【実施例】
【0016】
以下、本発明を実施例及び比較例をあげてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例、比較例中の%は特に断りのない限り重量%を示す。
また、実施例及び比較例で使用した填料については、下記の方法にて粒径、ゼータ電位を測定した。また、実施例及び比較例で得られたオフセット印刷用新聞用紙について、下記の方法にて不透明度、灰分、裏抜け、紙粉、罫線カスレを評価した。
<填料粒径測定方法>
填料の粒径は、マルバーン(Malvern Instruments)社製の粒度分
布測定装置MastersizerSを用いて、平均粒径として測定した。なお、本実施例、比較例において2種以上の填料を使用している場合、その混合物の平均粒径である。<ゼータ電位測定方法>
ゼータ電位は、マルバーン(Malvern Instruments)社製ゼータサ
イザー3000HSを用い、電気泳動法によって測定した。なお、本実施例、比較例において2種以上の填料を使用している場合、混合物のゼータ電位を測定した。
<不透明度>
JIS P8138に準拠し測定した。
<紙中灰分測定方法>
紙中灰分は、JIS P8128に準拠して測定したが、炭酸カルシウムの紙中灰分量
を測定する場合は、灼熱温度を575℃とし、炭酸カルシウム以外の填料の紙中灰分量を測定するときは灼熱温度を900℃とした。
<紙粉、裏抜け、罫線カスレの評価方法>
紙粉は東芝オフセット輪転機を用い、印刷速度900rpmで墨単色印刷を行い、6万部印刷した後のブランケット上に堆積している紙粉をかきとり、その重量を測定し、100cm2あたりの重量で表した。湿し水の膜厚は0.9μmとした。また、裏抜けは6万部印刷時の墨ベタ面の裏面の白さを白紙と比較し、目視で全く差が認められないものを◎、ほとんど差が認められないものを○、やや差があるものを△、極めて差があるものを×、として評価した。罫線カスレは、6万部印刷時の罫線部のカスレを目視にて観察し、全くないものを◎、ほとんど見られないものを○、やや目立つものを△、極めて目立つものを×、として評価した。
【0017】
[実施例1]
製紙用原料パルプとして、新聞脱墨パルプ(ろ水度120ml、以下DIPと略す。)、サーモメカニカルパルプ(ろ水度100ml、以下TMPと略す。)、針葉樹クラフトパルプ(ろ水度520ml、以下NKPと略す。)を50:30:20の配合比で混合したパルプスラリーに、填料として粒径2.1μm、ゼータ電位3.5mVの炭酸カルシウムを紙絶乾重量当たりの灰分として16%となるように添加し、ギャップフォーマー型抄紙機、抄速900m/分で、坪量43g/m
2の新聞用紙原紙を抄造し、さらにオンマシンのサイズプレスコーターでクリア塗工剤として酸化澱粉(商品名:SK−20、日本コーンスターチ(株)製)を塗工量がフェルト面、ワイヤー面ともに0.4g/m
2となるように塗工し、オフセット印刷用新聞用紙を製造した。このオフセット印刷用新聞用紙について不透明度、灰分を測定し、オフセット輪転機による印刷試験で裏抜け、紙粉、罫線カスレの評価を行い、結果を表1に示した。
【0018】
[実施例2]
填料として炭酸カルシウムを紙絶乾重量当たりの灰分として16%、タルクを灰分として3%となるように添加した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。このオフセット印刷用新聞用紙について不透明度、灰分を測定し、オフセット輪転機による印刷試験で裏抜け、紙粉、罫線カスレの評価を行い、結果を表1に示した。
また、填料の粒径、ゼータ電位の測定値も表1に示した。
【0019】
[実施例3]
製紙用原料パルプの配合比をDIP:TMP:NKP=75:20:5とし、填料として炭酸カルシウムを紙絶乾重量当たりの灰分として18%、タルクを灰分として3%となるように添加した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。このオフセット印刷用新聞用紙について不透明度、灰分を測定し、オフセット輪転機による印刷試験で裏抜け、紙粉、罫線カスレの評価を行い、結果を表1に示した。
また、填料の粒径、ゼータ電位の測定値も表1に示した。
【0020】
[実施例4]
紙にクリア塗工を施さなかった以外は実施例3と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。このオフセット印刷用新聞用紙について不透明度、灰分を測定し、オフセット輪転機による印刷試験で裏抜け、紙粉、罫線カスレの評価を行い、結果を表1に示した。
また、填料の粒径、ゼータ電位の測定値も表1に示した。
【0021】
[実施例5]
製紙用原料パルプの配合比をDIP:TMP:NKP=90:5:5とし、填料として炭酸カルシウムを紙絶乾重量当たりの灰分として29%、ホワイトカーボンを灰分として7%となるように添加した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。
このオフセット印刷用新聞用紙について不透明度、灰分を測定し、オフセット輪転機による印刷試験で裏抜け、紙粉、罫線カスレの評価を行い、結果を表1に示した。
また、填料の粒径、ゼータ電位の測定値も表1に示した。
【0022】
[実施例6]
製紙用原料パルプの配合比をDIP:TMP:NKP=90:5:5とし、填料として炭酸カルシウムを紙絶乾重量当たりの灰分として16%、ホワイトカーボンを灰分として10%となるように添加した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。
このオフセット印刷用新聞用紙について不透明度、灰分を測定し、オフセット輪転機による印刷試験で裏抜け、紙粉、罫線カスレの評価を行い、結果を表1に示した。
また、填料の粒径、ゼータ電位の測定値も表1に示した。
【0023】
[実施例7]
製紙用原料パルプの配合比をDIP:TMP:NKP=90:5:5とし、填料として炭酸カルシウムを紙絶乾重量当たりの灰分として27%、タルクを灰分として6%となるように添加した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。このオフセット印刷用新聞用紙について不透明度、灰分を測定し、オフセット輪転機による印刷試験で裏抜け、紙粉、罫線カスレの評価を行い、結果を表1に示した。
また、填料の粒径、ゼータ電位の測定値も表1に示した。
【0024】
[比較例1]
填料としてホワイトカーボンを紙絶乾重量当たりの灰分として5%となるように添加した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。このオフセット印刷用新聞用紙について不透明度、灰分を測定し、オフセット輪転機による印刷試験で裏抜け、紙粉、罫線カスレの評価を行い、結果を表1に示した。オフセット印刷時の紙粉と罫線のカスレを評価し、結果を表1に示した。
また、填料の粒径、ゼータ電位の測定値も表1に示した。
【0025】
[比較例2]
填料として炭酸カルシウムを紙絶乾重量当たりの灰分として3%、ホワイトカーボンを灰分として5%となるように添加した以外は、実施例1と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。このオフセット印刷用新聞用紙について不透明度、灰分を測定し、オフセット輪転機による印刷試験で裏抜け、紙粉、罫線カスレの評価を行い、結果を表1に示した。
オフセット印刷時の紙粉と罫線のカスレを評価し、結果を表1に示した。
また、填料の粒径、ゼータ電位の測定値も表1に示した。
【0026】
[比較例3]
填料として炭酸カルシウムを紙絶乾重量当たりの灰分として5%、カオリンを灰分として2%となるように添加した以外は、実施例3と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。このオフセット印刷用新聞用紙について不透明度、灰分を測定し、オフセット輪転機による印刷試験で裏抜け、紙粉、罫線カスレの評価を行い、結果を表1に示した。
オフセット印刷時の紙粉と罫線のカスレを評価し、結果を表1に示した。
また、填料の粒径、ゼータ電位の測定値も表1に示した。
【0027】
[比較例4]
填料として炭酸カルシウムを紙絶乾重量当たりの灰分として2%、タルクを灰分として9%となるように添加した以外は、実施例3と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。このオフセット印刷用新聞用紙について不透明度、灰分を測定し、オフセット輪転機による印刷試験で裏抜け、紙粉、罫線カスレの評価を行い、結果を表1に示した。
また、填料の粒径、ゼータ電位の測定値も表1に示した。
【0028】
[比較例5]
填料として炭酸カルシウムを紙絶乾重量当たりの灰分として5%、タルクを灰分として7%となるように添加した以外は、実施例5と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。このオフセット印刷用新聞用紙について不透明度、灰分を測定し、オフセット輪転機による印刷試験で裏抜け、紙粉、罫線カスレの評価を行い、結果を表1に示した。
また、填料の粒径、ゼータ電位の測定値も表1に示した。
【0029】
[比較例6]
填料として炭酸カルシウムを紙絶乾重量当たりの灰分として1%、タルクを灰分として5%、ホワイトカーボンを灰分として8%となるように添加した以外は、実施例4と同様にしてオフセット印刷用新聞用紙を製造した。このオフセット印刷用新聞用紙について不透明度、灰分を測定し、オフセット輪転機による印刷試験で裏抜け、紙粉、罫線カスレの評価を行い、結果を表1に示した。
また、填料の粒径、ゼータ電位の測定値も表1に示した。
【0030】
【表1】
【0031】
表1に示されるように、実施例1〜7の填料を紙重量当たりの灰分として15重量%を超え40重量%未満の含有率で含有するオフセット印刷用新聞用紙は不透明度が高く、裏抜けも良好である。特に粒径が0.5〜5μmで、ゼータ電位が0mV以上である填料を含有し、クリア塗工剤を塗工した実施例1〜3、5のオフセット印刷用新聞用紙はオフセット印刷機のブランケット上に堆積する紙粉量が少なく、罫線カスレの問題もなかった。これに対して、填料を紙重量当たりの灰分として15重量%以下の含有率で含有する比較例1〜6のオフセット印刷用新聞用紙は不透明度が低く、裏抜けの改善は不十分であった。