材29が支持し、同時に予備気体吹き込み用ノズル28の先端から加圧気体が吹き出され、切り込み9を通して気体がエアバッグ部6内に吹き込まれる。先に述べたように、エアバッグ部6の挟幅部6bは、袋移送用グリッパー11のグリップ片13,14により挟持されていない(間隔Jを置いて挟まれているだけ)から、該挟幅部6bを通って下方の本体部6cにも気体が流通する。この点については、気体充填工程に関する説明において、図8を参照してさらに詳しく述べる。
【0029】
気体吹き込み中、エア圧により予備気体吹き込み用ノズル28は圧縮ばね32の付勢力に抗して若干後退し、これによりエアバッグ部6の導入部6aが膨張して該導入部6aを構成する表裏のフィルム7,8の間に隙間ができ、予備気体吹き込み用ノズル28側の切り込み9を通して気体がエアバッグ部6内に吹き込まれる。また、受け部材29の先端に凹部29aが形成されていることにより、前記導入部6aが切り込み9の背面側でも膨張し、切り込み9を通しての気体の流入が促進される。
この予備気体吹き込み工程において、仮にエアバッグ部6を構成する表裏のフィルム7,8同士が強固に密着していない場合、切り込み9からエアバッグ部6の導入部6aに入った加圧気体は、挟幅部6bを通って直ちに本体部6cに入り、エアバッグ部6全体を膨張させる。
【0030】
一方、仮にエアバッグ部6を構成する表裏のフィルム7,8同士が、全体的に又は部分的に強固に密着している場合でも、予備気体吹き込み用ノズル28から吹き出した加圧気体は、切り込み9からエアバッグ部6の導入部6aに入り、密着した表裏両面のフィルム7,8を剥がし、押し広げて該導入部6aを膨張させ、続いて挟幅部6bに入り、同様に密着した表裏両面のフィルム7,8を剥がし、押し広げて該挟幅部6bを膨張させ、さらに本体部6cに入り、密着した表裏両面のフィルム7,8を剥がし、押し広げて該本体部6cを膨張させ、エアバッグ部6の全部又は大部分において表裏両面のフィルム7,8同士の密着状態を解す。
続いて、図2(d)に示すように、予備気体吹き込み用ノズル28及び受け部材29を後退させ、加圧気体の吹き込みを止めると、エアバッグ部6内に吹き込まれた気体は切り込み9から直ちに流出し、いったん膨張していたエアバッグ部6は収縮し、元のように平らとなる。この状態でエアバッグ付き袋1は次の停止位置VIに移送される。
【0031】
(6)停止位置VI(気体充填工程位置)には、エアバッグ付き袋1の移送経路の近傍に、気体吹き込み装置の一部である気体吹き込み用ノズル23,24が設置され、該気体吹き込み用ノズル23,24によりエアバッグ付き袋1のエアバッグ部6に気体を吹き込み、続いて遮断用グリッパー16により切り込み9とエアバッグ部6内との気体の流通を遮断する気体充填工程が行われる。
気体吹き込み用ノズル23,24は、図示しない切換弁等を介して圧力気体供給源に接続され、エアバッグ付き袋1に向けて進退し、前進位置において先端の吹き出し開口23a,24aがエアバッグ付き袋1の両面から、切り込み9にあてがわれる。
【0032】
図3(a)に示すように、袋1がこの気体充填工程位置に停止したとき、気体吹き込み用ノズル23,24は後退して待機位置にある。続いて図3(b)に示すように、気体吹き込み用ノズル23,24が共に前進して前記前進位置に位置決めされ、先端の吹き出し開口23a,24aが切り込み9にあてがわれる。
このとき、両吹き出し開口23a,24aの間には、図7(a)に示すように、両フィルム7,8の厚みよりやや広い所定の間隔Lが置かれ、この間隔Lは気体吹き込み用ノズル23,24が前記前進位置から後退するまで変化しない。両吹き出し開口23a,24aの間に間隔Lが置かれることにより、気体の吹き出し中、エアバッグ部6の導入部6aのフィルム7,8の間に隙間が形成され、その隙間を通ってエアバッグ部6内に気体が流入する。
【0033】
気体吹き込み用ノズル23,24は、図6(a)及び図7(b)に示すように、その吹き出し開口23a,24aの内径が、エアバッグ部6の切り込み7が形成された導入部6aの径より小さく設定されている。このように、吹き出し開口23a,24aの内径を切り込み9が形成された導入部6aの径(導入部が円形でない場合はその幅)より小さくすることで、気体吹き込み用ノズル23,24から吹き出される気体の流れが導入部6aに集中し、気体の吹き込みをより効率的に行うことができる。
また、気体吹き込み用ノズル23,24が前記前進位置に位置決めされたとき、図3(b)及び図7(b)に示すように、吹き出し開口23a,24aの中心が切り込み9の中心から等距離、合計で間隔Mだけずれている。この配置により、グリッパー11,12に挟持されたエアバッグ付き袋1の高さ位置が、当初の設定位置(図7(b)に示す位置)より多少上下方向にばらついた場合、あるいはエアバッグ部6の切り込み9の形成位置が、導入部6aの中心から多少上下方向にばらついている場合でも、気体の吹き込みに支障が出るのを防止することができる。
【0034】
前記前進位置において、気体吹き込み用ノズル23,24が前進し、気体の吹き込みを開始すると、両フィルム7,8に形成された切り込み9から加圧気体がエアバッグ部6の導入部6aに吹き込まれ、該導入部6aが膨張して、フィルム7,8がそれぞれノズル23,24の吹き出し開口23a,24aに密着し、該導入部6aにおいてフィルム7,8の間に隙間が形成され、続いて、挟幅部6b及び本体部6cに加圧気体が流入し、エアバッグ部6全体が膨張する。前記予備気体吹き込み工程でエアバッグ部6のフィルム7,8の密着状態が一度解されているため、この気体充填工程では、気体の吹き込み及びエアバッグ内への充填は支障なくスムースに行われる。
【0035】
エアバッグ部6(挟幅部6b)のうちグリップ片13(横行部13a,13b)とグリップ片14により挟まれた部位(以下、この部位のことを規制部位という)及びその近傍では、図9(a)に示すように、間隔Jを置いて対向するグリップ片13,14の内面13A,14Aにより自由膨張が妨げられ、膨張形態が薄い偏平形状に規制されている。エアバッグ部6に吹き込まれた気体は、挟幅部6bの前記規制部位における両フィルム7,8間の隙間から下方に流通する。前記予備気体吹き込み工程でも全く同様に、前記規制部位の膨張形態は薄い偏平形状に規制される。
【0036】
続いて図3(c)及び図9(b)に示すように、遮断用グリッパー16が閉じて、グリップ片13の横行部13a,13bの間(前記規制部位の間)に設定された前記遮断部位を、グリップ片14との間で両面から挟持する。これにより、前記遮断部位は完全に押しつぶされ、切り込み9とエアバッグ部6内との気体の流通が遮断される。続いて、気体吹き込み用ノズル23,24が後退し(図3(d))、エアバッグ付き袋1は、遮断状態を維持したまま、次の停止位置VIIに移送される。
なお、遮断用グリッパー16が閉じる前、前記遮断部位が大きく膨張していると、遮断用グリッパー16が閉じたときフィルム7,8が折り込まれ、このため前記遮断部位をつぶし切ることができない場合がある。しかし、前記遮断部位は、前記規制部位の影響を受けて、膨張形態が薄い偏平形状となっている。このため、遮断用グリッパー16が閉じたとき、前記遮断部位においてフィルム7,8を平らにつぶし切り、気体の流通を確実に遮断することができる。
【0037】
(7)停止位置VII(気体封入工程位置)には、エアバッグ付き袋1の移送経路の近傍に、シール装置の一部である一対の熱板25,25が配置され、エアバッグ付き袋1の切り込み9をシールする気体封入工程が行われ、同時にエアバッグ付き袋1の袋口をシールする袋口シール工程が行われる。エアバッグ付き袋1がこの気体封入工程位置に停止したとき、それまで開いていた熱板25,25が閉じて、図4(a)及び図6(b)に示すように、エアバッグ付き袋1の表裏面のフィルム7,8を、切り込み9の箇所及び袋口で両面から挟圧してシールし(シール部32)、これにより、エアバッグ部6内に気体を封入し、かつ被包装物31をエアバッグ付き袋1内に密封する。この状態でエアバッグ付き袋1は次の停止位置VIIIに移送される。
【0038】
(8)停止位置VIII(シール部冷却及び排出工程位置)には、エアバッグ付き袋1の移送経路の近傍に、冷却装置の一部である一対の冷却板26,26が配置され、図4(b)に示すように、前工程でシールされた箇所を両面から挟圧して冷却する。続いて、冷却中に遮断用グリッパー16及び袋移送用グリッパー11,12が開き、さらに冷却板26,26が開き(図4(c)参照)、エアバッグ付き袋1P(エアバッグ付き袋製品)が落下し、シュート33により装置外に排出される。なお、遮断用グリッパー16は、気体封入工程が終了した段階で開いてもよい。
【0039】
以上、図1〜9を参照して、本発明の1実施形態について説明したが、そのほかにも次のような形態が考えられる。
(1)以上の説明では、エアバッグ部6の上端に切り込み9を形成していたが、切り込み9の代わりに穴を形成してもよい。
(2)以上の説明では、エアバッグ部6に挟幅部6bを形成していたが、特許文献1に記載されたエアバッグ付き袋のように、エアバッグ部6全体を同じ幅としてもよい。
(3)以上の説明では、エアバッグ部6が形成されたシール部2を挟持する袋移送用グリッパー11が、エアバッグ部6を横切るように前記シール部2を挟持していたが、特許文献1に記載された袋移送用グリッパーのように、エアバッグ部の外側のみを挟持するようにしてもよい。
【0040】
(4)以上の説明では、遮断用グリッパー16と袋移送用グリッパー11のグリップ片14の間で前記遮断部位を挟持し、前記グリップ片14を遮断用グリッパーの他方側として利用していたが、特許文献1に記載された遮断用グリッパーのように、独立した一対の遮断用グリッパーを設置することもできる。
(5)以上の説明では、遮断用グリッパー16が挟持する遮断部位の上下に規制部位(袋移送用グリッパー11のグリップ片13の上下の横行部13a,13bが挟む部位)を設定したが、この規制部位は1箇所でもよい。
(6)以上の説明では、気体吹き込み手段として、予備気体吹き込み工程では予備気体吹き込み用ノズル28及び受け部材29を用い、気体充填工程では一対の気体吹き込み用ノズル23,24を用いたが、これは逆でもよいし、両工程で同じ気体吹き込み手段を用いてもよい。
【0041】
(7)以上の説明では、充填工程の後に予備気体吹き込み工程、気体充填工程及び気体封入工程を置いたが、充填工程の前にこれらの工程を置くことができる。
また、以上の説明では、気体封入方法及び装置は、包装方法及び装置の一部として構成されていたが、袋口の開口や被包装物の充填とは切り離し、単独の気体封入方法及び気体封入装置として構成することもできる。
【0042】
(8)以上の説明では、本発明に係る気体封入方法及び装置を、エアバッグ付き袋を間欠移送する場合に適用したが、本発明はエアバッグ付き袋を一定速度で連続移送する場合(例えば特開2009−161230号公報参照)にも適用できる。エアバッグ付き袋が連続移動する場合、例えば、遮断用グリッパーはエアバッグ付き袋とともに連続移動し、気体吹き込み用ノズル、予備気体吹き込み用ノズル、加熱気体吹き付け用ノズル及び熱板等の部材は、エアバッグ付き袋に所定距離追従移動した後復帰移動し、追従移動の過程で所要の処理を行う。
【符号の説明】
【0043】
1 エアバッグ付き袋
2,3 側縁のシール部
4 袋口
6 エアバッグ部
6a エアバッグ部の導入部
6b エアバッグ部の挟幅部
6c エアバッグ部の本体部
7,8 袋の表裏面を構成するフィルム
9 切り込み
11,12 袋移送用グリッパー
13,14 グリップ片
16 遮断用グリッパー
23,24 気体吹き込み用ノズル
27 加熱気体吹き付け用ノズル
28 気体吹き込み用ノズル
29 受け部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9